KurumeUniversi可 PsychologicalResearch2013,No.12,98−105 原著 児童におけるボディパーカッションの効果に関する基礎的研究 白水晶子1).山田俊之2).日高三喜夫3) 要 約 ボディパーカッション(以下BP)はグループでのリズム身体活動を通して達成感が得られる活動 として実践されてきたが,効果に関する実証的な研究はなされていない。そこで,本研究の目的は実 践中心に行われてきたBPの効果について検討することである。第一研究ではBP特有の効力感とし てBP効力感尺度,桜井ら(1990)の領域別効力感尺度の短縮版を作成するために,小学校高学年を対 象に質問紙調査を行った。その結果,尺度のおおよその信頼性・妥当性が認められた。第二研究では, BPの効果について検討するため,小学生高学年児童12名を対象にBPを実施し,BP効力感の向上に ついて検討した。さらに,BP群と統制群(71名)との比較を通して領域別効力感,精神的健康(以下 MHPC)の効果検討を行った。分散分析を行った結果,BP群のBP効力感は向上傾向があることが示 された。また,BP群と統制群の領域別効力感の比較においては,BPの介入後,BP群の領域別効力感 が統制群よりも有意に高くなったことが示された。MHPCにおいては,BP群が統制群より良好であ り,実施前からBP群の精神的健康度が統制群より高いことが示された。結果から,BP実施により児 童の効力感が高まることで,今後,学校適応との関連が期待される。今後の課題として,サンプル数 の少なさや,BP群のMHPCのデータに偏りがあった点,BP効力感,領域別効力感の向上による児童 の行動変化の検討があげられる。 キーワード:ボディパーカッション,児童の領域別効力感,効果研究 力」であり,BPは児童の言語発達の未熟さから,児童 は じ め に 同士での関わりにおいて非言語コミュニケーションの ボディパーカッションについて 役割を重要視している。BP誕生以降,その活動は学 近年,非言語的側面である身体表現に焦点を当て, 校現場に加え,福祉現場,精神科長期入院病棟など様々 児童のコミュニケーションの向上を図る活動として, な領域で実践がなされてきた。BPの有効性について ボディパーカッション(以下BP)が注目されている。 山田(2009)はリズム身体活動を通して自己表現に対 BPとは「体全体でリズムを奏でアンサンブルを作り する自信をつけることができること,リズムを通した 出し,仲間意識や達成感を高め,自己表現やコミュニ 同期性を通して社会性・協調性を育てる活動であるこ ケーション能力を育てる活動」と定義され,学校不適 とを実践事例から導き出している。さらに佐藤(2008) 応児童の適応を促す活動として1986年,山田俊之に は中学校音楽科授業でBPを行い,BPが創造性・即興 よって創められた活動である。BPにおけるコミュニ 性・積極性・協調性・社会性を身につける活動であっ ケーション能力とは「身体表現を通じて,自分の思い たと報告している。以上のように、BPはこれまで, を人前で表現する,他者に自分の思いや願いを伝える 実践事例によって有効性が報告されており,実証的な l)久留米児童相談所 2)九州大学大学院人間環境学府 3)久留米大学文学部心理学科 −98− 久留米大学心理学研究第12号2013 検証はなされていない。 と考えられる。また,活動は,指導者や仲間の身体動 自己効力感について 作の模倣やグループでの発表で構成されていることか 自己効力感(Selfefficacy)とは、望ましい結果を得 ら,BPに関する効力感以外に他の効力感の認知を高 るために必要な行動を行うことができるという確信で める可能性も期待される。そこで.本研究の目的は, ある(Bandura,1977)。ある課題に対して自分がどの BPの実践を通して児童の効力感にどのような効果が 程度自己効力感を持っているかにより,行動の変容が あるかを検討し,実践中心に行われてきたBPの有効 予測することができるため,自己効力感の程度は個人 性について明らかにすることである。 の人格特性と同様に,個人の行動を一般的に規定する 要因となっている(坂野・前田,2002)。自己効力感を 第一研究 変化させる情報源は,①成功体験,②代理的体験,③ 目 的 言語的説得,④生理的・情動的喚起の4つがある。こ れらの情報源を用いて介入を行うことで自己効力感を BPの効果について検討するために,児童用BP効 変化させ,行動変容を促したり,心理的適応を高める 力感尺度及び,領域別効力感の短縮版作成を行うこと ことができる(坂野・前田2002)。 を第一研究の目的とする。 