教育生理学とアロマセラピー

教育生理学とアロマセラピー
•アロマセラピーにおける生理学として
1.嗅覚生理
2.精油の働き
3.薬学部での教育プログラムから(2010)
4.IFAアロマタッチについて
5.アロマ回想法について
6.アロマ睡眠療法(2011)
7.認知症とアロマ(2011)
嗅 覚
「風邪をひく」、「鼻をつまむ」と、食べ物の風味が
損なわれ、味がわからなくなる。
通常、「味」と感じているものの大部分は、「香り」
である。
そして、その香りとは食べ物などに含まれる「揮発
性分子」が、鼻腔内の「嗅細胞」に結合することによ
り、嗅覚神経系を刺激することで生じるものである。
例えば・・・
100%の果汁ジュースを加熱殺菌すると・・・
加熱中に「揮発性分子」は飛んでいくので・・・
「香り」の無いジュースが出来上がる。よって
これに香料を加えなければ、「味」の区別は
ほとんど出来ない。
揮発性分子
・多くは、「芳香族化合物」に代表される「炭素化合
物」である。
・代表的な官能基
1)水溶性: アルコール基、カルボキシル基
2)疎水性: エステル基
3)極 性: ジメチルエーテル
・分子量としては、概ね「300∼400程度」が上限と
される。
嗅覚
嗅粘膜から軸索へ
嗅細胞と嗅球
においを嗅ぐと成績が良くなる?
嗅
覚
路
アロ マテラピ ー
出典:「感覚の地図帳」、山内昭雄・鮎川武ニ、講談社、2001年発行
森林浴
出典:「感覚の地図帳」、山内昭雄・鮎川武ニ、講談社、2001年発行
嗅覚の順応
出典:「感覚の地図帳」、山内昭雄・鮎川武ニ、講談社、2001年発行
アロマセラピーにおける、
エッセンシャルオイル(精油)とは?
エッセンシャルオイル即ち精油とは
☆ 植物から水蒸気蒸留、圧搾法などの方法より抽出され
た揮発性の芳香性物質で、100種類以上の成分を含有し ているものもある。
● 植物における精油の働き
1.多種成分で構成 ∼類似成分、拮抗成分、未知成分∼
= BALANCE & HOMEOSTASIS =
2.高度な代謝経路(二次代謝)
= 薬理作用を有する成分
エッセンシャルオイル即ち精油とは
● 精油の利用価値
1.アルコール、アルデヒド等の成分による、高い殺菌効果
= 抗生物質のように単離された一成分ではないため、
菌は耐性をつくりにくい。
腎・肝障害などの副作用を起こしにくい。
2.植物ホルモンの存在
= ステロイド骨格を持った成分を含有するものもあり、
エストロゲン様作用を呈す。
3.脳への作用
= 芳香性を持つため、嗅球を通して大脳辺縁系を刺激。
視床下部(『欲』、『本能』の脳)に隣接する海馬
(『記憶』『言語』)、扁桃核(『情操』『好き嫌い』)
に影響。
→前頭連合野、側坐核(『やる気の脳』)→自律神経系
※ 本能的な生命維持のコントロールのみならず、ストレスのコントールに関与。
※ 精油は脂溶性であるため、血液−脳関門を通過する
植物の代謝経路
植物の代謝経路
リグニン
クマリン
植物の代謝経路 桂皮酸
インドールアルカロイド
フェニルアラニン
トリプトファン
炭水化物
解 糖系
ペントースリン酸
回路
アセチルCoA
クエン酸
回路
プロリン
ピロリジン
アルカロイド
シキミ酸
エリスロース
−4−リン酸
加水分解性 タンニ
ン
ホスホエノールピルビン酸
フラボノイド
縮合タンニン
メバロン酸
オルニチン
トロパン
アルカロイド
イソペンテニルピロリン酸
テルペン
カルチノイド
弾性ゴム
ステロイド
吉田精一他 「高等植物の二次代謝」より
植物の代謝経路より生合成される各アルカロイドの構造
