G20 へ向けた日本政府への要望書 国際連帯税/金融取引税の早期実現へ向けて 拝啓 時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。 G20 カンヌ・サミットへ向け、我が国が議長国フランスとともに国際連帯税(含む金融取引税、以下国際連 帯税と表記した場合金融取引税も含むものとする)の早期実現を目指し、先駆的役割を担っていただきたい ことから、日本の市民社会として以下の通り要望いたします。 ■2011 年、金融取引税の実現へ向けた世界の動き 今年は、金融取引税の導入に向けて国際社会が大きく前進することに期待が高まっています。1 月、サルコ ジ仏大統領は G20 の議題を発表した記者会見にて、 「金融取引税の導入を目指す」旨の発言を行いました。 ラガルド仏財務相も、ファイナンシャル・タイムズの紙面において、気候変動対策のための長期資金の財源 として金融取引税が相応しいと述べています。2 月に入り、ドイツのメルケル政権からは、EU 圏での導入が 困難であれば、ドイツ、フランス、オーストリアでの実施も検討すると、早期導入へ向けた積極的な発言が ありました。 ■金融取引税の導入を支持するグローバル市民社会 ミレニアム開発目標(MDGs)の達成ならびに気候変動対策の実現のためには、 「革新的資金調達メカニズム」 の導入が急務です。世界の市民社会は、国際連帯税を支持し、その実現のために活動してまいりました。今 年は、2 月 18 日と 19 日に開催される G20 財務大臣会合に合わせ、2 月 17 日を「金融取引税実現のための グローバル・アクション・デー」と位置づけ、世界 16 カ国において市民社会がさまざまなアクションを予定 しています。日本の市民社会もこの動きに賛同し、ヨーロッパにおける金融取引税実現の要となるイギリス、 フランス、ドイツの大使館に対し、添付の書簡を持参し、G20 へ向けた要望を伝え、世界そして日本の市民 社会として、金融取引税導入の支持を訴えています。 ■日本政府による積極的な発言 2010 年を振り返りますと、国際連帯税実現に向け日本政府が相次いで積極的な発言を行ったことは、主要各 国ならびに国際市民社会から大いに歓迎されました。9 月には、当時の岡田外相がクシュネル仏外相、ミッ シェル・ベルギー開発相との連名で、革新的資金調達(金融取引税を含む)を訴え、世界的に注目されまし た。直後に行われた国連 MDGs レビューサミットでは、 「開発ための革新的資金調達に関するサイドイベン ト」に前原外相が出席し、フランス、ベルギー、スペイン、ノルウェー、ブラジルの 5 カ国とともに「開発 のための金融取引税を推進する宣言」を支持しました。12 月には、開発のための革新的資金調達に関するリ ーディング・グループ第 8 回総会が日本において開催され、議長サマリーでは次のように述べられています。 「『開発のための国際金融取引に関するタスクフォース』が設置した専門家の報告書を基に、開発のための金 融取引税について議論した。MDGs 国連首脳会合のサイドイベントで日、仏、ベルギー、スペイン、ノルウ ェー及びブラジルが提案、支持した宣言は、将来の行動のための前向きな姿勢を示すものとなった」、と。 ■2011 年、日本政府に期待する役割 金融取引税を始めとした革新的資金調達メカニズムに関しては、すでに多くの政府間ワーキンググループが 設立され、報告書を発表しています。今年は、「検討」という段階からさらに踏み出し、「実現」へ向けた具 体的行動をとることを要望します。 我が国は先進国の一員として、ODA 増額を含む MDGs の実現へ向けたさらなる貢献が期待されています。 厳しい財政状況下でこの責任を着実に果たすためにも、国際連帯税の導入が求められます。さらに、国連気 候変動交渉の文脈においても、2020 年までに調達することが合意されている長期資金 1000 億ドル/年の財 源を先進国として具体的にコミットする責務があります。COP16 カンクン会議を経て、日本が多国間の枠組 みにおいて、気候変動対策に取り組む姿勢であることを今一度内外に示す必要があることからも、気候変動 対策も含めた財源として、国際連帯税導入を実現すべきです。 以下に記載した署名団体を中心とした日本の市民社会を代表して、国際連帯税の実現へ向けて日本政府がグ ローバルなリーダーシップを発揮し、世界が直面する開発ならびに気候変動問題への取り組みに向けて先駆 的役割を担われることを期待いたします。 敬具 (特活)日本アフリカ協議会 / オルタモンド / 国際連帯税を推進する市民の会(ACIST) / 国際連帯税共 同キャンペーン / (社)グリーンピース・ジャパン / (特活)オックスファム・ジャパン / (特活)日本 リザルツ / 動く→動す / 世界連邦運動協会 2011 年 2 月 17 日 G20で金融取引税導入の実現を目指して(仮訳) 私どもは、署名団体を中心とした日本の市民社会を代表して、サルコジ仏大統領の金融取引税導入を目指す 方針を強く支持することを表明します。今年のG20ならびにEUでのプロセスを通して、できることならばG20 加盟国、少なくともEUもしくはそのうちの有志国が、金融取引税の導入に関して合意に達することを希望し ます。 上記の件について、G20における貴政府の金融取引税に関する立場に関して、また貴政府がフランスを支持す るために私ども市民社会としてできることなどに関して、意見交換の機会をいただきたいと考えています。 一例ではありますが、日本としての金融取引税導入への賛同を表明し、支持を拡大するため、日本の市民社 会も、2月17日のグローバル・アクション・デー参加へ向け準備しております。 金融セクターによって引き起こされた経済危機は、何百万人もの一般市民の生活に大きな打撃を与えました。 一方で、一部金融機関は膨大な利益を上げ続け、巨額のボーナス支給が続いています。私どもは、金融取引 税導入が、切に必要とされる教育、保健、環境などのグローバル公共財への財源を確保する現実的かつ実行 可能な手段であると考えています。加えて、社会的価値は低いにも関わらず、経済に対して高いリスクとな る投機目的の短期的取引を抑制する手段としても有効だと考えます。 貴政府のG20へ向けた準備に際して、市民社会からの要請として、以下2 / 3点を大統領/首相へお伝えいただ きたいと考えます。 1. グローバル市民社会は、ロビンフッド・タックス・キャンペーンに代表されるように、フランスのサル コジ大統領による金融取引税導入へ向けた方針を強く支持しています。日本の市民社会としても、G20 会議へ向けて、自国政府である日本政府に対しても、金融取引税を支持し、その導入へ向けた動きに参 加するよう、働き掛けていきます。 2. 私どもは、今年11月に予定されているG20首脳会議においてFTT支持第一波国が、金融取引税の協調的導 入へ向けた具体的合意に至ることを要請します。もしG20での合意が困難であるのならば、少なくともEU 内での実施に関する合意がなされることを望みます。金融取引税を始めとした革新的資金調達メカニズ ムに関しては、すでに多くの政府間ワーキンググループが設立され、報告書を発表しています。今年の G20首脳会議が同様の取り組みを繰り返すだけでは前進とは言えません。 3. (当項目に関してはフランス大使館のみ)議長国フランスが金融取引税に関するハイレベル会議を数ヶ 月内に主催することを求めるヨーロッパ市民社会の要請を私どもも支持します。 私どもからの申し入れを貴政府の大統領/首相にお伝えいただくことを感謝いたします。
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