特別講演 - 東北ヘルニア研究会

第5回東北ヘルニア研究会の開催にあたって
第5回東北ヘルニア研究会のプログラムが出来ましたの
で皆様にお届けいたします。
今回は日本大腸肛門病学会総会と重なるなど学会シーズ
ンのまっただ中という多忙な状況にもかかわらず、一般演
題が11題、要望演題のシンポジウム「嵌頓ヘルニアにつ
いて」に関する演題が5題、計16題集まりました。皆様
のご協力に感謝申し上げます。研究会当日は皆様ととも
に、充実した発表・討論が出来ることを期待しております。
第5回東北ヘルニア研究会
当番世話人
伊 藤 誠 司
市立秋田総合病院 副院長
診療局長 外科 ランチョンセミナーでは亀山哲章先生(国際親善総合病
院、外科部長)に「non-tackingを可能にするParietex
ProGrip Mesh ~単孔式TAPPにおける使用~」のタイ
トルで腹腔鏡下ヘルニア修復術(TAPP,SILS)のご講演
をお願いいたしました。最新の手術手技についてのお話し
を聞くことが出来ることを期待しております。
特別講演では小山 勇先生(埼玉医科大学国際医療セン
ター病院長、埼玉医科大学消化外科教授、肝胆膵外科診療
科長)が「鼠径ヘルニア修復術の現状と展望−Kugel法の
経験から」の題目でご講演くださいます。Kugel法を最初
に日本に導入された経験や今後の動向などについて豊富な
ご経験に裏打ちされたお話しが拝聴できるものと期待して
おります。
研究会当日はたくさんの皆様のご参加を期待しております。
宜しくお願いいたします。
― 1 ―
ご 案 内
■参加者へのご案内
参加費:医師(¥2,000)
、 看護師、コメディカル(¥1,000)
■発表者へのご案内
○発表時間:シンポジウム:7分(総合討論25分)
、一般演題:発表5分、討論3分
○発表方法:すべての発表はコンピュータープレゼンテーションとします。当日会場に設置さ
れるPC(OS)は Windows 7です。発表データーはPower Point 2007か2010で作成の
上、USBメモリーかCD-Rに保存したものをご持参ください。ただしMacで作成の場合や、
動画を使用される場合はご自分のノートPCをご持参ください。
○発表開始時刻の30分前までにPC受付にて試写をお願い致します。
■座長へのご案内
○セッション開始10分前までに会場内に待機してください。
○進行は座長の先生にお任せ致しますが、終了時間を守っていただきますようご配慮願います。
■東北ヘルニア研究会のホームページのご案内
下記アドレスにてご覧ください。
URL http://tohoku-hernia.kenkyuukai.jp/
■会場案内図
さんさこみち
第5回
URL http://www.malios.co.jp/
― 2 ―
プ ロ グ ラ ム
世 話 人 会:11:00 ~ 11:50
開会のあいさつ:12:00 ~ 12:05
当番世話人 伊藤 誠司(市立秋田総合病院 副院長)
ランチョンセミナー:12:05 ~ 13:00
座長:若林 剛(岩手医科大学外科学講座教授)
「non-tackingを可能にするParietex ProGrip Mesh
~単孔式TAPPにおける使用~」
国際親善総合病院外科部長 亀 山 哲 章 先生
共催:コヴィディエンジャパン株式会社
シンポジウム「嵌頓ヘルニアの治療戦略」:13:00 ~ 14:00
座長:川村 英伸(盛岡赤十字病院外科)
S-1.当院における鼠径部嵌頓ヘルニア緊急手術症例の検討
財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院
鈴木 伸康、阿左見亜矢佳、外舘 幸敏、佐藤 直哉、藁谷 暢、佐藤 直
木村 卓也、高野 祥直、阿部 幹、寺西 寧
S-2.閉鎖孔ヘルニアに対するKugel法の有用性
盛岡赤十字病院外科1)、岩手医科大学外科2)
中屋 勉1)、川村 英伸1)、杉村 好彦1)、畠山 元1)、吉田 雅一1)、若林 剛2)
S-3.緊急手術を行った閉鎖孔、大腿、鼠径ヘルニア手術の検討
市立秋田総合病院
藤田 正太、高清水清治、新保 知規、若林 俊樹、太田 栄、長谷川 傑
柴田 裕、佐藤 勤、伊藤 誠司
S-4.当院におけるヘルニア嵌頓の治療の現況
公立岩瀬病院外科
伊東 藤男、斎藤 敬弘、大谷 聡、小出 紀正、佐藤 佳宏、三浦 純一
