13.人工衛星による観測1:軌道

13.人工衛星による観測1:軌道
レポート課題
1.人工衛星の軌道を決める2つの力は?
2.軌道高度700kmで円軌道を描く衛星は
何時間で地球を1周するか?
3.GPS衛星の周期は何時間か?
4.準天頂衛星はどのような軌道を周回して
いるか?
5.太陽同期軌道とはどのような軌道か?
■ 人工衛星が落ちてこない理由
人工衛星の軌道
万有引力と遠心力の釣り合い
Mm
2
= mω r 遠心力
万有引力 G 2 =
r
G: 万有引力定数 = 6.67259×10-11 m3s-2kg-1
2π
角速度 ω =
(T:周期)
T
T =
4π 2 r 3
GM
P2
P1
万有引力
地球
質量M
遠心力
角速度 ω
人工衛星
質量m
𝑇𝑇 ∝ 𝑟𝑟 2/3
加速度=P2-P1=rω2
P2
P1
ω
■ 人工衛星は地球から遠いほどゆっくり周回する
静止軌道衛星
30
GPS
地球観測衛星
静止軌道衛星
24
24
周回周期(時間)
T
地球
地球と人工衛星の相対距離
18
GPS
12
𝑇𝑇 =
6
1.8
周回周期(時間)
0
1.7
0
地球観測衛星
1.6
10000
4𝜋𝜋2𝑟𝑟 3
𝐺𝐺𝐺𝐺
20000
地上高度(km)
ISS
1.5
1.4
0
200
400
600
地上高度(km)
800
1000
ISS (International Space Station)
国際宇宙ステーション
30000
r
40000
36000
■ 地球の大きさと衛星軌道の大きさの比較
宇宙エレベーター
宇宙エレベーター
静止軌道
(36,000km)
T=23h56min
GPS軌道
(20,200km)
T=11h58min
(30個)
準回帰軌道
(700km)
T=90min
地球
(r=6400km)
■ 衛星軌道と太陽系の惑星の軌道は類似
太陽系惑星の軌道
1000
海王星
100
天王星
G
Mm
= mω 2 r
r2
公転周期(年)
土星
木星
10
1
金星
地球
火星
水星
0.1
万有引力
Mm
G 2 = mω 2 r
r
0.01
遠心力
M: 太陽の質量、G: 万有引力定数、r: 太陽-惑星間距離
(= 1.989×1030kg )
4π 2 r 3
T=
GM
0.1
1
10
公転軌道半径 (AU)
100
■ 静止衛星からの画像
気象観測衛星「ひまわり」
静止軌道
赤道上空 約36,000 km
→ 24時間で1周
→ 地上から見ると静止
(気象衛星、放送衛星)
2010/10/24 09:00
東経140度
日本周辺を30分毎に観測
MTSAT JMA
■ 静止衛星は赤道上空36000kmを地球の自転と同速度で周回
世界気象衛星観測網(2012)
極軌道
静止軌道
ひまわり7号
ひまわり6号
気象衛星センター http://mscweb.kishou.go.jp/
■ 気象観測では4機の静止衛星で全球をモニタリング
世界気象衛星観測網
METEOSAT-8
MTSAT-1R
GEOA-11
GEOA-12
気象衛星センター http://mscweb.kishou.go.jp/
現在運用中の商用静止軌道衛星(2012/7)
全衛星数:約13000機
■ 日本の上空で24時間監視する衛星
準天頂衛星
3機の衛星を用い,常時少なくとも1機が日本の天頂付近に見える衛星システム
8の字の軌跡の上を3機の衛星が8時間ごとに順次日本上空にとどまる.
