別紙 - ドイツ銀行グループ

平成 24 年 8 月 7 日
関係各位
ドイツ証券株式会社
法人関係情報の管理態勢に関する報告書の提出について
ドイツ証券株式会社は、日本において大型公募増資に係る法人関係情報の管理に関する
問題が相次いだ事態を受け、平成 24 年 7 月 3 日、金融庁より法人関係情報の管理態勢に関
する点検の実施とその結果の報告を求められました。弊社におきましては、コンプライア
ンス統括部の主導のもと監査部も参画し、広範にわたる調査・点検を実施し、調査報告書
を金融庁に提出いたしましたので、ご報告いたします。
この度の点検は、(1)社内組織体制、(2)法人関係情報の管理状況、(3)法人関係情
報の管理に関する課題および取組みを主な対象としました(別紙参照)。
調査の結果、弊社としましては、社内情報管理態勢の強化に向けてこれまで取り組んで
きた施策が有効であったと認識しておりますが、改善する余地があると考えられる点も確
認されました。従いまして、弊社では、今後社内研修の拡充等に取り組み情報管理の重要
性を周知徹底するとともに、継続的に自主点検・調査を実施し、情報管理態勢のさらなる
強化を進めていく所存です。
ドイツ証券株式会社は、グローバルにビジネスを展開するドイツ銀行グループの在日証
券業拠点として、国際的に高い基準に従った効果的なコーポレート・ガバナンスを導入・
実践しています。法人関係情報管理においても全世界で情報を一元管理するためのシステ
ムを共有し、世界統一基準のチャイニーズ・ウォール(情報隔壁)で管理するなど、グロ
ーバルで統一した枠組み・基準のもとで管理を行っています。それに加えて、日本におい
ては国内法令の遵守にも力を注ぎ、社内規定を強化することでさらなる管理の厳格化を図
っています。
弊社は、この度の貴重な機会を今後に活かすことで、日本の資本市場の信頼回復と発展
に引き続き貢献していきたいと切に願っております。お客さまをはじめ関係各位には、引
き続きご指導・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
以上
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(別紙)
大型公募増資に係る法人関係情報の管理に関する問題が相次いだ事態を受け、当社におい
ては、コンプライアンス統括部を中心として、広範な調査を行いました。今般、当該調査
結果を作成しましたので、下記のとおりご報告します。
(1)
社内組織体制
当社においては、下記の社内組織体制を整備し、法令等を遵守しています。特に、法人
関係情報の管理については、営業部門を法人関係情報を取り扱う部門と取り扱ってはいけ
ない部門に厳格に分離しています。また、コンプライアンス統括部を中心とする管理部門
による営業部門に対する牽制や助言、監査部による事後検証に基づき、当社経営陣は、体
制整備や個別事案に能動的に取り組んでいます。
1)
投資銀行部門・法人営業部門の体制
①
法人関係情報を取り扱う営業部門(所謂プライベート部門)
投資銀行部門においては、主に、M&A 等の助言業務および有価証券の引受け業務
を行っています。
②
法人関係情報を取り扱ってはいけない営業部門(所謂パブリック部門)
法人営業部門においては、主に株式や債券、為替等の売買を取り扱っています。
法人営業部門の役職員が法人関係情報を受領した場合には、社内システムに登録し、
各種の取引制限を受けることが義務付けられています。
2)
管理部門の体制
コンプライアンス統括部は、法務部及び経理部等の他の内部管理部署と連携して内部管
理及び法令遵守状況の管理を中心に業務を行っています。特に、法人関係情報の管理につ
いては、コンプライアンス統括部が以下の役割を担っています。
・ チャイニーズ・ウォ―ルの整備及び実効性の確保
・ リサーチ・レポートの審査
・ 役職員の個人証券取引の売買審査及び管理
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3)
内部監査部門の体制
監査部は、年間の監査計画に則り監査を実施します。監査を通じて認められた問題点は、
監査報告書として経営陣に報告されます。直近では、法人関係情報の管理に関する以下の
監査を実施しました。
・ 投資銀行・引受部門の業務の適切性(平成 24 年 6 月報告)
・ 情報管理・データ漏洩(平成 24 年 6 月報告)
4)
代表取締役・取締役会の法令遵守に関する取組み
当社の代表取締役・取締役会は、以下のコミッティー(委員会)等を通じて、法人関係
情報に関する事案も含めて、積極的かつ能動的な問題事案の把握・解決を行っています。
①
リーガル・コンプライアンス・オーディット・アンド・リージョナルマネジメント会議
法務部、コンプライアンス統括部、監査部が経営陣に月次で報告する会議です。
②
インシデント・マネジメント・コミッティー
当社副社長を議長として月次及び重要事案発生時に開催され、役職員の不適切行
為について、解決策を策定します。
③
オペレーティング・コミッティー
当社副社長を議長として月次で開催され、法令遵守、内部統制、業績動向、経営