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S-5.当科における鼠径・大腿ヘルニア嵌頓例の検討
岩手医科大学外科学講座1)、内丸病院外科2)、函館五稜郭病院外科3)、盛岡赤十字病院外科4)
岩谷 岳1)、冨澤 勇貴2)、中嶋 潤3)、川村 英伸4)、小笠原 聡2)
日下 純男2)、馬場 誠朗1)、板橋 哲也1)、西塚 哲1)、木村 祐輔1)
新田 浩幸1)、大塚 幸喜1)、肥田 圭介1)、佐々木 章1)、水野 大1)
若林 剛1)
-休憩(12分)-
一般演題1「腹腔鏡下手術」:14:12 ~ 14:36
座長:中村 隆司(東北厚生年金病院外科)
1.タンパク漏出性胃腸症を合併した食道裂孔ヘルニアに対して腹腔鏡下噴門形成術を施行した1例
公立刈田綜合病院外科
貝羽 義浩、大橋 洋一、佐藤 馨、安田 幸治、佐藤 博子、櫻井 直
2.胃癌術後の内ヘルニアの検討
山形市立病院済生館
大西 啓祐、熊田 博之、二瓶 義博、村山最二郎、小野 桂、五十嵐幸夫
妹尾 和克、守本 和弘、片桐 茂
3.当院における腹腔鏡下腹壁ヘルニア修復術
労働者健康福祉機構東北労災病院外科1)、同 大腸肛門外科2)
西條 文人1)、徳村 弘実1)、舟山 裕士2)、豊島 隆1)、高橋 賢一2)
武者 宏昭1)、鈴木 洋1)、松村 直樹1)、生澤 史江2)、武藤 満完1)
安本 明浩1)、又吉 信貴1)、澤田健太郎1)、柴原 みい1)
一般演題2「直視下ヘルニア手術」:14:36 ~ 15:08
座長:名久井 雅樹(栗原市立栗原中央病院外科)
4.再発鼠径ヘルニア症例の検討
労働者健康福祉機構東北労災病院外科
又吉 信貴、徳村 弘実、舟山 裕士、豊島 隆、高橋 賢一、武者 宏昭
西條 文人、松村 直樹、生澤 史江、武藤 満完、鈴木 洋、安本 明浩
澤田健太郎、柴原 みい
― 4 ―
5.男性大腿ヘルニアの検討
盛岡赤十字病院外科1)、岩手医科大学外科2)
川村 英伸1)、杉村 好彦1)、畠山 元1)、中屋 勉1)、吉田 雅一1)、若林 剛2)
6.Onlay patchを適切に敷く工夫 ~挙睾筋切離を意識したヘルニア手術~
東北大学移植・再建・内視鏡外科1)、公立黒川病院外科2)
長谷川和住1)、大槻 修一2)、小川 則彦2)
7.当院でのKugel法におけるパッチ固定の工夫
市立秋田総合病院外科
新保 知規、藤田 正太、高清水清治、若林 俊樹、太田 栄、長谷川 傑
柴田 裕、佐藤 勤、伊藤 誠司
一般演題3「腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術」:15:08 ~ 15:40
座長:松村 直樹(労働者健康福祉機構東北労災病院外科)
8.腹腔鏡下ヘルニア根治術後合併症の検討
弘前大学医学部附属病院小児外科
岡野 健介、須貝 道博、小林 完、袴田 健一
9.若年成人鼠径ヘルニアに対する単孔式腹腔鏡下経皮的腹膜外閉鎖法(SILPEC)の経験
内丸病院外科1)、岩手医科大学外科学講座2)、函館五稜郭病院外科3)、盛岡赤十字病院外科4)
冨澤 勇貴1)、水野 大2)、岩谷 岳2)、中嶋 潤3)、川村 英伸4)
小笠原 聡1)、日下 純男1) 、小林めぐみ2)、馬場 誠朗2)、板橋 哲也2)
西塚 哲2)、木村 祐輔2)、新田 浩幸2)、大塚 幸喜2)、肥田 圭介2)
佐々木 章2)、若林 剛2)
10.当科における成人鼠径ヘルニア再発症例に対する腹腔鏡下ヘルニア修復術(TAPP)の検討
岩手県立中央病院消化器外科
加藤貴志、井上 宰、小幡 紘、菖野佳浩、水井崇浩、立川翔子、日景 允、齋
藤之彦、村上和重、星田 徹、臼田昌広、望月 泉
11.腹腔鏡下ヘルニア手術-膨潤TAPP手術
労働者健康福祉機構東北労災病院外科
徳村 弘実、西條 文人、安本 明浩、又吉 信貴、舟山 裕士、豊島 隆
高橋 賢一、武者 宏昭、松村 直樹、生澤 史江、武藤 満完、鈴木 洋
澤田健太郎、柴原 みい
― 5 ―
― 休憩(15分)―
特別講演:15:55 ~ 16:55
座長:伊藤 誠司(市立秋田総合病院副院長)
「鼠径ヘルニア修復術の現状と展望-Kugel法の経験から」
埼玉医科大学国際医療センター肝胆膵外科教授 小 山 勇 先生
閉会のあいさつ:16:55 ~ 17:00
