第3講座『皮膚の痒み,肌荒れ』 - 社団法人大阪府医薬品登録販売者協会

平成 23 年度 登録販売者生涯学習研修確認テスト
第 3 講 座 『 皮 膚 の痒 み ,肌 荒 れ 』
問1.
【受診勧奨】常連のお客様から,これまでは感じていなかった皮膚の痒み,肌荒れ等の相談を受けました.
受診勧奨が適当と思われる症状には○,セルフメディケーションが可能なら×を記入して下さい.ただし,一般
に高い熱(38℃以上)が出る病気は,本人が皮膚病を主訴とはしないと思われるので,ここでは取り上げません.
(1)
受診を勧めるべき生命に関わる重大な疾病の症状ではないか?
①(
)発疹はないが,体が痒い.皮膚や白眼の部分が黄色くなっている.(黄疸を起こす病気のおそれ)
②(
)発疹はないが,体が痒い.かったるくて,気持ち悪く,尿量が減って浮腫みっぽい.
(腎不全のおそれ)
(2)
その他,受診を勧めるべき疾病の症状ではないか?
りんせつ
③(
)足首の上周辺が痒く,黒っぽくなり,ガサガサ(鱗屑).下肢静脈瘤あり.
(鬱滞性皮膚炎のおそれ)
④(
)数日前から脇腹が痒く,徐々に強い痛みに.今日,赤い発疹がブツブツと・・・.(帯状疱疹のおそれ)
⑤(
)突然,頬が赤くなり,続いて手・足に網目状の発疹が現れた.痒みもある.(伝染性紅斑のおそれ)
⑥(
)両脚に,痒い赤~紫で蝋のような光沢がある複数のプツプツ(丘 疹 )ができ,一部融合して扁平な
きゅうしん
たいせん
台地(苔癬)になっている.皮膚を掻くと新たにできる.口の中にただれができている.
(扁平苔癬のおそれ)
⑦(
)蕁麻疹と異なる症状が,徐々にあちこちに増えてきた.
(尋常性乾癬,アトピー性皮膚炎等のおそれ)
問2.【セルフメディケーションでも対応できる皮膚の痒み,肌荒れ】次の症状には何を主体とす
る製剤を使うのが適当でしょうか?下欄から選んで下さい.
①(
)湿疹は,痒みを伴う,非伝染性の皮膚の炎症の総称.そのうち,接触性皮膚炎=かぶれ
は,化学物質,金属,植物などに直接触れたことで起きる.
きゅうしん
②(
)蚊などによる軽い虫刺されでは,刺されたところがプツッと腫れ(丘 疹 ),痒みを伴う.
③(
)シラミに吸血されると強い痒みを生じる.体毛に膠着させた卵で寄生を確定できる.
④(
)乾燥肌(乾皮症,皮脂欠乏症)は,皮膚の潤いを保つ皮脂,天然保湿因子,角質細胞間脂質(セラミ
ド)が減少し,バリア機能が弱まって痒みを生じる.生活環境の乾燥,洗い過ぎ等も原因.
⑤(
ぼうしん
)蕁麻疹は,食事,寒冷,物理的刺激によって,限局性浮腫(膨疹)が突然出現する.例えば,特に魚
の刺身は時間が経つと,細菌の汚染によりヒスタミンが大量に生成されるので危ない.内服薬を使用する.
⑥(
きゅうしん
りんせつ
)たむし(白癬)は,境界鮮明にプツプツ(丘 疹 )が環状に連なり,そこが痒く,皮膚のくず(鱗屑)
か
ひ
やかさぶた(痂皮)を伴っている.患部は外に広がり,中心部は治癒傾向.
⑦(
かさ ぶた
か
ひ
)とびひ(伝染性膿痂疹)は,痒みからかき壊したところを起点に水疱・ただれ(びらん)
・瘡蓋(痂皮)
が次々に新しくできる.広範囲に広がった場合には内服薬も必要なので,受診勧奨.
A.保湿成分
B.抗真菌成分 C.抗炎症成分
D.抗菌成分
E.抗ヒスタミン成分
F.殺虫成分
※学校感染症:問1,問2関連のウイルス性肝炎,伝染性膿痂疹,溶連菌感染症,伝染性紅斑,伝染性膿痂疹,アタマジラミは,
飛沫感染が主体ではないが,放置すれば学校で流行してしまう可能性があり,学校長が学校医の意見を聞き,「病状により学校医
その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで」出席停止の措置をとることができる.