自己効力感は,課題や場面において特異的に行動に 方 法 影響を及ぼす課題特異的自己効力感と,具体的な場面 や課題に依存しない一般的な自己効力感という2つの 調査内容 性別,学年を尋ねるフェイスシートと,以下2つの 水準がある(坂野・東篠,1986)。Bandura(1977)は, 自己効力感の般化が生じる情報源を①課題が共通のサ 質問紙を用いた。 ブスキルを共有していること,②援助的な環境にある (1)BP効力感尺度 こと,③一般的な対処スキルが高められていること, BP効力感を「BPをどのくらいうまくできるかとい ④課題間の共有性が認識されていること,⑤特別な成 う予期」と定義し,BPの実践経験のある指導者と話 功体験があることに分類している(原田ら,2002)。桜 し合い,BP効力感尺度を作成した。その上で,BPの 井(1990),竹中(2002)は成功・失敗体験がある程度 参加経験のあるA小学校の高学年26名(男1名,女 どの課題にも共通の効力感を形成するとしている一方 25名)を対象に,「あなたがボディパーカッションを で,課題特有の自己効力感が存在することを示し,個々 している時のことについてお聞きします。当てはまる の状況,場面,課題に合わせて測定を行う重要性を述 数字に○をしてください」という教示文を基に,8項 べている。 目,4件法で回答を求めた。 児童の自己効力感に関する研究 (2)領域別効力感尺度短縮版 児童の自己効力感に関する研究は,福井ら(2008) A小学校及びB小学校の高学年111名を対象に調 による児童の自己効力感と精神的健康との関連,戸ケ 査を実施。桜井(1990)の児童用領域別効力感尺度か 崎・坂野(1997)による児童の自己効力感と社会的ス ら,児童の負担を考慮し,学業達成,運動.友人関係, キル・学校不適応の関連など,現在まで数多くなされ 自己の4因子から4項目ずつを抽出。さらに,抽出さ てきた。また,小田ら(1995)は学業達成,運動,友 れた項目の中から,現職の教師の指導のもと,質問が 人関係の3領域で適応的な態度を示している児童は自 対象児童にそぐわないと思われる質問を尺度の特性を 己効力感が高いことを報告し,児童が学業,運動,友 損なわない程度に訂正して用いた。16項目,4件法。 人関係といった具体的場面において自信をつけること で,児童の自己効力感を高めることができることを示 結果と考察 した。松田・鈴木(1990)や鈴木ら(1991)は効力感 の発達的変化について,全体的に学年をおって低下し (1)BP効力感尺度 BP効力感尺度8項目において,最尤法,プロマツ ていることを報告しており。この報告は桜井(1987) の調査結果とほぼ一致するものである。 クス回転による因子分析を行った(表l)。因子負荷 BPと自己効力感 量の大きさを考慮した結果,6の「BPの時,しっぱい BPは手拍子などの簡単なリズム身体活動で構成さ した子をはげますことができる」を除き,l因子7項 れており、BPにおいても特異的な効力感が存在する 目となった。平均値は22.5.標準偏差3.70,Cron‐ −99− 児童におけるボデイパーカッションの効果に関する基礎的研究 bachのα係数はα=.866であり,高い内的整合性が BPの効果指標として児童の精神的健康についても検 認められた。さらに,BPを1回のみ経験した児童と, 討を行うことで,実践中心に行われてきたBPの効果 BPに2回以上参加した経験のある児童とで群分け について明らかにする。 し,1要因の分散分析を行った結果,有意な差が認め 方 法 られた(F(1,24)=17.63,p<,01)。このことより, BPをより多く経験した児童は,1回のみ体験した児 研究デザイン:介入有無と時期を要因とする2要因分 童よりもBP効力感を高く認知していると考えられ 散分析。 る。BP効力感尺度はBPの獲得の指標となることも 研究対象者:地域活性化の運動の一つとしてC地域で 示され,予測的妥当性が認められた。これらの結果か BP活動の参加募集を行った。応募があった小学校高 ら,BP効力感尺度の信頼性と妥当性が確認された。 学年をBP群とした。この内、未記入項目等により回 答に不備が見られた者を除いて,12名を分析対象とし (2)領域別効力感短縮版 た。統制群として,A小学校およびB小学校の高学年 桜井(1990)の短縮版の領域別効力感尺度16項目に に,質問紙の回答を求めた。この内,未記入回答等に おいて,先行研究に従い各々の尺度において,最尤法 より回答に不備が認められた者を除いて,71名を分析 プロマックス回転による因子分析を行った(表2)。 対象とした。 学業達成,友人関係,運動,自己それぞれのα係数が 調査内容 α=、632∼、855とおおよそ内的整合性が認められた。 