デジタルマンモグラフィシステムにおける 平均乳腺線量と CNR の検討 - EUREF ガイドラインとの比較 東北大学病院 診療技術部放射線部門 ○千葉 幸 斎 政博 千葉 陽子 (Chiba Sachi) (Sai Masahiro) (Chiba Youko) 小松 由佳 坂本 博 梁川 功 (Komatsu Yuka) (Sakamoto Hiroshi) (Yanagawa Isao) 【背景・目的】 近年マンモグラフィ分野におけるデジタル化は著しく、現在、国内総装置台数の約７0％の施設において デジタル化されている。デジタルマンモグラフィにおいて線量と画質の関係が非常に重要視されており、各 施設、各装置ごとに設定が必要とされている。特に診断に適した画像の提供と被ばくに関して、画質の指 標となる平均乳腺線量（AGD)とCNR、低コントラスト分解能については定期的に精度管理する必要がある。 今回当院で使用されているデジタルマンモグラフィシステム3機種を使用し、それらについて指標化され ているEUREF参考値と比較検討を行った。 【使用機器】 ・FCR PROFECT CS ・LORAD M-Ⅳ Selenia ・Marmaid(PCM System) ・線量計 ： Model 9015 (Fuji film) (HOLOGIC) (KONICA MINOLTA) （Radical Corporation） 【方法】 各装置でAECを使用し、PMMA厚20～60mm(10mmおき)に対する撮影条件を基準条件とし、各PMMA 厚における下記の項目について比較検討を行った。 1. 平均乳腺線量(AGD) ・圧迫板透過後の半価層(HVL)を求める。 ・線量計検出器の実行入射面の高さを20mm～60mmに変化させ入射空気カーマを測定する。 ・測定した空気カーマおよびHVL測定値から求めたパラメータ を用いAGDを算出する。 AGD[mGy ] = K ⋅ g ⋅ c ⋅ s K g c s ； ； ； ； …(Danceの式) 入射表面線量(空気カーマ) PMMAで模した乳房の換算係数 PMMAで模した等価乳房厚における換算係数 線質に関する換算係数 2. CNR 胸壁端 20mm～60mm厚のPMMAファントムの上に高純度アルミニウム板 Fig.1 CNR 測定配置図 を配置し、2ヵ所のROIにおける画素値の平均値と標準偏差を求め、 CNRを算出する。測定配置図をFig.1に示す。 ｍ BG − m Al CNR = アルミ板のある位置における画素値の平均値と標準偏差 ： mAl，σAl 2 σ BG ＋σ Al2 アルミ板のない位置における画素値の平均値と標準偏差 ： mBG，σＢＧ 2 3. 低コントラスト分解能 CD-MAMファントムを20mmのPMMAファントムで両側から挿み、50mmの基準条件でX線を照射し、得 られた画像のファントム内のゴールドディスクの直径に対する検出限界とされるゴールドディスク厚を求 める。 【結果】 当院のシステムにおいて、AGDでは、薄いファントム厚にて許容値から外れるものがあつた(Table 1)。 CNRにおいては、厚いファントム厚にて許容値から外れるものがあった(Table 2)。低コントラスト分解能は、3 機種すべてEUREF許容値を保っていた(Table 3)。 Table 1 AGD FCR PROFE CS LORAD M-Ⅳ Selenia Mermaid Table 2 CNR FCR PROFE CS LORAD M-Ⅳ Selenia Mermaid Table 3 低コントラスト分解能 【考察】 EUREF指標値から外れた項目での改善方法とし ては、AGDの許容値内で、撮影条件を検討し、画質 とのバランスを踏まえた上で再度検討する必要があ るのではないかと考える。 【結語】 当院で使用しているデジタルマンモグラフィシステムは、EUREF指標値から大きく外れることはなかった。 我が国にもこのようなガイドラインを取り入れるには、数多くのシステムにて調査をし、我が国の実状にあっ たガイドラインを制定することが望まれる。
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