試験実施計画書番号:TRIHN1504 1. 標題ページ 試験実施計画書 試験実施計画書番号: TRIHN1504 試験課題名: 甲状腺未分化癌に対するレンバチニブの有効性及び安全性に 関する第2相試験 Phase II study assessing the efficacy and safety of lenvatinib for anaplastic thyroid cancer (HOPE) 主任研究者: 杉谷 巌 日本医科大学大学院医学研究科 内分泌外科学分野 田原 信 国立研究開発法人国立がん研究センター東病院 頭頸部内科 作成年月日: 第1.0版:2015年8月27日 改訂年月日: 第1.01版:2015年9月29日 第1.02版:2015年10月22日 第1.1版:2016年2月8日 第2.0版:2017年1月21日 機密保持について: 本試験実施計画書に含まれる情報は機密情報であり,本試験実 施計画書は本試験に参加いただく試験責任医師,主任研究者, 実施医療機関の関係者,倫理審査委員会に限り提供するもので す。したがって,被験者から同意を得る場合,又は試験分担医 師,協力者に説明する場合を除き,第三者に開示することはで きません。 また,本情報は事前の書面による主任研究者 杉谷 巌,田原 信 の承諾なしに本試験の実施あるいは評価以外の目的に利用す ることはできません。 1 試験実施計画書番号:TRIHN1504 2. 試験実施計画書の概要 一般名 レンバチニブメシル酸塩 試験課題名 甲状腺未分化癌に対するレンバチニブの有効性及び安全性に関する第2相 試験 Phase II study assessing the efficacy and safety of lenvatinib for anaplastic thyroid cancer (HOPE) 試験実施計画書 TRIHN1504 番号 主任研究者 日本医科大学大学院医学研究科 内分泌外科学分野 杉谷 巌 国立研究開発法人国立がん研究センター東病院 頭頸部内科 田原 信 シェーマ 適格規準に合致 症例登録 目標症例数:39 例 治療 レンバチニブ 4週間を1サイクルとし,1日1回,24 mgを経口投与する。 試験薬は毎日ほぼ同じ時刻に服用するものとする。 評価 有効性の主要評価項目 全生存期間(OS:Overall Survival) 有効性の副次評価項目 無増悪生存期間(PFS:Progression-Free Survival) 最良総合効果(BOR:Best Overall Response) 客観的奏効率(ORR:Objective Response Rate) 病勢コントロール率(DCR:Disease Control Rate) 臨床的有用率(CBR:Clinical Benefit Rate) 安全性の評価項目 有害事象発生率 試験実施地域 施設数:26施設(予定) (国)又は施設 実施国:日本 試験期間及び 30ヵ月(2016年1月8日~2018年7月7日) 試験の相 第2相 試験の目的 根治切除不能と判断された甲状腺未分化癌(ATC:Anaplastic Thyroid Cancer)に対するレンバチニブの有効性と安全性を検討する。 2 試験実施計画書番号:TRIHN1504 試験デザイン 本試験は,ATC患者を対象とする非無作為化,非盲検,単アーム,オープ ンラベル 多施設共同 医師主導 前向き 第2相 臨床試験である。 本試験は準備期,治療期,フォローアップ期の3つの期間で構成される。 準備期は同意取得,スクリーニング,登録及びベースライン評価からなる。 同意は投与開始日の最大28日前から取得してもよい。 スクリーニング評価終了後,登録し,登録から7日以内に投与を開始する。 ベースライン評価は投与直前に実施する。 治療期は,第1サイクル第1日目の投与開始時から始まり,「被験者ごとの 中止規準」に該当するまで継続する。試験期間中は定期的に有効性及び安 全性の評価を実施する。なお,腫瘍評価は投与開始日から4週後,8週後, 12週後,16週後,以降8週毎に実施する。試験薬投与中止時から7日以内に 試験薬投与中止時の検査を実施する。また,最終投与日の30日後に最終観 察を実施する。 フォローアップ期に生存調査を行う。試験中止後は,被験者が同意を撤回 しない限り,12週毎に生存を追跡する。 症例数 39例(目標症例数) 適格規準 選択規準: (1) 組織学的に甲状腺未分化癌が確認されている 注)各実施医療機関での組織診断結果を用いる。細胞診のみは許容し ない。 (2) 根治切除不能な甲状腺未分化癌を有する (3) RECIST1.1で評価可能な標的病変を有する (4) 適切な臓器機能を有し,骨髄機能,肝機能,腎機能に関しては登録前 14日以内,心機能に関しては28日以内の臨床検査値が下記の規準を満 たす: (a) 骨髄機能: 好中球数≧1.5×103/μL 血小板数≧10.0×104/μL ヘモグロビン量≧9.0 g/dL (b) 肝機能: AST,ALT≦3.0×ULN(肝転移がない場合) AST,ALT≦5.0×ULN(肝転移がある場合) ビリルビン≦2.0 mg/dL (c) 腎機能: GFR推算値≧50 ml/min/1.73 m2 GFR推算値は男女別に以下の数式を用いて算出する。 男性:194×(血清クレアチニン濃度)-1.094×(年齢)-0.287 女性:男性のGFR推算値×0.739 3 試験実施計画書番号:TRIHN1504 (d) 心機能: 12誘導心電図:臨床的に意義のある異常(心疾患,重篤な不整脈等) がない (5) 降圧剤使用の有無にかかわらず,収縮期血圧140 mm Hg以下かつ拡張期 血圧90 mm Hg以下である(降圧剤を使用している場合は,さらなる降 圧療法が可能であること) (6) 同意取得時の年齢が20歳以上である (7) ECOG Performance status(PS)が0-2である (8) 薬剤(カプセル剤)の経口的摂取が可能である (9) 8週間以上の生存が見込める (10) 本人から文書による同意が得られている 適格規準 除外規準: (1) 以下の合併症又は既往症を有する (a) 脳転移の合併(ただし,治療を完了し,スクリーニング時の1ヵ月以 上前から臨床的に安定している脳転移は除く) (b) 治療を要する全身性の感染症の合併 (c) 肺線維症又は間質性肺炎の合併 (d) 臨床的に意義のある心血管系疾患の既往を有する:試験薬投与開始か ら6ヵ月以内のNew York Heart Association(NYHA)分類のクラスIIを 超えるうっ血性心不全,不安定狭心症,心筋梗塞又は発作,若しくは 治療を要する不整脈 (e) コントロール不良の糖尿病の合併 (f) 登録前3週間以内の喀血(小さじ1/2以上の鮮血) (g) 試験登録の6ヵ月以内に出血性又は血栓性疾患の既往がある (h) 尿中蛋白定性検査において蛋白尿が2+以上の場合,24時間蓄尿を実施 し,尿中蛋白が1 g/24時間以上を認める(ただし,早朝尿の尿蛋白/ クレアチニン比での代用を可とする) (i) 消化管の吸収不良並びに試験責任医師又は試験分担医師がレンバチ ニブの吸収に影響を与えると判断する合併症 (j) 登録前2週間以内の手術(ただし,針生検の場合は1週間以内とする) (k) ドレナージを要する体腔液貯留 (2) 過去にレンバチニブを投与されている (3) 顕著な大血管への浸潤があり,かつ大出血のリスクが高い (4) 腫瘍の浸潤による皮膚の瘻孔,びらん,潰瘍形成等が明らかで,かつ 大出血のリスクが 高い (5) 前治療による毒性がCTCAE v4.0に基づき,Grade 1以下に回復していな い(脱毛,末梢神経障害及び不妊を除く) (6) 活動性重複癌(同時性重複癌及び無病期間が5年以内の異時性重複癌) 4 試験実施計画書番号:TRIHN1504 を有する 注)ただし,Carcinoma in situ(上皮内癌)や粘膜内癌相当の病変は含 めない (7) 妊婦,授乳婦及び妊娠している可能性がある (8) 精神病又は精神症状を合併しており試験への参加が困難と判断される (9) 試験薬(又は賦形剤)の成分に忍容性がないと判明している (10) 他の介入を伴う臨床試験に参加し治療中である (11) その他,被験者の医学的又はその他の要因により本試験への参加が困 難であると,試験責任医師又は試験分担医師により判断される 投与法 試験薬:レンバチニブ 4週間を1サイクルとし,1日1回24 mgを経口投与する。試験薬は毎日ほぼ 同じ時刻に服用するものとする。 なお,試験薬との因果関係が否定できない毒性が発現した場合は,以下の 休薬・減量規準に従い,休薬・減量を行う。なお,減量後の再増量は,試 験責任医師が被験者の利益,不利益を考慮し,事前に中央事務局に連絡・ 協議の上で行う。 休薬・減量規準 試験薬と関連の 管理 ある毒性a 減量後の用量 Grade 1又は忍容できるGrade 2b 試験薬投与の継続 変更無し 忍容できないGrade 2b又はGrade 3 初回の毒性発現 2回目の毒性発現 3回目の毒性発現 20 mg QD経口投与 Grade 0-1又は ベースライン評価時 のGradeに回復する 4回目の毒性発現 まで休薬c 5回目の毒性発現 14 mg QD経口投与 10 mg QD経口投与 8 mg QD経口投与 4 mg QD経口投与 Grade 4 :試験の中止 d 注意:Gradeの分類は,CTCAE v4.0を参照すること。全ての有害事象のCTC Grade,CTC Gradeの推移を収集する。 a:悪心,嘔吐及び/又は下痢に対しては,試験薬の投与,休薬,減量の前 に,適切な処置を開始する。 b:Grade 2の忍容性に関しては,被験者又は試験責任医師・試験分担医師 が決定する。 c:(試験薬と関連のある毒性により)28日を超えて休薬する場合は,投与 再開前に,試験責任医師が被験者の利益,不利益を考慮し,事前に中 央事務局に連絡・協議の上で行う。 5 試験実施計画書番号:TRIHN1504 投与法 d:生命を脅かす恐れがないと判断される臨床検査値異常は除外し,この 場合,Grade 3として管理する。 ただし,高血圧及び蛋白尿の発現に対しては,上記の休薬・減量規準を用 いずに,以下の手順に従い管理する。 ・高血圧 (1) 血圧の評価は,家庭血圧のチェックと当日診察時の血圧を総合的に 判断し,(2) 以降の高血圧発現時の対応を適切に行う。 (2) 以前まで正常血圧であった被験者については,収縮期血圧140 mm Hg以上又は拡張期血圧90 mm Hg以上の血圧が認められたときに, 降圧療法を開始する。 (3) 最大限の降圧療法にもかかわらず収縮期血圧160 mm Hg以上又は拡 張期血圧100 mm Hg以上が継続する場合,試験薬の投与を中断し, 収縮期血圧150 mm Hg以下及び拡張期血圧95 mm Hg以下となった 場合に,20 mg 1日1回の用量で再開する。最大限の降圧療法にもか かわらず収縮期血圧160 mm Hg以上又は拡張期血圧100 mm Hg以上 が再発する場合は,同様に1段階ずつ減量(20,14,10,8及び4 mg/ 日)する。 (4) Grade 4の高血圧(生命を脅かすもの)が認められた場合,試験薬の 投与を中止する。 ・蛋白尿 (1) 蛋白尿が3+の場合,もしくは2+で以下の規準に1つでも該当する場 合は,試験薬の投与を中断(休薬)する。 ・臨床的に浮腫を認める ・血清クレアチニン≧1.5×ULN ・血清アルブミン≦3.0 g/dL ・尿蛋白/クレアチニン比≧2.0 (2) 中断(休薬)後、蛋白尿が1+以下になった場合,もしくは2+であっ ても以下の規準を全て満たす場合は,試験薬の投与を再開できる。 ただし,投与再開の際は,20 mg 1日1回の用量(1段階の減量)とす る。 ・臨床的に浮腫を認めない ・血清クレアチニン<1.5×ULN ・血清アルブミン>3.0 g/dL なお,尿蛋白/クレアチニン比<2.0であることが望ましい。 (3) 試験薬の投与を再開後においても,(1)の休薬規準に該当する場合は 試験薬の投与を中断し,その後再び(2)の再開規準を満たす場合は試 験薬の投与を再開できる。なお,その際は,同様に1段階ずつ減量 (20,14,10,8及び4 mg/日)する。 6 試験実施計画書番号:TRIHN1504 投与法 対照薬: 該当せず 投与期間 試験薬の投与は「被験者ごとの中止規準」に該当するまで継続する。 ・被験者ごとの中止規準 (1) RECIST1.1に基づく病勢の進行(新病変の出現を含む)が認められた 場合(ただし,PR又は長期SD[dSD:11週以上のSD]が認められて いる被験者の場合,試験責任医師又は試験分担医師が試験薬の投与に より臨床的利益が継続しており,他に有効な治療法がないと判断すれ ば,臨床的に増悪するまで試験薬の投与を継続してもよい) (2) 忍容できない毒性を発現し,試験責任医師又は試験分担医師が試験の 継続を困難と判断した場合 (3) 登録後に重大な適格規準(選択/除外規準)違反が判明した場合 (4) 被験者が妊娠した場合 (5) 被験者より試験参加継続拒否の申し出あるいは同意撤回があった場 合 (6) 被験者が試験実施計画書の内容を遵守できず,試験責任医師又は試験 分担医師が安全性確保の目的で試験の継続が不適切と判断した場合 (7) その他,試験責任医師又は試験分担医師が試験の中止を適切と判断し た場合 併用薬/併用療法 該当せず 評価項目 有効性: 有効性の主要評価項目: 全生存期間(OS): 投与開始日から死亡原因を問わない死亡日までの期間とする。死亡が 確認されていない被験者については,最後に生存が確認された日又は 試験のカットオフ日のいずれか早い日をもって打ち切りとする。 有効性の副次評価項目: 本試験における腫瘍評価は,試験責任医師又は試験分担医師がRECIST1.1 を用いて行う。腫瘍評価は投与開始日から4週後,8週後,12週後,16週後, 以降8週毎に実施する。臨床的に病変の増悪が疑われる場合は,より早く 実施する。 ・無増悪生存期間(PFS): 投与開始日から最初にイベント(PD又は死亡原因を問わない死亡のい ずれか早い方)が確認された日までの期間とする。いずれのイベント も観察されない場合,その後生存した症例では最終腫瘍評価日,追跡 不能となった症例では追跡不能となる以前の最終腫瘍評価日をもっ て打ち切りとする。 7 試験実施計画書番号:TRIHN1504 評価項目 ・最良総合効果(BOR): 試験薬投与開始日から試験終了までの間に記録された上で最も良好 な総合効果であり,CR,PR,SD,PD,NEのいずれかで評価される。 SDを3週以上の安定と定義する。 ・客観的奏効率(ORR): BORがCR又はPRの被験者の割合 ・病勢コントロール率(DCR): BORがCR,PR又はSDの被験者の割合 ・臨床的有用率(CBR): BORがCR,PR又はdSD(11週以上のSD)の被験者の割合 安全性: ・有害事象発生率:有害事象発生の割合 安全性はCTCAE v4.0によるGrade評価(JCOGにおける運用は適用し ない)を含む有害事象,重篤な有害事象の調査及び記録,定期的な血 液学的検査,血液生化学検査及び尿検査の実施,バイタルサイン測定, 12誘導心電図及び身体所見により評価する。 薬物動態: 該当せず 薬力学: ベースライン評価時,第1サイクル15日目,第2サイクル1日目及び試験薬 投与中止時に,血液中のVEGF,FGF,アンジオポイエチンを測定する。 ファーマコゲノミクス/ファーマコジェネティクス: 該当せず その他の評価 治療中のQOL: 項目 ベースライン評価及び各サイクル開始時に質問表を用いたアンケート調 査(EQ-5D-5L)を行う。 薬物濃度測定法 該当せず 統計手法 解析対象集団: ・安全性解析対象集団(SAS) 登録被験者のうち、レンバチニブ投与が行われたすべての被験者を安全 性解析の解析対象集団とする。 ・有効性解析対象集団(FAS) 安全性解析対象集団のうち、以下の被験者を除いた集団を有効性解析対 象集団とする。 登録後に不適格であることが判明した被験者 登録時に有効性に関わるデータがない被験者 レンバチニブ投与後のいずれの時点にも有効性に関わるデータがない 被験者 8 試験実施計画書番号:TRIHN1504 統計手法 有効性の解析: ・主要評価項目: 全生存期間(OS)に指数分布を仮定し,λ=1.97(1 年生存率 14%をハザー ドに換算した値)を帰無仮説とした検定を両側有意水準 0.05 で行う。 また感度分析として,全生存期間(OS)の生存曲線をKaplan-Meier法によ り推定し,1年時生存率とその95%信頼区間を算出する。生存期間中央値と その95%信頼区間を算出する。 ・副次評価項目: 探索的解析として,全生存期間(OS)について日本甲状腺未分化癌研究コ ンソーシアム(ATCCJ)のデータベースを無治療対照群として,下記の因 子を共変量とした Cox の比例ハザードモデルを用いて,治療効果の推定(調 整ハザード比の推定)を行う。 年齢,性別,診断手段,1ヶ月以内の急性増悪症状,診断時白血球数,高 Ca血症,腫瘍径,T分類,N分類,M分類,ステージ,先行病変,手術,放 射線外照射,化学療法 安全性の解析: 試験薬投与後に発現した有害事象(TEAE)及び重篤な有害事象(SAE)の 例数及び発現率を集計する。器官別大分類(SOC),基本語(PT), CTCAEGrade(JCOGの運用は適用しない)及び因果関係別にも集計する。 臨床検査値,バイタルサイン,12誘導心電図及びそれらのベースライン評 価からの変化量を,記述統計量を用いて要約する。 中間解析 該当せず 症例数の設定 甲状腺未分化癌研究コンソーシアム(ATCCJ)のデータベースによると, 根拠 ATC患者(Stage IV B及びIV C)の1年生存率は14%と推定される*1。一方, 国内第2相試験(E7080-J081-208試験)では,レンバチニブを投与したATC 患者の1年生存率は35%と推定される*2。 これより,本試験の対象となるレンバチニブを投与したATC患者の期待1 年生存率を30%と見積もると,帰無仮説14%を棄却するのに必要な症例数 は,登録期間18か月,追跡期間12か月,検出力80%,有意水準両側5%で, 35例と算出される。