養成講習科目補足資料 指導者のためのスキー競技ルール

掲載のルールは、国際スキー連盟(FIS)の国際競技規則(ICR:International Competition Rule)
から抜粋しております。
平成 19 年 11 月 1 日現在のデータを掲載しております。
養成講習科目補足資料
指導者のためのスキー競技ルール
スキー競技規則については、各競技種別によっ
て内容が多種多様です。ここでは、スキー指導
者の皆さんが知っておいていただきたい基本
的な競技ルールについて掲載致します。
なお、競技運営に関わる場合には、最新版「ル
ールブックの理解が大切になりますが、スキー
指導は指導技術だけではなく、スキー全般に関
しての知識と認識が必要です。
■スキー競技規則の概要
スキー競技は、ベースとなる国際スキー連盟
(FIS)が制定する「国際競技規則(ICR:
International Competition Rule)」によって運
営されますが、この ICR は4年に一度、書き
換えが行われ、現在は2004年版が適用され
ています。全日本スキー連盟(SAJ)が公認す
る国内競技でも、ICR によって開催、運営され
ます。
FIS 競技会は、次の競技種別の各種目からなり、
SAJ もこれに準じます。
また、競技の安全性と公正性の向上を目的に
FIS の競技年度(7月1日から6月30日)間
に新たな規則や既存の規則の改訂、そして、削
除が春と秋に開催される FIS 定例会議にて各
競技種別委員会での検討競技が行われ、理事会
承認を経て、
「Precision(新決定事項と指導要
項)」として、7月初旬に南半球での競技会向
けの Edition1が、11月上旬には北半球での
競技会向けに Edition2がそれぞれ発行され、
競技運営に反映されます。
・競技規則は以下の構成となります。
1. ICR(国際競技規則)
2. Precision(新決定事項&指導要項)
3. 競技用品規則
4. その他関連する競技規則
これらの競技規則は、SAJ 公式 Web サ
イトよりリンクする「SAJ データバン
ク」のサイトから無料で入手できます。
http://www.ski-Japan.or.jp
■スキー競技全般について共通規則
【競技会の分類】
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
オリンピック冬季大会 (OWG)
FIS 世界選手権 (WCS)
FIS ワールドカップ (WC)
FIS コンチネンタルカップ (COC)
FIS レース (FIS)
FIS エントリーリーグ(ENL)
冬季国民体育大会
SAJ 全日本スキー選手権
SAJ 公認大会(A 級+B 級公認)
SAJ マスターズレーシング 他
【競技種別】
(ICR 201.4)
■アルペン競技種別(ICR201.6.2)
1. 滑降
(Downhill)
2. 回転
(Slalom)
3. 大回転
(Giant Slalom)
4. スーパー大回転
(Super-G)
5. パラレル競技
(Paralle)
6. 複合種目 (Combined)
7. KO システム
(KO)
8. 団体競技
(Team Games)
■ノルディック競技種別(ICR201.6.1)
1. クロスカントリー、
2. ローラースキー、
3. ジャンプ、
4. フライング、
5. ノルディックコンバインド、
6. ノルディックコンバインド団体戦、
7. ローラースキーまたはインラインによ
るノルディックコンバインド、
8. ジャンプ団体戦、
9. プラスティックジャンプ台でのジャン
プ、
10. ポピュラークロスカントリー
■フリースタイル競技種別(ICR201.6.3)
1. モーグル、デュアルモーグル、
2. エアリアル、
3. スキークロス、
4. ハーフパイプ、
5. チーム種目
■スノーボード競技種別(ICR201.6.4)
1. スラローム、
2. パラレルスラローム、
3. 大回転、
4. パラレル大回転、
5. スーパーG、
6. ハーフパイプ、
7. スノーボードクロス、
8. ビッグエア、
9. スペシャル競技、
10. スロープスタイル
■テレマーク競技(ICR201.6.5)
■競技年と出場資格(年齢 Classification)
■グラススキー競技(ICR201.6.6)
FIS+SAJ の競技年度は、7 月 1 日から翌年の 6
月 30 日。選手の競技年齢基準は競技年度の 12
月 31 日までに、競技者基準年齢を満たしてい
なければならない。
例:競技年度 2008 シーズンに FIS レースに出
場するためには 2007 年 12 月 31 日までに満
15 歳になっていなければならない。
■フィルングライテン(ICR201.6.7)
■スピードスキー競技種別(ICR201.6.8)
■他のスポーツとの複合種別(ICR201.6.9)
■チルドレン、マスターズ、障害者スキーなど
(ICR201.6.10)
アルベン競技
アルベン競技には、その性格やルールによって
8 種類の競技種目があり、それぞれに特色があ
ります。また、アルベンはスピード感覚を身体
のコントロールで争う競技で、スピードをロス
しないため空気抵抗の少ないフォームで、凹凸
や力ニブのコースを滑っていきます。その時速
は 100km を超えることもあり、次にくるコー
スを十分に予測する適切な動作が要求されま
す。
【1】競技コース
(1)「滑降」
、
「大回転」、
「スーパーG」の旗門は、
フラッグでつながったポール、2 組(4 本)から
なる旗門のインサイドポールの間である
(参照:図 1、図 2)
①ターエングポールは、フレックスポールでな
ければならない。
(2)「回転」の旗門はターニングポールとアウ
トポール間である。(参照:図 1、図 2)
(3)各種目別のコース設定条件
(参照:図 3)標高差、方向転換数など
※注意!