次期当番世話人 大西 啓祐(山形市立病院済生館外科)
懇 親 会:17:05 ~ 18:00
於:マリオス20F(カフェテラス・スカイメトロ)
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ランチョンセミナー
12:05 ~ 13:00
座長:若林 剛(岩手医科大学外科学講座教授)
「non-tackingを可能にするParietex ProGrip Mesh
~単孔式TAPPにおける使用~」
国際親善総合病院外科部長 亀 山 哲 章 先生
共催:コヴィディエンジャパン株式会社
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特別講演
15:55 ~ 16:55
座長:伊藤 誠司(市立秋田総合病院副院長)
「鼠径ヘルニア修復術の現状と展望
-Kugel法の経験から」
埼玉医科大学国際医療センター肝胆膵外科教授 小 山 勇 先生
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シンポジウム「嵌頓ヘルニアの治療戦略」:13:00 〜 14:00
S-1
当院における鼠径部嵌頓ヘルニア緊急手術症例の検討
財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院
○鈴木 伸康、阿左見亜矢佳、外舘 幸敏、佐藤 直哉、藁谷 暢
佐藤 直、木村卓也、高野祥直、阿部 幹、寺西 寧
鼠径部嵌頓ヘルニアは整復出来ない場合は緊急手術の対象となる。特に腸切除を要した場合の修
復法に関しては異論がある。
2005年1月1日より2011年12月31日まで、当院にて施行した鼠径部ヘルニア880例のう
ち、嵌頓症例47例(5.3%)について検討したので報告する。
症例は男性33例、女性14例、15歳から95歳、中央値76歳。部位は右側29例、左側18例。
ヘルニア分類ではⅠ型27例、Ⅱ型2例、Ⅲ型18例。麻酔は全身麻酔が40例、他が7例。修復術
式は従来法が18例、
メッシュ法が29例。腸管切除は14例で行われており、
13例を従来法で修復。
術後創感染を従来法で2例、メッシュ法で1例に認めたがいずれも保存的に治癒。
当院では、腸切除を要さない症例にはデバイスを用いた修復方法を、腸切除を要した症例には従
来法を選択している。従来法は感染の危険性がある場合でも安全に施行できる術式である。
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S-2
シンポジウム「嵌頓ヘルニアの治療戦略」:13:00 〜 14:00
閉鎖孔ヘルニアに対するKugel法の有用性
盛岡赤十字病院外科1)、岩手医科大学外科2)
○中屋 勉1)、川村 英伸1)、杉村 好彦1)、畠山 元1)、吉田 雅一1)、若林 剛2)
【はじめに】閉鎖孔ヘルニアに対し人工膜を使用し再発を防止しつつ感染も制御する新たな術式を
考案したので報告する。
【対象と方法】対象は8例で、全て女性、平均年齢81.1歳。通常のKugel法にて腹膜前腔を剥離
した後、閉鎖孔ヘルニア囊を引き出し嵌頓を解除した。ヘルニア囊は開放せず、Kugel Patchま
たはPoly Softを用い修復した。下腹部正中に小切開(約3cm)をおき、必要時小腸切除を行う
予定で嵌頓内容(小腸)を創外にて確認した。
【結果】手術時間、出血量(平均±標準偏差)は各々 85±27分、27±31ml。経口摂取開始、
術後在院日数の中央値は各々 2日、8日。全例Richter型の嵌頓で腸切除は不要であった。合併症
ではメッシュ、創感染例は認めなかった。
【結語】閉鎖孔ヘルニアに対してKugel法による修復術を行い、更に下腹部正中小切開にて嵌頓内
容の確認することによって、ヘルニアの根治性と感染予防が得られる。
― 10 ―
シンポジウム「嵌頓ヘルニアの治療戦略」:13:00 〜 14:00
S-3
緊急手術を行った閉鎖孔、大腿、鼠径ヘルニア手術の検討
市立秋田総合病院
○藤田 正太、高清水清治、新保 知規、若林 俊樹、太田 栄
長谷川 傑、柴田 裕、佐藤 勤、伊藤 誠司
当院で2003年3月から2012年4月まで当院にて施行した鼠径部ヘルニア(閉鎖孔、大腿、鼠
径)647例のうち, 緊急手術を行った41例について検討した.
