ま え が き

ま え が き
マイクロ波による物質の発熱現象は,現在家庭用の電子レンジとして広く応
用されているが,マイクロ波で物質が加熱できるということが発見されたのは
1940 年代後半であり,応用され始めたのはその後になる。本書においては加
熱(発熱)とは,観測し得る程度の温度上昇が物質において生じることを意味
社
する。
種々物質の加熱への応用が試みられたが,本書でおもに対象とする無機固体
や金属などの加熱や材料プロセッシングへの応用に関してはさらに後になる。
ロ
ナ
具体的にはファインセラミックスの研究が盛んになった 1980 年代頃から 1990
年代に研究報告が多く出されている。また,金属はマイクロ波を反射するた
め,金属のマイクロ波加熱はあまり試みられなかったが,最近では金属粒子や
薄膜の加熱に関する研究も盛んになっている。
一方,マイクロ波は,通信の目的で第 2 次世界大戦以前から用いられており
コ
発振管の開発も進んでいた。そしてマイクロ波は,当時物理や化学の分野で研
究が始まっていた磁気共鳴(電子スピン共鳴)に用いられる周波数帯であった
ため,それらの分野では馴染みが深かったと考えられる。
磁気共鳴により物質を研究する際には,マイクロ波出力はせいぜい数十 mW
程度であり,この照射により研究対象とする物質を破壊することは望まれな
い。したがって,マイクロ波という電磁波エネルギーを利用して物質を加熱
し,材料プロセッシングを行おうという本書の対象とは,まったく目的を異に
する。しかしながら,マイクロ波材料プロセッシングの基礎を理解するために
は,材料の基礎的な物性と,電磁波と物質との相互作用について調べることが
必須であり,基礎的な物理 / 化学との連携は必要不可欠であると考えられる。
ところで,マイクロ波照射により物質の温度上昇が生じる理由については,
ii ま え が き すでに十分に解明されたことであると考えられているかもしれない。そして,
それは本書で述べる電磁波エネルギーのいくつかの損失メカニズムが関与する
こともわかっている。エネルギー損失が生じ,熱になるというのはあたりまえ
に感じられるし,それで議論を終えてしまっている。しかしながら,熱という
のは原子(分子,格子)の振動であるが,室温でもマイクロ波周波数〔GHz〕
よりはるかに高い振動数の格子振動が存在する。電磁波が物質内に入って,内
部の電磁場を GHz の周波数で振動させると,どのようにそれよりもはるかに
高い周波数の原子の振動に変わるのであろうか。また,温度として計測できな
いような低い振動数〔GHz〕の振動が生じたとすると,この影響はなんらかの
社
効果として観測が可能となるのか考えてみたい。
本書は,水や有機液体,またポリマーや生体などの加熱プロセッシングより
も,無機固体や金属のマイクロ波(加熱)プロセッシングをおもな対象とす
ロ
ナ
る。これらはセラミックス,ガラス,金属,半導体などであり,導電体,絶縁
体(誘電体)
,半導体,磁性体,誘電体などに分類される。
物質のマイクロ波加熱メカニズムとして,水や有機溶液,有機物などはおも
に誘電加熱によるが,それ以外の物質である金属や無機固体において生じる誘
導(ジュール)加熱や磁性に関係する加熱を含めて検討を行う。そして熱に変
コ
わるメカニズムを議論し,最後に実際の材料プロセッシングにおける研究例と
その議論を行う。本書は以下のような構成になっている。
1 章では,電磁波の挙動を記述する電磁波物理について述べるとともに,物
質へのマイクロ波の浸透距離について考える。特に金属の表皮厚さ内の電磁場
に関する議論を詳説する。つぎに,電磁波エネルギーが物質内で誘電損失,誘
導電流損失,磁気損失のいずれかの損失に関係することを電磁気学的に検討す
る。また,マイクロ波加熱実験や操業を行うときに基礎となる導波管やキャビ
ティーに関する基礎を述べる。2,3,4 章ではそれぞれ誘電損失,誘導損失,
磁気損失について検討する。
2 章では,物質の誘電的性質の基礎からスタートし,マイクロ波エネルギー
損失の原因となる固体における緩和型の誘電損失,および種々物質の誘電率の
ま え が き iii
温度依存性について述べる。つぎに,光学領域における誘電緩和(電子分極)
の 1 次元振動子モデルを紹介する。これを基にして,金属の誘電率や誘電関
数,共鳴と緩和機構の違いについて考察する。
3 章では,導電性物質内でマイクロ波により誘導電流が生じ,これが電気抵
抗としてジュール発熱を生じることを述べる。誘導電流加熱における被加熱物
の最適寸法,最適周波数について検討する。基礎事項では,誘導損失の基礎物
性である種々の物質の電気伝導度とその温度依存性について説明する。これら
物質の導電率を一括比較するとともに,物質の溶融に際した電気伝導度変化に
ついても示す。
社
4 章では,強磁性に起因するマイクロ波エネルギーの損失を説明するための
基礎事項として,磁性体の分類や強磁性体における諸現象について述べる。つ
ぎに,マイクロ波周波数による磁気損失として磁気共鳴の影響について検討す
ロ
ナ
る。この中で,強磁性体の高周波磁化と,フェライトにおける電磁波の分散曲
線について考慮する。マイクロ波磁気工学の基礎を述べるとともに,強磁性共
鳴におけるマイクロ波エネルギーの散逸経路を議論する。
5 章では,マイクロ波印加による発熱により温度上昇,すなわち格子振動が
生じることについて検討する。このため基礎事項として,電磁波と格子振動
コ
(フォノン)の相互作用に関して述べる。つぎに,発熱機構とまでは至らぬが,
格子振動に関係する例として,内因性(イントリンシック)の誘電損失機構に
関する理論を紹介するとともに,マイクロ波〔GHz〕の弾性波である超音波の
発生に関して行われた過去の研究を紹介する。
6 章では,実際にマイクロ波プロセッシングを行うにあたって,過去の研究
報告を基に,考慮すべきいくつかの現象について紹介する。マイクロ波加熱は
単に熱的現象であるという立場でなく,マイクロ波加熱の非熱的効果があると
して,それに関連すると考えられる諸現象について説明する。これらは必ずし
も 5 章までに述べた内容と直結している訳ではないが,実際の材料組織制御,
相変化等の励起という点において興味ある観点である。
本書では,金属,無機固体のマイクロ波加熱を理解する上で一般書ではあま
iv ま え が き り詳しく説明がなされない以下の項目について,特に記述を加えた。
1: 金属表面(表皮厚さ内)の電磁場,2: 金属の誘電率,3: 導電性と誘電性
