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食品安全ネットワーク便り 第 109 号 (2014 年 3 月)
《略称:フーサンだより》
発行:食品安全ネットワーク(Food Safety Network)
会長:角野 久史
ホームページ:http://www.fu-san.jp/
連絡先:〒541-0056 大阪市中央区久太郎町 1-4-8 堺筋本町ガーデンスクエア
イカリ消毒株式会社 TEL.06-6264-2741 FAX.06-6264-2740
「食品企業における品質保証活動」
食品安全ネットワーク
監査役
田中達男
てこそ食品安全マネジメントシステムが構築で
きるのである。
食品安全マネジメントシステムは、国際規格
ISO22000 にその体系を見ることができるが、
他にも FSSC22000、GAP (Good Agricultural
Practice : 農 業 生 産 工 程 管 理 )、 SQF ( Safe
Quality Food : 安 全 で 高 品 質 な 食 品 )、 BRC
(British Retail Consortium:英国小売協会)、
IFS(International Food Standard:国際食品
1.はじめに
規格)などの食品安全規格がある。いずれも食
1997 年 7 月に、HACCP の研究を機に設立さ
品の安全性を確保するための規格であり、規格
れた食品安全ネットワークの活動は 16 年間に
の要求事項を満足させることによって食品の品
及び、この間に開催された講演会、見学会、研
質(安全性)を保証しようとするものである。
究会などの食品安全に係るイベントはいずれも
このようにマネジメントシステムを規格で規
数十回を数える。また、機関紙である「食品安
定し、それに示される要求項目に適合する活動
全ネットワーク便り」は今回が第 109 号であり、
を推進するといった考え方は、1987 年に制定さ
雑誌などに掲載された原稿類は 100 報を超え、
れた ISO9001 に端を発する。我々は品質保証活
単行本も 20 冊を超えるという(*1)。
動としてこれらの規格に適合するように活動を
さまざまな成果を上げてきている食品安全ネ
行っているが、ここではやや趣を異にして、日
ットワークであるが、特筆すべきは「食品衛生
本で発展してきた品質保証活動の基本的考え方
7S」であろう。「食品衛生 7S」は、多くの企業
を示したい。
が職場の環境づくりに活用している「5S」の考
え方を整理して、食品衛生に特化したものであ
2.食品の品質保証
り、HACCP を実践するうえでの基礎となるも
品質保証は、ISO9000:2006 では「品質要求
のである。即ち食品安全を達成するためには食
事項が満たされるという確信を与えることに焦
品衛生が必須であり、食品衛生の基礎となるの
点を合わせた品質マネジメントの一部。」と定義
が一般衛生管理であるが、その一般衛生管理の
されており、また日本品質管理学会では「顧客・
実践に当たって「食品衛生 7S」が重要な位置を
社会のニーズを満たすことを確実にし、確認し、
占めている。「食品衛生 7S」の実践活動を通じ
実証するために、組織が行う体系的活動。」と定
~1~
義されている。そのほかにもさまざまな立場で
縦軸に工程を配して、その中に仕事の流れを示
いろいろな定義がされているが、いずれにおい
した図であり、各部門の責任、部門間のインタ
ても、
「顧客の要求内容を把握し、それを満たす
ーフェイス、情報のフィードバック等が分かる
ための活動が行われる」としている。しかしな
ように明記される。これによって製品がどのよ
がら、その活動内容は、当然ながら、業種によ
うな手順を経て企画され、開発され、製造・販
って多様であり、特に食品企業における品質保
売されるのか、またその間にどのような手続き
