1 小 特 集 高度道路交通システム(ITS)と AI Intelligent Transportation Systems and Artificial Intelligence 狩野 均 Hitoshi Kanoh 筑波大学 電子情報工学系 Institute of Information Sciences and Electronics University of Tsukuba [email protected] keywords: transportation, traveler information, vehicle control, emergency management, electric payment. 1. 特集にあたって ITS(Intelligent Transportation Systems)は,交通 事故,渋滞などの道路交通問題の解決を目的に構築する 通流のシミュレーションについて,最近,複雑系で話題 となっているセルオートマトン(CA)の応用という立場 から解説する.CA の基本原理から米・英・独における 開発事例まで詳細かつ平易に解説されている. 新しい交通システムで,ナビゲーションの高度化,自動 料金収受システム,安全運転の支援などの開発分野から 構成されている[建設省].ITS 市場は全産業への波及効 果を含めると約 100 兆円,107 万人の雇用創出と試算さ 2. ITS の概要 2.1. ITS とは れ[電気 99],既に ITS マーケットに参入している有力企 ITS とは,情報・通信・制御技術を交通網の利用の改 業は195社におよんでいる.また,昨年トロントで行 善に適用した交通システムの総称であり,人と道路と車 わ れ た ITS 世 界 会 議 の 参 加 者 は 4661 名 , IEEE 両を一体のシステムとして扱うところに特徴がある Transaction on ITS が今年 3 月から発刊されることなど, [Chen 99]. 学術の分野においても最近大きな注目を集めている. このような背景から多くの技術雑誌で ITS 関連の解 交通網の発展は世界中の人々に経済発展と生活向上 をもたらしたが,その反面で交通事故や渋滞による社会 説記事が企画されているが,これらは,国際標準化,通 損失や CO2による環境破壊が大きな問題となっている. 信ネットワーク,自動運転等に関するものが多い[青木 日本では,交通事故による死者は年間約1万人,損失は 99][重野 99][藤森 99][津川 99].そこで本小特集では,ITS 約 4.4 兆円,また渋滞による損失は年間約 12 兆円と試 の中で特に人工知能と関連の深い3分野に限定して解説 算されている[電気 99].これらの問題は従来型の道路イ をお願いした. ンフラの整備によって解決することは難しいと思われる. まず本稿では,ITS にあまりなじみのない読者を対象 として ITS の概要を平易に解説する. 山崎敏夫氏による「ナビゲーションシステム体系と今 ITS の目的は,これらの問題を解決し,人々に時間の 節約,生活と環境の向上,商業活動の生産性の改善をも たらすことである. 後の展開」では,ITS の中で唯一本格的に実用化されて いるカーナビを取りあげる.現状技術の理論体系を述べ るとともに,アフォーダンスの概念に基づいたマンマシ ン・パラレルモデルや人間の行動全体をサポートするラ イフナビ(Life Create and Support Navigation System) 2.2. している(A=Advanced, S=Systems)[Chen 99]. • 故・故障管理 青木正喜氏による「ITS における画像認識の現状と課 • データベース,統合情報提供サービス 士であるとの立場から,運転環境における視覚情報と画 • 加藤恭義氏による「セルオートマトン法による道路交 通シミュレーション」では,ITS の評価として重要な交 高 度 車 両 制 御 シ ス テ ム (AVCS: Vehicle control ):自動運転,車線追従,衝突回避 系における画像認識,ならびに最近の動向について概観 している. 高 度 旅 行 者 情 報 シ ス テ ム (ATIS: Traveler information ):経路案内,駐車場利用案内,地図 て系統的に解説する.自動運転システムは電子的副操縦 像認識応用について述べた後,画像入力,車載系・地上 高 度 交 通 管 理 シ ス テ ム (ATMS: Traffic management):交通計画支援,交通信号制御,事 について,独創的なアイデアを展開している. 