資源の配分等について協議します。
(2)
1)
法人関係情報の管理状況
法人関係情報の取得及び管理の流れ
法人関係情報の管理は、投資銀行部門が法人顧客等のお客様に対して増資や M&A 等を提
案するところから始まります。当社の提案にお客様が関心を示されると、当該案件は法人
関係情報として登録され、その時点から法人関係情報が厳格に管理されます。詳細につい
ては別添資料「増資案件の流れ」をご覧ください。
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2)
法人関係情報管理のための具体的な枠組みと諸施策
ドイツ銀行グループでは、全世界で法人関係情報を一元管理するため、グループ全体で
共有する「案件進捗管理システム」に、法人関係情報を登録します。登録された法人関係
情報は、チャイニーズ・ウォールで管理されます。このシステムに登録された役職員が行
った関連取引は全て自動的に監視システムで把握されます。
チャイニーズ・ウォールとは、業務上法人関係情報を取り扱う投資銀行部門を中心とす
る所謂プライベート部門と業務上は原則として法人関係情報を取り扱ってはいけない営業
部門および調査部門を中心とする所謂パブリック部門との間に組織的・物理的・システム
的な情報隔壁を設ける施策です。両部門の指揮命令系統(レポーティング・ライン)は分
離され、執務室も隔離された場所に配置されています。
プライベート部門とパブリック部門との間の法人関係情報の伝達は、適切な承認手続き
を経たものを除き禁止されています(この手続きをウォール・クロスと言います)。ウォ
ール・クロスは、投資銀行部門における案件を実行するためにパブリック部門の役職員の
知識や技術が必要な場合に、限定的に許可されます。ウォール・クロスの情報は案件進捗
管理システムに登録されます。ウォール・クロスされた役職員が行った関連取引は全て自
動的に監視システムで把握されます。アナリストは、関連する発行体についてリサーチ・
レポートを書くことが禁止されます。
このほか、リサーチ・レポートは市場価格に影響を与える可能性が高いため、調査部に
おいては、アナリストが、リサーチ・レポートの発表タイミングや投資見解を事前に漏洩
することを禁止しています。また、調査部門と営業部門のレポーティング・ラインや執務
室を分離することにより、情報の漏洩を防止しています。
また、引受部門等の業務に関して行う企業等への提案活動にアナリストが関与すること
も禁止されています。
3)
実効性を確保するための具体的な工夫
投資銀行部門内で法人関係情報が不適切に拡散されないように、以下の諸施策を導入し
て管理意識を高める工夫をしています。
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・ ドイツ銀行グループでは、案件登録(ディール・ログ)、ウォール・クロス、個
人証券取引等の社内手続を怠った役職員に警告(レッド・フラグ)を与え、これ
が一定回数を超えると報酬の減額や昇進の差止が行われる制度を導入しています。
・ 投資銀行部門において、ディール・ログすることを怠った役職員については、業
績考課の際に当該案件が対象から除外されます。
・ 投資銀行部門の全役職員が参加する連絡会議においては、個別案件の情報は共有
しない運営をしています。参加者限定の会議等においても、個別企業名を使用せ
ず、案件コードを使用しています。
・ 投資銀行部門において新たな法人関係情報が入手された場合には、コンプライア
ンス統括部が「法人関係情報入手確認書」を当該案件の担当者に送付し注意喚起
しています。
・ コンプライアンス統括部は不正取引に関する定期・不定期の研修を全役職員に対
して実施しています。特に、法人関係情報については、チャイニーズ・ウォール
だけに依存した管理は脆弱であるという認識の下、個々の自己規律及び相互牽制
の必要性を強調しています。
・ コンプライアンス統括部は、法人関係情報を有する銘柄を「注意銘柄リスト」に
登録し、パブリック部門の役職員に検知されないように取引等を監視しています。
・ 当社の役職員が個人証券取引を行う際には、コンプライアンス統括部が事前に取
引内容を審査し、法人関係情報を保有していないことを確認しています。
・ 法人関係情報を受け取る役職員の数を最小限にし、またそれぞれの役職員が法人
関係情報を有する期間を業務上可能な限り短くするよう、コンプライアンス統括
部においてウォール・クロスの申請を個別に精査しています。
・ コンプライアンス統括部において、投資銀行部門、法人営業部門および調査部門
の役職員の電子メールを常時監視するとともに、特に法人営業部門については
Bloomberg のチャットの月次サンプル調査も実施しています。
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・ 投資銀行部門等のプライベート部門から法人営業部門等のパブリック部門へ人事
異動がある場合には、電子メールの削除やプライベート部門へのアクセスの遮断
を徹底し、コンプライアンス統括部がこれを検証しています。
(3)
法人関係情報の管理に関する課題及び取組み