の分離,4: 無機固体の誘電損失,5: マイクロ波磁気損失,6: ポンデロモー
ティブ力
本書は,材料系の学生や研究者を対象としているが,理解するための材料科
学,電磁気学,固体物理学の基礎を含めた解説を行う。マイクロ波が関係する
電磁場解析,複合誘電率,伝熱現象,反応・移動現象,その他のプロセッシン
グに関すること,熱暴走を含む物性変化などに関する解析等について本書では
紹介を省くことにする。各章の緒言においては,そのストーリーを簡単に述べ
社
た。数式や理論展開が難しい箇所を読み飛ばしても全体が理解できるようにし
た。
コ
ロ
ナ
2014 年 3 月
著 者 目 次
1 . 電 磁 波 物 理
1
1 . 2 マイクロ波周波数
2
1 . 3 電磁波の減衰距離
社
1 . 1 は じ め に
3
3
1 . 3 . 2 物質内部における減衰距離
6
ロ
ナ
1 . 3 . 1 物質内部における電磁波(Maxwell)の式
1 . 4 誘電体と導電体における電磁波の境界条件
7
1 . 4 . 1 誘電体(導電性がない場合 v=0)の境界条件
7
1 . 4 . 2 完全導体の境界条件
8
1 . 4 . 3 電気伝導度を有する誘電体
1 . 4 . 4 有限の電気抵抗を有する金属(良導体)表面の境界条件
9
12
14
1 . 6 電磁波エネルギーの物質による吸収
20
コ
1 . 5 金属粉体における電磁波の浸透と発熱の解析
1 . 6 . 1 ポインティングベクトル
20
1 . 6 . 2 物質におけるマイクロ波エネルギー損失機構
21
1 . 7 マイクロ波工学基礎事項
23
1 . 7 . 1 概 要
23
1 . 7 . 2 導波管,キャビティー内における電磁場分布
24
1 . 7 . 3 キャビティー内の損失とマイクロ波照射装置
28
vi 目 次 2 . 誘 電 損 失
2 . 1 は じ め に
32
2 . 2 基礎事項: 誘電体と誘電損失
33
33
34
2 . 2 . 3 遷移状態での分極
36
2 . 2 . 4 交番電場での分極
38
2 . 2 . 5 Kramers-Kroenig の関係
39
2 . 2 . 6 誘電率の複素平面プロット
40
2 . 2 . 7 誘 電 損 失
2 . 2 . 8 電子分極と原子(イオン)分極
ロ
ナ
2 . 3 無機固体物質の誘電率
社
2 . 2 . 1 直流電場印加による誘電体の分極
2 . 2 . 2 局所電場とクラウジウス・モソッティの式
41
43
44
2 . 3 . 1 電子分極,原子(イオン)分極による誘電分極と誘電損失
45
2 . 3 . 2 無機固体における誘電損失原因-1
45
2 . 3 . 3 無機固体における誘電損失原因-2:緩和型損失
47
2 . 4 物質の誘電率の温度依存性
52
53
2 . 4 . 2 無機固体誘電率の温度依存性
55
コ
2 . 4 . 1 分子双極子による誘電率の温度依存性
2 . 5 物質の誘電率モデル
57
2 . 5 . 1 1 次元振動子モデル
57
2 . 5 . 2 電子分極の誘電率モデル(ローレンツモデル)
58
2 . 5 . 3 緩和損失と共鳴損失
60
2 . 5 . 4 導電性物質の誘電率(ドルーデモデル)
63
2 . 5 . 5 誘電関数と光学的性質
65
2 . 5 . 6 金属の誘電関数と光学定数
66
2 . 6 金属の誘電率に関する話題
67
2 . 6 . 1 電磁メタマテリアル
67
2 . 6 . 2 金属ナノ粒子の誘電的性質
70
目 次 vii
3 . 誘 導 電 流 損 失
3 . 1 は じ め に
72
3 . 2 誘導電流と表皮効果
73
3 . 2 . 1 誘導加熱の最適周波数と最適寸法
74
3 . 2 . 2 誘導電流における表皮効果と異常表皮効果
77
3 . 3 基礎事項: 物質の導電性と伝導電流
78
78
3 . 3 . 2 導電率の周波数依存性と交流インピーダンス
81
3 . 3 . 3 導電性と誘導電流損失
社
3 . 3 . 1 電荷キャリヤの移動度と導電率
3 . 4 基礎事項: 物質の導電率の温度依存性
3 . 4 . 1 金属の電気伝導度の温度依存性
83
85
85
86
3 . 4 . 3 セラミックスの電気伝導と温度依存性
92
ロ
ナ
3 . 4 . 2 半導体の電気伝導度の温度依存性
3 . 5 物質の導電率の温度依存性(実例)
100
3 . 5 . 1 種々の物質の導電率の温度依存性
100
3 . 5 . 2 物質の溶融と導電率の変化
102
コ
4 . 磁 気 損 失
4 . 1 は じ め に
104
4 . 2 磁性に関する基礎事項
105
4 . 2 . 1 磁 性 の 分 類
105
4 . 2 . 2 強磁性における交換相互作用
108
4 . 2 . 3 強磁性体の磁区と磁壁
108
4 . 2 . 4 強磁性体の磁化
109
4 . 2 . 5 磁化率の温度依存性に関する理論
111
4 . 2 . 6 高周波における諸現象
113
4 . 3 磁気共鳴に関する基礎事項
116
viii 目 次 4 . 3 . 1 スピンの歳差運動と磁気共鳴
116
4 . 3 . 2 磁化の動力学に関する現象論
119
4 . 4 強磁性共鳴とマイクロ波伝播
124
4 . 4 . 1 マイクロ波磁気工学
124
4 . 4 . 2 フェライトにおけるマイクロ波の分散曲線
128
4 . 4 . 3 自然共鳴(磁区の回転共鳴)
136
4 . 5 強磁性共鳴と緩和
137
4 . 5 . 1 緩 和 過 程
138
4 . 5 . 2 スピン-スピン緩和過程
140
4 . 5 . 3 緩和過程と熱への移行(スピン-格子緩和)
141
4 . 6 . 1 強磁性共鳴による発熱
社
4 . 6 マイクロ波磁気損失に関する研究例
143
143
4 . 6 . 2 マイクロ波磁場によるスピン系のエネルギー(磁気損失に関するシミュ
ロ
ナ
レーション)
145
5 . 熱 と 弾 性 波 動
149
5 . 2 基 礎 事 項
151
コ
5 . 1 は じ め に
5 . 2 . 1 格子振動の基礎
151
5 . 2 . 2 フォノンの分布と音波の減衰
157
5 . 2 . 3 電磁波と格子振動
161
5 . 3 イントリンシックな誘電損失機構
165
5 . 3 . 1 振動子モデルによる誘電率(光学領域)
165
5 . 3 . 2 2 フォノン機構によるマイクロ波吸収
167
5 . 3 . 3 マイクロ波領域におけるセラミックスのイントリンシックな誘電損失
169
