CFRPの曲げ加工に関する研究

材料分野
平成27年度共同研究
CFRPの曲げ加工に関する研究
担当部所
: 栃木県産業技術センター 県南技術支援センター
共同研究者 : 株式会社シンシ
背景
近年、短時間で加工が可能な炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(CFRTP)が自
動車分野において注目されており、今後の利用拡大が見込まれている。
本研究では,CFRTP加工法の拡大のため、連続繊維CFRTPには空気圧式の圧縮
成形機を、不連続繊維CFRTPには真空成形機を用いて加工の可能性を探った。
各加工法により、コの字加工品及び角筒型加工品を作製し、加工品に対して形状
測定を行い、加工性について考察した。
CFRTP加工品の写真(例)
研究目標と結果
研究目標
●一方向曲げ品においては、厚さ1 mmの板に対し、R = 5 mm以下で曲げ角度90 ± 0.5°を達成する。
●三次元形状加工品においては、角筒を成形し、短辺に対し1/3の深さの成形品を得る。
実施内容
① 連続繊維CFRTPの一方向曲げ加工
成形機:圧縮成形機(空気圧式)
CFRTP材料
マトリックス : ナイロン6(PA6)
厚さ : 1.15 mm
Vf : 50 ~ 55 %(3K平織り)
予備加熱:250 ℃(5 min)
評価:加工品の雄型当たり面における
底面と側面のなす角度を測定
金型温度が低下するにつれ
てほぼ直線的に角度が増加。
型閉じ時の加圧を除去
(型にシリコンゴムスペー
サーを金型にセット)
○底面の加圧
○マトリックス樹脂
の結晶化度
が複合的に,加工品寸
法に対し影響を与えて
いることが示唆された。
加工品側面
から形成
加熱による膨張
外側の炭素
繊維が押し
出され,側面
が内側に倒
れ込む。
図3 コの字型加工品の加工過程
(a)型閉じ初期の模式図
(b)型閉じ完了時の模式図
(c)(b)の角部拡大図
図2 各金型温度に対する加工品の角度
図1 雄型形状
(a) 圧力:4kN,加圧時間:30秒
(b)圧力:4kN,加圧時間:30秒,シリコンスペーサー使用
② 連続繊維CFRTPの角筒型加工品の加工
成形機・材料・予備加熱
: ①のとおり
評価:加工品の深
さを測定
金型温度及び圧力
を高くすることで、加
工品深さは深くなり、
金型温度180 ℃で型
閉じが完了した。
図4 雄型形状
図5 圧力、金型温度と しわ(型当たり前に
加工品の深さの関係 マトリックスが固化)
③ 不連続繊維CFRTPの角筒型加工品の加工
成形機:真空成形機
それぞれ1条件のみで
CFRTP材料
加工が可能であった。マ
マトリックス : ナイロン6(PA6)
トリックスのPA6は、融点
厚さ : 1 mm
前後での体積変化及び
Vf : 20 %
流動性変化が大きい材
ヒーター温度
上380、下360℃
上420、下400℃ 料である。真空成形する
に当たり、材料温度が低
すぎると変形できず、高
95.5 mm
すぎるとドローダウン量
129 mm
139 mm
が大きくなり過ぎるため、
加工可能な温度範囲は
86 mm
狭いことが考えられる。
図6 不連続繊維CFRTP角筒加工品の写真
まとめ
●空気圧式の圧縮成形機により連続繊維CFRTPを、真空成形機により不連続繊維CFRTPを加工した。
●連続繊維CFRTPの加工には金型温度が、不連続繊維CFRTPの加工には材料加熱温度が加工性に影
響する結果となった。
ご来場の皆様へ
問い合わせ先:栃木県産業技術センター 県南技術支援センター
TEL 0283(22)0733
CFRTPの賦形加工が可能です。
自動車部品等への応用が期待されます。
Industrial Technology Center of Tochigi Prefecture