小田急電鉄株式会社 ショッピングセンター テナント同士をつなげて 地域に一層愛される施設へ ∼小田急電鉄 本厚木ミロード∼ 小田急電鉄株式会社 本厚木ミロード 神奈川県厚木市泉町1-1 ﹁ミロードに来ている﹂という という。 ﹁個 別 の テ ナ ン ト に 対 す る ご 意 見 からすれば老 舗 ともいえるが、現 在 である本 厚 木ミロードは、その歴 史 域で 展 開 している。中で も 第一号 店 と新 百 合ヶ丘、そして本 厚 木の3 地 開 す る 商 業 施 設﹁ミロード﹂ は、新 宿 小田急電鉄が自社鉄道沿線に展 も 身 の 引 き 締 ま る 思 い が し ま す ね﹂ ミロードの強みだと思う反面、いつ へのロイヤルティが高いのは本厚木 識で来店される方が中心です。施設 より﹃ミロードに来ている﹄という意 あり、個別の店舗に来ているという え れ ば い い か ら﹄と 言 わ れ る こ と も ロイヤルティを保つ努力 約180店が入居する施設内はデベ と、今村氏は話す。 で も﹃ミ ロ ー ド さ ん か ら 伝 え て も ら ロッパーである小田急電鉄の営 業 担 テナントのサポートを行う小田急 幅広い顧客層の心をつかんでいる。 合、それが施設全体の評判を損なう ントでクレームなどが発生した場 うことは、言い換えれば個別のテナ 当者を中心に常に改善活動が行われ、 施設へのロイヤルティが高いとい 電鉄株式会社 本厚木ミロード 営業 ことになりかねない。そこで、同施 新宿から小田急線急行で約1時間、東京郊外の主要な商業地区と 担 当 マ ネ ー ジ ャ ー の 今 村 裕 司 氏︵写 設では以前から、テナントとの情報 してオープンしたのが本厚木ミロードだ。1982年のオープン以 して栄える本厚木。そこで、小田急電鉄が手がける初の商業施設と 来、その大半が地元のお客様というほど地域に親しまれている。厚 真・左︶に よ る と、同 施 設 に 来 店 す 具体的には、まずは日頃のコミュ い支持の秘訣は、 ﹁お客さまに上質な商品と心地よい空間を提供す 辺に在住。〝自分の街のミロード〟と ニケーションを欠かさないこと。約 審査基準は協 会の設けるものにな らい、また審査員も協会のコンテスト 店長に事実を確認し、必要に応じて テナントの本部とも連絡を取って再 発防止に努めている。また、テナン トへもお客様との間で何か起きた場 合 に は 必 ず 報 告 し て も ら え る よ う、 常に声をかけているという。 また、テナントの従業員向けの研 望が挙がることもあるそうだ。4月 プレイングの様子を見てほしいと要 ベロッパー側のスタッフに、ロール コンテストを控えた時期には、デ 参加者は順調に伸びているという。 招いている。今年で4回目になるが、 など、さまざまな 業 種から審 査員 を に 加 えて、テナント 本 部の営 業 部 長 タッフのモチベーション向上ととも る よ う に し、店 舗 ス を使って優秀者が分か しながら、バッヂなど る。コンテストを紹介 する計画を立ててい してお客様にアピール 施設のCS向上施策と て、このコンテストを 修制度も以前から設けている。接客 に入社したばかりの社員から経験を に販促にもつなげる意向だ。 企業も異なる人に見ら つながりを強化する テナント同士の とっていい刺激になっ れ る こ と は、参 加 者 に ﹁同 じ 接 客 業 で も、キ ャ リ ア も 所 属 積んだ店長まで、参加者層は幅広い。 で審 査を務める専 門 家に依 頼。それ お客様からテナントに意見があれば いう意識があるためか、代表電話へ 感想などを伝えてくださる方も多いという。 180店舗あるテナントを、物販や の他にも、管理事務所にはお客様から少なく の要望の声や、インフォメーション とも1日数件の電話が入る。販促施策に対する 飲食といった分野ごとに8人の営業 う難しい課題に日々取り組む最中だ。 に設けている〝ご意見ボックス〟への 本厚木ミロードの担当になった。 「現状のロイヤ が協会の関東甲信越大会に進んだ。 ルティをどう維持し、引き上げていくか」 とい 担当者で分担しているが、たとえば 共有に努めている。 か﹂と い う 前 向 き な 発 想 で C S に 取 どお客様の要望水準が高まり始めた4年前、 投稿が、同社の他施設に比べて多い るお客様のうち、その大半は厚木周 営業担当マネージャーの今村裕司氏は、ちょう るために存在する﹂ とするデベロッパーのスタンスにありそうだ。 の基本から店長向けのマネジメント り組むようになってきたという。 稿されるまでに至ったのは相当なこと」 (今村 2 つ 目 の 取 り 組 み﹁店 長 幹 事 会﹂ 取り、常に改善を続けている。30 周年の節 まで、年間のプログラムを組んで実 氏) と捉え、真剣に向き合う。ご意見ボックス ていると思います﹂。 目を来年に控え、さらにお客様に愛される施 こうした風潮の中で、同施設では 稿される。 「お客様が感じられただけでなく、投 は、各フロアの店長の代表に、テナ 施設内の様子。最近増えている設備に関する 施しており、施設全体のCSのベー まず、接客ロールプレイングコン 写真左:ご意見ボックスには様々な意見が投 今後の取り組みとし 要望や、細かなサービスに対する期待を汲み 前述した日頃の情報共有と研修制度 向上を目的としたテナント向けの取 スアップを目指している。 ロールプレイングコンテストで り組みを模索、強化している。