06110008IM Co r p o rat e So ci al R es p o n s i b i l i t y R ep o rt 2 0 0 6 CONTENTS 会社概要 編集方針 本レポートは「持続可能な発展」に向けた太平洋セメントグルー ■本社所在地/〒104-8518 東京都中央区明石町8-1 プのCSR(企業の社会的責任)活動の状況を取りまとめたものです。 ■グループ/子会社327社 関連会社153社 うち (連結子会社176社 持分法適用会社 72社) 本レポートの 対 象 範 囲 (2006年3月末現在) ■セメント生産拠点/国内11、米国3、中国3、ベトナム1、 フィリピン1、韓国2(グループ会社を含む) 08 1. 対象期間 業績の概況 国内セメント事業は、国内需要増加による販売数量増により、前期に比べ増収となりました。海外セメント 人 20,000 事業は、 アメリカ西海岸などの業績が好調でした。 これらにより、2005年度(2006年3月期)の連結売上高は 18,098 872,686 800,000 40,000 600,000 299,177 291,734 309,016 49,792 38,264 200,000 0 03 2,143 04 2,061 05 年度 3,730 641 0 20,875 20,000 8,890 ※2005年度(2006年3月末) 単体従業員数(2,061名)の内訳 ・男性= 1,915名 ・女性= 146名 -10,000 -20,000 -22,721 0 03 連結 04 05 年度 0 03 04 05 年度 -30,000 03 04 05 年度 単体 所在地別概況 ■主な事業拠点 その他 0.4% アンカレッジ アジア 香港 ハノイ 東海 太平洋セメントUSA ロサンゼルス 分は、セメント事業に含めて集計しています。 50 ( 2 )環 境 負 荷・環 境 会 計 デ ータ以 外 の 情 報 は 、太 平 洋 セメントグ マニラ 持ち株会社 セブ 所在地別売上高構成比(2006年3月期・連結) 駐在員事務所 セメント工場 (地域内訳) クリンカ粉砕工場 ル ープ( 当 社と子 会 社 3 2 7 社 、関 連 会 社 1 5 3 社 )の 取り組 み に コミュニケーション活動 50 55 55 57 廃棄物のリサイクル 62 63 CSRレポート2006によせて 鉱山における環境・安全配慮 安全な職場づくり ユーザーニーズに応える 取り組み 構造物の長寿命化・軽量化 快適な生活環境づくり 新たな製品・技術の開発 ステークホルダー・ミーティング 1 . 環 境 省 環 境 報 告 書ガイドライン(2 0 0 3 年 度 版) ■環境事業 廃棄物の処理サービスならびに脱硫材など環境商品の製造・販売 ■建材・建築土木事業 建築・土木資材、 コンクリート製品などの製造・販売、土木・建築工事 精密セラミックス製品、圧電セラミックス製品、 ■セラミックス・ エレクトロニクス事業 金属基複合材料(MMC)部品、 カーオーディオチューナーなどの製造・販売、電子部品受託生産 不動産事業、エンジニアリング事業、情報処理事業、 金融事業、運輸・倉庫事業、 スポーツ事業など 58 2 . G R I サステナビリティ・リポーティング・ガイドライン20 0 2 その他 骨材・鉱産品などの製造・販売 43 環境パフォーマンス その他・・・・・・・ ハンガリー、パプアニューギニア 事業別概況 ■資源事業 働きやすい職場づくり 環境会計 つ いて、社 名を明 示して報 告しています。当 社と表 記した 場 合 参 考ガイドライン セメント・固化材・生コンなどの製造・販売 35 38 41 環境負荷の全体像 アジア・・・・・・・・ 中国、マレーシア、ベトナム、 フィリピン パプアニューギニア ■セメント事業 環境マネジメント には 太 平 洋セメント(株)を指します。 北米・・・・・・・・・・米国 セメントターミナル 太平洋シンガポール 21 22 24 26 33 秩父太平洋セメント(株)秩父工場(埼玉県) (注2)財務会計上は発電事業をセメント事業セグメントに含めています。 シンガポール ■その他 35 ② 分 社 化し設 立した 子 会 社 の 工 場 − 1 社 1 工 場 (注 1)環 境 事 業 の 廃 棄 物 処 理 サービスにお いて、セメント工 場を活 用 する部 コルトン リリトー 台北 台中 高雄 バンコク ホーチミン 龍振鉱業(株)大船渡鉱山(岩手県) 武甲鉱業(株)武甲鉱山(埼玉県) 秩父鉱業(株)御堂鉱山(埼玉県) (株)イシザキ藤原鉱山(三重県) 津久見鉱業(株)津久見鉱山(大分県) 香春鉱業(株)香春鉱山(福岡県) 明星セメント(株)田海鉱山(新潟県) 秩父太平洋セメント(株)三輪鉱山(埼玉県) 秩父太平洋セメント(株)叶山鉱山(群馬県) モハベ 80.4% ギソン ① 当 社 に 原料を供 給している子 会 社 の 鉱 山 − 8 社 9 鉱 山 の環境負荷・環境会計データを集計しています。 ストックトン 太平洋セメント本社 情報セキュリティ セメント セラミックス・ エレクトロニクス 8.0% 7.2% 建材・建築土木 10.7% 6.8% 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 寧越 南京 上海 リスクマネジメント また、セメント、資 源、環 境(注 1)、発 電(注 2)の 4 事 業セグメント 10.9% ポートランド 北京 太平洋水泥(中国)投資 秦皇島 大連 CSRマネジメント コンプライアンス 8.3% 北米 シアトル 日本 経営理念・行動指針 コーポレート・ガバナンス 社会的な取り組み 10,000 2,187 9,101 21 慮し、以下の国内子会社事業所を含めています。 14,412 10,000 35,142 8,782 当社単体の鉱山・工場(自家発電所を含む) ・サービスステーシ ョンを報告対象組織としていますが、事業上の緊密な関係を考 5,000 08 09 10 16 19 20 2. 対象組織 (1)環 境負荷・環 境 会 計データの 集 計 範 囲 純利益 百万円 20,000 16,518 30,000 400,000 17,170 10,000 経常利益 百万円 50,000 906,657 17,469 CSR経営の浸透を図る― 持続可能な企業を目指して 環境保全の取り組み したこともあり、連結当期純利益は、91億円(前期比36.9%減) となりました。 879,484 従業員数 15,000 より、連結経常利益は、497億円(前期比30.1%増) となりました。 しかし、固定資産の減損損失334億円を計上 売上高 2 0 0 5 年 度(2 0 0 5 年 4月1日∼ 2 0 0 6 年 3月3 1日)の 実 績を対 象と しています。な お、対 象 期 間以降でも、重 要と思わ れる事 項 は 時 期 を明 示して掲 載しています。 9,066億円(前期比3.9%増) となりました。 また、 リサイクル資源の活用拡大や物流コストの削減努力などに 百万円 1,000,000 従業員数の推移 トップ対談 ● CSR経営の基盤 ■商号/太平洋セメント株式会社 ■設立/1881年5月3日 ■資本金/69,499百万円 04 58.3% 環境 9.0% 資源 事業別売上高構成比(2006年3月期・連結) ※財務情報の詳細を取りまとめた「アニュアルレポート」は、当社ホームページ(http://www.taiheiyo-cement.co.jp)からダウンロードできます。 62 編集後記 トップ対談 (麗澤大学教授 高 巖氏を招いて) CSR経営の浸透を図る― 持続可能な企業を目指して 太平洋セメントはグループ全体のCSR経営の推進に取り組んでいます。その方針や考え方を明らかに 責任しか負わず、自然人が負うべき責任を法人に転嫁したので 中でもよいし、飲んだ席でもよいのですが、そうすることにより すから、顧客、地域社会、従業員などのマルチステークホルダー 相互に信頼関係も醸成されるでしょう。まず人間対人間の良好 に対する社会的責任は法人である企業が負わなければなりませ な関係が整って、それから仕事や事業です。CSRを云々する以前 ん。法人が自然人と同じ責任を担うというのが、株式会社制度の の問題です。合併により太平洋セメントが発足して8年になりま 出発点だと思います。 すが、従業員の中ではすでに旧会社意識のようなものは解消さ れ合併の残渣はないと思います。ですから、そろそろ太平洋セメ ントグループとしての価値観を固めて共有していける時期では トップや上司が思いを語るべき 鮫島:いま太平洋セメントの社長として、 グループ会社に働く従 すると同時に、企業に対する社会の期待を踏まえて今後の課題を探るため、麗澤大学教授高巖氏を 業員のCSR・コンプライアンス意識の向上を進める立場にあり お招きして弊社代表取締役社長 鮫島章男との対談をお願いいたしました。 ます。一昨年、孫会社で起きた不祥事では当然ながら私が関係 (実施日:2006年7月7日(金)場所:太平洋セメント本社応接室) ないかと考えています。 あらゆる行動が企業の評価に結びついている 先をまわってお詫びを申し上げたのですが、日常的にグループ 高:信頼関係の醸成は社員だけでなく、取引先との関係におい 会社全従業員と意思疎通を行なうことは現実的には不可能です ても大事です。ある食品会社で国内では問題ないが輸出先で し、目も行き届きません。 は認められていない添加物を使用していたことが判明したとき CSRは当然の責務 に、仲介業者の「そこまで心配しなくてもよいのでは」 という声を 高:鮫島社長の座右の銘は「信用」であるとお伺いしています。ま 高:どこの会社のトップも抱えておられる悩みですね。私が関係 た、 「企業は人々を幸せにするために生まれてきた」 とのお考え するある企業でも先日不祥事が報道され株主総会でもトップが を昨年のCSRレポートのトップ・メッセージで話しておられます 質問攻めにあいましたが、日頃の取締役会では非常に活発な議 が、 これはどのような経験や体験から生まれた信念でしょうか? 論が行なわれているのを知っているだけに、自ら結果責任をとら 抑えて、 トップが輸出を止め、結果的に従業員からも、取引先か れたことには大変忍びないものを感じました。そもそも、多くの 鮫島:入社して最初に配属されたのが経理部だったのですが、 企業でそんなに簡単にトップが交代して、経営が成り立つのかな 当時の会社は日々の資金繰りに追われているような状況でした。 という気がします。 入社2年目の頃でしたが、金策にあたり非常に苦労して、いかに 会社の「信用」が大切であるか身をもって体験しました。 鮫島:そこで、2004年に社内カンパニー制を導入して、7つのカ また、昭和40年代後半でしたが、三重県の四日市からほど近 ンパニーのプレジデントに権限を委譲しました。2年経って少し い所にある藤原工場で公害問題の交渉窓口を務めたことがあり は地に足がついてきた段階ですが、 グループの隅々までコンプ ます。私は工場の従業員なのですが、家に帰れば地域社会の一 ライアンスやCSRの考えを浸透させるのは容易なことではありま 員でもあり、利害が対立する2つの立場の間で「企業とは何だろ せん。 う?」 と自問したことを覚えています。そんな経験から、企業は社 会の中の一員であり、事業は「世の中の人々を幸せにする」ため 高:カンパニー制で事業に関する責任や権限の委譲が進み、カ の手段であり、多くの業界・企業が役割を分担しているのだと思 ンパニー間の競争など良い意味で活性化するでしょうが、逆に いました。確かに利益が出なければ長続きしませんが、決して儲 企業としての社会的責任がないがしろにされるようなことがな けるためだけにやっているのではないと思います。法人も自然 いか懸念するのですがいかがでしょうか。各カンパニーのプレジ 人も基本的には同じで、社会において個人に求められるような デントはトップの考えていること、すなわちCSRへの思いなどを、 倫理観は企業にも求められると考えています。 それぞれの部下に伝える責任があるのではないでしょうか。 高 巖(たか・いわお)氏 高:法人が社会的責任を負うのは当然です。会社の果たすべき 鮫島:私も、カンパニープレジデントはもちろんのこと、各セクシ 麗澤大学国際経済学部教授、同大学企業倫理研究センター長 責任は株主利益の最大化に尽きるという考え方がありますが、 ョンの管理者は、人生のアイデンティティーともいうような自分 おかしな論理だと思います。そもそも株主は出資分に限定した の哲学を、もっと部下に話す義務があると思っています。仕事の Profile 著書: 『「誠実さ(インテグリティ)」を貫く経営』 (日本経済新聞社)ほか 太平洋セメント (株)代表取締役社長 鮫島 章男 4 Corp orate Soci a l Re s pons i bi l i t y Re por t 2006 Co r p o rate So cial Res ponsibility R eport 2006 5 トップ対談 (麗澤大学教授 高 巖氏を招いて) らも高く評価されたことがありました。いろんな場面での行動や っていないといけないと思います。社会からの評価や批判を謙 しいと実感しました。総論では皆が賛成しているのですが、誰が れは私が個人的に興味を持っているテーマですが、外国公務員に 発言が全部積み重なって、その会社やグループの品格が作り上 虚に受け止めるよう心掛けるとともに、対外的な信用を築く上 リーダーシップを取るのかで交渉が行き詰まることもたびたび 対する贈賄防止について何か社内基準を持たれていますか。 げられていくのだと思います。 での大きな責任を自覚しています。 ありました。御社はWBCSD(持続可能な発展のための世界経済 鮫島:一昨年の不祥事はある製品の試験成績の取引先への虚偽 報告だったのですが、そのとき私は従業員に対して「コンプライ 人会議)にも参画されていますが、 こうしたグローバルな産業界 鮫島:社内基準はありませんが、遵法を徹底するために事業展 の活動に参加される意味をどのように評価していますか。 開が遅くなることもあります。国際的にCSRの絶対的基準という CSRの推進は企業と社会の共同作業 のは難しいでしょうから、国によっての基準が必要ではないかと アンスの徹底のお願い」 という緊急メッセージを出しました。 「当 鮫島:社会的課題解決に向けて企業が役割を果たす、 とくに本業 鮫島:なかなか社内でも理解してもらうのが難しいのですが、私 社が提供している製品はセメントにしても生コンにしても中間 で取り組むCSRということになると、セメント産業の廃棄物リサイ は社会の持続可能な発展のために欧米発のこうした活動は非 製品であり、その意味では未完成品である。将来良いコンクリー クル事業などはその典型といえるかもしれません。 日本では毎年 常に大切だと思っています。食わず嫌いで批判するばかりでなく 高:先日大学の方で公開討論会を行ない多数の意見をいただい ト製品・構造物になるであろうという信頼のもとで買っていただ 4億トンの産業廃棄物と5千万トンの一般廃棄物が排出されてい 中に入って積極的に意見を発信すべきです。ただし、WBCSDの ているのですが、この問題は単に法令違反だからだめだという いている。当社の事業は『信頼』がベースである。」 ということを改 ますが、その7%弱に相当する約3千万トンを国内のセメント産 セメント部会の活動はヨーロッパ主体の課題認識が中心である のでなく、そもそも守れないルールを社員に押し付けることの問 めて訴えました。 業で原燃料としてリサイクルしています。 ため、当社の環太平洋という事業地域を考えるとAPPのセメント 題意識、さらには途上国の特権階級を不正に潤すことが、その国 もちろん廃棄物の発生抑制が最優先であり、各産業ではゼロ タスクフォースに大きく期待し、積極的に関与していきたいと思 の正義にかなった経済発展を阻害しているという倫理的な課題 高:その後、従業員のコンプライアンス意識はどのように変化し エミッションに取り組んでいますが、家庭ごみのような一般廃棄 っています。 認識が必要だと思います。 たでしょうか。 物ばかりでなく産業廃棄物といわれるものも、上下水道の汚泥 思います。 私は、普段の仕事そのものが倫理教育の場だと思っています。 や石炭火力発電所の灰のように私達の生活に直結して不可避 高:国際的な課題への取り組みは、1社の努力だけでは絶対に出 例えば、特に社内規程を設けなくても不正行為を続けたホテル 鮫島:残念ながら、頭で理解はしていてもまだ徹底できていない 的に発生するものが多くありますから、簡単には削減できませ 来ないことですから、誰かがリーダーシップを取って 「みんなでや への宿泊を見合わせる上司を見て部下がそうした意識を持つ、 と思います。それと従来は見過ごされていたことが、今日では許 ん。やっと最近は、セメント産業が持つ静脈産業としての機能を ろうよ」 という形に持っていかなければなりません。そもそも市民 といったような企業が「インテグリティ (誠実さ)」を持って事業を されないということがあります。例えば、生コン会社が納入現場 世の中に認めて貰えるようになってきました。当社では特に生活 がCSRを積極的に進める会社を応援しようとしなければ、自分の 遂行できる人材を輩出する会社になると思います。 で余ったコンクリート (戻りコン)を持ち帰って敷地内に積んでお にかかわる廃棄物の再資源化に向けて十数年前から技術開発 利益をある意味で犠牲にしてまで一生懸命やっている会社は長 き、敷地を整理する際に地ならしにそれを使うということは、自 を進めてきました。今日「エコセメント化事業」のようにビジネス 続きしません。企業と市民がキャッチボールをしながら先に進ん 鮫島:日本では少子高齢化社会に向かって企業も人材確保が鍵 社の敷地内であっても「不法投棄」に当たります。法規制の改正 と結びついた形で社会貢献できることを誇らしく思っています。 でいくしかないと思います。私も、市民とか消費者の意識に何らか だといわれています。また、海外での事業機会もますます増えて のインパクトを与えられればいいなと思って活動しています。 いくでしょう。そうした「誠実さ」を身につけた人材育成ができる ところで、御社はすでに中国やベトナムに進出されています。 こ よう、CSR経営を企業風土・文化のレベルまで深化させていきた はもちろんのこと、運用強化など社会動向の変化についても、 グ ループ内に伝えていくことが大事だと思います。 高:自社のごみを減らすだけでなく、廃棄物リサイクルをビジネ スとして展開し、 しかも社会的問題解決に貢献できるのは素晴 高:会社法の施行に伴い、今、各企業は内部統制の整備を進めて らしいことです。そうした技術やノウハウを海外に技術移転すれ いるところだと思います。企業の不正は必ず財務情報に表れる ば国際貢献もでき国際競争にも勝てるのではないですか。 いと思っています。 ので、米国では、社内的な企業倫理のコントローラーとして中心 的な責任を担うのは経理・財務部門ということになっているよう 鮫島: 実際、海外からの見学者もずいぶん来られます。ただ、省 です。また、日本のある経済団体を通じて意識調査をした時に、 エネや廃棄物再資源化の技術・ノウハウをどうやって移転するの 仕事において良心に反する行動をとらざるを得ない状況の有無 がよいのか悩ましいところです。途上国にもそれぞれに政策があ を尋ねました。職種別にみて良心の葛藤を覚える度合いは、利益 りますし、当社も無償での援助というわけにはいきませんから、 とコンプライアンスの狭間に常に立たされている営業部門が強 CDM(クリーン開発メカニズム)やAPP(クリーン開発と気候に関 いものと推測していたのですが、最も強いのは経理・財務部門と するアジア太平洋パートナーシップ)などを通じてその方策を探 いう結果が出て驚きました。 っているところです。 社長は財務畑の経験が大変長いとのことですが、内部統制の 観点からみれば結構なことだと思います。 高:私も、2002年から2004年にかけて、SR(社会的責任)の国際 標準化に向けたISO規格化の入口議論に携わったことがありま 鮫島:トップの出身畑はあまり関係ないと思いますが、哲学を持 6 Corp orate Soci a l Re s pons i bi l i t y Re por t 2006 すが、多くの利害団体の中で国際交渉をまとめるのは本当に難 Co r p o rate So cial Res ponsibility R eport 2006 7 コーポレート・ガバナンス CSR経営の基盤 ためには、 コーポレート・ガバナンスの強化 が重要であると考え精力的に取り組んでいます。 CSR経営の基盤 CSR経営の基盤 経営理念・行動指針 経営理念に基づき、 グループとしての企業価値を高め、様々なステークホルダーの期待に応える …………………………P.08 コーポレート・ガバナンス ……………………P.09 コーポレート・ガバナンスの充実に向けた取り組み CSRマネジメント ………………………………P.10 「内部統制システム構築の基本方針」の策定 ーポレート・ガバナンス、②リスク・コンプライアンス、 コンプライアンス ………………………………P.16 会社法および会社法施行規則に則り、 当社および ③財務報告、の観点から内部統制システムの構築を リスクマネジメント ……………………………P.19 当社グループ各社が業務を適正にかつ効率的に運営 図っていく体制をとっています。 情報セキュリティ ………………………………P.20 していくことを確保する体制について、現在までに運 用している様々な制度等を一層充実・強化していくと CSR推進体制の見直し っていくことを基本として、 「内部統制システム構築の CSR経営推進委員会を廃止し、社長を委員長とし全取 基本方針」を策定し、2006年5月16日に取締役会で決 締役をメンバーとする「CSR経営委員会」を設置しま 議しました。 した。また、同委員会の傘下に10の専門委員会を配置 基本方針に基づいて具体的施策を検討していくた しています。→詳細は11ページ参照。 リスク管理委員 めに、有期限の社内プロジェクト組織を設けて、①コ 会については19ページ参照。 環境保全の取り組み 環境保全の取り組み ともに、必要な事項については見直し・再検討を行な 一層のCSR推進を図るため、 2005年4月に、従来の 経営理念・行動指針 Council for Sustainable Development: 持続可能な発展のための世界経済人会議)の共通理念「持続可能な 社会的な取り組み 社会的な取り組み 2002年6月に制定した太平洋セメントグループの経営理念は、当社が加盟するWBCSD(World Business コーポレート・ガバナンス体制の状況 上記の取り組みを踏まえた当社のコーポレート・ガバナンス体制の概念図は以下の通りです。 発展」の実現を目指して、経済、環境、社会のトリプルボトムラインを経営の機軸に据えています。 ■コーポレート・ガバナンス体制の概念図 グループ経営理念 株 主 総 会 選任・解任 持続可能な地球の未来を拓く先導役をめざし、 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 太平洋セメントグループは、 選任・解任 選任・解任 取締役会 経営の意思決定・監督 経済の発展のみならず、環境への配慮、 社会への貢献とも調和した事業活動を行います。 選任・解任 監査役会 業務監査 会計監査人 会計監査 経営会議 重要案件の審議 監督 2002年12月には、 グループ経営理念を実現するために9項目からなる太平洋セメントの行動指針を定めました。 執行役員 業務執行 ◎太平洋セメントグループとして総合力を発揮し、企業価値の最大化を目指します。 ◎地球環境との調和に努め、循環型社会の実現に向け積極的に貢献します。 監査部 内部監査 ステークホルダー・ミーティング ステークホルダー・ミーティング 行動指針 CSR経営委員会 本社、 カンパニー、 各事業所 ◎法令等を遵守するとともに、社会の良識に則って行動します。 ◎広く社会とのコミュニケーションを行います。 ●監査役は5名(うち社外監査役は3名)で構成され、監査役会を通じて経営のチェック機能を果たします。 (2006年6月28日現在) ◎技術の更なる研究・開発に努め、優れた製品・サービスを社会に提供します。 ●取締役は代表取締役2名を含めて11名(社外取締役は選任していません)、執行役員は取締役兼務者9名を含めて18名です。 ◎国際的な企業として、 グローバルな視野で発想し行動します。 ◎事業環境の変化に即応し、柔軟に行動します。 ◎一人ひとりが社内外に通用する人材となることを目指します。 (2006年6月28日現在) ●会社法に基づく経営の意思決定は取締役会、その他の重要事項は経営会議において決定しています。 ●内部監査部門として監査部を設置し、監査計画に基づき各部門の業務執行が適正かつ効率的に行なわれているか監査しています。 ●高度な専門性などが要求される意思決定や業務執行に当たっては、常任の法律顧問をはじめ、顧問法律事務所、経営コンサルタント等、 専門家のアドバイスを受けています。 ◎人権を尊重し、安全で健康な職場づくりに努めます。 8 Taih eiyo Ceme nt Cor pora t i on Co r p o rate So cial Res ponsibility R eport 2006 9 CSR経営の推進体制 CSRマネジメント 役会直属のCSR経営委員会を設置しました。社長を委 リティ委員会、品質保証・PL委員会、 ステークホルダー・ CSR経営のステップアップ 員長として全取締役がメンバーとなり、全社CSR実施 コミュニケーション委員会の4つは2005年4月に新た 当社では2004年4月にC S R推進部を設置して3年 として専門委員会を設置し、方針と活動計画を作り、 計画等の重要事項の審議と実施状況のレビューを担 に設置しました。各専門委員会は担当役員が委員長を 目を迎えていますが、これまでの取り組みを振り返る 統一的な活動を始めたのが2年目の2005年度です。 っています。事務局はCSR推進部で、そのライン機能 務め、 ライン業務において最も関連の強い部署が事務 と 「模索の1年目」 「体制作りに終始した2年目」であっ 3年目の2006年度は、重点課題について到達目標を はグループ全体のCSR推進以外に、コンプライアンス 局となっています。各委員会ともテーマごとの方針を たと言えます。初年度は、模索の中で「CSRとは経営理 設定し取り組みを深化するとともに、 グループ会社に の推進、全社横断的な環境課題への対応、WBCSDセ 実現するためのミッションを明確にしたうえで、年間活 念を具現化する経営活動である」 こと、推進体制として CSR活動を展開することが課題です。次期中期経営計 メント産業部会の社内対応などです。 動計画を策定して活動を推進しています。 「既存の全社横断的委員会を統括したCSR経営委員 画には、CSR経営の観点からの目標を設定していきた CSR経営委員会の傘下には10の専門委員会があり 会を設置する」ことを決めました。また、コンプライア いと考えています。そのためにも2005年度から始め ンス、情報セキュリティ、ステークホルダー・コミュニ たステークホルダー・ミーティングを充実させていく ケーションといった個別の重要課題に取り組む組織 予定です。 ■CSR経営の推進体制 取締役会 経営理念 (持続可能な発展) 委員長:社長 事務局:CSR推進部 CSR経営委員会 ■太平洋セメントのCSR経営のステップアップ 環境保全の取り組み 環境保全の取り組み ますが、 このうちコンプライアンス委員会、情報セキュ CSR経営の基盤 CSR経営の基盤 CSR経営を推進する体制として、2005年4月に取締 次期中期経営計画 2006年度 社会関連 社会的な取り組み ステークホルダー・コミュニケーション委員会 環境経営委員会 品質保証・PL委員会 安全保安衛生委員会 セクシュアル・ハラスメント防止委員会 人権啓発推進委員会 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス CSR取り組みの模索 ● CSRとは? ● 推進体制はどうあるべきか? 障害者雇用推進委員会 2004年度 職場関連 情報セキュリティ委員会 CSR経営の体制作り ● CSR要綱の策定とCSR経営委員会の設置 ● 傘下の専門委員会で活動推進 ● CSRレポートの発行 コンプライアンス委員会 2005年度 内部統制関連 リスク管理委員会 社会的な取り組み CSR経営の具体化と浸透 ● 重点課題に対する到達目標設定 ● グループ会社への啓発と取り組み連携 ● ステークホルダー ・ミーティングの充実 専 門 委 員 会 CSR要綱 2005年4月1日にCSR経営を推進する上での拠り所 CSR経営を進める目的と基本方針とともに当面の重 として「CSR要綱」を制定しました。要綱では、当社が 点課題と推進体制を定めています。 全事業所 グループ会社 ステークホルダー・ミーティング ステークホルダー・ミーティング 目 的 目 的 ●経営理念の具現化および行動指針の実践に関する基本的事項を定める ●当社が事業内外において社会的責任に則った活動を推進し、 社会および当社の持続可能な発展を追求する 重点課題 目 的 ●コンプライアンスの徹底 ● 環境問題への取り組み (環境経営、環境保全活動) ● 品質保証、 PLへの取り組み(品質向上、顧客満足度向上) ●コミュニケーション (ステークホルダーへの情報開示・対話・信頼関係の醸成) ●リスクマネジメント ※PL=製造物責任 10 Corp orate Soci a l Re s pons i bi l i t y Re por t 2006 Co r p o rate So cial Res ponsibility R eport 2006 11 2005年度活動実績と2006年度活動計画 2005年度の活動実績と2006年度の活動計画の一覧表を以下に示します。一部の活動実績については、 「関連ページ」に記事を掲載しています。 活動主体・委員会 (事務局) 2005年度実績・成果 関連ページ 活動主体・委員会 (事務局) 2006年度計画 リスク管理委員会 P.19 ●石綿健康影響問題への対応検討 ……………P.40 ● 「リスク管理要綱」の見直し検討 ●リスクの洗い出しと評価 品質保証・ PL委員会 ●リスク低減に向けた具体的取り組み推進 ●緊急時の危機管理対応の見直し (セメントカンパニー 品質技術部) (総務部) ●内部通報制度の確立と運用開始 ……………P.18 ● 「規定管理規程」制定と周知徹底 ● 社内コンプライアンス推進者向け教育・ (CSR推進部) 研修実施 ………………………………………P.18 ●グループ会社コンプライアンス担当者連 絡会議の開催 …………………………………P.17 ●グループ会社経営層向けコンプライアン ス講演会の開催 ●一般従業員向け教育の充実 ●グループ会社コンプライアンス担当者研修 の継続 ●業界慣行、 規格・基準の見直し検討 対策フォロー ● 「PL管理規程」 と実践マニュアルの制定 ● 「PLマニュアル」の見直し検討 ●グループ会社従業員意識調査アンケートの 環境経営委員会 (CSR推進部) 実施 P.41 ●新JISマーク制度への対応方針の検討 ●顧客満足度向上のためのグッ ドプラクティス ●グループ会社の顧客対応状況調査の検討 整理 …………………P.21 情報セキュリティ 委員会 (環境月間の啓発行事推進、 (保証プロセス、 持続可能なコンクリート WBCSD/CSIプロトコル ・ガイドライン 構造物) …………………………………………P.15 ●地球温暖化対策の推進(CO2削減目標公 表に向けた戦略検討) ●環境会計の外部活用 ・内部活用の検討 ………P.24 の浸透) ●情報セキュリティ教育 (e-ラーニング教育) ●情報セキュリティ教育の定期的実施 の実施 ●情報システム危機対応マニュアルの見直し ●情報システムのセキュリティ対策の強化 ●情報セキュリティベンチマーク評価の実施 ●個人情報コンプライアンスプログラムの推進 ●情報システムのBCP (事業継続計画)、復旧計 P.20 画の充実と共有 ●情報セキュリティの保持状況の監視・評価と改善 ●情報セキュリティ対策のグループ展開 ●個人情報コンプライアンスプログラムの推進 (CSR推進部) ●地球温暖化対策の推進 (外部機関との連携) ●情報開示方針と規程の制定と公表 ● 「CSRレポート2005」の作成と発行 ステークホルダー・ コミュニケーション 委員会 ●グループCO2削減目標の公表 ● 「CSRレポート2006」の作成と発行 ●工場における地域社会との対話実態の調査 ●地域との対話促進方策検討と取りまとめ ●有識者とのステークホルダー ・ミーティング の実施 …………………………………………P.58 ●グループ会社のCSR基礎情報の収集調査 ……P.14 ●SRIスクリーニング等外部調査への積極対応 ●有識者、 従業員とのダイアログ促進 ●グループ会社CSR情報データベース化検討 ●社会貢献活動への取り組み検討 社会的な取り組み 社会的な取り組み (情報システム部) ●情報セキュリティマネジメントシステムの深化と定着 ●環境経営委員会活動の定着化 ●WBCSD/CSI活動の推進と社内展開 ●情報開示方針と開示規程の検討 ●情報セキュリティマネジメントシステムの確立 ●新JISマーク制度への対応方針の策定 環境保全の取り組み コンプライアンス 委員会 ●品質コンプライアンスリスク評価と ●環境経営方針の策定と公表 ●内部通報制度の見直し 社会関連 環境保全の取り組み 内部統制関連 ● 「規定管理規程」の検討 2006年度計画 関連ページ CSR経営の基盤 CSR経営の基盤 ● 「リスク管理要綱」の見直し 2005年度実績・成果 ●グループ経営層向け 「CSRトップ研修 ●新規採用活動の活発化 ●採用ルートの確保、 特例子会社への支援 ●特例子会社の中期採用計画立案の支援 P.36 ●障害者行政窓口との意思疎通確保 ●外注業務取り込みによる就業機会の検討 ●障害者専用求人サイト開設 専門委員会以外 実施(年2回) 2006年度も継続して実施 ●グループ法務懇談会の開催 …………………P.17 ● 社内方針展開にCSR ・コンプライアンス 観点を反映 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス (人事部) その他 障害者雇用推進 委員会 会」の実施 ●グループ会社地域関係情報定期報告の ●体系的な社内研修の実施 (トップ層、 新任管理職、新入従業員、 人権啓発推進 委員会 一般従業員の階層別) ●社外研修への積極的参加 P.37 ●体系的な社内研修の実施 ●社外研修への積極的参加 (人事部) セクシュアル・ ハラスメント防止 委員会 (標語募集、 ビデオ上映等) ●本社および工場 ・支店でのセクハラ防止 研修の実施 ●社内相談窓口員を全事業所に常時配置 ステークホルダー・ミーティング ステークホルダー・ミーティング 職場関連 ●人権週間の啓発行事の実施 ●セクハラ防止研修の継続 P.37 ●グループ会社向け研修会の実施 ●社内、 社外相談窓口の常時開設 ●社外相談窓口を常時開設 (人事部) ●カンパニー別の安全保安衛生活動の 推進指導 安全保安衛生 委員会 (技術部) 12 ●従業員の休業率低減、 健康診断受診率向上 ●石綿使用設備解体および石綿含有製品 P.38 ∼39 ●年度 「安全保安衛生管理方針」策定 ●安全週間 ・衛生週間行事の指導 取り扱いの検討 ●安全設計基準、 衛生管理規程の見直し Corp orate Soci a l Re s pons i bi l i t y Re por t 2006 Co r p o rate So cial Res ponsibility R eport 2006 13 グループ会社CSR情報アンケート調査 持続可能な発展を目指して いこと(88%)が対象会社の特色として示されていま 社128社を対象に、 「CSR情報アンケート調査」を実施 す。また取り組みとしては、コンプライアンス推進体 しました。調査項目は大別して「従業員関連」、 「ガバナ 制づくりは7割程度の会社で行なっているものの、内 当 社 は 2 0 0 0 年よりW B C S D(W o r l d B u s i n e s s 2007年にはこれまでの5年間の活動報告とともに次 ンス・コンプライアンス体制」、 「顧客との関わり」、 「社 部通報制度を整備するまでには至っていないことや、 Council for Sustainable Development: 持続可能な の5年間の行動計画を公表する予定です。 会との関わり」、 「 環境保全活動」の5つの分野にわた 顧客満足度向上、セクハラ防止、社会貢献への取り組 発展のための世界経済人会議)に参画し、経済・環境・ 当社はC S Iの活動を重要な経営課題と認識し、毎 ります。また海外の企業については、 この他に基本的 みに改善の余地があることが分かりました。調査結果 社会の調和した持続可能な発展を目指す約190社の 年WBCSDの年次総会に併せて開催されるCEO会議 人権に関連する方針の有無などを調査しました。 は調査対象各社と所管の各カンパニーにフィードバ 国際的な企業とともに活動しています。 に会長・社長が出席し、当社ならびに日本のセメント 比較的小規模な会社(従業員数50人未満が60%) ックし改善を促しています。さらに今後のグループの 当社は、WBCSDの産業別プロジェクトのひとつセメ 産業の立場から意見を発信しています。また、CSIの が多数を占めること、また男性従業員が圧倒的に多 CSR活動推進に活かしていきます。 ント産業部会(Cement Sustainability Initiative:以下 主要課題に対する当社の取り組みは、社内の環境経 「CSI」 と略記)のコアメンバーとして活動しています。 営委員会で検討する体制にしています。2005年度は CSIでは、独立した調査研究機関からセメント産業 CO 2を始めとする排出物質の削減戦略について検討 の抱える重要課題や事業活動について改善すべき点 してきましたが、2006年度中に目標を設定し公表す の提言を受け、 「自主行動計画」を策定し、2002年に る予定です。 ■調査結果 規模(従業員数)別分布 ● 50∼100人未満 24% 19% 20人未満 20∼50人未満 ● 従業員男女比率 12% 9% 100∼200人未満 88% 12% 男性 女性 公表しました。 この「自主行動計画」には、2007年まで の5年間に6つの優先課題について、メンバーが共同 で取り組む事項と各社が個別に実施する事項が盛り コンプライアンス推進体制はありますか ● ● ■CSI自主行動計画の優先課題 ● 気候変動の防止 ● 原燃料の利用 ● 従業員の安全衛生 ● 排出物質の削減 ● 地域社会への影響 ● コミュニケーションと報告 込まれています。 内部通報制度はありますか C S Iは2005年6月に名古屋の愛知万博(愛・地球 ある 博)会場において、 「自主行動計画」公表後3年間の活 ない 22% 29% 動の進捗状況について報告会を開催しました。また ある 社会的な取り組み 社会的な取り組み 71% 環境保全の取り組み 環境保全の取り組み 36% 200人以上 WBCSD/セメント産業部会への参加 CSR経営の基盤 CSR経営の基盤 2005年8月に連結子会社を中心としたグループ会 セメント産業部会 メンバー17社 78% ない ● アッシュグローブセメント (アメリカ) ● セメックス(メキシコ) ● シンポール(ポルトガル) ● CRH(アイルランド) ハイデルベルグセメント (ドイツ) ● ホルシム(スイス) ●イタルチェメンティ (イタリア) ● ラファージュ (フランス) ● セシル(ポルトガル) ● シリーセメント (インド) ● サイアムセメント (タイ) ● 太平洋セメント(日本) ● タイタン(ギリシャ) ● ユニランド(スペイン) ●モリンズ(スペイン) ● ボトランティム (ブラジル) ● グジャラートアンブージャ (インド) ● ● セクハラ防止の取り組みを行なっていますか ● 顧客満足度向上への取り組みを行なっていますか ※CSIでの活動経緯や開発したプロトコル、ガイドライン等の詳細は当社ホームページ(http://www.taiheiyo-cement.co.jp)からダウンロードできます。 無回答 1% 行なっている 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 無回答 1% 行なっていない 20% 44% 55% 行なっている 79% T O P I C S アジア太平洋パートナーシップ 2006年から本格的に活動を開始したAPP(クリーン開 ステークホルダー・ミーティング ステークホルダー・ミーティング 主な取り組み アンケート実施、経営目標としている、顧客へのヒアリング 行なっていない 発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ)では、米・ 中・豪・韓・印・日の6カ国が協力して温暖化対策等に取り組ん ● 社会貢献活動を行なっていますか ● 環境保全に関する方針はありますか 行なっていない でいます。 セメント作業部会は日本が議長国を務めており、当社 もセメント協会の一員として参加しています。これまでの ある 39% 48% 52% WBCSD/CSIの経験を活かして、アジア太平洋地域の自主 活動に積極的に協力していきます。 61% 行なっている ない 主な取り組み 地元への寄付、清掃活動、会社施設を地域に提供 14 Corp orate Soci a l Re s pons i bi l i t y Re por t 2006 Co r p o rate So cial Res ponsibility R eport 2006 15 グループ会社コンプライアンス担当者連絡会議 コンプライアンス 2005年7月にはグループ会社において選任された コンプライアンス担当者112名が参加した最初の連 正行為が行なわれていたことが発覚しました。 絡会議を以下の内容で開催しました。各社における て、法令遵守と社会良識に則り行動する ことを宣言 この事件を契機にCSR経営の基盤としてコンプライ コンプライアンス方針、規程の整備方法や従業員へ しましたが、2004年7月にグループ会社で過去に試験 アンス体制の強化に本格的に取り組み、2005年度ま の教育・研修方法について説明した後、意見交換を行 成績表の改ざんおよびサンプルのすり替えという不 でにほぼ骨格を固めることができました。 ないました。連絡会議においては、 グループ会社から CSR経営の基盤 CSR経営の基盤 当社では、2002年に制定した「行動指針」におい の定期報告と緊急時の連絡を要請しました。 コンプライアンス基本方針 を含むものとしています。 し、併せて「コンプライアンス規程」を制定しました。 当社および当社グループの各社が社会各方面から 当社の「コンプライアンス」の定義は、狭義の「法令遵 の信頼と期待に応え、安定的に発展を遂げていくた 守」にとどまらず、法令の背景にある社会通念やグル めに、行動指針からコンプライアンスに関わる事項を ープ経営理念や行動指針、社内諸規程・規則の遵守 抽出して次の7項目を基本方針として定めました。 第1回 グループ コンプライアンス担当者 連絡会議 ■日 時 2005年7月13日(水) 13:00∼17:30 ■場 所 当社 講堂 ■議 題 1) グループのコンプライアンス体制推進について 環境保全の取り組み 環境保全の取り組み 2005年3月に「コンプライアンス基本方針」を公表 2)コンプライアンス規程の策定について コンプライアンス基本方針 3)公益通報者保護法と内部通報制度について ● 経営理念、 行動指針、社会規範の遵守 4)コンプライアンス教育・研修計画策定について ● 社内諸制度・規程の整備と周知徹底 5)啓発用ビデオ、教育用e-ラーニングコンテンツの紹介 ●グループ各社の連携と教育・啓発活動推進 6)当社との連絡・報告体制について ● 問題発生時の適切な対応と施策打ち出し 7)担当者間の意見交換 社会的な取り組み 社会的な取り組み ● 必要な情報の適時・適切な開示とコミュニケーション ● 国際基準・ルール遵守と現地文化・習慣尊重 ● 反社会的勢力・団体の不正・不当な要求拒否 グループ法務懇談会 コンプライアンス推進体制 工場に置く 「コンプライアンス推進者」と連携し教育 責任者(CSR担当役員)を委員長とした「コンプライア 計画等を実行するとともに、内部通報制度や監査を ンス委員会」を運営しています。コンプライアンス委 含めたモニタリング体制を構築しました。 有する場として、 グループ会社の経営層・法務担当者 ことから、当社グループのコンプライアンス体制整備 による懇談会を2005年度から開催しています。 の一助とするため、法律改正その他の法務情報を共 ■2005年度 グループ法務懇談会 開催日 参加人数 テーマ 2005年 5月17日 63社 72名 最近の改正法と実務対応 会社法の現代化 ほか 最高責任者:社長 第2回 9月20日 64社 77名 実践!法律学 独占禁止法改正のポイント ほか 統括責任者:CSR担当役員 第3回 11月28日 56社 64名 最近の労働法改正動向 労働問題の考察方法について ほか 第4回 2006年 3月30日 66社 82名 会社法施行に伴う実務対応 ノウハウライセンス契約実務について ステークホルダー・ミーティング 本社 コンプライアンス委員会 コンプライアンス推進者 年次活動計画 プログラム カンパニー コンプライアンス推進者 工場・支店 従 業 員 等 委員長:統括責任者 委 員:関連事業所長 ステークホルダー・ミーティング 第1回 員会では年次活動計画(プログラム)を策定し、支店・ 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス コンプライアンスの最高責任者は社長であり、統括 昨今企業経営に関わる重要な法改正が続いている また、改正独禁法施行に合わせて、社内全事業所な らびにグループ会社に小冊子を配布し、公正な取引 について再徹底しています。 コンプライアンス推進者 事務局:CSR推進部 関係会社 コンプライアンス担当者 内部通報制度 監査制度 16 Corp orate Soci a l Re s pons i bi l i t y Re por t 2006 Co r p o rate So cial Res ponsibility R eport 2006 17 そのほか、4月の新入従業員研修、8月の新任管理 前述の通りコンプライアンス体制の整備と教育・推 太平洋セメントでは本件を受けて、2006年2月にグ ラム)に基づいて活動を推進しています。2004年度は 職研修では、教育カリキュラムの中に「CSRとコンプラ 進活動を行なっていますが、残念ながらグループ会 ループの生コンメーカーに対して、セメントカンパニ 全支店・全工場・中央研究所・本社を巡回して延べ22 イアンス」を入れて意識啓発を図っています。 社において法令違反が発生しました。 ープレジデント名で「廃棄物適正処理の管理徹底」を 回の研修を行ないましたが、2005年度は各事業所の 2005年9月北海道警察ほかによる工場立ち入りお 要請しました。また、同様の問題を起こさないよう、緊 コンプライアンス推進者50名を対象に専門知識教育 よび事情聴取により、当社子会社である青函生コンク 急にグループ会社の廃棄物処理担当者を集めて「廃 と集合研修を行ない、職場での牽引者として認識を リート工業(株)木古内工場において、2005年6月に 棄 物 処 理リスク管 理 研 修」を実 施しました。参 加 者 新たにしてもらいました。 工場構内の生コンクリート残渣物(スラッジ)等を構 105名を2班に分けて4月と5月に1日かけての研修を 専門教育はe-ラーニング7講座を7ヶ月かけて受講 内に敷きならし整地した行為があったことが明らか 実施し、外部より廃棄物処理に関する専門講師を招 しました。集合研修は2班に分けて、外部コンサルタン になりました。この行為は廃棄物処理法16条ほかに いて、処理業者との委託契約やマニフェスト管理およ トによる「オープンエンド型ケース・ディスカッション 違反する「不法投棄」にあたることから、同社役員が び排出事業者の責任などについて法令を中心に学習 研修」を行ないました。 この研修では、当社固有のコン 逮捕され、2006年3月函館地方裁判所で有罪判決が しました。 プライアンス・リスクに基づくケースも想定しました。 確定しました。 今後、 グループを挙げて一層のコンプライアンスの 自社敷地内ならば問題にならないだろうとの判断 徹底に取り組んでまいります。 