予算制度と予算過程

2012年度 春学期 木曜5限
財政学 1
予算制度と予算過程
第2,3回
2012.4.19
担 当: 石 川 達 哉
当講義用ホームページはhttp://www1.meijigakuin.ac.jp/~ishikawa/
3.予算制度
3-1.財政と予算
[憲法や財政法などによるわが国の主たる予算原則]

事前議決の原則 ・・・ 予算執行の前に国会の議決が必要

総計予算主義の原則 ・・・ 国の収入と支出は全額予算に計上

財政状況の国会及び国民に対する報告 ・・・ 内閣は毎年1回以上報告
予算制度の基本的枠組み
◇ 憲法 第7章 財政 (第83条~第91条)
◇ 財政法
法令データ提供システム
http://law.e-gov.go.jp/cgibin/idxsearch.cgi
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3-2.国の予算の種類

一般会計予算

特別会計予算
← 財政法第13条
v.s. 予算単一主義 (総予算主義)

政府関係機関予算
国会の議決対象
特殊法人
政府関係機関以外の
認可法人
予算や事業計画
に国の関与あり
国会議決は不要
独立行政法人
一般会計予算
特別会計予算
政府関機関予算
予算や事業計画
に国の関与あり
国会議決は不要
予算や事業計画
に国の関与なし
(注)例外的に、特殊法人のうちNHK予算は国会承認を受ける
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[2012年度における17の特別会計]
財政法第13条第2項の規定等による分類
2012
年度
内 容
例
① 事業特別会計
12
国が行う事業の収支を明らかにするための会計
企業特別会計
1
-国営企業の収支を経理
保険事業特別会計
7
-国が行う保険・再保険の収支を 年金、労働保険、農業共済再保険、森林保険、漁船再保
経理
険及漁業共済保険、貿易再保険、地震再保険
公共事業特別会計
1
-国が行う特定の公共事業につ
いて経理
行政的事業特別会計
3
-保険、公共事業以外の行政的
食糧安定供給、特許、自動車安全
事業について経理
② 資金運用特別会計
2
国が行う資金運用の収支を明ら
財政投融資金、外国為替資金
かにするための会計
③ 整理区分特別会計
3
特定の目的のための収支を他と 交付税及び譲与税配布金、国債整理基金、エネルギー
区分して整理
対策
国有林野事業
社会資本整備事業
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[2012年度の政府関係機関]

沖縄振興開発金融公庫

株式会社日本政策金融公庫
(注)
①旧国民生活金融公庫は2008年10月1日に解散
し、その業務は新設の株式会社 日本政策金融公
庫(国民一般向け業務)に引き継がれた
1. 国民一般向け業務
②同様に旧農林漁業金融公庫と旧中小企業金融
公庫も同日解散し、株式会社日本政策金融公庫
における農林水産業者向け業務と中小企業者向
け業務にそれぞれ引き継がれた。また、旧中小企
業金融公庫の中小企業信用保険事業は日本政
策金融公庫の信用保険等業務に引き継がれた
2. 農林水産業者向け業務
3. 中小企業者向け業務
4. 信用保険等業務
③旧公営企業金融公庫も同日解散し、その業務
は地方公営企業等金融機構に引き継がれた
5. 危機対応円滑化業務
④旧日本政策投資銀行も同日解散し、その業務
は新設の株式会社株式会社日本政策投資銀行に
引き継がれた
6. 特定事業等促進円滑化業務
株式会社
国際協力銀行
1. 国際協力銀行業務
2. 駐留軍再編促進金融業務

独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門
⑤旧国際協力銀行も同日解散し、その業務のうち
国際金融等業務については株式会社日本政策金
融公庫において、海外経済協力業務については
独立行政法人国際協力機構(JICA)に引き継がれ
た。その後、機能強化のため、株式会社日本政策
金融公庫から独立した「株式会社 国際協力銀行」
が2011年に新たに設立された。
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3-3.会計年度

予算の単年度主義

会計年度独立の原則 : 各会計年度における歳入と歳出の対応関係
: 予算の対象期間
← 憲法第86条
← 財政法第12条
(例外)

歳出予算の繰越し

過年度収入および過年度支出(翌年度4月ないしは5月までの出納整理期間)
各 国 の 会 計 年 度
国
会 計 年 度
日 本
4 月 ~ 3 月
米 国
10 月 ~ 9 月
英 国
4 月 ~ 3 月
ド イ ツ
1 月 ~ 12 月
フ ラ ン ス
1 月 ~ 12 月
← 財政法第11条
(注 )
(注 ) 年 度 末 の 属 す る 年 を 会 計 年 度 と す る
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3-4.予算の種類

本予算(当初予算)

補正予算
← 財政法第29条
補正後予算≠補正予算

← 財政法第30条
暫定予算
[予算の区分及び科目]
(歳 入 予 算 )
(歳 出 予 算 )
例
各 省 各 庁 の 「主 管 別 」
財務省
「部 」
租 税 及 び印 紙 収 入
「款 」
租税
「項 」
所得税
「目 」
例
各 省 各 庁 の 「所 管 別 」
厚生労働省
「組 織 別 」
厚生労働省本省
「項 」
生活保護費
「目 」
「目 の 細 分 」

(例外的規定)
財政法第33条 →
予算の移用(うつしかえ):類似・関連する「項」と「項」の間の
経費の融通
→ 国会の議決を経て財務大臣の承認が必要

予算の流用:同一「項」内の 「目」と「目」の間の経費の融通
→ 財務大臣の承認が必要
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3-5.予算の形式