5 . 3 . 4 Sparks-King-Mills の理論
171
5 . 4 マイクロ波超音波と強磁性共鳴
173
5 . 4 . 1 マイクロ波超音波の発生
174
5 . 4 . 2 強磁性共鳴とマイクロ波弾性波
175
目 次 ix
5 . 4 . 3 スピン波共鳴とマイクロ波超音波
178
6 . 材料組織・構造形成への影響
6 . 1 は じ め に
183
6 . 2 拡散現象への影響
185
6 . 2 . 1 結晶固体内における原子拡散機構と拡散係数
185
6 . 2 . 2 拡散現象への影響(実験報告)
188
6 . 3 ポンデロモーティブ力の関与する現象
192
社
6 . 3 . 1 ポンデロモーティブ力
6 . 3 . 2 イオン結晶固体における pmf に関する研究例
6 . 4 マイクロ波電場集中の影響
191
ロ
ナ
6 . 5 マイクロ波プロセッシングによる材料組織形成
196
200
202
6 . 5 . 1 焼 結 速 度
202
6 . 5 . 2 結 晶 粒 成 長
210
6 . 5 . 3 その他の材料組織形成への影響
215
215
〔 2 〕 結晶化,非結晶化,特殊相の生成
219
〔 3 〕 固 相 反 応
223
コ
〔 1 〕 相変態,相分解
付 録
1 . 誘電率と浸透距離
225
2 . 変位電流が無視できる条件
226
3 . 金属表面における電場 / 磁場分布
227
4 . 電磁波エネルギーの損失
229
5 . 高周波における誘電率,透磁率,導電率
231
6 . イオン結晶中の格子欠陥の緩和損失と誘電率
231
7 . 振動子モデルによる誘電率に関する補足
233
8 . ドルーデモデルによる金属の誘電率
234
x 目 次 9 . 金属自由電子のプラズマ振動数
235
10 . 種々の物質のマイクロ波加熱データ
236
11 . Gilbert 方程式による強磁性共鳴透磁率
240
243
索 引
254
コ
ロ
ナ
社
引用・参考文献
1 . 電 磁 波 物 理
社
1 . 1 は じ め に
マイクロ波プロセッシングを行うためには,物質内に入ったマイクロ波の電
磁場がどのように分布し,吸収されるか検討する必要がある。本章ではこれを
ロ
ナ
電磁気学の観点から記述する。
本節においてはまず電磁波の分類について述べ,つぎに物質との相互作用を
考える。この基本として電磁波の物質内への浸透距離を考える。数学的に電磁
場を解析する場合は,境界条件の設定が必要であり,これに関して考える。マ
イクロ波の誘電体や導電性を有する誘電体への浸透に関しては,物質のイン
コ
ピーダンスを用いて伝送線理論による解析が行われる。
金属の場合,おもにマイクロ波を反射する。完全導体の場合,導体内部に電
磁場は存在しないが,良導体(有限の導電性を有する)金属では,表皮厚さ内
に電磁波は浸透し,誘導電流がジュール発熱を引き起こす。この表皮厚さ内部
での電磁場分布(おもに磁場)について取り扱う。金属粉末の焼結においては
粉体内部へも浸透するが,その距離は焼結の進行とともに変化するため,それ
を追跡しながら解析するのは容易ではない。
マイクロ波(電磁波)のエネルギーフラックスはポインティングベクトルと
して表現されるが,このベクトルの発散をとると種々のエネルギー項に分けら
れる。これらは,物質の誘電率に関係する誘電損失,透磁率に関係する磁性損
失,そしておもに導電率(透磁率にも依存)に関係する誘導電流損失の項である。
2 1 . 電 磁 波 物 理 マイクロ波は,自由空間の伝送(電磁波伝播)のほか,同軸ケーブルやスト
リップライン等で伝送される。それに対し,導波管を使った伝送もおもに行わ
れている。本章ではマイクロ波プロセッシングを行うにあたり,導波管やキャ
ビティー内の電磁場分布,およびこれを用いた電場磁場分離加熱法についても
説明する。
1 . 2 マイクロ波周波数
電波と光はともに電磁波であることは,周知の事実である。しかしながら電
社
波は電磁波と区別して定義されている。3 THz 以下の周波数の電磁波を電波と
呼び,それ以上を光とする。したがって,マイクロ波は電波である。また波長
m は長さの単位〔m〕であるが,周波数 f は Hz のほか,古くはサイクル c(ど
ロ
ナ
ちらも次元は〔s−1〕
)
,角周波数(~=2rf〔rad・s−1〕
)も用いられている。ま
た分光学では,カイザー〔cm−1〕も用いられる。ここで 30 cm−1=1 THz であ
る。マイクロ波周波数に関する種々の事項について,その区別をつぎにまとめ
て示すとともに,周波数と波長,電磁波の名称を図 1 . 1 に示す。
1 . 電波法第 2 条では,「電波とは 3 THz 以下の電磁波」となっている。こ
コ
こで 3 THz は波長 100 nm であるが,波長 0 . 7 ∼ 1 000 nm の電磁波が赤外
線の定義であり,430 ∼ 0 . 3 THz に相当する。4 ∼ 1 000 nm の領域は遠赤
外線と呼ばれる。また,1 mm 以下の電磁波はサブミリ波と呼ばれている。
紫外光
可視光
X線
波長 m
10 nm
テラヘルツ波
サブミリ波
マイクロ波
遠赤外
ミリ波
赤外光
1 nm 100 nm 1 cm
周波数 f〔Hz〕 3×1016 3×1014 3×1012 3×1010
10 cm
ラジオ波
1m
3×108
28 GHz(1 . 07 cm)
2.45 GHz(12 . 24 cm)
図 1 . 1 マイクロ波の周波数
100 m
1 . 3 電磁波の減衰距離 3
2 . 1 GHz より高い周波数の電波をマイクロ波と呼ぶ場合があるが,915 MHz の場合も一般にマイクロ波として扱われている。
3 . また,一般にマイクロ波とは,300 GHz(波長 1 mm)から 300 MHz(波
長 1 m)の電磁波1)†とする場合も多い。波長がちょうど 1×10n m(n は整
数)となるので,整理しやすいためかもしれない。
4 . GHz の周波数帯を分類するのに L ∼ O バンドという分類法があり,L
バンド(1 ∼ 2 GHz)
,S バンド(2 ∼ 4 GHz),C バンド(4 ∼ 8 GHz),X
バ ン ド(8 ∼ 12 GHz)
,Ku バ ン ド(12 ∼ 18 GHz),K バ ン ド(18 ∼ 27 GHz)
,Ka バ ン ド(27 ∼ 40 GHz)
,V バ ン ド(40 ∼ 75 GHz),W バ ン ド
よるレーダー用のものである。
社
(75 ∼ 110 GHz)が相当する。この分類は,IEEE standard 521-19842) に