証活動は一般の工業製品の品質保証活動とは大
が行われるのかが書き表されている。例を図 1
きく異なっている。それは、食品は人間の食す
に示す。この例は簡潔に示したものであるので、
るものであって、他の製品に比べて健康に危害
実用化するにはさらに細かい手続きを記載する
を与える可能性が格段に大きいからである。
必要があり、また関連標準などを記載する場合
もちろん工業製品であっても、例えば自動車
もある。要は一目で全社の品質保証体系の概要
は人の命を乗せて走っているわけであるから、
が理解できるものであり、これを活用すること
もしものことがあってはならないのは当然であ
によって当該企業の品質保証に関して共通認識
るし、家電製品においても万が一にも発火する
をもって推進することができる。(図 1)
ようなことがあってはいけないなど、多くの製
品・サービスで品質保証がおろそかにされると
3.2
方 針 管 理
いうことは許されないことであるが、食品はそ
前述したとおり、品質保証は会社全体で推進
れら以上に直接的に生命に関わるものであるか
するものであるが、そのためにはトップのリー
ら、一層十分なる安全性が求められるのである。
ダーシップが重要となる。トップは期初に会社
なお、食品業界では食品安全を食品衛生にの
の進むべき方向と目標を方針として示し、これ
み求める傾向があるが、
食品の品質保証活動は
単に食品衛生だけを追
求する活動ではないこ
とを改めて記しておく。
3 . 品 質 保 証 活 動 の
基本
品質保証活動を推進
するうえで、さまざまな
手法やアプローチの仕
方があるが、それらの基
本となる考え方を次に
示す。
3.1
品 質 保 証 体 系
品質保証活動は会社
全体で統制された体系
に基づいて推進するこ
とが大切であり、一般に
品質保証体系図に示さ
れる。品質保証体系図は
横軸に関係部門を配し、
~2~
を会社全体が受けて、一つの方向性をもって推
るわけで、その組織を運営し、活動を推進する
進するわけである。それにはトップの方針を段
には様々な取決め、即ち社内標準が必要となる。
階を経て順により具体的に展開し、第一線での
社内標準には企業活動の進め方の全てが示さ
具体的な実施計画まで作り上げなければならな
れ、これに従って組織体系が形成され、業務が
い。各部門はこの実施計画に基づいて実行し、
進められるわけであるから、企業活動は社内標
経営会議などの場で定期的に実施状況とその結
準を作ることから始められ、企業活動の改善は
果について報告を行い、必要に応じてその対応
社内標準の改訂で示され、また企業活動の遍歴
策を協議する。定例で行われている経営会議で
は社内標準の制定・改廃の記録であるといえる。
検討すべき課題は多くあるが、このような期初
また社内標準には、定款、株式取扱規程、取
に定めた実施計画の進捗確認が最も重要であり、 締役会規程、就業規則など、その制定が法令で
これにより会社がトップの決めた方向を向いて
定められているものや、全社的な運営の元にな
進んでいるのか、目標を達成しつつあるのかが
る組織図、職務分掌規程、職務権限規程など、
把握でき、確実に品質保証体制を機能させるこ
会社経営の仕組み、即ち役割分担の体系、所掌
とができるのである。
業務、業務執行の大綱など、いわば会社の秩序
3.3
小 集 団 活 動
に関する元を定めたものがある。企業ではこれ
企業が存続し、発展していくためには、トッ
らの基本規程に基づき、種々の業務関連規程を
プのリーダーシップも必要であるが、各職場に
定めて体系化し、さらに、これらの既定内容が
活力がみなぎっており、第一線で働く人々が十
実際の作業として実施できるように、作業標準
分に力を発揮して業務に取り組んでいることも
書、作業手順書等を作成し、その業務に携わっ
重要である。職場の雰囲気が沈滞化しており、
ている人々が合理的かつ円滑に業務が処理でき
