法学書院「行政法がわかった」

法学書院「行政法がわかった」
第 1 部 行政法の基礎
1.行政法とは
1
行政とはなんですか
1はじめに
(1)行政とは…
「行政機関が行う一切の作用である」=形式的意味の行政
内容・性質から行政とは何かを問う =実質的意味の行政
2実質的意味の行政
実質的意味の行政
消極説…「行政とは、国家作用のうち立法と司法を
除いたものをいう」
積極説…「法の下に法の規制を受けながら、現実
具体的に 国家目的の積極的実現をめざし
て行われる全体として統一性をもった継続
的な形成的国家活動」
◇国家権力の歴史的経緯
①近代以前の国家…行政は君主の独占
※絶対専制国家
②市民による革命…君主の権力濫用に対する不満
※フランス革命(1789)
③近代国家の誕生…国家権力の三権分立性の導入
※フランス人権宣言 16 条
「権利の保障が確保されず、権力の分立が定められていないすべ
ての社会は、憲法を持つものではない。
」
④現代国家への発展…市民を主人公(国民主権)に、より完全な民主主義
へ
1
行政の定義
行政
形式的意味の行政……行政機関が行う一切の行政作用
消極説(控除説)
実質的意味の行政
積極説
※消極説:行政とは、国家作用のうち立法と司法を除いたものである。
※積極説:行政とは、法の下に法の規制を受けながら、現実具体的に国家目的
の積極的実現を目指して行われる、全体として統一性を持った継続
的な形成的国家活動である。
中世の行政概念
近代の行政概念
専制君主
支配
抵抗
市民
革命
主権の行使
市民
国家
(権力)
(権力)
(権力)
2
2.
2 行政にはどのような種類があるのですか
行政活動
①規制行政
②給付行政
③私経済行政
①規制行政……私人の権利・自由を制限することを通じてその目的を達成する
行政活動
②給付行政……国民の福祉を積極的に向上・増進するためになされる行政活動
③私経済行政…直接公の目的の達成を図るのではなく、私人と同じ立場で行わ
れる行政活動
行政活動
①権力行政
②非権力行政
①権力行政……行政権が私人に対して命令・強制するなど優越的な立場で行う
行政
②非権力行政…私人と対等な立場で行う行政
行政活動
①侵害的行政
②受益的行政
①侵害的行政…私人の権利義務を奪ったり、制限したりする行政
②受益的行政…私人に対し何らかの権利利益を与える行政
3
3
行政法という法律はあるのですか
法令による行政に関する紀律を総称して「行政法」と呼ぶ
4
行政法にはどのようなものがありますか
①行政組織法
②行政作用法
③行政救済法
5
行政法の法源としてはどのようなものがありますか
行政法の法源
行政の組織・作用に
成文法…明文化されている法
関する法の存在形式
不文法…明文化されていない法
成文法中心主義
○ 内容が専門性を持つ高度な規律を含む
○ 国民に予測可能性を保障する必要
○ 行政権の発動には、国民代表会議における根拠が必要
→民主的正当性の担保
4
行政権の第一次的法源は、常に法律または条例に求められる
法源の意義の流れ図
国民
議会
議 会で決め たことが 法源と な
り、行政を拘束する
法源(法律以外にもあり:下記参照)
行政主体(国または公共団体)
各種の行政活動
法源の種類
(1)成文法源
①憲法>②法律>③命令
④条約
>⑤条例
>⑥規則
(2)不文法源
①慣習法…慣習が法とみなされたもの
②判例法…判決の積み重ねにより法的地位を得たもの
③条理法…理論
5
2.行政法の基本原理
6
法律による行政の原理とは何ですか
法治主義
法律による行政の基本原理
①法律の優位
②法律の留保
①法律の優位…行政作用は法律に違反するものであってはならない
②法律の留保…行政作用は法律の根拠にもとづかねばならない
7
法律の留保の範囲について説明してください
1はじめに
2法律の留保の範囲
a.侵害留保説…国民の権利・自由を制限したり、新たに義務を課すような行政に
ついては法律の根拠を必要とするが、受益的な行政活動や国民
の権利義務には直接関係のない活動の場合には、理論的には法
律の根拠は必要ない
8
行政法の一般原則とされるものにはどのようなものがありますか
1行政法の一般原則とは
行政の活動については、法の一般原則が適用される
○ 信義誠実の原則
6
○
○
○
○
○
○
権限濫用禁止の原則
比例原則
平等原則
説明責任の原則
透明性の原則
必要性・効率性の原則
2信義誠実の原則・権限濫用禁止の原則
