名古屋検疫所感染症情報 - FORTH|厚生労働省検疫所

発行日:平成24年 9月 19日
2012年
2012年 第 40号
40号
名古屋検疫所
名古屋検疫所 感染症情報
感染症情報
今月のトピックス
今月のトピックス
『名古屋検疫所 感染症情報』はWHO、CDC
1.海外の感染症情報
1.海外の感染症情報
など公的機関の情報をもとに編集しておりま
ウエストナイル熱【
ウエストナイル熱【北米、ヨーロッパ】
北米、ヨーロッパ】
すがこれらの情報に加え、ProMEDなどの非
エボラ出血熱【
エボラ出血熱【ウガンダ、コンゴ民主共和国】
ウガンダ、コンゴ民主共和国】
公式な情報も含まれています。
コレラ【
コレラ【アフリカ各国】
アフリカ各国】
2.地域別感染症情報
米国 【ハンタウイルス感染症】
ハンタウイルス感染症】
【インフルエンザ(H3N2変異型ウイルス
変異型ウイルス)】
インフルエンザ
変異型ウイルス 】
3.鳥インフルエンザ(H5N1)情報
)情報
鳥インフルエンザ(
4.あなたは何問正解? 感染症穴埋めクイズ~蚊が媒介する感染症編~
1.海外の感染症情報
感染経路別に分類し、マークをつけています。
・ダニ・ノミなど虫から感染するもの・・・
・唾液などが飛んで感染するもの(飛沫感染)・・・
・蚊が媒介して感染するもの・・・
・動物(ネズミ、犬、家畜等)から感染するもの・・・
・口から入って感染するもの(経口感染)・・・
・その他の経路から感染するもの・・・
ウエスト ・・・北米、ヨーロッパおよびその近隣諸国等で確認されているウエストナイル熱感染者数は以下
のとおり。
ナイル熱
国名
感染者数
米国
北
米
感染確定者数
死亡者数
2,636人
-
118人
カナダ
162人
-
-
ギリシャ
129人
43人
-
ー
イタリア
13人
13人
-
ルーマニア
13人
12人
-
そ ヨ
クロアチア
の
近ロ
イスラエル
隣
諸 パ パレスチナ自治区
国及
ロシア
等び
セルビア
-
-
6人
-
2人
1人
-
321人
-
-
30人
14人
-
チュニジア
1人
1人
-
ハンガリー
2人
2人
-
ッ
3人
15人
ウエストナイルウイルスはアフ
ウエストナイルウイルス アフ
リカ、
リカ、ヨーロッパ、
ヨーロッパ、中東、
中東、中央
アジア、
アジア、西アジア、
アジア、北米にかけ
北米
て広く分布しています。重症例
では、脳炎を引き起こすことが
あり、特に高齢者は注意が必要
です。
米国では、感染者数が過去13年
米国
間で最も早いペースで増加して
います。
(9月11日米国疾病管理予防センター、9月13日ヨーロッパ疾病管理予防センター、8月27日カナダ公衆衛生庁)
エボラ
出血熱
・・・ウガンダ西部のキバレ(Kibaale)において、これまで、エボラ出血熱感染確定患者24人
(うち17人死亡)が確認されていたが、8月3日以降新たな感染者は見られていない。
このため、ウガンダにおけるエボラ出血熱の流行は終息したと宣言された。
( 9月3日
WHO情報)
コンゴ民主共和国東部のオリエンタル(Orientale)州でエボラ出血熱感染確定患者8人と感染
疑い患者20人が確認され、うち14人が死亡した。現地保健省は対策本部を立ち上げ、WHO
( 9月5日 WHO情報)
などの国際協力機関と対応にあたっている。
発行元
厚生労働省
厚生労働省 名古屋検疫所
〒455455-0045 名古屋市港区築地町11
名古屋市港区築地町1111-1 TEL:
TEL:052052-661661-4131
コレラ
・・・今年に入りアフリカ地域では21か国から、コレラ感染者が報告されているが、コンゴ民主共
和国、シエラレオネ、ウガンダ、ガーナ、ニジェール、ギニアの6か国における感染者数がアフ
リカ全体における感染者数の92%を占めている。これら6か国の感染者数は以下のとおり。
(9月1日 WHOアフリカ地域事務局、9月8日WHO情報)
国名
感染者
死亡者数
コンゴ民主共和国
22,792人
512人
シエラレオネ
16,360人
255人
ウガンダ
5,279人
118人
ガーナ
4,975人
38人
ニジェール
3,748人
75人
ギニア
5,523人
105人
2.地域別感染症情報
米国
・・・米国で以下の感染症に関する情報があります。
ハンタウイルス感染症(ハンタウイルス肺症候群)
2012年6月以降、ヨセミテ国立公園の宿泊施設に滞在した後、発症したハンタウイルス肺症候群患者8人(うち3人
死亡)が報告されている。患者は今年6~8月の間に公園内のカリー(Curry)村の宿泊施設、あるいはハイシエラ
( 9月12日 WHO情報)
キャンプ(High Sierra Camps)に滞在していたことが判明している。
ハンタウイルス肺症候群とは?