e-ラーニング講座名 1.コンプライアンス概論―より信頼される企業へ 2.情報セキュリティとコンプライアンス 環境保全の取り組み コンプライアンス委員会では年間活動計画(プログ 環境保全の取り組み 関係会社のコンプライアンス不祥事について CSR経営の基盤 CSR経営の基盤 コンプライアンス推進活動(教育・研修) から、違法性を認識しないままに作業を行なわせた のが原因です。 北海道渡島支庁生活環境課の指導に基づき同社 は原状回復作業を2006年1月までに完了しました。ま 3.危機管理とコンプライアンス 4.知的財産権とコンプライアンス た、以下の再発防止対策を実施しています。 ①同社内にコンプライアンス委員会を立ち上げ、役職 5.従業員とコンプライアンス 社会的な取り組み 社会的な取り組み 員に守るべきルールを認識させる。 6.日常業務とコンプライアンス ②スラッジ発生量の減少を図るため、骨材と微粒分 7.環境とコンプライアンス を分離回収する装置を同社全工場(7工場)に設 置する。 内部通報制度「コンプライアンス・ホットライン」 当社では、以下のように内部通報制度を運用して はほとんど完了した中で、内部通報制度の構築が遅 いますが、 この制度を利用しての通報件数は2件に止 れていましたが、2005年8月から「コンプライアンス・ まっており、2006年度は制度の見直しを検討すること ホットライン」 として運用を開始しました。 にしています。 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 2004年度中に社内のコンプライアンス体制づくり リスクマネジメント コンプライアンス・ホットライン ■通報内容の範囲 リスク管理体制 当社では2001年11月に「リスク管理要綱」を制定 防的アプローチと顕在化したすべての問題に対する ●他者への誹謗中傷の類は受け付けない し、 リスクマネジメントに対する取り組み方針および 危機管理です。なお、各専門委員会の取り組みテーマ ●当社 (太平洋セメント本体)に勤務する者(受入出向者、派遣社員、退職者、嘱託等を 推進体制を定めました。役員を主なメンバーとするリ に関連するリスクはそれぞれの専門委員会がマネジ 含む) スク管理委員会を設置しましたが、2005年度からは メントすることにしています。 ■通報受付窓口 受付方法 ●社内窓口 (CSR推進部:専用電話・FAX/専用メール/書簡) リスク管理委員会をCSR経営委員会傘下の専門委員 2005年度は顕在化した石綿健康影響問題に、小委 ●社外窓口 (弁護士事務所:FAX/メール/書簡) 会の一つと位置付けました。現在は、本社のコーポレ 員会を設置して対応しました(詳細は40ページ)。 ■匿名受付可否 ●原則は 「顕名」 ート・スタッフ部門、プロフェッショナル・スタッフ部門 2006年度は、 「全社リスクの洗い出し・評価、対応策 ●社外窓口では希望すれば当社への連絡に際し氏名等を伏せることができる の部長クラスをメンバーにして機動的に対処できる の立案」 「グループ会社を対象としたリスク管理研修 ● 「内部通報制度運用規程」により守秘と保護規定を明確化 ようにしています。 の実施」 「リスク評価とリスク管理の継続的実施に向 リスク管理委員会の活動範囲は、 リスクに関する予 けた仕組みの構築」に取り組む予定です。 ■通報者の保護 Corp orate Soci a l Re s pons i bi l i t y Re por t 2006 Co r p o rate So cial Res ponsibility R eport 2006 ステークホルダー・ミーティング ステークホルダー・ミーティング ●職制を通じて対処するのが難しいと判断した場合に受付窓口へ ■通報者の範囲 18 ●当社業務に関わる不正・違法行為と社会良識に反する行為 19 情報セキュリティ 情報セキュリティマネジメントシステムの確立 ガバナンスおよび、企業の社会的責任上の課題であ した。 ると認識し、2005年3月に「情報セキュリティ基本方 また、情報セキュリティ保持は、当社のみならずグ 針」を制定し、情報セキュリティの保持に全社をあげ ループとして整合性の取れた取り組みを進めること て取り組んでいます。 が求められていると認識し、2005年度の取り組みとし 2005年12月には、情報セキュリティマネジメントシ て、多様な実態にあるグループ各社が最低限整備す ステムの基本規程として、 「情報セキュリティ管理規 べき情報セキュリティ項目を提示し、情報セキュリティ 程」を制定しました。 レベルの向上を推進しています。特に、当社の情報処 「情報セキュリティ管理規程」をまとめるに当たり、 理を委託している子会社のパシフィックシステム(株) 当社が扱う全ての情報資産を対象として体系的・組 は、2003年4月、個人情報保護の取り組みとして「プラ 織的、継続的に情報セキュリティの保持に取り組むこ イバシーマーク制度」の認証を取得しています。 とにしました。 現状、情報漏えい等の事故は発生していませんが、 本規程の制定にともない、2006年2月より情報セ 情報セキュリティマネジメントシステムの継続的実践 キュリティリテラシを企業・組織内での一つの文化と と深化を目指すとともに、法令規範や社会的情勢の して定着させるために、従業員(一部出向者を含む) 変化を踏まえた見直し、改訂を定期的に行なっていき を対 象 にe -ラーニング および 集 合 教 育 による情 報 ます。 環境保全の取り組み 環境マネジメント ………………………………P.21 環境負荷の全体像 ……………………………P.22 環境会計 ………………………………………P.24 環境パフォーマンス ……………………………P.26 鉱山における環境・安全配慮 …………………P.33 環境保全の取り組み 環境保全の取り組み セキュリティ教育を毎年定期的に実施することとしま CSR経営の基盤 CSR経営の基盤 当社は、情報セキュリティの保持がコーポレート・ 環境マネジメント 社会的な取り組み 社会的な取り組み ■情報セキュリティマネジメント規程体系 環境経営方針 情報セキュリティ基本方針 情報セキュリティ管理規程 情報システム 管理要領 情報システム 利用要領 表する環境経営の方針について検討してきました。 環境保全基本方針」を廃止し、 「太平洋セメント環境経 自らの事業における環境配慮にとどまらず、循環型 営方針」を2006年1月1日付けで制定しました。CSR経 社会構築や地球温暖化といった社会的な環境問題へ 営を推進すべく、2005年度より従来の地球環境保全 の取り組みを重要な経営課題と位置付け、5つの項目 委員会に代わり環境経営委員会を設置し、社内外に公 を環境経営方針として掲げています。 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 1998年に制定し、その後、数次の改定を経た「地球 グループネットワーク 管理要領 情報システム危機対応マニュアル 太平洋セメントはこれまでの「地球環境保全基本方針」を見直し、社会的な環境問題への積極的な取り組みを重 要な経営課題と位置付け「環境経営方針」を制定しました。国際社会から地域社会まで広範なステークホルダーとコ 個人情報保護方針 個人情報の取り扱いについて(ホームページに公開) http://www.taiheiyo-cement.co.jp/privacy/index.html 個人情報保護規程 ミュニケーションを図り、WBCSD(持続可能な発展のための世界経済人会議)セメント産業部会の一員として、持続 可能なセメント産業の在り方を追求していきます。 1.環境に配慮した事業活動 事業活動における環境影響を適切に評価し、環境管理の徹底ならびに環境負荷の低減に役立つ製品・技術の開 内部者取引防止規程 文書管理規程 ステークホルダー・ミーティング ステークホルダー・ミーティング 情報開示規程 発と採用により、環境効率の向上に取り組む。あわせて地域社会の一員として、良好な環境の保全に努める。 2.資源循環型社会への貢献 セメント産業固有の能力と機能を活かし、産業や生活から発生する廃棄物等をセメント原燃料として資源化する。 3.地球温暖化問題への積極的な取り組み 印章管理規程 知的財産権取扱規程 事業活動全体にわたり一層の省エネルギー化を推進するとともに、社会全体の温室効果ガス排出削減に繋がる 技術開発に挑戦する。 4.国際協力 当社が保有する環境保全や省エネルギーならびに廃棄物等のリサイクルに関する技術の海外への移転と普及を 推進する。 5.自然保護への取り組み 自然との共生に役立つ製品と技術を提供するとともに、自然保護活動に取り組む。 20 Corp orate Soci a l Re s pons i bi l i t y Re por t 2006 Taih eiyo Cement Corporation 21 環境負荷の全体像 当社は2005年度において2,221万トンのセメント製品、3,013万トンの資源品(骨材・石灰石製 廃棄物・副産物の原料・燃料を適切にバランスよく組み合わせて使用しています。 品など)、54万トンの環境事業製品(排煙脱硫材など)、そして28万MWhの電力を生産しました。 様々な産業から発生する廃棄物・副産物の有効利用や再資源化に積極的に取り組むとともに、 セメント製品の生産にあたっては、石灰石を中心とする天然原料および石炭などの化石燃料と、 製造プロセスで発生する多量の熱は排熱発電装置で回収するなど有効利用しています。 原 料 石油コークス 461,750 t 天然資源 2,073,063 t 石炭 石灰石 珪石 1,919,832 t 石膏 208,865 t 軽油 15,677 kl 灯油 350 kl その他 8,819,279 t その他 531 t 鉄原料 452,335 t 副産石膏 472,706 t 584,181 t 購入電力 687,998 MWh フライアッシュ・ 石炭灰 3,635 t 火薬 CO 2 * 排出物 水域への排出 排水 315,197 千m 3 外部処理委託廃棄物等 10,563 t 245,615 t うち 海水 301,182 千m 3 うち 固形廃棄物 淡水 13,888 千m 3 16,505,999 t うち購入電力分 14,207 t SOx** 3,737 t 粉砕媒体・鋳鋼品 1,934 t NOx** 33,429 t 潤滑油・薬品類 7,378 kl ばいじん** その他 3,480 t ダイオキシン類** 1.00 g-TEQ 耐火物 廃棄物等の排出 生活雑排水 金属くず等有価物 602 t 9,961 t 128 千m 3 環境保全の取り組み 105,242 t 54,479 kl 廃 棄 物・副 産 物 環境保全の取り組み 粘土 28,929 t 添加剤等 45,445,634 t 重油 廃棄物燃料 大気への排出 材 料 CSR経営の基盤 CSR経営の基盤 エネルギー 546 t *輸送によるCO 2は別途算出(P.27参照) **セメント・発電事業のみ(購入電力分は除く) 2,251,450 t 用 水 高炉スラグ 1,812,045 t 海水・淡水 その他 1,950,317 t 333,681 千m 3 アウトプット インプット 電 社会的な取り組み 発 社会的な取り組み 事業別製品 発電所 石炭・石油コークス・用水等 電力(売電) 資源事業 骨材 279,963 MWh 電力 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 資 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 発電事業 鉱 山 源 セメント工場 軽油・ 火薬等 石灰石製品 その他 9,181,509 t 12,135,976 t 8,814,437 t 石炭・購入電力・添加剤等 セメント事業 サービスステーション ポルトランドセメント 16,617,589 t 環 混合セメント 3,133,473 t クリンカ(輸出用等) 1,234,962 t セメント系固化材 1,220,550 t ステークホルダー・ミーティング ステークホルダー・ミーティング セメント 石灰石等・ 天然鉱物 アッシュセンター 境 22 廃棄物・副産物 Corp orate Soci a l Re s pons i bi l i t y Re por t 2006 環境事業 排煙脱硫材 445,786 t フライアッシュ製品 17,042 t 無機材料 78,037 t Co r p o rate So cial Res ponsibility R eport 2006 23 環境保全効果 環境会計 ■環境保全効果 環境負荷指標 当社では事業活動に伴う環境負荷の把握と合わせて、環境保全に要したコストを網羅的に抽出 することで、事業活動や設備投資の費用対効果を的確に評価できると考えています。 効果の内容 03年度 04年度 05年度 05年度 対前年増減量 (1)事業エリア内効果 を受け入れてセメント原料・燃料にリサイクルし、環境負荷低減につなげていますが、 これに要した 投資と費用は「上・下流コスト」に区分しています。 公害防止 地球環境保全 SOx排出量(t) 2,780 2,943 3,737 NOx排出量(t) 34,819 33,330 33,429 99 708 634 546 −88 16,869,112 16,089,445 16,505,999 416,554 97,369 91,808 92,705 897 2,128 2,784 2,953 169 147 142 146 4 ばいじん排出量(t) CO₂ 排出量(t) エネルギー使用量(千GJ) 794 CSR経営の基盤 CSR経営の基盤 内 訳 また当社は、様々な産業や自治体など (サプライチェーンの上流)から排出される廃棄物・副産物 (2)外部廃棄物利用効果 内 訳 環境保全コストの集計結果 当社では環境省の環境会計ガイドライン2000年版 り集計範囲を広げ、鉱山、サービスステーションも対 を参考にして、1999年度実績より、セメント工場の環 象としました。 ■環境保全コスト 単位:百万円 分類 主な取り組みの内容 (1)事業エリア内コスト 投資額 費用額 03年度 04年度 05年度 03年度 04年度 05年度 1,793 1,680 3,132 3,041 3,039 2,646 内訳 公害防止コスト バグフィルター設置 935 1,024 1,403 2,052 2,207 1,946 地球環境保全コスト 仕上予備粉砕機導入 308 76 1,015 709 638 656 資源循環コスト 表土処理 549 580 714 280 193 44 2,476 2,729 3,766 3,106 2,630 2,931 (2)上・下流コスト 下水汚泥処理設備 環境マネジメントシステム 0 0 40 161 333 320 (4)研究開発コスト キルン排ガス処理技術 1 29 22 126 94 107 (5)社会活動コスト 工場見学対応 76 6 3 19 11 5 (6)環境損傷対応コスト 汚染負荷量賦課金等 23 33 60 463 111 345 4,369 4,477 7,022 6,916 6,218 6,353 合 計 項目 03年度 04年度 05年度 当該期間の投資額の総額 15,040 14,196 18,717 540 663 817 当該期間の研究開発費の総額 円となり、設備投資総額の約4割を占めています。 鉱物資源削減量(千t) 5,124 6,152 6,902 750 処分場延命 最終処分量削減量(千t) 4,183 4,612 5,029 417 ● 公害防止に分類されるSOx、 NOx、ばいじんの2005 ● 外部廃棄物利用効果では、 廃棄物の利用を積極的 年度排出量は、主にセメント生産量が増加したこと に推進した結果、温暖化防止のためのCO ₂ 削減を により、ばいじんを除いて増加しました。排出抑制 はじめとする全ての項目が2004年度に比べて改善 を図るため約20億円の費用を投入しています。 しました。 主な環境関連投資 上磯工場(北海道北斗市) 大船渡工場(岩手県大船渡市) 熊谷工場(埼玉県熊谷市) ● 上・下流コストは環境関連設備投資額および環境 保全費用の約半分を占めています。2005年度の代 仕上工程予備粉砕機導入 岩手・青森県境不法投棄産業廃棄 物受入設備 バグフィルター転換 セメントの仕上工程では、電力を動力 として中間製品であるクリンカを粉砕し 大船渡工場では青森県田子町と岩手 様々な廃棄物・副産物を受け入れて、原 料や燃料として活用しています。環境対 熊谷工場では主に首都圏で発生する 電気集塵機のバグフィルターへの転換、省エネの 表的な投資実績は、建設発生土の受入貯蔵・投入 ための予備粉砕機導入など大型の投資を実施しま 設備、下水汚泥乾燥設備、木屑処理設備、石炭灰貯 微粉末(セメント)にします。その消費電 県二戸市にまたがる県境地域に国内最 した。 蔵設備、塩素バイパス設備などがあります。また、受 力を低減する目的で予備粉砕機を導入 大規模で不法投棄されていた産業廃棄 策の一環として電気集塵機をバグフィル しました。 物をリサイクル処理しています。このた ターに転換したことにより、大気へ排出 ● 環境保全にかかる費用は前年並みの64億円となり ました。 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス ● 環境関連設備投資額は前年より大幅に増え70億 鉱物資源枯渇防止 社会的な取り組み 社会的な取り組み (3)管理活動コスト CO₂ 削減量(千t) エネルギー(原油)削減量(千t) 環境保全の取り組み 環境保全の取り組み 境保全コストを集計し始めました。その後2001年度よ 温暖化防止 エネルギー資源枯渇防止 入廃棄物の増加に伴い、受け入れ、構内横持ち、前 処理、投入などのリサイクルにかかる費用も増加し (2005年度投資額:約6億円 め受入設備を新設しました。 されるばいじんを大幅に削減しました。 −地球環境保全コストに計上) (2005年度投資額:約4億円 (2005年度投資額:約7億円 ステークホルダー・ミーティング ステークホルダー・ミーティング −上・下流コストに計上) ています。 −公害防止コストに計上) 大分工場[津久見](大分県津久見市) 石炭灰受入サイロ新設 塩素バイパス設備能力増強 石炭火力発電所から発生 様々な廃棄物・副産物をセメント原料・ する石炭灰は、セメント原料 燃料としてリサイクル(再資源化) していま として有効活用しています。 すが、そこから多くの塩素分が持ち込まれ 受 入・貯 蔵 能 力 をあ げるた ると、セメント製造工程の大きな支障(原 め、サイロを新設しました。 料の粘性が高まり設備内で詰まるなど)と (2005年度投資額:約3.5億円 −上・下流コストに計上) なります。そこで、塩素分をセメント製造工 程の系外に抜き出す設備として、塩素バイ パス設備の能力を増強しました。 (2005年度投資額:約6億円 −上・下流コストに計上) 24 Corp orate Soci a l Re s pons i bi l i t y Re por t 2006 Co r p o rate So cial Res ponsibility R eport 2006 25 SOx 環境パフォーマンス ばいじん NOx 排出量(t) 排出量(t) 排出量 (t) 3,737 40,000 3,000 環境パフォーマンス(全事業) 当社はセメント事業以外に資源事業、環境事業、発電事業にも相当量の物質投入と排出があり 2,780 2,943 33,429 20,000 1,000 10,000 03 04 05 0 年度 03 04 05 年度 700 600 500 400 300 200 100 0 708 634 546 03 04 05 年度 CSR経営の基盤 CSR経営の基盤 33,330 30,000 2,000 0 34,819 ますが、それらを合計して全事業の環境負荷パフォーマンスを把握し評価しています。2005年度の 主なものを以下に紹介します。 インプット 総排水量は約3億m³と膨大ですが、ほとんどが自家 ます。 総エネルギー投入量は9,271万ギガジュールで、前 発電設備の冷却用海水であり、水質汚濁防止法に規 トンでした。これは、台風などの災害復旧工事に伴う 年に比べ1%減少しましたが、エネルギー使用の少な 定される汚水ではありません。セメント工場では海水 300,000 需要の増加に加え、設備投資の拡大により民需も回 い資源事業製品の増加によるものです。 以外の排水については発塵防止用散水などに利用し 200,000 復傾向にあることから、セメント生産量が増加したた 約3億m³の水利用量のうち、自家発電設備の冷却 ており、公共水域への排水を最小限にするよう努めて めです。 用海水が9割以上を占めています。 います。 ■総エネルギー投入量 投入量(千t) 80,000 60,000 62,270 63,497 97,369 92,705 300,000 05 年度 0 03 04 05 0 年度 03 04 05 年度 廃棄物処理のリスク管理を強化するとともに、少し は約600トンですが、400トン余りが最終処分(埋立)さ でも最終処分量を減らすように努めていきます。 外部処理委託量(t) (工場分のみ) 724 最終処分量(t) (工場分のみ) 800 694 597 600 アウトプット べ3%増加しました。このうち、セメントおよび生石灰 の原料である石灰石の分解に伴うCO ₂ 排出量が全体 600 400 400 200 200 0 03 04 05 年度 0 418 463 409 03 04 05 年度 排出量(千t) 18,000 16,869 16,089 16,506 15,000 輸送にかかる環境負荷 12,000 9,000 ロは2.8%増加しました。CO₂の排出量は62万トンで前 輸送会社に委託しています。2006年4月から施行され 年度に比べ0.8%の増加となりました。生産活動にかか た改正省エネ法および改正温暖化対策法により、荷主 るCO₂排出量と比べると約4%程度ですが、輸送業者と バイオマス燃料の利用を増やすことにより、化石燃料 としての責任が明確になりましたが、2004年度から国 の連携を密にし削減に努めます。復荷輸送や船舶の効 使用割合を減らしてCO₂ 排出量削減に努めています。 内輸送にかかるCO₂排出量を把握し評価しています。 率速度運航など、総合物流部を中心に当社はもとより 2005年度における輸送量は5,185万トンで前年度に グループ全体の物流合理化を進め、環境負荷低減を推 比べ3.5%増加、 これに輸送距離を掛け合わせたトンキ 進していきます。 の排出が占めています。燃料については、木屑などの ステークホルダー・ミーティング 大気への排出:SOx、NOx、ばいじん 6,000 3,000 0 03 04 05 年度 することにより、適正運転に努めています。 セメントキルンや発電ボイラーなどの燃焼排ガス 2005年度は熊谷工場に、当社では初めてキルン排 中のSOx(硫黄酸化物)、NOx(窒素酸化物)、ばいじん ガスのばいじん対策として、電気集塵機に代えてバグ が大気への主な排出となります。 フィルターを導入し、排ガス中のばいじん濃度を大き 電気集塵機を始めとする排ガス処理装置の能力を く低減しました。今後、効果の持続性を見極めた上で 維持するとともに、排ガス中の排出濃度を連続監視 他工場への展開を検討していきます。 Corp orate Soci a l Re s pons i bi l i t y Re por t 2006 輸送手段 輸送量(千t) トラック 17,153 平均輸送距離(km) 46.7 輸送トンキロ(千t×km) 801,118 貨 車 5,829 43.7 254,535 5 船 舶 28,868 434.8 12,550,709 477 合 計 51,850 262.4 13,606,363 622 ステークホルダー・ミーティング 当社では、原燃料および各種製品の輸送は基本的に の約6割を占め、残りの約4割を燃料の燃焼などから 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 2005年度は1,651万トンのCO ₂を排出し、前年に比 年度 2005年度に工場から外部に処理委託した廃棄物 800 大気への排出:CO₂ 05 れています。 