不適格脱落及び登録後脱落が10%程度生じることを想 定し,試験例数を39例に設定した。 *1 1995~2008年登録分のデータ(ATCCJ未発表データ) *2 2015年2月19日時点(エーザイ社未発表データ) 9 試験実施計画書番号:TRIHN1504 3. 目次 1. 標題ページ ..................................................................................................................................1 2. 試験実施計画書の概要 ..............................................................................................................1 3. 目次 ............................................................................................................................................10 4. 略号及び用語の定義一覧 ........................................................................................................13 5. 倫理 ............................................................................................................................................15 6. 5.1. 臨床試験の倫理的実施.....................................................................................................15 5.2. 倫理審査委員会.................................................................................................................15 5.3. 被験者への情報及び同意説明.........................................................................................15 5.3.1. 同意説明文書・同意書の作成 .................................................................................15 5.3.2. 同意説明文書・同意書の改訂 .................................................................................17 5.3.3. 実施医療機関における実施許可の取得 .................................................................17 5.3.4. 個人情報の保護.........................................................................................................17 5.3.5. 同意取得の時期と方法.............................................................................................18 5.3.6. 被験者の試験参加に際して .....................................................................................18 5.3.7. 被験者に対する新たな情報の提供 .........................................................................18 主任研究者,試験責任医師及び試験担当者 ........................................................................19 6.1. 主任研究者 ........................................................................................................................19 6.2. 運営委員会 ........................................................................................................................19 6.3. プロトコル委員会.............................................................................................................19 6.4. 効果安全性評価委員会.....................................................................................................20 6.5. 組織型中央判定委員会.....................................................................................................20 6.6. 薬力学評価指標測定機関.................................................................................................20 6.7. 中央事務局(医学判断を伴う問い合わせ) .................................................................21 6.8. 試験事務局(医学判断を伴わない問い合わせ) .........................................................21 6.9. 統計解析責任者.................................................................................................................21 データセンター.............................................................................................................22 6.10. 6.10.1. プロジェクトマネジメント責任者 .........................................................................22 6.10.2. データマネジメント責任者 .....................................................................................22 6.10.3. モニタリング責任者.................................................................................................22 6.10.4. 監査責任者.................................................................................................................22 6.11. 7. 試験参加予定医療機関・試験責任医師 .........................................................................23 緒言 ............................................................................................................................................24 7.1. 甲状腺癌 ............................................................................................................................24 7.2. 甲状腺癌の治療法.............................................................................................................24 7.2.1. 7.3. 甲状腺未分化癌(ATC)の治療法 .........................................................................24 レンバチニブメシル酸塩(以下,レンバチニブ) .....................................................24 10 試験実施計画書番号:TRIHN1504 7.3.1. レンバチニブの臨床試験.........................................................................................25 本試験実施の妥当性.........................................................................................................26 7.4. 8. 試験の目的 ................................................................................................................................27 9. 試験の計画 ................................................................................................................................27 試験の全般的デザイン及び計画.....................................................................................27 9.1. 9.1.1. 準備期 ........................................................................................................................27 9.1.2. 治療期 ........................................................................................................................27 9.1.3. フォローアップ期.....................................................................................................27 9.2. 対照群の選択を含む試験デザインについての考察 .....................................................27 9.3. 試験対象集団の選択.........................................................................................................27 9.3.1. 選択規準.....................................................................................................................28 9.3.2. 除外規準.....................................................................................................................28 9.3.3. 被験者の治療又は評価の打ち切り .........................................................................29 治療法 ................................................................................................................................30 9.4. 9.4.1. 試験薬の投与.............................................................................................................30 9.4.2. 試験薬の同定.............................................................................................................32 9.4.3. 治療群への被験者の割付け方法 .............................................................................32 試験方法 ............................................................................................................................33 9.5. 9.5.1. 調査項目.....................................................................................................................33 9.5.2. 観察・調査項目及び実施スケジュール .................................................................46 9.5.3. 調査項目の適切性.....................................................................................................51 9.5.4. 有害事象の緊急報告とその後の対応 .....................................................................52 9.5.5. 被験者の完了又は中止.............................................................................................53 9.5.6. 試験薬の乱用又は不正使用 .....................................................................................53 9.5.7. 被験者の他科・他院受診の確認 .............................................................................53 データの品質保証.............................................................................................................53 9.6. 9.6.1. データの収集.............................................................................................................53 9.6.2. 試験データの管理.....................................................................................................54 9.6.3. モニタリング.............................................................................................................54 9.6.4. 