植物の代謝経路より生合成される各アルカロイドの構造
アルカロイド
フェニルアラニンを前駆体とするアルカロイド
トリプトファンを前駆体とするアルカロイド
オルニチンを前駆体とするアルカロイド
吉田精一他 「高等植物の二次代謝」より
植物の代謝経路より生合成される各テルペンの構造
植物の代謝経路より生合成される各テルペンの構造
モノテルペン類
テルペン
セスキテルペン類
ジテルペン類
トリテルペン類
吉田精一他 「高等植物の二次代謝」より
医療におけるアロマセラピー
・ 精油の持つ、広範囲な抗菌作用を利用
・ エストロゲン様作用(ステロイド骨格)を持つ精油
……クラリセージ,etc
◆ 皮 膚 科: ブドウ球菌(+)のアトピー性皮膚炎
2∼3%ティートリー軟膏
◆ 整形外科: 腰・関節痛にマッサージ、手浴、足浴
ローズマリー、ラベンダーetcのブレンドオイル ◆ 産婦人科: 分娩室での使用(妊婦とスタッフのリラックス)、
生理不順、更年期の不定愁訴の改善
テ
ィ
ート リ
ー のグラ フ
ティートリーの主要含有成分比
セスキテルペン その他
酸化物
モノテルペン・
アルコール
モノテルペン
炭化水素
γーテルピネン
αーテルピネン
αーピネン
パラシメン
その他
テルピネン
その他
酸化物
セスキテルペン
その他
NARD「113ケモタイプ精油事典」より
ティートリーの構成成分・効能効果
NARD「113ケモタイプ精油事典」より
ティートリーの効能推定
1)抗菌作用を持つモノテルペン炭化水素、モノテルペンアルコー
ル、酸化物を多種類含むので、広範囲の感染症に幅広く効果
が期待できる。
刺激のあまり強くない成分で構成されているので、原液塗布、
幼児への使用もできる。
2)30∼45%の高濃度が含まれるテルピネン−4−オールの作用
により、精神面及び副交感神経の強壮効果がある。モノテルペ
ン炭化水素のα−ピネン、モノテルペン系アルコール全般にも
同様な効果がある。
したがって、神経疲労、消化器系などの強壮に効果があるもの
と思われる。
NARD「113ケモタイプ精油事典」より
ラ ベン ダー・ア ン グステ ィ
フォリ
ア のグラ フ
ラベンダー・アングスティフォリアの主要成分比
リナロール
ラバンジュロール
その他
テルピネン−1−ol−4
α−テルピネオール
モ ノテ ル ペン
ア ルコ ー ル
エステル
ボルネオール
酢酸リナリル
酢酸ラバンジュリル
酢酸−1−オクテン−3−イル
その他
NARD「113ケモタイプ精油事典」より
ラベンダー・アングスティフォリアの
構成成分・効能効果
NARD「113ケモタイプ精油事典」より
ラベンダー・アングスティフォリアの効能推定
1)鎮静・鎮痛作用のあるエステル類と、鎮静作用のあるリナノール
を主成分とするので、精神・肉体面でのリラックス効果が期待で
きる。ストレス、不眠症、神経過敏症などへの適用が考えられる。
2)エステルには、肌の炎症を抑える働きがあるのと、モノテルペン・
アルコールの感染症に対する働きによって、各種の皮膚疾患の
手当てに使用することが考えれる。
3)刺激の強い化学成分(例えばケトン類)を、痕跡程度あるいはご
く微量にしか含まないので、幼児・妊婦・老人にも安心して与えら
れる。但し、このケトン類が瘢痕形成作用を持ち、火傷などの傷
痕を治す働きをするので、火傷などに対しては、ラベンダー・スト
エカス又はラベンダー・スピカ、ラベンダー・スーパーの方が効果
が高いと考えられる。火傷の痛みを抑える上では、エステル類を