検討は術後再発,感染の有無について検討し、腸切除を要した群,腸切除不要であった群に分け、
術前WBC数、CRP値、発症から手術までの時間を比較した。
また、術後感染を認めた症例を2例提示、術後の感染対策について検討する。
― 11 ―
S-4
シンポジウム「嵌頓ヘルニアの治療戦略」:13:00 〜 14:00
当院におけるヘルニア嵌頓の治療の現況
公立岩瀬病院外科
○伊東 藤男、斎藤 敬弘、大谷 聡、小出 紀正、佐藤 佳宏、三浦 純一
診断は超音波とCT検査を中心に行い、特に閉鎖孔ヘルニアや内ヘルニアを念頭に置き、嵌頓で
は鎮痛剤使用による自然整復または超音波ガイド下の徒手的整復を試みている。合併症の多い高齢
者も多く、術後のせん妄、呼吸不全、心不全等を考慮し、可能な限り低侵襲な麻酔・手術法を選択。
閉鎖孔・大腿ヘルニア嵌頓症例を局麻下やワンショット硬麻下にクーゲル法で整復、色調変化の確
認後に腹膜を閉鎖、創洗浄後に3Dメッシュ等で修復していた(可及的な病巣分離と一期的修復)。
最近は3ミリトロッカ3本で嵌頓腸管の整復と腸管損傷の評価を行い、必要があれば小切開創で腸
切除し、一時退院。全身状態の安定した時期に人工膜を用いた修復術をおこなっている。術後24
時間前後はsecond ook operationも考慮に置いた慎重な観察が重要で、整復1 ヶ月前後に起こ
る虚血性小腸狭窄による腸閉塞にも注意して管理することが重要と考えている。
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シンポジウム「嵌頓ヘルニアの治療戦略」:13:00 〜 14:00
S-5
当科における鼠径・大腿ヘルニア嵌頓例の検討
岩手医科大学外科学講座1)、内丸病院外科2)、函館五稜郭病院外科3)、盛岡赤十字病院外科4)
○岩谷 岳1)、冨澤 勇貴2)、中嶋 潤3)、川村 英伸4)
小笠原 聡2)、日下 純男2)、馬場 誠朗1)、板橋 哲也1)
西塚 哲1)、木村 祐輔1)、新田 浩幸1)、大塚 幸喜1)
肥田 圭介1)、佐々木 章1)、水野 大1)、若林 剛1)
【目的】当科における鼠径・大腿ヘルニア嵌頓について、
患者背景、
手術法・麻酔法などを検討する。
【対象】2007年4月から2012年4月まで、当科における鼠径・大腿ヘルニア症例(433例)の
うち嵌頓症例(15例)を対象とした。
【結果】男性9例、女性6例。平均年齢61.1歳(28 〜 88歳)
。麻酔方法:全身麻酔7例、腰椎麻
酔1例、膨潤局所麻酔7例(1例は全身麻酔へ移行)
。ヘルニア学会分類:Ⅰ-2が2例、Ⅰ-3が6例、
Ⅲが7例。術式:クーゲル法10例、ダイレクトクーゲル法1例、メッシュプラグ法2例、Iliopubic
tract repair2例。嵌頓内容:大網6例、小腸6例、大腸1例、腹膜前脂肪1例。術後在院日数平均4.3
日(1 〜 11日)
。
【結語】嵌頓内容は大網や小腸が多く、術中所見で腸切除を要した症例2例のみであった。腸切除
を行った2例は、Iliopubic tract repairを選択した。
― 13 ―
1
一般演題 1「腹腔鏡下手術」:14:12 ~ 14:36
タンパク漏出性胃腸症を合併した食道裂孔ヘルニアに対して
腹腔鏡下噴門形成術を施行した1例
公立刈田綜合病院外科
○貝羽 義浩、大橋 洋一、佐藤 馨、安田 幸治、佐藤 博子、櫻井 直
PPI投与にてタンパク漏出性胃腸症の増悪を認めた食道裂孔ヘルニア、逆流性食道炎に対して、
腹腔鏡下Toupet法を行った1例を経験したので報告する。症例は、71歳、女性。2010年よりタ
ンパク漏出性胃腸症にて週1回アルブミン投与とラシックス投与を行い、栄養状態が改善してきて
いた。本年になり胸焼け症状あり、消化器内科の精査にて食道裂孔ヘルニア、逆流性食道炎の診断
でPPIの投与を開始したところ、急に低タンパク低アルブミン血症の増悪を認め、H2ブロッカー
に変更したが、胸焼けは完全に消失しないため、手術目的に当科紹介となった。腹腔鏡下に横隔膜
脚の縫縮と、Toupetの噴門形成術を施行した。術後つかえ感をみとめたが、4 ~ 5日間で症状消
