第73回 日本核医学会関東甲信越地方会 2010年7月3 日(土) PET-CTにおけるDeep-Inspiration Breath Hold 法の収集時間の検討 公立大学法人 横浜市立大学大学院医学研究科 放射線医学 西山 雄治、宮下 公一、立石 宇貴秀、井上 登美夫 公立大学法人 横浜市立大学附属病院 放射線部 杉山昌弘、尾川松義、青木美奈子、安西桑一、安樂摩美 野村和人、廣野圭司、臼井淳之、雫石一也 背景 PET-CTの普及に伴い、RIの集積部位をより正確 に判別することができるようになった。 しかし、呼吸動の不一致によりPET-CT特有の アーチファクトが出てくるようになった。 (PET:自由呼吸 CT:呼吸停止) 従来の自由呼吸法 目的 PET-CTの呼吸による吸収補正の改善 1. 基礎実験で十分な収集時間を求める 2. DIBH法による複数回PET収集の加算画像と、 従来画像を比較する 呼吸動のある部位における吸収補正を改善させる 検討を行った。 使用機器 PET-CT装置:東芝社製Aquiduo16 (PET-CT) ウェルカウンター ファントム ・円柱型 実験 1 収集時間の違いによる放射能濃度の測定 円柱型のファントムに、FDG21.4MBq (2.5MBq/kg)を注入し、 注入後60分から測定を開始した。 1回10秒収集を15回実施し、合計収集時間が10秒から150秒 の加算画像を作成した。 連続収集画像を20秒∼150秒まで10秒ごとに作成した。 10秒ごとの加算画像と連続収集画像の収集時間と放射能濃 度変動係数のグラフを作成した。 Slice:41slice(寝台の長軸方向中心) 大きさ:ファントム径の80%領域 実験 2 臨床画像におけるDIBH法と自由呼吸FB法の比較 実験1.より求めた収集時間で、臨床においてDIBH 法による収集を行い、以下の方法にて従来のFB法 画像との比較を行った。 ①肝臓上縁部と1スライス頭側のSUV ②肝臓上縁部の最大径測定 ③大動脈弓部から肝臓までの長さ測定 ④肝膿瘍と肺炎の臨床画像比較 結果 1 収集時間の違いによる放射能濃度の測定 0.5 0.45 0.4 0.35 0.3 0.25 0.2 0.15 0.1 0.05 0 連続収集における放射能濃度の変動係数 0.4 0.35 0.3 変動係数 変動係数 分割収集における放射能濃度の変動係数 0.25 0.2 0.15 0.1 0.05 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 収集時間(10秒×加算回数) 0 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 収集時間 総収集時間80秒 収集時間80秒 この結果と実際の患者の呼吸状態を考慮し、12秒×8回 平均値±標準偏差 : 1914.56±350.271 平均値±標準偏差 : 1746.23±326.264 計96秒間のEmission収集を標準の収集時間とした。 変動係数 : 0.183 変動係数 : 0.193 結果 2 臨床画像におけるDIBH法とFB法の比較 ①肝臓上縁部と1スライス頭側のSUV 肝実質部分のSUV : FB 1.77±0.14 DIBH 1.75±0.09 肝臓の1スライス頭側 : FB 1.28±0.12 DIBH 0.54±0.08 ②肝臓上縁部の最大径測定 FB : CT上75mm PET上87mm DIBH : CT上73mm PET上74mm PET/CT=1.17 PET/CT=1.02 結果 2 臨床画像におけるDIBH法とFBの比較 ③大動脈弓部から肝臓までの長さ測定 FB : 111mm DIBH : 122mm ④症例による画像の比較 FB : CT画像で肺野部分にFDGのカウント が撮像されている。 DIBH : CT上の肝臓のエリアとFDG-PETの カウントエリアがほぼ一致している。 結果 臨床画像の比較:①横隔膜の動き Deep-Inspiration Breath-Hold 従来の自由呼吸法 結果 臨床画像の比較:②肝膿瘍 Deep-Inspiration Breath-Hold 従来の自由呼吸法 結果 臨床画像の比較:②肝膿瘍 Deep-Inspiration Breath-Hold (Coronal画像) 臨床画像の比較:③肺炎 Deep-Inspiration Breath-Hold 考察 撮像時間と画質の検討 ・ カウントは総合の収集時間にほぼ依存し、合計収集 時間が同じであるならば連続、分割収集はかなり近 い画像になる。 ・ 12秒の息止めがつらい場合は8秒収集を12回行うな どの工夫をして撮像することも可能であると考えられ る。 結論 本撮像法の実施により比較的楽に横隔膜周辺臓器 の画質の向上が実現できる。 また浅い呼吸を短時間に繰り返すような症例にお いても、撮像を工夫することで、従来よりもクリアな画 像を収集でき、臨床上有用であると考える。 ご清聴 ありがとうございました。
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