GPS衛星と組み合わせることにより,より精度の高い測位システムの構築が可能
準天頂軌道1
準天頂軌道2
静止軌道
準天頂軌道3
みちびき(JAXA, 2010/9打ち上げ)
■ 全球表面を観測する衛星
地球観測衛星 MODIS/AQUA
海表面水温分布(2010/10/13 03:43)
準回帰軌道
地表面に近い軌道(600~900km)
→ 地球周回時間 90~100分
→ 数日後に同じ場所の上空に戻る(回帰)
→ 地表面の細かい観測
(高い空間分解能)
軌道高度 705 km (99分/周回)
回帰日数 16日
観測幅 2330km x 10 km
空間分解能 1km
観測波長帯 36ch (0.4-14.4mm)
■ 可視光の全球画像を得るためには太陽の方向と衛星軌道の角度が同じにする
太陽同期軌道 (毎日、同一時刻に観測)
極軌道
N
N
N
N
地球の公転に合わせて毎日約1度ずつ衛星の軌道面が東にずれる
(365日で地球軌道を一周する)
GCOM-W: 太陽同期準回帰軌道、軌道高度699.6km、軌道傾斜角98.2度
昇交点通過地方太陽時13時30分±15分
海色センサーOCTS(JAXA)の観測概念図
放射冷却部
衛星進行方向
赤外校正用
宇宙空間視野
軌道高度
軌道周期
回帰日数
打ち上げ
800 km
101分
41日
1996/8/17
太陽光校正視野
走査角(±40º)
チルト角(±20º)
20N
赤道付近で太陽光の直接反射光入射
を避ける
40N
60N
地球表面
観測方向
1日で観測した画像
観測幅 1400 km
1日の周回数 14.3回
チルト機構により赤道付近で
観測できない範囲が生じる
4
3
2
1
14 13 12 11 10 9
8
7
6 5
宇宙航空研究開発機構JAXAが運用する人工衛星の軌道
SOLAR-B
(ひので)
EXOS-D
(あけぼの)
GOSAT
(いぶき)
ALOS
(だいち)
DRTD
(こだま)
ETS-8
(きく8号)
ASTRO-EII
(すざく)
月
WINDS
(きずな)
ASTRO-F
(あかり)
太陽
INDEX
(れいめい)
(2010/10/24 22:40)
JAXA衛星情報提供サービス(http://odweb.tksc.jaxa.jp/odds/main.jsp)
■ 複数の衛星の持つ多数のセンサーで同一地点を観測
A-Train(A-Train:The Afternoon Constellation)
太陽同期同時刻観測衛星群(constellation: 星座)
高度:約700km、 昇交点通過地方太陽時:13時30分近傍
複数衛星が地球の同一地点をほぼ同じ時刻(約10分以内)に観測するシステム
現在稼働中の衛星:Aqua(米NASA)、CloudSat(米NASA)、CALIPSO(米NASA/仏
CNES)、Aura(米NASA)、「しずく」(JAXA) (各衛星の位置は厳密に管理されており、A-Train軌道に入
るには、すでに入っている人工衛星を避けて、決められた位置に入る必要がある)
■ GPSは6種の軌道に24個の衛星
GPS (Global Positioning System)
NAVSTAR衛星(USA)
2
1
5
6
3
4
軌道高度 20,200 Km
軌道面: 6種
衛星数:24機(4機/軌道面)
+7機(予備)
衛星constellation(群)を形成
地球表面で常時6機以上視界に入る
4機の情報より位置(x,y,z)と時刻(t)算出
■ データ通信用衛星
ARGOS 衛星システム
衛星: 6機(NOAA, Eumetsat)
太陽同期軌道、850 km
衛星捕捉時間: 平均10分
ARGOS衛星による位置検出
地上からの電波のドップラーシフトより算出
受信周波数 (Fr)
Fr>送信周波数 (Ft)
時間
Fr < Ft
データ通信のための人工衛星
Inmarsat (1979~)
静止軌道衛星
(太平洋、インド洋、大西洋(西・東))
現在 Inmarsat-4 (2006~)
緯度70度以下で通信
Nstar(1996~) NTTdocomo
2機の静止衛星2機( N-STARc(136E)、N-STARd(132E))
Iridium(1998, 2000~)
高度780km , 66機
(当初の計画は77機
77Ir)
次回(補講2回分)
7月29日(金)
1時限
3316教室
13.人工衛星による観測1:軌道
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1.人工衛星の軌道を決める2つの力は?
2.軌道高度700kmで円軌道を描く衛星は
何時間で地球を1周するか?
3.GPS衛星の周期は何時間か?
4.準天頂衛星はどのような軌道を周回して
いるか?
5.太陽同期軌道とはどのような軌道か?