監査 ............................................................................................................................54 統計手法 ............................................................................................................................54 9.7. 9.7.1. 統計及び解析計画.....................................................................................................54 9.7.2. 症例数の決定.............................................................................................................58 9.7.3. 中間解析.....................................................................................................................58 9.7.4. その他の統計及び解析上の留意事項 .....................................................................58 試験期間 ............................................................................................................................58 9.8. 10. 試験の費用負担 ....................................................................................................................59 10.1. 資金源及び財政上の関係.............................................................................................59 10.2. 臨床試験に関する費用.................................................................................................59 11 試験実施計画書番号:TRIHN1504 10.3. 利益相反(COI)について ..........................................................................................59 11. 参考文献の一覧表 ................................................................................................................60 12. 手順及び指示(実施要領) ................................................................................................61 12.1. 試験実施計画書の変更.................................................................................................61 12.1.1. 登録の中断.................................................................................................................61 12.1.2. 主任研究者.................................................................................................................61 12.1.3. 試験責任医師.............................................................................................................61 12.2. 試験実施計画書の遵守.................................................................................................61 12.3. モニタリングの手順.....................................................................................................61 12.3.1. 中央モニタリング.....................................................................................................61 12.3.2. 施設モニタリング.....................................................................................................62 12.4. データの記録.................................................................................................................62 12.4.1. 様式と提出期限.........................................................................................................62 12.4.2. 入力方法.....................................................................................................................63 12.4.3. 症例登録書内容の確認と問い合わせ .....................................................................63 12.5. 原データの特定.............................................................................................................63 12.6. 記録の保存 ....................................................................................................................64 12.7. 監査の手順 ....................................................................................................................64 12.8. 試験薬の取扱い.............................................................................................................64 12.9. 試験の公表と成果の帰属.............................................................................................64 12.9.1. 臨床試験登録.............................................................................................................64 12.9.2. 成果の帰属.................................................................................................................64 12.10. 情報・結果の開示及び守秘義務.................................................................................65 12.11. 試験の終了と早期中止.................................................................................................65 12.11.1. 試験の終了.............................................................................................................65 12.11.2. 試験の早期中止.....................................................................................................65 12.12. 13. 健康被害の保険及び補償・賠償.................................................................................65 別紙 ........................................................................................................................................65 12 試験実施計画書番号:TRIHN1504 4. 略号及び用語の定義一覧 略号 省略していない表現(英語) 省略していない表現(日本語) ALT Alanine aminotransferase (GPT) アラニン・アミノトランスフェラーゼ ALP Alkaline phosphatase アルカリホスファターゼ ATC Anaplastic thyroid cancer 甲状腺未分化癌 AST Aspartate aminotransferase (GOT) アスパラギン酸アミノトランスフェラ ーゼ hCG human chorionic gonadotropin ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン BUN blood urea nitrogen 血中尿素窒素 CBR Clinical benefit rate 臨床的有用率 CRF Case report form 症例報告書 CR complete response 完全奏効 CT computed tomography コンピューター断層撮影 CTCAE Common terminology criteriafor 有害事象共通毒性基準 adverse events DCR disease control rate 病勢コントロール率 dSD durable SD 長期安定 DTC Differentiated thyroid cancer 甲状腺分化癌 ECOG Eastern cooperative oncology group 米国東海岸がん臨床試験グループ FGF fibroblast growth factor 繊維芽細胞増殖因子 FGFR1 fibroblast growth factor receptor1 繊維芽細胞増殖因子受容体1 Flt-1 fms-like tyrosine kinase1 fms様チロシンキナーゼ FT4 free thyroxine 遊離サイロキシン HUVEC Human umbilical vein endothelial ヒト臍帯静脈内皮細胞 cells ICH 医薬品規制調和国際会議 International Conference on Harmonization of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use ID identification 同定 JCOG Japan clinical oncology group 日本臨床腫瘍研究グループ KDR kinaseinsert domain receptor キナーゼ挿入ドメイン受容体 LDH lactic acid dehydrogenase 乳酸脱水素酵素 MedDRA Medical dictionary for regulatory ICH国際医薬用語集 activities MRI magnetic resonance imaging 磁気共鳴断層撮影 MTC medullary thyroid cancer 甲状腺髄様癌 13 試験実施計画書番号:TRIHN1504 略号 省略していない表現(英語) 省略していない表現(日本語) MTD maximum tolerated dose 最大耐量 NCCN National comprehensive cancer 全米総合がん情報ネットワーク network NE not evaluable 評価不能 NYHA New York heart association ニューヨーク心臓学会 ORR objective response rate 客観的奏効率 OS Overall survival 全生存期間 PD pharmacodynamics / progressive 進行 disease PDGFRβ 血小板由来増殖因子β受容体 platelet-derived growth factor receptor β PFS Progression-free survival 無増悪生存期間 PR partial response 部分奏効 PS performance status 一般状態 PT preferred term 基本語(MedDRA/Jにおける用語の一種) QOL quality of life 生活の質 QT Time from the beginning of the QT間隔 QRS complex to the end of the Twave RECIST 固形がんの効果判定基準 Response evaluation criteria in solid tumors SAE serious adverse event 重篤な有害事象 SD stable disease 安定 SOC system organ class 器官別大分類 SOP standard operating procedure 標準業務手順書 TEAE treatment-emergent adverse event 試験薬投与後に認められた有害事象 TNM Tumor-Node-Metastasis 腫瘍-結節-転移 TSH thyroid stimulating hormone 甲状腺刺激ホルモン ULN Upper limit of normal 基準値上限 VEGF vascular endothelial growth factor 血管内皮増殖因子 VEGFR vascular endothelial growth factor 血管内皮増殖因子受容体 receptor γ-GTP γグルタミルトランスフェラーゼ gamma glutamyl transferase 14 試験実施計画書番号:TRIHN1504 倫理 5. 5.1. 臨床試験の倫理的実施 本試験に関係する全ての研究者は, 「世界医師会ヘルシンキ宣言」 (2013 年 10 月改訂)及 び「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」 (平成 26 年 12 月 22 日:文部科学省/ 厚生労働省)に従って本試験を実施する。 また,本試験に参加する研究者は,被験者の安全と人権を損なわない限りにおいて本試 験の試験実施計画書を遵守して実施する。 5.2. 倫理審査委員会 試験実施計画書,同意説明文書並びにその他の関連文書は,倫理審査委員会により審査 され,承認されなければならない。また,試験実施計画書の改訂又は同意説明文書の変更 を行う際には,再度倫理審査委員会の審査を受け承認を得る。 実施医療機関の長は,試験開始前に倫理審査委員会の承認文書を入手しなければならない。 万一,倫理審査委員会が試験の中断又は中止を決定した場合には,実施医療機関の長は直ち にその旨を試験責任医師へ報告する。 試験責任医師は,試験の実施状況(登録症例数,有害事象発現状況,試験実施計画書か らの逸脱等)を,実施医療機関の長を通じて,規定に従い当該倫理審査委員会へ報告する。 なお,この頻度は原則として年 1 回以上とする。試験責任医師は,倫理審査委員会の手順 書に従い報告すべき全ての有害事象を実施医療機関の長を通じて当該倫理審査委員会へ通 知する。また,試験責任医師は,試験終了時に実施医療機関の長を通じて,当該倫理審査 委員会へ試験結果の概要を報告する。 5.3. 5.3.1. 被験者への情報及び同意説明 同意説明文書・同意書の作成 試験責任医師は,被験者となるべき者から試験への参加の同意を得るための同意説明文 書・同意書及び同意撤回書を作成する。これらの文書の使用にあたっては,試験の開始前 に倫理審査委員会へ提出し,承認を得る。 同意説明文書には,原則として「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」で定め られた以下の事項を記載することとする。 