現場で働く人々が重々しい気持ちで仕事をして
るように配慮している。(*2)
いるなら、その企業の発展は望めないであろう。
小集団は各職場の活性化を図るために形成さ
4.まとめ
れるものであるが、TQM の一環として実践さ
多くの日本の企業は、上述した基本に基づく
れる QC サークル活動がその代表的なものであ
品質保証活動を実践することによってお客様の
る。QC サークル活動は、計画的に実践される
信頼を勝ち取り、大いなる発展を遂げてきてい
改善活動を通じて、QC の考え方や手法を身に
る。
つけ、創造性を発揮し、自己啓発・相互啓発をは
食品企業にとっての大きな使命は、お客様に
かるものであり、企業の体質改善・発展に寄与
安心してお召し上がり頂ける安全な商品を製造
している。
し、提供し続ける、ということである。そのた
小集団活動と方針管理とが相俟って実践され
ることによって、全社的な品質保証活動が推進
めには体系立った品質保証活動が必須であり、
その根幹は上述した基本に基づく。
されるのである。
筆者は食品企業各社がこれらの基本を忠実に
3.4
社 内 標 準 化
実践し、信頼される企業としてますます繁栄を
企業は、顧客の要求に合致した、他社より優
極めることを、切に望んでいる。
れた品質の製品・サービスを、より安く、より
早く提供することにより、社会に貢献するとと
参考文献
もに利益を確保して、従業員の生活を保障し、
(*1)米虫節夫:食品安全ネットワーク便り第
かつ株主に配当していく必要がある。そのため
105 号 p1
2013.7.
に企業は、企画、開発、製造、営業、サービス、
(*2)田中達男:クオリティ研究会小論集
p13
総務、技術、人事、経理などの様々な活動を行
っているが、これらを合理的に行うために組織
を作り、役割を分担して、人員を割り当ててい
~3~
19
2009.4.
エル・おおさか(大阪府立労働センター)
∼最寄りの駅より会場へ∼
●京阪・地下鉄谷町線「天満橋駅」より西へ 300m
●京阪・地下鉄堺筋線「北浜駅」より東へ 500m
●地下鉄御堂筋線「淀屋橋駅」より東へ 1,200m
●JR 東西線「大阪天満宮駅」より南へ 850m
「第 18 回定期総会と特別講演会」会場案内
特別講演会のご案内
テーマ:「惣菜類を取り巻く環境と惣菜製造管理認定事業の意義」
講師
平山
誠氏(元日本惣菜協会
技術アドバイザー)
プロフィール:
東京農工大学大学院農学研究科卒業後、1972 年ハウス食品(株)入社し、研究所・本社勤務を
経て、2008 年に退職。同年に(一社)日本惣菜協会に入協し、技術部長・技術アドバイザー
を歴任して現在に至る。2010 年に当協会の認定事業として、惣菜製造管理認定事業を立ち上
げ、HACCP認定に携わる。
国際HACCP同盟認定インストラクター、JFAB FSMS審査員補、一級惣菜管理士、
食品冷凍技士、中級食品表示診断士として活動。
申込み先:イカリ消毒株式会社
食品安全ネットワーク
担当
鴻上
高
FAX:06-6264-2740
(TEL06-6264-2741)
第18回定期総会と特別講演会
4月23日(水)
会社名
①
参加者氏名
情報交換会に
TEL
出席 ・ 欠席
します
③
情報交換会に
住所
②
情報交換会に
出席 ・ 欠席
します
出席 ・ 欠席
します
④
出席 ・ 欠席
します
情報交換会に
〒
FAX
注:情報交換会への出欠を必ず記入(○印)してください。
~4~
【事務局からのお知らせ】
広島市で食品衛生7S基礎講座を開催
昨年の 7 月に実施しました「食品衛生7S基礎講座」を全国で実施する事になりました。
その第一弾として広島県で実施いたします。是非ご参加下さい。詳細は食品安全ネットワ
ークホームページに掲載する予定です。
・開催日:2014 年 5 月 21 日(水)10:00 17:00
・開催場所:広島市中小企業会館
研修室
