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H&M、
成長の源は「NEXT ME」
「背
営業利益率は20%以上をキープ
兆円
H&M
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連結営業利益率
1.00
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ファーストリテイリング
0.75
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42
NIKKEI BUSINESS ■ 2010.11.29
0
連結売上高
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、35歳
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2002年
連結営業利益率
連結売上高
H&Mとファーストリテイリングの業績比較
1.25
5
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04
05
06
07
08
09
0
注:H&Mの売上高は11月期(付加価値税抜き)
、
ファーストリテイリングは8月期。
1クローナ=12円で換算
写真左上・左中:村田 和聡、左下:的野 弘路
デフレ経済の中、快進撃を続ける「ユ
ニクロ」
。運営するファーストリテイ
リングの2010年8月期決算は20%前後
の増収増益だった。その同社に 1 店舗
当たりの売上高で 50%以上差をつけ
る企業がある。スウェーデンの H&M
氏。
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国
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日本人
(ヘネス・アンド・モーリッツ)だ。
H&M はファストリ同様、商品企画
から販売まで自社で管理する SPA(製
造小売り)
。2009年11月期の連結売上
高は約 1014 億クローナ(約 1 兆 2000 億
円)と、
「 ZARA(ザラ)
」を展開するス
ペインのインディテックスや米ギャッ
プ( GAP )に並ぶ世界有数のブランド
だ。フルタイム従業員は年間平均 5 万
3476人(2009年11月期)、約2000店の
店長や約 30 カ国の現地法人社長など
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氏
のトッ(中央)
プが は
夢
力の奥義
番号なし」
「出戻りOK」
責任の伴う管理職の77%が女性だ。
H&M は 2000 年に米国に進出、初め
てお膝元の欧州から飛び出すと世界展
開を加速させる。日本では2008年9月、
東京・銀座に第 1 号店をオープン。今
は首都圏を中心に10店舗を展開する。
グローバル展開、急拡大、高い収益
力 ―― 。 同社の高成長を支える秘訣
を探るため、スウェーデン本社に出向
くと、そこには長期雇用とチームワー
クを重視する経営理念があった。それ
を支えるのが、3つの基本姿勢だ。
1 つは、リーダーはどの部門でも常
に自分の代わりになる存在を育てなく
てはならない「NEXT ME」
。次が非正
規・正規など最初の採用形態や配属先
にこだわらない「背番号なし」
。最後が、
退社した社員が再入社して幹部に登用
されることもある「出戻りOK」
。
日本
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ブ
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クリエ 場を支える
の
ン
ベテラ イザーも現
アドバ
競争しながらも互いに支え合うの
が、H&M の企業風土。そこには日本
企業が日本的経営を保ちながら世界展
開で成長していくうえで、参考にすべ
き事例が多く盛り込まれている。その
中身に迫った。
写真右上・左下:村田 和聡
(広野 彩子)
2010.11.29 ■ NIKKEI BUSINESS
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特集
現地の法人のトップから店長、管理
人事を担当する山田裕介 HR マネジャ
きが主流で、政府の制度が充実してい
部門のマネジャーなど、H&M の管理
ーが目下挑戦しようとしているのは、
る。男女とも育児休業を取るのは当た
職が常に意識しなければならない
妻の出産に伴う数カ月の休暇の取得
り前だ。だが日本の H&M で男性が育
「 NEXT ME」
。リーダーは自分の仕事
だ。12月に出産を控えており、これを
児休業を取るのは、やはりハードルが
をすべて任せられる人材を、自ら意識
機に前例を作りたい。日本では「イク
高い。
「ライフステージの変化は誰に