多く含むこのラベンダー・アングスティフォリィアがより有効であ
る。
NARD「113ケモタイプ精油事典」より
ラ ベン ダー・ス
ト
エ カ スのグラ フ
ラベンダー・ストエカスの主要含有成分比
その他
モノテル ペン炭
化 水素
ケトン類
フェンコン
カンファー
αーピネン
カンフェン
その他
その他
NARD「113ケモタイプ精油事典」より
ラベンダー・ストエカスの
構成成分・効能効果
NARD「113ケモタイプ精油事典」より
ラベンダー・ストエカスの効能推定
1)瘢痕形成作用を有するケトン類を多く含むため、火傷などの治療に効
果を示すことが期待できる。
ケトン類の持つ脂肪融解作用により、ダイエット用のマッサージオイル
に加えることが出来る。
2)刺激の強いケトン類を高濃度に含むので、原液の塗布、幼児・妊婦へ
の使用が出来ない事がわかる。
「ラベンダーは原液使用ができる。」といった説は、この種類のものに
は適用できない。注意が必要である。
NARD「113ケモタイプ精油事典」より
∼アロマセラピー睡眠療法∼
精神科病棟での結果報告
精油の主な働き
• ラベンダー・アングステフォリア:
鎮静作用、鎮痛作用、香りが強いときはリ
フレッシュ、ほのかに香るときはリラックス
作用を持つ。
テートリィ:広範囲な抗菌作用を持ち且つ安
全な精油。構成成分のαピネンは森林浴
の清清しさの成分である。
ゼラニュウム:花様の香り。ホルモンバランス
をとり、スキンケアによく使用される。鬱的
状態の改善にもよい。
アロマクリーム
Rp)
ラベンダー・アングスティフォリア 7dps
ティートリー 3dps
ゼラニウム 2dps
ザーネ軟膏 20g
アズノール軟膏 20g
親水軟膏 10g
精油 1dp → 0.05mL
アロマ睡眠療法結果
青木 藩(医師)、山下 真理(薬剤師、アロマセラピスト)
平成22年4月∼10月 札幌太田病院
<目 的>
本療法は眠剤投与と同時、もしくは直前にアロマ軟膏を胸部、もし
くは鼻下に塗布し就寝の条件付け、香りによるリラックス効果等か
ら眠剤の減薬、中止を目的とした療法のトライアルである。
<対象者>
1F病棟(開放)
4人(6人中)
2F病棟(閉鎖)
5人
3F病棟(認知症) 1人
3人
介護病棟
13人
計
<結 果>
眠剤の中止、減薬者:9人
9/13≒70%に効果あり
アロマ睡眠療法経過表
1F
氏名(性 別)
A.K.( M)
病 名(年齢 )
S( 62)
期間
4/8∼
M.K.(F)
AL( 53)
5/6∼
Y.T.( F)
2F
氏名
S.K.(M)
S( 75)
5/6∼
病 名(年齢 )
AL.、
D T(7 4 )
T.K.(F)
M.M.(F)
3F
氏名
T.I.(F)
処方
眠剤の 処方はな し
(不 眠エピ ソード )
マイスリー( 10) 1T
エリミン( 5)1T /vds
エリミン( 5)1T /不眠 時
エリミン( 5)1T /不眠 時
経過
アロマクリームを塗布してもらう ことによ り安心し
良眠 が得られてい る。
エリミン の不眠時は 中止、マイスリーは不眠 時へ
入眠 までの 時間を考えで マイス リーをとめ
レ ンド ルミン1Tの処 方で対応。
6/3以降 、眠 剤なしで良眠 経過している 。
期間
4/8∼
処方
イソミタール0.2g
ブロバリン0.3g /vds
D P(48)
4/8∼
ベゲタミン B1T /v ds
S( 46)
8/12∼
エリミン( 5)1T /不眠 時
経過
イソブロ0.3g/ねる前 ∼ド ラール (15)1T/ねる前
∼