第一研究で作成されたBP効力感尺度(7項目,4件 この結果を桜井(1990)の研究と比較すると得点分布 法)と領域別効力感短縮版(16項目,4件法)に加え, が高得点側に傾いていることが一致しており,本研究 西田ら(2003)の児童の精神的健康に関する尺度であ の児童においても高い効力感をいずれの領域において る児童用精神的健康パターン診断検査から,児童の負 も有していると言える。しかし,各因子の因子負荷量 担を考慮し,「生活の満足感」「怒り感情」の2因子を は桜井(1990)より,多少低い値を示しているため, 使用。現職の教師の指導のもと,質問が対象児童にそ 今後さらにサンプル数を増やし検討することが課題と ぐわないと思われる質問を尺度の特性を損なわない程 してあげられる。 度に訂正して用いた。16項目,4件法。さらに,BP 群に全BP活動終了後に「学校や家で,BPをしていて 第二研究 よかったなと感じた時はどんな時ですか?」という質 問に対して自由記述を求めた。 目 的 BPの実施内容 児童を対象にBPを実施し,BP効力感尺度と領域 BPの練習を2011年9月から12月の間に4回(1 別効力感を用いてその効果について検討する。また, 回約120分),発表会を1回計5回の実施を行った。 表1BP効力感尺度の因子分析結果 BP効力感(α=、866) 因子負荷量 項 目 第1因子 ボディパーカッションの時,自分の気持ちをうまくあらわすことができる .953 ボディパーカッションの時,まわりの人の動きに合わせて自分もまねすることができる .834 ボディパーカッションの時,一回しっぱいしても発表をつづけることができる .796 ボディパーカッションの時,なかなかうまくいかない子がいたら一緒になって練習することができる .719 ボディパーカッションの時,うまくできた人をほめることができる .626 ボディパーカッションの時,人前できんちよう(ドキドキ)しても発表することができる .560 ボディパーカッションで,自分たちが考えたリズムを作る時,グループで意見を言うことができる .514 l O I I I 久留米大学心理学研究第12号2013 表2領域別効力感の因子分析結果 I・学業達成効力感(α二.670) 因子負荷量 項 目 第1因子 がんばって勉強すれば,成績は良くなると思う 、859 いっしょうけんめいがんばれば,テストで良い点を取れると思う .725 不得意な教科(科目)でも,できるようになりたいと思い,がんばれば,得意になれると思う .534 授業の中身は,その気になれば,だいたいわかると思う .355 Ⅱ.友人関係効力感(α=.632) 因子負荷量 第1因子 項 目 、863 転校しても,友だちを作ろうとがんばれば,すぐ友だちができると思う 友だちは作ろうと思えば,友だちの一人や二人はすぐできると思う .759 その子のことを思い,努力すれば,嫌いな友だちとも仲良くなれると思う .385 好きな子に嫌われても,その子のためにがんばれば,好きになってくれると思う .315 Ⅲ、運動効力感(α=、855) 因子負荷量 第1因子 項 目 がんばれば,体育の成績はよくなると思う 、912 練習すれば,いままでできなかった運動も,できるようになると思う .786 その気になって,練習すれば,友だちと同じくらい自分も運動できると思う . 7 4 5 不得意な運動でも,うまくなりたいと思い,努力すれば,得意になれると思う .657 Ⅳ、自己効力感(α二.788) 因子負荷量 第1因子 項 目 努力すれば,自分が願っている人生が送れると思う 、776 現在,幸せでなくても,その気になってがんばれば,将来,幸せな生活が出来ると思う .770 楽しい生活をしたいと思い努力すれば,楽しい生活が出来ると思う ,723 がんばれば,明るい未来が過ごせると思う .436 表3第1回実施後一第5回実施後のBP効力感の分散分析表 調査時期 BP群においてBPの初回活動の前,最終活動の後 第1実施後第5実施後分散分析 に領域別効力感尺度短縮版と児童用精神的健康パター Mearl Mean ン診断検査(生活の満足感,怒り感情)の質問紙回答 SD SD を求めた。加えて,BP群には初回活動実施後と最終 BP効力感謝 活動の後にBP効力感尺度の質問紙回答を求めた。ま 25.8 時期 3.63+ 2.30 +p<,10*p<、05**p<、01 た統制群も同時期に領域別効力感尺度短縮版と児童用 精神的健康パターン診断検査(生活の満足感,怒り感 行った(表3)。その結果,有意な傾向が見られた(F 情)の質問紙回答を求めた。 (1,24)=3.43),p<,10)。 