問3.【消炎鎮痒成分の特徴】
(1) 外用の消炎又は鎮痒成分の特徴に対応する成分群をA~Eから選んで下さい.
①(
)≪Weak≫のステロイド性抗炎症成分.吸収しやすい皮膚の小児や高齢者に向いている.
②(
)吸収されると速やかに代謝されて活性を失うアンテドラッグのステロイド性抗炎症成分.
③(
)局所刺激作用を減弱させた非ステロイド性抗炎症成分.広範囲や長期使用が可能.
④(
)ヒスタミンと競合的に拮抗し,皮膚の局所に限局している虫刺されやアレルギー性皮膚疾患に有効.
⑤(
)皮膚に与える軽い灼熱感が競合的に瘙痒感のみを消失させるが,他の皮膚感覚には影響を与えない.
A.プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル,ヒドロコルチゾン酪酸エステル
B.プレドニゾロン,ヒドロコルチゾン,ヒドロコルチゾン酢酸エステル,デキサメタゾン酢酸エステル
C.ウフェナマート
D.クロタミトン
E.ジフェンヒドラミン塩酸塩
(2)
内用抗ヒスタミン成分の特徴に対応する成分をA~Dから選んで下さい.
①(
)即効性で効果も高いが,抗コリン作用,中枢抑制作用も抗ヒスタミン成分としては特に強い.
②(
)即効性で効果も高いが,抗コリン作用,中枢抑制作用はやや弱い. ラセミ体から主作用がほとんど無
い l 体を除いたもの(=d 体)は,半量で同じ効果が得られ,副作用はさらに弱い.
③(
)遅効性で有効率もやや低いが,抗アレルギー作用を有し,抗コリン作用,中枢抑制作用は非常に弱い.
④(
)やや遅効性だが,有効性は高く持続性で,抗アレルギー作用を有する.抗コリン作用の心配(排尿困
難や緑内障の人への注意等)はなく,中枢抑制作用は非常に弱い.
A.クロルフェニラミンマレイン酸塩 B.ジフェンヒドラミン塩酸塩 C.アゼラスチン塩酸塩 D.メキタジン
問4.【患者情報確認・生活スタイル】次の患者情報確認・生活スタイルに関する文に該当する一般用医薬品の
鎮痒・消炎,しもやけ・あかぎれ,保湿成分名のうち,使用上の注意に照らして最も適当なものを選んで下さい.
・鎮痒消炎薬に(
①
)が配合されている場合,水痘,みずむし・たむし又は化膿している患部に使用し
てはならない.また,使用上の注意に記載はないが,糖尿病の人も,かきこわして細菌感染の心配がある場合
には受診勧奨が望ましい.全身的な副作用を避けるため,長期連用してはならないが,患部が広範囲の人も注
意がいる.1 日 2~3 回,3~4 日で切り上げられない場合,単なる湿疹やかぶれでないこともありうるので,受
診が必要である.
・出血を助長するおそれがあるので,出血しやすい人や血が止まりにくい人は,血液凝固抑制作用のある
(
②
)や(
・保湿成分の(
③
④
)を使用することはできない.
)は,
「乳幼児」への使用について相談事項になっている製品や用法に関する注意に「小
児に使用させないこと」と記載された製品もある.皮膚の弱い乳幼児では,慎重に使用する必要がある.
・(
⑤
)は,強い刺激臭があり,知覚神経に麻痺を起こさせる働きやギ酸を中和する効果があるが,蟻
以外の虫刺されに対する効果を疑問視する意見が多い.虫刺されは一般に,異種タンパクが注入されることに
よる中毒やアレルギー反応であることから,程度により(
⑥
)やステロイド性抗炎症成分を使うのが
適当.
・抗アレルギー作用を有する(
⑦
)は,服用時の飲酒,服用後の乗物の運転及び授乳等を避けなければ
ならない他,妊娠中は使用することができないが,排尿困難の人や緑内障の人に対する特別な注意はない.
A.抗ヒスタミン成分
E.アンモニア水
B.ステロイド性抗炎症成分
F.ヘパリン類似物質
C.ポリエチレンスルホン酸ナトリウム
G.エメダスチンフマル酸塩
D.尿素
H.アゼラスチン塩酸塩
問5.
【アドバイス】次の文章が正しいものには○を,誤っているものには×を,
(
)の中に記入して下さい.
ただし,「※」の説明部分は問題の範囲ではありません.
乾燥肌のスキンケアと虫刺に刺されたときのために・・・
①(
)乾燥肌には,入浴後すぐにローションやクリームで皮膚を保護しましょう.熱い湯での長時間入浴も,
皮膚の乾燥を招きます.