5 . 本書においては,おもに電磁波加熱などエネルギーへの応用を考えてい
ロ
ナ
るが,これに関係する周波数帯として ISM 帯 Industrial-Science-Medical
(産業科学医療用バンド)がある。これは,ITU(International Telecommunication Union:国際電気通信連合)により,もっぱら通信以外の目的
で(例えば高周波エネルギー源に)電波を利用するために設定されている
周波数帯である。
コ
6 . また,マイクロ波域を 300 MHz から 300 GHz と定義する場合,その中
で高い周波数域(30 GHz 付近以上)では,ミリ波,サブミリ波,サブテ
ラヘルツ波,遠赤外線などの呼ばれ方をしている。
1 . 3 電磁波の減衰距離
1 . 3 . 1 物質内部における電磁波(Maxwell)の式
物質の中に電磁波が侵入する場合,物質中でどれくらい減衰するか見積もる
ことが重要である。この解析を行う際には,つぎに示すように Maxwell の式
† 肩付き数字は,巻末の引用・参考文献番号を表す。
4 1 . 電 磁 波 物 理 の中に入ってくる物質の物性値として誘電率 f,透磁率 n,電気伝導度 v があ
り,これらを用いて検討することになる3)∼7)。
d×E =−
uB
ut
d×H =J +
(1 . 1)
uD
ut
(1 . 2)
ここで,電場 E,磁場 H,伝導電流(密度)J,電束密度 D,磁束密度 B であ
り,それぞれベクトル量である。また,D=fE B=nH J=vE である。式 (1 . 1)
と式 (1 . 2) より電場 E,磁場 H †に関してはまったく同じ形の微分方程
uE
u2E
− nf 2 =0
ut
ut
d2 H − nv
uH
u2H
− nf
=0
ut
ut 2
(1 . 3)
(1 . 4)
ロ
ナ
d2 E − nv
社
式(式 (1 . 3)
,(1 . 4)
)が得られる。
ここでは簡単のため,物性値(f,n,v)は複素数ではなく実数値とする。
このため誘電率も透磁率も虚数部(誘電損率 f",透磁損率 n" を 0 とする)が
なく,損失は電気抵抗(1 / v)のみによるものとなる。
つぎに,電磁場の時間依存性は E=E0 ei~t,H=H0 ei~t とおいて考えることが
コ
できる。この時間依存性に関しては,指数関数(exp)内にマイナスをつけ,
E=E0 e−i~t,H=H0 e−i~t とおく場合もある。これは時間による位相が進むか遅
れるかの違いで,物理的には本質的に変わらないはずである。しかしながら帰
結される数式に違いが生じてくる。文献によりこの扱いが異なっているため,
この点に関して本書では随時注釈を入れることとする。
電場 E に関する微分方程式(式 (1 . 3)
)に E=E0 ei~t を代入すると,次式と
なる。
∇2E−c2E=0
(1 . 5)
c = −~ fn+i~nv
(1 . 6)
2
† 電場 E,磁場 H はそれぞれ電界,磁界とも呼ばれ,それぞれ〔V・m−1〕,〔A・m−1〕の
次元を有する。また,伝導電流密度 J は〔A・m−2〕である。
1 . 3 電磁波の減衰距離 5
c は式 (1 . 6) で与えられるが c=a+ib とおくと,式 (1 . 5) の解は E に対し
て式 (1 . 7)
の形で表される(ここでは簡単のため,1 次元(z 方向)について
示す)
。同様に,磁場に関しても式 (1 . 8) を得る†。
E=E0 e−az ei(~t−bz)
(1 . 7)
−az i(~t−bz)
H=H0 e
(1 . 8)
e
式 (1 . 7)
,(1 . 8) において現れる e−az は,電場 E,磁場 H の強度が z 方向に
減衰する割合であり,どちらも同じパラメータ a で決定される。a,b は次式
で示される。
v
o −14
1+e
~f
b =~
nf *
2
v
o +14
1+e
~f
2
1
2
(1 . 9)
(1 . 10)
ロ
ナ
2
1
2
社
a=~
nf *
2
a,b は,それぞれ物性値 f,n,v に依存している。すなわち,f,n,v を
有する媒質内においては,電場も磁場もともに a という特性値をもって減衰
することを意味している。また,d=1 / a がその物質内に浸透する電磁波の表
皮厚さを示している。v=0 の場合には,式 (1 . 9) において a=0 となり,電磁
コ
波の減衰はない(前述のように,f"=n"=0 の場合を考えている)。
E(z,t)
e−az
z
λ=
2r
b
図 1 . 2 物性値 f,n,v で決まるパラメータ a, b を有す
る物質中の電磁波(電場)
cz
† E,H の解は,例えば E=E1 e +E2 e−cz のような重ね合わせであるが,z →∞で消滅
−cz
する E2 e の項のみを扱う。
6 1 . 電 磁 波 物 理 また,b は物質内で伝播する電磁波の波数である。さらに,式 (1 . 10)
にお
いて m=2r / b であるため,物質中においては真空中の波長 m0 に対し,v=0 で
電磁波の波長が m0 / nr fr となることを示している†。図 1 . 2 には電磁波(電
場)の振幅と波長がそれぞれ式 (1 . 9)
,
(1 . 10)
で決定されていることが示され
ている。
1 . 3 . 2 物質内部における減衰距離
本項では,電磁波の減衰(浸透)距離である d=1 / a について議論するた
め,種々の物質について式 (1 . 9) を検討する。まず,一般には金属においては
a=
~vn
2
社
v>
>~f であるとするため,式 (1 . 9) において誘電率がキャンセルされ
(1 . 11)
ロ
ナ
となる。これは,誘導電流加熱の解析の際に重要な金属表面での表皮厚さの式
である(3 . 2 節参照)
。一方,誘電体では式 (1 . 9) において高周波での電気伝
導度 v を v=~f" とおく(この点に関しては,1 . 6 . 2 項および付録 5 で検討す
る)と,比誘電率(fr=f / f0,f0:真空の誘電率)を用いて式 (1 . 12)
のように
表される。この場合,複素誘電率 fr=fr'−ifr" を考えており,誘電率の実部と
コ
虚部の値で特性値 a が決まることになる。
a=~
1
n0 f0
% ` frlj2+` fr mj2 −frl/ 2
2
(1 . 12)
誘電体においては,fr' か fr" のうち,どちらか一方が大きい場合の電磁波浸
