2-2-15 アムステルダム ・スマートシティ

次世代社会創造プロジェクト総覧
第 2 章 重要プロジェクト解説
2-2-15 アムステルダム・スマートシティ
都市: アムステルダム(オランダ)
分類: 都市開発型(再開発)、技術・サービス実証型、スマートグリッド型、スマートハウス型、
スマートビル型、再生可能エネルギー導入型、IT 開発型、EV 導入型、次世代交通システ
ム型、カーシェアリング型
時期: 2008 年~2016 年
主体: Amsterdam Economic board、Gemeente Amsteldam、KPN、Liander 社
事業規模: 11 億ユーロ(1342 億円・計画値)
面積: 220km2
人口: 76 万人
参加企業: Accenture 社、Vatenfall 社、Waternet 社、Far West 社、Ymere 社、Dutch banks 社、
Rabobank 社、PHILIPS 社、IBM 社、Cisco Systems 社など 132 社
【都市開発型】
【技術実証型】
・企業と連携して 32 のプロジェクトを立ち上げ
アムステルダム・スマートシティは CO2 削減の政策パッケージ「EU2020」で設定された目標の実
現で、世帯数 約 38 万、参加人数 約 76 万人の大規模な実証試験だ。「生活」「仕事」「モビリテ
ィ」「公共施設」「オープンデータ」の 5 分野について、3 つのサイト(Nieuw West、Zuidoost、
IJburg)を中心に 32 の実証プロジェクトを実施している(図 1)。具体的には、各種施設・建物の
エネルギー効率の向上、再生可能エネルギーを最大限に活用するスマートグリッドの構築などエネ
ルギー関連から、ICT を活用した移動の少ない働き方や介護、EV(電気自動車)の導入やカーシェ
アリングなど、実証範囲は多岐にわたる。先端技術や新サービスの実証のほか、市民やビジネスマ
ンを対象にした省エネコンテストなど、手法も様々だ。いずれのプロジェクトも特定の企業と組む
ことで、実証を通じた新市場の創造、参加企業のビジネス展開を意識している。
図 1 プロジェクトの分布
左の凡例は、エリア(Areas)は、左
から Nieuw West、Zuidoost、Ijburg
の各地区。テーマ(Themes)は、
左から「生活」「仕事」「モビリテ
ィ」
「公共施設」
「オープンデータ」。
(出所:アムステルダム市)
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次世代社会創造プロジェクト総覧
第 2 章 重要プロジェクト解説
最も多いのが、建物や施設のエネルギー効率を向上させるプロジェクトで、一般の住宅や市街中
心部の商店街のほか、オフィスビルでは、市街地の歴史のあるビルから郊外の高層ビル、公共施設
では市庁舎のほか、運動施設、プールも対象にしている。
【スマートビル型】【スマートハウス型】
・140 の商店がスマートメーターを導入
「Climate Street(気候通り)」プロジェクトでは、運河に挟まれた Utrechtsestraat(ユトレヒ
ト通り:図 2 上左)に面した 140 の商店が参加した。アムステルダムでも最も賑わう商店街の 1 つ
だ。テーマは、各店舗と公共スペースの省エネ、廃棄物処理の効率化などだ。具体的には商店街で
省エネに熱心な 40 店舗が集まって議論し、活動内容を決めていった。参加店舗のすべてにスマー
トメーター(図 2 上右)を導入し、電気とガスの使用状況をリアルタイムで表示するパネル(図 2
下右)を壁に設置した。省エネアドバイザーが、こうした数値を参考に、省エネの潜在可能性を評
価して対策を提示した。このプロジェクトに PHILIPS 社が参加していることもあり、照明を同社製
LED ライトなど、より効率の高いものに交換するなどの提案も含まれていた。こうした取り組みの
結果、各店舗で平均するとエネルギー設備の運用改善と高効率機器の導入を合わせて、エネルギー
使用量を 50%削減できる可能性があることが分かった。だが、実際に設備の交換に踏み切るかは、
各店舗に任されているので、実際に削減されたのは 25%に留まった。一方、公共スペースでは、既
存のランプの一部を省エネ型ランプか LED 型に交換したほか、夜間には照度を自動的に少し下げる
検証を実施した。電気消費量は 10%以上減ったほか、並行して周辺の生活に明るさの印象などをヒ
アリングして改善した。加えて、トラム駅内の照明については、商店街内の店舗に搭載した太陽光
パネルの電気を使って点灯させた。
図 2 「Climate Street」の場所と導入機器
上左は舞台となった Utrechtsestraat に面した商店
街。上右は設置したスマートメーター。下右と上中
は、表示器。商店では壁に取り付けて、エネルギー
情報を“見える化”した。
(出所:左は日経 BP、それ以外はアムステルダム市)
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