1) 研究の名称及び当該研究の実施について研究機関の長の許可を受けている旨 2) 研究機関の名称及び研究責任者の氏名(他の研究機関と共同して研究を実施する場 合には,共同研究機関の名称及び共同研究機関の研究責任者の氏名を含む。) 3) 研究の目的及び意義 4) 研究の方法(研究対象者から取得された試料・情報の利用目的を含む。)及び期間 5) 研究対象者として選定された理由 6) 研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益 7) 研究が実施又は継続されることに同意した場合であっても随時これを撤回できる旨 (研究対象者等からの撤回の内容に従った措置を講じることが困難となる場合があ るときは,その旨及びその理由) 15 試験実施計画書番号:TRIHN1504 研究が実施又は継続されることに同意しないこと又は同意を撤回することによって 8) 研究対象者等が不利益な取扱いを受けない旨 研究に関する情報公開の方法 9) 10) 研究対象者等の求めに応じて,他の研究対象者等の個人情報等の保護及び当該研究 の独創性の確保に支障がない範囲内で研究計画書及び研究の方法に関する資料を入 手又は閲覧できる旨並びにその入手又は閲覧の方法 11) 個人情報等の取扱い(匿名化する場合にはその方法を含む。) 12) 試料・情報の保管及び廃棄の方法 13) 研究の資金源等,研究機関の研究に係る利益相反及び個人の収益等,研究者等の研 究に係る利益相反に関する状況 14) 研究対象者等及びその関係者からの相談等への対応 15) 研究対象者等に経済的負担又は謝礼がある場合には,その旨及びその内容 16) 通常の診療を超える医療行為を伴う研究の場合には,他の治療方法等に関する事項 17) 通常の診療を超える医療行為を伴う研究の場合には,研究対象者への研究実施後に おける医療の提供に関する対応 18) 研究の実施に伴い,研究対象者の健康,子孫に受け継がれ得る遺伝的特徴等に関す る重要な知見が得られる可能性がある場合には,研究対象者に係る研究結果(偶発 的所見を含む。)の取扱い 19) 侵襲を伴う研究の場合には,当該研究によって生じた健康被害に対する補償の有無 及びその内容 20) 研究対象者から取得された試料・情報について,研究対象者等から同意を受ける時 点では特定されない将来の研究のために用いられる可能性又は他の研究機関に提供 する可能性がある場合には,その旨と同意を受ける時点において想定される内容 21) 侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うものの場合には,研究 対象者の秘密が保全されることを前提として,モニタリングに従事する者及び監査 に従事する者並びに倫理審査委員会が,必要な範囲内において当該研究対象者に関 する試料・情報を閲覧する旨 同意書には,以下の事項を含まなければならない。 1) 臨床試験名 2) 同意説明文書作成日,版 3) 説明日,試験責任医師又は試験分担医師の記名捺印若しくは署名欄 4) 同意日,被験者の記名捺印又は署名欄 5) 説明の内容を理解し,試験に参加することに同意する旨の記述 6) 実施医療機関名 同意撤回書には,以下の事項を含まなければならない。 1) 臨床試験名 2) 試験責任医師又は試験分担医師の記名捺印若しくは署名欄 16 試験実施計画書番号:TRIHN1504 3) 同意撤回日,被験者の記名捺印又は署名欄 4) 試験参加への同意を撤回する旨の記述 5) 実施医療機関名 文書による同意を得る際には,説明を行った試験責任医師又は試験分担医師,並びに被 験者が同意説明文書の内容を十分理解した上で,同意書様式に各自日付を記入し,記名捺 印又は署名する。 試験責任医師又は試験分担医師は,記名捺印又は署名した同意書の写しを同意説明文書 と共に被験者に交付し,同意書原本はカルテに添付する等して当該医療機関で保管する。 また,試験参加中の被験者が同意の撤回を申し出た場合,試験責任医師又は試験分担医師, 並びに被験者はその旨を記載した同意撤回書に各自日付を記入し,記名捺印又は署名する。 その同意撤回書の写しを被験者に交付し,原本はカルテに添付する等して当該医療機関で 保管する。 5.3.2. 同意説明文書・同意書の改訂 試験開始後に試験責任医師が被験者の同意に関連する新たな知見を得,同意説明文書・ 同意書の改訂が必要と判断した場合には,それを改訂する。被験者の同意に関連する新た な知見とは,たとえば当該治療法等に関連する新たな有害事象の情報,あるいは当該疾患 にかかわる新治療法等の開発に関する情報等を指す。なお,改訂の内容が被験者の試験継 続についての意思決定に影響を与えると判断する場合は倫理審査委員会に改訂した同意説 明文書・同意書を提出し,その承認を得た後,再度,被験者に説明し同意を得る。 5.3.3. 実施医療機関における実施許可の取得 試験責任医師は,本試験を実施する前に所属する医療機関の長へ申請し,倫理審査委員 会の承認及び医療機関の長の実施許可を得る。なお,当該医療機関に倫理審査委員会を設 置することができない場合,「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に従い設置, 運営されている他の倫理審査委員会でもよい。 5.3.4. 個人情報の保護 本試験にかかわる全ての者は,被験者及び被験者となるべき者(以下,被験者等)の個 人情報保護について適応される法令,条例等を遵守する。 被験者等のプライバシーを保護するため,当該医療機関から外部に提出される文書・検 体(血液検体,組織検体)においては,全てのデータを被験者識別コードで識別する。氏 名,生年月日等個人を特定しうる情報は用いない。また,業務上被験者等のプライバシー に関する情報を知り得た者は,その秘密を保持する。 データセンターは,被験者識別コードや登録番号を用いて被験者の特定を行い,医療機 関へ照会を行う。 主任研究者等が試験で得られた情報を公表する際には,被験者等が特定できないよう十 分に配慮して行う。 17 試験実施計画書番号:TRIHN1504 5.3.5. 同意取得の時期と方法 試験責任医師又は試験分担医師は,試験の開始に先立ち,「5.3.1. 同意説明文書・同意書 の作成」, 「5.3.2. 同意説明文書・同意書の改訂」の手順に従って作成された同意説明文書・ 同意書を用いて,被験者となるべき者にわかりやすく説明し,試験参加について自由意思 による同意を文書で得る。同意を得る際には,被験者となるべき者に試験に参加するか否 かを判断するのに十分な時間と質問する機会を設け,質問に十分に答える。 説明した試験責任医師又は試験分担医師,及び被験者となるべき者は,同意書に署名し, 各自日付を記入する。同意書の写し及び同意説明文書は被験者に渡し,同意書の原本は実 施医療機関で保存する。試験責任医師又は試験分担医師は,同意書の写し及び同意説明文 書を被験者に手渡したことを文書(同意書の原本,診療録等)に記録する。 試験参加中の被験者が同意の撤回を申し出た場合,試験責任医師又は試験分担医師,並 びに被験者はその旨を記載した同意撤回書に各自日付を記入し署名する。その同意撤回書 の写しを被験者に渡したのち,原本は実施医療機関で保存の上,文書に記録する。 5.3.6. 被験者の試験参加に際して 本試験において適格であるかを検討するための検査の中で,がん診療の一般的検査につ いては同意取得前に実施された検査の結果を採用してよい。 試験責任医師,試験分担医師又は協力者は,被験者から他科又は他院を受診しているか を確認する。受診している場合は,被験者の同意を得た上でその担当医師に対し,本試験 に参加している旨を通知する。 5.3.7. 被験者に対する新たな情報の提供 試験責任医師又は試験分担医師は,試験に継続して参加するかどうかについて被験者の 意思に影響をおよぼすと考えられる重要な情報を入手した場合,その旨を速やかに被験者 に説明し,試験治療継続の意思を確認する。試験責任医師又は試験分担医師は,説明日, 説明者,説明内容,継続の意思の有無及び確認日を文書に記録する。 また,試験責任医師は同意説明文書・同意書を改訂する必要があると判断した場合,同 意説明文書・同意書を速やかに改訂し,実施医療機関の長に報告し倫理審査委員会の承認 を得る。すでに試験実施中の被験者がいる場合,改訂された同意説明文書・同意書を用い て,上記「5.3.5. 同意取得の時期と方法」の同意取得と同じ方法で試験への参加の継続につ いて改めて同意を取得し,同意書の写し及び同意説明文書を被験者に交付する。 18 試験実施計画書番号:TRIHN1504 主任研究者,試験責任医師及び試験担当者 6. 6.1. 主任研究者 日本医科大学大学院医学研究科 内分泌外科学分野 杉谷 巌 〒113-8603 東京都文京区千駄木 1-1-5 TEL:03-5814-6219, FAX:03-5685-0985 国立研究開発法人国立がん研究センター東病院 頭頸部内科 田原 信 〒277-8577 千葉県柏市柏の葉 6-5-1 TEL:04-7133-1111, FAX:04-7134-6957 〔主な業務内容〕 本試験の運営を総括する。 6.2. 運営委員会 委員長: 杉谷 巌 日本医科大学大学院医学研究科 内分泌外科学分野 委 員(五十音順): 安藤 雄一 名古屋大学医学部附属病院 化学療法部 伊藤 研一 信州大学医学部 外科学教室 乳腺内分泌・呼吸器外科分野 小野田 尚佳 大阪市立大学大学院医学系研究科 腫瘍外科学教室 神森 眞 金地病院 外科 清田 尚臣 神戸大学医学部附属病院 腫瘍・血液内科 菅沼 伸康 神奈川県立がんセンター 乳腺内分泌外科 杉野 公則 伊藤病院 外科 高橋 俊二 癌研有明病院 化学療法部,綜合腫瘍科 田原 信 国立研究開発法人国立がん研究センター東病院 頭頸部内科 中島 範昭 東北大学 乳腺・内分泌外科 東山 卓也 隈病院 外科 家根 旦有 近畿大学医学部奈良病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 〔主な業務内容〕 本試験の運営全般の実施と監督,進捗状況の定期的確認と推進策の検討・実行,運営 上の問題点の把握と解決策の協議・実行,公表(論文,学会)に関する調整等を行う。 6.3. プロトコル委員会 委 員(五十音順): 伊藤 研一 信州大学医学部 外科学教室 乳腺内分泌・呼吸器外科分野 小野田 尚佳 大阪市立大学大学院医学系研究科 腫瘍外科学教室 清田 尚臣 神戸大学医学部附属病院 腫瘍・血液内科 19 試験実施計画書番号:TRIHN1504 杉谷 巌 日本医科大学大学院医学研究科 内分泌外科学分野 高橋 俊二 癌研有明病院 化学療法部,綜合腫瘍科 田原 信 国立研究開発法人国立がん研究センター東病院 頭頸部内科 〔主な業務内容〕 試験実施計画書の作成,改訂の検討,試験実施計画書の解釈上の疑義の調整,内容細 目に関する参加医療機関間の調整等を行う。 6.4. 効果安全性評価委員会 委員長: 吉田 明 神奈川県予防医学協会中央診療所 (横浜市立大学客員教授) 委 員: 田村 和夫 福岡大学 腫瘍・血液・感染症内科学 〔主な業務内容〕 本試験とは独立した組織として設置する。有害事象報告,有効性及び安全性に関する 解析結果等を第三者の立場で評価し,試験の継続,中断,中止,試験実施計画書の変更 等,試験の実施に関する勧告を主任研究者に行う。運営手順は別途定める。 6.5. 組織型中央判定委員会 委 員(五十音順): 覚道 健一 近畿大学医学部奈良病院 病理診断科 坂本 穆彦 大森赤十字病院 検査部 廣川 満良 隈病院 病理部 〔主な業務内容〕 本試験に登録された症例について,甲状腺未分化癌であるかを第三者的観点で判定し, 病理組織学的適格性を保証する。 6.6. 薬力学評価指標測定機関 エーディア株式会社 〒300-1155 茨城県稲敷郡阿見町吉原 3262-12 TEL:029-889-2585, FAX:029-889-2262 測定責任者:研究開発本部 研究統括部 関野 哲男 〔主な業務内容〕 薬力学的評価指標である血液中の VEGF,FGF,アンジオポイエチンを測定する。 20 試験実施計画書番号:TRIHN1504 6.7. 中央事務局(医学判断を伴う問い合わせ) 日本医科大学大学院医学研究科 内分泌外科学分野 杉谷 巌 〒113-8603 東京都文京区千駄木 1-1-5 TEL:03-5814-6219, FAX:03-5685-0985 国立研究開発法人国立がん研究センター東病院 頭頸部内科 田原 信 〒277-8577 千葉県柏市柏の葉 6-5-1 TEL:04-7133-1111, FAX:04-7134-6957 〔主な業務内容〕 試験責任医師及び試験分担医師からの本試験の運営,実施に関して,医学的な判断を 伴う問い合わせの対応を行う。 また,試験責任医師及び試験分担医師が,研究対象者等及びその関係者からの医学的 判断を伴う問い合わせを受け,その内容について試験責任医師及び試験分担医師から問 い合わせがあった場合には対応する。 6.8. 試験事務局(医学判断を伴わない問い合わせ) 公益財団法人 先端医療振興財団 臨床研究情報センター(TRI) 〒650-0047 神戸市中央区港島南町 1-5-4 TEL:078-306-1016, FAX:078-306-1012 〔主な業務内容〕 試験責任医師及び試験分担医師からの本試験の運営,実施に関して,医学的な判断を 伴わない問い合わせの対応及び実務面の支援を行う。 また,試験責任医師及び試験分担医師が,研究対象者等及びその関係者からの医学的 判断を伴わない問い合わせを受け,その内容について試験責任医師及び試験分担医師か ら問い合わせがあった場合には対応する。 6.9. 統計解析責任者 公益財団法人 先端医療振興財団 臨床研究情報センター(TRI) 医学統計部 五百路 徹也 〔主な業務内容〕 医学統計の専門家として,本試験の統計学的な事項に責任を持つ。本試験実施計画書 に記載された解析方法に従い,解析計画書の作成,データの解析,解析報告書の作成等 の統計解析業務を行う。 21 試験実施計画書番号:TRIHN1504 6.10. データセンター 公益財団法人 先端医療振興財団 臨床研究情報センター(TRI) 〒650-0047 神戸市中央区港島南町 1-5-4 TEL:078-303-9116, FAX:078-303-9117 E-mail:[email protected] 平日:10:00~12:00,13:00~17:00 6.10.1. プロジェクトマネジメント責任者 公益財団法人 先端医療振興財団 臨床研究情報センター(TRI) プロジェクトマネジメント部 中川 聡史 〔主な業務内容〕 データセンターにおける本試験の運営全般に責任を持つ。主任研究者や運営委員を支 援し,本試験の円滑な推進,早期の問題点把握と解決策の実践等を行う。 6.10.2. データマネジメント責任者 公益財団法人 先端医療振興財団 臨床研究情報センター(TRI) データ管理部 河野 健一 〔主な業務内容〕 本試験のデータマネジメント業務に責任を持つ。データベースの設計,症例報告書入 力データの点検や検証,中央モニタリング等のデータマネジメント業務を行う。 6.10.3. モニタリング責任者 公益財団法人 先端医療振興財団 臨床研究情報センター(TRI) モニタリング部 金田 秀昭 〔主な業務内容〕 本試験のモニタリング業務に責任を持つ。実施医療機関訪問等による実施状況の確認, 症例報告書と原資料等との照合による確認,中央モニタリング等のモニタリング業務を 行う。 6.10.4. 監査責任者 公益財団法人 先端医療振興財団 臨床研究情報センター(TRI) 信頼性保証室 城本 由記子 〔主な業務内容〕 本試験の監査業務に責任を持つ。主任研究者や中央事務局,データセンター,実施医 療機関等の試験実施体制を確認するとともに,本試験が試験実施計画書,標準業務手順 書及び「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に従って実施され,データが正 22 試験実施計画書番号:TRIHN1504 確に記録,解析,報告され,関連資料が適切に保存されていることを,本試験実施を支 援する機能とは独立に検証する。 6.11. 試験参加予定医療機関・試験責任医師 本試験は,主任研究者が選定した試験責任医師により,日本における15施設(予定)の 実施医療機関で実施される。 予定される実施医療機関の名称及び試験責任医師の氏名を,「試験参加予定医療機関・ 試験責任医師一覧」(別紙6)に記載する。 〔主な業務内容〕 試験実施計画書,標準業務手順書及び「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」 を遵守し,本試験を実施する。 23 試験実施計画書番号:TRIHN1504 緒言 7. 7.1. 甲状腺癌 本邦における甲状腺癌患者数は, 国立がん研究センターがん対策情報センターによる最新 1 のデータにおいて,2007年の罹患数は10,756人とされている 。2007年以降,甲状腺癌患者 数は大きく変動していないと想定すると,甲状腺癌患者数は約11,000人と推定される。また, 厚生労働省の患者調査(2008年)によると,「甲状腺の悪性新生物」の患者数は29,000人と 2 されている 。したがって,甲状腺癌患者数は約11,000~29,000人と推定される。 なお,甲状腺癌は甲状腺分化癌(乳頭癌及び濾胞癌)(以下,DTC),甲状腺髄様癌(以 下,MTC)及び甲状腺未分化癌(以下,ATC)に大別される。DTC,MTC及びATCの割合 3 は,それぞれ97.3%,1.3%及び1.4%と報告されている 。 7.2. 甲状腺癌の治療法 甲状腺未分化癌(ATC)の治療法 7.2.1. ATCに対する治療法は外科手術であり, 必要に応じて気管周囲郭清又は側頸部郭清が行わ れる。 これまで,本邦において承認されている医薬品のうち,ATCに対する適応を有する薬剤は なく,「甲状腺癌」として承認されている医薬品についても医療現場ではATCに対してほと んど使用されていなかった。また,進行・再発等の手術不能例に対して化学療法は推奨され 3 ていない 。 