0.5T/ねる前 からマ イス リー(10)1T/不 眠時
アロマの 感触はよ いが不 安で薬は絶 対変えて ほ
しくない。担当 医がロ ヒプノール(1) 1T/ね る前に
変更 で眠れて いる 。
9/24以降 エリミンなしのアロマの みで良眠
病 名(年齢 )
D T(81)
期間
6/24∼
処方
マイスリー( 10) 1T /vds
経過
8/12よ り眠 剤なしで良眠 経過している 。
介護
氏名
I.O.(F)
病 名(年齢 )
D T(71)
期間
6/24∼
Y.N .(F)
D T(70)
6/24∼
処方
ロヒプロール (1)1T
マイスリー( 10) 1T
ロヒプロール (1)1T
エリミン( 5)1T /不眠 時
経過
7/22中止 して も変化 なし。アロマ での変化 も観察
不可 。アロマ 中止。
7/15よ りロ ヒプノ ール中止 。エリミン は継続。改善
判断 つかずアロマ 中止。
S:統合失調症 AL:アルコール依存症 DT:認知症 DP:うつ病
∼認知症とアロマセラピー∼
日本国の認知症
2007年より我が国は高齢者社会で
はなく、超 高齢者社会となった。
*高齢化率>21%
*平成32年では
4800万人(高齢者)中300万人(認知
症高齢者)といわれる。
認知症の原因となる脳内異常タンパク質
代表格:アミロイドβ
脳,腎臓に多くこの前駆物質は神経細
胞にダメージを与えるといわれる。
この現象は発症前(約10年)にはじまっ
ている ← 予防の必要性
検査法
CT,MRI検査で脳のびまん性萎縮
之に先行して頭頂後頭葉の血流低下
がみられる←検査費高い
ADの薬物療法
*アリセプト(軽∼高)
アセチルコリン分解酵素阻害
*レミニール(軽∼中)
ニコチン性アセチルコリン受容体の感受性を亢進
*リバスタッチ(軽∼中)
ブチリルコリンエステラーゼ阻害(貼り薬)
*メマリー(中∼高)
NMDA受容体阻害:神経細胞のアポトーシス(自然死)時に
流入するCaイオンを阻害
ADに関する最近の話題
うつとの関連
既往症、入院回数によるリスク
進行も早く、うつ病合併の軽度認知障害
では合併なし約三倍となる。
嗅覚との関連
症状の第一歩が嗅覚の衰えといわれる。
植物と人間の深い関わり:精油のもたらす
匂い刺激は直接、情動と記憶への働きか
けとなる。
ADの予防因子
*適度な運動
*知的刺激を伴う余暇活動
*魚不飽和脂肪酸の高摂取
*ポリフェノール摂取
ex赤ワイン・チョコ、果物、野菜
*スパイス
クルクミン(ウコン)、こしょう(ピペリン)
ADの非薬物療法
*記憶障害への介入(リハビリ)
*回想法(自分への価値観の自覚)
*家族、友人とのコミェニケーション
*適度な運動
exウォーキング:海馬、帯状回からのΘ波(4∼
7ヘルツ)で体験の記憶、行動の選択
波、即ち脳のリズムによる記憶
ブレインクリーム
Rp )
タンジェリン 4 dps
ティートリー 3 dps
ローズマリィ 3dps
白色 ワセリン 100g
精油 1dp → 0.05mL
成分からの対応
• 認知症における周辺症状の改善
• 抑肝散加陳皮半夏
• 陳皮の成分:ノビレチン(記憶低下改善)
• Nobiletin 3,4',5,6,7,8-Hexamethoxyflavone
認知症に期待される精油1
• 柑橘系精油(ノビレチン):抗がん作用、記憶学
習改善
ノビレチンはポリメトキシフラボノイドの一種。
• 神経成長因子様作用による神経ネットワークの
破綻の修復、記憶学習関連シナプスの長期増
強:中部大学生物機能開発研究所
認知症に期待される精油2
αピネン
