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(1)歩道 1
4.道路
基本的な考え方(設計にあたっての配慮)
歩道、地下道等は移動の動線と連続しており、全ての人々が安全で快適に利用できるように整備されている必
要がある。特に移動制約者にも支障のない通行ができるように幅員の確保や路面整備、また、必要に応じて視覚
障害者用誘導用床材等の敷設に配慮する。
整備基準
● 歩道を設ける場合においては、当該歩道は、
次に定める構造とすること。
解説(望ましい基準を含む)
参考:平成11年9月建設省道路局
「バリアフリー化に対応した歩道の構造基準」より抜粋
〈歩道等の形式〉
歩道等は、歩道面と車道面又は縁石との関係において以下
の形式に分類される。
区画する工作物
縁 石
歩道等の
形式
歩道等面と車 歩道等面と縁石
道面路の関係 天端との関係
マウント
アップ形式
歩道面等が
高い
同一の高さ
セミフラット
形式
歩道面等が
高い
歩道面等が
低い
歩道面等が
低い
フラット形式
同一の高さ
柵その他これに
類する工作物
〈縁石で区画された歩道等の形式〉
○ 縁石を設置する場合には、その高さは歩行者及び自転車の
安全な通行を確保するとともに、沿道の状況等に配慮して
15cmを標準とする。ただし、当該歩道等を設置する一定区間
において車両乗入れ部を設けない場合又は交通安全対策上必
要な場合には20cmまで、橋又はトンネルの区間においては、
当該構造物を保全するために25cmまで高くすることができる。
○ 上記の規定において、柵、植樹帯又は並木が連続している
等歩行者及び自転車の安全な通行が確保されている場合にあ
って、雨水の適切な誘導等が確保できる場合には、必要に応
じ、縁石の高さは5cmまで低くすることができる。
○ 歩道等面の高さは、当該地域の地形、気象、沿道の状況及
び交通施設の設置状況等を考慮し、雨水の適切な誘導を勘案
して決定するものとする。
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図1-a.マウントアップ方式
図1-b.植樹帯での分離
歩道
歩道
車道
車道
図1-d.フラット方式
図1-c.ガードパイプでの分離
歩道
歩道
車道
車道
図1-e.段差切り下げ断面
150cm以上
すりつけ勾配1/12以下
150cm以上
歩道
車道
2cm
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(1)歩道 2
整備基準
4.道路
解説(望ましい基準を含む)
〈歩道環境の確保〉
○ 歩道等面に設ける勾配は、地形の状況その他の特別な理由
により、やむを得ない場合を除き、車いす等の安全な通行を
考慮して以下を標準とする。
・縦断勾配:5%(1/20)以下(ただし、沿道の状況等によ り、やむを得ない場合には8%(1/12)以下)
・横断勾配:2%(1/50)以下
・縦断勾配を設ける箇所には横断勾配を設けない。
○ 歩道等面には、車いす等の安全な通行を考慮して、原則と
して100cm以上の平坦部分(横断勾配2%を標準とする部分)
を連続して設けるものとする。また、当該平坦部分には、道
路標識その他の路上施設又は電柱その他の道路占用物件は、
やむを得ず設置される場合を除き、原則として設けないこと
とする。なお、歩道等の幅員が十分確保される場合には、車
いすの円滑なすれ違いを考慮して、当該平坦部分を200cm以
上確保するよう努めるものとする。
○ 横断歩道箇所等における車道とのすりつけ部若しくは車両
乗入れ部において設けられる縦断勾配箇所の間隔が短い場合
又は将来沿道の状況より、短くなることが考えられる場合で
あって、車いす等の通行に支障をきたす恐れがある場合には、
排水施設の設置、交通安全対策、民地側とのすりつけ等を勘
案し、一定区間において、歩道等面を切下げる等、必要な措
置を講ずる。
○ 歩道等の整備にあたっては、歩行者及び自転車の快適な通
行を考慮して、水はねの防止のための親水性舗装の実施等必
要な措置を講ずる。
○ バス停車帯又はバス停留所に接続する歩道等においては、
乗降する車いすの利便性を考慮して、必要に応じ歩道等面の
高さの調整等必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
