健常高齢者に対する ニューロトラッカートレーニング の試験 甲南女子大学 看護リハビリテーション学部理学療法学科 辻下守弘 研究目的 • 私たち日常生活で、常に環境とインタラクトする環境は動的であ り、様々な物体、動き、速度、場所などの統合感覚が必要である。 • 認知メカニズムがより複雑な環境で、同時に複数の環境局面を処 理・統合する際、老化よる障害が特に目立つようになる。 • 例えば、高齢者の自動車運転による事故の多発はこの顕著な兆 候だと考えられ、免許更新に認知機能検査が必須となっている。 • また、高齢者の転倒事故も認知機能の低下が原因とされ、運動器 の障害によって医療費や介護費の負担を高める要因となってい る。 • 以上のことから、今後我が国の超高齢社会において社会保障制 度を維持するためには、認知機能を効果的にトレーニングできる 方法論の確立が必至となっている。 • そこで、本研究では、複数対象追跡(MOT)トレーニング機器であ るニューロトラッカーを用いて、2名の高齢者に対する認知機能の 研究方法 • 被験者 対象1:68歳、男性、農業 MMSE 26点 対象2:66歳、女性、主婦 MMSE 28点 • 研究手順 ニューロトラッカー 1回15分間 週3回 2週間 トレーニング前後に評価 • 評価方法 ニューロトラッカーのスコア 認知症スクリーニングテスト ミニ・メンタル・ステートテスト(MMSE) 東京都老人総合研究所が作成したファイブコグ 運動機能評価である起立歩行テストTUG 結果(ニューロトラッカースコア) 2つのターゲットを追跡する課題にて実施 点 3 2.5 2 1.5 対象1 対象2 1 0.5 0 トレーニング前 トレーニング後 結果(MMSE) 点 満点は30点であり、点数が高い方が認知機能が高い 30 29 28 27 対象1 対象2 26 25 24 トレーニング前 トレーニング後 結果(ファイブコグ) 点 110 記憶・学習,注意, 言語,視空間認知,思考の 5 つの認知領域機能 を評価するテストの合計点であり、点数が高い方が認知機能が高い 100 90 80 対象1 対象2 70 60 50 トレーニング前 トレーニング後 結果(TUG) 秒 椅子に座った状態から立ち上がり、3m先の目標を回り、 元の椅子に座るまでの所要時間であり、時間が短い方が運動機能良好 8 7.5 7 6.5 6 対象1 5.5 対象2 5 4.5 4 トレーニング前 トレーニング後 まとめ • ニューロトラッカーNTのトレーニングを1回15分、 週3回で2週間継続し、合計6回の実施となった。 • 対象とした高齢者2名とも初回でNTの目標追跡 トレーニングを理解していた。 • 2名ともMMSEは26点以上と認知機能は正常で あったが、NTのトレーニングにより、認知機能評 価であるMMSEやファイブコグの点数が高まり、 認知機能がより向上したと思われる。 • 特に運動トレーニングは実施していないが、起 立歩行テストTUGも改善していた。 • NTは高齢者においても認知機能を高める効果 のあることが示唆された。
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