結 果 (2)領域別効力感におけるBP群と統制群の比較 (1)BP群におけるBP効力感の時期による比較 学業達成,運動‘友人関係,自己のそれぞれの領域 BP実施初期とBP長期実施後において児童が認知 しているBP効力感に差があるか検討するため,BP 別効力感においてBPの介入有無と時期を要因とする 実施群において時期を要因とする1要因分散分析を 2要因分散分析を行った(表4.図1)。 1 0 1 児童におけるボディパーカッションの効果に関する基礎的研究 その結果,学業達成において.交互作用に有意な差 示すc が認められた(F(1,81)=6.57,p<、05)。多重比較 を行った結果,BP群のpostと統制群のpost(F(1.81) (3)精神的健康(生活の満足感,怒り感情)における =8.38,P<,01),BP群のpreとpostにのみ有意な BP群と統制群の比較 差が認められた(F(1,81)=1281,p<01)。運動に 生活の満足感,怒り感情において,BPの介入有無 おいて,交互作用に有意な傾向が認められた(F(1,81) と,時期を要因とする2要因分散分析を行った(表4)。 =3.65,p<、10)。多重比較を行った結果,BP群の 生活の満足感においても介入無の要因において,有意 postと統制群のpost(F(1.81)=6.82,p<、05),BP な主効果が認められた(F(1,81)=1528,p<01)ま 群のpre-postにのみ有意な差が認められた(F(1,81) た,怒り感情の介入無の要因に,有意な主効果が認め =654,p<、05)。友人関係において,交互作用に有 られた(F(1,81)=14.18,,<、01)。 意な傾向が認められた(F(1,81)=3.60,p<・10)。 考 察 多重比較を行った結果,BP群のpostと統制群のpost (F(1.81)=10.90,P<、01),BP群のpre-postに有 結果より,BPの活動を通してBPに特異的な効力 意な差が認められた(F(1,81)=5.27,p<,05)。自 感が向上する傾向にあったことが示唆された。セルフ 己において,交互作用に有意な差が認められた(F エフィカシーに影響を与える情報源として、Bandura (1,81)=13.84,p<、01)。多重比較を行った結果, (1977)は,成功体‘験,代理的体験,言語的説得,情動 BP群のpostと統制群のpost(F(181)=22.81,力< 的喚起を挙げている(坂野・前田,2002)。今回BP効 、01),BP群のpre-postに有意な差が認められた(F 力感が向上する傾向にあった理由として,参加児童の (1,81)=29.70,p<、01)。さらに,BP効力感と他の 自由記述より「誰でもすぐできる」「間違えても違う音 効力感の般化の可能性検討するためにBP効力感の変 リズムになってよかった」という体I験が述べられてお 化量と各下位尺度の変化量の相関を求めた。その結 り,練習や発表がBPの成功体験になっていると考え 果.学業達成(γ=.23,’2s),運動(γ=、21,7zs),自己 られる。さらに,グループ演奏による「代理的体験」, (γ=、37,〃s)で有意な差は見られず,友人関係(γ= 指導者から褒められる「言語的説得」もBP効力感の 、54,p<,10)のみに,有意な傾向が認められた。図2 向上に関する情報源になったことが推察される。しか にBP効力感の変化量と友人関係の変化量の相関図を し,今回の結果においては,BP実施初期の平均点が 国←BP群一一統制群 ** * ** 16.0 * 美 0 1 茶美 副一一画 0 1 / し 芳美 器讐 0 1 432 領域別効力感得点 15.0 − 畳一個 11.0 10.0 prepost prepost 学業達成 運動 prepostprepost 友 人 関 係 自 己 十p<、10*p<、05**p<、01 図1群と時期における領域別効力感得点の平均得点 1 0 2 久留米大学心理学研究第12号2013 高得点に傾いていることから向上する傾向に留まった である,援助的な環境が与えられたことが挙げられる。 と考えられる。 自由記述より,BPの活動を通して「仲良くない子と 領域別効力感において,結果より,BPを継続的に も仲良くなれた」「1年生から6年生まですぐ仲良くな 実施することにより学業達成,運動,友人関係,自己 れる」等,BPが他者と友好になれる手段であったと に関する効力感が向上することが示唆された。小田ら 考えられる。さらに,発表会で「みんなが笑顔で喜ん (1995)は,学業,友人関係,運動の3つの領域で適応 でくれた」等,他者が好意的に接してくれると児童が 的な態度を示している児童は自己効力感が高いと報告 認知する手段にもなったことが考えられ,股化する可 している。このことから,BPが児童の学業達成,友 能性につながったと考えられる。