調剤時の“ヒヤリハット”をなくそう 医療法人社団永生会 永生病院 薬剤科 サークル 名 スノーマン 活動期間 平成 12 年 8 月 4 日∼平成 13 年 3 月 3 日 会合状況 会合回数 20 回 1回当たりの会合時間 60 分 発表者 岩井 大 リーダー 畔柳 三恵子 畔柳 三恵子 内田 千恵子 メンバー 岩井 大 高橋 繭子 飯田 達能先生 アドバイザー 《テーマ選定理由》 日々、多くの医療現場において医療事故が多発しており、『安全な医療の提供』を実現するためには、医療 過誤の防止対策が必須であると思われる。当院においても、「くすり」に関連する過誤の占める割合は大きく、 薬剤師の職能が問われる事例も少なくない。 当院での薬剤関連過誤を防止する為に、私たち薬剤師が日常業務において経験するヒヤリとしたり、ハット するような出来事“ヒヤリハット”をなくすことが重要と考え、今回『調剤時の“ヒヤリハット”をなくそう』 に取り組むことにした。 ヒヤリハット内容別件数パレート図 《 調剤ミス原因の現状把握 》 % 100 件数 調査期間 H12.8.14∼H12.9.9 250 80 200 調査対象 薬剤科調剤業務担当薬剤師 60 150 計282件 40 100 調査内容 調剤薬監査時に発見された 32 23 22 16 14 14 平成13年3月3日までに どれくらい 60%減の113件以内にする そ の他 いつまでに 日数 調剤時の『ヒヤリハット』282件を セ ット ミ ス 何を 調剤もれ 《目標設定》 包数 情報 分包機 錠数 0 57 55 49 薬袋 ヒヤリハットの内容と件数 50 20 0 【根拠】 《要因分析》 ヒヤリハットを0にするのは困難と考え、60%減と設定した。 手順 マニュアル が 徹 底 され ていない スタッフ 方法 電話の問い合わせが多い 長時間の同作業 知識不足 秤量 集中力 の低下 情報伝達の不徹底 休憩がない 2薬 集 め 体調不良 定時処方箋囲みの不備 確認不足 思い込み繁雑な処方 診 療 科 ・病 棟 に よ り 使 用 できる薬 剤が 異なる 病棟業務 見落とし をする 繁雑な調剤 粉 on e-d ose 午前中に集中 曜 日により 外来が混雑 倍量処方 業務量が多い 他科受診における 薬 剤 の チ ェック 漏れ 番号札の渡し間違い 患者様 薬が遅い 分包誤差 疑義照会が多い 倍量処方 記載漏れ 外 来 ・入 院 調 剤 が 同 時進 行で混雑 薬袋の手書き 処方箋 の不備 窓口での クレーム 副作用 飲み合わせ 分包機の故障 が多い システム化され ていない 希 望 した 薬と異 なる 問い合わせ が多い 調剤の遅れ 併用禁忌 処方箋の書き方に 統 一性 がない 番 号 掲 示 板 が わ か らな い 公休 薬剤のダブり 繁雑 すい てい る日 が わ からない 人員不足 焦り 文字が小さい 文字が薄い 処方箋が 読 みにくい 委 員 会 ・会 議 に 出 席 ゆとり がない 忙しい ゾンデ 疲労 長期投与の可否 当院採用薬でな い薬剤の記載 な ぜ ヒ ヤ リ ハット は 発 生 す る の か on e-d ose ス ペ ース が 狭 くて スム ー ズ に 仕事が できない 調剤台の不足 医師 施設 「な ぜ ヒ ヤ リ ハ ッ ト は 発 生 す る の か 」の 特 性 要 因 図 作 成 日 H 1 2 . 1 0 . 5 《対策立案》 合計 取 組 み易 さ 効果 ヒ ヤ リ ハット を な く す に は 集中力の低下 を防ぐ 実現性 ※ 8点 以 上 を採 用 意 識 レベル を保 ち、疲 れ に よ る ミス 誘 発 を防 ぐ 業務の流れを見ながら、 5分 以 内 の 休 憩 を取 る △ ○ ○ 8 本 人 に ミス 再 発 防 止 を 自 覚 させ 、緊 張 感 を 保 つ 監 査 で の ミス 発 見 時 に 、 ヒヤ リハ ットレ ポ ー トを 提 出 す る ○ ○ ○ 9 薬 品 棚 ・錠 剤 自 動 分 包 機 の 全 て に 成分量を記入する ○ ○ ○ 9 成 分 量 の 異 なる薬 剤 が 2種 類 以 上 ある場 合 、薬 品 棚 の 薬 品 名ラベ ル を黄 色 にす る ○ ○ ○ 9 同 一 成 分 の 薬 剤 が 2種 類 あ る 場 合 、 保管場所を離す ○ ○ ○ 9 散 薬 瓶 の 棚 に 薬 品 名を貼 り場 所 を明 確 化 ○ △ ○ 8 使用量の少ない散剤を、 購入時の容器のまま使用する ○ ○ ○ 9 事故 防止 対策 マニュアル を作 成する ○ ○ △ 8 当院採用薬での処方の徹底 × ○ △ 6 記 載 漏 れ を な くす × ○ △ 6 倍 量 処 方 を な くす × ○ △ 6 薬剤の長期投与可否の徹底 × ○ △ 6 力価の誤認を防ぐ 処方内容の見 落としを防ぐ 薬剤の誤認を防ぐ マニュアルを 徹底 させ る ミス を 防 ぐた め に 手順 を統一 させる 処方箋の不備 を な くす 医 師 の 意 識 の 向 上 を図 る為 、医 療 技 術 部 長 から 医 局 会 で説 明 してもらう 「ヒ ヤ リ ハ ッ ト を な くす に は 」の 系 統 図 作 成 日 H12.10.20 ○ 3点 △ 2点 × 1点 