試験事項:フェノバ90によるモデルシミュレーション 1.試験の 試験の概要 地上2階建ての木造戸建住宅について、軸組(在来)工法と枠組壁工法(2×4)のモデルプランを設定 し、以下の試験を実施する。 ①高性能断熱仕様の 高性能断熱仕様の検討 ②モデルプランによる モデルプランによるエネルギーシミュレーション によるエネルギーシミュレーション 1-1 モデルプランの モデルプランの設定 軸組(在来)工法は、北方型住宅図面集 B プラン(以下、「B プラン」と呼ぶ。)、枠組壁工法(2×4) 「2×4プラン」と呼ぶ。)をモデルプランとす は、積水化学北海道(株)より提供されたプラン(以下、 る。なお、住宅規模は下表のとおり。 工 法 呼 称 地上階数 延べ床面積 実質延べ床面積 備 軸組(在来)工法 B プラン 2 139.12 ㎡ 同左 4LDK 枠組壁工法(2×4) 2×4プラン 2 124.21 ㎡ 同左 4LDK 考 1-2 試験の 試験の内容 ①高性能断熱仕様の 高性能断熱仕様の検討 積水化学工業(株)の高性能フェノールフォーム断熱材(フェノバ 90)を外壁外張り断熱に活用し た場合について、概ね、下記に想定する住宅性能を満たす住宅各部位の断熱仕様を検討する。 〈想定する 想定する住宅性能 する住宅性能〉 住宅性能〉 1) フェノバ 90 の外張り断熱(充填なし)で、熱損失係数(Q 値)1.3 以下を満たす住宅性能。 2)フェノバ 90 外張り断熱+充填断熱で、熱損失係数(Q 値)1.0・0.9・0.8 以下を満たす住宅 性能。 ②モデルプランによる モデルプランによるエネルギーシミュレーション によるエネルギーシミュレーション B プラン及び2×4プランについて、①で想定する住宅性能を満たす断熱仕様プランの運用時に係る 年間の一次エネルギーと CO2 排出量を予測計算し、高断熱住宅の優位性を検証する。 なお、一次エネルギーと CO2 排出量の予測計算は、当研究所が北海道大学及び(財)ベターリビン グとの共同研究(H19~H20)で開発した「住宅用トータルエネルギー予測プラグラム」を用いる。 2.試験 2-1 高性能断熱仕様の 高性能断熱仕様の検討 熱損失係数(Q値)を算定する際の条件等は以下のとおりとした。 ・省エネ基準の算定方法を基本とするが、基礎断熱部は BIS の算定方法を用いた。 ・外壁通気工法として、外気側表面熱抵抗値を用いた。 ・フェノバ外張り断熱は、取付ビス等の熱橋が無いものとして算定した。 (1)各部位 (1)各部位の 各部位の断熱仕様プラン 断熱仕様プラン B プラン及び2×4プランにおける各部位の断熱仕様プランを次表のとおり設定し、熱損失係数(Q値) の算定を行う。 ■B プラン 断熱仕様プラン 部位 外壁(充填) 外壁(外張 or 付加) 天井 基本仕様 プラン1 プラン1 プラン2 プラン2 プラン3 プラン3 (充填+付加断熱) (外張断熱) (充填+外張断熱) (充填+外張断熱) 高性能 GW16K なし 100㎜ GWB32K 25㎜ (付加) 吹込用 GW-1,2 300㎜ 高性能 GW16K 100㎜ フェノバボード 90㎜ (外張) 吹込用 GW-1,2 400㎜ 押出ポリスチレン3種 100㎜ 基礎 土間 押出ポリスチレン3種 100㎜ なし 開口部(窓) 2.33 ~ 0.8 (概ね 0.1 刻み) 換 気 熱 回 収に よ る 見 かけの換気回数 0.5 ~ 0.3 (0.01 刻み) ■2×4プラン 断熱仕様プラン 部位 外壁(充填) 外壁(外張 or 付加) 天井 基本仕様 プラン1 プラン1 プラン2 プラン2 プラン3 プラン3 (充填+付加断熱) (外張断熱) (充填+外張断熱) (充填+外張断熱) 高性能 GW16K なし 89㎜ GWB32K 25㎜ (付加) 吹込用 GW-1,2 300㎜ 高性能 GW16K 89㎜ フェノバボード 90㎜ (外張) 吹込用 GW-1,2 400㎜ 押出ポリスチレン3種 100㎜ 基礎 土間 押出ポリスチレン3種 100㎜ なし 開口部(窓) 2.33 ~ 0.8 (概ね 0.1 刻み) 換 気 熱 回 収に よ る 見 かけの換気回数 0.5 ~ 0.3 (0.01 刻み) ※軸組(在来)工法との違いは、外壁(充填)の断熱材厚さ (2) (2)熱損失係数( 熱損失係数(Q 値) (1)の断熱仕様プラン(基本、プラン1~3)の熱損失係数(Q 値)の算定結果は、別添の資料1のと おり。 (資料1-①は「Bプラン」、資料1-②は「2×4プラン」 ) (3) (3)想定する 想定する住宅性能 する住宅性能を 住宅性能を満たす断熱仕様 たす断熱仕様 (2)の結果を踏まえ、1-2①で想定する住宅性能を概ね満たす開口部(窓)及び換気熱回収による見か けの換気回数の組み合わせを次のとおり示す。なお、開口部(窓)の熱貫流率の選択にあたって、LowE ペア(アルゴン入り)を 1.9、木製トリプル LowE(アルゴン入り)を 1.3、高性能木製トリプル LowE2(アルゴン入り) を 0.9 と想定した。なお、換気熱回収による見かけの換気回数 0.3 は、熱回収 50%相当と考えた。 ■B プラン 断熱仕様プラン プラン1 プラン1 プラン2 プラン2 プラン3 プラン3 (外張断熱) (充填+外張断熱) (充填+外張断熱) 開口部(窓) 1.9 1.3 0.9 換気熱回収による見か けの換気回数 0.5 0.5 0.3 0.5 0.3 1.20 0.98 0.81 0.91 0.74 部位 熱損失係数(Q 値) ■2×4プラン 断熱仕様プラン プラン1 プラン1 プラン2 プラン2 プラン3 プラン3 (外張断熱) (充填+外張断熱) (充填+外張断熱) 開口部(窓) 1.9 1.3 0.9 換気熱回収による見か けの換気回数 0.5 0.5 0.3 0.5 0.3 1.26 1.04 0.87 0.97 0.8 部位 熱損失係数(Q 値) (4) (4)高性能断熱仕様のまとめ 高性能断熱仕様のまとめ 以上のことから、1-2①で想定する住宅性能を概ね満たす住宅各部位の断熱仕様を下表のとおりまとめ た。なお、開口部(窓)の熱貫流率は、LowE ペア(アルゴン入り)を 1.9、木製トリプル LowE(アルゴン入り) を 1.3、高性能木製トリプル LowE2(アルゴン入り)を 0.9 と想定しているので、実施にあたっては、メーカ ー等に熱貫流率の確認を要す。 ■B プラン 断熱仕様プラン 部位 外壁(充填) 外壁(外張 or 付加) 天井 基本仕様 プラン1 プラン1 プラン2 プラン2 プラン3 プラン3 (充填+付加断熱) (外張断熱) (充填+外張断熱) (充填+外張断熱) 高性能 GW16K なし 100㎜ GWB32K 25㎜ (付加) 吹込用 GW-1,2 300㎜ 高性能 GW16K 100㎜ フェノバボード 90㎜ (外張) 吹込用 GW-1,2 400㎜ 押出ポリスチレン3種 100㎜ 基礎 土間 押出ポリスチレン3種 100㎜ 木製トリプル 高性能木製トリプル LowE(アルゴン入り) LowE2(アルゴン入り) なし 開口部(窓) LowE ペア(アルゴン入り) 熱回収 なし 熱損失係数(Q 値) なし 50% なし 50% 0.98 0.81 0.91 0.74 1.36 1.20 基本仕様 プラン1 プラン1 プラン2 プラン2 プラン3 プラン3 (充填+付加断熱) (外張断熱) (充填+外張断熱) (充填+外張断熱) ■2×4プラン 断熱仕様プラン 部位 外壁(充填) 外壁(外張 or 付加) 天井 高性能 GW16K なし 89㎜ GWB32K 25㎜ (付加) 吹込用 GW-1,2 300㎜ 土間 なし LowE ペア(アルゴン入り) 熱回収 熱損失係数(Q 値) フェノバボード 90㎜ (外張) 吹込用 GW-1,2 400㎜ 押出ポリスチレン3種 100㎜ 基礎 開口部(窓) 高性能 GW16K 89㎜ なし 1.53 1.26 押出ポリスチレン3種 100㎜ 木製トリプル 高性能木製トリプル LowE(アルゴン入り) LowE2(アルゴン入り) なし 50% なし 50% 1.04 0.87 0.97 0.8 2-2 モデルプランによる モデルプランによるエネルギーシミュレーション によるエネルギーシミュレーション 2-1(4)の基本仕様及びプラン1~3について、年間の一次エネルギーと CO2 排出量の予測計算を実施し た結果は、別添の資料2のとおりとなり、高断熱住宅の優位性が確認された。 ・資料2-①は「B プラン」、資料2-②は「2×4プラン」 ・(1)は電気蓄熱暖房機、電気温水器 (2)は暖房給湯電気ボイラ 場合 ・比率は、基本仕様との比較 ・削減量は、マイナス表示 ※なお、シミュレーションの設定条件は以下のとおり。 ・気象データは札幌とした。 ・4人世帯とし、浴槽の湯張りは週3回とした。 ・全室暖房で室温は 22℃に設定した。 ・調理熱源はすべて電気とした。 試験日:平成 22年1月 13日~平成 22 年 1 月21日 担当者:居住科学部 住生活科長 鎌倉和彦 (3)は暖房給湯灯油ボイラを設置した
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