失し、普通食を摂取した後退院となった。
― 14 ―
一般演題 1「腹腔鏡下手術」:14:12 ~ 14:36
2
胃癌術後の内ヘルニアの検討
山形市立病院済生館
○大西 啓祐、熊田 博之、二瓶 義博、村山最二郎、小野 桂
五十嵐幸夫、妹尾 和克、守本 和弘、片桐 茂
当院では胃癌の術後内ヘルニアを過去4年間に6例経験した。全例ともR-Y再建時の挙上空腸と
横行結腸間膜の隙間に小腸の入り込むいわゆるピーターセン症候群ですべて腹腔鏡補助下幽門側胃
切除後の症例であった。術後から発症までの期間は4日〜 33 ヶ月とばらつきがあった。突然の腹
痛で発症するが、症状は比較的穏やかなことが多く、腹部所見のみでは診断は困難と思われる。し
かし、CT上全例でWhirl signが確認されており既往歴、現病歴等から当疾患が念頭にあれば診断
は可能である。循環障害で嵌頓腸管が壊死に陥った症例は今のところなく、治療は整復およびピー
ターセン間隙の閉鎖で経過は良好であった。現在は、Y-脚再建後全例に間隙の縫縮を行っている。
当初は経験が少なく診断、治療とも苦慮したが今後同様の症例があれば腹腔鏡下の修復も可能と思
われる。
― 15 ―
3
一般演題 1「腹腔鏡下手術」:14:12 ~ 14:36
当院における腹腔鏡下腹壁ヘルニア修復術
労働者健康福祉機構東北労災病院外科1)、同 大腸肛門外科2)
○西條 文人1)、徳村 弘実1)、舟山 裕士2)、豊島 隆1)、高橋 賢一2)
武者 宏昭1)、鈴木 洋1)、松村 直樹1)、生澤 史江2)、武藤 満完1)
安本 明浩1)、又吉 信貴1)、澤田健太郎1)、柴原 みい1)
2010年1月より腹腔鏡下腹壁ヘルニア修復術を11例施行した。症例は、男性4例、女性7例、
平均年齢67.5歳で、ヘルニア部位は、臍部5例、上腹部正中3例、下腹部正中1例、左側腹部1
例、右側腹部1例であった。手術手技は、ヘルニア門縁より約8-10cm離れた部位に12mmカメ
ラポートを挿入し、腹腔内観察後に5mmポート2本挿入する。癒着剥離後にヘルニア門の大きさ
を確認する。ヘルニア門全周を3cm覆うようにメッシュを用意する。メッシュはC-QUR Edge、
DualMesh、あるいはPCO meshを使用した. メッシュを約3cm間隔で2-0非吸収性モノフィラ
メント糸にてメッシュ外周とヘルニア門縁の腹壁に皮下結紮固定する。さらにメッシュ間隙への臓
器陥入のないよう全周性にタッキング固定をしている。ヘルニア門縁の糸は予めメッシュに固定し
腹腔内に挿入するが、メッシュ外周はSuture Passerを用いて経皮的に腹壁固定した。平均手術
時間171.6分、出血は少量、術後平均在院日数は8.3日であった。術後合併症は、下腹部正中症
例で術後3日にメッシュの固定が一部はずれたため、再手術を施行した。その他の10例は経過良
好で退院後も現在外来通院中であるが、現時点で、メッシュ感染、漿液腫、神経障害、ヘルニア再
発などを認めていない。当院での腹腔鏡下腹壁ヘルニア修復術は1例を除き、
良好な経過であるが、
今後も注意深く経過を観察する必要があると考えられた。
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一般演題 2「直視下ヘルニア手術」:14:36 ~ 15:08
4
再発鼠径ヘルニア症例の検討
労働者健康福祉機構東北労災病院外科
○又吉 信貴、徳村 弘実、舟山 裕士、豊島 隆、高橋 賢一
武者 宏昭、西條 文人、松村 直樹、生澤 史江、武藤 満完
鈴木 洋、安本 明浩、澤田健太郎、柴原 みい
【はじめに】成人再発鼠径ヘルニア症例を解析。
【対象】2004年4月から手術した再発鼠径ヘルニア27例(うち再々発症例2例)
【結果】性別は男性22例、女性5例、平均年齢63.3歳で。前回手術は当科8例、他院19例であっ
た。前回術式は、Mesh Plug(MP)法5例、Direct Kugel(DK)法2例、PHS法2例、TEP1
例、TAPP1例であった。再発形式はⅠ型7例(26%)
、Ⅱ型17例(63%)
、Ⅲ型3例(11%)。
再発時の手術法はMP法9例、TAPP7例、PHS法2例、TEP1例、腹腔鏡下観察→plug挿入5例、