•α-pinene(bicyclic)C6H10
ティトリー (モノテルペン80%αピネ
ン10%) :コリンエステラーゼ阻
害薬のドネペジル(アリセプト)のコ
リン作動性が吸入によってみられ
た。
αピネンによる脳内アセチルコリン
の上昇(近畿大学リエゾンセンター)
ローズマリー(モノテルペン35%αピ
ネン15%):抗酸化作用、血液循
環を促進し記憶、作業能率を高め
る。
認知症に期待される
アロマの効用
• 認知症の初期症状の一つとして嗅覚の低
下が上げられる。
• 柑橘系の爽やかな香りで脳を刺激。
• 成人脳神経細胞の幹細胞が嗅球で生成
• 嗅覚への刺激は単にイメージや記憶回想
だけでなく脳神経細胞を腑活化し生きるエ
ネルギーを向上させるものである
アロマ回想法
回想法
∼匂いの記憶を呼び戻す∼
∼匂いの記憶を呼び戻す∼
札幌太田病院 薬剤師
IFA認定アロマセラピー講師
山下 真理
アロ マ回想法とは
アロマ回想法とは
ブレンドされた精油の香りを
目を閉じて聴き、思い浮かんだことを
自由に語ってもらう、カウンセリングの一種である。
嗅覚の海馬などへの刺激により、様々
な記憶、感情を引き出す事が可能な
メソッドである。
精油部位別表
根(Rooties)
種子 (Seedies)
アニスシード、コリアンダー、
クミン、パセリシード
樹脂・樹液
(Resinies)
ジンジャー、
ターメリック、ベチパー
フランキンセンス
ベンゾイン、ミルラ
スパイス(Spicies)
葉(Leafies)
クローブ、シナモン、ターメリック、
ナツメグ、ブラックペッパー
サイプレス、ティートリー、
パイン、ユーカリ
小枝・樹木・木屑・削り屑 (Woodies)
サンダルウッド、シダーウッド、
パイン
花(Florals)
イランイラン、ジャスミン、
ネロリ、マリーゴールド
ハーブ(Herbies)
オレガノ、タイム、バジル、
ローズマリー
果実(Fruities)
オレンジ、ベルガモット
レモン
アロマ回想法風景
大脳辺縁系と嗅覚神経
帯状回
視床前核
嗅球
嗅索
脳弓
扁桃体
海馬
Papezの情動回路(Papez`s
Papezの情動回路(Papez`s circuit)
circuit)
海馬→脳弓→乳頭体→乳頭視床束→視床前核→帯状帯→海馬という閉鎖回路。
海馬→脳弓→乳頭体→乳頭視床束→視床前核→帯状帯→海馬という閉鎖回路。
この回路が
この回路が 感情
感情 の働きを規定し、
の働きを規定し、 記憶の座
記憶の座 と考える人も多い。
と考える人も多い。
海馬
帯状回
脳弓
視床
前核
乳頭体
乳頭
視床束
大脳辺縁系における嗅覚中枢とPapez回路の関係図(1)
大脳辺縁系における嗅覚中枢とPapez回路の関係図(1)
脳弓
嗅索
海馬釆
嗅球
嗅神経
扁桃体
海馬傍回
神経 第1部 解剖学および生理学 第1版より(日本チバガイギー(株)発行)
症例1(女性:30才代)
○症状:不眠、抑うつ、食欲不振(体重減少)(外来)
○背景: 夫の転勤、一人娘の中学受験、孤立感
○処方: フルボキサミン(25) 3T/日 アルプラゾラム(0.4)3T/日
トリアゾラム(0.25)1T/日
○アロマ回想法での反応
Floras:(微笑)学生時代、アメリカへ短期滞在し楽しかった
大学の花壇が美しかった(夏)、
外国の寮の部屋の匂い、ルームメイトの女の子
⇒こんなに次々と思い出が展開できるのは初めて。
Woodies:新しい家の匂い、自分も一人っ子で早く大人になりたかった
良い子であったが がまんしていた。言いなりはいや!