透距離 d の表現方法がある。付録 1 では,浸透距離 d への fr" / fr' の影響を議
論する。
ところで,式 (1 . 11)
を導出する際,金属においては v>
>~f であるとした。
しかしながら,金属における誘電率 f(実部 f' )の値をどう考えるかについて
は重要な問題であり,2 章において詳細に議論する(付録 8 参照)。本当はこ
† m0=2 rc / ~=2 r / ` ~ n0 f0 j であり,f=f0fr,n=n0 nr である。ここで,f0,n0 はそれ
ぞれ真空の誘電率,透磁率であり,fr ,nr は比誘電率,比透磁率である。
1 . 4 誘電体と導電体における電磁波の境界条件 7
の値がわからなければ v>
>~f の議論はできないはずであるが,一般には金属
の誘電率を f0 とおいて考える場合が多い。
また金属の場合,式 (1 . 2)
において変位電流 uD / ut を無視するが(付録 2
参照)
,この場合,式 (1 . 2) は次式で書き表すことができる。
(1 . 13)
d×H=J
これより,式 (1 . 3)
,
(1 . 4)
はそれぞれ次式のようになる。
d2 E − nv
uE
=0
ut
(1 . 14)
d2 H − nv
uH
=0
ut
(1 . 15)
d2E−i~nvE=d2E−c2E=0
社
E=E0 ei~t とおき,式 (1 . 14)
に代入すると
(1 . 16)
が 得 ら れ, c =a+ bi =± i~nv =± ~nv / 2 _1+i i に よ り †, d=1 / a=
ロ
ナ
2 / ~nv を得る(ここで i =_1+i i / 2 の関係を用いた)。したがって,こ
の解においては,a について式 (1 . 11) が直接得られることになる。
1 . 4 誘電体と導電体における電磁波の境界条件
コ
本節では電磁波が空気(真空)中から物質の中に入って,透過(および物質
による吸収)
,もしくは反射される場合の境界条件について考える。まず物質
として,絶縁体である誘電体(1 . 4 . 1 項)と完全導体(電気抵抗 0,1 . 4 . 2 項)
について考察する。つぎに電気伝導度を有する誘電体(1 . 4 . 3 項)
,そして有
限の電気抵抗を有する金属であって誘電率を考慮しない場合(1 . 4 . 4 項)に関
して検討する4)∼7)。
1 . 4 . 1 誘電体(導電性がない場合 v=0)の境界条件
n×(E1−E2)=0,
n×(H1−H2)=0
† E=E0 e−i~t とおくと,c =a+ bi =± −i~nv =± ~nv / 2 _i −1i となる。
(1 . 17)
8 1 . 電 磁 波 物 理 n・(D1−D2)=0,
n・(B1−B2)=0
これらの式は,図 1 . 3 に示すように,媒質 1 と 2 の境界面(法線方向単位ベ
クトを n とする)において,電場と磁場の接線成分(添字 t)(n×E),(n×
B)が等しいことを意味し,また境界面において両媒体の電束密度と磁束密度
の法線成分(添字 n)
(n・D)
,
(n・B)それぞれが等しいことを意味している。
この物質内においてロスがなければ(v=0 により導電損がなく,また誘電率,
透磁率も虚数部が 0 である場合を想定)
,境界でもロスがないため,電磁波は
どこまでも伝播する。媒質 1 を真空(空気)とした場合,境界条件は式 (1 . 18)
のようになる。
H1 t =H2 t ,
f0 E1 n=fE2 n ,
4
n0 E1 n= nE2 n
ロ
ナ
ここで n,t は法線,接線成分を表す。
社
E1 t =E2 t ,
D1n=n・D1
n
B1n=n・B1
H1t=n×H1
E1t=n×E1
H2t=n×H2
E2t=n×E2
D2n=n・D2
(1 . 18)
媒質 1
媒質 2
B2n=n・B2
コ
図 1 . 3 絶縁体界面における電磁場の境界条件
1 . 4 . 2 完全導体の境界条件
図 1 . 4 のように,媒質 1 を空気(真空)
,媒質 2 を完全導体とする。
n×E1=0,
n×H1=Js
n・D1=ts ,
n・B1=0
4
(1 . 19)
この境界条件は,媒質 1 についてのみ記述されているが,媒質 2 の完全導体
内,および表面では E2=H2=0 である。すなわち完全導体中には,電磁波は
入らないということである。また,式 (1 . 19)
の表面電流 Js は媒質 2 の表面に
生じることになるが,これは媒質 1 の磁場(接線方向)を用いて式 (1 . 19)
で
記述される。ts は表面上の電荷密度である。
1 . 4 誘電体と導電体における電磁波の境界条件 9
E1
ts
媒質 1: 空気(真空)
n
Js
媒質 2: 完全導体
H1
n:表面法線単位ベクトル
E2=H2=0
図 1 . 4 誘電体と完全導体の
間の境界条件
ここで議論している金属は完全導体であり,電気抵抗のない金属表面にある
電流 Js が生じると考えるだけである。金属中にどれくらいの深さ範囲で電流
社
が流れるか,具体的な表皮厚さは考えられず,式上で Js が与えられても,金
属の導電率は無限大であり,実際に Js による損失はない。また,実際に Js を
見積もることはない。この境界条件は,金属表面に隣接する空間(例えば,導
ロ
ナ
波管やキャビティー内: 媒質 1 は空気や真空)内におけるマクロ的な電磁場
を解析するために用いられる境界条件である(電気壁境界条件)。
1 . 4 . 3 電気伝導度を有する誘電体
つぎに電気伝導度を有する誘電体に関しては,インピーダンスという周波数
コ
に依存した変数を用いて解析が行われている。本節ではまず物質のインピーダ
ンスを定義する。
〔 1 〕
電気伝導度を有する誘電体のインピーダンス 前項で述べたよう
に,物質内の電磁場はその物質の誘電率 f,透磁率 n,電気伝導度 v を用いて
記述することが可能である。物質内の電磁波における電場,磁場もつぎのよう
に表すことができる(式 (1 . 7)
,
(1 . 8)
参照)
。
E=E0 e−cz=E0 e−az ei(~t−bz)
(1 . 20)
H=H0 e−cz=H0 e−az ei(~t−bz)
(1 . 21)
ここで c=a+ib である。つぎに E0 と H0 との関係を調べる。E も H も z 方向
に進行しているが,その中で E0 が x 方向に振動しており(E0x 成分),H0 は y
方向の振動成分 H0y を持つとする(図 1 . 5)
