接触力と遠隔力 • 日常生活に便利な分類 • 力の本性による分類 – 接触する物体間に働く 接触力 – 強い力 • 原子核をまとめる力 – 壁面や床面から – 結ばれた糸から – 周囲の空気や水から – 弱い力 – 電磁気力 – 接触していない物体間 に働く遠隔力 – 万有引力 • 引力と反発力 • 引力 – 重力(万有引力) – 電磁気的な力 静力学の基礎 1 作用反作用の法則 綱は静止 2つの物体AとBが 力を及ぼしあうとき AがBに及ぼす力と BがAに及ぼす力は 逆向き、同じ大きさ 両側から引く2つの力は:等大・逆向き 手Aと手Bが引き合う:等大・逆向き 手Aが綱Bを引く力と 綱Bが手Aを引く力は 等大・逆向き 静力学の基礎 2 作用反作用の法則 地球が月を引く力 月が地球を引く力 地面がオオカミを押す力 オオカミが地面を押す力 オオカミが月を引く力 月がオオカミを引く力 地球がオオカミを引く力 オオカミが地球を引く力 静力学の基礎 3 例題 地面、そり、人間に加わる力を 図に書き込みなさい 静力学の基礎 4 いろいろな力 バネが物体におよぼす力 • 自然長 • 外部から力を加えないときの長さ つるまきバネ、コイル・スプリング • 変形 • 自然長からの伸び縮み • バネは、自然長に戻ろうとする • 復元力: • 変形したバネの端に接続した物体に、バネ から加わる力 • バネ内部に生じた歪による「応力」が端に現 れたもの • 内部のどの位置にも(端でも)同じ「応力」 板ばね、リーフ・スプリング • フックの法則 • 変形の量(伸び縮みの大きさ)と復元力が比 例する • 変形が小さなときにだけ成り立つ 静力学の基礎 5 フックの法則 • バネの変形を数量的に表す • 座標軸 » 一端を固定、自然長のとき注目す る端の位置を原点 » バネが伸びる方をx軸の正方向 • 変形量 » 注目する端の位置の座標 x » 長さの単位 m » 正:伸び、 負:縮み • バネの復元力を数量的に表す » 変形の方向と逆向き F » 力の単位 N » 変形の大きさに比例する ⇔ フックの法則 » バネ定数:比例係数 k • 単位は N/m 静力学の基礎 固定端 バネに接続した物体 バネの復元力 F 自然長 O 変形量 x 力の向きと変形の向きと逆 F=-kx k が大きいと 強いバネ:同じ変形量で大きな復元力 硬いバネ:大きな力を加えても小さな変形 6 例題 状況: フックの法則に従う 2個のバネがあり、自然 長が同じで、それぞれ バネ定数がk1とk2であ る。 問:これらのバネを直列に つなげたときのバネ定 数は?並列につなげた ときのバネ定数は? 静力学の基礎 k1 k2 直列 ヒント:2つのバネの変形量は 異なるが、1と2の間の力は 作用反作用の法則に従う k1 並列 k2 ヒント:2つのバネは同じ変形量だが 復元力が異なる 7 いろいろな力 糸が、接続した物体に及ぼす力 • 糸は「ぴんと張った」ときだけ力 を及ぼす – 糸が物体を引く力は • 物体を引っ張るが押さない • その向き(接線方向)に力を及ぼす • 長さを変えない・・・とする 1.天井が静止している 2.糸の長さが変わらない 3.物体も静止している 4.物体には重力が加わる 5.張力の大きさは重力 とのつりあいで決まる – そのため力は必要なだけ大きくな る・・・切れるまで – 糸の内部には「張力」が働く 張力は接線方向 • バネの「応力」と同じ内容 • 張力が糸の端に現れて物体を引く 静力学の基礎 8 いろいろな力 重力(物体の重さ) • 万有引力 • 地球の質量は一定だから • 同じ物体でも高度や場所で比例係数gが微妙に異なる 重力加速度 – 地球が地上(付近)の物体に及ぼす万有引力 – 「地球が平坦」と思えるときは、鉛直下向き – 大きさFは物体の質量mに比例する F 質量 • 重力 重力 – 質量をもつ物体の間に作用する引力 – それぞれの質量に比例、距離の二乗に反比例 – 質量分布が球状なら質量を中心に集めても同じ = mg – g を重力加速度という • 月面での月による重力加速度は、地球表面上の1/6になる 静力学の基礎 9 重心 1 • 重力下で重心に力を加えるとつりあう • 全重力があたかも重心に集中したように見える – 重力 • 方向は鉛直下向き • 大きさは各部分の質量に比例 = m – 全重力につりあう力 • 移動しない:鉛直上向き、大きさ全質量×g – 回転しない • 重心のまわりの重力によるトルクの合計が0 r1 • てこ: 重心=支点に加える力 r1F1 + r2F2 = 0 静力学の基礎 r2 F2 F1 10 重心2 • (m1+m2+m3+m4)g 重心を原点とする – 水平な直線状に質点が並ぶ • • x1 x2 座標 x1に重力m1g, {x2,m2g}, {x3,m3g}, … 原点(重心)のまわりのトルク x1m1g, … m1g 重心のまわりのトルクの和が0 x1m1g + x2m2g + x3m3g +… = 0 x1m1 + x2m2 + x3m3 +… = 0 • x1m1 + x2 m2 + L X= = m1 + m2 + L 静力学の基礎 x4 X x の正負 → トルクの正負 → 回転方向 • x3 m2g m3g m4g 重心の座標がXのとき (x1 - X) m1 + (x2 - X) m2 +… = 0 ⇒ x1m1 + x2m2 + x3m3 +… = X (m1+m2+m3+…) ∑ ∑ N k =1 N xk mk k =1 mk 11 (m1+m2+m3+m4 ) g 重心3 • 3次元 m1g – 座標 (x1, y1, z1)に重力m1,, etc – 重心の座標(X, Y, Z) y4 m2g m2 m4g ∑ ∑ y m + y m +L ∑ = Y= m + m +L ∑ z m + z m +L ∑ = Z= m + m +L ∑ x m + x m +L = X= 1 1 2 2 m1 + m2 + L m1 y3 Y y2 y1 m3g m3 N 1 m4 1 2 2 k =1 N 2 1 x4 1 1 静力学の基礎 2 2 2 mk yk mk k =1 N x1 k =1 N 1 X x2 x3 x mk k =1 k N mk z mk k =1 k N k =1 mk 12 – 表面で作用する力を分解する • 垂直抗力:表面と垂直 垂直抗力 • 「固体の表面」と他の「固体の表面」が接触 – 大きさが決まる条件:固体が面にもぐり込まない » 面から浮き上がったり、壊れたりしないかぎり • 摩擦力:表面にそった方向 – 物体が表面にそって動くのを妨げる » 表面の性質(ざらざら、すべすべ)で変化する » 摩擦力の大きさには限界がある 摩擦力 物体が斜面から受ける力 この例では、重力とつりあう いろいろな力 垂直抗力と摩擦力 – 摩擦に関するクーロンの法則 • 垂直抗力の大きさNと摩擦力の大きさFが比例 » 斜面上で静止する物体の重さを変えてみよ! • いつでも成り立つわけではない • 比例係数μを摩擦係数という – μ = F/ N は単位が無し、ただの数 静力学の基礎 F=μN 13 いろいろな力 浮力 周囲の水から受ける力F • 静止流体中の静止物体 • 物体を取り除いた体積を流体を満た す • その部分が静止 水の塊が受ける重力 W – その体積の流体が受ける重力Wと、周 囲の流体から受ける力Fとがつりあう • 浮力 浮力:周囲の水から受ける力F • 物体に周囲の流体から加わる力 • 浮力の大きさはFに等しい – 物体が排除する流体が受ける重力に 等しい 物体が受ける重力 W‘ 静力学の基礎 14 力、圧力 • 圧力:力の集中を表す量 – 同じ力でも、尖っている程ほど破壊能力が大きい – 圧力 = 「力」÷「力が加わる部分の面積」 • 力の方向と垂直な面の面積 • 圧力の単位: 1 N/m2 = 1 Pa (パスカル) • 例 • 標準大気圧:1013×102 Pa (102 Pa=ヘクトパスカル) – 手のひらサイズ(100 cm2 = 1×10-2 m2)に加わる力:1013 N – 1 cm2に加わる力: 約10N=約1kgの物体の重力 – 水柱で高さ10 m 静力学の基礎 15 例題 • つり橋のメインケーブル の形が放物線に近い形と なることを導け たるんだ電線の形を 定める式を導け 静力学の基礎 16
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