plugのみ2例、onlay sheetのみ1例。1年以内の早期再発8例ではⅡ型が5例、Ⅲ型2例、Ⅰ型1
例であった。
【結語】再発形式はⅡ型が63%と多く、前回術式でtension free修復術を施行された11例では
8例がⅡ型再発であった。以上より、初回手術時の注意点としては、Ⅱ型とⅢ型の見落とし、Ⅱ型
では内側の後壁補強に留意すること、また、脂肪腫摘出も心がける必要がある。再発時の診断治療
には、腹腔鏡観察併用手術が有効であった。
― 17 ―
5
一般演題 2「直視下ヘルニア手術」:14:36 ~ 15:08
男性大腿ヘルニアの検討
盛岡赤十字病院外科1)、岩手医科大学外科2)
○川村 英伸1)、杉村 好彦1)、畠山 元1)、中屋 勉1)、吉田 雅一1)、若林 剛2)
大腿ヘルニアは男性には比較的珍しい疾患といわれている。当院では、鼠径・大腿・閉鎖孔ヘル
ニアに対してKugel法を第1選択の術式としているが、今回、男性の大腿ヘルニアについて検討し
た。2003年4月より2012年8月までに施行したKugel法の543病変中、大腿ヘルニアは36病
変(6.6%)で、そのうち男性は7病変(19.4%)であった。平均年齢73才、左側4、右側3病
変であった。最近経験した1例を症例呈示すると共に、男性大腿ヘルニアの特徴について検討し、
文献的考察も行う。
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一般演題 2「直視下ヘルニア手術」:14:36 ~ 15:08
6
Onlay patchを適切に敷く工夫
~挙睾筋切離を意識したヘルニア手術~
東北大学移植・再建・内視鏡外科1)、公立黒川病院外科2)
○長谷川和住1)、大槻 修一2)、小川 則彦2)
【はじめに】鼠径ヘルニア術後再発症例は、内鼠径ヘルニア(Ⅱ型)で発症する症例が8割以上と
報告されており、以前検討報告した際も15例中12例が内鼠径ヘルニアで発症していた。その内訳
は、Ⅱ-1型8例、Ⅱ-2型4例であり、再発予防のためにはon lay patchを特に恥骨側に十分展開す
ることが肝要と考えられた。
(第1回東北ヘルニア研究会)
【原因の推察】on lay patchが縮化することで内側のcoverが不十分となり再発するmeshの特性
が原因となる可能性のほかに、術操作として恥骨側に十分敷けてない可能性が考えられた。
【目的】今回、挙睾筋起始部に注目し、挙睾筋切離を意識することで恥骨側の展開するスペースを
確保する工夫を報告する。
【工夫】①鼡径靱帯の内斜起始部は鋭的に切離し、陰部大腿神経も確実にテーピング内に含まれる
ようにする。②内側起始部を前方より確実に切離することにより、反転靭帯および恥骨結節を十分
露出させる事が可能となる。
【結語】挙睾筋起始部の切離を定型化して行うことで、再発・術後難治性疼痛などの合併症のリス
クを低下できると考えられる。
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7
一般演題 2「直視下ヘルニア手術」:14:36 ~ 15:08
当院でのKugel法におけるパッチ固定の工夫
市立秋田総合病院外科
○新保 知規、藤田 正太、高清水清治、若林 俊樹、太田 栄
長谷川 傑、柴田 裕、佐藤 勤、伊藤 誠司
Kugel法は成人鼠径ヘルニア修復において脆弱な後壁を補強するという理に適った方法である。
Kugel法は直接Cooper靭帯を確認し剥離を進めていくことができる視認性に優れた方法である
が、剥離層が間違っていたり剥離が不十分な場合パッチが綺麗に展開せず、またうまく固定されて
いない事によりヘルニアが再発する危険がある。当院では前立腺や婦人科、結腸・直腸などの下腹
部手術既往のない成人鼠径ヘルニアに対して通常、BIRD社製Poly softを用いたKugel法でヘル
ニアの修復を行なっている。パッチの固定では、横筋筋膜に2針固定することにより、パッチのズ
レを防止し脇からの脱出も防ぐことができる。手技も容易であるため当院でのパッチ固定の工夫を
報告する。
― 20 ―