◇ 民法1条2項「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなけれ
ばならない」→行政計画など
◇ 民法1条3項「権利の濫用は、これを許さない」→行政裁量など
3比例原則
目的に対する手段の合理性→(憲法原則:LRAの原則)
4平等原則
憲法14条→行政裁量など
5その他の原則
○説明責任(アカウンタビリティ)の原則
→行政機関情報公開法1条、行政機関政策評価法1条
○透明性の原則
行政の過程が国民に明らかとなることを求める →行政手続法
(公正の確保と透明性の向上)
○必要性の原則
行政がその政策に関与することに合理的な理由があるかどうか
(=補完性の原則)
○効率性の原則
政策効果と費用の効率(コスト・パフォーマンス)
→行政機関政策評価法3条
7
3.行政上の法律関係
9
行政上の法律関係とはなんですか
行政法の規律の対象…行政上の法律関係
権力関係(本来的公法関係)
公法関係
行政上の
法律関係
非権力関係
管理関係(伝来的公法関係)
私経済関係
→ 私法関係
※ 権力関係については公法の規定が適用
※ 管理関係については原則として私法の規定が適用
※ 私経済関係については私法の規定が適用
10
公法と私法の区別について説明してください
区分に関する学説
(1)主体説…法律関係の双方または一方が行政主体であるときに適用される法を
公法とする考え方
※ 行政主体…行政を行う権利と義務を持ち、自己の名と責任で行政を
行う団体(国・地方自治体など)
※ 行政客体…行政主体から公役務の提供を受ける者(国民・住民)
(2)利益説…利益に関する法と公益に関する法を区別し、後者を公法とする説
(3)権力説…法律関係の当事者間に命令・服従の関係があると定める法を公法と
する説
(4)折衷説(通説)…上記[9]を参照
8
11
公法と私法を区別する実益はありますか
(1)行政形態の決定
日本国憲法では、行政裁判所は廃止
ただし、適用される法の性質の相違により、訴訟システムが二分
◇ 行政事件訴訟法…公法上の法律関係に関する訴訟
◇ 民事訴訟法…私法関係に関する訴訟
行政事件訴訟法の適用を受けるべき事件の範囲を明らかにするために、そ
の基準となる公法・私法の区分が必要とする説が根強い
(2)法適用の決定
具体的な事件について、適用されるべき法を決定する
例:国又は地方公共団体の金銭債権
①公法上の金銭債権の場合
会計法 30 条または地方自治法 236 条が適用され 5 年で時効
②私法上の金銭債権の場合
民法 167 条が適用され、原則として 10 年で時効
(3)区分に対する批判
①区分に意義と実益を認める説は、行政権が国民に対して優位であるとの
立場にある
⇒国民主権主義の下では、行政の優位性は、法律の範囲で限定的に
認められるのみ
②現代の多様化する行政活動においては、権力行政と非権力行政の領域が
判然としがたくなっている
⇒明確な区分は無意味とする見方もある
※公法としての行政法の成立
(1)近世絶対主義国家
君主が法の拘束を受けることなく、強大な行政権を行使
⇒公権力を発動して、国民の自由や財産に制約
9
(2)市民革命
市民が政治の場に自分たちの代表を送り、議会を組織
⇒議会で法律を制定し、君主の干渉を制限
⇒法による行政(法治行政)の確立へ
⇒行政法(公法)の誕生
(省略:P22−「図表…」
)
12
特別権力関係とはなんですか
◇特別権力関係の定義
公法上の特別の法律原因に基づいて成立し、公法上の目的に必要な限り
で、一方が特殊な包括的支配をし、他方がこれに服することを内容とす
る関係
例 1:公法上の勤務関係
国と国家公務員の関係、地方公共団体と地方公務員の関係
例 2:公法上の営造物利用関係
国立大学と学生の関係、国立病院と入院患者の関係、
刑務所と在監者の関係
例 3:公法上の特別監督関係
国と特許企業者(鉄道・バス事業・電気・ガス事業)
例 4:公法上の社団関係
公共組合と組合員の関係
⇔一般権力関係
一般の市民が、何らの特別の原因によらず、国又は地方公共団体の統治
権に当然に服する法律関係
◇特別権力関係論への批判
もともと特別権力関係論は、法治主義の浸透による拘束を免れるため、
君主が自由な領域を手元に残すために形成した極めて政治的な法理
⇒現代の民主的な法治国家にはそぐわないという批判が大
10
◇判例の動向
地方議会の議員の出席停止(昭 35.10.19)
最高裁判決
国立大学の学生の単位認定(昭 52.3.15)
