米国電子証拠判例2010 - デジタル・フォレンジック研究会

米国電子証拠判例2010
デジタル フォレンジック研究会
デジタル・フォレンジック研究会
東京工業大学 金子宏直
2001/11/09
金子宏直 東工大
1
1. Heraeus Kulzer, GMBH v. Biomet, Inc.,
(7th Cir. Jan. 24, 2011).633 F. 3d 591, 97 U.S.P.Q 2d 1652
• 原告:HK社(ドイツの法人)
告
社ド
法
• 被告:Biomet社とその子会社
• 前訴:ドイツの裁判所で、トレードシークレット
を盗んだと訴えた
• 本件
本件:28 U.S.C. 1782条に基づき、インディアナ
条に基 き、インディアナ
州連邦地方裁判所においてディスカバリを求
めた
2011/11/15
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参照条文
•
•
•
•
28 U.S.C§
U S C§ 1782. Assistance to foreign and international tribunals and to litigants before such 1782 Assistance to foreign and international tribunals and to litigants before such
tribunals
(a) The district court of the district in which a person resides or is found may order him to give his testimony or statement or to produce a document or other thing for use in a proceeding in a g
,
g
g
foreign or international tribunal, including criminal investigations conducted before formal accusation. The order may be made pursuant to a letter rogatory issued, or request made, by a foreign or international tribunal or upon the application of any interested person and may direct that the testimony or statement be given, or the document or other thing be produced, before a person appointed by the court. By virtue of his appointment, the person appointed has power to administer any necessary oath and take the testimony or statement The order may prescribe the
administer any necessary oath and take the testimony or statement. The order may prescribe the practice and procedure, which may be in whole or part the practice and procedure of the foreign country or the international tribunal, for taking the testimony or statement or producing the document or other thing. To the extent that the order does not prescribe otherwise, the testimony or statement shall be taken, and the document or other thing produced, in accordance with the F d lR l
Federal Rules of Civil Procedure.
f Ci il P
d
A person may not be compelled to give his testimony or statement or to produce a document or other thing in violation of any legally applicable privilege.
(b) This chapter does not preclude a person within the United States from voluntarily giving his testimony or statement or producing a document or other thing for use in a proceeding in a
testimony or statement, or producing a document or other thing, for use in a proceeding in a foreign or international tribunal before any person and in any manner acceptable to him. 2011/11/15
