大阪市立科学館研究報告 22, 81-84 (2011) サイエンスショー「きれいな光イロイロ」実施報告 小 野 昌 弘 * 概 要 2011 年 6~8 月 期において、サイエンスショー「きれいな光イロイロ」を実施した。化 学反応、薬 品の特 性による発 光 など化 学 年にふさわしい内 容とした。基 本 的には 2006 年に実 施 したサイエンスショー「光 れ!もえろ!かがくパワー!」に準じるが、変更 点などを中心に、その内容を報告する。 1.はじめに ペンの芯に約10V の直流電圧をかけ、発光するようす 普 段 の生 活 の中 で、私 達 は、光 の出 かたなどという を確 認 していた。これまでの実 験 では、熱 くなって光 る 思考を持たない。しかし、星の光や夜 景で見 ることがで ということを口 頭だけで説 明 していたが、今 回 は、発 光 きる光 、キャンドルファイヤーなど、身 近 なところにはき しているシャープペンの芯 にロウソクを近 づけることで れいな光 を出 すものがたくさんある。その光 の出かた、 火がつくことを確認した。 光 の色 について身 近 なものを用 い て紹 介 し、 発 光 現 象 に興 味 関 心 を喚 起 できるような実 験 を用 意 し、見 学 ②ブラックライトによる発光 していただいた。 何も描かれていないように見る白いボードにブラックラ 2.実験 今 回 のサイエンスショーで行 った実 験 内 容 を以 下 に 示す。 ①電気の力による発光 ②ブラックライトによる発光 ③ルミノール発光 ④ケミカルライトの発光 ⑤電子レンジによる火の玉 ⑥炎色反応 ⑦炎色反応ロケット 基 本 としては、2006 年に実 施した内 容 をベースとして 実 施 しているため、詳 細 については、その内 容 を記 し た、大阪市立科学館研 究報告誌 第 17 号 (2007)(小 野)に譲る。 主に上記内容に追加したものについてみていく。 ①電気の力による発光 白 熱 電 球 の発 光 は、フィラメントに電 気 が流 れて、そ の抵抗により発熱し、発 光する。本 実験では、シャープ 白いパネル(写真 1:上)にブラックライト * (375nm)を照 射すると写真 が確 認できる 大阪 市 立 科学 館 (写 真2:下 )。 -1- 小野 昌弘 イトを当 てると、風 景 写 真 が浮 かび上 がる絵 を 用 意 し していた塩 化 ストロンチウム並 びに、塩 化 銅 入 りのメタ た。 ノールを燃 料 として、ペットボトルロケットを打 ち上 げた。 透 明 なペットボトルの中 で、赤 や緑 の炎 が渦 巻 き急 上 ④ケミカルライトの発光 昇 していく様 子 は、圧 巻 である。ロケットの発 射 する勢 株 式 会 社 ルミカの協 力 を経 て、化 学 発 光 液 を安 価 いが強 いため、炎の確認 がしにくいかという懸念もあっ で購 入 することができ、それらを使 用 して、実 験 を行 っ た。しかし見学 者は、実験 台から数m離 れているため、 た。利 用 した製 品 は、主 に結 婚 式 などのセレモニーで 本 実 験 が観 察 しやすく透 明 なペットボトル内 で起 きて 利用しているものである。 いる燃焼、並びに炎色反応が良く確認できていた。、 この 2 色については、透明なペットボトル内で、ストロ ⑦炎色反応ロケット ンチウムの赤 色、銅の緑 色が確 認 できた。なお、ロケッ 本サイエンスショーの前期 間に実 施していた「ロケット トの打ち上げについては、本誌 75 ページ「ロケットのド のドキドキ実 験 」(企画 :斎藤 吉 彦)の中 で行なっていた、 キドキ実験」に譲る。 ペットボトルロケット実 験 を利 用 した。ロケット実 験 では、 3.内容 光 を出 すには、どのような方 法 があるのか、またどん な光 の色 が作 れるのかという点 を紹 介 するために行 な った実験 である。発 光現 象の原 理が、さまざまなものを 集めたため、内 容が散 漫 な印 象を与 える可 能 性 もある。 そこで演 示 するにあたって留 意 する点 としては、基 本 的 に物が熱 くなって発 光 するというのが身 近にあること を確 認 してもらった上 で、その他の発 光 現 象の仕 組 み に興 味を持 ってもらう実験 を行った。ブラックライトの発 光 も紫 外 線 のエネルギーによって、身 近 な物 がさまざ まな色で発 光するということに、見学 者は関心 を持って くれた。尚 、新 規 に用 意 したブラックライトで像 が浮 か び上 がる写 真 以 外 に、サイエンスショー内 で発 光 を観 察したものは、以下のとおりである。 表.ブラックライトで発 光させたもの 写真 3 軍手(漂白されたもの) 外国紙幣 洗剤 ピンクカルサイト(方解石) 栄養ドリンク(リポビタン D) 蛍光ペン 1,000 円札 写真 4 写 真 3.4 炎 色 反 応 ペットボト ルロケット 打 ち上 げ。 写 真3はメタノールのみ。写 真4はストロンチウム入り。 写真 5.ブラックライト下で光る外国 紙 幣 。 純 メタノールを燃 料 として、ペットボトルロケットを飛 ば す実 験 を行 っていたが、ここでは、炎 色 反 応 時に利 用 -2- サイエンスショー「きれいな光イロイロ」実施報告 今 回 のサイエンスショーの中 で、筆 者 が行 った実 験 、 炎 色 反 応 ロケットは、見 学者 にとってもかなりインパクト が強 いものになっていた。これは、本 サイエンスショー の前の実験から行っていたものであるが、1.5L のペッ トボトル内 でアルコールを爆 発 させて、飛 ばす実 験 で ある。飛 ぶときの音 と勢 いが激 しい。そのため、単 なる ビックリ実 験になってしまう可 能性が強 い内 容 であるが、 逆 に言 えば、それだけ強 いインパクトを その後 の展 開 に利用しない手はない。 この実 験 を契 機 に本 サイエンスショーの振 り返りを、 意識的に強くすることにした。 「今 回 サイエンスショーではどのような光 の出 方 があっ たのか?」という問いかけを行なった場合、ロケット実験 を行 った場 合 の方 が、返 ってくる声 が大 きく、また、回 答 数 も多 くなる傾 向があった。これは、現 場でのやり取 りの中 での印 象 であるため、正 確 な情 報 にはなり得 な いかもしれないが、最 後 の実 験 が見 学 者 に強 烈 な印 象 を残 したため、強 い興 奮 状 態 になり、積 極 的 に声 を 出すことが多くなったためと推測できる。 最 後 のまとめに、積 極 的 なやり取 りを行 なえるように なり、見 学 者により深い発 光 の種 類の違いや、発 光 方 法について知識を得てもらうことがしやすくなった。 4.参考文 献 ・「サイエンスショー「光れ!もえろ!かがくパワー!」実 施 報 告 」小 野 昌 弘 大 阪 市 立 科 学 館 研 究 報 告 誌 (2007) -3-
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