②(
)尿素の保湿作用は,高濃度の方が効果が高いので,10%より 20%の製剤をおすすめします.
③(
)毎晩,しっとりめのクリームを塗り,綿の手袋をして眠ると,手がガサガサしてひび割れているとこ
ろも徐々に回復してきます.
④(
)ハチに刺されたら,とりあえずアンモニアの代用でおしっこを付けると,ひどくならずに済みます.
⑤(
) ステロイド剤は,擦り込まずに使い,出口径 5mm のチューブの軟膏やクリームなら,人差し指の先
から第一関節まで出した量(1FTU)※で,成人の手の平 2 枚分の面積に十分使えます.
※フィンガー・チップ・ユニット(FTU):1FTU は男性で約 0.5g.塗り薬一般の使用量の目安になる(右図).
「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン 2008」より
平成 23 年度 第3講座『皮膚の痒み,肌荒れ』確認テスト正答と解説
問1.【受診勧奨】医療機関への受診が必要かどうかを振り分ける.
〔答:①~ ⑦
○ (すべて正答)
〕
注意!:診断はできません.受診勧奨の際,思い当たる病名などを口に出さないように注意しましょう.
(1)痒みの原因が問題の病気や異常による場合には,抗ヒスタミン剤では効果が得られない.
①黄疸は,ヘモグロビンの分解物であるビリルビンが血中に溜って起こる.治療が必要な黄疸の種類には溶血性
貧血(過剰)
,肝細胞性黄疸(処理不能),閉塞性黄疸(排泄不能)があり,重大な原因がある.
②弱った腎臓では排出できない酸などの代謝性老廃物が蓄積するために起こる.
(2)③下肢静脈瘤による循環障害が原因と考えられ,その治療が必要.ひどくなると潰瘍を生じる.
④原因は水疱瘡のウイルスで,知覚神経の中に潜伏していたものが免疫力の低下に乗じ
て活動し始める.若い人の初期には,「違和感」とか「痒い」程度の場合があるが,強
い痛みを感じて 1 週間ほどすると,そこに赤い発疹が現れ,帯状に広がり,時間ととも
に黒っぽい水疱になる.膿疱を経て潰瘍になると瘢痕が残る他,麻
痺,神経痛,難聴などの後遺症が残ることがある.
『きょうの健康大百科』より
⑤通称,リンゴ病.飛沫または接触感染で,潜伏期間は 4~15 日程度.胸腹背部にも発疹が出現することがある.
微熱や感冒様症状などの前駆症状がある場合もある.成人では関節痛・頭痛などを訴えることがあるが,ほとん
どは合併症をおこすことなく自然に回復する.発疹が現れたときには感染力はほぼ消失している.
感染症法で,五類感染症に指定されており,蔓延の防止を図るため,把握に努めているので受診勧奨が望ましい.
⑥胴体,手首の内側,脚,亀頭,腟の中にできやすい.約半数に口中のただれができる.顔にはできない.
⑦尋常性乾癬は,境界鮮明な紅斑だが,痒みはないことが多く,銀白色雲母状の鱗屑を剥がすと点状に出血する.
アトピー性皮膚炎は,角質の天然保湿因子,角質細胞間脂質(セラミド)が少ないため,皮膚が
鳥肌様に乾燥,バリアー機能が低下し,強い痒みを生じる.
紅斑,丘疹,鱗屑の他,苔癬化※も見られる.
「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン 2008」より⇒
※:表皮が肥厚し,粗い構造になること
問2.【一般用医薬品でも対応できる皮膚の痒み,肌荒れ】
〔答: ①C,②E,③F,④A,⑤E,⑥B,⑦D〕①外用剤の使用個所に紫外線があたると,重症の接触皮膚炎を起こ
すこと(光線過敏症)が知られた成分にケトプロフェン等がある.数か月遡って使用歴がある場合には受診勧奨.
脂漏性皮膚炎は,皮脂を好む常在真菌のマラセチア※が産生する遊離脂肪酸や分泌物が主な原因の接触性皮膚炎
(軽症はフケ症)と考えられ,ミコナゾール入りの石鹸やシャンプーで除菌すると治ることが多い.
ひ こうようりんせつ
でんぷう
※:汗の多い青壮年の胸部~背中~肩にフケのような皮膚のくず(粃糠様鱗屑)を伴う斑模様ができる癜風の原因.