症例1の考察
考察
無意識にある責任感で自分や家族を縛っている。子供の教育、夫
の仕事 云々ですっかり忘れていた学生時代のことを思い出し、リラッ
クスし自分を開放することに気付く。
さらに、花の香りが好きということでジャスミンの精油を嗅いで頂く。
Jasmin :子供の頃、街に来たサーカスの像の檻の中の匂い。
懐かしい。花の香りなのに不思議。 糞便を希釈していくと花の良い香り(ジャスミン)になるという。
即ち、象の檻の中の匂い=象の糞便=スカトール
スカトール(メチルインドール)とジャスミン(インドール)、
この共 通 項に彼女は鋭く反応したのである。
ジャスミン &スカ トール
Jasmine &
Skatole
& Skatole
Indole
Methyl Indole
CH3
症例2
・病名:神経症、気分障害、不安抑うつ状態 ・年齢、性別:40代女性
・処方:塩酸セルトラリン(SSRI)、
フルニトラゼパム(眠剤、筋弛緩作用あり)
・高卒、OL、先輩のいじめで一年で退職→うつ傾向
・母(くも膜下出血)の看病→気分の落ち込み
・同棲相手と結婚、夫の暴力、病気への不理解、流産で離婚
→前後して家に閉じこもる
・来院時の訴え;不眠、イライラ、ソワソワ感、
生きていてもしょうがない(自殺企図なし)
症例2
(アロ マ回想法)
アロマ回想法
就眠時間のずれ
朝だるく昼まで起床できない
ネロリ
思い出された事
成分:
リナロール(25∼30%)
・ハーブのイメージ
(木に付いた苔)
コリアンダー、タイム
主な成分:リナロール(60∼80%)
引き出された事
・子供時代の
植物との関わり
・自然との関わり
人間らしさ
/自分らしさ
考察
朝の光、窓、空気、呼吸
生活習慣のずれを修復
症例3 (アロマ回想法)
・病名:混合性抑うつ状態、遷延性抑うつ反応
・処方:現在は本人の希望により服薬はなし
(以前SSRI、抗不安薬、オランザピン、SEあり)
・就職するも気分の落ち込み、脱力感で一年で退職、次も
悪口を言われている思いが強くなりメンタルクリニック
に通院。再就職するが人間関係のトラブルから不安感、食欲
不振、感情失禁などで退社
・主訴:不眠 、気分の落ち込み、感情失禁
症例3(アロ マ回想法)
アロマ回想法
レモン
リモネン
リナロール
フルーティ
レモン
グレープフルーツ
ベルガモット
ベンゾイン
安息香酸
コンフィニル
思い出された事
引き出された事
ガム、小1公園近所の子、
兄(9歳上)とは遊ばない、
嫌い(窓から落とそうとした)
ガム、中2、学校が嫌い、
イジメ(兄と同じ名前、似
ている)
甘いケシゴム、パステル系
のピンク、気の合う子としか
話さない、転校先の男の子
がイヤ、客観的に周囲を観
る、匂いってすごい
・自分をイジメそうな
子を、すぐ見抜く
・相手に意識の
サインを送っている
考察
・仕事そのものより人間関係にポイントを置いている。
・いじめる側の心の弱さ、‘愛されたさ’を慮る(いじめていた子の母は、仕事で子供に
かまっていなかった。
・いじめる側より、いじめられる側のほうが本当はまだみじめではないことへの気付き。
PTSDとCRFの相関図
PTSDとCRFの相関図
視床下部
視床下部
(H)
増加
PTSD
萎縮
CRF
下垂体前葉
(P)
海馬
拮抗?
抑制?
