1.日本の人事労務も国際化の影響を免れない 2.日本の人事制度変革の

これから当社に応募される皆様へ
1.日本の人事労務も国際化の影響を免れない
現在日本は、人口減少の時代に直面しています。人口減少が起きれば、日本のマーケットや内需は縮小傾向にならざるを
得ません。未だ景気循環論を唱え、日本の景気は近いうちによくなるというエコノミストもいます。
しかし、この長期的不況は、景気循環の問題ではなく、人口減少の構造的な問題であることを知る必要があります。逆に
海外では、BRICs、VISTA、NEXT11 などと言われるように新興国の成長が目覚ましく、多くの企業は新興国
に注目し、投資を加速度的に増しています。実際に、多くの日系企業メーカーが海外で進出し成功を収めています。海外
での M&A も非常に活発でここ 2 年で 800 件近く、総額 900 億ドルの規模になっています。しかし、海外に進出している
のは何も大企業に限ったわけではありません。東京商工会議所は、2010 年を国際化元年と称し、中小企業のグローバル化
を推進し始めています。いよいよ日本全体が本格的に国際化してきたといえるでしょう。
国際化の影響において、当然人事や組織にも大きな変化が訪れています。例えば 2010 年話題に上がった外国人留学生の
採用枠の急増です。ユニクロ、楽天、パナソニック、ローソン、ドンキホーテなど大企業が外国人留学生の採用枠を大幅
に増やしました。
増加の理由は現地採用者として雇うという事もありますが、それ以上に外国人留学生が優秀であるということです。彼ら
の勤勉意欲は非常に高く、日本語と現地語だけではなく、英語も習得し、トリリンガルとしてネゴシエーション能力も高
く、国際社会で働ける素質を持っています。また会社の内部においては、ユニクロや楽天、パナソニックが社内公用語を
英語とし、多くの会社が採用条件として TOEIC のスコアを追加しています。実際に若年層の失業率の増加もグローバリゼ
ーションの影響によるものです。世界の労働市場は、一つになろうとしています。日本人は世界の人々との競争していく
時代になりました。
2.日本の人事制度変革の必要性
労働市場が国際化をしていく上で、あるべき組織の在り方が求められています。チャンドラーが「組織は戦略に従う」と
論じた通り、組織は国際化に向けて大きく変化する必要があります。会社やビジネスモデル、戦略のライフサイクルの期
間が短くなり、流動性の高い戦略的組織に変化する必要があります。
しかしながら未だ日本の雇用制度は、国際社会の流れに適応していないと言えます。日本雇用制度である年功序列、終身
雇用の体制は崩壊したという認識になっていますが、厚生労働省の統計によると社員の長期勤続化は実際に減少しておら
ず、組織の硬直化が進んでいます。
長期勤続化の大きな原因の 1 つは政府の方針によるものです。政府の政策は大衆的世論の影響から、最低時給引上、派遣
規制強化に着手しました。経営の現場を知らない政府の政策により、会社は採用の人員をさらに引き締めることになりま
した。また政府はケインズ経済学の観点から失業者を採用するために会社に補助金を与えるも、かえって労働者を過保護
にしてしまい付加価値を生み出せない労働者を量産することになりました。
その結果、日本人全体が安定志向になってしまいます。正社員という枠から一度でも離れてしまうと挽回することは難し
いということが分かったからです。そうなると日本人は挑戦する意欲を失い、会社に対して依存することになります。こ
ういった安定志向は、若い新卒の人たちの中にも生まれています。安定志向から組織はさらに硬直化してしまい、国際社
会に適応しようとしない、海外赴任をしない日本人が急増し、国際労働市場の競争から大きく引き離されていくことにな
ります。
私達は、グローバリゼーションに合わせて社員の志向を変革していく必要があります。
国際社会で求められる人物像は、逆説的に聞こえるかもしれませんが会社に依存しない自立した社員です。失敗すること
を恐れずに、海外で積極的にリーダーシップをとっていく社員です。しかし、そういった人材を輩出するためには、今ま