2007-2008 シーズンより、旗門数に関するル
ールが滑降を除くすべてのアルペン種目にお
いて「方向転換数(DC:Direction Change)」
に変更になりました。また、方向転換数は、各
競技種目の開催時のスタートとフィニッシュ
の標高差(VD:Vertical Drop)の種目毎に決
められた比率(%)をかけて算出されます。
昨シーズンまでは、男女別々に標高差の基準が
決められておりましたが、2008 シーズンから
は種目によっては、同一スタート、同一フィニ
ッシュの設定が可能になりました。特に男女併
催のスーパーG においては、男子の設定基準で
コースセットを行います。
(4)コース幅
①滑降・スーパーG は 30m 以上
(地形を利用したコース設定のため)
②大回転→ 40m 以上
③回転は 2 つのコースを同一のスロープで開
催する場合は 40m は確保したい。
【2】 旗門(Gates)
(1)「滑降競技」は、2 組(4 本)のスラロームポ
ールと 2 枚のフラッグからなる。
①滑降コースは、男子は、赤、女子は赤と青の
旗門でマークする。
②男女同一コースを使用する場合、女子用の追
加旗門は青でなければならない。
③旗門の幅は、最低 8m なければならない。
④滑降競技のフラッグには、横 75cm、縦
100cm 程度の大きさの長方形の布製パネルを
使用する。
(2)「大回転」と「スーパーG」は、スラローム
ポール 2 組(4 本)を使用し、各組ともポール間
にフラッグを取り付ける。
① 旗門はすべてフレックスポールでなければ
ならない。
②旗門の幅は、4m 以上、8m 以下でなければ
ならない。
③大回転は、連続する 2 旗門の最も近いポール
の間の距離は 10m 以上でなければならない。
④スーパーG は、連続する 2 旗門のターニング
ポール間の距離は、25m 以上でなければなら
ない。
⑤オープンゲートではインナーポール間が 6m
以上 8m 以下、クローズゲートでは、インナー
ポール間が 8m 以上 12m 以下。
⑥旗門は、赤と青が交互でなければならない。
フラッグは、横 75cm、縦 50cm の大きさの長
方形の布製のパネルで FIS の認定製品を使用。
⑦フラッグはポールの間に、その下端が雪上か
ら 1m 以上の高さに取り付ける。
(3)「回転」の旗門は、2 本のスラロームポール
からなる。
①連続する旗門は、交互に「赤」と「青」が並
ばなければならない。
②スラロームポールは、赤または青で色づけし
なければならない。
③旗門の幅は、4m 以上 6m 以下でなければな
らない。
④ コンビネーション(ヘアピンやヴァーティ
カル)中の旗門の距離は、0,75m 以上でなけれ
ばならない。
⑤オープン、またはクローズド旗門のターニン
グポール間の距離は、6m 以上 13m 以下でな
ければならない。例外として、チルドレン種目
では、最大 12m までとする。
⑥旗門及び旗門コンビネーションの数
⑦ディレードターンをゲートを連続するオー
プンゲートの間に使用する場合は、そのターン
を挟むオープン旗門のターニングポール間の
距離は 12m 以上、18m 以下とする。また、デ
ィレードターンに使用するヴァーティカル旗
門のターニングポールとその手前のオープン
旗門のターニングポール間の距離は 6m 以上
なければならない。
※注意!解り辛いので、図 3 を参照
⑧回転には、オープンゲート(水平旗門)とクロ
ーズゲート(垂直旗門)がなければならない。
⑨3 から 4 旗門で構成するヴァーティカル・コ
ンビネーションが最低 1 つから最高 3 つ及び、
ヘアピン・コンビネーションが最低 3 つなけれ
ばならない。
⑩ディレードターンは最低 1 つ、最大 3 つ設
定すべきである。
※このルールは現在、暫定ルールとされている。
11 月上旬の理事会決定によって、設定すべき
か、しなければならないかの決定がなされる。
(4)旗門のマーキング
旗門ポールの位置を、わかりやすい染料でマー
クする。
(5)旗門のナンバリング
旗門ヨースの一吾上から下まで順に番号を付
け、その番号は外側のポールに付けなければな
らない。
(6)コースと斜面のマーキング
「滑降」及び「スーパーG」では、コース上に
次のようにマーキングすることができる。
①旗門の前後、滑走ラインの内側と外側に小枝
を立てる。
②松葉やそれに近い物をコース上にまく。
③旗門間を垂直に、またコース上を水平に染料
を使用して、特に斜面変化やジャンプ等に対応
する。
(7)フィニッシュライン