題」では,ITS 研究の半数以上を占める画像認識につい ITS の開発分野とユーザーサービス ISO では,ITS によるサービスを以下の8分野に分類 • 商 用 車 運 用 (CVO: Commercial vehicle operation):商用車配備,商用車運行管理,道路 安全点検 2 • 高 度 公 共 交 通 シ ス テ ム (APTS: Public transport):公共車両位置検知,料金表・時刻表・ 緊 急 管 理 シ ス テ ム (EMS: て,運営されている. < ETC : ノ ン ス ト ッ プ 自 動 料 金 収 受 シ ス テ ム > 乗換え情報の提供 • (財団法人 道路交通情報通信システムセンター)によっ Emergency (Electronic Toll Collection System) ETC は,車載器と, management):緊急時自動通報,緊急車両誘導, それに挿入して使う IC カード,料金所に設置される路 危険物・事故通報 側無線装置などで構成される.1999 年度には千葉地区を • 電子料金支払(EP: Electric payment) 中心とした主要料金所でETCサービスが開始され, • 安全(Safety ) 2002 年度までには全国約 730 ヶ所の料金所に,ETC ITS は「自動化」の同義語ではなく,人間との関わり 合いが最も重要であると考えられている.ITS のサービ が導入される計画となっている. < AHS : 走 行 支 援 道 路 シ ス テ ム > (Advanced スは旅行(運転)に必要な多くの情報・機能を提供して Cruise-Assist Highway System) いるが,これらは利用者の要求に対する新たな選択肢を ンサーなどから他の車両の状況や障害物等を認識し,通 提供しているにすぎない.交通問題を解決し,快適な旅 信を介してリアルタイムにドライバーの走行を支援する. 行を実現するためには,利用者の意思決定が重要な要因 AHS の実用化を目指し,建設省及び AHSRA(技術研究 となる.したがって,ヒューマンインターフェースや意 組合 走行支援道路システム開発機構)が研究開発をおこ 思決定支援システムが重要な研究課題となっている. なっている. 道路に設置されたセ <民間企業の製品> 2.3. MONET(トヨタ他) :各車両のナビゲーションシステ ITS の技術分野 ITS の核となる技術は,情報・通信・制御である.[Chen ムとの間で,電話回線を利用したデータ通信を行うこと 99]では,ITS における現状技術をデータの計測・収集か により,道路交通情報やニュース,各種施設情報等をオ ら利用者の情報利用に至る情報連鎖に着目して,次のよ ンデマンド,リアルタイムで各車両のナビゲーションシ うにまとめている. ステムに提供する. INTER NAVI(ホンダ他):インターネットを通じて ・データ収集 インフラ側:交通量検知,天候監視 インターナビ対応のホームページにアクセスすることに 車両側:自動車量認識,無停止計量 より,ドライブに役立つ様々な情報が得られるとともに, ・データ処理 位置情報を車載のナビに伝達して経路誘導が可能である. インフラ側:データ融合,自動事故検知 ナビ協調シフト(トヨタ/プログレ):GPS ナビゲー 車両側:GPS,デジタル地図 ションからの道路情報と現在地情報により,これから走 ・データ通信 行する道路状況を読み取り,ドライバーの操作に合わせ インフラ側:静的通信,光ファイバ た適切なシフト制御を行う. 車両側:車両間通信,専用狭域通信 レーダークルーズコントロール(トヨタ/プログレ): ・情報配信表示 レーザーレーダーセンサーをはじめとした各センサーか インフラ側:可変情報板,インターネット らの情報により,先行車と走行レーンを認識・判断し, 車両側:交通メッセージチャンネル 適切な車間距離を保ちながら追従走行を行う. ・情報利用 ふらつき運転検知機能(ホンダ/アコード) :眠り運転 インフラ側:ランプ計測,都市交通制御 などの注意力が散漫な運転時に起きる車両の微妙なふら 車両側:経路案内,事故回避 つきを検知して,ドライバーに警告する. <団体・組織> 日本では,ITS を円滑に推進するため,1994 年に 3. ITS の実際 3.1. VERTIS が設立され,5省庁(建設,警察,通産,運輸, 日本の ITS 郵政)の連絡会議と民間企業・大学・関係団体との連携 日本の ITS については,建設省道路局の ITS ホームペ を図っている. ージ[建設]と道路新産業開発機構(HIDO)のホームペー 道路・交通・車両インテリジェント化推進協議会 ジ[HIDO]に詳しい解説がある.