②炎症が強いものには抗ヒスタミン成分を含むステロイド剤を塗布し,冷湿布.ハチは受診勧奨が無難で,30
分程の間に,かゆみが広がる,呼吸がおかしい(喘鳴),冷や汗が出る等ショックの兆候が現れたら救急車.
疥癬は,ヒゼンダニの糞や抜殻に対するアレルギー反応による丘疹の他,長さ数㎜の疥癬トンネルが角質層にみ
られる.駆除には硫黄浴,硫黄,クロタミトン等の外用.弱った老人では,角質が増殖・落屑する角化型にも.
④ただ痒いのを皮膚瘙痒症,掻破により落屑や亀裂を伴った赤い湿疹を皮脂欠乏性湿疹という.
かさ ぶた
⑦溶連菌による場合は瘡蓋が厚く、急性腎炎の原因にもなるので,1 か月程は尿量減少等に注意.
問3.【外用消炎鎮痒成分の特徴】
皮脂欠乏性湿疹
(1)〔答: ①B,②A,③C,④E,⑤D〕ステロイド性抗炎症成分は,細胞膜のリン脂質からアラキドン酸を切り
出す酵素,「ホスホリパーゼ A2」を阻害する蛋白の合成を促進し,炎症の始まりの段階でその流れを抑制する.
ヒドロコルチゾン酪酸エステルをアンテドラッグに,プレドニゾロ
ン吉草酸エステル酢酸エステルを Strong に分類したのは,佐藤製
薬の資料に基づいた(見解の紹介の意味で).
ウフェナマートは,フルフェナム酸をエステル化して局所刺激作用
を減弱させ,皮膚外用剤として開発された.膜安定化及び活性酸素
生成抑制作用など,生体膜との相互作用により消炎作用を示す.
主な一般用 外用ステロイド性抗炎症成分
Strong
フルオシノロンアセトニド,プレドニゾロン吉
草酸エステル酢酸エステル
Medium ヒドロコルチゾン酪酸エステル,デキサメタ
ゾン,トリアムシノロンアセトニド
Weak
プレドニゾロン,プレドニゾロン酢酸エステ
ル,ヒドロコルチゾン,ヒドロコルチゾン酢
酸エステル,デキサメタゾン酢酸エステル
毛細血管の透過性低下や組織への白血球の浸潤抑
制につながる血管収縮作用の強さで分類された.
(2)〔答: ①B,②A,③D,④C〕アゼラスチン塩酸塩の血中濃度は,OTC 用量の 1 ㎎単回投与の場合,非常にな
だらかに減少し,T1/2=約 23 時間(3mg⇒16.5 時間).その他の成分も OTC 用量では若干異なると思われる.
成分 薬物動態
ジフェンヒドラミン塩酸塩
(レスタミンコーワ錠 10mg)
健康成人に 50 ㎎(OTC30 ㎎)
Tmax=2.3±0.2 時間
有効率
蕁麻疹 95.5%,皮膚炎
61.1%,瘙痒症 20.0%,アレル
ギー性皮膚疾患 78.6%,アレ
ルギー性鼻炎,血管運動性鼻
炎,慢性鼻炎 98.2%
クロルフェニラミンマレイン酸
塩(ヒスタール)
健常外国人に 12 ㎎(OTC4 ㎎)
Tmax=2 時間
T1/2=12~15 時間
蕁麻疹 80.5%,皮膚疾患に伴
う瘙痒(湿疹,皮膚炎,皮膚
瘙痒症,薬疹)74.6%枯草熱
及びアレルギー性鼻炎 75.0%
(d 体のポララミンより)
メキタジン(ゼスラン)
健康成人に 3 ㎎(OTC2 ㎎)
Tmax=6.7±0.62 時間
T1/2=5.43±0.71 時間
蕁麻疹 69.5%,湿疹・皮膚炎群
62.6%,アレルギー性鼻炎
54.8%
アゼラスチン塩酸塩(アゼプ
チン錠 1 ㎎)
健康成人男に 1~3 ㎎
(OTC1 ㎎)
Tmax=4 時間
T1/2=約 23 時間(1 ㎎の場合)
皮膚疾患(蕁麻疹,湿疹・皮膚
炎,アトピー性皮膚炎,皮膚瘙
痒症,痒疹)83.2%,アレルギ
ー性鼻炎 80.2%,気管支喘息
66.4%
問4【患者情報確認・生活スタイル】
①〔答:B〕理由(前半)
:その免疫抑制作用によって,皮膚感染症を誘発したり,増悪したりするおそれがある.