① フィニッシュラインは、
「フィニッシュ」と
書かれた水平バナーで繋がれた 2 本の支柱、ま
たは垂直バナーでマークする。
② フィエッシュラインは、塗料ではっきリマ
ークしなければならない。
③ フィニッシュの最低幅
「滑降」
、「スーパーG」→ 15m
「回転」
、「大回転」 → 10m
※ 例外規定あり
【3】 スラロームポール
(1)アルペン競技で使用されるすべてのポール
は、
「スラロームポール」と称され、
「リジッド
ポール」と「フレックスポール」に区分される。
① リジッドポール
直径:最小 20mm から最大 32mm、ジョイント
のない丸い均一なポール(全種目共通)
長さ:雪面から 180cm 以上出る長さ
② フレックスポール
フレックスポールには、屈曲するスプリングが
内蔵されている。(FIS 規格準拠)
直径:最大 35mm
【4】競技用品
アルペン競技において使用できる用具は、FIS
競技用品規則に制定されている仕様の用具を
使用しなければならない。(参照:図 4)
重要、2008 シーズンより仕様変更が示された
競技カテゴリの内、COC については、1 年間
の許容が認められている。2009 シーズンから
は変更された新しい仕様がチルドレンの除い
て適用される。
マスターズに関しては、FIS の競技用品ルール
に原則、準拠した用品の仕様を推奨する。よっ
て、競技仕様でない用具も使用できる。但し、
スーパーG 及び大回転については競技用品規
則の定める長さを使用しなければならない。
クラッシュヘルメットは FIS 並びに、SAJ の
全競技種目において競技用品規則が定める基
準を満たした製品を使用しなければならない。
図1
図2
標高差と旗門(方向転換)数チェックリスト
種目
性別
DH
滑 降
女子
(条項 70
0)
Downhill
ダウンヒル
WC
OWG/WSC
COC
FIS
ENL
チルドレン
1本競技:400~500m
2本競技:350~500m
標高差
500 - 800
旗門数
必要数(as required)
高さ 1.00 x 幅 0.75 赤色(青色)
旗形状
高さ 1.00 x 幅 0.75 赤色
男子
SL
競技
女子
回 転
(条項 800)
Slalom
男子
スラローム
GS
女子
必要数(as required)
旗門数
*1
標高差
800 (750 )-1100
標高差
140 – 220
500-1100
1本競技:400~500m
2本競技:350~500m
120 – 200
方向転換
80 – 120
3本競技:最低50m
Ⅰ.120 max
Ⅱ.160 max
標高差の30-35% ±3
標高差
180 - 220
140 - 220
80 – 140
3本競技:最低50m
Ⅰ.120 max
Ⅱ.160 max
標高差
300 - 400
250 - 400
200 - 250
Ⅰ.250 max
Ⅱ.3002) max
11 15% (方向転換)
11-15% (方向転換)
方向転換
大 回 転
旗形状
(条項 900)
Giant Slalom
方向転換
ジャイアント
数
男子
スラローム
標高差
SG
550-1100
13 - 15 %
高さ 0.50 X 幅 0.75m 赤色と青色旗を交互に
11-15% (方向転換)
標高差
300 - 450
250 - 450
400 - 600
evtl. 2ジャンプ
350 - 600
evtl. 2ジャンプ
13 - 15 %
200 - 250
Ⅰ.250 max
2)
Ⅱ.300 max
Ⅰ.225-350
Ⅱ.250-450
標高差の10%(最少方向転換数:30)
女子
スーパー大回転
(条項1000)
Super-G
方向転換 ※男女同一スタート&フィニッシュの場合:
最少方向転換数:標高差 400 - 500m = 32
:標高差 500 - 650m = 35
旗形状
高さ 0.50 X 幅 0.75m 赤色と青色旗を交互に
標高差の10%
男子
方向転換
P
女子
&
(条項1100) 男子
10%
8-10%
350 - 500
Ⅰ.225-350
Ⅱ.250-450
最少方向転換数:標高差 400 - 500m = 32
:標高差 500 - 650m
650 = 35
35
:標高差
標高差
パラレル
Parallel
8-10%
400 - 650 evtl. 2ジャンプ
標高差
80 - 100
Ⅰ.60
Ⅱ.80
旗門数
20 - 30
Ⅰ.12-15
Ⅱ.15-22
旗形状
高さ 0.75m X 幅 0.50m (GS旗と同仕様)
