Technical News 株式会社 住化分析センター TN143 ●カルべ型熱量計による熱物性の測定 [概 要] おそい化学反応の熱を測定するために、フランス人E.Calvetによって開発、改良された等温熱量計が、 カルべの熱量計 です。 弊社ではセタラム社(フランス)製のC80熱量計を保有しており、反応熱の測定をはじめ、比熱、熱伝導 率、蒸発潜熱などの高精度な熱物性測定に威力を発揮しています。 [方 法] 試料を充填した内筒Aと、外筒BをヒートブロックCで囲み、この間に熱電対T、および、Pを設けます。 Cの温度と容器内温との間に温度差を生じた場合に、それを打ち消すようなジュール熱が加えられ、Tの起電 力を常にゼロにするように作用させます。 Aで発熱を生じた場合には、その熱をTで感知し、ペルチェ効果によって発熱が打ち消されるような電流を Pに流し、熱量計の温度を一定に保つように動作させます。この状況は以下の関係で表わされます。 吸熱の場合 : 反応熱=内筒A内に設けられた電熱器Hのジュール熱 発熱の場合 : 反応熱=ペルチェ効果によって外部に持ち去られた熱 (化学大辞典より) H:ヒーター T:熱伝対 P:熱伝対 A:内筒 B:外筒 C:ヒートブロック 図1 カルベ型熱量計構造図 [特 徴] ・グラムオーダーの試料量で測定するため、測定値に格段の精度がある。 ・混合比率の大きい混合物でも測定することができる。 ・DSC(示差走査熱量測定)では測定できない熱伝導率が、液体、気体を問わず測定できる。 ・試料容器と基準試料容器が 1 対構成となっているため、より精度の高い測定ができる。 比熱 液体試料を5℃昇温するために必要な熱量を測定し、比熱として算出します。温度差が20℃までの範囲で あれば、1 回の測定で3温度水準の比熱を得ることができます。 試料形態 ; 液体 温度範囲 ; 室温∼250℃ 試料量 ; 20ml 蒸発熱、昇華熱 試料を、測定したい温度条件下で一定に保持した後、制限オリフィスを介して真空吸引することによって適 度な速度で気化させ、その際の吸熱量を測定します。 試料形態 ; 液体または固体 温度範囲 ; 室温 200℃ 圧力 ; 最高10×105 Pa(G) 試料量 ; 20ml 熱伝導率 同軸円筒間(図1のB-A間)に試料を充填し、外筒Bの周りのヒーター線からジュール熱を発生させます。 この熱は図2に示すように、熱量検出器を通過するもの(W1)と、試料を経由して内筒を流れるもの(W2) に二分されます。それぞれの熱流から、 試料を経由して内筒に伝達されない熱量 を算出します。 試料形態 ; 液体または気体 温度範囲 ; 液体試料:室温 200℃ 気体試料:室温 80℃ 試料量 ; 液体試料:50ml 気体試料:200ml 拡 大 図 図2 熱伝導率測定における熱の流れ 作成:愛媛(TY9906) 4-X0-(5) 分析・測定・調査の総合分析会社 株式会社住化分析センター これ以外にも技術資料をご用意しています:http://www.scas.co.jp/analysis/ 当社ホームページはこちらから:http://www.scas.co.jp/
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