廃棄物等の排出 200,000 100,000 04 04 0 307,075 20,000 03 03 100,000 社会的な取り組み 社会的な取り組み 0 311,464 40,000 20,000 315,197 333,681 91,808 60,000 40,000 298,348 利用量(千m3) 80,000 57,701 304,097 公共水域への排水ルートには、沈殿槽、油水分離 ■水利用量 投入量(千GJ) 100,000 排水量(千m3) 環境保全の取り組み 環境保全の取り組み 総物質投入量は、前年に比べ10%増加して6,350万 ■総物質投入量 26 槽、油膜検知器を設置して漏洩リスク対策を講じてい 水域への排出:総排水量 CO2排出量(千t) 139 (注)1.集計の対象はセメント・資源・環境・発電の4つの事業セグメントにおける、当社が運賃を負担している製品・原料・燃料・リ サイクル資源の国内輸送です。但し、セメント製品は工場からサービスステーションまでの輸送のみを対象としています。 2.輸送トンキロに国土交通省輸送機関別CO 2排出原単位を乗じて算出しました。 Co r p o rate So cial Res ponsibility R eport 2006 27 T O P I C S 船舶の燃料効率改善 環境苦情 2005年度にセメント工場に寄せられた環境苦情・ り速やかに現地に出向いて、現場で状況を確認する 造テストを行ないました。船体後半部ビルジ部に左右対称フィン(Bilge 指摘は合計58件で、前年度に比べ約3割減少しまし とともに、原因を調査し当社に起因する場合には状 fin)と船尾端プロペラ直前の左右舷に非対称フィン(Aft-end fin)を取 た。その中で騒音苦情だけは前年度より件数が増え 況を説明のうえ、改善策を実施しています。 り付けました。水槽試験および新造船海上試験によるデータでは、満船 ています。寄せられた環境苦情に対しては、できる限 2005年9月、推進効率を改善するためにセメント運搬専用船の改 状態で約4∼5%、空船状態で約3∼4%の省エネルギー効果が得られ その他 6.8% 大気・粉塵 0 20 40 今後さらにデータを集積することにより、当社グループの船団への展開 03年度 74件 を検討していきます。 04年度 85件 05年度 58件 60 80 悪臭 12.1% 件数 CSR経営の基盤 CSR経営の基盤 費データでは、満船状態で12.3%、空船状態で0.9%の減少でした。 32.8% 4件 ■年度別 環境苦情・指摘件数 ました。また、上磯工場−京浜地区間で速力を一定とした実地試験の燃 7件 19件 水質 8.6% 5件 3件 振動 5.2% 合計 58件 20件 騒音 34.5% 土壌汚染の管理 を実施しています。その後、 リスクの高い場所から優 能性がある場所について、専門コンサルタントによる 先してボーリング調査(フェーズⅡ調査)を行なって確 土地履歴等の調査(フェーズⅠ調査)により、 リスク評価 認しています。 本社における環境保全への取り組み エコ施策について 環境保全の取り組み 環境保全の取り組み 2000年度にセメント工場敷地内で土壌汚染の可 ●リユースコーナーの設置 本社内で不要となった事務用品を有効に活用するた PRTR(環境汚染物質排出移動登録) 当社では熊谷工場に設置した都市ごみ焼却灰を水 洗する設備がPRTR法届出対象に該当しています。水 ダイオキシン類 mg-TEQ 鉛およびその化合物 kg 03年度 04年度 05年度 め、 リユースコーナーを設置、中古品を最大限に活用す 「太平洋セメントは、チームマイナス6%に参加して るとともに、安易に新品を購入しないような仕組みをと います。」を合言葉に、夏季は事務所温度を28℃に設定 するなど電力消費の低減に努め、C O ₂ の削減に取り組 っています。 0.0015 0.0018 0.012 んでいます。そのため、社内ではCOOL BIZ(夏の軽装) 0.0 0.1 0.1 を推奨するとともに、来訪者にも理解を得るため、取り です。 ●不要紙類のリサイクル 組みの内容を説明しています。本社では2005年6月か 片面使用用紙は再利用コーナーに置き、裏面を再コ ら9月の4ヶ月間で前年同期に比べ5,300k w hの電力を ピー用紙として活用しています。また、機密文書は、施錠 削減しました。 された廃棄用BOXに入れ、秘密保持契約を結んだ専門 社会的な取り組み 社会的な取り組み 域へのダイオキシン類と鉛の排出量は以下のとおり 単位 ●COOL BIZ ∼クールビズ∼(夏の軽装)運動の推進 業者が引き取り、再生紙として利用されています。 PCB廃棄物の管理 ました。同社と処理委託契約を結び、2006年6月に旧 き、全国61ヵ所で保管しているP C B廃棄物の適正保 門司工場に保管してあったコンデンサ45台を処理し 管状況を確認し、毎年届出を行なっています。2004 ました。 ●環境月間の取り組み 毎年6月の環境月間には、全従業員に向け社長メッセージを発信し、意識啓発を図っています。本社をはじめ中央研究所、 工場、支店等全事業所では環境月間行事として、講演・講習会・標語募集・展示・清掃活動など趣向を凝らしていますが、今年 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 2001年6月に制定されたP C B特別措置法に基づ はe-ラーニングによる教育も取り入れました。 2006年3月31日現在 年末から日本環境安全事業(株)北九州事業所が処 使用中 保管中 合計 理施設として稼動したことから、保管している全国の コンデンサ 57 437 494 PCB廃棄物の計画的処理に向けて早期登録を行ない トランス 3 5 8 当社資産分合計(放電コイル、安定器含まず) 環境事故 ステークホルダー・ミーティング 敷地内清掃活動(中央研究所) もったいない風呂敷展示(本社) ステークホルダー・ミーティング 講習会(東北支店) 2005年度も罰金・科料を受けるような環境事故 はありませんでした。工場では、環境事故を想定した 「緊急時対応計画」を作成するとともに、地元消防署 と協力した消防訓練や海上油濁事故を想定したオイ グリーン購入について ルフェンス設置訓練などを行なっています。 当社では、文具の購入に際して、環境に配慮した製 油流出処理訓練(土佐工場) 購入額(千円) 5,000 Corp orate Soci a l Re s pons i bi l i t y Re por t 2006 100 71.5 品の購入(グリーン購入)を推進しています。本社に 4,000 おけるグリーン購入の実績は、次の表のとおりです。 3,000 80 70.8 52.1 60 2,000 40 1,000 20 0 28 購入率(%) 購入率 グリーン購入 03 04 05 年度 Co r p o rate So cial Res ponsibility R eport 2006 29 大気汚染物質の排出抑制対策 環境パフォーマンス(セメント事業) 当社が持続可能な発展を遂げる上で、セメント事業における 「大気への排出」(CO ₂、NOx、SOx、 ばいじん)を重大な環境側面と捉えています。一方、セメント事業における 「廃棄物リサイクル」は社 会課題の解決に向けた重要な環境貢献と認識しています。 以下のページでは、セメント工場における環境パフォーマンスと取り組み状況を紹介します。 セメントカンパニーでは、 「2010年度におけるセメ 加があり、電力原単位は年々高くなっています。また、 ント製造用エネルギー原単位を1990年度比3%程度 燃料の高騰により自家発電の稼動を抑えた結果、購 低減させる」 というセメント協会の自主行動計画温暖 入電力の割合が増えています。 より異常がないか常に監視しています。 染物質としてはSOx、NOx、ばいじんが主なものです なお、SOxについては発電燃料の調達事情の悪化 が、NOx生成の少ないバーナーの採用、集じん装置を により高 硫 黄 分 の 燃 料を使わざるを得 な かった た 電気集塵機からバグフィルターに転換することなどに め、排出原単位が悪化傾向にありますが、大気汚染 より、排出削減を進めています。製造設備は24時間操 防止法の規制値に比べれば極めて低い水準にあり 業しており、 これらの排出物質について連続分析計に ます。 ■SOx、NOx、ばいじん排出量 SOx 総量(t) 今後はWBCSD/CSIのメンバーとして、海外の関係 います。2005年度のエネルギー原単位は3,499MJ/t- 会社セメント工場を含めたグループ全体でCO₂削減に 2,000 セメントとなり、前年度に比べて0.5%悪化しました。 取り組むことにしており、2006年度中に当社グループ 廃棄物の利用拡大に伴う前処理設備や輸送機の増 のCO₂削減目標を設定し公表することにしています。 2,549 2,758 1,500 環境保全の取り組み 使用量(千GJ) 直 接 原単位(MJ/t-セメント) 04年度 05年度 03年度 04年度 05年度 セメント製造用熱エネルギー 51,704 49,089 51,085 2,437 2,424 2,403 自家発電用熱エネルギー 18,138 17,872 18,495 855 883 870 購入電力 3,839 3,505 4,813 181 173 226 73,681 70,466 74,393 3,473 3,480 3,499 合 計 (注)廃棄物燃料の熱エネルギーは算入していません。 03年度 04年度 05年度 03年度 04年度 05年度 セメント製造用化石燃料 4,681 4,444 4,632 221 219 218 自家発電用化石燃料 1,636 1,609 1,665 77 79 78 146 133 183 7 7 9 6,463 6,187 6,479 305 306 購入電力 小計 石灰石起源 455 458 454 760 763 759 100 0 年度 03 04 05 年度 SOx NOx 原単位(kg/t-セメント) 0.18 0.16 0.14 0.12 0.10 0.08 0.06 0.04 0.02 0 0.169 0.136 0.120 03 ばいじん 原単位(kg/t-セメント) 04 05 年度 1.6 1.4 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0 1.62 原単位(kg/t-セメント) 1.62 0.032 1.57 0.030 0.028 0.025 0.025 0.020 0.015 0.010 03 04 05 0.005 0 年度 03 04 05 年度 廃棄物焼成炉に適用される最も厳しい排出規制値の ■ダイオキシン類排出量 (MJ/t-セメント) 5,000 4,500 4,000 3,591 60,000 05 シン類はほとんど分解されます。 9,653 16,132 74,393 04 することが義務付けられています。排出濃度は産業 9,273 80,000 03 成炉の中は1,450℃以上の高温となるため、ダイオキ 15,459 101,457 200 棄物処理法により排ガス中のダイオキシン類を測定 ■エネルギー使用原単位 100,000 300 305 (注)廃棄物燃料から発生するCO 2は算入していません。 120,000 年度 516 400 0.1ng-TEQ/m³Nを大きく下回っています。セメント焼 9,660 (千GJ) 140,000 05 563 500 セメント焼成炉で廃棄物を処理する場合には、廃 16,123 ■エネルギー使用量 04 687 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 合 計 03 700 600 32,914 32,893 社会的な取り組み 社会的な取り組み CO2排出量 エネルギー起源 原単位(kg-CO2/t-セメント) 使用量(千t) 500 0 34,354 ■SOx、NOx、ばいじん排出原単位 03年度 間 接 1,000 40,000 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 ばいじん 総量(t) 環境保全の取り組み 化対策目標に沿って、省エネルギー活動を推進して NOx 総量(t) 3,544 3,500 3,000 2,500 エネルギー使用量 CSR経営の基盤 CSR経営の基盤 温暖化対策 セメント工場の煙突から大気に排出される大気汚 単 位 03年度 04年度 調査対象キルン数 基 15 15 05年度 15 排ガス平均濃度 ng-TEQ/m3N(O 2=12%) 0.011 0.017 0.015 総排出量 g-TEQ/年 0.56 1.04 1.00 3,499 3,500 40,000 0 80 85 90 95 00 05 年度 ■CO2排出量 25,000 21,152 20,000 16,132 15,000 10,000 5,000 30 80 85 90 95 00 05 年度 ■CO2排出原単位 (千t) 30,000 0 0 ステークホルダー・ミーティング ステークホルダー・ミーティング 3,000 20,000 原料系 燃料系 80 85 90 95 00 Corp orate Soci a l Re s pons i bi l i t y Re por t 2006 05 年度 (kg-CO2/t-セメント) 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 80 749 759 原料系 燃料系 85 90 95 00 05 年度 Co r p o rate So cial Res ponsibility R eport 2006 31 廃棄物・副産物利用量の拡大 鉱山における環境・安全配慮 2005年度に社内外から受け入れ、セメント原燃料 セメント協 会 で は 、2 0 1 0 年 度 の 使 用 原 単 位 を として使用した廃棄物・副産物は738万トンで、前年 400kg/t-セメントとする努力目標を掲げていますが、 度に比べ5%増加しました。セメント1トンあたりの廃 当社としてもこの目標達成に向け努力しています。特 セメントの主原料は石灰石です。当社では天然原料に代えて、多くの廃棄物を利用しています 棄物・副産物の使用原単位は352kg/t-セメントとな に最近では、建設発生土の使用量を増やすべく新た が、石灰石がなければセメントはできません。採掘に当たっては自然環境の保全や周辺地区の安 り、2%増加しました。 な技術開発に取り組んでいます。 全確保に配慮しています。 CSR経営の基盤 CSR経営の基盤 ■セメント工場の廃棄物・副産物使用量・原単位 使用量(t) 03年度 03年度 04年度 05年度 78,058 70,072 3.5 3.9 3.3 93,904 90,837 70,186 4.4 4.5 3.3 2,168 1,935 3,184 0.1 0.1 0.2 廃タイヤ※ 96,639 77,506 65,461 4.6 3.8 3.1 高炉スラグ 1,588,815 1,316,320 1,313,685 74.9 65.0 62.6 転炉スラグ 147,551 127,549 65,941 7.0 6.3 3.1 非鉄鉱さい 367,065 381,749 379,287 17.3 18.9 18.1 鋳物砂 180,676 184,156 200,921 8.5 9.1 9.6 未燃灰、ばいじん、ダスト 422,624 399,855 407,840 19.9 19.7 19.4 環境保全の取り組み 1,990,911 2,064,738 2,217,391 93.8 102.0 105.7 汚泥、スラッジ 346,194 415,601 385,143 16.3 20.5 18.4 副産石膏 674,606 671,194 706,377 31.8 33.1 33.7 建設廃材 26,464 16,113 25,648 1.2 0.8 1.2 木くず※ 92,835 118,147 125,727 4.4 5.8 6.0 建設発生土 523,321 747,271 7.2 25.8 35.6 90,845 80,575 81,985 4.3 4.0 3.9 その他(原料系) 88,158 87,494 120,298 4.2 4.3 5.7 その他(燃料系)※ 小計 88,306 82,246 69,317 4.2 4.1 3.3 6,523,898 6,717,393 7,055,734 307.5 331.7 336.2 57,126 58,959 58,569 2.7 2.9 2.8 216,991 203,679 246,988 10.2 10.1 11.8 都市ごみ焼却灰 上・下水汚泥+下水汚泥焼却灰 RDF※ その他一般廃棄物 小計 廃棄物等合計 うち 燃料系(※印) 5,913 6,731 0.3 0.3 0.3 14,836 15,507 0.7 0.7 0.7 297,067 283,387 327,796 14.0 14.0 15.6 6,820,964 7,000,780 7,383,530 321.5 345.7 351.8 6,277,054 6,467,499 6,894,050 295.8 319.4 328.5 543,911 533,282 489,479 25.6 26.3 23.3 物比率」を、原料利用に関しては「原料代替廃棄物比 していく上での評価指標として、これまでセメント業 率」を、混合材の利用に関しては「クリンカ/セメント 界では「セメント1トン当たりの廃棄物・副産物使用原 比率」を算定し評価しています。経年推移をみると、木 単位」を用いてきましたが、当社では2004年度から用 屑などのバイオマス廃棄物比率は大きく伸びていま 途別に新しい評価指標の追加を試みています。 す。また、エネルギー代替および原料代替の廃棄物比 エネルギーとしての利用に関しては「エネルギー代 率も少しずつですが上昇しています。 定出鉱の観点から露天採掘の立坑式階段採掘法を 害防止に留意しています。 採用しています。その操業にあたっては、環境保全、 採掘切羽 穿孔機 発破 ダンプトラック ホイールローダー 立坑 立坑 専用鉱山道路 1次クラッシャー 坑内破砕設備 2次クラッシャー 選鉱場 1次クラッシャー 坑内砂味貯鉱槽 原料置場 長距離BC 2次クラッシャー 階段採掘法(ベンチカット法) 坑内BC(ベルトコンベア)坑道 坑内破砕設備(クラッシャー) 原料置場 落石防護設備 ステークホルダー・ミーティング ステークホルダー・ミーティング 廃棄物・副産物等をセメント原燃料として有効活用 騒音、粉じん、飛石、落石、水質汚濁等の鉱害防止、災 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス うち 原料系 7,323 15,626 多くの石灰石鉱山では、作業の安全性、高能率、安 社会的な取り組み 社会的な取り組み 152,077 廃プラスチック※ 石灰石採掘方法 環境保全の取り組み 74,060 再生油※ 石炭灰(含むJIS灰) 生活系 廃棄物 05年度 廃油※ 廃白土 産業系 廃棄物・ 副産物 原単位(kg/t-セメント) 04年度 替廃棄物比率」 と 「(廃棄物燃料中の)バイオマス廃棄 ■エネルギー代替廃棄物比率 (%) 25 23.9 22.1 23.4 ■バイオマス廃棄物比率 (%) 30 29.3 20 15 (%) 25 24.7 25 20 ■原料代替廃棄物比率 20 ■クリンカ/セメント比率 22.7 19.4 21.1 (%) 100 90 19.3 86.7 87.3 87.3 10 5 0 32 5 03 04 05 年度 0 03 04 Corp orate Soci a l Re s pons i bi l i t y Re por t 2006 05 年度 多くの石灰石鉱山では、立坑下部の坑 周辺に多数の民家が存在する鉱山に 掘作業を行なえることから、安全性に優 内に破砕設備を設置し、石灰石を破砕し おいては、採掘中に発生する転落石を防 れています。また、使用する重機の大型 ています。設備が坑内にあるため、破砕 止するために、柵、金網、壕、堰堤を鉱山 化を図ることにより大量生産が可能とな 時に発生する騒音、振動、粉じん等の外 周辺にめぐらし、周辺地区へ危害が及ば り、採掘作業の高能率化を図ることがで 部への影響はありません。 ないよう万全の体制で採掘作業を進め きるようになりました。 また、採掘作業と坑内作業が隔離され ています。 15 80 ているため、相互の作業干渉による災害 10 70 のリスクも少なくなりました。 5 60 15 10 この採掘方法は、平坦なベンチ上で採 0 03 04 05 年度 0 03 04 05 年度 Co r p o rate So cial Res ponsibility R eport 2006 33 環境修復 石灰石を採掘した跡地には客土・植栽を施し、少し また、生物多様性の観点から、バイオ技術を駆使し でも採掘前の環境に近づくことを願って地道な作業 希少植物の増殖および保存に取り組んでいます。 を続けています。 CSR経営の基盤 三輪鉱山(埼玉県)では、1972年(昭和47年)からチ チブイワザクラ、 ミヤマスカシユリ等の希少植物の保 護育成活動に取り組んでいます。 働きやすい職場づくり …………………………P.35 その一環として、1995年(平成7年)からは叶山鉱山 安全な職場づくり ……………………………P.38 (群馬県)とともに、組織培養と超低温保存というバ ユーザーニーズに応える取り組み ……………P.41 イオ技術を導入し、増殖した希少植物を鉱山内に植え 戻しています。 チチブイワザクラ ミヤマスカシユリ CSR経営の基盤 社会的な取り組み バイオ技術による増殖の取り組み コミュニケーション活動 ………………………P.43 環境保全の取り組み 環境保全の取り組み 残壁緑化 採掘後に残る残壁の小段には、客土・植栽を施し緑 化を図っています。その事例として武甲鉱山(埼玉県) では、ヤナギ、フサザクラ、シラカバ、ヒノキ等を植栽 しています。 働きやすい職場づくり 石灰石とは 社会的な取り組み 社会的な取り組み 石灰石の多様な用途 合併(1998年)以降、第1次、第2次人員計画では、当社を取り巻く厳しい経営環境を踏まえて事業 規模に見合った適正な人員体制を迅速に構築するために、人員の削減を中心に取り組んできました。 現在進行中の第3次人員計画(期間:2005∼2007年度)では、人材の育成と新規採用による人 石灰岩は方解石(炭酸カルシウムCaCO₃)を主成分とす 材の確保を積極的に推進しています。 る堆積岩です。現在、日本で採掘されている石灰岩の多く また、特例子会社の活用を中心とした障害者雇用の促進、高齢化社会への対応としての定年退 は、今から約3億年前に堆積した有孔虫類、サンゴ類、石灰 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 職者の再雇用制度導入といった雇用の多様性に配慮した施策や、人権啓発活動の一層の推進に 藻類などの殻や骨格など生物起源のものと考えられていま 取り組むなど、働きやすい職場づくりに努めています。 す。資源として利用するため採掘された石灰岩を石灰石と ※採用情報については当社ホームページをご覧ください。 (http://www.taiheiyo-cement.co.jp) 呼びます。 人材開発基本方針 石灰石は日本で自給できる鉱物 って各カンパニーや事業所が具体的な研修方法を計 当社グループの14鉱山からは、年間約4千8百万トンの を確実なものとするうえで、経営戦略上の最重要課 画・立案し能力開発を推進することにより、組織の活 のほかに一般諸工業、農業畜産、食品、医療、公害防止など 石灰石を、セメント向けを中心にコンクリート用骨材、鉄鋼、 題のひとつと位置づけ、2006年5月29日に以下の「人 性化を図ります。 多岐の分野で使用されており、私たちの生活に密接に係わ 石灰向けなどに出荷しています。 材開発基本方針」を策定しました。今後は当方針に沿 っています。 り、国内で自給可能な鉱物資源です。