W 杯サッカーと国民イメージに関する研究

W 杯サッカーと国民イメージに関する研究
【はじめに】
昨年の文教大学で開講されている説得コミュニケーション論、非言語コミュニケーション論、および国際医療福
祉大学で開講されている心理学の講義では調査にご協力いただきありがとうございました。かなり時間がかかって
しまいましたが、主要な調査の結果がまとまりましたのでご報告いたします。
この調査の目的は、W 杯大会の開催前後で日本人を含む複数の国民イメージがどのように変化するか、さらに変
化が見られた場合に、それを規定する要因は何であるかを検討することでした。以下、国民イメージの変化に絞っ
て結果を報告いたします。
【方法】
文教大学および国際医療福祉大学で心理学関連の授業を受講している大学生を対象にパネル調査を実施しました。
実施時期は W 杯大会の約 1 ヶ月前と W 杯大会終了後の 2 回でした。2 回の調査の両方に回答した大学生は 647 人(男
性 230 人、女性 417 人)でした。質問紙には 9 つの国民のイメージを測定するための質問項目が含まれていました。
日本人と南アフリカ人については全員が回答しましたが、それ以外の国民については表の A または B の国民につい
て回答しました。具体的な対象国は表を参照してください。それぞれの国民のイメージを測定するために「あたた
かい-つめたい」
「頭がよい-頭が悪い」などの 10 個の形容詞対(7 件法)を用いました。
【結果】
本研究では国民イメージにはあたたかさ、知的能力、身体能力の 3 つの次元があると想定しました。そしてこれ
らの 3 つの次元について、W 杯開催前と開催後に国民イメージの変化があるかどうかを、統計学的な手法を用いて
検討しました。具体的な結果は表を参照してください。
その結果、これまでの研究と比較をして、多くの国民イメージが変化していることがわかりました。そしてその
多くの変化が肯定的な変化でした。つまり多くの国民に対して大会前と比較をすると「あたたかい」「知的能力が高
い」「身体能力が高い」などの肯定的なイメージを抱いていることがわかりました。ただし一部の国民に関しては、
イメージが否定的な方向に変化していました(例えばフランス人のあたたかさ)。 今後はこうした変化がどのような
要因によって規定されているかさらに分析を進める方向で考えております。
なおこの調査に関するお問い合わせですが、isao アット shonan.bunkyo.ac.jp までお願いいたします(アットを@に
変更してください)
。最後になりましたが、調査へのご協力誠にありがとうございました。
文教大学情報学部 佐久間勲(研究代表者)
共通
表 事前調査と事後調査の国民イメージ得点の平均値
あたたかさ
知的能力
身体能力
n
大会前
大会後
大会前
大会後
大会前
大会後
636-638
5.05
5.23
4.24
4.45
3.59
3.86
日本人
630-631
3.91
4.04
3.57
3.56
5.57
5.31
南アフリカ人
271-276
4.15
4.27
4.16
4.18
4.41
4.56
ポルトガル人
273-275
3.98
3.93
3.86
3.83
4.35
4.46
コートジボワール人
275-276
4.22
4.35
4.31
4.43
4.15
4.42
デンマーク人
276-279
3.95
4.04
4.23
4.25
4.00
4.18
韓国人
A
278
4.62
4.49
4.63
4.65
4.43
4.54
フランス人
278-280
4.29
4.43
4.62
4.82
4.43
4.96
ドイツ人
281-282
4.19
4.19
3.72
3.82
5.69
5.65
ブラジル人
349-351
4.53
4.66
4.22
4.42
4.81
5.20
スペイン人
348-351
4.00
4.17
3.76
3.72
5.08
5.16
カメルーン人
350-352
4.44
4.60
4.33
4.50
4.46
4.95
オランダ人
B
352-353
2.27
2.46
3.37
3.48
3.88
3.80
北朝鮮人
348-351
4.47
4.42
3.91
3.91
4.51
4.60
メキシコ人
347-350
4.83
4.86
4.58
4.64
4.68
4.88
イタリア人
348-350
4.12
4.33
4.02
4.07
4.86
5.07
アルゼンチン人
注)黄色で塗られた部分は大会前と大会後でイメージに差があった項目になります。得点の範囲は 1 から 7 で、数字
が大きいほど「あたたかい」「知的能力が高い」「身体能力が高い」ということを意味しています。例えば日本人のあた
たかさに関する大会前の得点は 5.05、大会後は 5.23 で、大会前に比較をして大会後に肯定的な方向に変化している
ことがわかります。