糖尿病の人でも免疫力が低下していることがある.理由(後半):広範囲の使用が長期に続くと,後嚢白内障,
緑内障等の眼疾患,皮膚の感染症,ステロイドざ瘡,ステロイド皮膚(皮膚萎縮,毛細血管拡張),魚鱗癬様皮
膚変化,紫斑,多毛及び色素脱失等の皮膚症状,下垂体・副腎皮質系機能の抑制等が起こるおそれがある.また,
動物実験で催奇形作用が報告されているため,医療用医薬品の添付文書では,妊婦又は妊娠している可能性のあ
る婦人に対して「大量又は長期にわたる広範囲の使用を避けること」とある.セルフメディケーションでは,妊
娠中か否かに関わらずこのような使い方はしないことになっているので,一般用には妊婦等に対する記載はない.
②,③〔答:C,F〕理由:出血性血液疾患(血友病,血小板減少症,紫斑病など)の人は使用できない.
④〔答:D〕理由:角質溶解剥離作用が強く出やすいので,尿素の配合量が 10%を超える製剤は,「小児の乾燥
性皮膚」や「手足のかさつき」等の小児が対象となりうる効能・効果をとることができないことにもなっている.
ヘパリン類似物質も血行促進・抗炎症作用の他に保湿作用があるが,小児に対する注意は特にない.
⑤〔答:E〕
,⑥〔答:A〕アンモニア水は,
「虫さされ」,
「かゆみ」の効能・効果が取られている他,
「打ち身」,
「ね
んざ」,「肩のこり」,「神経痛」,「腰痛」,「リウマチ」,「しもやけ」,「軽度のやけど」又は「あせも」などの効能・効
果を併せ持つ製剤にも配合されている.アンモニアガスの吸収により,鼻粘膜の知覚神経を刺激し,反射的に中枢興
奮を呼び,血圧上昇,呼吸亢進をきたすことがあるので,
「気付け」の効能・効果を併せ持つ製品もある.強い局所刺
激作用を有するので,乳幼児や皮膚の特に弱い人,顔や頭皮に使用する人には別の薬を勧めたい.患部に軽く塗るだ
けにとどめ,ガーゼ,脱脂綿などに浸して患者に貼付しないこと.アンモニア水は,10w/v%前後の濃度でも短時間の
皮膚接触で灼熱感や発赤をきたし,長時間にわたると局所の壊死を招く.定められた用法を守ることが大切である.
⑦〔答:H〕理由:エメダスチンフマル酸塩,アゼラスチン塩酸塩ともに中枢神経系の抑制作用は弱いものの「眠
気」等の報告があり,動物実験では乳汁中に移行する.アゼラスチン塩酸塩は,ラットで大量投与による催奇形
作用の報告があり,妊娠中は使用できない.その点,エメダスチンフマル酸塩は相談事項に記載があるが,肝機
能障害の報告があることから,既往歴のある人を含め,肝臓障害の人について,相談事項に記載がある.
(第 4 問の出題⇒『一般用医薬品使用上の注意ハンドブック』
)
問5.【アドバイス】①○
②×
③○
④×
⑤○
②角質溶解剥離作用は,高濃度の方が効果があり,皮膚の軟化を主目的に,例えば硬くなった足のかかとなどに
使用する場合には 20%の方をおすすめするが,保湿作用は各濃度間で大きな差はないと言われており,乾燥肌で
は,刺激に弱くなっていることから,むしろ低濃度か,無配号のものを選んだ方が良い場合も多い.
④ハチ毒は,結合組織破壊,血圧降下,細胞膜透過性亢進,痛み,平滑筋収縮などを起こす複合タンパクで,問
4⑤の説明にあるとおり,アンモニアで中和できるものではない.
参考にした文献等:南江堂『今日の OTC 薬』中島恵美・伊東明彦 /全薬工業『皮膚病図譜』 /万有製薬:メルクマニュアル/難病
情報センター「重症多形滲出性紅斑(急性期)
」/国立感染症研究所 感染症情報センター「風疹」,
「伝染性紅斑」,
「わが国におけ
る蜂刺症」/国立がん研究センターがん情報サービス「黄疸」/日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」/社団法人
日本アレルギー学会 H.P.掲載 厚生労働科学研究「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン 2008」/厚生労働省「感染症法に基づく医
師及び獣医師の届出について」/NHK『きょうの健康大百科 / マルホ H.P.「疥癬」,
「とびひ」
,
「乾燥肌・皮脂欠乏症」/『DermIS』
H.P./じほう『OTC 薬の実践問題集2』堀美智子/薬事日報社『一般用医薬品使用上の注意ハンドブック改訂版』