しかし,あくまでも 人関係,運動に対する効力感を高める活動であること この結果は傾向にとどまっており,今後サンプルを増 は,学校適応の観点から見て非常に意義深いものであ やして検討する必要がある。 る。さらに,BP効力感の変化量と友人関係の変化量 精神的健康における,結果より,BP群は統制群よ の相関に,有意な傾向が示されたことから,BPがで り,BP実施前から生活の満足度が高く,怒り感情の きるという効力感は友人関係をうまくできるという効 程度が低いことが示唆された。そのため,BP群の精 力感に般化する可能性が示唆された。友人関係と般化 神的健康が統制群より高いことが示された。福井ら の可能性が示された理由として,般化の情報源の一つ (2008)の自己効力感を高く有している児童は抑うつ や不安を低く評価していると報告しており,今後,精 神的健康と児童の効力感の向上に関する検討を行う必 6写 。才 要がある。 課 題 1234 i︲ 友人関係 4 ﹁J F﹂ 5。 本研究の目的は実践中心に行われてきたBPの効果 について明らかにすることであった。結果より,BP 2 4 実施によるBP効力感.領域別効力感(学業達成,運 6 動.友人関係,自己)においてBPを実施した群で向 上したことが示された。しかし,精神的健康(生活の y=0.55x+0‘77 満足感,怒り感情)においてはBP群がより精神的健 Rz=0.3 康度が高いという結果が見られており,今後はサンプ 5 BP効力感 ル数を増やして検討する必要がある。最後に課題とし て,BPを通して児童の効力感が向上することで,日 図2ボディパーカッション効力感得点と友人関係得点の差の相関 表4領域別効力感,MHCP(生活の満足感,怒りの感情)の分散分析表 BP群統制群 PrePostPrePost 分散分析 www甥。実施有無時期交互作用多重比較 学業達成蝿協鎚錨250,.624*657*BP群B… 統 制 群 P P群 po st >B P群。 pr誠 e 運動 領域別効力感 13.315.012.7 3.221.47297 友人震係麓 自己 MHPC 14.111.5 2.062.49 12.63.28+2.91+3.65+ BP群post>統制群Post 3.02BP群post>BP群pre 騒 a 4 5 * * 1 8 2 , . 3 6 0 ÷ B P 群 p o s t > 制 群 p ・ B P 群p o s統 t> B P群 p r誠 e ’ 2 “ 5 . ' 2 ‘ ' 2 ‘ ‘ " * ' 5 9 0 * 談 1 3 " 奉 寒 : 蕊 : : : 鰯 : 。 誠 3.550.622.292.22 生活の満足感淵瀧難駆’528**'94,,145,. 怒り感情,1賊紀:剛:’4'8**,帽nou28n。 十p<、10*p<、05**p<,01 1 0 3 児童におけるボディパーカッションの効果に関する基礎的研究 常場面における児童の具体的な行動変化について今 坂野雄二・東篠光彦(1986).一般性セルフ・エフイカ 後,検討することがあげられる。また,坂野・前田 シー尺度作成の試み.行動療法研究,12,73−82 (2002)は,臨床心理学における自己効力感の研究に関 桜井茂男(1987).自己効力感が学業成績に及ぼす影 して"いかにセルフ・エフイカシーを上昇させるかが 響.教育心理,35,l40-l45 問題とされることが多い"と述べており,今後はBPの 桜井茂男・桜井登世子(1990).児童用領域別効力感尺 活動を通して児童がどのような情報源をどれほど受け 度作成の試み.奈良教育大学研究所紀要,27, 取っているか.それがどのように効力感の向上につな l31-138 がったのか等の検討をすることも課題の一つである。 佐藤須美子(2008).中学校音楽科における「ボディ パーカッション」の意義とその活用.広島文化短期 謝 辞 大学紀要,41,77−90 最後に,研究にご協力いただきました児童の皆様 鈴木員雄・美永吉・鈴木雅邦(1991).日本と韓国の子 保護者の皆様,アンビシャス活動でご指導されている どもの効力感の発達的の比較愛知教育大学研究報 先生方に心より御礼申し上げます。 告.教育科学,40,121-133 竹中晃二・上地広昭(2002).身体活動・運動関連研究 文 献 におけるセルフ・エフィカシー測定尺度.体育学研 究,47,209-229 Bandura,A・(1977).self-efficacy:Towardaunjfying 戸ヶ崎泰子・坂野雄二(1997).児童の社会的スキルと theoryofbehavioralchangePsychologicalReview、 セルフ・エフイカシーが学校不適応感と友人関係に 84,191-215 原田和弘・平井啓・荒井弘和・岡浩一郎・中村好男 及ぼす影響.