そのような状況の中,本試験薬は 2015 年 3 月 26 日に ATC を含む甲状腺癌に対して製造 販売承認を取得した。本邦において ATC に対する適応を有する唯一の薬剤である。 7.3. レンバチニブメシル酸塩(以下,レンバチニブ) レンバチニブはキナーゼ挿入ドメイン受容体(KDR)及び血管新生にかかわる受容体キ ナーゼを阻害する探索研究において見出された。非臨床試験においてレンバチニブはKDR チロシンキナーゼを強力に阻害することが明らかとなった。また,レンバチニブはFlt-1,繊 維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)及び血小板由来増殖因子β受容体(PDGFRβ)の各チロ シンキナーゼに対しても強い阻害作用を示した。細胞系の試験においても,レンバチニブ は血管内皮増殖因子(VEGF)によるヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)のKDRリン酸化及 び増殖,血管様管腔形成を阻害した。また,ヒト甲状腺乳頭癌細胞株(K1)及びヒト甲状 腺髄様癌細胞株(TT)を皮下移植したモデルマウスにレンバチニブを1日1回経口投与した 8 ところ,有意な腫瘍増殖抑制作用を示した 。これら抗腫瘍作用の特性から,レンバチニブ は血管新生阻害を主な作用機序とした新規抗癌剤候補として様々な種類の癌に対する臨床 試験が進行中である。 24 試験実施計画書番号:TRIHN1504 7.3.1. レンバチニブの臨床試験 7.3.1.1. 第 1 相試験 固形癌患者を対象として日米欧で異なる投与方法を用いて第1相試験を実施した。欧州で 実施した101試験では1日1回連日投与(QD),米国で実施中の102試験では1日2回連日投与 (BID),日本で実施した103試験では2週間BID,1週間休薬を用法として用いた。MTDは それぞれ25 mgQD(101試験),10 mgBID(102試験)及び13 mgBID(103試験)と決定され た。また,日米欧において薬物動態に大きな違いはなかった。これら日米欧で行われた第1 相試験の結果から,連続投与で最も高い暴露量が得られる25 mgQDが第2相試験以降の推奨 用法用量であると判断された。しかし,レンバチニブの剤型(10 mgカプセル及び4 mgカプ セル)を考慮し,服薬を簡便にする目的から,最終的に推奨用法・用量は24 mgQDと決定し た。 なお,本用法用量は日本人固形癌患者においても忍容性があることが確認されている (105試験)。 7.3.1.2. 甲状腺癌を対象とした第 2 相試験(201 試験) 放射性ヨウ素療法抵抗性のDTC及びMTC患者を対象とした,多施設共同,非盲検,単群 の第2相試験(201試験)を欧米で実施しており,58例の放射性ヨウ素療法抵抗性のDTC患 者(うち2例は10 mgBID投与)及び59例のMTC患者が登録された。2012年4月の時点で,そ れぞれ11例及び16例が試験継続中である。レンバチニブの用法・用量は24 mgQDである。全 症例が8サイクル(1サイクル28日)を終了する又は8サイクル終了以前に中止した時点でデ ータをカットオフし,安全性及び有効性を解析した。 主要評価項目であった奏効率は,DTC で 50.0%,MTC で 35.6%(いずれも部分奏効)で あった。 7.3.1.3. 国際共同第 3 相試験(303 試験) 放射性ヨウ素療法抵抗性のDTCを対象とした国際共同(日本を含む),多施設共同,無 作為化,二重盲検,プラセボ対照の第3相試験(303試験)を実施しており,392例(レンバ チニブ群261例[日本人患者30例],プラセボ群131例[日本人患者10例]]の患者が登録 された。レンバチニブの用法・用量は24 mgQDであった。 主要評価項目であった無増悪生存期間の中央値は,レンバチニブ群で 18.3 ヵ月,プラセ ボ群で 3.6 ヵ月であった。 また,副次評価項目であった奏効率(CR+PR)は,レンバチニブ群で 64.8%(CR:1.5%) , プラセボ群で 1.5%, 病勢コントロール率 (DCR=CR+PR+SD) は,レンバチニブ群で 87.7%, プラセボ群で 55.7%,臨床的有用率(CBR=CR+PR+23 週以上の SD)は,レンバチニブ 群で 80.1%,プラセボ群で 31.3%であった。 25 試験実施計画書番号:TRIHN1504 7.3.1.4. 国内第 2 相試験(208 試験) 進行性DTC,MTC及びATC を対象とした国内第2相試験(208試験)を実施しており,43 例(DTC 23例,MTC 9例,ATC 11例)の患者が登録された。レンバチニブの用法・用量は 24 mgQDであった。 奏効率(CR+PR)は,DTC で 69.6%,MTC で 12.5%,ATC で 27.3%,病勢コントロール 率(DCR=CR+PR+SD)は,DTC で 100%,MTC で 100%,ATC で 90.9%,臨床的有用率 (CBR=CR+PR+23 週以上の SD) ,DTC で 86.4%,MTC で 71.4%,ATC で 81.8%であっ た。 7.4. 本試験実施の妥当性 本試験は,ATCの国内臨床データの更なる集積,有効性及び安全性の評価を目的としてい る。 本試験薬であるレンバチニブは, 本邦においてATCに対する適応を有する唯一の薬剤であ る。一方,製造販売承認後間もないことから安全性に関する情報は少ない。しかし,倫理審 査委員会で承認された本試験実施計画書に基づき試験を実施することで, 被験者は安全性に 十分配慮された上で,有効性が期待される。さらに,ATC患者に対するレンバチニブの投与 経験は国際的にも非常に少なく,ATCに対する適応を有する本邦において,その有効性及び 安全性を検討し,その結果をエビデンスとして発信することは,本試験に参加する被験者へ の既知の副作用等を考慮しても社会的な意義があり,本試験を実施することは妥当と判断し た。 また,薬力学に関する評価指標の測定項目は,今後のATC患者の予後やQOL,レンバチ ニブの有効性や安全性に影響を及ぼす可能性が示唆されており, 本検査を実施することは妥 当と判断した。 なお,その他にも ATC 患者の予後や QOL,レンバチニブの有効性や安全性に影響を及ぼ す新しいバイオマーカー探索を予定する。これは任意の同意が得られた患者を対象とし, 別途実施計画書を作成する。 26 試験実施計画書番号:TRIHN1504 試験の目的 8. 根治切除不能と判断された甲状腺未分化癌(ATC:Anaplastic Thyroid Cancer)に対するレ ンバチニブの有効性と安全性を検討する。 試験の計画 9. 9.1. 試験の全般的デザイン及び計画 本試験は,ATC 患者を対象とする非無作為化,非盲検,単アーム,オープンラベル 多施 設共同 医師主導 前向き 第 2 相臨床試験である。目標症例数は 39 例と設定した。 本試験は,準備期,治療期,フォローアップ期の3つの期間で構成される。 9.1.1. 準備期 準備期は同意取得,スクリーニング,登録及びベースライン評価からなる。同意は投与 開始日の最大28日前から取得してもよい。 スクリーニング評価終了後,登録し,登録から7日以内に投与を開始する。ベースライン 評価は投与直前に実施する。 9.1.2. 治療期 治療期は,第1サイクル第1日目の投与開始時から始まり,「9.3.3.1. 被験者ごとの中止規 準」に該当するまで継続する。試験期間中は定期的に有効性及び安全性の評価を実施する。 なお,腫瘍評価は投与開始日から4週後,8週後,12週後,16週後,以降8週毎に実施する。 試験薬投与中止時から7日以内に試験薬投与中止時の検査を実施する。また,最終投与日の 30日後に最終観察を実施する。 9.1.3. フォローアップ期 フォローアップ期に生存調査を行う。試験中止後は,被験者が同意を撤回しない限り, 12週毎に生存を追跡する。 9.2. 対照群の選択を含む試験デザインについての考察 症例数は,統計学的考察から目標症例数として39例と設定した。本試験においては対照群 を設定していないが,ATC患者にレンバチニブを投与した際の有効性及び安全性データを少 ない症例数から集積する観点から,対照群を設定することは適切ではないと判断した。 9.3. 試験対象集団の選択 選択規準を全て満たし,かついずれの除外規準にも該当しない被験者を試験薬の投与対 象とする。 27 試験実施計画書番号:TRIHN1504 9.3.1. 選択規準 (1) 組織学的に甲状腺未分化癌が確認されている 注)各実施医療機関での組織診断結果を用いる。細胞診のみは許容しない。 (2) 根治切除不能な甲状腺未分化癌を有する (3) RECIST1.1で評価可能な標的病変を有する (4) 適切な臓器機能を有し,骨髄機能,肝機能,腎機能に関しては登録前14日以内,心機 能に関しては28日以内の臨床検査値が下記の規準を満たす: (a) 骨髄機能: 好中球数≧1.5×103/μL 血小板数≧10.0×104/μL ヘモグロビン量≧9.0 g/dL (b) 肝機能: AST,ALT≦3.0×ULN(肝転移がない場合) AST,ALT≦5.0×ULN(肝転移がある場合) ビリルビン≦2.0 mg/dL (c) 腎機能: GFR推算値≧50 ml/min/1.73 m2 GFR推算値は男女別に以下の数式を用いて算出する。 男性:194×(血清クレアチニン濃度)-1.094×(年齢)-0.287 女性:男性のGFR推算値×0.739 (d) 心機能: 12誘導心電図:臨床的に意義のある異常(心疾患,重篤な不整脈等)がない (5) 降圧剤使用の有無にかかわらず,収縮期血圧140 mm Hg以下かつ拡張期血圧90 mm Hg 以下である(降圧剤を使用している場合は,さらなる降圧療法が可能であること) (6) 同意取得時の年齢が20歳以上である (7) ECOG Performance status(PS)が0-2である (8) 薬剤(カプセル剤)の経口的摂取が可能である (9) 8週間以上の生存が見込める (10) 本人から文書による同意が得られている 9.3.2. 除外規準 (1) 以下の合併症又は既往症を有する (a) 脳転移の合併(ただし,治療を完了し,スクリーニング時の1ヵ月以上前から臨床的 に安定している脳転移は除く) (b) 治療を要する全身性の感染症の合併 (c) 肺線維症又は間質性肺炎の合併 (d) 臨床的に意義のある心血管系疾患の既往を有する:試験薬投与開始から6ヵ月以内の New York Heart Association(NYHA)分類のクラスIIを超えるうっ血性心不全,不安 定狭心症,心筋梗塞又は発作,若しくは治療を要する不整脈 28 試験実施計画書番号:TRIHN1504 (e) コントロール不良の糖尿病の合併 (f) 登録前3週間以内の喀血(小さじ1/2以上の鮮血) (g) 試験登録の6ヵ月以内に出血性又は血栓性疾患の既往がある (h) 尿中蛋白定性検査において蛋白尿が2+以上の場合,24時間蓄尿を実施し,尿中蛋白 が1 g/24時間以上を認める(ただし,早朝尿の尿蛋白/クレアチニン比での代用を可と する) 消化管の吸収不良並びに試験責任医師又は試験分担医師がレンバチニブの吸収に影 (i) 響を与えると判断する合併症 登録前2週間以内の手術(ただし,針生検の場合は1週間以内とする) (j) (k) ドレナージを要する体腔液貯留 (2) 過去にレンバチニブを投与されている (3) 顕著な大血管への浸潤があり,かつ大出血のリスクが高い (4) 腫瘍の浸潤による皮膚の瘻孔,びらん,潰瘍形成等が明らかで,かつ大出血のリスク が高い (5) 前治療による毒性が CTCAE v4.0 に基づき,Grade 1 以下に回復していない(脱毛,末 梢神経障害及び不妊を除く) (6) 活動性重複癌(同時性重複癌及び無病期間が5年以内の異時性重複癌)を有する 注)ただし,Carcinoma in situ(上皮内癌)や粘膜内癌相当の病変は含めない (7) 妊婦,授乳婦及び妊娠している可能性がある (8) 精神病又は精神症状を合併しており試験への参加が困難と判断される (9) 試験薬(又は賦形剤)の成分に忍容性がないと判明している (10) 他の介入を伴う臨床試験に参加し治療中である (11) その他,被験者の医学的又はその他の要因により本試験への参加が困難であると,試 験責任医師又は試験分担医師により判断される 9.3.3. 被験者の治療又は評価の打ち切り 試験責任医師又は試験分担医師は,安全性上の理由又は試験実施上の理由により,時期 を問わず試験薬の投与又は被験者の試験参加を中止することができる。 また,被験者本人は,時期及び理由を問わず試験薬の投与又は試験参加の中止を申し出 ることができる。 被験者が同意を撤回した場合には,同意撤回書を作成,保存する。 9.3.3.1. 被験者ごとの中止規準 (1) RECIST1.1に基づく病勢の進行(新病変の出現を含む)が認められた場合(ただし,PR 又は長期SD[dSD:11週以上のSD]が認められている被験者の場合,試験責任医師又 は試験分担医師が試験薬の投与により臨床的利益が継続しており,他に有効な治療法 がないと判断すれば,臨床的に増悪するまで試験薬の投与を継続してもよい) (2) 忍容できない毒性を発現し,試験責任医師又は試験分担医師が試験の継続を困難と判 断した場合 29 試験実施計画書番号:TRIHN1504 (3) 登録後に重大な適格規準(選択/除外規準)違反が判明した場合 (4) 被験者が妊娠した場合 (5) 被験者より試験参加継続拒否の申し出あるいは同意撤回があった場合 (6) 被験者が試験実施計画書の内容を遵守できず,試験責任医師又は試験分担医師が安全 性確保の目的で試験の継続が不適切と判断した場合 (7) その他,試験責任医師又は試験分担医師が試験の中止を適切と判断した場合 治療法 9.4. 試験薬の投与 9.4.1. 本試験で使用する薬剤はレンバチニブである。 被験者には試験薬として1日1回,24 mgを経口投与する。試験薬は毎日ほぼ同じ時刻に服 用する。 なお,試験薬との因果関係が否定できない毒性が発現した場合は,以下の休薬・減量規 準に従い,休薬・減量を行う。なお,減量後の再増量は,試験責任医師が被験者の利益, 不利益を考慮し,事前に中央事務局に連絡・協議の上で行う。 9.4.1.1. 試験薬の中断,用量減量及び再開の規準 被験者が試験薬と因果関係が否定できない毒性を発現した場合の休薬・減量規準を表1に 示す。 各サイクルは28日で構成され,被験者への試験薬投与の有無にかかわらず,次サイクル を開始する。規定された来院は休薬にかかわらず実施する。休日又は個人的な都合によっ て規定どおり服薬できない場合,若しくは被験者の安全性確保のために表1に規定しない事 象で休薬した場合は,なるべく早く服薬を再開すること。ただし,高血圧及び蛋白尿の発 現に対しては,表1の休薬・減量規準を用いずに,「9.4.1.2. 高血圧の対処法」,「9.4.1.3. 蛋 白尿の対処法」に従い管理することとする。 表1 休薬・減量規準 試験薬と関連のある毒性a 管理 減量後の用量 Grade 1又は忍容できるGrade 2b 試験薬投与の継続 変更無し 忍容できないGrade 2b又はGrade 3 初回の毒性発現 20 mg QD経口投与 2回目の毒性発現 14 mg QD経口投与 Grade 0-1又はベースライン評価時の 3回目の毒性発現 Gradeに回復するまで休薬するc 10 mg QD経口投与 4回目の毒性発現 8 mg QD経口投与 5回目の毒性発現 4 mg QD経口投与 Grade 4d:試験の中止 30 試験実施計画書番号:TRIHN1504 注意:Gradeの分類は,CTCAE v4.0を参照すること。全ての有害事象のCTC Grade,CTC Grade の推移を収集する。 a:悪心,嘔吐及び/又は下痢に対しては,試験薬の投与,休薬,減量の前に,適切な処置を 開始する。 b:Grade 2の忍容性に関しては,被験者又は試験責任医師・試験分担医師が決定する。 c:(試験薬と関連のある毒性により)28日を超えて休薬する場合は,投与再開前に,試験責 任医師が被験者の利益,不利益を考慮し,事前に中央事務局に連絡・協議の上で行う。 d:生命を脅かす恐れがないと判断される臨床検査値異常は除外し,この場合Grade 3として管 理する。 9.4.1.2. 高血圧の対処法 (1) 血圧の評価は,家庭血圧のチェックと当日診察時の血圧を総合的に判断し,(2) 以降の 高血圧発現時の対応を適切に行う。 (2) 以前まで正常血圧であった被験者については,収縮期血圧140 mm Hg以上又は拡張期血 圧90 mm Hg以上の血圧が認められたときに,降圧療法を開始する。 (3) 最大限の降圧療法にもかかわらず収縮期血圧160 mm Hg以上又は拡張期血圧100 mm Hg以上が継続する場合,試験薬の投与を中断し,収縮期血圧150 mm Hg以下及び拡張 期血圧95 mm Hg以下となった場合に, 20 mg 1日1回の用量で再開する。最大限の降圧 療法にもかかわらず収縮期血圧160 mm Hg以上又は拡張期血圧100 mm Hg以上が再発 する場合は,同様に1段階ずつ減量(20,14,10,8及び4 mg/日)する。 (4) Grade 4の高血圧(生命を脅かすもの)が認められた場合,試験薬の投与を中止する。 9.4.1.3. 蛋白尿の対処法 (1) 蛋白尿が3+の場合,もしくは2+で以下の規準に1つでも該当する場合は,試験薬の投与 を中断(休薬)する。 ・臨床的に浮腫を認める ・血清クレアチニン≧1.5×ULN ・血清アルブミン≦3.0 g/dL ・尿蛋白/クレアチニン比≧2.0 (2) 中断(休薬)後,蛋白尿が1+以下になった場合,もしくは2+であっても以下の規準を 全て満たす場合は,試験薬の投与を再開できる。ただし,投与再開の際は,20 mg 1日1 回の用量(1段階の減量)とする。 ・臨床的に浮腫を認めない ・血清クレアチニン<1.5×ULN ・血清アルブミン>3.0 g/dL なお,尿蛋白/クレアチニン比<2.0であることが望ましい。 (3) 試験薬の投与を再開後においても,(1)の休薬規準に該当する場合は試験薬の投与を 中断し,その後再び(2)の再開規準を満たす場合は試験薬の投与を再開できる。なお, その際は,同様に1段階ずつ減量(20,14,10,8及び4 mg/日)する。 31 試験実施計画書番号:TRIHN1504 9.4.2. 試験薬の同定 試験薬は,2015 年 3 月 26 日に製造販売承認を取得しており,本試験では市販の医薬品を 使用する。 9.4.3. 治療群への被験者の割付け方法 9.4.3.1. 試験参加の手続き 本試験への参加登録は,データセンターにおける中央登録制とする。データセンターは, 公益財団法人 先端医療振興財団 臨床研究情報センター(TRI)内におく。施設登録及び参 加医師登録は以下の手順で行う。 9.4.3.2. 施設登録 (1) 試験責任医師は,所属施設の倫理審査委員会注)での承認が得られた後,「倫理審査委 員会承認書の写し」を試験事務局にFAX等で送付する。 注)本試験の科学的正当性,倫理的妥当性等を審査する委員会であれば,会の名称は 問わない。 (2) 試験事務局は,倫理審査委員会にて承認された施設の情報をTRIデータセンターに提出 する。 (3) データセンターは施設登録を行い,「施設登録完了連絡書」を試験責任医師に送付す る。 (4) 試験責任医師は,施設登録完了連絡書に記載されているEDCウェブサイトURL,ユー ザアカウント認証用初期パスワード注)を確認する。 注)ユーザアカウント認証用初期パスワード:ユーザID,パスワード設定時に使用す るパスワード 9.4.3.3. ユーザ登録 (1) 試験責任医師又は試験分担医師は,施設登録完了連絡書に記載されている EDC ウェブ サイト URL にアクセスし,Web サイト上で必要事項を入力する。 (2) 試験責任医師又は試験分担医師は,EDCウェブサイトより自筆署名確認フォームを印 刷し,自筆署名のうえTRIデータセンターにFAXで送付する。 (3) データセンターは,ユーザ申請した試験責任医師又は試験分担医師に,ユーザID,パ スワード設定用の「仮ユーザアカウントURL」をメールで送付する。 (4) 試験責任医師又は試験分担医師は,EDCウェブサイト上でユーザID,パスワードの設 定を行う。 (5) 試験責任医師の監督のもと,協力者が症例報告書データを入力する場合は同様の手順 でユーザ登録を行う。 9.4.3.4. 症例登録 症例登録はデータセンターにおける中央登録制とする。症例登録は以下の手順で行う。 32 試験実施計画書番号:TRIHN1504 (1) 試験責任医師又は試験分担医師は,被験者本人から文書による同意を取得後,適格 性の判断を行う。 (2) 試験責任医師又は試験分担医師はeClinical Base WebサイトURLにアクセスし,WEB サイト上で症例登録に必要な情報を入力する。なお,この際使用する,被験者識別 コードは,各医療機関において個人情報を含まず,一意となる任意のコードを用い る。 (3) 適格性判定の結果を画面上で確認し,適格と判定された場合,本試験を開始する。 (4) 各実施医療機関で「匿名化番号対照表」(別紙3)を作成し,患者の取り違えがない ようにすると共に,各実施医療機関の試験責任医師若しくはそれに代わる者が,適 切に匿名化番号対照表の保管・管理を行う。 (5) 試験責任医師又は試験分担医師は,症例登録後,Webサイト上で症例報告書データを 入力する。ただし,試験責任医師,試験分担医師の監督のもと,研究協力者が入力 してもよい。 (6) 症例報告書の入力と入力期限については,「12.4. データの記録」に従う。 9.4.3.4.1. 登録に際しての注意事項 (1) 登録から7日以内に投与を開始する。なお,7日以内に開始できない場合には,中央事 務局に連絡し協議する。 (2) EDCシステムで適格性判定を行い,適格が確認された後に登録番号が発行されること をもって症例登録とする。 (3) 一度登録された患者は登録取り消しはなされない。重複登録の場合は,いかなる場合 も初回の登録情報を採用する。 (4) 誤登録・重複登録が判明した際には速やかにデータセンターに連絡する。 9.5. 試験方法 9.5.1. 9.5.1.1. 調査項目 人口統計学的特性の調査項目及び調査方法 試験責任医師,試験分担医師又は協力者は,文書で同意を得た患者について,選択規準 及び除外規準の確認に必要な項目を調査し,必要事項を入力する。 (1) 被験者識別コード (2) 文書での同意取得年月日 (3) 性別 (4) 生年月日 9.5.1.2. 準備期の調査項目及び調査方法 9.5.1.2.1. 合併症,身体所見 合併症をスクリーニング時に調査し,症例報告書に記載する。 「試験の実施スケジュール」 (表 3)に示した時期に身体所見を調査する。調査結果は, 症例報告書に記載する。スクリーニング時に臨床上問題となる所見が認められた場合には, 33 試験実施計画書番号:TRIHN1504 合併症として症例報告書に記載する。スクリーニング時からの変化のうち有害事象の定義 に該当する場合には,その有害事象を症例報告書に記載する。 9.5.1.2.2. 前治療歴 甲状腺癌に関する以下の前治療歴をスクリーニング時に調査する。 (1) 手術療法の有無と内容(手術日,手術部位) (2) 放射線療法の有無と内容(照射部位,最終照射日) (3) 化学療法の有無と内容(薬剤名,最終投与日) その他の抗癌療法の有無と内容(療法名,最終実施日) 9.5.1.2.3. その他の項目 (1) TNM分類 (2) NYHA (3) 1ヵ月以内の急性症状,腫瘍による疼痛,皮膚炎症所見 (4) 身長 (5) 体重 (6) ECOG-PS (7) バイタルサイン (8) 身体所見 (9) 12誘導心電図 (10) 血液学的検査/血液生化学検査 (11) 尿検査 (12) 妊娠検査(該当する場合) (13) QOL調査:EQ-5D-5L (14) 腫瘍評価 (15) 有害事象 9.5.1.3. 有効性評価のための調査項目及び調査方法 本試験における腫瘍評価は, 試験責任医師又は試験分担医師が RECIST1.1 を用いて行う。 抗腫瘍効果の評価に際してはCT又はMRI等の適切な機器により,スクリーニング時と同 一条件により撮影した画像を使用して測定する。スクリーニングでは,腫瘍部位概要評価 (標的病変[腫瘍病変及びリンパ節病変]の有無,非標的病変の有無),標的病変(部位 名,腫瘍径,評価日,測定方法)及び非標的病変(部位名,評価,評価日,診断方法)を 調査し,症例報告書に記載する。その後は,標的病変,非標的病変,新病変(病変の有無, 部位名,出現日,診断方法)及び総合効果を調査し,症例報告書に記載する。 必要に応じて,第三者により抗腫瘍効果や安全性を評価することがある。その際には, 試験責任医師,試験分担医師又は協力者は,主任研究者の求めに応じ,画像データを電子 媒体で提供する。 また,組織型の中央判定のために,ATC患者のヘマトキシリン・エオジン染色を行った 34 試験実施計画書番号:TRIHN1504 組織標本及び診断に要した免疫組織標本のプレパラート一式を,組織型中央判定委員会開 催時までに提供する。なお,有効性解析対象は,組織型の中央判定結果に基づくものとす る。 腫瘍病変の観察: 胸部 X 線は標的病変の評価に用いない。各部位の評価方法を以下に示した。 脳:CT又はMRI 頸部:CT又はMRI 胸部:CT 腹部:CT又はMRI 骨盤:CT又はMRI その他の部位:CT又はMRI等 被験者が経口・静脈内投与の造影剤にアレルギーを有する場合を除き,CT又はMRIは造 影剤を用いて実施する。造影剤にアレルギーを有する場合は,造影剤なしの単純CTを実施 する。 ポジトロン放出断層撮影CT(PET/CT)の低線量CT像や吸収補正用のCT像及び超音波検 査は腫瘍の評価に使用しない。 皮膚病変をカラーデジタル写真により記録する場合,ミリメーターの尺度を持つものさ し及び被験者識別コードと日付を記載したラベルを画像の中に含める。また,測定の際は 測径器を使用する。 骨転移は,CT又はMRI,骨X線等で測定する。骨シンチグラフィーは定性評価に使用する ことができる。 (1) スクリーニング 脳,頸部,胸部,腹部,骨盤及び既知又は病変が疑われる部位の評価を行う。登録 前14日以内に腫瘍評価を実施し,そのデータをベースライン評価のデータとして使用 する。登録前14日以内のデータであれば,同意取得前のデータをスクリーニング時の データとして使用可能とする。ただし,被験者の状態を考慮し,試験薬投与開始の前 日又は当日に実施することが望ましい。標的病変は,長径10 mm以上とする(ただし, 5 mmを超えるスライス幅で測定した場合は,スライス幅の2倍以上とする)。リンパ 節病変の場合は短径が15 mm以上を標的病変とする。過去に放射線治療を受けた病変 については,RECIST1.1に従って増悪を示す場合に限り,標的病変とみなすことがで きる。骨転移の疑いがある被験者は,疑いのある部位の評価を行う。 (2) 第1サイクル以降 スクリーニング時に存在した腫瘍部位,新たな病変が疑われる他の部位を評価する。 腫瘍評価は登録日から4週後,8週後,12週後,16週後,以降8週毎(±2週間)に実施 する。臨床的に病変の増悪が疑われる場合は,より早く実施する。 また,試験薬投与中止時に腫瘍評価を実施する。ただし,試験薬投与中止前28日以 35 試験実施計画書番号:TRIHN1504 内にデータが存在する場合は,中止時のデータとして使用可能とする。腫瘍病変の評 価はスクリーニング時と同じ方法(スライス幅の条件等を含む)で実施する。新病変 の評価に胸部X線若しくは骨X線を使用してもよい。 組織型の中央判定: 組織型の中央判定に関する手順を以下に示した。 (1) 標本の提出と受け取り 1) 試験責任医師又は試験分担医師は,登録根拠となる病理診断が下された病理組織 標本(ヘマトキシリン・エオジン染色を行った組織標本及び診断に要した免疫組 織標本のプレパラート一式)を送付する。 送付先:隈病院 病理部 廣川 満良 〒650-0011 神戸市中央区下山手通り 8-2-35 TEL:078-371-3721, FAX:078-371-3645 2) 病理標本を受け取った者は,提出された標本の有無,数量を確認する。不備があ る場合は,その試験責任医師又は試験分担医師に連絡し,適切な指示を行う。 (2) 組織型中央判定の実施要件 1) 主任研究者は,判定委員と日程調整し,組織型中央判定委員会の開催日時を決定 する。 2) 組織型中央判定委員会の開催は,判定委員のうち 2 名以上の出席をもって成立す るものとする。 (3) 組織型中央判定の実施手順 1) 判定委員は,医療機関より提出された病理組織標本を用いて病理診断を行う。本 試験に関する病理診断に際しては, 「甲状腺癌取扱い規約第 6 版」を参照する。 2) 判定委員は,判定として「未分化癌である」 「未分化癌であるかも知れない」 「未 分化癌以外である」のうちいずれかを決定する。 3)判定委員は,判定結果を「病理組織中央判定確認シート」に記録する。「未分化 癌以外である」と判定した場合は診断名又は診断の詳細を記録する。 4)出席した判定委員の診断が一致しない症例に関しては,判定委員間で協議してそ の取り扱いを決定し, 「病理組織中央判定確認シート」にその内容を記録する。 (4) 組織型中央判定実施後の資料,試料の取り扱い 1) 判定委員は,組織型中央判定の実施後に,「病理組織中央判定確認シート」のコ ピーを取り,提出された病理組織標本とともに,各試験責任医師又は試験分担医 師はに返却する。これをもって判定結果の通知とする。 2) 判定委員は, 「病理組織中央判定確認シート」の原本,その他組織型中央判定に 用いた全ての記録を主任研究者に送付する。主任研究者は, 「病理組織中央判定確認 36 試験実施計画書番号:TRIHN1504 シート」の原本,その他組織型中央判定に用いた全ての記録を本試験終了について 報告された日から 5 年を経過した日又は本試験の結果の最終の公表について報告さ れた日から 3 年を経過した日のいずれか遅い日までの期間保存する。 9.5.1.3.1. 有効性の主要評価項目 主要評価項目として以下の項目を評価する。 ・全生存期間(OS): 投与開始日から死亡原因を問わない死亡日までの期間とする。死亡が確認されてい ない被験者については,最後に生存が確認された日,若しくは試験のカットオフ日の いずれか早い日をもって打ち切りとする。 9.5.1.3.2. 有効性の副次評価項目 副次評価項目として以下の項目を評価する。 ・無増悪生存期間(PFS): 投与開始日から最初にイベント(PD又は死亡原因を問わない死亡のいずれか早い方) が確認された日までの期間とする。いずれのイベントも観察されない場合,その後生 存した症例では最終腫瘍評価日,追跡不能となった症例では追跡不能となる以前の最 終腫瘍評価日をもって打ち切りとする。 増悪以外の理由で治療中止となった症例は,後治療の開始後も増悪が認められるま で「試験期間」として腫瘍評価を続行し,増悪が認められた時点をイベントとする。 治療中止時点や後治療開始時点で打ち切りとはしない。 ・最良総合効果(BOR): 試験薬投与開始から試験終了までの間に記録された上で最も良好な総合効果であり, CR,PR,SD,PD,NEのいずれかで評価される。SDは(3週以上の安定)と定義する。 ・客観的奏効率(ORR): 最良総合効果がCR又はPRの被験者の割合 ・病勢コントロール率(DCR): 最良総合効果がCR,PR又はSDの被験者の割合 ・臨床的有用率(CBR): 最良総合効果がCR,PR又は長期SD(dSD:ATCの場合は11週以上のSD)の被験者の 割合 9.5.1.4. 薬物動態,薬力学及びファーマコゲノミクス/ファーマコジェネティクス評価の ための調査項目及び調査方法 9.5.1.4.1. 薬物動態 該当せず 9.5.1.4.2. 薬力学 ベースライン評価時,第1サイクル15日目,第2サイクル1日目及び試験薬投与中止時に血 37 試験実施計画書番号:TRIHN1504 液中のVEGF,FGF,アンジオポイエチンを測定する。 薬力学に関する評価指標の測定に関する手順を以下に示す。 (1) 検体の採取と提出 1) 試験責任医師又は試験分担医師は,薬力学に関する評価指標測定のための採血を 行う。1 回の採血量は 10mL とし,分離後,マイナス 40℃で凍結保存する。 2) 試験責任医師又は試験分担医師は,凍結保存した薬力学に関する評価指標測定用 検体を,下記の測定機関に送付する。なお,実施医療機関からの検体の回収,保 管,測定機関への搬送に関しては,その業務を専門とする第三者機関を利用する ことを可能とする。 測定機関:エーディア株式会社 研究開発本部 研究統括部 〒300-1155 茨城県稲敷郡阿見町吉原 3262-12 TEL:029-889-2585, FAX:029-889-2262 2) 薬力学に関する評価指標測定用検体を受け取った者は,提出された検体の有無, 数量を確認する。不備がある場合は,その試験責任医師又は試験分担医師に連絡 し,適切な指示を行う。 (2) 薬力学評価指標の測定 測定機関は,薬力学に関する評価指標を測定する。 (3) 薬力学評価指標測定後の資料,試料の取り扱い 1) 測定機関は,薬力学評価指標の判定結果を,各試験責任医師又は試験分担医師, 及び主任研究者に報告する。 2) 測定機関は,薬力学評価指標測定用検体のうち測定に用いた残りを,新しいバイ オマーカー探索を目的に,本試験の追跡期間終了後15年間保管する。なお,新し いバイオマーカー探索を実施する場合は,任意の同意が得られた患者を対象とし, 別途実施計画書を作成する。 3) 保管期間終了後,薬力学評価指標測定用検体は,匿名化した上で測定機関の規定 に従い廃棄する。 9.5.1.4.3. ファーマコゲノミクス/ファーマコジェネティクス 該当せず 9.5.1.5. 安全性評価のための調査項目及び調査方法 安全性評価のための調査項目には,「試験の実施スケジュール」(表3)に示す以下の内 容が含まれ,症例報告書に記載する。 観察された全ての有害事象及び重篤な有害事象並びにそれらの記録,測定された血液学 的検査・血液生化学検査及び尿検査,妊娠検査,定期的に測定された体重,バイタルサイ ン,ECOG-PS,12誘導心電図検査及び身体所見の結果 38 試験実施計画書番号:TRIHN1504 9.5.1.5.1. 有害事象 有害事象とは,実施された試験との因果関係の有無を問わず,被験者に生じた全ての好 ましくない又は意図しない傷病若しくはその症候(臨床検査値の異常を含む。)をいう。 ただし,原疾患の悪化については有害事象とせず,病変の増悪として有効性評価とみな す。 ・有害事象の重症度評価: CTCAE v4.0に従い,有害事象の重症度を5段階で評価する。 (CTCAE v4.0のGradeの悪化を含む)。 ・試験薬との因果関係評価: 有害事象と試験薬との因果関係を評価する際には,以下の点を考慮する。 ・有害事象の発現時期と試験薬投与開始時期との時間的関係 ・有害事象の経過,特に試験薬の投与中止,あるいは再投与された場合にはその影 響 ・試験薬又は類薬投与により発現が知られている有害事象か否か ・対象とする被験者において有害事象の発現を増加させる危険因子の有無 ・有害事象発現とは関連するが,試験薬とは無関係の交絡因子の有無 ・試験薬との因果関係の分類: ・関連なし:試験薬投与と有害事象との間に合理的な因果関係がない。 ・関連あり:試験薬投与と有害事象との間に合理的な因果関係の可能性が考えられ る。 9.5.1.5.2. 重篤な有害事象 重篤な有害事象とは,有害事象のうち,次に掲げるいずれかに該当するものをいう。 ・死に至るもの ・生命を脅かすもの ・入院又は入院期間の延長が必要となるもの ・永続的又は顕著な障害・機能不全に陥るもの ・子孫に先天異常を来すもの 下記に示すような,有害事象を伴わない入院は重篤な有害事象として取り扱わない。 ・有害事象発現以外の理由による一時療養のための入院 ・同意取得以前にあらかじめ計画していた入院(試験薬投与前から入院が必要な状態 であり,試験薬投与後の状態に変化がみられない) ・試験薬投与のための入院,あるいは試験薬投与経路確保のための処置を目的とした 入院 ・試験薬投与前に使用を開始した医療機器を維持するための定期的な処置(例えば, バッテリー交換)を目的とした入院 39 試験実施計画書番号:TRIHN1504 9.5.1.5.3. 