何故 今クーバーなのか

何故 今クーバーなのか(その1)
神業と呼ばれるスーパースターのドリブルやフェイント。その華麗なまでのプレーに
サッカーファンと言わずとも、誰もが思わずため息をつかれた経験をお持ちだと思います。
自分自身のことならば、大人はさしずめ「元々、才能が違うよ」と考えて、どこかで納得し
てしまうのでしょうが、不思議なことに、それを見た我が子が「どうせ俺には無理だよ」と
同じ事を言ったとしたら皆さんはどう受け止めますか?
心ある親ならば、誰もが「そうだね、君には無理だね」なんて決して言わないし、言いたく
もないでしょう。
何故でしょう?
それは、幼い子供の口からすでに人生を悟ったような言葉を聞く事が、我が身を切られる程、
切ないからではないでしょうか。
ならば、どう教えれば、どう伝えればいいのでしょう。
イライラして「自分で努力すれば」と吐き捨てるように言うのでしょうか?それとも「別の
ことなら出来るんじゃない?」と興味をそらせてみたりしますか?
勉強を教えるプロである学校の先生ならば、こんな時、どうなさるのでしょうか。
きっと、あれこれ工夫なさるのだと思います。
私は、スポーツ少年団を20年近くしているので、他のお母様方よりはずっと長く学校や
先生方と深く関わらせて頂きました。
そこで一番わかった事は、先生方がいかに楽しく勉強することを子供達に伝えようかと
とても真剣に日夜努力なさっているかという事です。
たまにお母さん方の中に、何かお門違いの不平を言う方がおられた時など、思わず「一度、
実際に教壇に立って、簡単な事でもいいから子供達に教えてみたら」とくぎを指したくなる
こともあります。
それ程、子供に教えることは、並大抵の努力では出来ないのです。
確かにいろいろな先生もいらっしゃいますが、
“やはりプロだなぁ”と感服させられる先生方
にたくさん出会いました。ありがたい事だと思います。
私達ボランティアの指導者は、生活の糧を得るために他の仕事をし、余暇の時間に子供達
と接しています。わずかな時間の中で、どうしたって試合やたくさんの事をこなさなければ
なりません。基礎の積み重ねがいかに大切か分かっていても、チームプレーや戦術も教え
なければならず、なかなか子供達に、十分には伝えられないのが現状です。
日本古来のお習字を例にとってみましょう。
最初は、縦に真っ直ぐ|を。次に横に真っ直ぐ-を。先生のお手本の上をなぞる事から
始めるではありませんか。そして少しずつ努力し、続して続けた結果、難しい字も立派に
書けるようになるのではないでしょうか。
クーバー・コーチングには、そこに共通したものがあると思います。
15年サッカーに携わり、サッカーが大好きな子供達と出会って、彼らの喜ぶ顔見たさに
この年まで頑張ってきました。
『僕には出来ないよ』なんて悲しい顔で落胆の声を上げられる程、辛いものはありません。
彼らが悲しい時、私達も悲しく、彼らが悔しい時、私達も悔しいのです。
以前、何事も真面目に取り組む6年生が体格や体力からくるスランプに陥った時、
サッカーノートに「どうしたら上手くなるのか、教えて下さい」と書いてあり、どう伝えて
あげたら良いのか、ずっと悩みました。身体が成長するまで、ただ、ただあきらめないで
基礎のフェイントやドリブルを黙々と続けていくことの大切さを、どうしたら解かって
もらえるのか。
ところが、クーバー・コーチングに出会って目からウロコが落ちました。
「基礎がつまらないと考えていた子供が、
“楽しい”と言うんですよ。そして2~3 年と継続
することで、それが週1~2回、たった 1 時間程度で見事に血肉となっていくから不思議
です。」(埼玉県浦和校でのご父兄の談話より)
その他にもクーバー・コーチングの素晴らしさは、一言では言い表せません。
そこで、私が一番気に入っている所をご紹介しましょう。
それは、“どの子も努力すれば、夢を持てる”ということです。
“僕にも、憧れの選手の
ドリブルやフェイントが出来るんだ”と確信できることです。
もしかして何らかの理由で将来、プロになる夢をあきらめたとしても、子供の頃、憧れや
夢を抱いて努力した自分の姿や骨身に染み込むように身に付いた技術は、もう誰にも奪える
ものではないからです。
私は、女だてらに3年かけて仙台へクーバー・コーチングをNPO(民間非営利団体)と
して、たくさんの方々の協力のもと、呼んできました。
“女だてら”などと言うと、ジェンダーフリーの時代に似合わないかもしれませんが、
それが現実です。世の中は、まだまだ残念なことに男尊女卑の世界です。
ですから、大げさに子供達に「おばさんは、命をかけて取り組んでいます」と言うことも
あります。子供達は目を丸くして聞いてくれてますが、何のことだか全然解かっていないで
しょう。でも「52歳のおばさんでも燃えているんだから、君たちだって何かに燃えてみた
ら……いつかわかってくれればいいなぁ」と思っています。
もちろん、クーバー・コーチングを呼ぶことが、私の夢の全てではありませんが、まだ
クーバーをご存知でなければ、できればぜひ、ご自身で体験なさるか、お子様に体験させて
頂いて、その感想をお聞き頂きたいと思います。
何故なら、子供はつまらなければ「つまらない」と、楽しければ「楽しい」と素直な感性の
まま伝えてくれるからです。
シンプルイズベスト。何事も楽しくなければ、身に付かないのです。
どの子もゴールデンエイジの時代に磨けばダイヤモンドになる可能性を秘めている原石で
あることを、どうぞ忘れないで下さい。
そして、好きな事で努力する事が身に付けば、彼らは人生の中であらゆるチャンスに挑戦
する勇気を持ち続けるでしょう。
クーバー・コーチングによって宮城の勇気ある大人と出会えたことに心から感謝しています。
2002年5月27日
NPO 法人ライジングジェネレーション サポート ネット
理事長
菅野 美津枝