一般演題 3「腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術」:15:08 ~ 15:40
8
腹腔鏡下ヘルニア根治術後合併症の検討
弘前大学医学部附属病院小児外科
○岡野 健介、須貝 道博、小林 完、袴田 健一
【はじめに】腹腔鏡下ヘルニア根治術後の合併症について検討したので報告する。
【 対 象 】 平 成19年6月 よ り 当 科 で 施 行 し たlaparoscopic percutaneous extraperitoneal
closure(以下LPEC)法195例中3例に合併症が認められこれらにについて検討した。
【結果】全例女児で年齢は3歳〜 4歳であった。腸管損傷例は臍下部腹膜を切開する際に腸管壁を
損傷したため、創外にて縫合閉鎖した。再発例は吸収糸例で4 ヶ月後の再手術時には縫合糸は認め
られなかった。以後非吸収糸を用い、途中に外科結紮をおき、再発はみられない。反体側例は腹腔
鏡で反対側の縫縮は不必要と判断したが4年後反体側にもへルニアが認められた。
【まとめ】腹膜切開時には細心の注意をはらうことが肝要である。非吸収糸を用い、途中外科結紮
を入れて結紮することが肝要」、術前USで開存がみられる例では反対側検索を注意深く施行する
ことが必要。
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一般演題 3「腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術」:15:08 ~ 15:40
若年成人鼠径ヘルニアに対する
単孔式腹腔鏡下経皮的腹膜外閉鎖法(SILPEC)の経験
内丸病院外科1)、岩手医科大学外科学講座2)、函館五稜郭病院外科3)、盛岡赤十字病院外科4)
○冨澤 勇貴1)、水野 大2)、岩谷 岳2)、中嶋 潤3)、川村 英伸4)
小笠原 聡1)、日下 純男1) 、小林めぐみ2)、馬場 誠朗2)、板橋 哲也2)
西塚 哲2)、木村 祐輔2)、新田 浩幸2)、大塚 幸喜2)、肥田 圭介2)
佐々木 章2)、若林 剛2)
【背景と目的】教室では2009年8月に小児鼠径ヘルニアに対して単孔式腹腔鏡下経皮的腹膜外閉
鎖法(SILPEC法)を開始し、これまでに若年成人女性5例、男性2例(13歳1例を含む)に施行
した(乳幼児例を除く)
。本法の若年成人への適応の是非について検討した。
【手術手技】約1.5cmの臍下部単一創から5mmフレキシブルスコープと2mm鉗子を挿入して手
術をおこなう。内鼠径輪の縫縮手技はLPEC法に準じた。
【結果】本法への同意を得た7例(片側6例、両側2例の10病変)の若年成人(13 〜 36歳)の
外鼠径ヘルニアに対してSILPEC法を施行。手術時間25 〜 83分で、合併症はなく、術後早期(1
〜 2病日)に退院した。術後1 〜 30 ヶ月が経過して再発は認めていない。
【結語】長期成績の検討は必要であるが、SILPEC法は若年成人の外鼠径ヘルニアの第一選択とな
り得る。
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一般演題 3「腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術」:15:08 ~ 15:40
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当科における成人鼠径ヘルニア再発症例に対する
腹腔鏡下ヘルニア修復術(TAPP)の検討
岩手県立中央病院消化器外科
○加藤 貴志、井上 宰、小幡 紘、菖野 佳浩
水井 崇浩、立川 翔子、日景 允、齋藤 之彦
村上 和重、星田 徹、臼田 昌広、望月 泉
当科では2009年から腹腔鏡下経腹的腹壁前メッシュ修復法(TAPP)を行い、これまで15例
16側(平均年齢67歳、52 〜 81歳)の再発もしくは再々発症例に施行してきた。内訳は、外鼠
径ヘルニア7例、内鼠径ヘルニア7例、混合型1例であった(再発10例、再々発5例)
。初回手術
修復法は、メッシュプラグ法7例、
Lichtenstein法3例、