大き に加えて、この4∼5 年の間にCS 接客力向上 く分けて、︵1︶接客ロールプレイン 厚木に限らず都心の施設でもそうか テ ス ト は、日 本 シ ョ ッ ピ ン グ セ ン グコンテスト、︵2︶店長幹事会、︵3︶ もしれませんが、たとえば以前は少 ター協会が実施するコンテストの予 今村氏によると、特にこの4∼5 なかった休憩スペースやトイレなど 選という形で、施設内のテナントに 覆面調査、の3つの取り組みが挙げ のハード面に対する要望が増えまし 勤務するスタッフから 年で、お客様の施設に対する期待値 たし、最近では空調や明かりなどの 参加者を募って独自に られる。 節電状況についてもご意見をいただ 行 っ て い る も の だ。今 や要望の水準が高まったそうだ。﹁本 き ま す ね﹂。そ れ に 伴 っ て、管 理 事 年は180 店舗から 人 が 参 加 し、上 位 3 名 copyrights. MS&Consulting 設になるべく CS 改善に注力している。 写真右:小田急電鉄株式会社 本厚木ミロード 務 所 で も﹁不 満 点 の 解 消﹂で は な く ﹁よ り ご 満 足 い た だ く に は ど う す る 42 http://www.honatsugi-mylord.com/ HON-ATSUGI Shopping center Feature articles ショッピングセンター 特集 ドとの関係性はより深まる。 ナント同士、またテナントとミロー 一緒に企画を行うことによって、テ 行っていたが、こうしてテナントと 促施策に反映するための幹事会を などの情報を共有し、施設全体の販 セールの結果報告やお客様の雰囲気 で展開している。以前からバーゲン の幹事も兼ねてもらおうという試み ント同士が交流できる従業員懇親会 という意識です﹂。 置としては、同じ目線で〝横にいる〟 りますが、テナントに対する立ち位 ます。私たちは施設の所有者ではあ をつなぐ存在でありたいと考えてい 組みづくりを通して、テナント同士 促したり、懇親会のような交流の仕 しては、日々の声かけで情報共有を 益なものになる。﹁デベロッパー側と 士で共有できれば、それは非常に有 たクレームの内容などをテナント同 るように、プロの目線では分からな 投書箱に多種多様な意見が寄せられ の視点では、インフォメーションや いということですが、実際のお客様 のです。つまり、売り手の視点に近 がやはり上位に来ることが多かった では、私たちが上位だと想定した店 までのプロの覆面調査員による調査 CSの状況を把握することだ。﹁これ でカバーできていなかった視点から この変革の一番の目的は、これま から、盛大だ。テナント同士の交流 ウリング場を貸しきって行うという ボウリング大会を実施している。ボ 全体の一体感を生み出しているとい ションを活性化させ、ひいては施設 勢が、テナント同士のコミュニケー こうした管理事務所の一貫した姿 やスタッフを表彰するなど、CS向 調査を行い、また高水準のテナント ようにプロとお客様の視点の両面で だと考えています。視点が偏らない いお客様の気持ちが見えてくるはず 具体的には、従業員懇親会として をメインにしているので、2∼3店 えるだろう。 プロの調査にMSRを加え 昨年は、前述のテナント従業員向 つなげていきたいです﹂。 上と同時にモチベーション向上にも 舗から6人1組でチームを組むよう という。 幅広い視点でCSを把握 にしている 商業施設 の 分、店 舗 い も の。そ かなか少な ることはな 流が生まれ ト同士の交 いてテナン の業務にお 者による覆面調査を導入する。特に、 ロンやエステなどの店舗に一般消費 らは、飲食店や食品売り場、ヘアサ による調査を続けてきたが、今年か どの店舗を中心にプロの覆面調査員 いる。数年間、アパレルや化粧品な に、3つ目の覆面調査を位置づけて る客観的なCSの指標とするため さらに、これらの取り組みに対す たことで学習効率が上がり、時間が 知識の習得を目指す。内容が絞られ らご意見の対応まで幅広いスキルと 客力、店長向けではマネジメントか 新 入 社 員 向 け で は1 年 で 基 礎 的 な 接 3 月 の 年 間 で カ リ キ ュ ラ ム を 組 み、 クラス設けている。いずれも4月∼ に内容と開催時間を分け、現在は2 ていたが、新入社員向けと店長向け は全参加者に同じ内容で研修を行っ お客様にとっての一番を目指した 枠 を 超 え て チ ー ム ワ ー ク を 発 揮 し、 がたくさんありますが、テナントの い は、﹁ま だ ま だ 改 善 が 必 要 な 課 題 厚木ミロード。その原動力となる思 の改善を同時並行で展開している本 お客様の変化に伴って、いくつも けの研修制度も改善を図った。以前 運営の効果 本厚木ミロードに来たことがない人 で は、日 頃 的な取り組 取材▼西山 博貢・文▼高島 知子 い﹂との言葉に表れていた。 来を促して各店のファンを増やす意図もある。 分かれたことでテナントのシフトも ベーションを向上させる好機になっている。 の意見を注視したい、と今村氏は話 テナント同士の情報共有に加え、スタッフ同士の店舗の行き み や、発 生 横のつながりができるようにチーム編成などを工夫している。 大会に推薦することで、参加者だけでなくテナント本部のモチ 組みやすくなり参加しやすくなった ストにならい、独自のコンテストを実施。上位入賞者を協会の す。 という。 年1回実施している従業員懇親会、ボウリング大会の様子。 日本ショッピングセンター協会の接客ロールプレイングコンテ してしまっ copyrights. MS&Consulting Shopping center Feature articles では、テナントに対する意見はインフォメー インフォメーションの様子:本厚木ミロード ションに集まることがほとんど。そのため、 インフォメーションとの連絡は欠かさない。
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