※特別権力関係の理論を用いて、司法審査の対象外とした
しかし近年の下級審判決では、特別権力関係論に否定的な
態度をとるものがあらわれている
11
第 2 部 行政のしくみ(P32)
1.行政組織の基礎概念
13
行政組織法にはどのようなものがありますか
◇行政組織法…行政組織に関して定める法
行政組織法(広義)
(1)行政組織法(狭義)
内閣法・地方自治法など
(2)公務員法
国家公務員法・地方公務員法
(3)公物法
河川法・道路法・国有財産法
14
行政主体とはなんですか
1.行政主体=行政の担い手…[10]を参照
※ 行政主体…行政を行う権利と義務を持ち、自己の名と責任で行政を
行う団体(国・地方自治体など)
※ 行政客体…行政主体から公役務の提供を受ける者(国民・住民)
2.行政主体の種類
(1)国
(2)地方公共団体
(3)特殊法人などその他の行政団体
* 特殊法人(営造物法人)…公の資金の出資に基づく財団性格の団体
各種の公社・公団・公庫・事業団等
* 公共組合…利害関係人で構成される社団的性格の団体
商工会議所・健康保険組合等
* 独立行政法人…国の行政組織から独立して特定事務を行う団体
* 地方独立行政法人
12
* 地方公社
⇒国の一部署である省庁は行政主体ではない
同じく地方公共団体の各部署も行政主体ではない
15
行政機関とはなんですか
(1)行政(官)庁…行政主体のために意思決定(決裁)をし、それを国民に対し
て表示する権限を持つ機関
*2種類の機関がある
①1人の人間が単独で就任する独任制
②2人以上の人間が共同で就任する合議制
(通常は独任制。例外的に合議制が採られている)
(各省の大臣、都道府県知事、市町村長などは独任制の
機関
人事院、中央労働委員会、公正取引委員会など多人数
で構成される行政庁は合議制の機関)
(2)補助機関…行政庁を補佐することを任務とする
(副知事、副市長、次官、局長、課長、課長、補佐、
係長、事務官等)
(3)諮問機関…行政庁の要請をうけて、意見を述べる機関(要は調査機関)
あくまで、意見答申までが仕事の内容に過ぎないので、
諮問機関の答申を行政庁が無視することも可能
(諮問機関の答申は行政庁の意思を拘束しない)
(審議会、調査会、顧問等)
(4)参与機関…行政庁の意思決定を拘束する機関
諮問機関と違って、具申した意見が行政庁を拘束する
(電波監理委員会、検察官適格審査会)
(5)監査機関…行政機関の事務や会計の処理を検査し、その適否を監査する機関
(監査委員、外部監査人)
(6)執行機関…地方自治法上は、長、委員会、委員等を指す。
行政法学上は、警察官、徴税職員等の実力を振るう機関を指す
(公安委員会、選挙管理委員会)
13
16
行政庁とはなんですか
(1)行政庁の意義
行政機関のうち、行政主体の意志・判断を決定し、これを外部に表示す
る権限をもつもの
(2)行政庁の種類
1)独任制行政庁
2)合議制行政庁
(通常は独任制。例外的に合議制が採られている)
(各省の大臣、都道府県知事、市町村長などは独任制の
機関
人事院、中央労働委員会、公正取引委員会など多人数
で構成される行政庁は合議制の機関)
(3)行政庁の権限の限界
1)事項的限界―組織法で定められた所掌事務の範囲
2)地域的限界―地方支部部局の長、地方公共団体の長・委員会
3)対人的限界―管理者と所属成員との関係
(国公立大学の学長と職員・学生との関係)
4)形式的限界―権限行使の形式(省令の制定は大臣に限定)
14
17
行政庁の権限の代理と委任の意味と違いについて説明してください
権限の代理と委任
行政庁は、法令によって各種の権限(行うことができる事務の範囲)が付与
されており、その権限を自らが行使することが本来の姿であるが、何らかの事
情により他の行政機関などに自らの権限を行使してもらうことがある。これが
権限の委任・代理・専決である。
(1)代理
顕名で権限行使を行う。通常は授権代理であるが、法律の根拠がある場合は
法定代理をたてることができる
①法定代理…法令に定められた事由の発生により当然に代理権発生
②授権代理…行政庁の意思により、代理権発生
法律の根拠は必ずしも必要としない。
代理機関・被代理機関が共同で責任を負う
(2)委任
受任機関は自己の名と責任で権限を行使する。
(3)専決
あらかじめ範囲を定めて補助機関に権限を行使させること
(4)代決
15
急施を要する案件について権限を行使すべき者が不在の場合にあらかじめ定
められた他の機関が代行すること