○ 分離帯において車道境界に縁石を設ける場合には、その高
さは25m以下とする。
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図1-f.幅員の直線部に横断歩道のある場合の切り下げ整備例
勾配2%(1/50)以下
歩道
車道
勾配5%(1/20)以下
図1-g.切り開き形式の場合の切り下げ整備例(歩道幅員が広い場合)
勾配5%(1/20)以下
歩道
車道
150cm以上
歩道水平区間
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(1)歩道 3
整備基準
4.道路
解説(望ましい基準を含む)
〈横断歩道箇所における車道とのすりつけ部の構造〉
○ すりつけ部の縦断勾配は、車いす等の安全な通行を考慮し
て5%(1/20)とする。
☆ 路面凍結や積雪の状況を勘案して、歩行者及び自転車の安
全な通行に支障をきたす恐れがある場合を除き、沿道の状況
などにより、やむを得ない場合には8%(1/12)以下とする。
○ 縦断勾配と段差との間には水平区間を設けることとし、そ
の値は1.5m程度とする。
○ 車道と歩道の段差は、視覚障害者の安全な通行を考慮して
2cmとする。
○ 横断歩道箇所における分離帯は、車道と同一の高さとする。
☆ 歩行者及び自転車の横断の安全を確保するために分離帯で
滞留させる必要がある場合には、その段差は2cmとする。
○ 歩道等面が低いために強雨時に水のたまる恐れが生ずる箇
所では、雨水ますを追加する等、排水に十分配慮するものと
する。
○ 歩道等の巻込み部又は交差点の歩道屈曲部において自動車
の乗上げを防止するために、主要道路の車道に面して柵若し
くは低木の植込みを設置する。又は縁石を高くする等、必要
な措置を講ずるよう配慮する。
○ 車道とのすりつけによって、歩道等と民地との高低差が生
じ、歩行者又は自転車の通行に支障をきたす場合には、当該
歩道等における民地側のすりつけ等の処置を行うよう配慮す
るものとする。
〈車両乗入れ部〉
○ 車両乗入れ部は、原則として次に掲げる場所以外に設ける
ものとする。
・横断歩道及び前後5m以内の部分
・トンネル、洞門等の前後50m以内の部分
・バス停留所、路面電車の停留所(ただし、停留所を表示す る標注又は表示板のみの場合は、その位置から各10m以内
の部分)
・地下道、地下鉄の出入口及び横断歩道橋の昇降口から5m
以内の部分
・交差点(総幅員7m以上の道路の交差する交差点をいう。
)
及び交差点の側端又は道路の曲がり角から5m以内の部分、
ただしT字型交差点のつきあたりの部分を除く。
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図1-h.交差点に横断歩道がある場合の切り下げ整備例
歩道水平区間
勾配5%(1/20)以下
歩道
車道
勾配5%(1/20)以下
図1-i.車両乗り入れ部の整備例
勾配5%(1/20)以下
勾配2%(1/50)以下
歩道
勾配5%(1/20)以下
車道
勾配15%(1/7)以下
特殊縁石を用いる場合に限り
10%(1/10)以下
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(1)歩道 4
整備基準
4.道路
解説(望ましい基準を含む)
・バス停留所の部分/橋の部分
・横断防止柵、ガードレール及び駒止の設置されてある部分
・交通信号機、道路照明灯の移転を必要とする箇所
〈車両乗入れ部の構造〉
1.植樹帯等の範囲内ですりつけを行う構造
○ 植樹帯等(路上施設帯を含む)がある場合には、当該歩道
等の幅員内での連続的な平坦性を確保するために、当該植樹
帯等の幅員内でのすりつけを行い、歩道等の幅員内にはすり
つけのための縦断勾配、横断勾配又は段差を設けないものと
する。この場合には、以下の構造を標準とする。
○ すりつけ部の横断勾配は15%(1/7)以下とする。ただし、
特殊縁石(歩道等の切り下げ量を少なくすることができる形状
を持つ縁石)を用いる場合には10%以下とすることができる。
○ 歩車道境界の段差は、歩行者及び自転車の安全な通行を考
慮して5cm以下とする。
2.歩道等内においてすりつけを行う構造
○ 植樹帯等がない場合叉は植樹帯等があっても上記の構造が
とれない場合には、歩道等の平坦部分を確保し、残りの幅員
ですりつけを行うものとする。