。
10 1 . 電 磁 波 物 理 y
x
E0x
0
H0y
z
図 1 . 5 z 方向に進行する物質内電磁波における電場,磁場の振
動方向
E0x=E*0x e−cz
とおき,さらに H=H e
社
(1 . 22)
* i~t
として,これを式 (1 . 1) に代入すると次式のように
なる。
u _ nH i
uB
=−
=− n~ iH
ut
ut
ロ
ナ
d×E =−
(1 . 23)
において H0y を
ここでd×E は (uE0x / uz)・j(y 方向成分)となり,式 (1 . 23)
代入すると次式が得られる。
−cE*0 x e −cz=− n~ iH0 y ,
H0 y=
c
E e −cz
n~ i 0 x
(1 . 24)
コ
したがって,電場と磁場の大きさの比は,およそ
E0 x
n~ i
/Z=
H0 y
c
(1 . 25)
で表され,Z を媒質のインピーダンスと称する。これは電気抵抗の次元を有す
る(
〔V・m−1〕/〔A・m−1〕
=
〔V・A−1〕
)
。c=a+bi であるため,式 (1 . 9)
,
(1 . 10)
,
(1 . 24)
,
(1 . 25) より,Z は次式のようになる。
Z=
n~
a +b
2
2
=
n
f
1
1
v2 4
f 1+ 2 2 p
~ f
(1 . 26)
したがって,Z は v / ~f が大きくなると減少するとともに,金属の場合に仮
定した v>
>~f においては, Z = ~n / v となる。特に周波数が低いほど,Z
索 引
【え】
アイソレータ
31, 124
アイリス窓
29
アインシュタインの関係式
83
アクセプタ
90
アクセプタ準位
89
アプリケータ
23
アモルファス
221
アモルファスシリコン 219
アルミナ多孔質膜
209
アレニウスプロット
189, 208, 212, 221
永久双極子
33
泳動(ドリフト)
185
液相焼結
203, 208
エクストリンシック
169
エコーパルス
174
エネルギー損失
229, 242
エネルギーバンドギャップ
88
遠赤外線
167
円筒型
24
エントロピー弾性
63
円偏波
127, 177
【い】
【お】
ロ
ナ
コ
イオン空孔 48, 94, 96, 194
イオン結晶
48, 193, 231
イオン結晶固体
33
イオン伝導 50, 92, 96, 102
イオン電流
196
イオンの移動度
83
異常表皮効果
77
位相整合
237, 238
位相速度
130, 152
移動抵抗
59
移動度
78
異方性磁場
111, 115
イントリンシック
50, 165, 169, 170
インピーダンス
9
インピーダンス整合
30
【う】
渦電流損
113
活性化エネルギー
39, 55, 185, 187, 189,
208, 212
可動終端金属壁
29
可動電荷種
200
ガーネット構造
106
ガラス
45, 46, 52, 85, 95
慣性力
62
完全導体
1, 8, 227
管内波長
26
緩 和
62, 137
緩和型
44, 62
緩和型損失
47, 51
緩和過程
138
緩和関数
38
緩和機構
158
緩和強度
54
緩和現象
139
緩和時間
38, 78, 158, 159
緩和損失
231
緩和ピーク
39
社
【あ】
音響分枝
音響モード
音 速
温度依存性
温度勾配
音 波
167
153, 163
155, 159
86
191
162
【か】
外因性半導体
回転運動
回転共鳴
回転磁化
外部磁場
外部静磁場
拡散係数
拡散現象
拡散の異方性
拡散流束
86, 89
42
115, 136
119
118, 240
143
185
185
191
191, 218
【き】
キャリヤの移動度
79, 87
吸収曲線
121, 140
キュリー温度
105, 237
境界条件
7, 227
凝固組織
222
強磁性
105
強磁性共鳴
124, 137, 143, 173, 240
強磁性体
22, 108
強磁場
175
共 振
29, 237
強制振動
58, 166, 167
索 引 255
【く】
原子拡散機構
185
原子間ポテンシャル
155
原子空孔
55, 185
原子磁気モーメント
105
減衰距離
6
減衰係数
160
減衰項
119
減衰振動
57
減衰メカニズム
160
【こ】
コ
空 隙
193
空孔機構
186
空洞(キャビティー)
23
矩形型
24
駆動力
185, 191, 192, 195, 204
クラウジウス・モソッティ 36
─の関係
71
─の式
34, 232
クロスオーバー
141, 142
群速度
152
【け】
形状磁気異方性
110
結晶化
202, 215, 219
結晶磁気異方性
110, 111
結晶粒
201
結晶粒界
100, 189
結晶粒径
204
結晶粒成長
202, 210
結晶粒成長速度
203, 207
原子(イオン)分極 43, 233
サセプタ
99, 205, 219
酸化物
101
酸化物半導体
87
酸素分圧依存性
93
残留磁化
114
残留損
113
【し】
磁 化
180
磁化機構
109
磁化の方程式
124
磁化容易軸
111
磁化率
111, 241
時間平均
198, 230
磁気異方性
110, 145
磁気機械結合
177
磁気共鳴
115, 140
磁気損失
20, 137, 237
磁気弾性
173, 176
磁気弾性波
174
磁 区
108
磁区構造
136
自然共鳴 113, 115, 136, 137
磁束密度
4, 144
実効値
230
磁 場
4, 13
磁場最大位置
237
自発磁化
105, 108
磁場分布
76
磁 壁
108
─の移動
109
シミュレーション
193, 197, 209
遮断波長
26
ジャンプ頻度 96, 186, 187
周期構造体
68
集団運動
235
集中効果
192
自由電子
234
周波数
2, 21, 23, 39, 44, 54, 74,
76, 113, 121, 163
縮 退
139
社
固相焼結
203
固相反応
202
光学分枝
167
光学モード
153
交換エネルギー
131, 146
交換磁場
132
交換積分
108, 112
交換相互作用
108, 112, 131, 175
交換相互作用エネルギー 146
格子欠陥
47, 50, 85, 231
格子振動
79, 80, 85, 138, 141, 151,
153, 164, 165
高周波磁性材料
115
高周波電場