セメント、鉄鋼、建設用 ステークホルダー・ミーティング ステークホルダー・ミーティング 従業員の能力開発は、当社グループの持続的発展 石灰石は、日本国内で年間約1億7千万トン生産されてお 太平洋セメント 人材開発基本方針 石灰石が使用される身近なもの 石灰石は私たちの身近なところで様々な用途に使用され ています。家屋の基礎コンクリート、壁材、天井材、窓ガラス などに使用されているほか、日常生活で使用するグラス、陶 社内外に通用する人材の育成を目指します 1.人材開発はOJTとこれを補完するOFF-JTを基本とします 2.それぞれの分野および階層において次代を担う後継者を育成します 磁器、紙類、砂糖、ゴム、塗料、プラスチックなどの製造工程 3.常にグループ経営を視野に入れ行動する人材を育成します においても必要不可欠な材料です。 4.世界に通ずるグローバルな人材を育成します 5.CSR推進の積極的な活動を通じ、環境への配慮、社会への貢献が出来る人材を育成します 6.自己啓発により、意欲溢れる視野の広い従業員となることを支援・促進します 34 Corp orate Soci a l Re s pons i bi l i t y Re por t 2006 Taih eiyo Cement Corporation 35 人材育成と教育・研修 定年後再雇用制度(エルダー嘱託制度) 現在実施している教育研修の概況は以下の通りで 教育の一層の充実を推進します。 2006年4月1日より施行された改正高年齢者雇用 第3次人員計画の基本方針のひとつである人材の す。 「法務教育」 「セメント製造技術者教育」など、実務 また、 「新入従業員研修」 「新任管理職研修」 「人事 安 定 法 により、高 年 齢 者 の 雇 用 確 保 措 置を講 ずる 育成を踏まえ、技術の「伝え手」を確保し、 「受け手」 的な専門知識の習得を目的とした教育・研修の実施 評価者研修」など、階層別研修のあり方についても再 ことが義務付けられ、当社でも「定年後再雇用制度」 である後進の育成・教育の手段として活用していき 等により従業員一人ひとりの能力開発の実現を目指 検討を行ない、横断的な教育の効果向上を目指し、社 しています。今後は、 「人材開発基本方針」に沿って、 内教育全体の調和と効率化を図ります。 (エルダー嘱託制度)を導入しました。 ます。 CSR経営の基盤 CSR経営の基盤 制度の概要 社会的背景や各事業の環境などを反映させた部門別 60歳の定年退職後の再雇用にあたっては、労使で協定した再雇用する「基準」を満たした場合に限り再雇用される 階層別 CSRコンプライアンス 研修 情報スキル・ セキュリティ教育 国際要員 育成 WBCSD Young Managers Team 派遣 海外赴任前後教育 人事評価者研修 新任管理職研修 新入従業員研修 ことになります。その他、再雇用時の処遇等の概略は次の通りです。 1.再雇用する基準 就業後語学クラス (英語・中国語) ②会社が本人の経験、能力等を勘案し提示した職場、職種、処遇での勤務を了解する者 法務教育 特許侵害研修 テクノスクール セメント製造技術者 教育(7コース) 品質管理技術 基礎講座 品質管理試験 技術研修 耐火物管理教育 生産系システム担当者教育 製造オペレータ教育 PMパトローラ教育 機械係員保全教育 電気係員保全教育 固化材担当者技術研修 支店技術担当者研修 独禁法講習会 資源技術発表会 資源カンパニー 技術者教育 不動産実務担当者 研修会 社外 研修 社会経済生産性本部 経営アカデミー その他 各種外部研修・ セミナー派遣 グループ 経営教育 太平洋セメント グループ法務懇談会 太平洋セメント グループCSR研修 その他 自己啓発各種通信教育 人権研修会 知的財産権入門研修 特許情報検索研修 ④定年退職後直ちに業務に従事できる者 ⑤自宅もしくは、自己の用意する住居より通勤可能な者 (2)前項のすべての基準に該当する者の他、会社が必要と認める者についてエルダー嘱託として 再雇用することがある。 2.処遇条件 労使協定に基づき、個別に設定する。 3.身分・雇用契約 嘱託(エルダー嘱託) とし、老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢までの雇用を前提に 1年更新の労働契約を締結する。 行動指針のひとつである「人権を尊重し、安全で健 つのテーマを取り上げ約130名が出席しました。 康な職場づくりに努めます」を基本に、従業員はもと さらに、人権研修に関してアンケート調査を行な より事業活動に関係する人々の人権を尊重し、安全と い、今後の研修に役立てています。 プを設置するなど職場環境の改善に努めています。 備に努めています。 企業は常用労働者数の1.8%以上の障害者を雇用し 現在は、厚生施設の管理や総務・経理事務等の業務 全社人権啓発推進組織を通じて在職従業員全員を 高齢者の人権 110 なければならないこととされています。当社は、2000 に従事しています 対象に人権研修を毎年、定期的に行なっており、昨年 子どもの人権 120 年6月時点の雇用率が0.82%で、障害者雇用率未達企 が、今後も障害者 障害者の人権 130 度は延べ約3,100名が研修を受けました。一般従業員 業(9,040社) として、東京労働局より企業名を開示さ の 皆 さん が 従 事 に対する研修だけではなく、グループ会社を含めた 人権週間では、協力企業も含めた従業員およびそ れました。直ちに障害者雇用推進に向けた企画立案・ する業 務 の 開 拓 役員・トップ層研修も開催し、2005年度は広くCSRの の家族を対象に、恒例となった人権啓発標語募集を 諸施策の実施を目的とした障害者雇用推進委員会を に 努 め、さらなる 観点から、発展途上国との貧富の差から生ずる人権 行ない、優秀作品を表彰・掲示するなどさらなる人権 社内に設置しました。また、特例子会社を北海道・東 就業機会の拡大 問題と、企業の誠実さとコンプライアンスというふた 啓発の推進に努めました。 京都・大分県に3社設立し、3社合計で36名の障害者 に取り組みます。 職場への送迎 法定雇用率は未達ですが、これまでの雇用促進の取 ■障害者雇用率の推移 2.00 ってきていると実感しています。 1.50 1.66 また、雇用定着・促進に向けた取り組みとして、当 1.00 社および特例子会社各社では障害者職業生活相談 0.50 なっており、聴覚障害者の職場では職場内にパトラン 0 1.39 0.82 0.94 1.41 1.09 0.80 2,000 人権標語2005年度優秀作品 目 的 家族の部 「差別の芽 摘み取る勇気は 君の手に」 従業員の部 「何気ない言葉の端に隠れた差別 無くす心が社会を変える」 また、セクシュアル・ハラスメント防止委員会を中 推進するとともに、相談窓口を設け苦情処理に当たっ 心に、セクシュアル・ハラスメント防止の啓発活動を ています。 セクハラ相談窓口 目 的 00 01 02 03 04 05 06 年度 (注)特例子会社・・・厚生労働大臣に認定された障害者の雇用に特別の 配慮をした子会社。 Corp orate Soci a l Re s pons i bi l i t y Re por t 2006 出席者数(概数) 雇用率(%) り組みが社内に定着し、従業員の意識が着実に変わ 員の選任や休憩所の設置、通勤用送迎車の手配を行 2005年度の主な社内研修テーマ セクハラ防止(全事業所を対象) ステークホルダー・ミーティング ステークホルダー・ミーティング 健康の確保とともに明るく働きやすい職場環境の整 「障害者の雇用の促進等に関する法律」において、 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 障害者雇用の取り組み 2006年6月時点の雇用率は1.66%で、残念ながら 社会的な取り組み 社会的な取り組み 人権の尊重と快適な職場づくり を雇用するなど雇用人数の増加に努めています。 36 ③心身ともに健康状態良好な者 環境保全の取り組み 部門別研修 環境保全の取り組み 経理財務研修会 情報システム マネー ジャー・担当者教育 社内 研修 (1)定年退職した従業員を再雇用する基準について、次の各号すべてに該当する者とする。 ①定年後再雇用を希望する者 社内:全事業所に相談窓口員を配置(52名) 社外: 「21世紀職業財団セクシュアル・ハラストメント相談窓口」で電話相談を受付 Co r p o rate So cial Res ponsibility R eport 2006 37 2005年度重点実施事項 目 的 安全な職場づくり (1)安全管理体制の強化 (3)設備安全化、職場環境整備の推進 全工場の安全管理者と安全担当者が集まり安 ①関係会社の転落災害の対策として、当社安全 当社は労働災害撲滅のため、事業所ライン管理のトップダウンと職場自主活動のボトムアップ 全管理者会議を開催し、当社の安全管理体制 設計基準に工事中の開口部の基準を制定しま で、従業員と協力会社が一体となリ、危険有害要因を取り除き快適職場を築いていく安全保安衛 の方針を決定しました。 した。 生活動を組織的に推進しています。 安全体制 工場・鉱山・支店の事業所別に「安全(保安)衛生委 安全衛生協力会を設置しており、危険有害要因の指 員会」を開催し、それを統括する本社では「全社安全 摘、安全衛生活動情報の共有化に取り組んでいます。 保安衛生委員会」を設置しています。 ともに労使双方 「太平洋セメント安全保安衛生方針」を社長名で定 の代表で構成しています。 め、これを基に本社と事業所の安全保安衛生管理方 さらに各工場においては、協力会社で構成された 針の策定を実施しています。 値を、日本産業衛生学会勧告値および作業 本社の安全担当者や担当部署も参加し、再発 環境評価基準に従い改訂しました。 ③石綿含有製品の使用禁止(40ページ参照) 防止の徹底を図りました。 労働安全衛生マネジメントシステム (OSHMS)の活動 ● 今までのヒヤリハット提案改善に比べ、 より詳細に リスクアセスメントによる危険有害の可能性・重大 ● 当社では2002年に運用を開始し、 全てのセメント 工場・鉱山で2003年から運用しています。 1.労働災害ゼロを目指し、労使協力の下に安全保安衛生活動を推進する。 性の評価を行ない、設備の改善を進めています。ま ● 社団法人セメント協会主催の2004年度と2005年 2.安全保安衛生関係諸法令を遵守するとともに、事業所で定めた安全保安衛生規程類を整備し従業員・協力会社の た、設計時の安全評価、使用前後の検査制度の充 度のセメント安全衛生大会では、安全研究として当 実、安全作業標準書の定期的見直し改定作業等を 社のOSHMS活動について発表しました。 安全保安衛生を確保する。 3.労働安全衛生マネジメントシステムをより発展させ、安全保安衛生水準の維持向上に努める。 4.安全保安衛生活動を推進するため、全社及び事業所安全保安衛生委員会等の安全組織の機能強化を図るととも に、太平洋グループの労働災害低減活動を進める。 環境保全の取り組み 環境保全の取り組み 太平洋セメント 安全保安衛生方針 労働災害が発生した工場での安全対策会議に CSR経営の基盤 CSR経営の基盤 ②当社衛生管理規定における硫化水素の管理 (2)不安全行動の撲滅 実施し、安全の向上を進めています。 ※(OSHMS:Occupational Safety and Health Management System) 厚生労働省が指針として定め、連続的かつ継続的な安全衛生管理を自主的に行なうことにより、事業所の労働災害の潜在的な危 社会的な取り組み 社会的な取り組み 険性の低減、および快適職場を促進させる仕組みの活動です。 ■安全保安衛生 管理機構概略 社 長 休業度数率 経営会議 全社安全保安衛生委員会 [委員長]技術部担当役員 本社各部門・各カンパニー 着実な安全活動により、災害発生頻度を示す度数 率は、過去5年間の推移を見ると概ねセメント業界平 ■休業度数率 度数率 (%) 全産業 2.00 均を下回っています。今後も一層の労働災害低減の 鉱山保安委員会 安全衛生委員会 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 1.00 *度数率=(休業件数/労働延べ時間)×1,000,000 労働百万時間当たりの休業発生頻度を示しています。 *休業件数とは業務による労働災害で1日以上休んだ場合を 1件とします。 当社 0.50 0 良い 関係会社 各鉱山保安委員会 各支店安全衛生委員会 各工場安全衛生委員会 中央研究所安全衛生委員会 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 本社・東京支店・ 関東支店安全衛生委員会 業界 1.50 活動を進めていきます。 01 02 03 04 05 年度 *当社工場の従業員と協力会社を含めた、全ての作業者の休 業災害が対象です。 労働安全衛生の社外からの表彰 ステークホルダー・ミーティング ステークホルダー・ミーティング ■社団法人セメント協会表彰 安全保安衛生管理方針の策定 埼玉工場 安全優秀賞 (連続無災害達成 45万時間) 2005年度の安全保安衛生管理方針を定め活動を 上磯工場 安全優良賞 (連続無災害達成 30万時間) 展開しました。安全と保安のスローガンと重点実施事 大船渡工場 安全優良賞 (連続無災害達成 30万時間) 上磯工場 衛生大賞 埼玉工場 衛生優良賞 (新患発生率・休業率連続基準達成1年) 土佐工場 衛生優良賞 (新患発生率・休業率連続基準達成1年) 項は次の通りです。 安 全 衛 生 2005年度スローガン 目 的 セメントカンパニー 資源カンパニー リスクを見つけて危険ゼロ みんなで築こう無災害・快適職場 有害・危険要因の対策実施を推進し、さらなる安全の徹底を図る ■経済産業大臣表彰 保 安 38 (新患発生率・休業率連続基準達成6年) Corp orate Soci a l Re s pons i bi l i t y Re por t 2006 土佐山鉱山 保安実績優良鉱山 全国鉱山保安表彰 Co r p o rate So cial Res ponsibility R eport 2006 39 メンタルヘルスケアの取り組み ユーザーニーズに応える取り組み 等をはじめとしたメンタルヘルスサポートシステム 安全衛生法」および厚生労働省の「メンタルヘルス指 の周知徹底を行なっています。 針」に基づき、全従業員を対象としたメンタルヘルス また、セルフケア推進の一環として、階層別研修に 当社は100年以上にわたるセメント製品供給を通じて培った品質管理技術により安全・安心を チェックを2005年秋より実施し、従業員一人ひとりの メンタルヘルスについての講義を織り込むことや、ラ 保証する取り組みを推進するとともに、社会環境とユーザーニーズの変化を先取りし、国際競争力 メンタルヘルスへの関心を高めるとともに、太平洋セ インケアの強化を目的とした「メンタルヘルスマネジ 強化、顧客満足度向上につながる新製品・製造技術の研究開発に努めています。 メント健康保険組合にて契約しているカウンセリング メント研修」を、職制を対象に今後実施する予定です。 CSR経営の基盤 CSR経営の基盤 メンタルヘルスケアへの取り組みとしては、 「労働 品質管理の強化 品質方針 石綿(アスベスト)による健康障害について 当社はセメントを主力製品として、上流に骨材等資 イチェーンの中で事業を展開しています。1998年の 当社における石綿(アスベスト)使用および健康障害の 員およびそのご家族、そして当該製品の需要家などからの 源品や廃棄物リサイクル業サービスがあり、下流には 太平洋セメント発足時に以下の「品質方針」を掲げま 状況は以下の通りです。当社は事実関係を適宜関係行政機 照会にお答えしています。 生コンクリートやコンクリート二次製品があるサプラ した。 ユーザーニーズに即した品質設計を追求し、 1. 石綿含有製品の製造履歴 工場名 所在地 埼玉県秩父市 旧秩父セメント秩父第二工場 〔現秩父太平洋セメント (株)〕 埼玉県秩父市 旧小野田セメント小野田工場 〔現小野田事務所〕 山口県山陽小野田市 旧小野田セメント大分第一工場 〔現大分工場(津久見)〕 大分県津久見市 製造内容 製造期間 石綿高圧管、波型スレート、 厚型スレート、石綿煙突 ※1 1936年8月∼1979年12月 1961年∼1979年12月 ISO9001品質マネジメントシステム(QMS) 1947年7月∼1949年3月 工場ごとに構築していたQMSを1999年4月に統合 入されたのを契機に、QMS組織体を見直すとともに改 し全社一体的に運用するQMSに再構築しています。そ めて2000年版で強化された要求事項である「トップマ の後、ISO9001-2000年版への対応をしてきましたが、 ネジメントの責任」、 「業務の継続的改善」、 「顧客満足 2004年4月の組織改定に伴い社内カンパニー制が導 度の向上」への取り組みを充実させました。 石綿スレート ※2 1947年9月∼1949年4月 ※1 使用石綿:クロシドライト(青石綿)、 クリソタイル(白石綿) 使用数量は不明。 ※2 使用石綿、使用数量は不明。 2. 健康障害の発生状況(2006年8月25日現在) 秩父第一工場 秩父第二工場 藤原工場 計 労災認定を受け現在治療中の方 19名 (うち中皮腫死亡者7名) 8名 1名 ※3 (うち中皮腫死亡者1名) − 1名 ※3 (うち中皮腫死亡者0名) − 21名 ※4 (うち中皮腫死亡者8名) 8名 ※3 石綿含有製品の製造に従事していない元従業員の方に、石綿含有製品の使用によると思われる健康障害が発生しました。 ※4 死亡時期:1973年∼2006年。 3. 石綿含有製品の使用禁止 ● 2005年7月に全社安全保安衛生委員長名で、 全事業所およ にノンアスベスト品への順次取り替えを実施しています。 びグループ会社に、石綿使用実態調査と使用禁止を通達し ● また、 石綿含有製品を取り扱う作業者の健康を守るため ました。耐火被覆材等の石綿含有製品は除去・解体および に、同年9月に衛生管理規程の中に石綿含有製品の取り 囲い込みを進め、 また石綿を含有する部品・資材は計画的 扱い基準を定めました。 ● これまで近隣住民の方からの健康異常のお申し出はな く、近隣住民の方を対象とした健康診断は実施しておりま 2005年(平成17年)7月以降、各工場OB会の理解と協力 せん。 を得て、工場勤務経験者を主体に石綿検診を実施しまし ● 秩父工場で石綿使用製品の製造に携わった方々を対象と した健康診断を、1993年(平成5年)より毎年実施してい ます。 40 ● 当社の7工場ならびに小野田事務所、 西多摩事務所では、 Corp orate Soci a l Re s pons i bi l i t y Re por t 2006 当社は製品の品質保証を確実に行なうことが確た この委員会では、CSR経営の観点から、広く社会環 る信用を築くとの考えから、2005年4月に新たに「品 境の変化に即して顧客等のステークホルダーの要 質保証・PL委員会」を設置しました。当社グループの 望・期待に応えるべく活動テーマを選定しています。 製品群はコンクリート構造物になって初めて一般消 2005∼2006年度は「品質保証に係るリスク管理の推 費者の役に立つものであり、その材料であるセメン 進」、 「 新JISマーク制度への対応」、 「 顧客満足度の向 ト、骨材、生コンの品質保証は極めて重要な課題であ 上」の3テーマに取り組んでいます。 ると考えています。 研究・技術開発の動向 当社ではユーザーの将来ニーズを先取りするため セメント会社をはじめ国際的な技術交流を活発に推 に、絶えず研究・技術開発体制を見直し独自性・創造 進して、海外に展開できる技術を持った国際競争力 性のある技術開発を進めています。また、海外の大手 のある企業を目指しています。 ステークホルダー・ミーティング ステークホルダー・ミーティング 4. 健康診断実施 品質保証・PL委員会 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 大分工場(佐伯) 労災認定を受け死亡した方 品質保証を確実に行い、顧客満足度の向上を図る。 社会的な取り組み 社会的な取り組み 旧秩父セメント秩父第一工場 (2000年操業停止) 工場名 環境保全の取り組み 環境保全の取り組み 関に報告するとともに、報道機関や近隣住民の方、元従業 た。約800名のOBの方々が受診されました。 (受診率約30%) 研究・技術開発体制の見直し 2005年10月には、従来のR&D部門である中央研 Technological Development)部門を発足させまし 究所と知的財産部に、プロフェッショナル・スタッフ部 た。これまで中央研究所は、セメントや環境事業など 門に属していた技術部を統合し、それらを統括する 各カンパニーのシーズやニーズに関わる研究開発に 部署として開発推進部を設置して、RTD(Research & 取り組み、技術部はより製造プロセスに近い技術の開 Co r p o rate So cial Res ponsibility R eport 2006 41 発を担当してきました。 これを統合することによって、 分と進捗管理などを統括しています。知的財産部は、 初期の研究・技術開発段階から実証テストや実機へ 研究・技術開発成果の特許化を支援するとともに、各 の適用に至るすべてのステップに両組織が携わり、開 カンパニーの事業に対する特許の貢献度を独自基準 発スピードをアップできる体制が出来上がりました。 で評価して「知的財産報告書」で公表しています。 開発推進部は、各カンパニーから提案された研究・ ※「知的財産報告書」は、当社ホームページ(h t t p://w w w.t a i h e i y ocement.co.jp)からダウンロードできます。 技術開発テーマに優先順位を付け、開発費の適正配 期間でセメント中に含有さ れている微量成分はほとん ど増えておらず 、現 在 の 微 1987年 量 成 分 含 有レベ ルは、ほぼ 天然土壌の含有レベルの範 1994年 囲内にあります。 研究開発の国際展開 2003年 当社が開発した省エネルギー・ 環 境 技 術 は 世 界 各 地 のセメント 会社に採用され、グローバルな省 ■当社開発技術の海外への導出実績(2000年∼2005年) 技術(装置) RSP(仮焼炉) 海外実績数 技術導出先 国内実績数 合計 79 アメリカ、フランス、インドなど30カ国 15 94 73 アメリカ、イラン、マレーシアなど27カ国 37 110 O-SEPA(分級機) 432 アメリカ、カナダ、スペインなど50カ国 34 466 全に貢献しています。 OK(粉砕機) 39 韓国、ギリシャ、アルゼンチンなど8カ国 18 57 CK/CKP(粉砕機) 40 カナダ、中国、韓国、インドネシアなど15カ国 17 57 7 15 10 13 中 央 研 究 所を中 心とした 研 究 廃熱発電 8 中国、台湾など3カ国 塩素バイパス 3 フランス、韓国 会議名 ACI&CANMET 報告件数 12 主な報告内容 セメント化学、混和材/剤、 ダクタル、エコセメント RIREM 4 作用機構、収縮低減、塩素浸透、物質移動モデル また世界各国の研究者と直接交 fib 7 セメント化学、 グラウト材、 ダクタル、エコセメント 流できる場として積極的に国際会 ICCC 3 混和剤作用機構、ポゾラン反応、エコセメント 2 セメント製造技術(塩素バイパス技術など) IEEE/PCA その他 60 ACI; American Concrete Institute CANMET; Canada Centre for Mineral and Energy Technology RIREM; International Union of Laboratories and Experts in Construction Materials, Systems, and Structures fib; federation internationale du beton ICCC; International Congress on the Chemistry of Cement IEEE; The world's leading professional association for the advancement of technology PCA; Portland Cement Association コミュニケーション活動 地域社会とのコミュニケーション 工場・鉱山においての見学受け入れ セメント製造業は地域に根ざした産業のため、以前より 地元住民の方をはじめ、小・中・高等学校の授業の一環と して、工場・鉱山の見学が行なわれてきました。