今般の点検においては、当社としましては、社内情報管理態勢の強化に向けてこれまで
取り組んできた施策が有効であったと認識しておりますが、改善する余地があると考えら
れる点も確認されたため、法人関係情報の管理を強化するための諸施策を検討し、実施し
ます。
具体的には、以下の施策を検討し、適宜実施していきます。
1)
営業部門における法人関係情報を示唆する情報の管理の強化
法人営業部門において法人関係情報を入手した役職員は、コンプライアンス統括部に報告
し、法人関係情報であるかどうかの確認を行うことが義務付けられていますが、今後は、
法人関係情報を示唆する情報についても、この報告・確認義務を課すこととします。
2)
営業担当部署におけるチャット機能の制限
顧客や同業他社との情報交換等が適切に行われるように、その主要な手段である Bloomberg
チャットの利用についてガイドラインを策定し、利用者を承認された者に限定するほか、
法人関係情報等の書き込みの禁止を明確化します。
3)
電子メールのモニタリングの強化
当社では、コンプライアンス統括部が電子メールの常時モニタリングを行っていますが、
今回の点検の結果も参考として、対象部署や役職員及び対象項目を見直し、より実効性の
あるモニタリング態勢を構築します。
4)
ウォール・クロスされた役職員に対する周知徹底
ウォール・クロスされたパブリック部門の役職員に対し、コンプライアンス統括部より情
報管理にかかる留意事項をメール送付しており、適宜、口頭等で補足することとしていま
す。また、ウォール・クロスされた役職員が当該留意事項を読了したかを確認するプロセ
スを導入しました。
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5)
アナリストの規律の策定
当社での事例は認められませんでしたが、他社においてアナリストに対して法人関係情報
を詮索する行為があったことが指摘されています。これを参考に、当社においても、法人
営業部門の役職員がアナリストから法人関係情報を詮索する行為を禁止するとともに、ア
ナリストがそうした照会に対して毅然と対応すべきことを謳った行動規範を作成します。
6)
深度のあるコンプライアンス研修の実施
当社では、全役職員に対して年 1 回以上、法人関係情報の取り扱いを含めた不公正取引防
止に関する社内研修を行っています。今回の点検の結果を受け、今後は、市場関係者等か
ら得た情報であっても、法人関係情報を示唆する情報については、コンプライアンス統括
部へ報告すべき旨を強調し、周知徹底する予定です。
7)
顧客接待等の費用管理の強化
当社では、会社が負担する接待については、厳格な承認手続きがありますが、自費による
接待等についての手続きが不明確でした。特に大きな問題は認められなかったものの、今
後は、接待等について手続きを精緻化します。また、コンプライアンス統括部及び監査部
により、年末等にリスクベースでの点検を適宜行います。
8)
情報管理に関する確認の強化(採用時)
従前より、前職の営業秘密等の持込み等を禁止する誓約書を採用時に徴求していますが、
この誓約書に情報漏洩等の不適切な行為の禁止を盛り込むこととします。
9)
通話録音保存期間の延長
顧客に対する通話記録は、
現在、
取引の事後確認の目的で 10 営業日の間保管していますが、
これを延長し、適宜モニタリング業務に活用することを検討します。
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別添資料 増資案件の流れ(法人関係情報の取得及び管理の流れ)
上場会社の
お客様へ提案
する時点
プライベート部門
法人関係情報の
登録等の管理
左記提案に
お客様が関心を
示された後
当社に対する主幹事証券指名後
公表日の2週間前から公表日まで
提案を行う担当者の間でNeed To Knowの原則による情報制限を徹底
チャイニーズ・ウォールによる情報遮断の徹底
ディール・ログ(法人関係情報の登録)の徹底とディール・ログ情報に基づくコンプライアンスによる情報の流れの監視
cjhcacaaccacjacceee
プライベート部門内の会議等で企業名使用の禁止(案件コードの使用)の徹底
コンプライアンスが発する「法人関係情報入手
確認書」による案件担当者への注意喚起
コンプライアンス
統括部による
モニタリング
コンプライアンスによる注意銘柄の取引の監視(役職員の個人証券取引を含む)
コンプライアンスによるリサーチ・レポートの監視
コンプライアンスによる電子メールの査閲
発行会社に
対する注意喚起
上場会社の役員が自社の公募増資に係る
インサイダー取引を行った場合には、主幹事
証券として引受けを行えない旨を注意喚起
パブリック部門
法人関係情報
の伝達の管理
(ウォール・クロス)
ウォール・クロス役職員へ守秘義務や有価証券取引制限等を記載した「ウォール・クロス・メモランダム」をコンプライアンスから送付
ウォール・クロスによる法人関係情報の受領者の数の最少化及び保有期間の可能な限りの短縮化
役職員が担当案件以外の法人関係情報を入手した場合の「法人関係情報報告書」によるコンプライアンス報告の徹底