語 &落 ク トー ソーレまつり2010記念講演会 1/31 笑う人ほど人生の達人 一度はエンジニアの道を選んだが落語家になる夢を捨てきれ ず、平成 3 年に上方落語家 4 代目・桂福団治の弟子として入門、 現在は地元徳島や関西でプロの落語家として活躍している桂七 福さんをお招きしました。古典落語を交えた楽しい講演で、会場 は笑いに包まれました。 笑うことができるのは人間だけ 楽しいという気持ちは動物ほとんどにあるらしいんですけ ども、笑うということができるのは人間だけなんやそうです ね。それぞれに笑いのスイッチを持っていて、これは自分しか 押せないんです。いくら親しい友達でも夫婦でも、横からパッ と押すわけにはいかん。もしかすると錆びついてる方もいらっ しゃるのか分かりませんけど、積極的に楽しもうという気持ち が大事なんですね。落語を楽しむときも自分がおもしろいな と思ったら、誰にはばかることなく笑ってください。そうする と、隣の人がそれを見てつられて笑うわけでございまして、 皆さん方が熟練いたしますと、おもしろくなくても笑う。この 域に達すると、とても落語家が育ちますんで。 人が楽しいと思って笑うは1 日平均 18 秒 80 年生きた方が楽しいと思って笑った時間を全部足した らどれほどになるかという研究した人がいまして、 「あんた想 像つきますか」 「そらまあ半年ぐらいちゃいますか」 と言うた ら、ニコッと笑いながら、 「わずか 21 日。」1 日平均大体 18 秒 なんやそうです。たった18 秒と思いますけど、なかなか 18 秒笑うてないんです。平均的に声を出して笑っている姿、長 そうで短い 4 秒。1 日にこれが 4、5 回あるかどうかなんです ね。女性だけで計ると多分増えるでしょうし、男性だけでは 減ると思います。 「今日はバタバタしてて笑うてないな。今日 の分は今日のうちに笑うて済ましとこう。」 そんなに気にする ことはないんですが、 「笑う」 ということでちょっと心がリラッ クスできる。リフレッシュできますしね。 「笑う門には福来る」 笑顔でいると人と話をするチャンスが増えるかもしれないと いうことなんですね。 「すまんけど」 の 5 文字が大事 夫婦の間でもニコニコしたいなと思うと、どうしても会話 が大事です。けど、夫婦の間で私と同じ男の側の人が、ちょ いちょいこういうことを言ってしまったりする。 「そんなお前、 細かいことをいちいち言うてられるか。一緒になって何年に なると思うてんねん。察し合えるのが夫婦とちゃうのか。そん な細かいこと、いちいち言うてられるか」彼は間違っておりま すね。どんな些細なことでも、やはり言わなければ相手には 伝わらないのでございます。 「すまんけど、シャンプー詰替こうといて。」 この 「すまんけ ど」 たった5 文字ですけど、これが大事なんやそうです。次の 日シャンプーが替わってたら、 「シャンプーありがとうな」 この フォローがあるかどうかで大分変わってくるんやそうで、やっ ぱりものの言い方一つですわ。これ男女、関係ないんです。 男やから偉そうにとか、女やから偉そうに言われないかんと か、そんなんやないんでね。 「男らしく女らしく」 ではなく 「自分らしく」 知らず知らずのうちに、すり込まれたものもぎょうさんにあ ります。 「男らしく女らしく」 というのも、だんだん消えつつあ ります。 「自分らしく」 が前に出てくるようになりました。です から、 「男らしい女らしい」 の、 「男」 「女」 のところに 「人間」 と 入れて、ちょっとおかしいなと思うようなのは多分性別は関 係なくなってくるんですね。 「めそめそ泣くな。男のくせに」人 間に換えてみます。 「泣くな、人間のくせに」。人間は泣ける のでございます。悲しいと思って嬉しいと思って泣けるのが 人間なんです。 「ピンクの服がよう似合うね。女らしいね」。 人間に換えます。 「ピンクの服がよう似合うね。人間みたいや ね」。昨日まで犬やったんだったらそれでもええ。 「わしの通うてる病院にな、男の看護師がいるんや。ちゃん とケアできんのか心配や」 「うちの子が通うてる保育園に男の 先生がいてんねんて・・・」 「うちの息子、中 3 の受験生で、こ の大事な時期に担任が女になったっちゅうやないかい。 (大 丈夫かな)」 こういうのは間違いであるということはだんだん 当たり前のようになってきましたけど、心の奥底に何となく 眠っているものがあるわけでございます。そういうところに気 がついたときに、 「あっ」 と思えるかどうかが大切ではないか なと思っています。 終わりに 今日のテーマでもその人らしさということが大きなテーマに なっております。言葉の使い方を間違えると、その人の一生 にかかわるような深い傷を負わせることもありますし、たった 一言でその人の生涯の人生を支えるような、ありがたい言葉 もあります。できることなら言葉を使ってニコッとしてもらえる ようなコミュニケーションを皆さんもぜひ重ねてほしいなと一 言を添えさせていただいて、私の話を締めさせていただきた いと思います。長い時間ほんとにありがとうございました。 S O L E S C O P E V o l - 5 2 2
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