法律の 外 部
権限の代行の種
代 行 権
根拠の へ の
名義
類
の発生
要否
公示
委任
代理
必要
必要
委任
受任庁 一部
原則不 受任庁
可
不要
不要
授権
代理庁 一部
可
被代理
庁
狭 義 の 必要
法定代
理
不要
法 定 事 代理庁 全部
実 の 発
生
不可
被代理
庁
指 定 代 必要
理
不要
指 定 + 代理庁 全部
法 定 事
実 の 発
生
不可
被代理
庁
不要
訓 令 の 被代行 一部
制定
庁
可
被代行
庁
授権代理
法
定
代
理
専決・代決
18
代行
取 消訴
指揮監
の範
訟 の被
督
囲
告
不要
行政機関相互の関係はどうなっているのですか
a.上級庁の指揮監督権
(1) 監視権
(2) 訓令権
*訓令と職務命令∼訓令的職務命令、非訓令的職務命令
(3) 認可(承認)権
(4) 停止・取消・変更権
(5) 権限争議の裁定・決定権(主管権限争議権)
16
b.行政機関の横の関係
(1) 協議
行政組織はピラミッド型の階層構造をとる。上級機関は下級機関に対して指揮
監督権をもつ。指揮監督権には監視権、許認可権、訓令権、取消停止権、代執
行権、主管権限争議決定権がある。
(1) 監視権とは下級機関の職務を監視する権限である。視察や書類帳簿の閲覧
を行う権限である。
(2) 許認可権とは下級機関にあらかじめ上級機関の承認を得て活動するよう義
務付ける権限である。行政行為のうちの許可や認可とは区別される(最判昭和
53年12月8日民集32巻9号1617頁)
。
(3) 訓令権とは下級機関に対し拘束力のある命令を下す権限である。国家行政
組織法14条2項は各省大臣・各委員会・各庁長官の訓令権を定めている。ま
た内閣府設置法7条6項は内閣総理大臣の訓令権を定めている。訓令が拘束力
のある命令であるのに対して通達は法令の解釈、事務処理の指針を示す拘束力
のない指達だとされる。
(4) 取消停止権とは下級機関の活動を取消・停止する権限である。指揮監督権
に取消停止権が含まれることの正当化根拠は行政関係の統一性および一体的処
理の必要性である(通説)
。
17
(5) 代執行権とは下級機関の活動を上級機関が下級機関に代わって実施するこ
とである。法律の根拠が必要とされる。
(6) 主管権限争議決定権とは行政機関の間に生じた権限争いを、各機関に共通
の上級機関が裁定する行為である。最終的には内閣総理大臣が閣議にかけて内
閣が裁定することになる(内閣法7条)
。
2.国の行政のしくみ
19
国の行政組織はどのようになっていますか
1 行政組織の概要
(1) 行政事務の配分と責任体制
ア 内閣の行政権の行使
・行政権は内閣に属し、その行使について国会に対し連帯して責任を負う。
(憲法第 65 条、第 66 条)
・ 内閣は、その首長たる内閣総理大臣及び 14 人以内の国務大臣で組織(憲
法第 66 条、内閣法第2条)
イ 行政事務の分担管理
・ 総理府及び各省の長は、内閣総理大臣及び各省大臣とし、主任の大臣と
して行政事務を分担管理(内閣法第3条①、行組法第5条①)
・ 主任の大臣を補佐し、その事務を実施するための行政機関として府及び
省を設置
18
※首相官邸キッズルームより
http://www.kantei.go.jp/jp/kids/senior/4_4.html
(2) 管理法体系
図−2参照
19
(3) 行政組織の構成例
20
内閣の地位・組織・権限について説明してください
1.内閣の地位
内閣…国の行政組織の最高機関として、行政権の本来の主体
憲法 65 条「行政権は、内閣に属する」
憲法 66Ⅲ条「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯
して責任を負う」
⇒国会を通じて国民に対し責任を負う
2.内閣の組織
○内閣総理大臣と 14 人以内の国務大臣
⇒合議制の機関
(うち半数は国会議員でなければならない)
↓
「閣議(閣僚の会議)」で決定
※全会一致制
○内閣の下には、内閣官房・内閣府 …他の省庁よりやや上位
人事院
…独立した機関
20
安全保障会議
3.権限
憲法 73 条、その他の法令に基づく事務と権限
(1)行政府の意思決定
(2)行政各部の指揮監督
(3)行政各分野の総合調整
21
府・省・庁・委員会というのはどういう機関ですか
1.はじめに
内閣をサポートする(行政事務を分担管理する)機関
行政組織法⇒①省および外局
②委員会
③庁