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事案
• 原告
原告K社は2005年から医療用の骨の接着剤を世界的に製造
社は
年から医療用 骨 接着剤を世界的に製造
している。70年代初頭から原告は他のドイツ企業訴外M社と
骨の接着剤の販売の契約 1998年にM社は原告の競争相
骨の接着剤の販売の契約。1998年にM社は原告の競争相
手B社とジョイントベンチャーを設立。2005年には骨セメント
代
製
の代替品を製造販売するようになった。
• 原告は、トレードシークレットを利用したとして被告に対して、
数億ドルの損害賠償等の救済を請求した。
• ジョイントベンチャー設立以来の文書が必要
• ドイツでは、ディスカバリのようなカテゴリーによる相手方へ
の提出命令は認められず、文書を特定する必要がある。
• 連邦民訴規則その他のディスカバリに関するルールの下で、
原告のディスカバリの要求を考慮させるため差戻し
デ
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4
2 Sara Lee Corp. v. Kraft Foods Inc., (N.D. Ill. Apr. 1, 2011), 273 F.R.D 416.
• ホットドック生産では、2大企業が互いに消費
ド
生産
大企業が
消費
者を誤認させる広告をしたと訴えた
• 原告は証言録取と被告の専門家からの文書
の開示を求めた
• 被告は原告が専門家によるディスカバリの範
囲を超えて資料を求めていると異議
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• ホットドック市場の調査に関する大学教授の
論文を巡り、被告 当該論文 著者
論文を巡り、被告が当該論文の著者との間
間
の交信の電子的記録の提出が問題
• 被告は、その交信が2010年改正民訴規則26
被告は その交信が2010年改正民訴規則26
条(b)(4)(C)の弁護士と専門家のコミュニケー
シ に該当すると主張した
ションに該当すると主張した
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3 In re Facebook PPC Adver. Litig., g,
2011 WL 1324516 (N.D. Cal. Apr. 6, 2011)
• 原告:フェイスブックに広告を出している複数
の利用者
• 被告:フェイスブック
• 被告が無効なクリ
被告が無効なクリックをフィルタリングしない
クを
タリ グしな
ために正当な広告料を請求できないことは、
契約違反ならびにカリフォルニアの不正競争
法に違反すると主張したクラスアクション
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• 原告の主張
原告の主張:被告はESIプロトコルに合意を拒絶
被告は プロト ルに合意を拒絶
し、証拠提出せずに文書をウェブサイトにアップ
ロ ドしたり 証拠提出の要求 の対応を拒ん
ロードしたり、証拠提出の要求への対応を拒ん
でいる
• 裁判所の命令:使用できない、アクセスできない
裁
命令 使
きな
きな
ファイル、1万8000ページの顧客のクレームの
デ タベ
データベースをネイティブフォーマットで提出し、
をネイテ ブ
トで提出し
関連するソースコードおよび紛争に関係する文
書の提出について適切な方法を決定するため
の協議を行うこと
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4 Griffin v. State,
2011 WL 1586683 (Md. Apr. 28, 2011).419 Md
2011
WL 1586683 (Md A 28 2011) 419 Md 343, 19 343 19
A.3d 15
• (第二級殺人)有罪とされた被告の、MySpace
第 級殺 有罪 された被告
ァイ
ら電子的証拠を取得する
プロファイルから電子的証拠を取得すること
を認める事実審判事の決定を見直す裁量上
訴
• ソーシャルネットワークのサイトから入手した
電子証拠の認証の方法
• サイトを印刷したもので認証が足りるか
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5 Offenback v. L.M. Bowman, Inc.,
,
,
2011 WL 2491371 (M.D. Pa. June 22, 2011)
• 不法行為による傷害を負った原告が身体的・
精神的な損害賠償を請求した事件
• 被告は原告のフェイスブックおよびマイス
ペ スのアカウントのインカメラ手続で取調べ
ペースのアカウントのインカメラ手続で取調べ
を求めた
• 原告はフェイスブックの公開情報はディスカ
バリ可能であるとしてパスワ ドを裁判所に
バリ可能であるとしてパスワードを裁判所に
提出することに合意
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6 Katiroll Co., Inc. v. Kati Roll and Platters, Inc.,
2011 WL 3583408 (D.N.J. Aug. 3, 2011)
• K
Katirollという食べ物を製造販売している会社
ti llという食べ物を製造販売している会社
• 商標権侵害訴訟
• 被告にフェイスブックのページをオリジナルの状態で
被告にフェイスブックのペ ジをオリジナルの状態で
保存するべき証拠を破棄するディスカバリ濫用があっ
たとしてサンクションを求めた
• 第三巡回におけるサンクションの判断基準を引用
• 実質的に不利な判断が相手方に存在する場合には、
過失は、破棄の推定を補償するのに十分である。相
失
破棄 推定を補償する
十分 ある 相
手方への最小限の不利な判断の場合には、故意の
行為が必要とされる。
• 以前のプロファイルの写真を再投稿して、原告が関連
すると思う投稿を印刷できるようすることを命じた
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7 In the Matter of the Application of the U.S. of Am. for an Order Directing a Provider of Elec Commc’n
Order Directing a Provider of Elec. Commc
n Serv. to Disclose Serv to Disclose
Records to the Gov’t, 620 F.3d 304 (3d Cir. 2010).