また,関連のリンクにつ (VERTIS : Vehicle Road and Traffic Intelligence いては,[HIDO]が最も充実している. Society)は,1994 年 1 月,産学により組織され,ITS の < VICS : 道 路 交 通 情 報 通 信 シ ス テ ム > Information and Communication System) (Vehicle 研究開発・実用化推進に関する必要な活動,海外関係団 VICS は, 体との情報交換・事業協力等のための窓口業務,関係省 道路上に設置したビーコンと FM 多重放送によって,渋 庁連絡会議,国内関係団体,学識経験者との情報交換と 滞情報・規制情報・道路案内・駐車場情報などをリアル 連携活動,ならびに ITS 世界会議日本委員会活動とその タイムに,カーナビに送るものである.VICS センター 事務局業務を行っている.米国の ITS アメリカ,欧州の 3 ERTICO に相当する. 技術研究組合 走行支援道路システム開発機構(略 称:AHS 研究組合)( AHSRA:Advanced Cruise- Assist Highway System Research Association)は,自動車や電 メーカーなどが参加.トラックなど商用車の運転支援シ ステムを開発,実用化し,貨物輸送の効率化を目指して いる. <その他の国> 米国,欧州,日本以外の国々の ITS 気・通信等の先端的な民間企業 21 社が連携して 1996 年 の取組みレベルは,ITS 情報の収集から包括的な立案, に設立した研究団体.道路と車両の協調により危険警告 整備に至るまで,大きく開きがある.オーストラリア, から運転補助等の安全で快適な走行を支援するための走 カナダ,韓国は ITS アメリカに類する組織を設立すると 行支援道路システムの研究開発が目的. ころまで進んでいる点で傑出している[ITS アメリカ 財 団 法 人 道 路 新 産 業 開 発 機 構 (HIDO : Highway 97][HIDO 98]. Industry Development Organization)は,ITS など道路 経済の発展にともない急速にモータリゼーションが進 に関連する新しい産業分野に関する調査研究,開発プロ 展するアジア諸国では,ITSへの関心が高まっている. グラムの策定や広報といった活動を建設省の指導のもと 香港,マレーシア,タイでは,すでにETC(自動料金収 で実施している建設省許可の公益法人. 受システム)が実用化され,中国,シンガポールでも試験 ナビゲーションシステム研究会(略称:ナビ研) 的運用を進めている.フィリピンではオーストラリアの (Navigation System Researcher’s Association)は,エレ SCATS(条件適応交通システム)の導入を決定.この クトロニクス,自動車,地図,ソフト,出版,商社など SCATSは,現在,世界中の 36 都市,120 地域で運 の民間企業が集まり,1986 年に発足した.カーナビ用デ 用されており,他のアジア諸国でも注目している. ジタル地図の標準規格を提案,ナビ研 S 規格[ナビ研 97] として日本のカーナビに広く浸透している.現在 47 社 の会員企業により,フォーマットの高度化研究,フォー マット準拠製品の市場化などの活動を行っている[ナビ 4. ITS 関連の学会・国際会議 ITS 関連の学会としては,IEEE に ITS council が設立 され 1999 年1月からニュースレターを発行している 研]。 [IEEE].このレターは,国際会議の案内,雑誌や書籍の 3.2. 世界の ITS 紹介,論文募集,各国の最新プロジェクトの紹介等,学 1996 年 1 月 に 連 邦 運 輸 省 (DOT) は 会レベルの情報を入手するには最も手っ取り早い. 「Operation Time Saver」を発表し,2005 年までに 75 [IEEE]からダウンロードできる.また,Transactions on 大都市圏に大都市 ITS インフラを整備することを国家目 ITS は,今年3月に創刊される.これのカバーする分野 <米国> 標としている[HIDO].1999 年5月現在で,36 大都市圏 で AI に関連の深いものは次の通り. に整備されている.