千本松・沼津倶楽部

学会グルメ(29)
平岩 堅太郎
<はじめに>
クラブ活動は年代により中学・高校生では部活、社会人ではゴルフのカントリー倶楽部、
ママのいるネオン輝く街の倶楽部等が有りますが、今回会員制のオーベルジュ沼津倶楽部
を体験しましたのでこれをメインに、大阪のリーガロイヤルホテルのクラブとザ・リッツ
カールトン大阪のクラブについてもごく簡単に述べてみます。
35.千本松・沼津倶楽部
場所は風光明媚な沼津の千本松公園の南東側に有ります。髪を後に束ねたマネージャー
に迎えられ有形文化財の長屋門をくぐると右手に松岩亭が現れ、これを左手に折れるとラ
ウンジ棟へ着きました。松岩亭は 1907 年ミツワ石鹸二代目社長・三輪善兵衛氏が建てた数
寄屋建築で 2014/11 に国の有形文化財に登録されました。
ラウンジ棟及び宿泊棟は和風建築の巨匠・渡辺明氏によって設計・建築がなされ、2007
年秋に改修・増築された松岩亭と共に会員制のゲストハウス「千本松・沼津倶楽部」とし
てオープンしました。ラウンジ棟の外壁は版築仕上げ(富士川の砂と土の積層)で、レセ
プションの吹き抜けの高い天井はとても良い雰囲気でした。宿泊棟は前面に浅い水盤が広
がり、低層(2 階)建築とのバランスが見事な感じでした。どことなく那須の「二期倶楽部」
に似ていた為スタッフに聞いた所、同じ設計者と判明しました。
社長はもと栄光塾経営の北山ひとみ氏で 1986 年に会員制「二期倶楽部」を那須に、2007
年に会員制「千本松・沼津倶楽部」を沼津にオープン。娘の北山智映氏は銀座 7 丁目で「割
烹 智映」をオープンしていて、こちらの料亭「映」でも腕をふるっているそうです。
18:00 にマネージャーが電気行灯を持って松岩亭にある料亭「映」へ案内してくれまし
た。室内は 4 つの和室を洋風に改修してあり、障子を切り紙細工の意匠を加えた 1 枚ガラ
スに変えている点などにセンスを感じました。
サービスは、マネージャーともう一人がしていましたが、明るく丁寧で良かったと思い
ます。
お酒は麦焼酎の「かぐや姫のささやき」と米焼酎の「富士のしずく」にしましたが、少
し硬質な感じがしました。
2015/2/7 夜のお品書きは以下の如くでした。
1)
先付:色々豆のおひたし
2)
前菜:千葉産石鯛の焼切り クレソン
3)
椀物:蛤椀 筍 地芽
4)
向付:千葉産方々塩〆 山葵醤油
5)
酒肴:和歌山産〆鯖 新じゃがバター
6)
焼物:長崎産喉黒焼 山葵 大根醤油漬 酢取茖荷
7)
煮物:高野豆腐 椎茸 茄子 人参 絹さや
8)
寿司:しらす梅胡 お吸い物 宮城産〆鯖 静岡産鰹 千葉産鮃 長崎産白いか
9)
甘味:季節のフルーツ
魚料理の名手と称されるだけあって、各地の一番良い状態の魚貝類を仕入れ、素材の旨
味を引き出していました。手間がかかっているのにそれを感じさせないフレッシュ感あふ
れる皿に感心しました。又、野菜も出汁が効いていておいしく頂け、この料理を食べる為
だけに出掛ける価値があると思われるお店の一つと思われます。
住所:静岡県沼津市千本郷林 1907
電話:055-954-6612
(2015/2 の時点では非会員でも予約可)