○ すりつけ部の横断勾配は15%以下とする。ただし、特殊縁
石を用いる場合には10%以下とする。
3.歩道等の全面切下げを行う構造
○ 歩道等の幅員が狭く上記の構造によるすりつけができない
場合には、車道と歩道等、歩道等と民地の高低差を考慮し、
車両乗入れ部を全面切下げて縦断勾配により、すりつけるも
のとする。
○ すりつけ部の縦断勾配は5%以下とする。ただし、路面凍
結や積雪の状況を勘案して、歩行者叉は自転車の安全な通行
に支障をきたす恐れがある場合を除き、沿道の状況により、
やむを得ない場合には8%以下とする。
○ 歩車道境界の段差は、歩行者及び自転車の安全な通行等を
考慮して5cm以下とする。
○ 路面は粗面とし、又はぬれても滑りにくい材料で仕上げか
つ、平たんとすること。
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図1-j.歩道の有効幅員
官
民
境
看板
建築限界の確保
官
民
境
建築限界
(H=250cm以上)
看
板
有効幅員
200cm以上
歩道へのはみ出し禁止
歩道有効幅員の確保
図1-k.歩道への乗り上げ駐車を防ぐ整備例
ボラードを敷設
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(1)歩道 5
整備基準
〈路面〉
1 路面は、滑りにくい材料で仕上げ、かつ、
平たんとすること。
〈幅員〉
2 有効幅員は、200cm以上とし、車いす使用者
が安全かつ円滑に通過できるものとすること。
〈落下防止〉
3 歩道に排水溝を設ける場合においては、つ
え、車いすのキャスター等が落ち込まない構
造の溝ぶたを設けること。
〈勾配〉
4 歩道の巻込部及び横断歩道における歩道と
車道とのすりつけ並びに横断歩道における中
央分離帯と車道とのすりつけは、車いす使用
者が通過する際に支障とならないものとする
こと。
〈視覚障害者誘導用ブロック〉
5 必要に応じて、視覚障害者を誘導するため
の視覚障害者誘導用ブロック(周囲の路面材
の色と明度の差の大きい色のブロックその他
の周囲の路面材と識別しやすいブロックで表
面に線状の突起のあるものをいう。以下「誘
導用ブロック」という。
)及び視覚障害者の注
意を喚起するための視覚障害者注意喚起用ブ
ロック(周囲の路面材の色と明度の差の大き
い色のブロックその他の周囲の路面材と識別
しやすいブロックで表面に点状の突起のある
ものをいう。以下「注意喚起用ブロック」と
いう。
)を敷設すること。
4.道路
解説(望ましい基準を含む)
◎ より多くの歩行者が利用する歩道では、積雪について配慮
することが望ましい。
○ 有効幅員200cmは、車いす同士がすれ違いに要する幅である。
☆ 200cm以上確保することが困難な箇所等、やむを得ない場合
には、車いすが回転できるスペースとして、要所に150cm以上
の幅員を確保する。
○ つえ、車いすのキャスター等が落ち込まない構造とは、穴
の大きさが円形の場合には直径が1.5cm以下、格子型の場合に
は長さ10cm、幅1cm以下のピッチのものをいう。
○ すりつけ勾配は、5%(1/20)以下の車いす使用者が昇降
できる勾配とし、歩行者の通行動作の方向と一致させる。
○ 敷設場所は、平面的に車両と交差する交差点、横断歩道、
立体横断施設の昇降口、指定施設の出入口等に面する歩道と
する。特に、市町村役所(場)
、広域的な総合病院等から、最
寄りの駅、バス停への経路には、誘導用ブロックを連続して
敷設する。
○ 誘導用ブロックが識別しやすいように、周辺の床材をレン
ガやインターロッキング等とする場合、目地部には段差が生
じないように施工する。
○ 歩道に連続して敷設する場合には、歩道の中央部に敷設し、
かつ境界部から通行の支障とならない距離を確保する。
○ 危険を知らせる箇所(交差点、横断歩道の直前)は黄色と
する。また、その他の場所も原則として黄色とする。
○ 材質は、鋲製のものは滑りやすく、抜け落ちやすい。また
弱視者等への視認性に欠けるので使用は避けたい。
《1共通事項(5)視覚障害者誘導用床材参照》
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図1-l.直線的に横断歩道がある場合の敷設例
図1-m.巻込み部に横断歩道がある場合の
敷設例
30cm
歩道
歩道
中心線
