巷には様々な3Dモデリングソフトが存在するが,通常これらのソフトは高度な操作技術が 要求されることが多く,習得に時間を要するため,挫折した読者も多いであろう。 今回紹介するSketchUpは,感覚的な操作で正確に3Dモデルを作成でき,使いやすいと定評 のある3Dモデリングソフトである。 SketchUpは,もともとGoogleが提供していたソフトだったが,2012年4月にTrimbleが権 利を買い取り,現在に至る。日本語版の最新バージョンは8.0J(2013/7/1現在) 。無償版と有 償版(SketchUp Pro)の2タイプあり,無償版には「メールサポートがない」,「エクステンショ ンと呼ばれる追加機能がない」,「他のファイル形式へのエクスポートが制限される」などの違 いはあるが,モデリングする上で必要な機能は全て無償版にて利用可能だ。 SketchUpの最大の特徴は,感覚的な3Dモデリングが行えることである。直感的な操作でモ デルを「引っ張る/押し込む」ことができる「プッシュ/プル」,軌跡に沿って立体を作成できる 「フォローミー」など,他のソフトにはない独特な機能があり,これらはSketchUpの象徴的な 機能の一例である。寸法など細かい設定を気にせず,マウス操作だけでモデリングが可能なた め,思い描いたイメージをすばやく簡単にモデルにすることができる。もちろん,数値指定に よるモデリングも可能なので,正確な3Dモデルを作成することもできる。 また,SketchUpは,樹木・車・人など汎用的なモデル (コンポーネントモデル)や,機能拡 張用のプラグインをオープンに利用できる環境が整っている。 コンポーネントモデルは,「3Dギャラリー」のサイトから欲しいモデルを探し出し,自由に ダウンロードが可能だ。「3Dギャラリー」は,世界中のモ デル作成者が作成したモデルを公開している場で,「誰で も使用できる無料のサービス」とサイトでは紹介している。 プラグインも,「RUBY DEPOT JAPAN」などSketchUp スクリプト専用サイトがいくつもあり,そのほとんどは 無料でダウンロードできる。プラグインは,汎用的なプ ログラム言語 (Rubyスクリプト)でできているので,知識 があれば自分で作ることも可能だ。 SketchUpの他に,3Dモデルのビューイング(ウォーク 図-1 SketchUpの画面イメージ スルーやフライスルーなど)を行う際に効果的なB-Walker というソフトもあわせて紹介したい。SketchUpにもビュー イング機能は存在するが,ファイル容量の大きい3Dモデ ルを扱う際,動作処理が重く,スムーズに操作すること ができない。B-Walkerは,SketchUpのビューイング専用 ソフトで,ファイル容量の大きい3Dモデルでも軽快に動 かすことができるため,3Dモデルの状態確認やプレゼン などに効果を発揮する。TINを使った広域の地形モデルや コンポーネントを多く配置したモデルなど,比較的ファ イル容量の大きい3Dモデルを扱うことが多いユーザーに 感覚的な操作で3Dモデリングを行う 117 お薦めしたいソフトだ。 3Dモ デ リ ン グ ソ フ ト の 利 用 を 敬 遠 し て い た 方 も, SketchUpの世界をぜひ一度体験してみてはいかがだろう か。 SketchUp:http://www.gsu.jp/ 図-2 SketchUpで作成した3次元 地形モデルで浸水シミュレー ションを行った事例 (昭和 (株) 地理情報室 相澤 誠) B-Walker:http://www.gsu.jp/plugin/b-walker/ THE JOURNAL OF SURVEY 測量 2013.9 35 CW6_A7001_P35_知っ得ソフト.indd 35 2013/08/22 14:10:41
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