(広島市西区商工センター1 丁目 14-1)
・参加費:お一人様 8,000 円
新刊図書出版
食品衛生7S活用事例集
6
「食品衛生7S活用事例集6」が発売されました。今作では、
昨年発表されました下記の企業の事例が掲載されています。本
事例集は6冊目となり、今回も食品衛生7S活動に取り組まれ
た企業の苦労やアイデアなど、実例が生々しく(?!)紹介され
ています。是非ご一読下さい。
なお、平成26年2月13日(木)に行われました、第7回
食品衛生7S実践事例発表会の報告は 6 ページのレポートをご
覧ください。
事例集6掲載企業(五十音順):
株 式 会 社 赤 福 、株 式 会 社 京 都 コープサービス、さわやか株 式
会社、株式会社甚木屋
「食品衛生7S活用事例集第6集」 海外食品衛生研修
2014 年度はマレーシアへ
現在のところ、下記の内容で海外研修を予定しております。食品安全ネットワークの海
外研修は、海外の食品製造、販売事情を知ることができる絶好の機会です。是非ご参加下
さい。詳細は追ってご連絡致します。
・行先:マレーシア(クアラルンプール)
・日程:2014 年 9 月 14(日)∼18 日(木)朝帰国
・見学先:ヤクルト工場、味の素工場、その他
※見学先企業は交渉中
~5~
第7回
食品衛生7S実践事例発表会の報告
平成 26 年 2 月 13 日(木)
会場:エル・おおさか(大阪府立労働センター)
報告者:株式会社あわしま堂
高橋
亜澄
ディフェンスを日本人の性質・深層心理から考え
て行うというお話でした。
日 本 人 の価 値 観 の主 な基 盤 は神 道 ・仏 教 ・儒 教
であり、これらが長い歴史の中で融合して日本人の
精 神 性 が築 きあげられてきました。その結 果 、日 本
人 は性 善 説 を支 持 する人 が多 く、フードディフェン
スに対 する考 えが外 国 よりも遅 れているということを
ご指 摘 いただきました。また新 谷 さん独 自 の説 で、
人間の本性は基本的に善であるが、様々な誘惑や
食品安全ネットワークの皆様、いつも大変お世
心の迷いに煩労されるという性弱説を提唱されてい
話になっております。株式会社あわしま堂の高橋
ました。心が弱い故にコンプライアンス違反が起きて
と申します。今回、食品衛生 7S 実践事例発表会
しまうということでした。
このような状況にある日本人がフードディフェンス
の報告につきまして、ご指名を頂戴いたしました
ので、平成 26 年 2
に取り組むためには、企業が正しいイデオロギー教
月 13 日にエル・お
育、コンプライアンス教育を実施することが重要であ
おさかにて行われま
り、危 険 なイデオロギーを持 っている人 は排 除 すべ
した「第 7 回食品衛
きとお話 しされていました。その中 で大 切 なことは、
生 7S 実践事例発表
経営者・リーダーが、その企業に適していて社 会的
会」のご報告をさせ
にも適 切 な価 値 観 を構 築 し、それを従 業 員 に提 示
ていただきます。
し、共有してもらうこととのことでした。また、全ての企
業内における活動は
モチベーションコント
基調講演
基調講演はペリージョンソンホールディング
ロール(動機付け)が
株式会社
取締役
営業統括本部長
新谷
雅年
成功の鍵であること
様より「国民の生命を守る・食品安全を守るため
を教えていただきま
のフードディフェンスへの取組(心の中の悪魔退
した。
治)」についてご講演いただきました。ペリージョ
新谷さんは今後 フードディフェンスに対応する
ンソンホールディング株式会社は教育や研修等の
ため、7S に「守備」を加えた【新 8S】を提唱さ
ビジネスコンサルティング事業と ISO22000 等の
れ、
「しつけ・整理・整頓・清掃・洗浄・殺菌・清
マネジメントシステム認証事業を行われています。 潔・守備」という順で考えておられました。フー