日本行動療法学会大会発表論文集, (2008).大学生の睡眠習慣に対する実施とセルフ・ 23,123-l24 エフイカシーの般化についての検討行動医学研 戸ケ崎泰子・坂野雄二(1997).児童のセルフ・エフイ カシーと社会的スキルの関係.日本教育心理学会総 究,14,21−29 福井至・飯島政範・小山繭子・中山ひとみ・小田美穂 会発表論文集,39,295 子・嶋田洋徳(2008).児童用一般性セルフ・エフイ 戸ケ崎泰子・小田美穂子・嶋田洋徳(2000).児童用一 カシー尺度改訂版(GSESC-R)の作成.日本行動療 般性セルフ・エフイカシー尺度改訂版の作成と信頼 法学会大会発表論文集,34,240-241 性,妥当性の検討日本行動療法学会大会発表論文 松田慢・鈴木真雄(1990)子どもの効力感の発達−− 集.26,158−159 親の信念体系との関連から.愛知教育大学研究報 山田俊之(2009).生徒のコミュニケーション能力を 高める「ボディパーカッション教育」の展望一特別 告,教育科学,39,73−82 小田美穂子・嶋田洋徳・坂野雄二(1995).児童におけ 支援教育発展の手がかりとして−.九州大学大学院 る一般性セルフ・エフイカシーの測定一ストレス反 教育学コース院生論文集,9,109−129 山田俊之(2009).聴覚障害があっても,音楽は楽しめ 応との関連を中心として−.日本行動療法学会大会 る1体全てが楽器です。−言葉の壁を越えたボディ 発表論文集,21,122-123 坂野雄二・前田基成(編)(2002).セルフ・エフイカ パーカッション教育を世界へ発信一.NHK障害福 シーの臨床心理学.北大路書房 祉賞,44,1−16 104 久留米大学心理学研究第12号2013 Basicstudyabouttheeffectsofbodypercussiononchildren SHouKoSH正ouzu(Cノセ"dCo7zsz"""oノzCe7z花γqfK”z”zg) TosHIYuKIYAMADA(Gγαロノz奴彪Sch00JQ/HZ"zα" E7”jγO7z77"7zオS”d泥s,Kjノzjs〃〃酌z"”sjlty) MIKIoHIDAKA(D”αγ加ze7zオqfPSyc〃OJQgy,Kz"z”犯りうz”e芯jity) Bodypercussion(BP)isanactivity丘omwhichasenseofaccomplishmentlsacquiredbyproducingrhythmina group、However,itseffectshavenotyetbeenprovenusmgnumericaldataThisstudyexaminestheeffectsofBPon c h i l d r e n 、 Instudyl,reliableandvalidscalesweredevelopedtomeasuretheefficacyofBPandshortfbrmof domajn-specificefEcacyforchjldren、Instudy2,BPgroup(applyingBP)andcontrolgroup(withoutBP)werefOrmed, AcomparlsonoftheDiagnosticl、ventoryofMentalHealthPattemforChildren(MHPC)anddomain-specific efficacyfOrthegroupsafterBPshowedthatthegroupfOrwhichBPwasperfOrmedshowedimprovementinBP efficacy・Ananalysisofthedatarevealedthefollowing:(1)BP-efficacytendedtoimprove(2)onlytheBPgroup showedsignificantlmprovementindomain-specificefficacy(3)comparedtothecaseprlortopractice,thoseinthe BPgrouphadahighmentalhealthpointHowever,theMHPCoftheBPgroupshoweddeviations,Schooladaptatlon toBPenfbrcementlsexpectedbecauseitincreaseschildren'sefficacy. Keywords:Bodypercussion,domain-specificefficacyforchildren,effectsofstudy 1 0 5
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