また最近で は、廃棄物等の受け入れ増加に伴い、官庁や自治体、企業 の方の見学も増えており、2005年度は5,000人以上の方々 が、当社グループの工場・鉱山を見学されました。 地域住民の方への説明会の開催 新たな事業を始める場合や、鉱区の新規開発、新たな廃 棄物を受け入れる場合には、地域住民の方への説明会を開 催しています。 地域行事への参加と社有地の開放 今日あらゆる製品に安全・安心が求められています。セメント 地域での行事開催時には、従業員の参加をはじめ、駐車 場としての社有地開放など様々な支援をしています。また、 原燃料に廃棄物等を天然資源の代替として使用するようになっ るのか?」 「製品であるセメントの品質および安全性に問題はな いのか?」などのご指摘をいただくようになりました。しかし当社 としては、廃棄物を原燃料として使用しても、安全性には問題が 過程で分解されます。また、重金属等はセメントの中に残り含有 されることになりますが、セメントがコンクリートとして使用され る過程で基準を超えて溶出することはほとんどありません。これ はセメント水和物が重金属等を固定化する機能があるためです が、例外的に施工段階で六価クロムの溶出が問題になることがあ ります。対策として、廃水の適正処理や特殊土用固化材の使用と 廃棄物に限らず天然資源にも微量の重金属等は含有されてい ますが、セメント工場では廃棄物の受け入れ増加に対応して微量 成分の管理を強化しています。次頁の表でも、過去10年余りの Corp orate Soci a l Re s pons i bi l i t y Re por t 2006 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 土の含有量範囲* 495 151 79 棒グラフは当社 2005年度の平均値 84 工場周辺の自主清掃活動に加え、自治体が主催する清掃 活動へも積極的に参加しています。また、交通安全活動や、 重機による雪かき作業、商工会・自治会活動の支援なども 行なっています。 環境モニター制度 当社およびグループの工場では、近隣に住む従業員や O Bの方、地区の住民代表者の方にモニターとなっていた だき、定期的あるいは適時に報告をいただく 「環境モニタ ー制度」を導入しています。大分工場では初めての試みと して、今まで当社関係者のみだったモニター9名のうち4名 を、当社関係者以外の方にお願いしました。 このモニター制度により、工場周辺地域の環境情報を早 期に把握し、迅速な対応を図っています。 14 (8.0) 全Cr Zn (水溶性Cr(Vl)) 1.1 サイトレポートの発行 3.0> 定量下 いった方法が定められています。 地域と共に歩む取り組み 1,000 900 800 500 400 300 200 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 1 所有するグラウンドや体育館等も随時開放しており、地域 の皆さまにご利用いただいています。 ステークホルダー・ミーティング 基本的にダイオキシン類のような有害な有機物は高温焼成の (mg/kg) 1,600 1,500 ︵ 限 未満︶ ステークホルダー・ミーティング ないものと考えています。 ■普通ポルトランドセメントの微量成分含有量 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス T O P I C S セメント製品の安全性追求 て、ユーザーから「廃棄物中に含まれる微量の有害物質はどうな 42 Hg − − − 0.010 0.025 0.001 0.008 0.036 0.005> 0.015 0.047 0.005 0.010 0.023 0.005> 0.010 0.033 0.005> 社会的な取り組み 社会的な取り組み 議に参加しています。 2005年 Cd 1.5 2.6 0.6 2.4 6.2 1.0 2.2 5.5 0.8 1.6 2.7 0.5 1.3 2.1 0.1 3.0> 4.0 3.0> ■セメント・コンクリート関係国際会議への当社文献報告状況(2000年∼2005年) 成果は、日本はもとより世界の権 威ある学会誌に投稿しています。 2004年 Se − − − − − − 0.8 2.1 0.5> 0.9 1.5 0.5> 1.2 1.7 0.7 1.1 1.4 0.5> 環境保全の取り組み 環境保全の取り組み SF、CSF(仮焼炉) エネルギーおよび地域の環境保 ※廃棄物使用に伴う安全性 などに関してのQ&Aを当社 ホームページに掲載してい ますのでご参照ください。 h t t p://w w w.t a i h e i y ocement.co.jp 微量成分含有量の推移(mg/kg) 水溶性Cr(Ⅵ) Zn Pb Cu As 17.4 556 221 122 17 32.3 1,059 668 233 39 5.3 137 18 17 2 12.7 563 145 125 15 26.5 954 387 240 29 5.4 310 5 19 4 8.5 427 78 116 15 11.5 736 163 246 40 5.4 224 33 28 3 7.6 492 62 165 13 11.0 717 92 449 35 4.4 256 21 35 3 7.8 493 81 144 14 9.4 681 143 359 38 5.5 310 47 45 4 8.0 495 84 151 14 11.9 763 200 384 46 4.2 263 43 32 6 CSR経営の基盤 CSR経営の基盤 2000年 平均 最大 最小 平均 最大 最小 平均 最大 最小 平均 最大 最小 平均 最大 最小 平均 最大 最小 全Cr − − − 86 168 40 92 123 64 74 110 44 76 86 51 79 105 43 Pb Cu As Se Cd 0.01 Hg *H.J.M.Bowen:浅見輝男・茅野充男訳、環境無機化学、博友社,1983 埼玉県では、2002年4月より生活環境保全条例に基づ き、環境への負荷が相当程度大きいとされる一定規模以上 の事業者に対し「彩の国エコアップ宣言」 という環境負荷低 減計画書の作成と公表を義務付けています。埼玉県にある 熊谷工場、埼玉工場、子会社の秩父太平洋セメント(株)で は、 「彩の国エコアップ宣言」で必須項目となっているC O ₂ 排出量や廃棄物排出量以外にも、受け入れ廃棄物・副産物 の種類や使用量、定期排ガス測定値、環境負荷低減の取り 組みなどを自主的に公開しています。サイトレポートは各 工場の受付に備え置いて、来場された方が自由に閲覧でき るようにしています。 Co r p o rate So cial Res ponsibility R eport 2006 43 地域との共生を目指して ― 各セメント工場の概況 大船渡工場 当社は全国に7工場8プラントを展開しています。 業を続けてきました。 ここで、各工場の概況を、工場長 ● 操業開始:1937年(昭和12年) それぞれが立地する地域の皆様の暖かいご理解を得 から地域の皆様へのメッセージを添えて報告いたし ● 所在地 :岩手県大船渡市赤崎町字跡浜21-6 て、日頃より安全の確保や環境保全に努めながら操 ます。 Tel.0192-26-2111 ● 従業員数:145名 ● 生産量 :1,973千トン ● 廃棄物等リサイクル量:576千トン CSR経営の基盤 CSR経営の基盤 (注) 「生産量」はクリンカ(中間製品)、 「廃棄物等リサイクル量」は廃棄物・副産物合計(主なものは石炭灰・高炉スラグ・建設発生 土など)、いずれも2005年度実績。従業員数は2006年3月31日現在。 ● ISO14001認証取得年月:1998年4月 ● 主なコミュニケーション活動: 上磯工場 ● 龍振鉱業社(鉱山)のヤングドライバーズクラブが国道107号線の清掃活動を実施。 (右上写真) ● 太平洋セメント旗市内中学校野球大会を開催。8校が参加。 工場長メッセージ ● 操業開始:1892年(明治25年) 当工場は、陸中海岸国立公園の中で、豊かな自然と 「岩手の湘南」 と言われるぐらい温暖 ● 所在地 :北海道北斗市谷好1-151 な気候風土に恵まれ、操業以来70年の間、地域の皆様に支えられ、そしてふれあいを大切 Tel.0138-73-2111 にしながら地域と共に発展をしてきました。 ● 生産量 :3,912千トン 現在、循環型社会の到来とともに、限られた資源を有効に利用するため、多くのリサイク ● 廃棄物等リサイクル量:991千トン ル資源を活用し、社会、そして地域に貢献できる工場作りに努力しています。 環境保全の取り組み 環境保全の取り組み ● 従業員数:179名(峩朗鉱業所を含む) その中で、近年、岩手県と青森県の県境において、産業廃棄物が多量に不法投棄され、社 ● ISO14001認証取得年月:1999年5月 会的にも大きな問題となっていました。 この問題に対して、当工場は廃棄物をセメント原料として積極的に受け入 ● 主なコミュニケーション活動: ● クリーン作戦(前浜清掃)を2回、102名が参加し実施。 れ、地域再生に貢献することができました。これもひとえに工場周辺地域の皆様の大変なご理解があったからこ ● 秋葉神社奉納少年野球大会を主催。町内5チーム99名が参加。 (右上写真) そ進めることができたと感謝しています。 今後も、 より細かな情報を発信しながら、地域とのコミュニケーション活動を充実させ、社会、地域に貢献できる 工場長メッセージ 工場作りを更に目指しながら、企業としての責任を果たしてまいります。 花田 裕志 社会的な取り組み 社会的な取り組み 上磯工場は明治25年以来114年の長きにわたり操業を続け、稼動中の事業所としては国 内最古のセメント工場です。 その歴史は今年2月に合併により誕生した北斗市の前身である旧上磯町の発展とともに あります。峩朗鉱山の大規模開発、鉱山と工場を結ぶ6kmのベルトコンベア、焼成窯3基を 熊谷工場 擁する生産体制、製品出荷と原燃料受け入れに不可欠である2kmの海上桟橋等、当工場を ● 操業開始:1962年(昭和37年) 特徴づける全ての要素が、地域社会のご理解と暖かいご支援なしには有り得なかったもの ● 所在地 :埼玉県熊谷市三ヶ尻5310 と強く感じています。 Tel.048-532-2831 ● 従業員数:101名 近の宅地化が進み、環境保全にはこれまで以上に配慮を要する「都市型工場」に変貌しつつあります。 ● 生産量 :2,075千トン その一方で産業廃棄物の処理量も徐々に増加し、来年からは一般廃棄物の受け入れも開始予定です。 こうした ● 廃棄物等リサイクル量:916千トン 取り組みについては、地域社会への周知と一層のご理解を得る努力が必須のものであることは言うまでもなく、 ● ISO14001認証取得年月:1998年4月 身近な親しみのある工場としてご理解いただくために、雇用機会の提供、地域行事への積極的参加や見学会の開 ● 主なコミュニケーション活動: 催など、平素から様々な機会を通して地域社会との融和を図ってまいります。 長谷川 文雄 ● 近隣住民の方々 (137名参加)をお招きし視察していただく 「工場参観デイ」を実施。 (右上写真) ● 毎月、工場周辺美化パトロール(自主清掃活動)を実施。 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 工場前面は函館湾に面し、後背地には美しい田園が広がる自然豊かな環境に囲まれた立地ですが、近年は付 工場長メッセージ 熊谷工場は都市型のセメント工場として各種の廃棄物をセメント資源化しており、特に ステークホルダー・ミーティング ステークホルダー・ミーティング 都市ごみ焼却灰については、灰水洗システムにより埼玉県総発生量の4分の1を受け入れ T O P I C S 表彰関係 2005年度に受けた環境に関する主な表彰は以下のとおりです。 日 付 4月25日 9月1日 愛・地球賞 10月7日 44 表彰名 ごみゼロおおいた作戦 功労者表彰 平成17年度資源循環技術・ システム表彰 経済産業大臣賞 Corp orate Soci a l Re s pons i bi l i t y Re por t 2006 内 容 操業上、最も注意していることは「絶対、地域に迷惑をかけない」 ということです。当工場 は従来からばいじん、騒音等の公害防止、火災等の事故防止、輸送車両の安全運行に努め 表彰対象 表彰主体 環境技術開発に尽力 太平洋セメント(株) 大分工場 大分県 都市ごみ焼却灰からの エコセメント製造技術 市原エコセメント(株) 愛・地球賞審査委員会 AKシステム ています。 太平洋セメント(株) てきましたが、地域の方からの信頼をより高めるため、地域環境保全に対する工場の取り 組み内容を開示しております。また、生産活動に伴う法令の完全遵守はもちろん、企業倫理、社会の良識に則った 行動の実践を徹底しております。 財団法人クリーン・ ジャパン・センター 地域貢献については、親子の工場参観デイ、小学生の工場見学、中学生の職場体験、地元大学生のインターン シップ受け入れ、地域行事への参加、スポーツ会場用の土地の貸し出し等の取り組みを展開しています。今後もコ ンプライアンスとCSRの精神を浸透させて操業してまいります。 金子 行夫 Co r p o rate So cial Res ponsibility R eport 2006 45 埼玉工場 土佐工場 ● 操業開始:1955年(昭和30年) ● 操業開始:1896年(昭和29年) ● 所在地 :埼玉県日高市原宿721 ● 所在地 :高知県高知市孕東町25 Tel.042-989-1111 Tel.088-833-1231 ● 従業員数:118名(土佐山鉱業所を含む) ● 生産量 :1,477千トン ● 生産量 :1,268千トン ● 廃棄物等リサイクル量:654千トン ● 廃棄物等リサイクル量:589千トン ● ISO14001認証取得年月:1999年5月 ● ISO14001認証取得年月:1999年5月 ● 主なコミュニケーション活動: ● 主なコミュニケーション活動: ● 日高市内に残る貴重な自然環境を保全するための「緑の基金」へ寄付。 (右上写真) ● 工場に隣接する浦戸湾の7河川一斉清掃を実施。20名が参加。 ● 市民の諸団体に社有施設(グラウンド、講堂)を毎週開放。 ● グラウンドをソフトボール練習場として開放。 (右上写真) 工場長メッセージ CSR経営の基盤 CSR経営の基盤 ● 従業員数:87名 工場長メッセージ 当工場は1970年初頭より産業廃棄物を受け入れてきましたが、2002年からは、日高市内 土佐工場は、県中心部の高知市(人口33万人)港湾地域に位置し、市街まで車で約5分の で発生する家庭ごみを生のまま全量受け入れ処理する都市ごみ資源化事業(AKシステム) 中核都市隣接の工場で、セメント製造110年の歴史があります。 最近、工場の対岸にはマンションおよび学校などの建設が進み住宅地化されてきまし た。 このような状況下、当工場は電力卸供給事業〈土佐発電(株)〉参画を契機に、2004年12 現在当工場はこれらの廃棄物の無害化処理を安定的に継続しておりますが、首都圏の内 月に高知市と新たな環境保全協定を締結し、地域との共生、貢献を第一義に工場・鉱山の 陸工場であり、その立地条件から近年工場周辺に住宅が大幅に増えてきていますので、 こ 運営を進めています。排煙、臭気などの問題がないよう環境保全に万全を期し、地域とのコ れまで以上に周辺環境への影響を充分配慮した操業継続が工場存続の必須条件になってきています。ISO14001 ミュニケーション強化を進め、良好な関係を維持していきたいと思います。 を取得し環境保全管理体制を万全にしていることはもちろん、発塵・臭気・排水・騒音・振動等の環境対策に着実 また、土佐山鉱業所は工場より約40分の中山間地域にあります。近隣地区とは行政も含めて定期的に意見交換 に取り組んでおり、地域社会と共生し一層信頼される工場になることを目指しています。 をさせていただきながら、友好関係の維持に努めています。 山本 清志 今後もこれらを踏襲しコミュニケーションの強化に努めてまいります。 杉野 剛 社会的な取り組み 社会的な取り組み 藤原工場 環境保全の取り組み 環境保全の取り組み を開始しました。 この都市ごみ資源化事業により、日高市にとってはごみ焼却場が不要にな り、加えて最終処分場の延命が図れるようになって、地域社会に大きく貢献しています。 大分工場 ● 操業開始:1932年(昭和7年) ● 操業開始:津久見−1917年(大正6年) ● 所在地 :三重県いなべ市藤原町東禅寺1361-1 佐 伯−1926年(大正15年) Tel.0594-46-2511 ● 所在地 :津久見−大分県津久見市合ノ元町2-1 ● 従業員数:143名 Tel.0972-82-3111 ● 生産量 :2,391千トン 佐 伯−大分県佐伯市大字戸穴337-1 Tel.0972-27-8812 ● ISO14001認証取得年月:1998年4月 ● 従業員数:248名 ● 主なコミュニケーション活動: ● 生産量 :5,754千トン ● 冬季に地区内の雪かき実施、踏切交通指導(毎月)など地域の様々なお手伝い。 ● 廃棄物等リサイクル量:2,320千トン ● 体育館、 グラウンド、テニスコート、ゲートボール場を住民に開放。 (右上写真) ● ISO14001認証取得年月:津久見−1997年6月 佐 伯−1998年8月 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス ● 廃棄物等リサイクル量:930千トン ● 主なコミュニケーション活動: 工場長メッセージ 「津久見市ふるさと振興祭」に際して市民150名を招き鉱山見学会を開催。 (右上写真) ● 現在、デパ地下のみならず、スーパーの有機低農薬野菜にも生産者の顔写真が標示され ● 河川愛護デーに河川清掃を実施。 ています。消費者から見ると、野菜を作った人の顔が見えることで安心して購入できるの 大分工場は大分県南部の津久見市と佐伯市にある2つの工場が2005年10月に統合して えれば安心して頂けると思います。特にその工場のトップの顔が見えれば。 発足したもので、いずれも操業以来80年以上を経過しております。 この間、幾多の変遷を経 我々はよく 「地域あっての事業運営」 とか「地域との共存共栄」を口にしますが、問題は地 ながら、現在では製品の50%以上を海外に供給する世界的規模の工場として成長してまい に足が着いた行動を取れるかどうかだと思います。幸いにも当地が我が故郷の環境・人情に近いこともあり、慣れ りました。 これは恵まれた立地と、工場の操業開始以来、幾世代にもわたって培われてきた 親しむには多くの時間を要しませんでした。各区の全員総会や老人会のご招待には必ず出席をさせていただき、 地域との信頼関係がその礎だと思っております。 地域の行事にも積極的に参加し、 「セメントの生産者はこの顔です」 とアピールしています。さらに、社宅の菜園で 本物の野菜を栽培し、地域の皆様に提供しています。 ステークホルダー・ミーティング ステークホルダー・ミーティング 工場長メッセージ か、好評のようです。我々の工場と地域社会の関係もこれに似ています。 地域社会の住民の方々にも、要塞のような工場の中でセメントを作っている人の顔が見 石澤 清 しかし、一方で典型的な資源・エネルギー多消費産業であるセメント産業は、省資源への 対応や事故・災害発生リスクなどの根本的な課題を常に内在しております。今後、 こうした課題への取り組みは、事 業者の一方的な対応ではなく、地域の皆様の理解や納得を得ながら取り組むことが不可欠だと考えております。 私たちは事業活動の中で、フェア、信頼、遵法、責任の意味をかみ締め、 これを実践することで、一歩ずつ前進し てまいりたいと考えております。 46 Corp orate Soci a l Re s pons i bi l i t y Re por t 2006 松岡 努 Co r p o rate So cial Res ponsibility R eport 2006 47 グループ会社でのコミュニケーション活動 海外において事業活動を行なっている当社グルー ーション活動を行なっています。 ここではその一部を プ会社でも、積極的に環境保全や地域とのコミュニケ 紹介します。 広告活動 社会基盤の整備に欠かせないセメント。その生産 にあたっては大量の廃棄物を原燃料として活用して いますが、一般的にその認知度は低いようです。当社 の取り組みを多くの方に知っていただくために、産業 環境に配慮した取り組み 米国 紙を中心に広告を展開しています。 CSR経営の基盤 CSR経営の基盤 中国 あさりの貝殻をビジュアルとし、 「生まれ変わった 太平洋セメントUSAでは、使用エネルギーの効率 ら、橋になりたい。」のキャッチコピーで循環型社会に 司と秦皇島浅野水泥有限公司では、場内や鉱山の緑 化に積極的に取り組んでいます。全米で2基目となる 貢献する当社の姿勢を強く訴えたこの広告は、フジサ 化活動を行なうなど環境保全に注力しています。 粉砕ミルを導入し、電力費の大幅削減を実現しまし ンケイビジネスアイ紙が主催する「第44回ビジネス 宜興秩父小野田混凝土では、生コンクリートを製 た。このような取り組みが評価され、米国環境保護局 広告大賞」の記事下広告部門で銀賞を受賞しました。 造・販売しており、 ミキサー車の洗車水から骨材を分 より2年連続でエナジースターパートナー賞を贈られ 離して再利用したり、 たほか、各種団体や 後輪タイヤに再生タ カリフォルニア・アリ 展示会への出展 イヤを使用するなど、 ゾナ各州政府からエ 環境関連の展示会をはじめ、工場の地元などで開 廃 棄 物を減らす べく ネルギー効率改善 催される産業祭等に出展しています。 様々な努力を行なっ ています。 に対しての表彰を受 工場内の緑化(大連) けています。 地域とともに ベトナム 秦皇島浅野水泥有限公司では、地元の建材学院の ギソンセメントでは、共働きが多いという地域性を 講師や学生の見学を受け入れました。また、地元ゼネ 考慮して、従業員が安心して働けるよう社宅内に幼稚 コンや生コン会社のお客様をお招きしてコンクリート 園を設立しています。従業員の子供たち、1歳から6歳 技術講習会を開催し、日本における最新のコンクリー までの約40人が通園しています。 イベント名 内 容 5月21・22日 くまがやエコライフフェア 工場の取り組み 6月22∼24日 コンクリートテクノプラザ2005 エコセメント、 ダクタル、診断・補修技術 8月5∼7日 環境広場さっぽろ2005 都市ごみのセメント資源化システム 10月19∼21日 エコテクノ2005 〃 11月15∼18日 メンテナンス・テクノショー2005 診断・補修技術 11月29∼12月2日 ウェステック2005 都市ごみのセメント資源化システム 12月15∼17日 エコプロダクツ2005 〃 社会的な取り組み 社会的な取り組み 中国 日 付 環境保全の取り組み 環境保全の取り組み セメントを製造・販売する大連小野田水泥有限公 ト技術について解説しました。中国での技術力の向 上に資するものと考えています。 フィリピン 太平洋セメントフィリピンズでは、3歳以下の栄養 を実習生として約1年間受け入れました。 失調児に対してミルクと栄養剤を提供する「Feeding program」を実施しました。また、地元中学校進学者 に対する奨学金制度を新設しました。 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス また、宜興秩父小野田混凝土では専門学校生3名 T O P I C S IRの取り組み 株主・投資家の皆様から太平洋セメントグループの企業価値について、正しい評価が得られるよう、情報をタイムリーに、公 平に、継続して提供することを追求しています。 ■IR活動の内容 機関投資家向けに決算説明会、会社施設見学会、個別ミーティング、スモールミーティングなどを実施しています。決算説 明会は、決算内容を説明するとともに経営トップが自らの経営方針などを直接伝える機会と位置付けています。会社施設見学 各種ツールの活用 48 会は、工場や鉱山などの生産現場の視察を通じて、会社や事業への理解を深めていただくことを目的として行っています。