195
高周波複素透磁率
122
光 速
152, 225
交流インピーダンス
78
交流インピーダンス法
81
固相反応
202, 223
固体イオニクス
98
孤立気孔
203
混合導電体
97
ロ
ナ
共 鳴
62
共鳴型
44, 62
共鳴吸収
121
共鳴磁場
145
共鳴周波数
118, 128, 130, 136
共有結合性
98
共有結合性物質
202
局在表面プラズモン共鳴 71
局所電場
34
極性分子
53
均一歳差運動
134
均一モード
138, 141
金 属
85, 161
金属細線
68
金属ナノ粒子
67
金属粉体
15
金属粉末
14
金属粒子
15
【さ】
歳差運動
最終到達密度
最適周波数
最適寸法
再配列過程
材料組織形成
115, 116
206
74
74
204
202
256 索 引 超音波
超音波エコー
直接マイクロ波加熱
直線偏波
ロ
ナ
コ
【す】
スイッチング関数
57
スタブチューナー
30
スタブ調整
238
スピネル型
95
スピネル構造
106
スピノーダル分解 216, 217
スピン-格子緩和
121, 138, 141
スピン歳差運動
179
スピン-スピン緩和 122, 138
スピン-スピン緩和過程
138, 140
【た】
多結晶体
211
縦緩和
121
縦 波
155
縦波速度
151
弾性エネルギー
111
弾性衝突
157
弾性波
142
弾性波動
151, 153, 162
弾性変位
177, 180
【ち】
緻密化
超イオン伝導体
204, 211
96, 102
151
182
223
127
【つ】
粒成長速度
211
【て】
定在波
26, 180
デバイ温度
86, 155, 157
デバイ型
38, 139
デバイ型緩和
140
デバイ緩和
45, 233
デバイ緩和型
51, 55
デバイ振動数
155, 157
出払い領域
90
デルタ関数
172
電荷分布
193
電荷密度
8
電気機械結合
174
電気双極子 21, 33, 59, 165
電気抵抗
85
電気伝導度 4, 86, 226, 235
電気壁
9
電気炉加熱 206, 209, 213,
215, 222, 223
電 子
87
電磁気力
175
電子伝導
92, 102
電磁波
2
電磁波エネルギー
20, 29, 115, 138, 149
電磁場解析
15, 16
電磁波浸透距離
6
電磁波伝播
128
電磁場分布
15, 25, 227
電子分極
43, 166, 233
電磁メタマテリアル
67
電子レンジ
31
電束密度
4, 60
テンソル透磁率
124, 126
伝導電子
161
社
ジュール加熱
130
17 スピン波
ジュール損失
145 スピン波共鳴 142, 178, 179
ジュール発熱
95
1, 73, 161 スモールポーラロン
昇温速度
213
【せ】
焼 結
15, 17, 202
焼結過程
193, 203 正 孔
87
焼結初期過程
200 静磁界
116
焼結助材
100, 212 静磁場
182
焼結速度
189, 202, 206 静磁場印加
175
常磁性
106 正常粒成長
212
常磁性共鳴
118 静電エネルギー
218
常磁性体
111 整 流
193
状態密度
154, 157 ゼーマンエネルギー
132
状態密度関数
88 (ゼーマン)分裂
118
衝突時間
64, 234, 235 セラミックス
45, 193
蒸発凝縮機構
204 遷移状態
36
磁 歪
111, 173, 180 線収縮率
204
シングルモード
潜伏期
238
214, 236, 238
【そ】
シングルモードキャビティー
28 双極子モーメント
34, 231
伸縮運動
42 相分離
217
真性半導体
86 相変化
202
真性領域
90, 100 相変態
215
振動運動
42 促進効果
207
浸透距離
1, 73, 225 速度過程
215
振動子モデル
ソーダ石灰ガラス
102
57, 63, 165, 233 損失電力
20
振動電場
191
索 引 257
【と】
11
入射波
【ね】
熱エネルギー
158
ネック
200, 203
熱振動
151, 162
熱伝導度
158
ネットワークアナライザ 30
熱フォノン
158, 160, 161
熱平衡
146
熱平衡状態
48
熱平衡分布
157, 161
熱暴走
55, 206
燃焼合成反応
224
【の】
濃度勾配
濃度の揺らぎ
濃度波長
濃度プロファイル
コ
ロ
ナ
透過係数
11
透過波
11
同軸ケーブル
23
動重力
191
透磁率
4, 126, 231
等電位線
200
導電性物質
63
導電率
78, 231
導波管
23, 24
導波管内
25
透明セラミックス 212, 214
特殊効果
191
特殊相
222
特性拡散距離
194
特性値
5, 225
特性(減衰)距離
160
ドナー
90
ドナー準位
89
ドープ
239
ドープ量
90
ドリフト
78, 85
ドリフト速度
79
ドリフト電流
79
ドルーデモデル 63, 66, 234
【に】
【な】
内 的
内部磁場
165
110
半導体
86, 101, 161
半導体発振器
23
バンド間遷移
162
バンドギャップ 90, 92, 162
バンド構造
69, 92
半値幅
61
反応経路
223
【ひ】
ピーク温度
51
非結晶化
221
非酸化物セラミックス
98
非晶質化
221
ヒステリシス損
113, 115
ヒステリシスループ 113, 114
左手系の材料
69
非調和項
156
非調和振動
155, 156, 167, 171
非熱的(な)
効果
191, 208, 224
非熱的分布
173
非熱平衡相
222
非熱平衡的分布
161
比誘電率
6, 38
表皮厚さ
1, 6, 74, 227
表皮効果
77
表面インピーダンス
14, 227, 228
表面温度
189
表面拡散
204, 209
表面拡散係数
196
表面電荷密度
227
表面電流
8
表面プラズモン
70
頻度因子
39, 187
社
伝導電流
4
電 波
2
電 場
4
伝 播
6, 124, 150, 152
電 場
13
─の集中
103
電場最大位置
189, 237
電場 / 磁場分布
27
電場 / 磁場分離加熱 28, 236
電場集中
200
電場分布
200, 218
191
217
219
188
【は】
配向分極
39, 62, 233
ハイブリッド加熱
205, 219, 223
波 数