予算総則 ・・・ 総括的な事項と公債の限度額・公共事業の範囲

歳入歳出予算 ・・・ 予算の本体、歳出額は上限として拘束力

継続費 ・・・ 完成に数年度を要する事業の経費総額と年割額

繰越明許費 ・・・ 当該年度内に支出が完了しない見込みの経費を予め翌年度に繰越可能に

国庫債務負担行為 ・・・ 実際の支出に先立って債務負担のみ当該年度に行う必要のある
場合の理由・限度額
継
権限付与の範囲
続
費
総額の債務負担権限
国庫債務負担行為
総額の債務負権担限のみ
後年度にわたる支出権限
債務負担を行う年度
初 年 度 に 限 ら ず 、 5 カ 年
初年度に全額債務負担
以内にわたることも可能
対象経費
「工事、製造その他事業」 特に限定なし
に限定
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4.予算過程
4-1.予算過程の概要
4-2.予算成立までの手続き

予算の編成

内閣の予算提案権

予算の審議

衆議院の予算先議権

予算の執行

両院協議会の開催

決算

予算の自然成立
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4-4.現実の予算編成過程(2012年度)
概算要求
概 算 要 求 に 係 る 作 業 に つ い て の 財 務 大 臣 通 知 ( 平 成 23年 8月 23日 )
平 成 24年 度 予 算 の 概 算 要 求 に 係 る 作 業 に つ い て
平 成 24年 度 予 算 編 成 に 向 け て
概 算 要 求 組 替 え 基 準 閣 議 決 定 ( 平 成 23年 9月 20日 )
平 成 24年 度 予 算 の 概 算 要 求 組 替 え 基 準 に つ い て ( 閣 議 決 定 )
各 省 各 庁 の 概 算 要 求 ( 平 成 23年 10月 5日 )
平 成 24年 度 一 般 会 計 概 算 要 求 額 等
各 府 省 の 概 算 要 求 書 ・ 要 望 及 び 政 策 評 価 調 書 公 開 ( 平 成 23年 10月 12日 )
概算要求の概要等
概算要求書
(1)
(2)
政策評価調書
一般会計
特別会計
政府案
政 府 案 閣 議 決 定 ( 平 成 23年 12月 24日 )
平 成 24年 度 予 算 政 府 案
政府案国会提出、審議開始
2012年 1月 24日
平 成 24年 度 予 算 及 び 財 政 投 融 資 計 画 の 説 明
予算成立
平 成 24年 4月 5日
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4-3.現実の予算編成過程(2009年度)
2009年 度 予 算 の 編 成 ・審 議 過 程
◇ 財 政 制 度 等 審 議 会 財 政 制 度 分 科 会 建 議 (2008年 6月 3日 )
・ 平 成 21年 度 予 算 編 成 の 基 本 的 考 え 方 に つ い て
◇ 経 済 財 政 改 革 の 基 本 方 針 (閣 議 決 定 )(2008年 6月 27日 )
・ 経 済 財 政 改 革 の 基 本 方 針 2008
○ 概 算 要 求 基 準 閣 議 了 解 (2008年 7月 29日 )
・ 平 成 21年 度 予 算 の 概 算 要 求 に 当 た っ て の 基 本 的 な 方 針 に つ い て
○ 各 省 庁 の 予 算 要 求 (概 算 要 求 ) (2008年 8月 末 )
◇ 財 政 制 度 等 審 議 会 財 政 制 度 分 科 会 建 議 (2008年 11月 26日 )
・ 平 成 21年 度 予 算 の 編 成 等 に 関 す る 建 議
○ 予 算 編 成 の 基 本 方 針 (閣 議 決 定 )(2008年 12月 3日 )
・ 平 成 21年 度 予 算 編 成 の 基 本 方 針
○ 財 務 省 原 案 閣 議 提 出 (2008年 12月 20日 )
・ 平 成 21年 度 予 算 財 務 省 原 案
○ 政 府 案 閣 議 決 定 (2008年 12月 24日 )
・ 平 成 21年 度 予 算 政 府 案
◇ 経 済 見 通 し 等 (閣 議 決 定 )(2009年 1月 19日 )
・ 平 成 21年 度 経 済 見 通 し と 経 済 財 政 運 営 の 基 本 的 態 度
○ 予 算 案 国 会 提 出 (2009年 1月 19日 )
○ 予 算 案 国 会 審 議 開 始 (2009年 1月 28日 )
○ 予 算 成 立 (2009年 3月 27日 )
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4-5.決算



内閣は決算に会計検査院の検査報告書を付し
て国会提出
歳計剰余金(決算上の剰余金)は翌年度の歳
入に繰入れ
純剰余金=新規発生剰余金-歳出予算の繰
越額等
(2010年度決算概要:2011.7.29 )
 新規発生剰余金 :




決算の流れ
各省庁の所掌に係る
決算報告書の作成
翌年度7月末迄
財務省
内閣への決算書提出
内閣(閣議決定)
会計検査院へ報告
翌年度11月末迄
(通常は9月下旬)
52,222億円
2011年度歳出予算への繰越額 : 32,115億円
2010年度決算の純剰余金 :
20,106億円
地方交付税交付金特定財源増 : 5,454億円
財政法第6条の純剰余金 :
14,651億円
純剰余金の1/2を下らない額は翌々年度迄に
公債の償還財源に充てなければならない
⇒ 上記の純剰余金14,651億円のうち14,533億円
は2011年7月に成立した2011年度第2次補正予
算における歳入に計上

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会計検査院
検査報告書を内閣へ
11月末
内閣
国会提出
国会(決算委員会)
審議
(責任追及など)
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