して育てなくてはならず、それこそが
メン」ばやりだが、その流れに乗るわ
でも起こる。休んだ時に代わりの人が
高い評価につながる。
けではない。理念として掲げる NEXT
入ることは、その人が育つ機会になる」
H&M は、新しい役職でもまず社内
ME を自ら体現するため、自分に代わ
と山田氏は言う。
から探すことをポリシーに掲げる。だ
り HR マネジャーの職を務められる人
実際、育児休業によるNEXT MEは、
から誰もが、全く別の職務に異動する
材を開拓しようとしている。
日本法人のトップであるクリスティン
可能性がある。皆が次の成長ステージ
H&M の本国スウェーデンでは共働
・エドマン社長も実践している。エリ
に移れるようにするには、自分の代わ
りを務められる仲間を作ることが、実
務上も欠かせない。
H&M の理想は、個人が互いに追い
落とし合う競争ではなく「チーム同士
で楽しむ」競争だ。それには従業員同
士が強い絆で結ばれる必要がある。昨
年 9月にオープンしたばかりの「H&M
ランドマークプラザ横浜店」
(横浜市
西区)でも、27 歳の福田咲子店長が
NEXT MEの実践に汗を流している。
汗をかいてロールモデルになる
日本の H&M の店長としては最年少
である福田店長は、日本の創業メンバ
ーとしてノルウェーで 8 カ月に及ぶ研
修を受け、H&M の理念を叩き込まれ
た 1 人だ。店長の職務を全うし、将来
は商品を動かすマーチャンダイザーに
なるのが目標だ。
「まず店長として自分を成長させて
売り上げと利益を最大にしたい。スタ
ッフに積極的に声をかけ、自分が汗を
かいてロールモデルになりたい」
。店
長の任務の 1 つは、副店長などの次の
キャリアを考えながら仕事の一部を意
識的に任せること。さらに半年に 1 度
は、
店舗の全スタッフと個別に面談し、
彼らが次に何をしたいのか聞く。
「NEXT ME」
を育てる
NEXT ME は、店舗に限らず管理部
門でも取り組まれている。日本法人の
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NIKKEI BUSINESS ■ 2010.11.29
写真:村田 和聡
アマネジャーを経て 2008 年 3 月から現
マン社長にとって、個人の事情で社長
人の社長が兼務している。
職に就いたエドマン社長は現在、第 2
が会社を休むことは、職場に大きな迷
「本社ですら部門の責任者が 1 年の
子の育児休業を取得中だ。エドマン社
惑をかけるという思いがあった。
だが、
育児休業を取るし、その間はチームが
長は、まだ立ち上がったばかりと言っ
半年休む意向を聞いた幹部は「その半
カバーして業務が自然に回っている。
てもいい日本法人の社長として長期休
年は、カバーに入る次の人材にとって
暇を取ることに躊躇した。
はむしろちょうどいい試験期間です
第 2 子の妊娠を上司に報告した際、
ね」と応じた。
エドマン社長は「申し訳ありません」
エドマン社長は無事出産、来年春に
とまず言った。夏の長期休暇すら申し
復帰の予定である。エドマン社長が休
フラットな組織作りが重要
訳ないと思っていたからだ。
職中の現在、日本法人の社長としての
トップ自ら育児休暇を取得している
日本人の母と米国人の父を持つエド
任務は、韓国現地法人のスウェーデン
ことが、HR マネジャーの山田氏が長
だからチームワークが大切。
会社には、
『お互い様』の考え方が自然に根づい
ている」とエドマン社長は言う。
期休暇を取ることへの抵抗感をなくし
ランドマークプラザ横浜
店の福田咲子店長(前
列右から4人目)
とスタッフ
ていることは確かだろう。会社の理念
を現場に浸透させるには、トップの行
動が伴っていることが欠かせない。同
時に、トップの働きかけがなくても現
場が自然に実践できる体制を根づかせ
なくてはならないというのが、山田氏
の考えだ。それには価値観を社員同士
で共有する必要がある。
H&M では社内では従業員同士が全
員、姓ではなく名前で呼び合う。従業
員が山田氏を呼ぶ時も、立場も年齢も
関係なく「ユウスケ」だ。従業員が業
務改善などで忌憚のない意見を言い合
える環境を作るための活動だ。
「誰もが率直に、タイムリーに、話
すべき人に話せることが重要。そこに
は社員もアルバイトも区別がない、組
織のフラットさが欠かせない」と山田
氏は言う。
エドマン社長にも、トップから頻繁
に「働きかけ」がある。カール・ヨハン・
パーション CEO(最高経営責任者)が、
月に 1 度は直接電話をかけてくるの
だ。
「困ったことはない?」
。
案件を相談すると必ず最初に聞かれ
るのが「まず君はどう思う?」
。考えさ
せながら助言して導く。前 CEO の時
もそうした接し方は同じだった。まず
現場に考えさせるアプローチは、創業
以来の企業文化なのだという。
2010.11.29 ■ NIKKEI BUSINESS
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