McVay法1例、
不明4例であった。メッシュ
プラグ法7例の再発形式は外鼠径ヘルニアが3例で、内鼠径ヘルニア3例、混合型1例であった。
再発までの期間は、従来法が最短4年、最長36年であるのに対し、tension-free法では最短1週、
最長でも10年と比較的短期間での再発が多くなっていた。TAPP術後合併症は1例にseromaを
認めたのみであった。また、全症例において継続的に鎮痛剤を要する疼痛は認めなかった。現在の
ところ全例再発なく経過している。当科における成人鼠径ヘルニア再発例に対する検討とTAPPの
手技上の工夫について、ビデオを供覧し報告する。
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一般演題 3「腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術」:15:08 ~ 15:40
腹腔鏡下ヘルニア手術-膨潤TAPP手術
労働者健康福祉機構東北労災病院外科
○徳村 弘実、西條 文人、安本 明浩、又吉 信貴、舟山 裕士
豊島 隆、高橋 賢一、武者 宏昭、松村 直樹、生澤 史江
武藤 満完、鈴木 洋、澤田健太郎、柴原 みい
当科では、以前に腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術を、経腹腔的アプローチ(TAPP)152例、腹
膜外法126例経験していた。しかし、本手術は前方アプローチのメッシュ手術より利点が多い反
面、learning curveが長く手技が未熟なときは再発や合併症がまれでない。そこで、TAPPの手
技的難点を軽減する目的で、経皮的に鼠径部腹膜前腔にロピバカインとエピネフリンの膨潤麻酔剤
希釈液約150ml注入することを先行する膨潤TAPPを考案し、2010年11月より114例を経験
したので報告する。対象は、男105例、女性9例で平均年齢は60.7歳、Ⅰ型89病変、Ⅱ型ヘル
ニア33病変、Ⅲ型3例、Ⅳ型4例であった。再発は3例であった。手技的に、従来TAPPと比べて、
腹膜前腔の膨化によって層確認が容易となり腹膜を剥離しやすく、膀胱前腔、Cooper靱帯の露出
も容易となった。出血は微量で、解剖が明瞭で比較的確実な手術が可能となった。平均手術時間は
片側98分。合併症は血腫1例、水腫7例(6.3%)で精管損傷や膀胱損傷はない。術後疼痛もまれ
と考えられた。現在まで再発はない。今後、さらなる症例集積と従来TAPPとの比較試験による検
証が必要であるが、膨潤TAPPは従来TAPPを手技的、臨床的に改善すると推察される。
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協 賛 企 業 各 社
■展示企業
コヴィディエンジャパン株式会社
ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 セント・ジュード・メディカル株式会社
株式会社メディカルリーダース
株式会社メディコン
■企業広告
アアステラス製薬株式会社
MSD株式会社
オリンパスメディカルサイエンス販売株式会社
科研製薬株式会社
共立医科器械株式会社
協和発酵キリン株式会社
コヴィディエンジャパン株式会社
塩野義製薬株式会社
ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社
ゼリア新薬工業株式会社
セント・ジュード・メディカル株式会社
第一三共株式会社
大正富山医薬品株式会社
大鵬薬品工業株式会社
武田薬品株式会社
中外製薬株式会社
日本イーライリリー株式会社
ファイザー株式会社
ブリストル・マイヤーズ株式会社
丸木医科器械株式会社
(50音順)
株式会社メディコン
第5回東北ヘルニア研究会の開催にあたり、上記の企業より多大なご支援をいただきました。
ここに銘記し、そのご厚意に深謝いたします。
平成24年11月 第5回東北ヘルニア研究会
当番世話人 伊藤誠司
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