SSRI
AROMA
ACTH
副腎皮質
(A)
活性化
抗ショックホルモン
抗ストレスホルモン
低下
ストレス
薬学を取り囲む背景の変化
医療の高度、複雑化に伴い、平成4年に「医療法」が、平成8年には
薬事法・薬剤師法が改正され、それまでの医療の分野で法的に不明確
であった薬剤師の立場が、明確に医療の一貫を担う職種として位置づけ
られた。
医療分業が進み、患者への服薬指導や情報提供など薬局薬剤師への
認識が重要さを増してきた。
さらに、病院においては高度・複雑化する治療や医薬品に関わる対応に
限界が生ずることから、薬剤師への存在と期待が大きくなってきた。
以上を踏まえ、薬学教育改革の必要性は、現場薬剤師からの声で
あったことも、改めて認識しなければならない。
(財)日本薬剤師研修センター認定実務実習指導薬剤師養成講習会テキストより引用
薬学教育モデル・コアカリキュラム
ヒューマニズムについて学ぶ
<一般目標>
生命に関わる職業人となることを自覚し、それに相応しい行動・態度を
とることができるようになる為に、人との共感的態度を身につけ、信頼
関係を醸成し、さらに生涯にわたってそれらを向上させる習慣を身につける。
生と死
<一般目標>
生命の尊さを認識し、人の誕生から死までの間に起こりうる様々な問題を
通して医療における倫理の重要性を学ぶ。
(財)日本薬剤師研修センター認定実務実習指導薬剤師養成講習会テキストより引用
業種別にみた薬剤師数
薬剤師総数 :25.3万人
(医師:27.8万人、歯科医師:9.7万人)
薬局 :125,254人(49.6%)
病院・診療所 :48,964人(19.4%)
医薬品販売業 :15,285人(6.1%)
医薬品製造業 :30,130人(11.9%)
大学 :8,845人(3.5%)
行政 :5,951人(2.4%)
その他 :18,086人(7.2%)
(財)日本薬剤師研修センター認定実務実習指導薬剤師養成講習会テキストより引用
薬学での共用試験
OSCEステーションの提案
接遇
薬剤の調製
調剤鑑査
無菌操作の実践
情報提供
(財)日本薬剤師研修センター認定実務実習指導薬剤師養成講習会テキストより引用
今どきの医療職学生像
看護学生に聞きました。
「自分を“大人”だと思っているか?」
140人中1人
・「大人だと思っている」
ブルー
・「大人だと思っていない」
ピンク
・「分からない」
イエロー
(財)日本薬剤師研修センター認定実務実習指導薬剤師養成講習会テキストより引用
学習者を動機づけるARCS
Attention 面白そうだ
Relevance 役立ちそうだ
Confidence やればできる
Satisfaction やってよかった
(財)日本薬剤師研修センター認定実務実習指導薬剤師養成講習会テキストより引用
目標
評価
教育とは、学習者に
価値ある変化を
もたらす
プロセスである。
方略
学習者
(財)日本薬剤師研修センター認定実務実習指導薬剤師養成講習会テキストより引用
チームとは Cure
薬剤
師
医師
看護
師
栄養
士
PT
放射
技師
OT
医師
検査
技師
ST
MSW
HK
介護
助手
事務
職
介護
士
クラーク
(財)日本薬剤師研修センター
認定実務実習指導薬剤師養成講習会テキストより引用
チームとは Care
薬剤
師
医師
看護
師
栄養
士
PT
放射
技師
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ご家族
検査
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MSW
HK
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クラーク
(財)日本薬剤師研修センター
認定実務実習指導薬剤師養成講習会テキストより引用
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健康問題
放射
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(財)日本薬剤師研修センター
