1. 3D(イメージ)ラボの運用と 臨床画像への取り組み

第19 回 CTサミット報告
ニューチャレンジセッションⅠ:次世代へつなぐ最新臨床研究
1.3D(イメージ)ラボの運用と
臨床画像への取り組み
井野 賢司 / 中田
藤井 佳太 / 日下
坂田健太郎 / 青木
健太 / 本吉
雄次 / 岡田
敦 / 笠原
光一 / 鈴木 雄一 / 渡邉 雄一
正樹 / 村山 嘉隆 / 酒井啓太郎
朗弘 / 長谷川浩明 / 矢野 敬一
東京大学医学部附属病院放射線部
考えられる。
診療放射線技師によって作成されてい
次世代につなぐ3D(イメー
ジ)ラボ(画像解析・画像
処理部門)の運用について
当院放射線部では,画像診断用とし
るが,さらに効率化と利便性を向上させ
て 6 台のマルチスライス CT が稼動してお
るために,CT 撮影操作室の近傍に 3 D
り,1 日あたり180 ~ 200 件の検査を行っ
WS の増設を行っている。
ている。CT や MRI 画像を 3 D ワークス
当院の平成 26 年における診療科別 3 D
320 列同時収集可能なマルチスライス
テーション(以下,WS)などで 3 D 画像
画像作成依頼の割合として,整形外科
CT も臨床で使用され,再構成画像数は
解析処理を行い提供するために,2002 年
領域 33%,大腸外科領域 9%,小児領
数百枚~数千枚以上になる場合も日常
より3 D画像解析処理を併任(現在13 名)
域 4%となっており,増加傾向に推移し
的となっている。膨大なデータの中から
するイメージラボの臨床部門(画像解
ている代表的な診療科と言える(図 3)。
必要な情報を短時間に得られる 3 D 画像
析・画像処理部門)を設置している。
また,診療科別の 3 D 画像処理時間を単
は,
「一目瞭然」の効果を発揮すること
2003(平成 15)~ 2014(平成 26)年の
純 CT と造影 CT にて依頼件数を比較す
が広く認知され,術前の手術計画,術
11 年間の件数推移を比べると,CT 検査
ると,同等の件数となるが,処理時間に
中ナビゲーション,各臨床科のカンファ
は約 1 . 8 倍となり,イメージラボ処理数
ついては造影検査が 70%以上を占めてお
レンスに使用されている。また,多くの
も 1 . 7 倍と増加している(図 1)。診療科
り,造影 CT 検査における画像処理の高
診察においても,単純な人体の輪切りで
からの処理依頼の内訳としては,3 D 画
度化の一端がうかがえる(図 4)。上記の
ある従来の CT 断層像(元画像)と比較
像処理が 1 . 9 倍,multi planar recon-
ように,CT 検査と画像処理の件数は増
して病変の形態や全体像を把握するた
struction(MPR)が 1 . 5 倍となり,求め
加傾向であり,CT と 3 D WS も日々進
めの補助的な役割や,臨床科の医師が
られる画像処理は高度化していることが
歩している。3 D 画像処理の効率化への
手術中に瞬時に立体的なイメージを必
うかがえる(図 2)。イメージラボ臨床部
取り組みとして,WS 処理枚数の向上や
要とする場合など,直感的で概観性が
門の設置当初は,読影室の一部に 3 D
サーバ型 WS の導入とマニュアルの充実
高く万人に受け入れられやすいという
WS を設置して 3 D 画像の作成を行って
化を図り,単純 3 D-CT などについては複
3 D 画像の特長はきわめて重要であると
いた。現在でも CT の 3 D 画像処理は,
数の診療放射線技師にて対応するなどの
50000
50000
延べ人数
20000
30000
10000
0
平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成
15年 16年 17年 18年 19年 20年 21年 22年 23年 24年 25年 26年
平成15年からの11年で,CT検査は1.8倍,ラボ総数1.7倍
図1
CT 検査とイメージラボの処理数の推移
〈0913-8919/15/¥300/ 論文 /JCOPY〉
3D画像
処理人数
20000
画像
処理数
10000
MPR
作成人数
40000
延べCT
検査数
30000
0
画像処理数(延べ人数)
40000
平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成
15年 16年 17年 18年 19年 20年 21年 22年 23年 24年 25年 26年
平成15年からの11年で,3D画像は1.9倍,MPRは1.5倍
図2
イメージラボでの 3 D 画像処理数の推移
INNERVISION (30・11) 2015
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