今回のお話は昨年末に起きた、群馬県の某冷凍
食品会社工場での農薬混入事件を受けて、フード
ドディフェンスについて考えさせられた大変興味
深いお話でした。
~6~
事例発表①
事例発表③
株式会社
あわしま堂
品質保証室室長の花
信州ハム株式会社
品質保証部部長
遠山 知
野 章二が発表いたしました。弊社は本社工場を愛
里様に発表していただきました。信州ハム株式会
媛県八幡浜市に置き、和洋生菓子製造を行ってお
社様は長野県でハム・ソーセージを製造・販売さ
ります。今回の発表では最近の 7S の取り組み事
れています。今回の発表は毛髪混入事故に関する
例と、7S に取り組んだ結果、商品事故の削減や生
改善事例でした。毛髪混入原因を深く掘り下げら
産性の向上に繋がったこと、得意先様や一般のお
れていた点が大変良かったと思います。改善の例
客様に弊社工場を見ていただくことが大きな「営
として、管理職による毛髪立会いチェックや白衣
業活動」の一つになったことを発表いたしました。
を頭巾まで一体型の無塵服に変更されたこと、監
今後の 7S 維持・向上のために、品質保証室メン
視カメラを設置したこと等を挙げられていました。
バーによる製造現場の定期数値評価および製造部
この中でも一番効果があったのは白衣を無塵服に
門の改善活動を継続していきます。また社長自ら
変更されたことだそうです。2008 年からこの活動
も全工場の各製造ラインに定期的に入り、現場責
を開始され、毛髪混入事故を約 4 分の 1 まで減少
任者と共に製造現場の評価をしており、このこと
させておられました。弊社でも一昨年から制服を
が 7S 推進の大きな力になっています。
無塵服に切り替えたのですが、埃や毛髪の付着が
減りました。遠山様の「改善で大切なことは会社
事例発表②
がハード面で足りていないところをきちんと用意
JA あいち経済連
炊飯加工センター
7S チー
すること」という言葉が印象に残りました。後の
ムリーダー
長坂 幸弘様に発表していただきま
懇親会でも毛髪混入防止対策について、たくさん
した。JA あいち経済連
炊飯加工センター様は
教えていただきました。本当にありがとうござい
愛知県安城市にあり、白飯・酢飯・おにぎり等を
ました。
製造販売しておられ、現在のイチオシ商品はしゃ
り自慢という長期保存が可能な酢飯です。今まで
事例発表④
の ISO の仕組みや手順を見直したいという思い
大山乳業農業協同組合
造田 弘美様と倉本
から、2013 年 4 月に 7S 活動をスタートされまし
みゆき様に発表していただきました。大山乳業農
た。食品衛生 7S チームという組織をつくり、 チ
業協同組合様は鳥取県東伯郡で牛乳や乳製品を製
ームの定例会議は月 2 回、リラックスした状態で意
造 販 売 さ れ て い ま す 。 今 回 は 指 導 課 事 務 所 の 5S
見を出し合えるようにと休憩室で行われているそうで
活動での改善事例でした。昨年度は整理・整頓お
す。全 員 参 加 を考 えた良 い工 夫 だと思 いました。ま
よびペーパーレスで費用削減するという明確な目
た、改 善 して終 わりではなく、ルールを構 築 すること
標を持って活動されたそうです。青いマットを使
が重 要 という考 えに同 感 いたしました。弊 社 でも表
用した文房具の整理・整頓方法も興味深かったの
面上の改善はされても、ルールがなければすぐに元
ですが、整理・整頓するだけでなく、点検リスト
通 りという例 があるためです。 一 番 良 い 改 善 だ と 思
を作成し、掃除当番が週1回チェックを行うとい
ったのは、お客様が使用される下駄箱にも下駄箱
う仕組みを作られたことがとても良い改善だと思
使用ルールの表示を貼り、お客様にも 7S 活動を
いました。また、改善によって達成した費用の削
理解してもらった上で実施していただいておられ
減金額を明確にされていたことが素晴らしかった
