内湯使用料の単価 (6) 内湯の使用料の単価推移は、次のとおりである。 改定年月日 内湯使用料 (180 リットル/日) 備考 昭和 41 年 3 月 16 円 − 昭和 44 年 4 月 20 円 − 昭和 48 年 10 月 26 円 − 昭和 49 年 11 月 39 円 − 昭和 52 年 11 月 43 円 − 昭和 62 年 4 月 44.2 円 消費税 3%を含む。 平成 9 年 4 月 45.15 円 消費税 5%を含む。 内湯使用料の単価は、昭和 41 年 3 月の 16 円から昭和 52 年 11 月の 43 円までの間に、 27 円(2.7 倍)値上げされている。この間、道後温泉本館神の湯階下(大人入浴料)は前述 のとおり、30 円から 130 円へ 4.3 倍値上げがされている。 なお、内湯使用料の単価は、消費税を除くと、昭和 52 年 11 月の 43 円から現在まで全く 値上げがなされていない。一方、この間、道後温泉本館の神の湯階下大人入浴料は、前 述のとおり、昭和 52 年 11 月に 130 円から 8 回にわたり順次値上げされ平成 17 年 7 月から 400 円になっている。 <監査意見> 内湯を供給するためには、送湯管や分湯場の改修や源泉の管理等の費用が相当かか っており、他の共同湯の内湯の使用料を調査した上で値上げを検討すべきである。ただ現 在、道後温泉周辺のホテル・旅館の経営は厳しい状況にあり、急激な値上げによる影響は 大きい。値上にあたっては、関係者と十分に協議し、慎重に対応することが望まれる。 第6 1 指摘事項等への対応 平成13年度監査における指摘事項 平成13年度の監査においては、次の点について指摘がなされている。 65 (1) 道後温泉本館入浴券管理の不備 ① 入浴券の現物数量と受払台帳の数が一致していない。 ② 入浴券の棚卸が行われていない。 ③ 入浴券のうち、出札員が保有する入浴券等の年度末残高が出納室へ報告 されていない。 (2) 道後温泉事業における商品管理の不備 ① 商品の棚卸が行われていない。 ② テレホンカードについて、現物数量と帳簿残高が一致していない。 ③ テレホンカードの年度末残高が出納室へ報告洩れとなっている。 2 (1) 指摘事項への対応状況 入浴券に関する改善状況 道後温泉事務所では、上記の指摘事項を受けて、毎日、入浴券の棚卸を徹底するよう 改善している。 具体的には、道後温泉本館と椿の湯について、「入浴券勘定票」を作成し、その中で、 霊の湯 3 階、霊の湯 2 階、神の湯 2 階、神の湯階下、回数券(霊の湯 2 階、神の湯 2 階、 神の湯階下)、変更加算券、団体券(神の湯 2 階、神の湯階下)、又新殿ごとに、①受入数 前日残数、②売却数(量数、金額)、③残数を記載することになっている。 そして、道後温泉事務所保管枚数と委託業者保管枚数を含めて残高を確認し、月末の 残高を会計事務局に報告している。このため、売上と入浴券の残数との差異は発生してい ない。 具体的手順としては、札場、事務所窓口、椿の湯の各現場で営業終了後に売上金と入 浴券の残枚数を各現場の担当者が集計して、「入浴券勘定票」を記載して、現金と残った 入浴券は、夜間は金庫に保管して、翌日、前日の売上金と販売枚数入浴券の残枚数の相 違を確認している。 入浴券は現場の保有枚数が僅少になったら事務所保管分から補充し、事務所保管分が 僅少になったら会計事務局に保管している在庫から補充しており、それらの数の変動を帳 簿に記録し、月末に棚卸を行っている。 (2) 商品に関する改善状況 また、商品の棚卸については、上記の指摘を受け、入浴券と同様に棚卸を行うよう運用 を改善している。具体的には、道後温泉本館と椿の湯で取り扱っているすべての商品につ いて、商品の台帳(出納帳)を作成し、各現場の保管数及び事務所保管数を確認している。 このため、売上数と残数との差異は発生していない。 具体的手順としては、霊の湯 3 階、霊の湯 2 階、神の湯 2 階、神の湯階下の各現場で、 営業終了後に売上金と商品の残数を各現場の担当者が集計して、「売店商品売上票」を 作成して、その中で、各商品ごとに、前日残数量、仕入数量、売上数量、売上金額、残数 量を記載して、現金は、夜間は金庫に保管し、翌日、前日の売上金と販売数、残数の相違 66 を確認している。 そして、各商品の仕入れ及び現場への補充等についても、それらの出入、残数を帳簿に 記録し、月末に棚卸を行っている。 <監査結果> 入浴券については、平成 19 年度の「入浴券勘定票」(本館入浴券勘定票①∼③、本館 入浴券勘定票(団体)、月受入浴券勘定票、椿の湯入浴券勘定票の 6 種類)、商品につい ては、平成 19 年度の各売場(階下、神の湯 2 階、霊の湯 2 階、霊の湯 3 階の 4 か所)ごと に毎日作成される「売店売上表」を監査したが、違法、不当な点は見当たらなかった。 なお、上記の月受入浴券勘定票は、本館と椿の湯の月受入浴券で、椿の湯入浴券勘定 票は、券売機による販売券と回数券である。 <監査意見> 本館入浴券勘定票は、上記のとおり、毎日①∼③が作成されているが、これは、札場に 2 名の販売員がいるところ、そのうちの 1 名相当分は終日通しで 3 人が交代で入浴券勘定 を行い(これが本館入浴券勘定票③)、残りの 1 名相当分は 1 日を前半と後半に分けてそれ ぞれの入浴券の勘定を行うものである(①、②)。 このように、一つの窓口の勘定を前半と後半とに分けて行うのは、夕方にその日の売上 を銀行が回収するので、釣り銭準備金が不足することから、前半の売上を夜間の両替金と して利用するためである。 この点に関しては、札場職員の 1 名相当分を終日通しにしようがしまいが、要は棚卸しと 勘定票への記載がきちんとなされている以上は、特に弊害はないと考えられる。なお、以上 の前半と後半との区分を徹底するために、2 つの窓口を一本化し、①及び②のみにする方 向で検討がなされている。 3 平成13年度監査における改善意見と対応 平成13年度監査においては、次の点について改善意見が出されている。 (1) 損益分析について、工事請負費のすべてを費用とするのではなく、企業会計での修繕費 と資本的支出に区分して、資本的支出に該当するものを減価償却資産として、償却計算を 行い、消費税については発生主義会計とし、退職給与や福利厚生関係費用も考慮して損 益把握をしなければならない。 (2) 道後温泉本館の入浴料金については、全国主要都市の公営温泉と比較すると、相対的 に割安料金であること、人件費や改修にかかる費用が入浴料金に対して大幅に割高に変 化していることから、入浴料金の値上げはやむを得ないと考える。 (3) 高齢者負担金については、年間 45 百万円という上限があるが、市は45百万円を超えた部 分についても、一般会計において歳出処理すべきである。 (4) 人件費率を抑制するための努力や外部委託の検討が必要である。 (5) 応接費、出札員については、外部委託した方が、割安になるので、外部託の可能性につ 67 いて検討する必要がある。 (6) 備品台帳については、備品は、本来 1 個ずつに整理番号をとって記載すべきところ、備 品の個別管理ができていない。備品シールにも分類番号と整理番号とを記入しなければ現 物突合ができないこととなる。道後温泉の絵画 66 点及び軸物 100 点については、その存在 が台帳で確認できたが、個々の現物突合は実施できないとのことであった。それぞれ、現 物として突合して個別管理ができるようにする必要がある。それらの単価については、金額 評価ができていない。保存の重要度合いを認識するためにも、可能な範囲で評価して、備 品台帳に記載しておくべきではないかと考える。 (7) 現金過不足については、現金過不足に備えて、年度始に出札員一人当たり 300 円券 100 枚を通常販売する入浴券とは別に渡している。出札員は、現金不足が生じた場合、当日の 現金残高を合わせるため自己負担をしておき、後日、この補充用に渡された 300 円券を販 売した代金で自己負担した額を埋め合わせている。日々の現金過不足は、その結果を出 札員ごとに 1 ヶ月をまとめた「日計表」を提出させ、担当者ごとの月々の発生額を「出札員日 計集計」にまとめて管理している。現金の出納を頻繁に行う場所では、現金過不足が生ず るのはやむを得ないことであり、売上金の処理を行うときに、現金過不足が生じた場合、超 えた分にいては「雑入」で、不足した分については、「補償補填及び賠償金」で処理すべき である。そして、従来から行っている補充用の 300 円券を渡すのは止めなければならない。 上記の(2)の入浴料金の値上げ、(3)の負担金の上限撤廃、(4)と(5)の人件比費率の圧縮 と外部委託の推進については、前述のとおり、実現されているので、(1)の企業会計を取り 入れた損益分析、(6)備品台帳の整備、(7)現金過不足への対応について検討する。 (1) 損益分析 損益分析については、工事請負費の償却計算、消費税の発生主義会計、退職給与や 福利厚生関係費用を考慮した損益分析は現在のところなされていない。しかし、松山市で は、平成 18 年 8 月の地方行革新指針で要請された連結財務書類 4 表(貸借対照表、行政 コスト計算書、純資産変動計算書、資金収支計算書)を平成 22 年秋を目途に準備するとの ことである。 (2) 備品台帳 備品台帳を監査したところ、備品の個別管理はできていたが、金額評価は依然なされて いなかった。 確かに、骨董品の評価は、事実上困難であることは分からなくもないが、上記の連結財 務書類を作成する関係で、一応の評価は行うべきである。 (3) 現金過不足への対応 現金過不足については、釣り銭不足に備えて年度始に出札員一人当たり 300 円券 100 枚を渡すという扱いをやめており、札場に毎日合計 6 万円分の釣り銭を渡して、その日の営 業終了後精算するという取り扱いをしている。 68
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