「今」を見極め支援していく そのなかで「今しかできないこと」 、 ケアマネジャーとして 9 年目。思 い返せば介護保険制度開始前は、毎 「今からしておくこと」を明確にする 日山のように送られてくる書類を読 ことができました。明日では遅いと考 み込み、書類を作成し、利用者・家 え、どんなことがあっても、必要なら 族へ説明し同意を得る日々でした。 ば即実践するという心残りのない生活 制度開始前日の平成12年 3 月31日は 支援が「今しかできないこと」であり、 死への心構えや受け入れ準備を、利用 忘れることのできない日です。明日 うぐいすの丘(長崎県) から利用者・家族に迷惑をかけずサ ービスを提供できるのか、うまく動 ふ く だ た え こ 福田多恵子 ケアマネ 者・家族も含めて行うことが「今から しておくこと」だと思います。 くのかと、今までにない不安が襲ってきた日でし 利用者や家族の人生においての「今」はいつな た。このような経験を経て、今では制度の変更や のかを見極めながら、支援していきたいです。ケ 用語に違和感を覚えることも少なくなりました。 アマネジメントはその方の人生を左右するという 多くの高齢者の人生の終盤にかかわってきまし 考えを再認識し、最期までその方らしい生活支援 たが、利用者や家族、また地域にとって、このよ ができるよう、意図的にマネジメントできるケア うな支援でよかったのかを振り返る日々です。 マネジャーでありたいと思います。 「介護の現場で働く職員は本当にすごい」 、 「尊 葉に耳を傾けることが、施設運営において大切な 敬できる人たちだな」といつも感心しています。 のです。しかし私たちと現場職員の考え方には、 特に介護職は利用者の状態・変化を毎日把握し、 違いが生じることがあります。どんなに現場職員 食事や入浴、排泄等の介助、リハビリやレクと、 のためと気遣っても、 「何のために?」 、 「何をし 体力・気力をともに使い、妥協は許されず、それ たいのか?」などがしっかり伝わらないと、ただ でいて正解のない仕事なのだと感じます。 の負担にしかなりません。 「なぜ介護職を選んだの?」と聞く そこで「素晴らしい仕事をしている と、 「お年寄りが大好きだから」と力 のだよ」と自信を与えられるようなコ 強く答えます。好きなことを職業に ミュニケーション技術を身につけ、笑 できるのは素晴らしいと思う反面、 顔が絶えない施設にしたいと思います。 彼らが入職時に目を輝かせていた 勤労状況や給与面等、 “好き”だけで “お年寄りが大好き”という気持ちを 続けるには厳しい現実があります。 大切にするために、私たち事務職員に 事務職員には「利用者へのサービ スと同様に、現場職員のために働こ アメニティ国分(鹿児島県) う」と話しています。現場職員の言 事務 な か や ま あ き ら 中山昭良 できることを常に考え、陰ながら支え ていければと思います。 “お年寄りが大好き”という気持ちを支える 74 ●老健 2010.1
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