Red Track & Blue Track (赤コースと青コース)
1)
:除外措置
:2本競技の場合:250m
2)
※チルドレンカテゴリにおけるSuper-Gのセットは選手の体力に配慮してセットする事。
File code:2004_VD_NG_Checklist_20071012.xls
2007年10月発行北半球版
2004_VD_NG_Checklist_20071012.xls
Printed date :2007/10/13
File code:20071001_競技用品ルール2007-08用_20071012.xls
競技用品ルール改訂スケジュール
2007年10月1日より施行
1.アルペン競技 スキー
1.2.1.1 スキーの長さ
Sex
DH/Downhill/滑降
カテゴリ
WC/WSC/OWC/COC
FIS
WC/WSC/OWC/COC
Ladies/女子
FIS
SG/Super-G/スーパー大回転
WC/WSC/OWC
Men
COC/FIS
MAS
WC/WSC/OWC
Ladies
FIS
MAS
Children II
GS/Giantslalom/大回転
WC/WSC/OWC
Men
COC/FIS
MAS
WC/WSC/OWC
Ladies
COC/FIS
MAS
SL/Slalom/回転
Men/男子
備考
長さ
215cm
215cm
210cm
210cm
205cm
205cm
185cm
200cm
200cm
180cm
175cm
許容差:ー5cm
許容差:ー5cm
許容差:ー5cm
許容差:なし +(GSスキー使用可)
許容差:ー5cm
許容差:なし +(GSスキー使用可)
185cm
185cm
185cm
180cm
180cm
180cm
許容差:ー5cm
許容差:ー5cm
Junior Ⅰには、FISとENLのみ-10cmの許容差を認める
Men
全カテゴリ
165cm
Ladies
全カテゴリ
155cm
対象:SL&GS
130cm
許容差:ー5cm
許容差:ー5cm
Children Ⅰ&Ⅱ
MAS
マスターズ特別ルール
スーパーGを除く全種目において、上記のスキー長の使用を推奨する。
1.2.1.2 スキーの横幅
DH/Downhill/
滑降
SG/Super-G/
スーパー大回転
Children II
GS/Giantslalom/
大回転
SL/Slalom/
回転
Children II
Children I
Sex
Men
Ladies
Men
Ladies
Men
Ladies
Men
Ladies
Men
Ladies
Men
Ladies
Men
Ladies
07/08
COC以上
FIS/ENL
67mm
1.2.1.3 スキーの半径(ラディウス:最小値)
07/08
08/09
COC以上
FIS/ENL
全カテゴリ
45m
65mm
33m
08/09
全カテゴリ
67mm
60mm
65mm
27m
65mm
65mm
60mm
63mm
27m
23m
21m
27m
23m
63mm
17m
14m
2.安全ビンディング
3.スキーブーツ
2.2.2 最大高
カテゴリ
整備によって生じる許容差として-1mを認める
07/08
COC以上
FIS/ENL
08/09
全カテゴリ
Sex
Men
JuniorⅠ以上
50mm
55mm
50mm
Ladies
Men
Children I & II
Ladies
50mm
Men
MAS
Ladies
※最大高とは、スキーの滑走面の下側からスキーブーツソールまでの間隔。
3.2 ブーツソールの厚さ
07/08
COC以上
FIS/ENL
43mm *2
45mm *2
08/09
全カテゴリ
43mm *2
43mm
45mm
45mm
但し、マスターズは左記の数値は推奨値とする。
■ 第1条.2.1.2、2.1.3、第2条2.2、第3条2については、COCの競技会でも1年間の施行前許容措置を施す。新仕様前の用具の使用も容認する。
新決定事項Edition2参照
*1 対象種目として、フリースタイルスキークロスを含む
*2 対象種目として、フリースタイルスキークロスとグラススキーを含む
※ 上記のデータは『競技用具とコマーシャルマーキングに関する仕様 2007/2008』より抜粋したものです。
OWG: 冬季オリンピック
WSC: 世界選手権
WC: ワールドカップ
COC: コンチネンタルカップ
FIS: FISレース
MAS: マスターズ
Printed date:2007/10/12