でのような日本型の人事制度では不可能です。また優秀な外国人は、短期間でキャリアを積めず、成果に合わせて給与が
支払われることがない日系企業に対して入社することを拒みます。今後もこのままの人事制度であれば、優秀な人材の不
足が深刻化することは明らかです。
そうならない為にも、私達は日本の人事制度も大きく変化させる必要があります。社会のニーズに合わせて組織を最適化
できる流動性の高い組織体制。勤続年数に応じた給与を与えるのではなく成果にあわせた給与制度。結果や行動だけでは
なく志向を評価する制度。何度でも挑戦できるような会社の体制や風土を再構築していく必要性があります。
弊社の社労士法人は単なる専門的手続きを行うだけの集団ではありません。国際社会と会社のニーズに合わせて戦略的な
視点から人事コンサルティングを行っています。
3.2007年
社会保険労務士法人を設立
東京コンサルティンググループでは、2007 年 4 月 3 日に『東京社会保険労務士法人』を開設しました。
東京コンサルティンググループは、代表の公認会計士・久野康成が監査法人から独立して会計事務所を開いたのが創業と
なります。企業の経営課題を発見してその解決策を提示、さらに解決の実行支援までを行い、企業の成長を支えるサービ
スを提供しています。
会計財務を強みとしながらも、グループ全体で 300 名が在籍するまでに至った組織人事力と、教育研修ノウハウを活かし
たサービスも行っています。
東京社会保険労務士法人および株式会社人財開発を含む、東京コンサルティンググループの人事労務コンサルティング事
業コンセプトは、企業にとっての【第2の人事部】になることです。
クライアント企業の人事部には、様々な業務があります。我々は経営の観点から、第2の人事部として、いかなる価値を
提供すべきかが問題となります。
4.価値提供の方向性は2つある
クライアント企業の人事部が我々に対して求めるテーマには、大きく分けると 2 つのものがあります。
第一は、クライアント自身が行えるが、より安く効率的に処理してもらいたい、というアウトソーシング業務です。
具体的には給与計算や、入社・退社などに伴う一般的な社会保険手続業務などです。しかしこのようなアウトソーシング
業務は、我々がクライアントに与えられる付加価値が少なく、同業間では価格競争に陥っています。
それは、右肩上がりの経済の時は、コンサルティングを行わなくても、給与計算や一般的な社会保険手続業務でも事務所
の運営ができ、高度なコンサルティングスキルを身につける必要性がなかったためです。そして、今になって身に付けよ
うとしても簡単に出来るものではないからです。さらに近年では、IT の高度化、安い給与計算ソフトの普及、社会保険手
続の電子化、そして国際労働市場化により、一般的な業務はますます値崩れが起きています。
第二は、クライアント企業の HRM(人的資源管理)に関して、専門家としてのアドバイスやコンサルティングにかかわる
業務です。具体的には、賃金や評価などの人事制度コンサルティング、教育研修コンサルティング、採用コンサルティン
グ、事業承継コンサルティング、などです。これらコンサルティング業務は、専門家として能力格差が出る部分であり、
誰でもが行えるものではありません。我々が目指すべき方向性といえます。そしてこのHRMの問題は、日本であれ、海
外であれ本質的には変わりません。
5.当社のサービス内容
このような現状を踏まえて、社会保険労務士法人としていかなる戦略をとるかが重要となります。その基本コンセプトが、
「第 2 の人事部」です。この発想は、プロの社会保険労務士として自分達が何を行いたいかではなく、クライアントが我々
に対して何を求めるかを考えたものです。
クライアント企業の経営理念・哲学、ビジョン、基本方針、行動指針に基づいた HRM(人的資源管理) の支援を行いま
す。HRM では①「インフロー」②「内部フロー」③「アウトフロー」の 3 つのマネジメントに分かれます。これらを組織
コンサルティングとして
①「インフロー」は、主に企業の外部から人を採用する管理となります。クライアント企業が自社の魅力を高め、いかに