30cm
車道
車道
中心線
図1-n.2方向に横断歩道がある場合の敷設例 図1-o.横断歩道が近接している場合の
敷設例
歩道
車道
中心線
歩道
中心線
車道
中心線
中心線
図1-p.障害物回避の敷設例
障害物
図1-q.障害物回避の敷設例
物
を
置
か
な
い
で
歩道
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の
も
の
で
す
目
の
不
自
由
な
人
PRシート
看板や自転車等の放置を
防ぐためのPRシート
(2)横断歩道橋及び地下横断歩道橋(立体横断施設)
4.道路
基本的な考え方(設計にあたっての配慮)
立体横断施設は安全を確保するための施設であり、高齢者、障害者にとっては利用しにくい施設である。交通
安全上、やむを得ず設置することもあるが、その場合には立体横断施設が高齢者等にも安全かつ円滑に利用でき
るように配慮することが必要である。
整備基準
● 立体横断施設を設ける場合においては、当
該立体横断施設は、次に定める構造とするこ
と。
〈幅員〉
1 横断歩道橋の幅員は120cm以上、地下横断歩
道の幅員は170cm以上とすること。
〈仕上げ〉
2 表面は粗面とし、又はぬれても滑りにくい
材料で仕上げること。
〈階段〉
3 階段には、回り段を設けないこと。
〈手すり〉
4 階段、傾斜路及び踊場の両側には手すりを
設けること。
〈視覚障害者用誘導床材〉
5 必要に応じて誘導用ブロック及び注意喚起
用ブロックを敷設すること。
その他
〈屋根、消融雪装置〉
解説(望ましい基準を含む)
〈横断歩道橋〉
◎ 横断歩道橋の幅員は、やむを得ない場合を除き150cm以上と
する。
◎ 自転車、ベビーカー、車いす使用者等の利用を考慮する場
合の幅員は原則として300cm以上とする。
〈地下横断歩道〉
◎ 斜路の幅員は、やむを得ない場合を除き220cm以上とする。
○ 斜路付階段は、やむを得ない場合を除き230cm以上とする。
○ 高齢者、視覚障害者、自転車走行者が利用しやすい構造と
する。階段の勾配は途中で変えてはならない。
○ 高齢者、障害者等に対する安全性及び移動性を配慮し、回
り段を設けない。
○ 踊場の幅員は直通階段の場合、120cm以上とする。その他の
場合は階段の幅員以上とする。
○ けあげ寸法は15cm以下とする。やむを得ない場合でも18cm
以下とする。踏面寸法は、30cm以上とする。やむを得ない場
合でも26cm以上とする。
○ 手すりは耐久性、耐食性の優れたもので、冬期間の冷たさ
に配慮した材質を用いる。
○ 300cmを越える幅員を有する場合は、中間に手すりを設ける。
○ 視覚障害者等を配慮し、上下する前面には誘導用ブロック、
注意喚起用ブロックを適切に敷設する。
○ 横断歩道橋には冬期間利用に配慮して屋根又は消融雪装置
を設けることが望ましい。
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図2-a.横断歩道橋の整備例
エレベーター
車道
階段下のスペース
階段下のスペースは、視覚障害者が入り込み、
頭部をぶつけることのないように、高さに配慮し、
衝突時の危険をさけるような仕上げとする。
歩道
図2-b.階段の整備例
45cm以上
75∼85cm
65cm
30cm
120cm以上
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(3)案内標示
4.道路
基本的な考え方(設計にあたっての配慮)
案内板は、高齢者、障害者等誰もが見やすくわかりやすいように配慮する。
整備基準
● 案内標示を設ける場合においては、第1号
(14)に定める構造に準じたものとすること。
解説(望ましい基準を含む)
○ 案内標示を設ける場合においては、主要場案内標示の高さ、
文字の大きさ及び表示の内容に配慮して、高齢者、障害者等
が安全かつ円滑に利用できるものとすること。
《2建築物(14)案内標示参照。》
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図3-a.案内標示設置の際に歩行の妨げとならない場合の例
車道
植樹帯
歩道
有効幅員の確保
150cm以上
130cm程度
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―160―