ることです。米虫先生も講評の時におっしゃって
と思います。
いましたが、工場監査は玄関から始まっています
ので、とても良い改善だと思いました。
~7~
克 章 様 に発 表 していただきました。備 後 漬 物 有 限
事例発表⑤
株式会社白洋社
ユニフォームレンタル西部
会社様は広島県福山市で漬物の製造・卸、外食事
事業所
工場長
須藤 隆夫様に発表していただ
業 をされています。主 力 商 品 はキムチであり、某 牛
きました。株式会社白洋社様は明治 39 年に洗濯業
丼チェーン店様へ漬物の供給もしておられます。
として開業され、個人向けおよび法人向けのクリ
2008 年から 7S に取り組まれ、7S 委員会を立ち上
ーニングサービスを提供されています。また、ユ
げられました。改 善 事 例 として、明 確 な清 掃 マニュ
ニフォームレンタル事業を展開されており、今回
アルの作成など、ルールの文書化に取り組んでおら
はそのクリーニング工場の 7S についての発表で
れました。また、アレルギー物質を扱われているため、
した。
誰 が見 てもアレルギー物 質 だとわかるように大 きな
ユニフォームレンタルというのは、①ユニフォ
字で目立つようにラミネートして表示されている改善
ームの購入費が不要、②高温でクリーニングする
は、とても良いと思いました。是非とも弊社での改善
ため、衛生的で清潔、③洗濯により磨耗した物に
の参考にさせていただきます。また、定期的に
ついては無料でメンテナンス、④サイズの交換可
FSSC22000 の勉強会を実施されているとのことで、
能、⑤ボタン落ちやファスナーの破損などの修
教 育 にしっかり時 間 を確 保 しておられるところが素
理・補修も無料、⑥在庫管理など、食品工場にと
晴らしいと思いました。
って非常に魅力的な内容のサービスです。
食品会社や流通による工場監査時に、クリーニ
最後に、今回事例発表いただいた皆様に感謝状
ング業界での常識は食品業界の非常識であると痛
と記 念 品 の本 が贈 られました。また、皆 様 からの投
感したことが、7S 導入の契機となったそうです。
票にて、最優秀賞に弊社、あわしま堂が選ばれまし
食 品 業 界 が求 めるレベルを知 ることから始 め、従 業
た。大変光栄なことでございます。これからも製造現
員になぜ異物混入のリスクが少ない職場にしなけれ
場と共に励んで 7S に取り組んでいきたいと思いま
ばいけないのかを徹底的に説明して理解してもらっ
す。
たそうです。この理 解 してもらうということは、どこの
今回の事例発表会では、皆様同じように悩み、
工場でも 7S を進める上で一番大切なことだと思いま
苦労して知恵を絞りながら改善活動をされている
した。
ことがとてもよくわかりました。皆様に教えてい
7S の改善チームは各現場から改善リーダーを選
ただいた改善事例はどれも工夫を凝らしたもので、
出 して結 成 し活 動 されており、活 動 を維 持 ・継 続 す
参考になるものばかりでした。是非とも弊社工場
るためには、教育の継続・管理者による点検が必須
で取り入れさせていただきます。この度は本当に
とおっしゃっていました。7S の効果として ISO22000
ありがとうございました。
を取得でき、取引先の信用を得ることができたこと、
従 業 員 の意 識 が変 化 し、自 分 たちで問 題 を発 見 し
原 因 を分 析 し、それに対 する管 理 を自 発 的 に作 り
上げられるようになったことを挙げられていました。こ
れは 7S に取り組んでいる私達の理想的な姿ではな
いでしょうか。改 善 チームの方 達 の従 業 員 教 育 ・し
つけの賜物だと思いました。
事例発表⑥
備後漬物有限会社 品質管理部 係長 土屋
~8~
【平井由美子のちょっと一言】
「 外食産業のコンテクスト」 食環境プロデューサー
平井由美子
昨年、ホテルのレストランでの偽装に端