認定実務実習指導薬剤師養成講習会テキストより引用
ケア-キュア-シェ ア
Cure
Care
Share
たまたま生じた健康上の出来事に際して、
患者さんにも医療に参加していただく。
健康上の出来事が生じた方の人生に、
医療者が参加させていただく
(財)日本薬剤師研修センター認定実務実習指導薬剤師養成講習会テキストより引用
人生に
参加
医療者は患者さんの人生に参加させていただくもの
で、医療者であるがゆえに患者さんの人生ドラマの登
場人物になれる。
教師は学生さんの人生に参加させていただくもので、
教師であるがゆえに、学生さんの豊かな人生ドラマの
登場人物になれる。
(財)日本薬剤師研修センター認定実務実習指導薬剤師養成講習会テキストより引用
アロマタッチ
アロマタッチ・コースのガイダンスノート
アロマセラピー実技はIFA登録講師によって教えられる。
研修講師はコースの専門特定分野の要素に関してのみ教えてよい。
コースを補佐するために、講演者を呼んでもよい。
すべてのIFA学生は、IFA試験官に査定される。
監督下の学習
時間
非監督下の自習
時間
解剖生理学
5
3課題
ホリスティック・アプローチと統合生物学
3
アロマセラピー理論
3
2課題
皮膚、タッチとマッサージ
10
12実習
精油
10
6
4
12実習
35 +
35=70時間
学習時間数
マッサージ、クライアントケアと記録管理
35時間の講義は、全日かけて(5日間で)行われる。
35時間の自宅学習は、コースの講師が同意した実習課題とする。
養成中のアロマタッチ・プラクティショナーは、その作業場所の使用目的に
対して保険をかけられていること、その場所の使用に関して合法であること、
消防法、環境保全などが守られていることを確認する責任を負う。
ケアの定義
ケアの定義
「ケアラー」と言う言葉は、援助を必要とする人とのかかわりを表します。
ケアラーとは、子供、支援を必要とする成人、老人などのウェルビーイング
に対して責任を持つ人々です。
ケアとは、以下のことを行うことによって、誰かの世話をしたり、気を配ること
と言うことができます。
密接な配慮
その人のニーズに対する注意深い援助
案じることと関心を持つこと
何かに対して実際的に力になること
優しく愛のこもったケアとは、思いやりを持つこと、案ずること、定義されます。
いつくしみとは、実際的で感情的なケアを与えることと定義されます。
オキシトシンについて
オキシトシンについて
オキシトシン
CD38はリンパ球の増殖を活性化する膜タンパク質として発見された。その
後、脳にも発現していることが報告されたが、その生理機能は不明であっ
た。今回我々は、CD38遺伝子欠損マウス(1999年に東北大岡本ら作出)が
飼育過程でよく動き回ることに気づき、詳細に行動解析を行った。その結果、
雌の養育行動と、雄が雌を認識し記憶する能力に障害があることがわかっ
た。同様の異常はオキシトシンあるいは、その受容体欠損マウスで報告され
ていること から、CD38遺伝子欠損マウスのオキシトシン濃度を測定したとこ
ろ、血中、髄液中ともに野生型の半分程度しかなかった。オキシトシンの産
生放出元である 視床下部、下垂体にはオキシトシンが充満していたことか
ら、オキシトシンの放出に障害があると考えられた。単離した視床下部神経
細胞や下垂体後葉軸索末端 を用いた実験で、CD38が合成するcADPRが、
リアノジン感受性細胞内カルシウム貯蔵庫からのカルシウム放出に重要で
あること、このカルシウム放出が ないとオキシトシン放出システムが駆動しな
いことを明らかにした。本研究で観察されたマウスの行動異常は、「人を認
識・記憶し信頼する能力」が希薄になっ ている人の自閉症を含む発達障
害者の行動に類似しており、「人と人の間にある絆・愛の生物学的基礎」の
一端の解明に寄与したといえる。
日本生理学会(http://physiology.jp/exec/page/stopics52/)参照
オキシトシン 図
日本生理学会(http://physiology.jp/exec/page/stopics52/)参照
ご静聴ありがとうございました