厨房重視の床材選びは慎重に行いましょう

実際にあった失敗例から失敗しない経営を学ぶ!
失敗例② Bさんの場合
デザイン重視がイタい結果に!
厨房重視の床材選びは慎重に行いましょう
他の業種にはない配慮が必要なのは飲食店の設計です。どんなオシャレな店舗でも、機能面に問題があっては話に
なりません。
長時間の立ち仕事になるため、厨房の床は特に配慮したい所の一つですが、意外に重視されないことも多いのです。
センス重視の気軽な設計依頼
念願が叶ってカフェをオープンすることになったBさん。
飲食店への勤務経験はありましたが、店舗造りに関わったことはありません。「イメージ通りのデザインをして欲しい」
と思った時、同級生に建築士がいたことを思い出し連絡を取ると、快諾してくれました。
建築士としての実績は10年以上。ブティックなどのデザインも手掛ける程度のセンスの持ち主で「個性的でオシャレ
な店にしたい」というBさんの要望を全て聞き入れてくれました。
完全オープンキッチンの店は、床まで見られることを意識しつつ、防水などの機能面も考え、タイル張りにしました。
滑る床と汚れる店内
メニューには揚げ物もあったためフライヤーを設置しましたが、周りに油が落ち、滑りやすくなります。防水性を優先と
したタイルは思いのほか滑り、気を抜くと転びそうになるほどです。
シューズをあれこれ工夫しましたが、相性の良いものが見つかりません。オシャレ感を大切にしたいBさんは、機能重
視の厨房シューズの選択を避け、スニーカーを履いて営業を続けました。
油分が広がる厨房は、フロアの汚れの原因にもなりました。シューズについた油は、フローリングの床を黒くし、清掃
作業にも手間がかかりました。
1日中足元を気にしながら営業を繰り返した結果、Bさんは腰を痛めヘルニアになってしまいました。
店の継続を切望しましたが、最終的には立つことも困難になり断念。
複数店舗を経営する人に居抜きで譲渡できたのが、不幸中の幸いでした。
失敗しないためのポイント
飲食店の設計は独特
世間には、店舗デザイナーや建築士が多く存在しますが、すべての人が飲食店の設計に長けているわけではありま
せん。
飲食店は動線への配慮や給排気、グリーストラップの設置など、デザイン以外に考慮しなければならないことが多くあ
り、数ある店舗の中でも難易度が高いものです。
床材もその一つで、防水性はもちろん、作業性も十分に考えなければなりません。
このケースでは、同級生に依頼したことで「何でも言える」と安心してしまったことが発端です。
建築士は、飲食店を設計した経験は皆無で、もちろん「十分に調べた」そうですが、現実には十分配慮が出来ず、今
回のような結果になってしまいました。
考慮すべきことの多い厨房の床
飲食店の現場に立つ人が抱える健康トラブルは、深刻な手荒れと並んで腰痛が上位にきています。毎日、長時間立
ち続ける厨房の床は、細心の注意を払わなければならないポイントのひとつです。
個人店舗では、少人数でのオペレーションのため、調理者と接客者を完全に分けないこともしばしばあります。
オシャレな服装で働くスタッフの足元が、作業性重視の厨房シューズということに抵抗を感じる人も多くいます。
床材の工夫と細かな清掃に配慮すれば気に入ったシューズを履くことができるのですから、最初から十分考えたいも
のです。
また、提供するメニューによって、床の汚れ具合に差が出ます。モップがけで十分なものでもあれば、水を流して清掃
しなければならないこともあるでしょう。
この時も事前の打ち合わせですり合わせておく必要があります。
最初の店舗デザインを依頼するのは、飲食店のデザイン経験が豊富な人や専門業者に依頼するか、コンサルタント
のアドバイスを受けるといいでしょう。