優秀な人材を採用するか、の支援を行います。クライアントにとってここでの選択肢はコア人材を雇用するか、外部スタ
ッフとして契約するか、の 2 種類があります。
当社ではコア人材の採用に関して、a.新卒採用コンサルティングと b.エグゼクティブサーチ・コンサルティングを行って
います。
a. 新卒採用コンサルティングは、採用の仕組みそのものをコンサルティングすることです。競合他社は、リクルートなど
です。しかし我々のサービスの特徴は、クライアントの経営理念にまでさかのぼって自社の魅力や価値を確立し、求職者
に提供すること、また入社後に離職せず活躍できる環境作りとの連動性にあります。
b. エグゼクティブサーチ・コンサルティングは、人材紹介業として優秀な人材を直接紹介することです。
人材紹介が我々専門家の業務と結びつかない人がいるかもしれませんが、実は人材紹介業は、歴史的には海外で公認会計
士事務所が母体となって発展したビジネスです。例えば、欧米の大手ヘッドハンティング会社である「コーン・フェリー・
インターナショナル」は、同じ監査法人で働いていた二人の公認会計士【レスター・コーン】と【リチャード・フェリー】
が設立した会社です。
我々が行う経営コンサルティングは、会社の重要な戦略を立案することが含まれます。戦略が立案された後は、それを実
行するための組織と人材が必要となります。戦略を実行するために、いかなる組織を作るべきかを解決するのが組織人事
コンサルティングとなります。
ここで、いかなる組織を作るべきかが分っていても、それに必要な人材が内部にいない場合は、外部から連れてくるしか
ありません。組織人事コンサルティングの延長線上で、人材紹介業が発展していきました。
つまり人材紹介は、組織人事コンサルティングの一つのパートを構成しています。
もう一方で、外部スタッフとしての契約を求めているクライアントに対しては、当社の正社員を常駐させる方式でサービ
スを提供しています。こちらは、財務経理、人事労務業務に対応しています。
従来の会計事務所・社会保険労務士事務所のように、事務所に持ち帰りで記帳代行や給与計算などの手続き関係業務を行
うのではなく、我々がお客さまのもとに入り込んで業務を行います。
そうすることにより、ルーティンワークのみならず改善提案までを実施することが出来、結果としてお客さまに高付加価
値を提供することができます。
これら「インフロー」に関するサービスは、クライアント企業のニーズが高く、直接経営者や人事部長にお会いできるた
め、その後我々のプレゼンテーションによって、以下「内部フロー」「アウトフロー」に関わる組織人事制度といったよ
り専門的なサービス提供につながっていきます。
「優秀な人材を採用したい」というクライアントのもっとも直接的で分かりやすいニーズに応えていきながら、総合的に
組織人事支援を行うのが当社の戦略でもあります。
また、採用に関する業務はダイレクトに「人」とお仕事することになるため、コンサルタントとしての基本的スキルが飛
躍的に身につきます。
②「内部フロー」は、採用後の人の配置、異動に関してであり、クライアント企業内部の人材の能力やスキル要件を適正
に判断し、適材適所で人材を配属させる支援を行います。昇進・昇格、人的資源開発(HRD:Human Resource Development )
など、大きくは人事評価と教育研修の2つのコンサルティングに分けることができます。
人事評価コンサルティングでは、賃金・報償制度の立案や改定、目標管理制度(MBO)の導入、就業規則の立案や改定な
どがあります。
教育研修コンサルティングでは、クライアント企業にとっての OFF-JT(OFF the Job Training )として、階層別研修や
会計財務および人事労務の実務研修を提供しています。
階層別研修では、新入社員、中堅社員、マネージャークラス、経営者クラスに対して行っており、コミュニケーション、
リーダーシップ、経営マネジメントに関する研修を特徴としています。
その他、心理カウンセリングを主体とした社員のメンタルフォローも"マネジメントセラピー"として提供しています。