• 麻薬捜査において
麻薬捜査において、連邦政府は顧客の携帯電
連邦政府は顧客の携帯電
話所在情報(CSLI cell site location information)の
提出を強制する要求
• 二度拒否されたため更に不服申し立て
• 利用者を特定しないでCSLIをSCA=Stored 利用者を特定しないでCSLIをSCA=Stored
Communications Act 2703条(d)(18 USC 2703)に
従い求めた
• 電気通信プライバシー保護法(ECPA)(1986)
• 2703条は通話の内容についての提供を制限す
るが、通話記録は除外されるか
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8 In re Google Inc. St. View Elec. Commc’ns Litig., 2011 WL 2571632 (N.D. Cal. June 29, 2011)
• 連邦盗聴禁止法(
連邦盗聴禁止法(18 U.S.C. title1 Chapter119)及
び州の盗聴禁止法の違反を主張したクラスアク
ション
• 被告は
被告は、無線傍受を使い、電子メ
無線傍受を使い 電子メール
ル、ユ
ユーザ
ザ
ネーム、パスワードや他の個人的データについ
て30カ国におよぶ600GBの情報を傍受している
• 被告は、盗聴防止法で対象から除外されている、
一般公衆がアクセス可能な交信であると主張
般公衆がアクセス可能な交信であると主張
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• 2010年4月27日にヨーロッパのプライバシー
年
パ プ
バ
保護当局から被告は収集したMACアドレスな
どの情報の開示を求められ開示
• 裁判所は、Wi‐Fiネットワーク上の情報を傍受
裁判所は Wi Fiネットワ ク上の情報を傍受
することは非常に困難であり、(従来の無線に
関する) 衆
関する)公衆のアクセスが容易であるという
ク
が容
あると う
例外(傍受禁止の例外)に当てはまらないと判
断
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参考条文:原告が主張する被告の違反行為例
• 28 U.S.C. §2511(1)(c) – intentionally discloses, or endeavors to disclose, y
,
,
to any other person the contents of any wire, oral, or electronic communication, knowing or having ,
g
g
reason to know that the information was obtained through the interception of a wire, oral, or g
p
,
,
electronic communication in violation of this subsection; ;
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参考条文:例外
• §2511(2)(g)
– It shall not be unlawful under this chapter or p
chapter 121 of this title for any person—
– (i)to intercept or access an electronic (i)to intercept or access an electronic
communication made through an electronic communication system that is configured so that
communication system that is configured so that such electronic communication is readily accessible to the general public;
to the general public;
– (ii)to intercept any radio communication which is transmitted—
transmitted
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参考条文:readily accessible to the general public定義
参考条文:readily accessible to the general public定義
• § 2510(16) “readily accessible to the general p
public” means, with respect to a radio p
communication, that such communication is not
not—
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9. VICTOR STANLEY, INC., v. CREATIVE PIPE, INC., et al.,
Civil No. MJG‐06‐2662, 269 F.R.D. 497
• 証拠破棄
証拠破棄について100万ドルの制裁が課せら
ド
制裁が課
れた事案に関連するディスカバリの争い。
• 製造業者が競争相手を著作権侵害、特許権
侵害 不競争違反等を理由に訴え 被告が
侵害、不競争違反等を理由に訴え、被告が
電子的記録を破棄したことを理由としてサン
クシ を求めた
クションを求めた。
4年にわたるディスカ リ紛争において、被告
• 4年にわたるディスカバリ紛争において、被告
が電子的記録を故意に破棄した点について
争われた。
争われた
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• 被告は、訴訟ホールドを行わなかった
被告
訴
ドを行わな
た
• 原告が要求した後も電子メ
原告が要求した後も電子メール等の保存を
ル等の保存を
行わなかった
• 裁判所が証拠保全命令を発した後にも電子
的記録を削除した
• 電子的記録を完全に削除するためのソフトも
利用していた
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サンクションの決定基準
• 1)証拠保存義務に反して破棄を行ったことの
証拠保存義務
破棄を行 た
サンクシ ンを課す
サンクションを課すことの均衡性と正当性を
均衡性
当性を
考慮することについては、本件ではどちらも
必要がない。
• 2)破棄した者が責められるべき(culpable)行
為 故意 過失などさまざまな程度がある
為、故意、過失などさまざまな程度がある。
• 3)失われた証拠の関連性 被告の故意、悪
意は関連性と不利益があることを推定させる。
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• 当研究会目的以外の複製等行わないでくだ
さい
• 研究会当日配布資料との相違点
– 一部体裁、誤字等を修正しました。
– 加筆修正箇所には破線および注意点には赤字
で表示してあります。
– 2011.11.14
2011/11/15
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