あのトルーマン・カポーティのあこがれの 作家。女性で初めて

『大きな森の小さな家』の大人版
移民の
国アメリカ。土地を開拓していく移民の苦労
と強い女性。
文・眞鍋
あのトルーマン・カポーティのあこがれの
作家。女性で初めてピュリッツァー賞を獲得
したウィラ・キャザーの代表作がこれ。
『マイ・アントニーア』(みすず書房、2010)
移民の国アメリカがどのように開拓されて
いったか、大地の女神のような骨太な語り口
で淡々と語られます。農場の四季。厳しい自
然と闘って、冬のつらさに自殺したアントニー
アの父。脱穀機に飛び込んだ身元も知れない
労働者。狼に花嫁を食べさせたロシア人移民。
身勝手な金貸し夫妻の残酷な最期。絶対音感
を持つ盲目の黒人のピアノ弾き。巨大なガラ
ガラヘビと格闘して勝った少年の頃の思い出
から、都会での恋、そしてハーバードを出て
成功してもなお故郷のネブラスカで不遇な生
活を生き抜くアントニーアを思う主人公。
父の自殺から始まる苦労にもめげず、不実
な恋人に孕まされ捨てられてもなお強く生き
て十一人の母になり、夫を助け、農場を維持
しているアントニーア。
英国系、ボヘミア、ノルウェー、ロシアと
さまざまな国の移民が登場します。『大草原
の小さな家』を読んで、開拓時代のことを知っ
たような気になっていましたが、現実にはもっ
と困難がいろいろあったんだなと思わせてく
れました。20世紀のアメリカ文学を代表する
作家の渾身の傑作、夏休みにいかがですか?