の人が初めて知った。そして外食産業に携
を発し、今年初めに 知らぬは客ばかりな
わる人は、表示については言われてみたら
り
外食産業実はこんなふうに作ってま
その通り、今後気を付けなければと思った
す という記事が掲載された ( 1 ) この記事
はずである。
には成形肉をはじめ、魚介類を材料とした
確かに、成形肉
料理や惣菜がどのように作られているか、
など調理加工技
そしてセントラルキッチンをもつレスト
術(インジェクシ
ランの場合、どのように店舗で提供されて
ョンなども)をほ
いるかが書かれている。外食産業に携わっ
どこした肉を、ス
ている人なら、改めて知ることでもなく、
テーキと記載し
以前から行われていた調理加工技術が記
て提供することは問題である。そこは消費
載されているに過ぎない。さて、この調理
者が誤解しないように適切な表示をしな
加工技術は外食産業に、そして生活者に何
いといけない。でもこのような調理加工技
をもたらしているのだろうか。
術が社会全体で役にたっていることは事
外食産業での調理加工技術が大きく注
実である。
目を浴びるきっかけとなったのは、今から
オージービーフでの kg 単位当たりの単
さかのぼること約 10 年前の 2005 年、ス
価を調べると、一般的ブロック肉が 3,000
テ ー キ レ ス ト ラ ン チ ェ ー ンの フ ォ ル ク ス
円であるのに対し、成形肉は約 1000 円と
が、内臓肉と脂肪を混ぜ合わせて作った
約3分の1の価格である。( 2 ) この価格メ
「成型肉」を使いながら、メニューにはた
リ ッ ト は 育 ち ざ か り の 子 供 のい る 家 庭 に
だし書きなしに「ステーキ」と表示してい
とってはありがたい話である。また、安価
たとして、公正取引委員会が同社に対し景
な赤身肉に、和牛などの牛脂を注入して人
品表示法違反で排除命令を出したのが始
工的に 霜降り 状にするインジェクショ
まりである。一般の人はこのニュースを見
ンビーフは、咀嚼能力の低下した高齢者に
聞きして、そういう製法があるのだと多く
とって、手軽に咀嚼しやすい肉を食べられ
~9~
るということでは QOL 向上の面からみて
庭ではできない調理加工技術をもってい
も良いことである。さらに、そのままでは
るということをコンテクストにしていか
使用できない部位や形状の肉を結着させ
ないといけない。様々な仕組みにより外食
たり、インジェクションで牛脂を入れ軟ら
産業がコスト低
かくして食べられるようにするというこ
減をし、それによ
とは、そのままだと廃棄物になるものを調
り安い価格で提
理加工技術、それも一般家庭ではできない
供できるように
技術で食べられるものにしているという
努力しているこ
ことは、食品廃棄物減少に一役かっている
とは認めるし、そ
わけである。そう考えると、どうだすごい
の仕組みは素晴らしいものがある。でも、
だろう!とまでいかなくても、コソコソす
外食産業が生活者に何をもたらすのかと
る必要はなく、堂々と胸をはればいいと思
いう外食産業のデザインを考えなおさな
う。
ければならない。それには、そのままでは
さらに、食品安全についてもよく考えて
食 べ ら れ な い も の を 食 べ ら れ る よ う にし
提供されている。チェーンレストランの店
ている調理加工技術により食品廃棄物減
舗では盛り付けるだけ、電子レンジで温め
少に大いに貢献していること、そして
るだけといわれているが、外食産業におい
QOL 向上のために咀嚼しやすく加工した
て何よりも考えないといけないのが食中
材料を提供していること、その結果として、
毒防止であるはず。それを遂行するために、
経済的メリットが出ていること。これが外
盛り付けるだけ、電子レンジで温めるだけ
食産業のデザインである。このように外食
という作業形態をとり、それにより食中毒
産業をデザインしなおし、コンテクストを