現在アメリカ全土では交通事故によ Man-Machine Interfaces (displays, artificial speech), り年間 4 万 2000 人の死者,350 万人の負傷者が発生し, Decision systems (expert systems, intelligent agents) 安全性の向上が大きな課題となっていることから, Simulation (continuous discrete, real-time) IVI(Intelligent Vehicle Initiative)の研究開発が推進さ Imaging and Image Analysis, Signal Processing れている.情報提供,運転支援,車両制御までを含めた Control (adaptive, fuzzy, cooperative, neuro, large system) 自動車のインテリジェント化を目指す研究開発で,車両 国内の学会としては,電気学会の道路交通研究会が古 ごと(乗用車・トラック・バス・特別用途の車両)にプラ くから活動しており,調査専門委員会で報告書を出版し ットフォームの構築に取り組んでいる. ている[電気学会 99][電気学会 94].情報処理学会の高度 欧州では,ITS の研究開発を推進するため 道路交通システム研究会と,電子情報通信学会の ITS 研 に欧州委員会の第 13 総局により,1996 年初頭に T-TAP 究でも研究会・シンポジウムを定期的に開催している[情 (交通テレマティクスアプリケーションプログラム)が 処][情処 99-1][ 情処 99-2][信学]. <欧州> 開始された.70 のプロジェクトからなり,利便性や安全 <ITS 世界会議> 道路交通のインテリジェント化に 性の向上,環境負荷の軽減などを目的としたアプリケー 関する研究成果の世界規模での情報交換及び実用化に関 ションの開発,実証を進めている[HIDO]. する国際協力の推進を目的とし,日米欧の提唱により また,1995∼1999 年に欧州横断ネットワーク上に多 1994 年から毎年開催されている.第 1 回から仏,日本, 様なテレマティクスサービスを導入する目的で,欧州委 米,独で,韓国,カナダで開催された.第7回(2000 年) 員会DGVII によって TEN-T(欧州横断交通ネットワー はトリノ(イタリア)第 8 回はシドニー(オーストラリア) ク)が推進され,欧州における ITS 導入のキーとして期 で開催される.昨年行われた第 6 回では,世界 58 ヶ国 待されている. より政府関係者,学識経験者,民間企業など 4,661 名が T-TAP が 1996 年から支援する CHAUFFEUR(商用 参加.アメリカ・カナダ・EU・イタリア・マレーシア 車の自律型自動運転)は,欧州でのAHS研究開発プロ から大臣クラスが参加.会議で発表された技術論文は全 ジェクトの中核のひとつで,自動車メーカーと電子機器 部で約 540 本.日本からの論文は 162 本.先進安全自動 4 通信,計算機,制御の研究と応用に関する国際会議で, Vol.28,No.2 (1999). [建設省] 建設省道路局 ITS ホームページ http://www.nihon.net/ITS/j-html/ [重野 99] 重野寛他:特集 ITS,情報処理 Vol.40, No.10 (1999). [情処] 情報処理学会高度道路交通システム研究会のホ IEEE の ITS council が主催している.1999 年は早稲田 ームページ http://ysr.net.it-chiba.ac.jp/sigits/ 大学で,94 件の論文発表,84 件のポスターによる発表 [情処 99-1] 情報処理学会:高度道路交通システムシン 車,走行支援システム,衝突防止,電子決済,交通管理, 緊急サービスなどの個別システムの要素技術に関する発 表が多かった[HIDO 99]. <ITSC:ITS Conference> ITS における電子技術, が行われた.道路と車両の認識,車両制御,動的経路案 内,自動運転,道路インフラ,障害物検知,交通量の監 視,センシング,通信,制御等の論文セッションの他に, ポジウム資料 (1999). [情処 99-2] 情報処理学会:高度道路交通システム研究 グループ研究報告 No.ITS-1,2,3,(1999). ITS 標準,ITS と社会,ITS と法律等のパネルディスカ [信学] 電子情報通信学会 ITS 研究会のホームページ ッションも行われた.