《対策実施》 対策表 WHAT WHY WHO W HEN W HERE HOW 5分 以 内 の 休憩を 意 識 レ ベ ル を 保 ち 、疲 れ に よ る ミス 誘 発 を 防 ぐ為 スタッフが 10/ 21~ 調剤室で 業務の流 れを見なが らとる ヒヤ リハ ット レポ ー トを ミス 再 発 防 止 を 自 覚 さ せ 、緊 張 感 を保 つ 為 スタッフが 12/ 2~ 調剤室で 監 査 で の ミス発 見 時 に提出する 成分量を 力価の誤 認を防ぐ為 スタッフが 10/ 27迄 に 調剤室で 薬 品 棚 ・錠 剤 自 動 分 包機の全 てに記入す る 薬品棚の薬品名 ラベルを 力価の誤 認を防ぐ為 スタッフが 10/ 27迄 に 調剤室で 成分量の異なる薬剤 が 2種 類 以 上 あ る 場 合 、黄 色 に す る 薬剤の保管場所 を 薬剤の誤 認を防ぐ為 スタッフが 10/ 27迄 に 調剤室で 同一成分の薬剤が2 種類 ある場 合、離す 散薬瓶の場所に 薬剤の誤 認を防ぐ為 スタッフが 10/ 27迄 に 調剤室で 薬 品 名 を貼 り明 確 に する 使用量の 少ない 散剤を 薬剤の誤 認を防ぐ為 スタッフが 10/ 21~ 調剤室で 購入時の容器のまま 使用する 事故防止対策 マニュアル を 手 順 を統 一 させ る為 QCメン バ ー が 11/ 11迄 に 調剤室で 作成する 作 成 日 H12 .10.20 《効果確認》 % 【対 策 前 】 件数 【対 策 後 】 10 0 250 80 200 60 150 20 2 1 3 0 ス 3 ミ 報 ト ッ 数 情 日 剤 調 分 6 れ 機 も 他 包 袋 の そ 数 [ H 1 2 .8 .1 4 ~ 9 .9 ] 6 数 8 00 薬 0 包 1 1 錠 ト 計 82件 2 4 14 セ ッ 14 他 れ ス 16 ミ 数 も 剤 機 報 調 包 情 数 包 分 錠 袋 0 薬 4400 22 数 23 の 32 110 00 0 88 00 60 44 00 20 00 セ 49 そ 55 %% 件 件数 8800 日 57 50 目 標 60% 減 40 計 282件 100 [ H 1 3 .2 .5 ~ 3 .3 ] 作 成 日 H 1 3 .3 .5 【有形効果】 調剤時のヒヤリハットを 282 件から 82 件に減らし目標は達成された。 (達成率 118%) 【無形効果】 ヒヤリハットレポートを提出することにより、 ・自分のミスの傾向がわかり、具体的な防止対策につながった。 ・ミスのもたらす重大さを意識し、自己監査を徹底するようになった。 ・心理状態を意識することで、常に適度な緊張感をもって仕事をするようになった。 【波及効果】 調剤事故報告書・調剤過誤報告書の件数が減った。 《標準化と管理の定着》 標準化と管理の定着 WHAT WHY WHO W H EN W H ERE HOW 標準化 起こる可能性 の あ るミス を 未然に防 ぐ為に スタッフが 朝礼時に 調剤室で 注意事項を 伝達する 標準化 ミス の 再 発 を 防止する 為に スタッフが 朝礼時に 調剤室で 起こった 調 剤 ミス を 発表する 標準化 調 剤 ミス 防 止 の対策を 意識付け する為に QCメンバ ー が 3/ 5~ 調剤室に 標語を掲示 する 標準化 事故防止対策 マニュアルが 実行 され ているか スタッフが 調剤時に 調剤室で 注意 しあ う 管理 事故報告書・ インシデ ントレ ポ ー トが 増えてい ないか QCメンバ ー 月初めに が 調剤室で 確認する 作 成 日 H13.3 .5 《各ステップごとの反省》 各 ステップごとの 反 省 ステップ テーマ選定 今 回 の 活 動 の 反 省 点 と良 か った点 医 療 の 安 全 に 対 す る 社 会 的 関 心 の 高 ま っ て い る 昨 今 、必 要 か つ 有 意義なテーマが選定できた。 現状把握 監 査 時 に ミスを 分 類 す るため 手 間 が か か った が 、スタッフの 協 力 に よ り具 体 的に把 握 できた。 要因分析 問 題 点 を 分 析 検 証 す る こ と に よ り絞 り 込 み が で き 、対 策 立 案 に つ な がった。 対 策 立 案 ・実 施 時 間 は か か ったが 、具 体 的 な 対 策 を 立 案 し実 施 す ることが で き た。 更 に 一 人 一 人 が 客 観 的 に ミス 発 生 時 の 自 分 の 心 理 状 態 を 分 析 す る ことが できれ ば よか った。 効果確認 標 準 化と管 理 の定着 目 標 を達成 することができた。 標 準 化 す ることが できた。 管 理 の 定 着 に より効 果 は 持 続 され て い る ことが 確 認 で きた 。 作 成 日 H 13.3.31 《まとめ》 今回の活動を通して、ミスを防止するためには個人の意識改革とともに、スタッフ間の情報の 共有化と手順の統一化が重要であると感じた。 「人間は必ずミスを犯す」ということを前提に、今後ともミス防止に取り組んでいきたい。
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