6, 131, 134, 159, 175, 217
波 長
2, 6, 26, 81, 131, 141,
151, 153, 162, 170
発熱量
76, 83
反強磁性
107
反磁性
107
反磁場
110, 133, 136
反磁場係数
110, 133
反射係数
11
反射波
11
反転(ウムクラップ)
プロセス
155
反電場
235
反電場係数
35, 71
【ふ】
フェライト
94, 106, 115, 124, 129,
145, 221
フェリ磁性
106, 221
フェルミエネルギー
79
258 索 引 【へ】
【ま】
マイクロ波加熱
100, 190, 211
マイクロ波加熱速度
56
マイクロ波吸収
167
マイクロ波磁気工学
124
マイクロ波磁場
125
マイクロ波周波数
226
マイクロ波焼結
15, 206, 207
マイクロ波超音波
173, 174, 178
マイクロ波電場
185
マイクロプラズマ
208
マグネタイト
145
マグネトロン
23, 143
マグノンバンド
135, 138
摩擦係数
58
摩擦力
62
マルチモード
236, 238
マルチモードアプリケータ
31, 214
ロ
ナ
77, 158
160
142
42
7, 13, 226
215
216
217
コ
平均自由行程
平均衝突時間
平行励起
並進運動
変位電流
変態促進効果
変態率
変調構造
ポンデロモーティブ力
191, 207
【ほ】
ポアッソンの式
195
ポインティングベクトル
1, 20, 229
方向性結合器
31
放電プラズマ焼結
208
飽和磁化
111, 114, 125, 136, 144
保磁力
114
ボーズ-アインシュタイン
統計
155, 157
ホッピング
139
(ホッピング)伝導
81
ホッピング伝導
95
ポーラロン
95
誘電体
6, 7, 11, 14, 33, 60, 69,
159, 160, 170
誘電体共振器
170, 223
誘電伝導
22, 231
誘電率
4, 166, 226, 231
真空の─
6
誘導電流
1, 73, 75, 227
誘導電流加熱
6
誘導電流損失
20, 21, 55
【よ】
溶融温度
横緩和
横緩和時間
横 波
横波速度
社
フォノン
141, 153, 163
復元力
61, 62
複素透磁率
20
複素誘電率
20
不純物原子
85
不純物領域
90
不定比酸化物半導体
92
プラズマ振動数 65, 67, 235
プラズモン
236
プランジャー
29
ブリルアン散乱
165
ブリルアンゾーン
153
ブリルアンゾーン境界 154
ブリルアンゾーン端
167, 168, 171
分散関係
152
分散曲線
128
【み】
右手系の材料
69
【む】
無機固体
無秩序分布
45
171
【め】
メタマテリアル
103
121
140
155
151
【ら】
ラマン散乱
165
【り】
粒界移動
203, 211
粒界拡散係数
205
粒界層
100
粒界面
202
流 束
195
良導体 1, 12, 14, 227, 228
臨界波数
218
【れ】
レイリー定数
114
【ろ】
69
【ゆ】
融 解
102
誘電関数
65
誘電損失 20, 21, 33, 41, 169
誘電損失機構
168
誘電損率
39, 169
ローレンツ(型の)関数
61, 172
ローレンツ電場
35
ローレンツモデル
58, 60, 66, 165, 234
ローレンツ力
174
【わ】
ワイドギャップ半導体
92
索 引 259
【A】
【L】
161
【B】
Bloch-Bloembergen 式
122, 138
Landau-Lifshitz の式
Landau-Rumer の理論
【M】
【N】
194
【F】
94, 143, 145
119, 137
145
176, 178
Fe3O4
FMR
FMR 加熱
FMR 条件
【K】
コ
Kittel
133, 175
Kittel 共鳴
134
Kramers-Kroenig の関係 39
Verwey 転移
95
【X】
191
170
29
215
X 線回折
【Q】
120
240
3
ISM 帯
pmf
28
24
24
92, 215
24
154, 167
171
164, 165
【V】
【P】
ロ
ナ
【I】
93
157
NiO
N(正常)-プロセス
Q
Q値
【G】
Gilbert の式
Gilbert 方程式
3
Maxwell の式
【D】
Debye-Huckel 層
120
160
社
Akhiezer の理論
TE103
TEM モード
TE モード
TiO2
TM モード
TO
TO 分枝
TO モード
【Y】
106
106
Y3Fe5O12
YIG
【S】
【Z】
Schlömann の理論
170
Si
101
SiC
99, 101
Si ウエハー
219
Snoek の限界
115
Sparks
168, 169
Zeeman エネルギー 146, 176
Zeeman エネルギー項
146
【T】
TA
tan d
165, 167
45, 171
【数字】
2 フォノン機構
167, 169
2 フォノンプロセス
167
2 フォノンモデル
171
2 マグノン過程
138, 139
3 d 電子
105
3 d 不対電子
108, 221
―― 著 者 略 歴 ――
東北大学工学部卒業
工学博士(東北大学)
東北大学助教授
東北大学准教授(大学院環境科学研究科,工学部材料科学総合学科)
現在に至る
ロ
ナ
社
1980 年
1988 年
2003 年
2007 年
材料マイクロ波プロセッシングの基礎
Introduction to Microwave Processing of Materials
Ⓒ Noboru Yoshikawa 2014 2014 年 6 月 23 日 初版第 1 刷発行
著 者
発 行 者
コ
検印省略
印 刷 所
★
吉 川 昇
株式会社
コロナ社
代 表 者
牛来真也
新日本印刷株式会社
112 0011 東京都文京区千石 4 46 10
発行所 株式会社 コ
ロ
ナ
社
CORONA PUBLISHING CO., LTD.
Tokyo Japan
振替 00140 8 14844 ・ 電話(03)3941 3131(代)
(製本:愛千製本所)
ISBN 978 4 339 04637 3 (大井)
Printed in Japan
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