休日夜間急患診療所などでの成人気管支喘息急性増悪(発作)初期診療の手引き 基本方針:休日夜間急患診療所などで対応できるのは小発作・中発作まで。大発作は応急処置して、2~3次救急に搬送。 病歴聴取のポイント ・気管支喘息の通院歴・既往歴・入院歴の確認 ・労作の可能な程度と睡眠障害の有無、今までの服薬状況 ・増悪因子(気道感染、アスピリン(非ステロイド性抗炎症薬)喘息など)や薬物アレルギーの有無 胸部聴診のポイント 喘鳴:連続性ラ音(wheeze, rhonchi)の聴取 聴取しづらい例では努力性呼出させ、呼気終末に聴取できることあり 大発作では呼吸減弱のため連続性ラ音が聴取できない場合あり(サイレントアズマ=危険な徴候のため要注意!!) 他疾患の鑑別 ・うっ血性心不全(いわゆる心臓喘息) 心疾患の既往歴、治療歴の有無の確認 吸気時の断続性ラ音の混在や浮腫などその他の心不全徴候の有無 ・高齢者ではCOPDに喘息発作を合併することがあり ・その他、肺炎、気胸、肺血栓塞栓症、間質性肺炎、気道閉塞、アナフィラキシーなどの鑑別が必要。 本当に喘息発作か? 重症度に応じた初期治療 ・苦しいが横になれる ・動作やや困難 ・SpO2>95% ・苦しくて横になれない ・動作かなり困難 ・かろうじて歩ける ・SpO2 91~95% 小発作 ↓ 症状改善 大発作・重篤 中発作 ↓ β 2刺激薬吸入 ↓ 症状改善なし・増悪 ↓ 点滴+β 2刺激薬吸入(2回目) ↓ ↓ 症状改善 症状改善なし・増悪 ・意識障害 ・チアノーゼ ・会話困難 ・発汗著明 ・SpO2 90%以下 ↓ ↓ β 2刺激薬吸入+点滴静注 ↓ ↓ 症状改善 症状改善なし・増悪 酸素吸入 ボスミン0.3mg皮下注の考慮 ↓ ・酸素吸入 ・気管内挿管の準備 ・ボスミン0.3mg皮下注の考慮 ・点滴静注 2次救急病院に搬送 呼吸停止 急激な増悪の場合 3次救急へ ・酸素吸入なしでSpO2 90%以上、会話、移動で悪化がなければ帰宅可能 ・長期管理薬(シムビコート2吸入×2やアドエア250 1吸入×2など)の処方および必要性の指導 ・プレドニン20~30mg 分2の処方(ステロイド点滴静注の場合必須) ・発作治療薬=短時間作用性β 2刺激薬(サルタノールやメプチンエアーなど)の処方および使用法の指導 ・翌日必ず、かかりつけ医を受診するよう指導 β 2刺激薬吸入(例) β 2刺激薬(ベネトリン0.3mlやメプチン吸入液ユニット0.3mlなど) 生理食塩水で希釈し、ネブライザー吸入 日本アレルギー学会「喘息予防・管理ガイドライン2009」を基に改変・加筆 神奈川県内科医学会呼吸器疾患対策委員会 2010年9月1日作成 点滴静注(例) 等張補液薬200~250mlなど(1時間かけて点滴静注) + ステロイド ・ハイドロコルチゾン(サクシゾン、ハイドロコートン)200~500mg (いずれか一つ) ・メチルプレドニン(ソル・メドロール)40~125mg ・アスピリン喘息がある場合はデカドロン(リンデロン)4~8mg + 必要に応じて、ネオフィリン250mg(6mg/kg) (テオフィリンを内服している場合は半量) (最初の半量を15分で、残りを45分で点滴静注)
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