次回は,2000 年 10 月にアメリカ http://www.mlab.t.u-tokyo.ac.jp/ITS [津川 99] 津川定之:自動車の自動運転システム,人工 のデトロイトで開催される[ITSC 2000]. <IVS:Intelligent Vehicle Symposium> ITS にお け る 車 両 の 知 能 化 に 関 す る 国 際 会 議 で , IEEE の IES(Industrial Engineering Society)が主催し,1989 年 から継続して日米欧で開催されている.早くから画像情 報,レーダー,通信などを応用した車両制御や運転支援 に関する技術を扱ってきた.1998 年は独のダイムラ・ベ ンツ社(当時)で 203 名の参加者を集めて行われた.こ の会議は,参加者全員が一堂に会して全体会議形式で行 知能学会誌,Vol.14, No.4,(1999). [電気 99] 電気通信技術審議会答申,1999 年2月. [電気学会 99] 電気学会:道路交通における状況理解, 電気学会技術報告 (1999). [電気学会 94] 電気学会:自動車経路誘導システム,電 気学会技術報告 (1994). [ナビ研] ナビゲーションシステム研究会ホームページ http://www.naviken.or.jp/ われるため,少数の論文発表に対して質の高い討論が行 [ナビ研 97] われる.今回は,47 件の発表(日本からは 7 件)が行わ Guide Book S 規格(Version 2.2),(1997). [藤森 99] 藤森祥弘他:特集ノンストップ自動料金収受 システム,電気学会誌,Vol.119,No.10 (1999). [Chen 99] Kan Chen, John C. Miles: ITS Handbook 2000 - Recommendations from the World Road Association (PIARC), Artech House (1999). [HIDO](財)道路新産業開発機構 ITS ホームページ http://www.hido.or.jp/ITS/ [HIDO 98] 道路新産業開発機構:海外における ITS の 動き,(1998). [HIDO 99] 道路新産業開発機構:ITS-Review Japan, No.10 (1999). [IEEE] IEEE ITS council のホームページ れた.今回のトピックスとしては,画像・マイクロ波・ レーザー等による計測,ニューラルネットワーク・ファ ジィ論理等による制御,知能輸送システムに関する社会 的・経済的問題,リアルタイム交通量制御およびナビゲ ーション,が取り上げられた.次回は ITSC と前後して アメリカのデトロイトで開催される[IVS 2000]. 5. おわりに カーナビは、今やカー用品の売れ筋商品となっており、 その出荷台数も 500 万台に届こうとしている。現在では ナビゲーションシステム研究会:Format カーナビの画面を凝視することを禁止する法律も昨年施 http://www.ewh.ieee.org/tc/its/ [ITS アメリカ 97] ITS アメリカ:ITS 日米欧3極比較 レポートⅡ,道路新産業開発機構発行(1997). [ITSC 2000] http://www.ewh.ieee.org/tc/its/2000/ 行されるなど、ヒューマンインターフェースの改善が強 [IVS 2000] 情報通信機を備えたカーナビがヒットするなど、車載 ITS 情報端末としての地位を確立したといえる。一方で、 http://www.ce.unipr.it/IV2000/ く望まれている. 本稿では ITS が目標とするユーザーサービスならび 著者紹介 に現状の ITS の概要について述べた.現状の ITS は,デ 狩野均(正会員) ータの収集・通信・表示に留まっており,交通問題を解 1980 年筑波大学大学院理工学研究科修士課程修了.同年, 決し,快適な旅行を実現するためにはユーザの判断が重 日立電線(株)入社.同社オプトロシステム研究所におい 要な要因となる.ITS をユーザの意思決定を支援する真 て光式移動体位置検知装置の開発,人工知能の応用に関 のインテリジェント・システムとするためには,ITS 分 する研究に従事.1993 年より筑波大学電子情報工学系. 野に AI 研究者が積極的に参画することが望まれている. 現在,同助教授.知識システム・遺伝的アルゴリズム・ 動的経路探索の研究に従事.工学博士.1992 年電気学会 参考文献 [青木 99] 青木正喜:ITS の動向,画像電子学会誌, 論文賞,1999 年 WSC4 論文賞受賞.認知科学会,情報 処理学会,IEEE 等各会員.
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