ウイルスを持ったげっ歯類の糞尿が混ざったほこりを吸い込むことで感染します。症状は、発熱、頭痛、悪寒が
数日続いた後、急速に呼吸困難、酸素欠乏状態となります。呼吸数や脈拍数の増加が顕著にみられます。嘔気、
嘔吐、下痢および倦怠がしばしばみられます。
予防方法
予防接種はありません。げっ歯類やその糞・尿に汚染された環境に接触しないことが大切です。
インフルエンザ(H3N2
インフルエンザ(H3N2の変異型
H3N2の変異型ウイルスによる感染)
の変異型ウイルスによる感染)
今年の7月以降8月31日現在、インフルエンザH3N2変異型(H3N2v)ウイルスの感染者288人(うち1人死亡)が報告
されている。 H3N2vは豚の間で感染サイクルを持つインフルエンザだが、感染者のほとんどが感染前に豚と接触
( 8月31日 CDC:米国疾病管理予防センター)
しており、人と人の間での感染例は3例のみ確認されている。
3.鳥インフルエンザ(H5N1)情報
国名
2003
~
2011
年
エ
ベ
ネイ
ジ
ト
シン
プ
ナ
アド
ト
ム
カ
ン
ボ
ジ
ア
そ
中 の
合
の
国 国
計
他
感染
者数
158 183 119 18 41 59 578
死亡
者数
55 151 59 16 27 32 340
感染
10
2012 者数
年 死亡
5
者数
8
4
3
2
3 30
8
2
3
1
0 19
感染
者数
168 191 123 21 43 62 608
死亡
者数
60 159 61 19 28 32 359
合計
2012年8月10日現在の鳥インフルエンザ(H5N1)の感染者は上図のとおりです。
2012年7月6日以降現在までに、新たにインドネシアで1人(うち1人死亡)の感染者が報告された。感染者は発病前に
家禽との接触があったと推定されている。
(8月10日 WHO情報)
4.特集・あなたは何問正解? 感染症穴埋めクイズ~蚊が媒介する感染症編~
Q1.次の①~⑥感染症の中で、ワクチンが実用化されているものを選び番号をすべて答えなさい。
①黄熱 ②日本脳炎 ③チクングニア熱 ④マラリア ⑤デング熱 ⑥ウエストナイル熱
答え ①黄熱、②日本脳炎
Q2.次の①~⑥の感染症の中で、入国の際にワクチンを接種をしていること
の①~⑥の感染症の中で、入国の際にワクチンを接種をしていることが条件となるものが
をしていることが条件となるものが
あります。 番号を答えなさい。
①黄熱 ②日本脳炎 ③チクングニア熱 ④マラリア ⑤デング熱 ⑥ウエストナイル熱
答え ①黄熱、
Q3.Q1の
Q3.Q1の①
Q1の①~⑥の感染症の中で、ワクチンや予防薬がない感染症が含まれるが、感染予防の
~⑥の感染症の中で、ワクチンや予防薬がない感染症が含まれるが、感染予防の
ためにはどのような方法が有効でしょうか。
(
)
答え 肌の露出部分を少なくする、蚊よけスプレー等を活用するなど、蚊よけ対策を講じる。
Q4.下記A~Fの症状・発生地域があてはまるもの
Q4.下記A~Fの症状・発生地域があてはまるものを、Q1の
・発生地域があてはまるものを、Q1の①~⑥
を、Q1の①~⑥の感染症の中から選びなさい
①~⑥の感染症の中から選びなさい。
の感染症の中から選びなさい。
A
B
C
【症状】
突然の発熱(38℃以上の高熱が5
~7日間続く)、激しい頭痛、関節
痛、発疹、軽い皮下出血などがあ
ります。
【発生地域】
アジア・太平洋諸島・アフリカ・南
アメリカなどの熱帯・亜熱帯地域
で近年、流行が続いていて、都市
部やリゾート地でも感染します。
【症状】
発熱、発疹、関節炎、頭痛、嘔吐
などが見られます。結膜炎や神
経症状がみられ出血しやすくなっ
たり、関節の痛みが数ヶ月持続す
ることもあります。
【発生地域】
アフリカ・アジア地域で主に発生し
ています。2007年にはイタリアで
局地的な流行が見られました。
【症状】
突然の発熱、頭痛、筋肉痛、悪心、
嘔吐などを起こします。重傷にな
ると鼻血・歯肉からの出血・吐血
や蛋白尿があらわれます。黄疸も
出現します。黄疸・出血・蛋白尿は
この病気の三大兆候といわれま
す。
【発生地域】
主にアフリカ、中南米地域です。
答え ⑤デング熱
答え ③チクングニア熱
答え ①黄熱
D
【症状】
熱発作(悪寒、発熱、顔面紅潮、
呼吸切迫、結膜充血、嘔吐、頭痛、
筋肉痛などが4~5時間続くと発汗
と共に解熱)を繰り返します。この
熱発作の間隔は感染する原虫の
種類によって異なり、症状が重く進
行すると死亡するケースもありま
す。
【発生地域】
アジア、アフリカ、南米の熱帯・亜
熱帯地域の主に森林・山岳地です。
E
F
【症状】
3~6日間の発熱(39℃以上)、頭
痛、筋肉痛などが出現、発疹が
胸部、背部、上肢に出たり、倦怠
感も残ります。重症になると脳炎
を引き起こすこともあり、高齢者
は特に注意が必要です。
【発生地域】
アフリカ、ヨーロッパ、中東、中央
アジア、西アジア、北米の広範
囲で発生しています。
【症状】
初期症状は発熱、頭痛、悪心、嘔
吐、めまいなどです。次に意識障
害、けいれん、異常行動、筋肉の
硬直などが現れます。生存者の30
~50%に精神障害や運動障害な
ど後遺症が残るといわれます。
【発生地域】
極東から東南アジア、南アジア、
日本・中国・韓国でも感染が見られ
ます。主に農村・水田地帯で発生
しています。
答え ②日本脳炎
答え ⑥ウエストナイル熱
目指せ、
全問正解!
答え ④マラリア