③「アウトフロー」は、退職に関して適性な制度を作り運用していきます。このフローにおいては、退職金・年金コンサ
ルティングといった制度的なものから、退職者面談などのメンタル的なものまで対応しています。
6.国際組織コンサルティング
先ほどの掲げた戦略を、日本に留まらずアジア諸国を中心に組織人事コンサルティングを行っています。基本的には、日
本で行っていることと本質的に大きく変わることはありません。しかし、特に海外に対して多くの日系企業が海外に進出
しているのに関わらずまだ多く社労士法人は、海外進出さえしていません。故に、日本では低価格化が進む雇用契約書や
就業規則などの基本的な社労士業務の手続きさえもニーズが高いものとなります。
また私達は、国際社労士業務以外に海外に進出する日系企業に対して組織コンサルティングを行っています。
第一に、顧客と目標の共有を行います。海外進出で重要な目標は、いつ、黒字化するかということです。2 年での黒字化
目標は、非常に明確な目標で、顧客とも共有しやすい目標と思います。
第二に、目標達成のための手段を提案します。2 年で黒字化させるためには、人材が重要なファクターになります。その
ためには、2 年後の売り上げ目標から考えて、2 年後の組織図を顧客と共に作成します。2 年後の黒字化計画は、まさに、
事業計画を顧客と共に作るコンサルとなります。そして、それを達成するための組織をイメージさせ、組織図に時間軸を
加えて、事業計画とリンクさせます。
第三に、当社で組織図を作成し、その国特有の労務問題をアドバイスします。またその組織に必要な人財の紹介をしてい
きます。結果、労務のワンストップサービスを全て、提案します。
我々は、今まで、社労士法人が培った国際人事コンサルのノウハウがあります。これを紹介事業と完全にリンクさせます。?
我々の優位性は、他社では絶対に追いつけないものとなります。
7.社会保険務士として登録されている方・人事労務業務経験が豊富な方
既に社会保険労務士として登録されている方、または、人事労務業務の経験が十分にあり、提案型営業が出来る方は、は
じめから「インフロー」、つまり採用や人材紹介などの提案営業を行い、並行して様々な人事コンサルティング業務を学
んでいくことが重要となります。
社会保険労務士として「手続き関係業務の作業」をすることではなく、お客さまへの提案(コンサルティング)として、
「営業」を行うことなのです。
8.人事労務業務の経験が浅い方・未経験の方
経験が浅い、または未経験の方は、クライアント先に常駐(派遣スタイル)して実務経験を積むことをお勧めします。
まだ試験に合格していない受験生の方も、コンサルティングが出来るようになるために、実務から経験を積むことが重要
です。
また当社では、経営の観点で支援するプロフェッショナルを目指していただきます。専門・得意分野である人事労務に関
する知識・経験を身に付けるだけでなく、関連する分野の知識・経験も身に付ける必要があります。
まずは、日商簿記2級レベルの知識と経験も修得するようがんばってください。
私の著書、
『できる若者は 3 年で辞める!
~伸びる会社はできる若者よりネクストリーダーを育てる~』
(出版文化社)
では、以上の考えをもっと普遍的なお話として書いております。
このキャリアプランで伝えていることを、さらに深く理解されたい方は、お読みになってみて
ください。
また、2010 年 10 月に新著を発表いたしました。
『もし、かけだしカウンセラーが経営コンサルタントになったら』(出版文化社)
上記の文章を読んで、これからのビジネスマンに【人間力】が不可欠であることがお分かりに
なったと思います。
あなたには
【大きな器】 【コミュニケーション能力】
【ビジョン】
がありますか?
本書には、それを判断するためのワークが沢山収められています。
そしてあなたの課題を克服するためのヒントも。
「世の中に必要とされる人財」になりたい方は、是非お読みになってみてください。
ご意見、ご感想、ご質問も E メールにて受け付けております。
それでは、みなさまとお会いできますことを心よりお待ち申し上げております。
東京コンサルティンググループ
総括代表社員
久野康成