内閣府の他11省・6委員会・15庁(宮内庁を除く)
(⇒1府12省8委員会25庁からの削減)
2.省
※図−7参照
◇内閣府は内閣の直属の機関…他の省とは別格
・国家行政組織法は適用されない
・国政の具体的な企画立案・総合調整・内閣総理大臣の行政事務
3.委員会・庁
府又は省に外局として置かれる、行政事務の第二次的分配単位
○委員会
委員会は、その所掌事務の性質が高度の政治的中立性、専門技術性を要求
されるなど、府・省ないし内閣から独立的な地位にある合議制機関に行わ
せることが必要である場合に例外的に設置
○庁
庁は、以下の場合に設置
①事務量及び組織が膨大であり、府・省の内局によることが適当で
ない場合、
21
②政策的要請から省や内局とすることが適当でない場合
③一般の省の事務とは性質の異なる事務をつかさどる場合
※府・省・庁の違い
「省」は、内閣の統括の下に行政事務を分担管理する機関として置かれるもの
で、「委員会」や「庁」は、内閣府や各省などの外局として置かれるものです。
委員会や庁は数多くありますが、現在、国務大臣が長となっているのは、国家
公安委員会だけです。各府省の主任の大臣は、法律又は政令を実施するため府
省令を発することができます。
また、2001 年の中央省庁等の改革によって新たに設置された内閣府は、内閣
機能の強化を目的とした行政機関であるため、他の省庁より一段高く位置づけ
られています。具体的には、内閣官房を助けて内閣の重要政策に関する企画立
案・総合調整等を担い、国家運営の基本となる経済財政政策や科学技術政策な
どの重要課題を担当しています。
◇政令=憲法や法律を実施するために内閣が発する命令。
◇府省令=各府省の大臣が主任の行政事務について発する命令。
⇒「首相官邸キッズルーム」より
http://www.kantei.go.jp/jp/kids/senior/4_4.html
4.内部部局
○官房・局
府省庁の所掌事務の第一次的分配単位であり、政策遂行の柱となる重要
な組織単位
○部・課
官房・局等に置かれる、日常の行政事務処理の基礎的単位
○いわゆる「附属機関」
審議会等
重要事項に関する調査審議、不服審査その他学識経験を有する者等の
合議により処理するこが適当な事務をつかさどるため設けられる合議
制の機関
その他の機関
所掌事務や組織構成が特殊であるため、他のいずれの行政組織分類に
22
も該当しないもので、その設置、所掌事務等は法律で定められる(日
本学術会議、検察庁、印刷局、造幣局など)
○地方支分部局
一定の地域を管轄区域として、当該省庁の所掌事務を分掌する機関
22
行政委員会とはなんですか
内閣府・省から独立した合議機関
⇒憲法 65 条「行政権は、内閣に属する」に違反するのではないかと
の意見もあるが、すべての行政権が内閣だけに属すると解釈すべ
きではないという理由で、違反ではないとされる
22
審議会の附属機関について説明してください(P52∼53)
1はじめに
a.附属機関の定義…省・外局の事務を分掌して行う組織
b.附属機関の種類
(1)審議会
原則:諮問機関(行政庁を拘束しない)
(合議制) 例外:参与機関(行政庁を拘束する)
(根拠)
法律
政令
(2)施設等機関…多くが独立行政法人化
(3)特別の機関…検察庁・警察庁・自衛隊・日本学術会議など→法律
2審議会
審議会とは、国の行政機関に附属し、その長の諮問に応じて、特別の事項を調
査、審議する合議制の機関
23
◇「八条機関」と呼ばれることもある
⇒国家行政組織法八条
「法律又は政令の定めるところにより、重要事項に関する調査審議、
不服審査その他学識経験を有する者等の合議により処理することが
適当な事務をつかさどらせるための合議制の機関を置くことができ
る」
◇目的…行政への国民参加、専門知識の導入、公正の確保、利害の調整等
◇委員の任命…根拠法令に規定
目的に応じて選任⇒(1)学識経験者
(2)対立する利害関係者と公益(中立)委員
◇諮問機関と参与機関…審議会の機能に対応
諮問機関…重要政策、基本的施策等に関する行政機関の問い合わせ(諮問)
に対し意見を述べる(答申)もので、法的拘束力はない
⇒とはいえ、財・学界の有力者の意見でもあり
それに反する政策は正当性を欠くため、
実質的には拘束力が強い
しかし、責任の所在をあいまいにする、いわゆる「隠れみの」
であるとの批判あり
↓
近年は大幅に削減
参与機関…法の適用の公正を図る等の目的で行政機関の意思決定に参与す
るもので、法的拘束力がある
24