防止に努めており、さらに常に一定の品質
考え直すことによって、生活者のみならず
の商品を提供できるシステムになってい
社会から愛される外食産業になるに違い
るのである。
ない。
冒頭に述べたように成形肉を使ってい
るのに、その文言がなくステーキと記載す
参考文献
るのは良くない。しかし、上記のような調
(1)現代ビジネス
賢者の知恵
知らぬは客
理加工技術で安くて美味しいものを提供
ばかりなり
外食産業実はこんなふうにつくっ
しているんだ!と自負すればいい。しかし、
てます
残念ながら今の外食産業特にチェーンレ
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37893
ストランのコンテクストは価格の安さし
(2)楽天市場にて筆者が調査
か見えない。そうではなくて、これらの家
~ 10 ~
平成25年度役員名簿(訂正版)(任期:平成25年4月∼平成27年3月)
昨年の 4 月から役員は新体制で行っています。フーサン便り105号(2013 年 7 月)で
役員名簿を掲載しましたが、内容に誤りがあり関係者にご迷惑をおかけしました。改めて
正しい名簿を掲載します。
役職
会長
氏名
所属
備考
角野 久史
(株)角野品質管理研究所
野田 憲司
フードテクノエンジニアリング(株)
衣川 いずみ
(株)QA・テクノサポート
新任
鎌谷 一也
鳥取県畜産農業協同組合
新任
奥田 貢司
(株)帝装化成
黒田 久一
(株)三晃
鴻上 高
(事務局兼務)
イカリ消毒(株)
平井 由美子
食環境プロデューサー
金山 民生
東洋産業(株)
猪野 祐二
アサヒフーズ(株)
新任
坂下 琢治
LRQAジャパン
新任
田中 達男
(株)赤福
安藤 鐘一郎
国際衛生(株)、元愛知ヤクルト
事務局長
冨島 邦雄
NPO法人てくてく
事務局次長
鈴木 厳一郎
フードクリエイトスズキ(有)
副会長
幹事
新任
監査役
新任
新任
顧問団
役職
氏名
所属
備考
最高顧問
米虫 節夫
大阪市立大学工学部 客員教授
猫西 一也
元大阪市消費者センター所長
鈴木 進
フードクリエイトスズキ(有)
新任
山口 年宣
(株)山食
新任
柳澤 義彰
元(株)川喜
新任
新任
顧問
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食品安全ネットワーク
「第18回定期総会と特別講演会」のご案内
平成 26 年 4
1.日 時
月 23 日(水)
13時30分開始
(受付 13時00分より)
エル・おおさか(大阪府立労働センター)
2.場 所
TEL:06-6942-0001 FAX:06-6942-1933
〒540-0031 大阪市中央区北浜東 3-14(4 ページをご覧ください)
3.内 容
(1)定期総会
13時30分∼14時20分
1)挨 拶
食品安全ネットワーク 会長
2)議 事
事業・決算報告、監査報告、事業計画・予算審議他
3)事業案内
海外研修他
<休
憩>
14時20分 14時30分
(2)特別講演会
角野 久史
14時30分∼16時00分
テーマ:「惣菜類を取り巻く環境と惣菜製造管理認定事業の意義」
講師
平山
誠氏(元日本惣菜協会
技術アドバイザー)
※講師のプロフィールは 4 ページをご覧ください。
<移
動>
16時00分 16時10分
(3)情報交換会
16時10分∼18時00分
4.お申込み
(1)参加費
お一人様 5,000円
(2)情報交換会
お一人様 3,000円
(3)定員
80名(会場の都合により、先着順で締め切りさせて頂きます)
(4)出席の連絡
出席される方は 4 ページの参加申込書にご記入の上、4月16日
(水)までにFAXにて、お知らせ下さい。(ホームページからも
申し込めます。)
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