ポンプのNPSH

ポンプのNPSH
ポンプ流路内で圧力が飽和蒸気圧以下となるとキャビテーションが発
生する。ポンプの基準面において,液体がもつ全圧(絶対圧)が液体のそ
の温度における飽和蒸気圧(絶対圧)よりいくら高いかをヘッドで表した
も の,す な わ ち 実 際 上 利 用 で き る 吸 込 ヘ ッ ド を 有 効 吸 込 ヘ ッ ド
(NPSHは
(available NPSH, NPSHA)と 呼 び,次 の 式 のh sv で 表 さ れ る。
Net Positive Suction Headの略)
h sv =
=
Ps−Pv
ρg
Pa
Pv
− Hs − hl −
ρg
ρg
ここに,
h sv :有効吸込ヘッド(m)
P s :ポンプ基準面上における全圧
(絶対圧)
(Pa)
P v :飽和蒸気圧(絶対圧)
(Pa)
P a :吸込液面に作用する圧力,通常は大気圧
(絶対圧)
(Pa)
H s :吸込液面からポンプ基準面までの高さ
(m)
h l :吸込管中の損失ヘッド(m)
ρ :密度(kg/m3)
g :自由落下の加速度(m/s2)
また,ある運転状態において,キャビテーションによる性能低下を避
けるためにポンプとして必要な吸込ヘッドを必要有効吸込ヘッド
(required NPSH, NPSHR)と呼ぶ。必要有効吸込ヘッドはポンプ自身に
よって定まる固有のもので,これをH sv とすると,キャビテーションの
発生を防ぐにはh sv >H sv でなければならない。
参考:遠心ポンプの場合,H sv は次の式で表される。
H sv =λ 1
w1 2
v0 2
+ λ2
2g
2g
ここに,
λ1:圧力係数(0.3∼0.6)
w1:羽根入口での局部的流速(m/s)
λ2:圧力係数(1.1∼1.2)
v 0 :ポンプ入口での流速(m/s)
Δh2
Δh4
Δh3
Δh 1
=H s
Pa /ρg
Pa /ρg:吸込水面に作用する圧力ヘッド
Δ h 1 :高さにより減少する圧力ヘッドH s
Δh2
:摩擦などにより失われる圧力ヘッドhl
Δh3
:速度ヘッドとなって減少する圧力ヘッドλ2 v0 2/2g
Δh4
:羽根入口での局部的増速により低下する圧力ヘッド
λ1 w12/2g
図.羽根車に入るまでの圧力低下