個 別ミーティングは、株主・投資家の皆様のご要望に応じ随時実施しています。そ 当社では、1999年より毎年発行していた環境報告 さらに、当社の最新の情報を発信する場として、ホ 書を昨年からCSRレポートに改め、より多くの内容を ームページの充実を図っています。 トップページには 盛り込みました。 ニュースリリースなどの各種情報を掲載しています。 また、セメントユーザーの皆さまを対象とした技術 C S Rレポートについては、画面上での閲覧がスムー 決算説明会および中期経営計画説明会 3回 情報誌「CEM'S」、投資家の皆さまを対象とした「アニ スにできるWEB版を公開しています。また、2006年3 会社施設見学会 6回 ュアルレポート」、社内コミュニケーションツールであ 月には英文版ホームページの全面改訂も行ないまし る社内報「Taiheiyo」の発行など、様々なステークホル た。 これからも内容の充実に取り組んでいきます。 ダー向けの印刷物を発行しています。 英文版ホームページアドレス http://www.taiheiyo-cement.co.jp/english/ Corp orate Soci a l Re s pons i bi l i t y Re por t 2006 ステークホルダー・ミーティング ステークホルダー・ミーティング 当社に関する情報の公開について のほか特定のテーマについて深くご理解いただくためのスモールミーティング もタイムリーに開催しています。 ■2005年度IR活動の実績 個別ミーティング スモールミーティング 182回 3回 e-mailによるお問い合わせ窓口:[email protected] Co r p o rate So cial Res ponsibility R eport 2006 49 エコセメントシステム 廃棄物のリサイクル ……………………………P.50 構造物の長寿命化・軽量化……………………P.55 境を救う技術」 として高く評価されており、海外からも つくられる、これまでにない画期的なセメントです。 注目されています。2001年、世界で初めてエコセメン 普通セメントの主な原料は、石灰石・粘土類・鉄原料・ トを生産する施設として、千葉県市原市で市原エコセ 石膏ですが、エコセメントでは、これらの原料の代替 メント(株)が操業を開始しました。千葉県の人口の として、エコセメント1トン当たり500kg以上の都市 約1/4にあたる150万人分のごみの焼却灰を受け入 ごみ焼却灰などの廃棄物を利用しています。廃棄物 れ、年間約11万トンのエコセメントを製造する能力が を大量に有効利用できることから、 「21世紀の地球環 あります。 【多摩地域廃棄物エコセメント化施設整備運営事業】 【事業概要】 市原エコセメント(株)に続き、2番目のエコセメント生 ● 事業主体:東京たま広域資源循環組合 新たな製品・技術の開発 ………………………P.57 産施設として、東京都西多摩郡日の出町に「東京たまエコ ● 建設工事:当社・ (株)荏原製作所JVが受注 セメント化施設」が誕生しました。2004年から建設工事が (工事金額272億円) 始まり、2006年7月、本格操業を開始しています。東京都多 ● 運営受託:当社・ (株)荏原製作所で設立した 摩地域25市1町から発生する都市ごみ焼却灰を年間9万4 東京たまエコセメント (株)がプラントの運営業務を受託 千トン受け入れ、13万3千トンのエコセメントを製造しま (契約期間20年間、受注金額530億円) 材を社会に供給しています。 環境保全の取り組み 環境保全の取り組み 快適な生活環境づくり…………………………P.55 太平洋セメントグループは、ユーザーのニーズに応えてセメント、生コン、各種建材や骨材等の建設資 CSR経営の基盤 CSR経営の基盤 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス エコセメントは、都市ごみの焼却灰を主原料として す。市原エコセメント (株)は民間の会社(当社の関係会社) ですが、この施設は公設民営(D B O:デザイン・ビルド・オ ペレート)手法を採用した事業であるという点が特徴です。 また、それら製品の生産工程を利用して、家庭から出るごみ(一般廃棄物)や産業廃棄物を熱エネル ギーや原料(資源) として活用し、地域社会や地球環境問題の解決の一端を担う事業も展開しています。 建設工事から施設の運営業務までを一貫して受注・受託す るという、プラントエンジニアリング型の大型事業で、当社 にとっては初めてのビジネスモデルになります。 これからも私たちは、様々な製品やシステム、サービスを提供し、行政や他の産業と協力しながら、循 環型社会、持続可能な社会の形成に役立ちたいと思っています。 社会的な取り組み 社会的な取り組み 廃棄物のリサイクル 灰水洗システム 都市ごみセメント資源化システム みの種になっており、今後ますます深刻になるものと予 立てられていますが、全国的に残余年数が減少し、新し 想されています。当社グループでは、社会のニーズに合 い最終処分場の確保が厳しい状況にあります。特に大 わせて3つの都市ごみ資源化システムを推進し、資源の 都市圏を中心とした各自治体では「ごみ処理問題」が悩 有効利用と環境問題の解決に取り組んでいます。 普通セメント工場 ステークホルダー・ミーティング 灰水洗システム セメント工場でごみ焼却灰を 普通セメントの原料としてリサイクル 都市ごみ であるセメントの品質はこれらの処理によって適切 ントの原料としてリサイクルするシステムです。焼却 に保持されます。また、キルン排ガスを利用して重金 残渣のうち、焼却主灰に混入している金属や異物を 属を除去する独自の排水処理技術も採用しました。 除去、ばいじんについては含まれている塩素を水洗 生コン工場 コンクリート製品工場 普通セメント (JIS R 5210) 家庭から排出されたごみや事業系一般ごみそのも ます。持ち込まれたごみは、ごみ資源化キルンで3日 のを、普通ポルトランドセメントの原燃料としてリサ ほどかけて発酵、生分解され、安全で衛生的なセメン イクルするシステムです。セメント焼成キルンをごみ ト用の原料や燃料に生まれ変わります。現在、 このAK 資源化キルンに改造することなどにより、既存のセメ システムは埼玉工場にて操業しており、埼玉県日高市 ント工場設備を利用することができます。 から排出される都市ごみ全量(年間約1万5千トン)を ごみ収集車で回収した都市ごみをセメント工場に セメントの資源として活用しています。 ステークホルダー・ミーティング セメント工場で都市ごみそのものを 普通セメントの原燃料としてリサイクル ことにより、都市ごみ焼却灰を普通ポルトランドセメ AKシステム AKシステム わたしたちの 生活 設備で除去した後、セメント原料に使用します。製品 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 現在、多くの都市ごみ焼却灰は、最終処分場へ埋め 既存のセメント工場設備に前処理設備を付設する 直接持ち込むので、清掃工場(焼却場)が不要になり エコセメント工場 エコセメントシステム 清掃工場 50 焼却灰 Taih eiyo Ceme nt Cor pora t i on エコセメント工場を新設しごみ焼却灰 をエコセメント原料としてリサイクル エコセメント (JIS R 5214) Co r p o rate So cial Res ponsibility R eport 2006 51 ●製鉄会社 セメント資源化システム セメント製造工程と利用廃棄物等 イクルする「セメント資源化システム」は、最終処分場 や他産業から排出された副産物を安全かつ大量に再 の延命効果だけでなく、天然資源の枯渇防止やC O 2 資源化することが可能です。廃棄物を資源としてリサ などの大気への排出物の低減に寄与します。 2003年度 2004年度 シウム・生石灰は、精錬後にスラグ・鉄さいなどの副 石中に含まれる不純物を除く精錬工程があります。当 産物となりますが、当社ではそれらを粘土代替や混 社はこの精錬工程で使用される炭酸カルシウムや生 合材としてセメント原料に使用しています。 石灰を精錬材として供給しています。また、炭酸カル CSR経営の基盤 CSR経営の基盤 セメント製造プロセスでは、様々な種類の廃棄物 製鉄会社では、鉄鉱石から鉄をつくる過程で、鉄鉱 2005年度 セメントの原燃料として利用した廃棄物・副産物量 682万トン 700万トン 738万トン セメント1トンあたりの原単位(増加率:前年比) 322kg(+9%) 346kg(+8%) 352kg(+2%) 炭酸カルシウム 炭酸カルシウム、生石灰 火力発電所 原料調合・粉砕工程 補助燃料装置で予熱した後、 ロータリー キ ルンで 焼 成し ます。その後急冷し、クリン カという半製品ができます。 仕上工程 クリンカに少量の石膏を添 加し、仕上げミルで粉砕し てセメントが完成します。 製鉄所 出 荷 石 膏 こうしてつくられたセメント は、船・トラック・貨車で出荷 されます。 スラグ、鉄さい、高炉ダスト等 石炭灰 環境保全の取り組み 環境保全の取り組み 石 灰 石・粘 土・鉄 原 料 等を 調 合・乾 燥し、原 料ミルで 粉砕します。 焼成工程 セメント工場 タンカー 石灰石 粘土類 仕上げミル トラック 原料ミル 貨車 「セメント資源化システム」の取り組みによる外部経済効果の算定 負 荷 低 減 効 果を貨 幣 価 値に換 算し、 「 外 部 経 済 効 果 」と 占めています。最終処分場の埋立費用は年々高騰してい して評価しています。(EEBE ®: External Economic ますが、ここでは市場価格を据え置いて数量増加の効果だ Benefit Evaluation) けを評価しています。 一種のみなし効果ですが、2005年度は877億円(対 セメント1tあたり (kg) *は千t/年 インベントリ 地球温暖化 CO2 858 717 141 818 エネルギー資源枯渇 原油 36 29 7 18,400 鉱物資源枯渇 天然原料 1,510 1,181 329 1,000 0 240 最終処分場枯渇 資源循環を通じた社会システム(産業クラスタ)の形成 業とつながりを持ち、結合体(クラスタ)を形成して資 表例は、電力会社や製鉄会社との関係です。 廃棄物 廃棄物(環境事業) 全セメント − 17* 削減量 240 − 石炭火力発電所では、石炭を燃やした後に大量の いますが、当社はこの装置で排煙脱硫材として使用さ 石炭灰が発生しますが、当社はこの石炭灰を引き取 れる炭酸カルシウムを納入しています。さらに、排煙 り、セメント原料である粘土の代替として使用してい 脱硫材は亜硫酸ガスと反応して石膏になりますが、 こ ます。また、石炭を燃やすと有害な亜硫酸ガスが発生 の石膏も石炭灰と同様にセメント原料として引き取 するため、火力発電所では排煙脱硫装置を設置して り、有効活用しています。 Corp orate Soci a l Re s pons i bi l i t y Re por t 2006 − 877 合 計 877 802 04 年度 05 外部経済効果の算定方法について ● 当社で他産業の廃棄物リサイクルを行なわない場合に、 ●電力会社 15,000 2,099 (億円) 1,000 900 外部 800 717 経済効果 700 (億円) 600 24 500 400 27 300 69 200 754 100 0 3 03 ステークホルダー・ミーティング ステークホルダー・ミーティング 源の循環に努めています。他産業とのつながりの代 インベントリ セメント 設定市場価格 生産数量 (円/t) (万t) インパクト VPC 当社は、セメント資源化システムを通じて多くの産 ■外部経済効果 前年比9%増)の社会的効果を上げたと認識しています。 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 〔原料〕 〔原料〕 〔石膏〕 高炉スラグ、石炭灰、汚泥ス ボタ、廃白土、下水汚泥 排脱石膏、化学副産石膏 ラッジ、非鉄鉱さい、製鋼ス 〔燃料〕 〔混合材〕 ラグ、ボタ、鋳物砂等 廃油、廃プラスチック、廃タ スラグ粉、フライアッシュ イヤ 、廃 パ チンコ 台 、R D F (都市ごみ)、再生油 52 外部経済効果の86%を廃棄物の埋立処分費用相当分が 当社では、外部からの廃棄物利用に伴う社会的な環境 利用廃棄物・副産物 社会的な取り組み 社会的な取り組み ロータリーキルン 各種原料 設定した市場価格を乗じて経済効果に置き換えていま 社会全体が受ける環境影響を独自の方法で算定したも す。それぞれのインベントリの設定市場価格は2000年 のです。 度から据え置いていますが、設定根拠は以下の通りです。 ● 仮に廃棄物をまったく使用しない場合のセメント (VPC: バージンポルトランドセメント)の環境負荷を算定し、そ れと廃棄物等を使用した当該年度のセメント環境負荷を インベントリ比較します。 ● 両者のインベントリの差 (環境保全物量効果)に、当社で CO 2:炭素税3,000円/t、原油:輸入価格、天然原料:購 入価格(仮定)、廃棄物(管理型処分場)の処理費用(首 都圏) ● この算定方法による外部経済効果のうち、 一部は当社損 益に反映されています。 Co r p o rate So cial Res ponsibility R eport 2006 53 構造物の長寿命化・軽量化 様々なリサイクル事業 (コンクリート構造物の環境負荷削減) 建設発生土の資源化事業 中 継 基 地 を 経 由し コンクリートの診断・補修 (汚染土壌含む)をセメントの原材料として再資源化 て、臨海工場に搬入 慢性的な廃棄物処分場の不足が続き、社会問題と の 維 持と診 断・補 する事業に取り組んでいます。 これにより従来処分場 します。水 分 が 多く なっている昨今、コンクリート構造物においても、そ 修 をトータルで 手 に廃棄されていた土も、資源として有効活用すること 扱 い にくい 土 は 中 の廃材の量を少しでも削減することが求められてい がけ、コンクリート ができます。ユーザーはゼネコン、地権者等さまざま 継 基 地 等 で 改 質し ます。そのためには、コンクリート構造物を長期にわ 構造物の長寿命化 です。当社では、環境省指定調査機関の認定も取得 性状を安定させ、当 たり大切に使っていく必要があり、日頃からコンクリー とライフ サ イクル し、調査から工事、物流、工場での処理まで一貫して 社グ ル ープ の 工 場 トの維持・補修・補強が欠かせません。 コストの 低 減 を目 請け負える体制を整えました。 に搬入します。このように物流体制を整えるなどして 当社はグループ各社とともに、コンクリート構造物 指しています。 建設発生土は、受け入れに際してまず現場に赴き 受け入れ数量を増やしています。 2003年度 2004年度 2005年度 け入れ可否を判定したのち、直接工場へ搬入するか、 24万トン 57万トン 78万トン ダクタル® 超高強度繊維補強コンクリート「ダクタル®」は、コ ■物性値比較 強度(N/mm 2) ンクリート技術の延長線上にありながら、従来とは比 較にならない極めて高い性能を有する省資源・省エ アッシュセンター事業 圧縮 曲げ 引張 ダクタルFM(鋼繊維) ∼210 ∼43 ∼10.8 ∼160 ∼22 ∼8.5 ∼36 ∼5 ∼3 ダクタルFO(有機繊維) ルタル」、骨 材 ( 砂 ) の 代 ダクタルを使用した製品は従来型コンクリート製 普通コンクリート ます増加することが予想されています。当社では、こ 替として石 炭 灰 を 大 量 品の数倍の強度を有するだけでなく、極めて緻密な の石炭灰のさらなる有効利用を目的としてアッシュ に使用した「CAコンクリ 構造により非常に高い耐久性を有しています。土木 センター事業を展開しています。セメント工場への円 ート」、シールド工事など 建築分野に使用することにより、部材サイズを数分の 滑な石炭灰の供給を図るための中間処理機能を持っ の裏込め注入材など、石 一に縮小して自重を軽減でき、また道路橋の上部工 た関東アッシュセンター(神奈川県川崎市)に加え、 炭 灰を使 用した 多 様 な に採用することにより、その他の構造パーツへの負担 2005年9月から九州アッシュセンター(福岡県苅田 製 品を供 給 する役 割も を軽減し、構造物全体の軽量化や架設・運搬時間の 町)も稼働しました。 担っています。 短縮も実現しています。 100年に及ぶ構造物の長寿命化(土木学会刊行「超高 強度繊維補強コンクリート設計・施工指針案」より)も ダクタル梁 普通コン梁 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス また、極めて優れた耐久性を有していることから、 設された混合設備により、高機能埋め戻し材料「FAモ H型鋼梁 社会的な取り組み 社会的な取り組み ネルギー型の素材・技術です。 石炭火力発電所から発生する石炭灰は、今後ます アッシュセンターは石炭灰の安定供給以外にも、併 環境保全の取り組み 環境保全の取り組み サンプリングし、分析します。セメント資源としての受 CSR経営の基盤 CSR経営の基盤 2003年4月より、建設現場等で発生する建設発生土 設計曲げモーメントを同一とした場合の 鋼材・ダクタル・コンクリートの断面比較例 可能にしました。 廃石膏ボードのリサイクル プ会社の(株)ナコードでは、この廃石膏ボードを無 です。その累計出荷量は、全国で5億m 2を超える水準 水石膏として再資源化する事業を2004年10月より行 にあり、それに伴って発生する廃石膏ボードの量は右 なっています。無水石膏は、セメント関連製品の原材 肩上がりで推移することが予想されています。 グルー 料などとして利用されます。 快適な生活環境づくり (製品特性を活かした生活環境の向上) ステークホルダー・ミーティング ステークホルダー・ミーティング 石膏ボードは、主に内装材等に使用する建築材料 太平洋プレコン工業(株) トリーノ 大気中の有害物質を分解除去するエコロジー商品 で、表面の酸化チタンと太陽光の力で、N O x(窒素酸 化物)やSOx(硫黄酸化物)を除去する機能を持った舗 装用平板です。 54 Corp orate Soci a l Re s pons i bi l i t y Re por t 2006 Co r p o rate So cial Res ponsibility R eport 2006 55 太平洋プレコン工業(株) グリーンパーク 新たな製品・技術の開発 内部に水を溜めることができる保水ブロックと、芝 で 約 2 0 ℃も低く 生を組み合わせた緑化舗装システムです。芝生面に することが 可 能 自動車タイヤの荷重がかからないため芝を傷めず、 で、ヒートアイラ 多様化するユーザーニーズに対応して、新たな製品と技術の開発を進めています。最近の成果 車の乗り入れが可能です。また、ブロック中の水分を ンド現 象 の 緩 和 の一端を紹介します。 土に供給し芝生を育成します。 に効果的です。 CSR経営の基盤 CSR経営の基盤 アスファルト舗装との比較では、夏季の地表面温度 超高強度コンクリート用セメントの開発 クリオン(株) シズカライト ることが 可 能と 音域から高音域まで幅広い周波数域において、たい なります。騒音問 へん優れた吸音性能がある軽量気泡コンクリート系 題等様々な音に 剛体多孔質吸音材です。 対して、快適な環 また、優れた吸音性能を有するだけでなく、遮音材 境を提供します。 としても比較的高い性能を併せ持ち、 この特性を利用 発揮します。 なる高層化や部材のスリム化、長スパン化(柱間距離 「シリカフュームプレミックスセメント」は2006年8 2 の拡大)に伴って、設計基準強度100N/mm 超級の 月から生産を開始しています。 高強度コンクリートの実用化が進んでいます。そのた めには、良好な施工性を保ちながら、 これまで以上に 環境保全の取り組み 環境保全の取り組み 全体積の80%以上を微細な連続気泡で構成し、低 近年、都市部における超高層建築物などでは、さら 水セメント比を低減して、高強度化を達成できるセメ ントが必要です。 当社が開発した「シリカフュームプレミックスセメ ント」 ( SFPC)は、低発熱系セメントをベースに、低水 してフレキシブルボードやALC(軽量気泡コンクリー セメント比のコンクリートにおける分散性を向上さ ト) との複合壁にすることでハイレベルな防音壁を造 せるシリカフューム(シリカ質超微粉末)を最適量配 合することで、コンクリートの粘性や流動性を改善 クリオン(株) ハーモナイト 収し、また高い抗菌性・抗カビ性を持ちます。 より快適 や過乾燥な状態になるのを防ぐ調湿建材です。 しか で健全な住空間をつくることができる調湿内装材で、 も、主原料はリサイクル材と二酸化炭素(製品重量の 新築・リフォームを問わず、一般住宅・教育施設・介護 約20%の二酸化炭素を製品中に固定化)を使用して 施設・医療施設・オフィス・ホテル・駅などの公共施 おり、環境へも配慮した製品です。 設・美術館・博物館など幅広い用途で採用され、高い ハーモナイトには、現在「ハーモナイトシーズ」と 評 価を得ていま 「ハーモナイトA g」の2種類の製品があります。両製 す。両製品とも多 品とも、優れた調湿性能に加え、 「ハーモナイトシー くの 色 柄 を 取り ズ」はシックハウス症候群の原因となる空気中のホル 揃え意 匠 性 にも ムアルデヒドを吸着・分解する機能を併せ持ち、 「ハ 優れています。 ーモナイトA g」は生活臭・加齢臭・ペット臭などを吸 場 所 使用箇所 JR尾久駅(東京都) 駅舎トイレ 内壁 市川ショッピングセンター(千葉県) リニューアル工事 売場内 柱周り 岩手県立博物館 展示用ケース 底板 熊本市立熊本博物館 海御座船「波奈之丸」 保存室内壁 ことができます。また、耐久性の面でも優れた性能を リサイクル資源使用量を拡大する新たなセメント製造技術の開発 セメント産業は廃棄物・副産物をリサイクル資源と 当社は、 リサイクル資源を大量に原料として使用し して活用しており、2005年度の実績は約3千万トンに ても、水和活性のほとんどないゲーレナイトを生成さ 達しています。 しかし、今後の国内セメント需要は縮 せる製造方法を開発しました。 この製造法でつくられ 小するものと予想されています。また、現状の技術レ たクリンカ(中間製品) と従来方法で製造したクリンカ ベルでは、セメントの品質を維持しつつリサイクル資 を適切な割合で調合し、石膏を加えてセメントとしま 源の利用を拡大することは限界に近づいています。 す。従来品と品質は変わらず、 リサイクル資源の使用 セメントの品質維持とリサイクル資源の使用量拡 可能な量はセメント1トン当たり約30kg-wet増加し 大を両立させるためには、セメント中の水和活性の ます。 高い(発熱が大きく、ひび割れなどが起きやすい)ア 2007年度から秩父太平洋セメント(株)秩父工場 ルミネート鉱物量を調整する必要があります。従来の で、新たなクリンカの本格的な生産を開始する予定 技術では、原料中のアルミナ量を調整するため、 リサ です。 ステークホルダー・ミーティング ステークホルダー・ミーティング ■ハーモナイト採用事例 れを上回る超高強度コンクリートを容易に製造する 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 生活空間を快適な湿度領域に調整し、ジメジメ感 社会的な取り組み 社会的な取り組み こ し、設計基準強度80N/mm 2∼120N/mm 2級や、 イクル資源の使用量に制約がありました。 56 Corp orate Soci a l Re s pons i bi l i t y Re por t 2006 Co r p o rate So cial Res ponsibility R eport 2006 57 Ⅱ.女性をはじめ多様な人材の活用を推進するためには ステークホルダー・ミーティング 当社では昨年に引き続き、環境やCSRに携わっておら れる有識者の方々をお招きし、 ステークホルダー・ミーティ ングを開催しました。昨年は初めてのCSRレポート作成にあたり主に情報開示の在り方について貴重なご意見 の改善(「持続可能な経営ビジョン」、 「多様な人材の活用」、 「取引先とのコラボレーション」、 「社会貢献活動 の在り方」)に向けて意見交換を行ないました。(開催:2006年7月20日午後1時から5時 本社講堂にて) 岸本 幸子 氏 特定非営利活動法人 パブリックリソース センター 事務局長 Ⅰ. グローバルサステナビリティに貢献するCSR経営ビジョンを 国際連合大学 副学長 が、その経済価値を本当に理解しているでしょう 深刻な問題だと思いますが、資源問題も地球の か。鉄鋼石や石油の値段が需要と供給だけで決 サステナビリティの根本を揺るがしています。私 まること自体、持続可能ではなく、この資源は地 達はこれらのグローバルな課題について経済活 球の50年後に対してどう貢献するはずだからこ 動と好循環する仕組みを考えていかなければな れだけの価値がある、 という議論をすべきです。 りません。C S Rは根本的な社会の仕組みを変え 温暖化対策も重要ですが資源が枯渇したらど るものでなければならないと思っています。 「企 うするのでしょう。石油は2030年までにはピーク 業は誰のものか」というと投資家や株主のもの アウトするといわれています。いずれセメントの と言わざるを得ませんが、CSRとは「企業は誰の 原料も枯渇するでしょうから、大量の消費を抑制 業価値の向上のための「投資」 と捉えられていま 請ではありますが、数だけを追うのではなく、な す。C S Rへの取り組みを効果的な投資とするた ぜ女性の登用が必要なのかについて社内でコ めには、CSRをめぐる課題のなかで重要領域を ンセンサスを得る必要があります。わが国が少 見定め、 リスク評価をし、経営計画につなげるこ 子高齢化社会に向うなかで、今後人材を確保し とが重要です。 ていくには高齢者や女性の活用が重要な戦略 昨年のC S Rレポートを読むと、合併に伴い事 であるというなら、そのことをまず管理職に伝え 業を整理して人員を大幅に削減されたとのこと ていくことが重要です。総合職での採用を重視 ですが、従業員満足度や企業文化風土の面で問 するなら、女性がリーダーシップを発揮するため 題はないかと危惧します。これまで日本の企業 の助言を行なう 「メンター制度」*を導入する方 は海外に比べ従業員に優しかったのですが、長 法もあります。また生産性を上げ労働時間を削 期安定雇用が崩れてきました。 したがってSRIの 減することや、早い時間に帰りづらい風土をなく 評価基準でも、多様な雇用形態があることを前 す必要もあります。現状では育児休業制度は法 提に、派遣・請負等の人たちがフェアに扱われて 定どおりとのことですが、女性従業員をターゲッ いるか、また従業員のエンプロイヤビリティ (雇 トとしたプロジェクト活動やミーティングによっ 用される能力)向上につながる教育がされてい て、当事者の意見を聞きながら改善してはどうで るかという点を重視しています。去年の報告書 しょうか。 ではどんな雇用形態の人が何人いるのかが分か 障害者雇用については、法定雇用率の達成を りませんでしたが、実態がどうなのか気になりま 目指していることは分かりましたが、まず会社が す。また、御社でも生産拠点が海外にシフトしつ どんな仕事を提供できるかを考えることです。特 つあるようですが、途上国では児童労働が行な 例子会社を作るという方式だけでなく、多様な われていないことなども重要です。現地法人だ 人々が同じ職場で一緒に働くことを追求すると けでなく取引先も含めて確認していることが評 いう考え方もあります。 価の対象になります。 *先輩社員が指導や支援を継続的に行なう制度 するためには本来は今のうちからセメントの値 段を上げる、すなわち構造物の長寿命化に対応 責任は、利潤を生み出すこと、そしてそれをどん し、品質を上げて付加価値を高めることが必要 な方針で社会に再配分するかということです。で です。先進国ではすでにセメントの需要は減り すから製造業の場合は、何をいつどこで売るか 始めましたが、途上国ではまだ道路も発電所も という事業戦略そのものがCSRなのです。セメン 必要であり、当面供給は増加せざるを得ません。 ト産業は20年後のグローバルサステナビリティ セメントの供給が地域の発展に必要なのは間違 にどう貢献するのか、そのために日本では、そし いないのですから、一定のCO 2 が出るのはやむ 人事部門では、いかにして従業員が幸せにな たとは言えないかもしれません。今日、当社にお て世界では何をするのかというCSR経営ビジョ を得ませんが、なるべく地面を掘らずにいかに るかが大切であり、一人ひとりが会社にどうして いても、女性が絶対にできない仕事があるわけ ンを描くことが必要です。 市民に利益をもたらすか、海外戦略をしっかり練 欲しいのかをつかんだ上での対応策が必要だと ではないと思っていますし、本人の適性とやる気 ることが必要です。 考えています。 次第です。今後、女性の受け入れ態勢を整え、女 人権啓発推進については、1982年(昭和57年) 性の活用の場を広げていきたいと考えています。 から専任者を置き、取り組んできた歴史がありま 障害者雇用については、当社の合併時に、 どん CSRを中期経営計画に反映させなければなら 業計画に落とし込まなければ、C S R活動は進ん ない時期にきていると考えています。それには でいきません。 一方、会社には体力の限界があることも認識 すが、当社グループの企業価値とは何なのかを し、取り組みの優先順位を議論して社内コンセ できるだけ定量化して、理解しやすいように表現 ンサスを得て進めていくことが重要です。 することが必要です。 いずれにしても、 この課題に取り組むに当たっ 経営計画に反映させる場合、例えば事業活動 ては、みんなが当事者意識を持つことが最も重 で生み出すキャッシュフローのなかでCSRの観 要なことではないでしょうか。 井澤 邦夫 す。セクシュアル・ハラスメントやパワー・ハラス な作業をお願いでき、 どういう方を受け入れられ メントの相談窓口は、外部機関にも委託して対応 るかを考え、特例子会社の形態をとりました。 しています。 今後も、働きがいのある職場をどう作るかを考 確かにこれまでは女性を積極的に活用してき えながら取り組んでいきたいと思います。 Ⅲ. 「使い手」に対する責任を果たすべく取引先と素材メーカーのコラボレーションも 清水建設の環境・社会報告書も第三者の方よ に施工中や建物として使われているときに影響 りコメントをいただいていますが、 「使い手」と を与えることはないと考えられています。 しかし 資源の枯渇や価値ということでは、国内セメン 認識しています。それをどう考えなければならな ト産業が世間の廃棄物処理・リサイクル事業に いか、 これまで社内でもあまり議論してきません 「使い手よし」というのは、工事の発注者である 企業としての存続をかけて挑戦していることは でした。 これからはそういったことに関心の高い 直接の顧客だけではなく、その先の建造物の使 るか、たとえば、路床に再生砕石として使われた 評価いただけるのではないでしょうか。一方で、 ステークホルダーとも議論していく必要がある 用者や未来世代に対する責任を指します。 ときの土質環境への影響など未検討の部分も有 資源事業を含め当社グループで使用している地 と思います。 例えば、貴社のC S Rレポートに情報が開示さ ります。そういう問題に対して最終的な施工者 れているセメントに含まれる重金属は、一般的 だけでなく、原料メーカーも一緒になって何が出 下資源の量では、国内でも有数の企業であると ステークホルダー・ミーティング ステークホルダー・ミーティング CSRの推進=企業価値の向上と言われておりま 執行役員 人事部長 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス ためのものか」を語るものです。決して儲けなく 点でいくらをどう配分すればよいかを判断し、事 CSR推進部 部長代理 低いようです。女性雇用比率の向上は社会的要 社会的な取り組み 社会的な取り組み 中村 節男 がありませんが、業種特性から1割以下と非常に 企業のCSRへの取り組みは「コスト」ではなく、企 て良いということではありません。企業の最大の 私たちは有限な地下資源を利用しています 執行役員 経営企画部長 認識のようですが、S R(社会的責任投資) I では 環境保全の取り組み 環境保全の取り組み 安井 至 氏 温暖化問題は確かにセメント産業にとっても 去年の報告書には女性従業員の比率の記載 CSR経営の基盤 CSR経営の基盤 をいただきましたが、今年度は当社のCSR経営の進展と具体的な取り組みを説明したうえで、当社の取り組み CSRを推進するには「コスト」がかかるという いう視点を入れるべきとのご指摘がありました。 岩本 和明 氏 清水建設株式会社 安全環境本部 地球環境部部長 セメント製品の寿命は長く、過去に製造された ものを解体・リサイクルした時にどんな影響があ 石井 準一郎 58 Taih eiyo Ceme nt Cor pora t i on Co r p o rate So cial Res ponsibility R eport 2006 59 来るのか考える必要があるのではないでしょう 課題だと思います。 場合、 どのような企業であってもB to Cの意識が 当社の場合、NPOからのボランティア活動の か。そういう大きな枠組みで社会的な責任を考 以前は企業同士でコラボレーションしてもあ 重要です。Cとはシチズン(Citizen)、市民です。 お誘いを社員向けにイントラネットで紹介して えることもこれからのCSRだと思います。 まり評価されませんでしたが、最近は評価の仕 社員は市民の一員なので、社員が会社の企業市 います。紹介件数は年間100件ほどにもなります セメントの場合には、資源の枯渇に対するイ 組みが変わってきました。建物の評価も「総合評 民プログラムに全く共感しない場合、見直す必 が、参加する場合には、基本的に、申し込みに必 ンパクトよりも処分場の枯渇に対する貢献の方 価落札方式」や「PFI方式」*に見られる様にコス 要があるかもしれません。 要な情報を社員本人からCSR室に送ってもらい、 が大きいと考えます。セメント業界で世の中の トだけではなく品質や性能も評価や競争の対象 一般的に、グループ会社による活動を推進す まとめて先方のNPOなどへ連絡した上で、参加 になりつつあります。重量比で建物の90%以上 る場合は、地域のニーズに合わせて対象分野を してもらいます。 を占める構造躯体の長寿命化などは、今後の大 広げる工夫が必要で、本社としては、グループ 社会と企業との風通しを良くするという意味 なオープンなリサイクルだけでなく、クローズド きなテーマになるべきですし、原料メーカーと 会社の多様な活動実績をイントラネット等で共 で、企業市民活動は「攻めのCSR」 と 「守りのCSR」 のリサイクル、すなわちコンクリートとして使わ 我々ユーザーの共同研究など一緒にやるべきこ 有することで、 「こんな取り組みも企業市民活動 の両方に有効なツールになると思います。ホット れたセメントをもう一度セメントに戻す取り組 とは沢山あると思います。 になるんだ」 とグループ会社に思ってもらえるよ ラインを設置しても、会社が社員に信用されな みも今後重要になってくると思います。解体した *Private Finance Initiativeの略。公共施設等の建設、 うな工夫も必要です。また、表彰制度を作ること ければ使われません。意見を言っても大丈夫な コンクリートから骨材を再利用するときに発生す 維持管理、運営等を民間の資金、経営能力および技術 も、本社が認めているのだとわかるので有効か のだという企業風土をつくることが大切です。 る微粉末は現在、処理が難しいのですが、 これを 的能力を活用して行なう手法。 CSR経営の基盤 CSR経営の基盤 大量の廃棄物を引き受けていただいているのは 大きな社会的貢献だと思います。ただ、そのよう もしれません。 石井 準一郎 関係の継承の問題もあります。長期的に考えて ボレーションによって、問題が起きないようにし 日々努力しています。昨年、社長が工場視察に来 いかなければならない問題だと捉えています。 うな影響があるか、確かに未解明な問題です。 ていきたいと考えます。 た時の挨拶の冒頭で「工場は地域社会との共存 総務部としてこれから取り組みたいのは、数年 セメント系固化処理土からの六価クロムの溶出 世の中の廃棄物リサイクルにいくら貢献して 共栄が大事。信頼を失った工場は閉じざるを得 前に地域とのリスクコミュニケーションのガイド については旧建設省通達では施工者がチェック いても、セメント水和物を含む廃棄物である微 ない」 とまで話したことがあり強く印象に残って ラインを作ったのですが、CSRの観点からの見直 する責任を持ちますが、もともとは使用材料に起 粉末をリサイクルできなければ、社会的責任を います。工場における個別地域対策はもとより しを行なうことで、より現状に則したものにして 因するものです。材料メーカーとしても六価クロ 果たしているとは言えないかもしれません。将来 地域社会への貢献活動の必要性についても十 いきたいと考えています。 ムの溶出を低減する特殊土用固化材を開発し提 的に拡大生産者責任が素材メーカーにまで遡及 分意識はあり、ささやかながら近隣地区の清掃 また、各工場での地域対策、地域貢献等の活 総務部長 吉田 道夫 供するなどの対応を取ってきました。法的責任 される可能性もあると考えていますし、微粉末の 活動や賛助・寄付等を行なっています。ただ、取 動内容はある程度全社で共有することが必要と を議論するよりも、 「使い手」に迷惑がかからな リサイクルは必要です。技術開発は進んでいま り組みが事業所ごとにマチマチだったり属人的 考えており、社内イントラネットを活用するなど、 いよう、材料を供給する側と施工する側とのコラ すが、経済的にはまだ成り立ちません。 な面に頼っている部分もあって、スキルや人的 関係部とも相談しながら取り組んでいきます。 経済的に成り立たないのは事実だと思いま きです。 「経済的に成り立たない」という言葉は す。ただ、例えば金鉱石から2ppmしか含まれな 禁句にして、それをどう負担するのかという議論 い金を取り出した後で、残った岩を処理するの を望みます。 社会的な取り組み 社会的な取り組み 安井 至 氏 どこの工場も地域との信頼関係を保つために 解体コンクリートをリサイクルする際にどのよ 環境保全の取り組み 環境保全の取り組み セメント資源としてどう活用するかは社会的な にかかる費用は金の資源価値から支払われるべ CSRには「守りのCSR」と「攻めのCSR」があり たち金融業ならSRI商品、自動車メーカーならエ ます。それを「コンプライアンスベースのCSR」 と コカーなどの販売を通じて収益を上げることに 「バリューベースのCSR」 と言うこともできます。 株式会社大和証券 グループ本社 CSR室次長 「社会貢献活動」、当社では一方的な「してあ して捉えるので体制が整っていることが大事で げる感」を想起させるため、 「企業市民活動」 と表 すが、バリューベースでは、会社自身の価値観や 現していますが、 これは経営の一環として展開し 社会観を社員一人ひとりに訴求するために明る ていく必要があります。会社が全て自前で行なう い展望(ビジョン)が必要です。求心力のあるビジ 場合もありますが、一般的に、会社が市民社会の り、意思や方針の伝達がこれからの課題です。今回は、いろいろな考え方や事例について教 えていただき、良い機会を持つことができました。 太平洋セメントは、事業を通して社会と環境に貢献しながら、きちんと利益を生む企業に 取締役 常務執行役員 CSR推進部担当 なるよう、日本国内だけでなく、当社がビジネス展開している環太平洋・アジア地域でも、従 業員満足度の向上から社会貢献活動への参加まで幅広く取り組んでいきたいと思います。 村田 博人 ョンを示すことができれば、ロイヤルティ (愛社 ニーズを正しく把握し、実際の運営までもしっか CSRに本格的に取り組み始めて3年目を迎えましたが、本社でもまだ浸透しているとは言 精神)が生まれ、 「守りのCSR」にも効いてきます。 り行なうには、かなりのリソースを投入しなけれ い難い状況です。その中でグループ全体に広めていくのはなかなか大変だと感じています。 当社では、CSR活動はあくまで「手段」であり、 ばなりません。そのような場合には、専門性の高 まずはセメント産業が本業として行なっていることが、すでにCSRであるということを再認 いNPOとのコラボレーションが有効です。また、 識したいと思います。去年のステークホルダー・ミーティングの時には「まだ道遠し」 という印 「目的」は社会のサステナビリティと企業のサス 60 はそれをどう従業員に伝えていけばいいのか、特に、 グループ会社については500社近くあ テナビリティを両立させることであると説明して 株主への説明責任の観点から、企業理念や事業 象でしたが、実は道は暗くても私たちはすでに歩き始めています。グループ全体としてステ います。まず、本業をしっかりやることが重要で との関連が深く、会社のノウハウが活かせる活 CSR推進部長 ークホルダーとどのように関わっていくのか、ビジョン、ロードマップで整理をして従業員が あり、その上で事業領域を社会・環境配慮型に 動を行なうことが求められます。 塚原 宏 徐々にシフトする、分かりやすい例で言えば、私 御社の事業はB to Bですが、企業市民活動の Taih eiyo Ceme nt Cor pora t i on ステークホルダー・ミーティング ステークホルダー・ミーティング 金田 晃一 氏 CSRは、一人ひとりが仕事を通じて実践していくことが問われていると思いますが、当社で なるでしょうか。 コンプライアンスベースではCSRをリスク管理と 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス ステークホルダー・ミーティングを終えて Ⅳ.社会貢献活動を企業風土変革の戦略ツールとして 納得できる形で取り組んでいきたいと考えています。 Co r p o rate So cial Res ponsibility R eport 2006 61 太平洋セメント CSRレポート2006によせて 太平洋セメント CSRレポート2006 (次回は2007年10月に発行予定) ● 2006年11月発行 企業は、さまざまなステークホルダーが抱える多様な要望や期待に応えることが大切です。そのために CSR経営の基盤 は、情報開示を通してステークホルダーに自らの活動内容を理解してもらい、 より良いパートナーシップを 築くことが重要であり、それが持続可能な経営をおこなうために不可欠であると、私たちは考えています。 私たちは、太平洋セメント株式会社(以下、太平洋セメント)に対して、CSRレポート2006(以下、 レポー ● 内容に関するお問い合わせ先 太平洋セメント株式会社 CSR推進部 TEL:03-6226-9109 FAX:03-6226-9154 E-mail:[email protected] ト)の作成プロセスにおいて情報開示に関するアドバイスをした結果から、以下にコメントをまとめます。 ● このレポートはホームページ上でもご覧いただけます。 http://www.taiheiyo-cement.co.jp CSR経営全体について 太平洋セメントは、社長を委員長とするCSR経営委員会を設け、その下に10の専門委員会を設置して 具体的な取り組みを展開しています。 この専門委員会の活動状況について、 「2005年度の実績・成果」 と 「2006年度の計画」も含め、詳細にレポートで開示していることは評価できます(→p.12∼13)。 環境保全の取り組み 今後は、CSRの主要な課題についてKPI(主要業績評価指標)を設定し、その達成状況を的確に把握し て、戦略的に取り組むことが望まれます。 ステークホルダーとのコミュニケーションについて グループ会社については、連結子会社を中心とする128社に対して「CSR情報アンケート」を実施し、各 社での取り組み状況を改めて把握しました。その結果をアンケート調査対象会社とその所管であるカン パニーにフィードバックし、先の「2006年度の計画」に反映しています(→p.14)。多くのグループ会社をも つ企業として、 このようなグループ内での状況を把握する取組みは評価できます。 また社外のステークホルダーについては、参加者やテーマを絞った有識者との対談(トップ対談および 社会的な取り組み ステークホルダー・ミーティング)を実施し、今後のCSR活動のあり方について意見を求めました。現在、 編集後記 改善に向けて取り組もうとしています(→p.4∼7, 58∼61)。 今後は、日常業務の中での従業員、近隣住民、顧客、行政などとのコミュニケーションをCSRの視点から 社内外の多くの方々のご協力を得て、前年に続いての2回目のCSRレポート さらに深め、国内外のグループ会社も含めたCSR活動の推進に役立てることが求められます。 が完成しました。 ここに御礼申し上げます。 さて、本レポートの編集作業は構成案の企画から始まりましたが、社内横断 レポートによる情報開示について 的に各部から集まったタスクフォースのメンバーから、誰に読んでもらうのか? 社会のニーズに応える 製品・システム・サービス 今回のレポートでは、太平洋セメントの製品・システム・サービスの環境性や社会性について、読者 期待する効果は何か?という、そもそものレポート発行の目的につき議論が百 に分かりやすくまとめて開示しようとしています。その代表例である「セメント資源化システム」につい 出しました。 ては、 「外部経済効果(EEBE)」を算定し、循環型社会への貢献を貨幣価値に置き換えて示しています(→ 結果としては、アニュアルレポートをはじめとした他の情報開示ツールとの p.53)。今後は、 これ以外の製品・システム・サービスの、環境性・社会性および経済性についても、できる 限り定量的に開示することが望まれます。 また 、グ ル ープ 会 社 のコンプライアンス 違 反 や 石 綿 による健 康 被 害 などの ネ ガ ティブ 情 報( → p.19,40)、生物多様性を考慮した事業活動の事例(→p.33∼34)、さらに国内外の事業所と地域住民のコ ミュニケーションの事例(→p.43∼48)を詳細に開示したことは評価できます。今後は、グループ会社の 役割分担を踏まえて、 「様々なステークホルダーに、当社グループの事業活動な らびにCSRの取り組みへの理解を深めていただこう」 という全方位の編集方針 になりましたが、 「伝えたい相手を明確にして、伝え方を工夫する必要がある」 と いう、いわば当然のことを改めて認識しました。 そんなことから、今回はトップ対談を実施し、異なる観点からの問いに答える CSRに関する取り組みについての記述をさらに充実にすることが望まれます。 ことを通してトップの方針を明らかにしようと試みました。 また、地域社会との共 生は当社にとって不可欠ですが、その思いを各工場長が地域社会の皆様に向 ステークホルダー・ミーティング 最後に 今後、太平洋セメントがCSR活動を推進させるためには、 「ステークホルダーとのコミュニケーションの 構築と活用」、 「持続可能な経営に向けた取り組み」、 「その取り組みの進捗状況のチェック」および「レポー トによる情報開示」を有機的かつ継続的にマネジメントするフレームワークを構築することが望まれます。 なお、本コメントは、記載情報の収集と報告のプロセスの有効性や記載情報の信頼性について意見を けて語っています。 さらに、 ステークホルダー・ミーティングでは、有識者の方々 の貴重なご提言に対して、当社サイドの考えをできる限りお伝えするよう努めま した。 いずれにせよ、 まだ発展途上のレポートであり、情報・データの収集範囲の拡 大など課題は多く、表現もつたないところが多々あります。今後、試行錯誤を繰 述べるものではありません。 り返しながら、当社グループの活動を等身大でお伝えできるよう努めてまいり 2006年10月 ますので、本レポートにつき忌憚のないご意見をお寄せいただければ何よりの 株式会社みすずサステナビリティ研究所 上席研究員 五所亜紀子 幸いです。 CSRレポート作成タスクフォース事務局 主任研究員 春永 美恵 62 Corp orate Soci a l Re s pons i bi l i t y Re por t 2006 Co r p o rate So cial Res ponsibility R eport 2006 63
© Copyright 2024 Paperzz