予期される有害事象 本試験において予期される有害事象は以下のとおりである。詳細については,最新の「添 付文書」(別紙 1)を参照する。 (1) 重大な副作用 1) 高血圧 高血圧(67.8%) ,血圧上昇(3.8%),高血圧クリーゼ(頻度不明)等 2) 出血 鼻出血(8.8%) ,血尿(5.0%),喀血(2.3%),歯肉出血(1.9%) ,肺出血(1.5%) , 直腸出血(1.5%) ,頭蓋内腫瘍出血(0.4%) ,動脈出血(頻度不明) ,くも膜下出血 (頻度不明) ,脳出血(頻度不明),胃腸出血(頻度不明)等 3) 動脈血栓塞栓症 一過性脳虚血発作(0.8%) ,急性心筋梗塞(0.4%) ,脳血管発作(0.4%),脾臓梗塞 (0.8%) ,脳虚血(0.4%) ,出血性卒中(0.4%) ,虚血性脳卒中(0.4%)等 4) 静脈血栓塞栓症 肺塞栓症(2.7%) ,深部静脈血栓症(0.4%),骨盤静脈血栓症(0.4%),網膜静脈血 栓症(0.4%)等 5) 肝障害 アルブミン低下(7.3%) ,ALT 増加(6.5%) ,AST 増加(5.4%) ,血中アルカリホス ファターゼ上昇(4.2%) ,肝機能異常(0.8%) ,血中ビリルビン増加(1.5%) ,γ-グ ルタミントランスフェラーゼ増加(1.5%),胆汁うっ滞性肝損傷(0.4%),肝不全 (頻度不明)等 6) 腎障害 蛋白尿(32.6%) ,尿中蛋白陽性(0.4%),急性腎不全(0.8%),腎不全(0.8%),慢 性腎不全(0.4%) ,急性腎前性腎不全(0.4%),腎機能障害(1.5%),血中クレアチ ニン上昇(4.2%) ,血中尿素増加(2.3%) ,腎尿細管壊死(0.4%) ,腎虚血(0.4%) , ネフローゼ症候群(0.4%),腎クレアチニン・クリアランス減少(頻度不明),糸 球体濾過率減少(頻度不明) ,尿量減少(頻度不明)等 7) 消化管穿孔,瘘孔形成 胆嚢穿孔(0.4%) ,腸管穿孔(頻度不明),痔瘘(0.4%),腸膀胱瘘(0.4%),腸管 膿瘍(0.4%) ,直腸膿瘍(0.4%),会陰膿瘍(0.4%) ,等 8) 可逆性後白質脳症症候群 可逆性後白質脳症症候群(0.4%) 9) 心障害 駆出率減少(5.0%) ,心不全(0.8%) ,うっ血性心筋症(0.4%) ,左室肥大(0.4%) , 心室壁運動低下(0.4%) ,心全図 QT 延長(8.0%) ,頻脈(2.7%),除脈(1.5%) , 心房細動・粗動(0.8%)等 10) 手足症候群 手掌・足底発赤知覚不全症候群(31.8%) ,手掌紅斑(1.1%),紅斑性皮疹(0.4%) , 皮膚反応(0.4%)等 40 試験実施計画書番号:TRIHN1504 11) 感染症 気道感染(4.2%) ,肺炎(2.7%),尿路感染(2.7%) ,敗血症(1.1%)等 12) 骨髄抑制 血小板減少(13.8%) ,白血球減少(7.3%) ,リンパ球減少(6.9%),貧血(6.1%), 好中球減少(3.8%) ,等 13) 低カリウム血症 低カリウム血症(7.3%) 14) 創傷治癒遅延 治癒不良(0.8%) ,創離開(0.4%) (2) その他の副作用 30%以上 消化器 全身症状 10~30%未満 5~10%未満 下痢,悪心, 口腔内乾燥,口腔咽頭痛, 消化不良,嚥下障害, 口内炎 腹痛,嘔吐,便秘 舌痛 疲労 浮腫,無力症 創傷 めまい,味覚異常, 睡眠障害 精神神経系 発声障害,頭痛 代謝 食欲減退 血中カリウムの低下, 血中コレステロールの 上昇,脱水 筋骨格系 筋肉痛,関節痛 四肢痛,筋攣縮, 背部痛 呼吸器 咳嗽 皮膚 皮膚乾燥,発疹, 過角化,皮膚炎, 脱毛症 皮膚病変 その他 体重減少 甲状腺機能低下 9.5.1.5.4. 臨床検査値の測定 臨床検査は,血液学的検査,血液生化学検査,尿検査及び妊娠検査を含む(表2)。「試 験の実施スケジュール」(表3)で規定された来院時に,検体(血液及び尿)を採取する。 41 試験実施計画書番号:TRIHN1504 表 2 臨床検査項目 分類 項目 血液学的検査 赤血球数,ヘモグロビン,血小板数,白血球数,好中球,リンパ球 血液生化学検査 肝機能検査 ALP,AST,ALT,総ビリルビン,γ-GTP 腎機能検査 BUN,クレアチニン その他の検査 アルブミン,LDH,総たん白, アミラーゼ,Na,K,Cl,Ca,TSH,FT4 尿検査(定性) たん白,糖,潜血 尿検査(定量) たん白,尿中クレアチニン 妊娠検査(該当する場合) 血清又は尿hCG 臨床検査値異常が認められ,本試験実施計画書に記載されている有害事象の定義 (9.5.1.5.1. 章参照)に該当する場合には,当該事象を症例報告書に記載する。 重篤な有害事象の定義(9.5.1.5.2. 章参照)に該当する臨床検査値異常が認められた場合 には,試験責任医師は,主任研究者へ重篤な有害事象報告書をFAX又はE-mail等で連絡する。 9.5.1.5.5. バイタルサイン及び体重の測定 「試験の実施スケジュール」 (表3)で規定された来院時に,血圧(収縮期血圧[mm Hg], 拡張期血圧[mm Hg]),脈拍数(bpm),体温(°C),体重(kg)を測定する。血圧は安 静の後,座位にて測定する。血圧上昇(収縮期血圧140 mm Hg以上又は拡張期血圧90 mm Hg 以上)を認めた場合,十分な安静の後に再検して評価する。 9.5.1.5.6. 身体所見 「試験の実施スケジュール」 (表 3)で規定された来院時に,身体所見を調査する。調査 結果は,症例報告書に記載する。スクリーニング時からの変化のうち有害事象の定義に該 当する場合には,当該事象を症例報告書に記載する。 9.5.1.5.7. 12 誘導心電図検査 「試験の実施スケジュール」(表3)で規定された来院時に被験者が仰臥位にて安静後, 心電図検査を実施する。心拍数(bpm),QT(msec),QTc(msec)及び心電図所見(Normal, Abnornal Not Clinically Significant,Abnormal Clinically Significant)を記録する。 心電図検査で異常が認められ,本試験実施計画書に記載されている有害事象の定義 (9.5.1.5.1. 章参照)に該当する場合には,心電図検査の異常を有害事象として症例報告書 に記載する。 重篤な有害事象の定義(9.5.1.5.2. 章参照)に該当するような心電図検査の異常が認めら れた場合には,試験責任医師は,主任研究者へ重篤な有害事象報告書をFAX又はE-mail等で 連絡する。 42 試験実施計画書番号:TRIHN1504 9.5.1.5.8. 腫瘍評価 「試験の実施スケジュール」(表3)で規定された来院時に,腫瘍評価を行う。なお,抗 腫瘍効果の判定は,固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECISTガイドライ ン)改訂版v1.1日本語訳JCOG版に従う。評価結果は,症例報告書に記載する。 (1) 標的病変/非標的病変の特定 下表に基づき測定可能病変/測定不能病変に分類し,標的病変/非標的病変を特定 する。 測定可能病変/測定不能病変 測定可能病変 最長径が通常の方法で 10 mm 以上(スライス厚の 2 倍)として正確に測 定され得る病変;ただしリンパ節は短径が 15 mm 以上あること 測定不能病変 測定可能病変以外の病変(例えば,骨病変,髄膜病変,胸水・腹水,心膜 炎,炎症性乳房病変,リンパ管炎,画像で確認できない腹部腫瘤,嚢胞 性病変等) 標的病変/非標的病変 標的病変 全測定可能病変のうち,長径(リンパ節病変は短径)の長いものから順 に最高 5 病変まで;ただし 1 臓器あたり最大 2 病変までとし,全ての疾 患臓器を代表する病変を選択すること 非標的病変 標的病変以外の病変(測定不能病変を含む) (2) 効果判定 標的病変ならびに非標的病変について,以下の定義に基づき判定する。 標的病変の評価 Complete Response(CR) 全ての標的病変が腫瘍による二次的変化を含めて消失した 場合 リンパ節病変の場合,全ての病変の短径が 10 mm 未満に縮 小していること Partial Response(PR) 標的病変の最長径和が治療前の最長径和に比べ 30%以上縮 小した場合 Progressive Disease(PD) 標的病変の最長径和が,それまでに観察された(ベースラ イン値を含む)最小測定値から 20%以上(5 mm 以上)増大 した場合(再発を含む),または新病変が出現した場合 Stable Disease(SD) CR,PR に該当する腫瘍縮小や PD に該当する腫瘍増大を認 めない場合 Not Evaluable(NE) 何らかの理由で標的病変の観察が行えなかった場合,もし くは CR,PR,PD,SD いずれとも判定できない場合 非標的病変の評価 CR すべての非標的病変の消失及び腫瘍マーカー(CEA)が正 常化した場合 全てのリンパ節の短径が 10 mm 未満である 43 試験実施計画書番号:TRIHN1504 1 つ以上非標的病変が残存または腫瘍マーカーが正常化し Non-CR/non-PD ない場合 非標的病変の明らかな増大(再発を含む)または新病変が PD 出現した場合 何らかの理由で非標的病変の観察が行えなかった場合,も NE しくは CR,non-CR/non-PD,PD いずれとも判定できない場 合 (3) 総合判定の確定 上記(2)の判定をもとに下表に従い有効性の総合判定の確定を行う。なお総合判定 CR 及び PR が確定された症例を有効例とする。 有効性の総合効果 総合判定 標的病変 非標的病変 新病変の出現 CR CR CR なし CR Non-CR/non-PD なし CR 評価なし なし PR Non-PD or 未評価 なし SD SD Non-PD or 未評価 なし NE 評価欠落 Non-PD なし PD いずれでも良い ありまたはなし いずれでも良い PD ありまたはなし いずれでも良い いずれでも良い あり PR PD 総合効果の確定 CR>PR>SD>PD>NE の順に「良好」であるとし,全コースを通じて良好な総合効果 をもって最良総合効果とする。総合効果の CR,PR 確定には 4 週間(28 日)以上の間隔 で連続 2 回以上の効果判定が必要であり,それぞれ CR,PR の確定日をそれぞれ「CR 確 定日」,「PR 確定日」と表現する。SD も同様であるが,治療開始後 2 コース終了時まで PD がなく,1 回以上 SD が得られている後は SD とし後に PR が得られた場合は PR と判 断する。 1 回目の効果判定以前の明らかな病状の増悪や死亡により画像による判定ができなかっ た場合は PD とし,1 回目の効果判定以前の毒性中止や被験者拒否による中止により画像 による判定ができなかった場合は評価不能 NE とする。 9.5.1.5.9. 安全性評価のためのその他の調査項目 ・ECOG-PS: ECOG-PSは「試験の実施スケジュール」(表3)に従い「ECOG基準Performance Status」 (別紙2)を用いて評価する。 44 試験実施計画書番号:TRIHN1504 ・妊娠検査: 妊娠する可能性がある女性の場合には,「試験の実施スケジュール」(表3)に従い血 清又は尿hCGを評価する。 9.5.1.6. 治療中の QOL 評価のための調査項目及び調査方法 ベースライン評価及び各サイクル開始時に,質問票を用いたQOL評価のためにEQ-5D-5L アンケート(別紙4)調査を行う。 45 文書同意取得 被験者背景 選択/除外基準の確認 登録 合併症/前治療歴 TNM分類 NYHA 1ヵ月以内の急性症状 腫瘍による疼痛 皮膚炎症所見 身長 体重 ECOG-PS バイタルサイン 身体所見 12誘導心電図 血液学的検査/血液生化 学検査 尿検査 妊娠検査(該当する場合) QOL調査 腫瘍評価 薬力学 試験薬投与 有害事象 生存調査 Xa Xb X X X 投与開 Day 同意 始前28日 (Allowance) 以内 スクリーニング 46 X Xd Xc Xe X c Xc Xc Xc Xc Xc Xc Xc Xc Xc Xc Xc Xc 1 (pre) ベース ライン 1 X X X 8 (±2) Xf X X X 22 (±2) X 1日 1回 経 口 投 与 X X X X 15 (±2) 第1サイクル X X X X X X X X 1 (±3) X X X X 15 (±3) X Xg Xg Xh g Xg Xg Xg Xg Xg Xg X Xg Xg Xh X g Xg Xg Xg Xg Xg Xg 中止時 (+7) 第2サイクル以降 試験終了時 試験薬投 与中止時 治療期 X X X X 最終投与 の30日後 i (+7) 最終観察 Xj 生存調査 フォロー アップ期 9.5.2. 準備期 表 3 試験の実施スケジュール 試験実施計画書番号:TRIHN1504 観察・調査項目及び実施スケジュール 実施スケジュールを表3に示す。 試験実施計画書番号:TRIHN1504 (a) 投与開始日の最大 28 日前から同意を取得してもよい。 (b) スクリーニング時の評価終了後,登録し,登録から 7 日以内に試験薬の投与を開始す る。なお,7 日以内に開始できない場合には,中央事務局に連絡し協議する。 (c) 登録日前 7 日以内のデータがあれば,そのデータをベースライン評価のデータとして 使用してもよい。ただし,被験者の状態を考慮し,試験薬投与開始の前日又は当日に 実施することが望ましい。 (d) 投与開始日前 72 時間以内のデータがあれば,そのデータをベースライン評価のデータ として使用してもよい。 (e) 登録前 14 日以内に腫瘍評価を実施し,そのデータをベースライン評価のデータとして 使用する。登録前 14 日以内のデータがあれば,同意取得前のデータをスクリーニング 時のデータとして使用してもよい。ただし,被験者の状態を考慮し,試験薬投与開始 の前日又は当日に実施することが望ましい。 (f) 腫瘍評価は登録日から 4 週後,8 週後,12 週後,16 週後,以降 8 週毎(±2 週間)に実 施する。臨床的に病変の増悪が疑われる場合は,より早く実施する。腫瘍評価は施設 の標準的な画像診断法により実施する。 (g) 試験薬投与中止時前 7 日以内にデータが存在する場合は,そのデータを試験薬投与中 止時のデータとして使用してもよい。 (h) 試験薬投与中止時前 28 日以内にデータが存在する場合は,そのデータを試験薬投与中 止時のデータとして使用してもよい。 (i) 最終投与から 30 日以内に次の抗癌治療を開始する場合には,その前に最終観察を実施 してもよい。 (j) 試験薬投与中止時を起点に,12 週毎(±1 週間)に実施する。 47 試験実施計画書番号:TRIHN1504 9.5.2.1. 時期ごとの実施スケジュール 9.5.2.1.1. 準備期の観察・調査項目 ・スクリーニング時(試験薬投与開始前28日以内): 本試験に関する調査又は評価を行う前に,試験に組み入れ可能な全ての被験者に対して, 試験の内容及び予期される危険性を説明する。文書同意を取得後に,スクリーニングのた めの以下の調査及び評価を行う。 同意は試験薬の投与開始日の最大28日前から取得しても よい。 (1) 被験者背景 (2) 合併症/前治療歴 (3) 選択/除外規準の確認 (4) 有害事象 スクリーニングにより本試験に適格と判断された被験者を登録し,登録から7日以内に 試験薬の投与を開始する。 ・ベースライン評価時(第1サイクル1日目投与前): 全てのベースライン評価における評価と検査は, 試験薬投与開始前に完了しなければな らない。第1サイクル1日目投与前に以下の評価を実施する。 (1) TNM分類 (2) NYHA (3) 1ヵ月以内の急性症状,腫瘍による疼痛,皮膚炎症所見 (4) 身長 (5) 体重 (6) ECOG-PS (7) バイタルサイン (8) 身体所見 (9) 12誘導心電図 (10) 血液学的検査/血液生化学検査 (11) 尿検査 (12) 妊娠検査(該当する場合) (13) QOL調査:EQ-5D-5L (14) 腫瘍評価 (15) 薬力学 (16) 有害事象 ただし,(1)~(11),(13) に関しては,登録日前7日以内のデータがあれば,そのデータ をベースライン評価のデータとして使用してもよい。ただし,被験者の状態を考慮し, 試験薬投与開始の前日又は当日に実施することが望ましい。(12) に関しては,投与開始 日前72時間以内のデータがあれば,そのデータをベースライン評価のデータとして使用 してもよい。(15) に関しては,登録前14日以内に腫瘍評価を実施し,そのデータをベー スライン評価のデータとして使用する。登録前14日以内のデータがあれば,同意取得前 48 試験実施計画書番号:TRIHN1504 のデータをスクリーニング時のデータとして使用してもよい。ただし,被験者の状態を 考慮し,試験薬投与開始の前日又は当日に実施することが望ましい。 9.5.2.1.2. 治療期の観察・調査項目 ・第 1 サイクル 1 日目: ベースライン評価の完了後は以下の評価を実施する。 (1) 有害事象 ・第1サイクル8日目(±2日): 第1サイクル8日目の前後2日以内に以下の評価を実施する。 (1) バイタルサイン (2) 身体所見 (3) 血液学的検査/血液生化学検査 (4) 有害事象 ・第1サイクル15日目(±2日): 第1サイクル15日目の前後2日以内に以下の評価を実施する。 (1) バイタルサイン (2) 身体所見 (3) 血液学的検査/血液生化学検査 (4) 尿検査 (5) 薬力学 (6) 有害事象 ・第1サイクル22日目(±2日): 第1サイクル22日目の前後2日以内に以下の評価を実施する。 (1) バイタルサイン (2) 身体所見 (3) 血液学的検査/血液生化学検査 (4) 有害事象 ・第 2 サイクル以降 1 日目(±3 日): 第2サイクル以降1日目の前後3日以内に以下の評価を実施する。 (1) 体重 (2) ECOG-PS (3) バイタルサイン (4) 身体所見 (5) 血液学的検査/血液生化学検査 (6) 尿検査 49 試験実施計画書番号:TRIHN1504 (7) QOL調査:EQ-5D-5L (8) 腫瘍評価(腫瘍評価は登録日から4週後,8週後,12週後,16週後,以降8週毎(± 2週間)に実施する。臨床的に病変の増悪が疑われる場合は,より早く実施する。 腫瘍評価は施設の標準的な画像診断法により実施する。) (9) 薬力学(第2サイクル1日目のみ) (10) 有害事象 ・第2サイクル以降15日目(±3日): 第2サイクル以降15日目の前後3日以内に以下の評価を実施する。 (1) バイタルサイン (2) 身体所見 (3) 血液学的検査/血液生化学検査 (4) 尿検査 (5) 有害事象 ・試験終了時(+7日): (1) 体重 (2) ECOG-PS/NYHA (3) バイタルサイン (4) 身体所見 (5) 12誘導心電図 (6) 血液学的検査/血液生化学検査 (7) 尿検査 (8) 妊娠検査(該当する場合) (9) QOL調査:EQ-5D-5L (10) 腫瘍評価 (11) 有害事象 ただし,(1)–(9) に関しては終了時7日以内にデータが存在する場合,そのデータを終了 時のデータとして使用してもよい。また,(10) に関しては終了時28日以内にデータが存 在する場合は,そのデータを終了時のデータとして使用してもよい。 ・試験薬投与中止時(+7日): 試験薬投与中止時から7日以内に以下の評価を実施する。 (1) 体重 (2) ECOG-PS/NYHA (3) バイタルサイン (4) 身体所見 (5) 12誘導心電図 (6) 血液学的検査/血液生化学検査 50 試験実施計画書番号:TRIHN1504 (7) 尿検査 (8) 妊娠検査(該当する場合) (9) QOL調査:EQ-5D-5L (10) 腫瘍評価 (11) 薬力学 (12) 有害事象 ただし,(1)–(9) に関しては試験薬投与中止時7日以内にデータが存在する場合,そのデ ータを試験薬投与中止時のデータとして使用してもよい。また,(10) に関しては試験薬 投与中止時28日以内にデータが存在する場合は,そのデータを試験薬投与中止時のデー タとして使用してもよい。 ・最終観察時(+7日): 最終投与から30日後を最終観察日とし,最終観察時から7日以内に以下の評価を実施す る。 (1) バイタルサイン (2) 身体所見 (3) 血液学的検査/血液生化学検査 (4) 尿検査 (5) 有害事象 ただし,最終投与から 30 日以内に次の抗癌治療を開始する場合には,その前に最終観 察を実施してもよい。 9.5.2.1.3. フォローアップ期の観察・調査項目生存調査 試験薬投与中止時を起点に12週毎(±1週)に生存を追跡する。原則,死亡が確認される まで調査することとする。なお,本試験を終了する場合,生存調査は終了時評価までで終 了する。 9.5.3. 調査項目の適切性 全ての臨床評価方法は,甲状腺未分化癌を対象とした試験で通常用いられる標準的なも のである。 51 試験実施計画書番号:TRIHN1504 9.5.4. 9.5.4.1. 有害事象の緊急報告とその後の対応 緊急報告義務のある有害事象 報告義務のある有害事象は,重篤な有害事象として定義(9.5.1.5.2. 章参照)した事象の うち,治療中又は治療終了後 7 日以内に発生したものとする。ただし,治療終了後 7 日以 降であっても試験薬との因果関係の否定できないものは,報告対象とする。 9.5.4.2. 報告手順 各実施医療機関の試験責任医師は,一次報告(速やかに) ,二次報告(7 日以内) ,詳細調 査報告,最終報告を行う。手順の詳細については, 「重篤な有害事象発現時の報告・対応マ ニュアル」 (別紙 5)を参照する。 9.5.4.3. 対応手順 主任研究者,中央事務局及び効果安全性評価委員会は,一次報告後の対応,二次報告後 の対応,効果安全性評価委員会による評価・勧告,対策の決定,最終報告後の対応を行う。 手順の詳細については, 「重篤な有害事象発現時の報告・対応マニュアル」 (別紙 5)を参照 する。 9.5.4.4. 新たな安全性情報の提供 本試験において,報告された有害事象のうち緊急伝達に該当※する新たな安全性情報等を 得た場合,主任研究者及び中央事務局は速やかに試験責任医師に報告する。同様に報告さ れた有害事象は主任研究者及び効果安全性評価委員会にて提言された内容と共に試験責任 医師に報告する。 なお,同様に報告された有害事象を主任研究者及び中央事務局が入手した場合,主任研 究者及び中央事務局から該当薬剤の製造販売元企業へ有害事象情報を提供することがある。 ※死亡又は死亡の恐れに該当する試験薬との因果関係が否定できない有害事象 緊急時の連絡先 杉谷 巌 日本医科大学大学院医学研究科 内分泌外科学分野 〒113-8603 東京都文京区千駄木 1-1-5 TEL:03-5814-6219, FAX:03-5685-0985 田原 信 国立研究開発法人国立がん研究センター東病院 頭頸部内科 〒277-8577 千葉県柏市柏の葉 6-5-1 TEL:04-7133-1111, 9.5.4.5. FAX:04-7134-6957 盲検の解除 該当せず 52 試験実施計画書番号:TRIHN1504 9.5.4.6. 規制当局への有害事象の報告 有害事象は,規制要件に準拠して規制当局へ報告される。これらの報告書の書式は,規 制要件に従う。 9.5.5. 被験者の完了又は中止 被験者は,時期及び理由を問わず本試験への参加を中止することができる。試験を中止 する全ての被験者に対して, 「試験の実施スケジュール」 (表 3)に示されている試験薬投与 中止時の調査を行う。 試験責任医師又は試験分担医師は,試験を中止する旨を当該被験者に速やかに説明し,適 切な医療処置及びその他必要な措置を講じる。また,被験者が来院しなくなった場合には, 手紙や電話等で可能な限り追跡調査し,服薬状況,有害事象の有無等を症例報告書に記載す る。 試験中止例について,その中止理由(9.3.3.1. 被験者ごとの中止規準)のうち主な理由(1 つ)を症例報告書に記載する。 9.5.6. 試験薬の乱用又は不正使用 該当せず 9.5.7. 被験者の他科・他院受診の確認 試験責任医師,試験分担医師又は協力者は,被験者が他科・他院を新たに受診する予定 がある場合には,事前に連絡するよう被験者に指導する。また,試験責任医師,試験分担 医師又は協力者は,各来院時に,前回来院以降の他科・他院の受診の有無及び今後の受診 予定の有無を被験者に確認する。 9.6. データの品質保証 本試験は,試験実施計画書,SOP,運用手順書,「世界医師会ヘルシンキ宣言」(2013 年10月改訂)及び「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(平成26年12月22日: 文部科学省/厚生労働省)を遵守して実施される。 9.6.1. データの収集 試験実施計画書で規定されている必要な情報を症例報告書を用いて収集し,その情報を 規制要件に合致したEDCシステムへ入力する。試験責任医師は,症例報告書のデータが, 正確,完全で,読み易く,提出の時期が適切であること,及び被験者の識別に被験者識別 コードを用いていることを保証する 症例報告書中のデータのうち原資料に基づくものは,原資料と矛盾しないものであるこ と。原資料との何らかの矛盾がある場合には,その理由を説明する記録を作成し保存する。 症例報告書にデータを収集する際は,症例報告書作成の手引きに従う。試験責任医師は, 症例報告書に収集され報告された全てのデータに対する責任を有する。試験責任医師は, 症例報告書に原則署名をすることによってデータの正確性,信頼性及び完全性を保証しな 53 試験実施計画書番号:TRIHN1504 ければならない。 データが漏れなく収集された症例報告書の所有権は,主任研究者に保有される。主任研 究者によって指名された本試験の関係者又は該当する各地域の規制当局の担当者を除き, 主任研究者の書面による許可なくいかなる方法によっても第三者へ開示してはならない。 試験データの管理 9.6.2. 標準的なコンピュータシステム及びEDCシステムを用いて,データを収集する。これら のシステム及びソフトウェアはバリデーションがとられており,規制要件を準拠している。 また,上記のシステムを使用して症例報告書のデータを漏れなく全て試験データベースに 入力する。 モニタリング 9.6.3. モニタリングは,中央モニタリングを実施することとし,必要に応じて,施設モニタリ ングを実施する。なお,詳細は,「12.3. モニタリングの手順」に示す。 監査 9.6.4. 試験結果の品質を保証するために監査を実施する。なお,詳細は,「12.7. 監査の手順」 に示す。 統計手法 9.7. 解析は,試験終了後にデータベースが固定された後に実施する。解析は,SAS又は必要に 応じてバリデートされたその他の統計ソフトウェアを用いて実施する。詳細は解析計画書 に別途記載する。 統計及び解析計画 9.7.1. 本試験のデータに関する解析を本章に記載する。詳細は解析計画書に別途記載する。解 析計画書は,データベース固定前に固定される。 9.7.1.1. 評価項目(エンドポイント) 有効性の主要評価項目: ・全生存期間(OS): 投与開始日から死亡原因を問わない死亡日までの期間とする。死亡が確認されてい ない被験者については,最後に生存が確認された日又は試験のカットオフ日のいずれ か早い日をもって打ち切りとする。 有効性の副次評価項目: 本試験における腫瘍評価は,試験責任医師又は試験分担医師がRECIST1.1を用いて行う。 腫瘍評価は投与開始日から4週後,8週後,12週後,16週後,以降8週毎に実施する。臨床 的に病変の増悪が疑われる場合は,より早く実施する。 54 試験実施計画書番号:TRIHN1504 ・無増悪生存期間(PFS): 投与開始日から最初にイベント(PD又は死亡原因を問わない死亡のいずれか早い方) が確認された日までの期間とする。いずれのイベントも観察されない場合,その後生 存した症例では最終腫瘍評価日,追跡不能となった症例では追跡不能となる以前の最 終腫瘍評価日をもって打ち切りとする。 増悪以外の理由で治療中止となった症例は,後治療の開始後も増悪が認められるま で「試験期間」として腫瘍評価を続行し,増悪が認められた時点をイベントとする。 治療中止時点や後治療開始時点で打ち切りとはしない。 ・最良総合効果(BOR): 試験薬投与開始から試験終了までの間に記録された上で最も良好な総合効果であり, CR,PR,SD,PD,NEのいずれかで評価される。SDは3週以上の安定と定義する。 ・客観的奏効率(ORR): BORがCR又はPRの被験者の割合 ・病勢コントロール率(DCR): BORがCR,PR又はSDの被験者の割合 ・臨床的有用率(CBR): BORがCR,PR又はdSD(11週以上のSD)の被験者の割合 安全性の評価項目: ・有害事象発生率: 有害事象発生の割合 9.7.1.2. 解析対象集団の定義 解析対象集団は,以下のとおり定義する。 9.7.1.2.1. 安全性解析対象集団(Safety Analysis Set: SAS) 登録被験者のうち,レンバチニブ投与が行われたすべての被験者を安全性解析の解析 対象集団とする。 9.7.1.2.2. 有効性解析対象集団(Full Analysis Set: FAS) 安全性解析対象集団のうち,以下の被験者を除いた集団を有効性解析対象集団とする。 登録後に不適格であることが判明した被験者 登録時に有効性に関わるデータがない被験者 レンバチニブ投与後のいずれの時点にも有効性に関わるデータがない被験者 9.7.1.3. 被験者の内訳 同意を取得した例数,スクリーニング後継続例数(割合),及びスクリーニング脱落例数 (割合)を算出し,スクリーニング脱落の主な理由を要約する。また,試験の完了例数及 び中止例数を割合と共に算出し,試験薬投与中止及び試験中止それぞれの主な理由を要約 する。 55 試験実施計画書番号:TRIHN1504 9.7.1.4. 人口統計学的及び投与前値の特性 FASを対象として,人口統計学的及びその他のベースライン時の特性について,症例ごと に要約し,一覧にする。年齢,体重等を含む人口統計学的/ベースライン時の連続変数に ついては,結果を被験者数,平均値,標準偏差,中央値,最小値及び最大値として要約し, 提示する。性別等の分類変数については,被験者数及びその割合を算出する。 9.7.1.5. 有効性の解析 有効性の解析は,FAS に基づいて実施する。 ・有効性の主要評価項目の解析: 全生存期間(OS)に指数分布を仮定し,λ=1.97(1 年生存率 14%をハザードに換算 した値)を帰無仮説とした検定を両側有意水準 0.05 で行う。 また感度分析として,全生存期間(OS)の生存曲線を Kaplan-Meier 法により推定し, 1 年時生存率とその 95%信頼区間を算出する。生存期間中央値とその 95%信頼区間を算 出する。 ・有効性の副次評価項目の解析: 探索的解析として,全生存期間(OS)について日本甲状腺未分化癌研究コンソーシ アム(ATCCJ)のデータベースを無治療対照群として,下記の因子を共変量とした Cox の比例ハザードモデルを用いて,治療効果の推定(調整ハザード比の推定)を行う。 年齢,性別,診断手段,1 ヶ月以内の急性増悪症状,診断時白血球数,高 Ca 血症, 腫瘍径,T 分類,N 分類,M 分類,ステージ,先行病変,手術,放射線外照射,化学 療法 9.7.1.6. 薬物動態,薬力学及びファーマコゲノミクス/ファーマコジェネティクス評価に 関する解析 ・薬物動態の解析: 該当せず ・薬力学の解析: ベースライン評価時,第1サイクル15日目,第2サイクル1日目及び試験薬投与中止時に 血液中のVEGF,FGF,アンジオポイエチンを測定する。 ・ファーマコゲノミクス/ファーマコジェネティクスに関する解析: 該当せず 9.7.1.7. 安全性の解析 全ての安全性の解析は安全性解析対象集団に基づいて実施する。 ・暴露状況: 試験薬投与のサイクル数/日数,投与した試験薬の量,並びに有害事象による減量, 休薬及び中止に至った被験者数を要約する。 56 試験実施計画書番号:TRIHN1504 ・有害事象: 有害事象は, CTCAE v4.0を用いて重症度別に分類する。 試験責任医師は,CTCAEGrade の悪化を収集する。 有害事象は, 症例報告書の記載をMedical Dictionary for Regulatory Activities(MedDRA) を用いて読み替えることとし,器官別大分類(SOC)の下位構造である基本語(PT) を用いて表示する。 試験薬投与後に認められた有害事象(Treatment-emergent adverse events:TEAE)とは, 試験薬投与前に認められなかったが試験薬投与後に新たに発現した有害事象のことで ある。また,以下の場合も該当する。 ・試験薬投与前から認められており試験薬投与開始直前には消失しているが,試験 薬投与中に再発が認められた場合 ・試験薬投与前から継続して認められている有害事象の場合には,試験薬投与前と 比較して試験薬投与中に有害事象の重症度が悪化した場合 TEAE,重篤な有害事象,死亡及び試験薬の投与中止,用量変更又は休薬に至った TEAEの発現頻度と被験者数を含む総括表を提示する。 TEAEの発現率は,SOC,PT,CTCAEGrade及び試験薬との因果関係別に要約する。 MedDRAで読み替えた同一の有害事象が被験者1例につき2件以上報告される場合があ るが,その場合であっても当該有害事象の発現例数を集計する際にはその被験者を1例 として数える。なお,CTCAEGrade別の要約の際は最もGradeの高い有害事象として集 計し,試験薬との因果関係別の要約の際は,最も試験薬と因果関係の強い有害事象と して集計する。 以下については,別個の要約表を作成する:全てのTEAE,試験薬投与後に発現した 重篤な有害事象,試験薬と因果関係があると報告されたTEAE,試験薬投与後に発現し 試験薬と因果関係があると報告された重篤な有害事象及び試験薬の投与中止に至った TEAE。 ・臨床検査値: 臨床検査値について,項目ごと及び被験者ごとに評価する。臨床検査値異常は,基 準値の範囲外の値(上限を超える又は下限を下回る)とする。臨床検査値に関する各 測定値及びこれらのベースライン値からの変化量について,要約統計量を算出する。 CTCAE v4.0で重症度分類される臨床検査項目は,CTCAEGrade別に要約する。 ・バイタルサイン: バイタルサインは被験者ごとに評価する。バイタルサインの異常は基準値の範囲外 の値(上限を超える又は下限を下回る)とする。バイタルサインの各測定値及びこれ らのベースライン値からの変化量について,要約統計量を算出する。 ・12 誘導心電図検査: 12誘導心電図の結果は被験者ごとに個別に評価する。異常値は,基準値の範囲外(上 57 試験実施計画書番号:TRIHN1504 又は下)の値とする。12誘導心電図所見を要約する。 ・その他の特別な検査: 該当せず 9.7.2. 症例数の決定 甲状腺未分化癌研究コンソーシアム(ATCCJ)のデータベースによると,ATC患者(Stage IV B及びIV C)の1年生存率は14%と推定される*1。一方,国内第2相試験(E7080-J081-208 試験)では,レンバチニブを投与したATC患者の1年生存率は35%と推定される*2。 これより,本試験の対象となるレンバチニブを投与したATC患者の期待1年生存率を30% と見積もると,帰無仮説14%を棄却するのに必要な症例数は,登録期間18ヵ月,追跡期間12 ヵ月,検出力80%,有意水準両側5%で,35例と算出される。不適格脱落及び登録後脱落が 10%程度生じることを想定し,試験例数を39例に設定した。 *1 1995年~2008年登録分のデータ(ATCCJ未発表データ) *2 2015年2月19日時点(エーザイ社未発表データ) 9.7.3. 中間解析 実施しない 9.7.4. その他の統計及び解析上の留意事項 該当せず 9.8. 試験期間 登録期間:18ヵ月(2016年1月8日~2017年7月7日) 追跡期間:12 ヵ月(2017 年 7 月 8 日~2018 年 7 月 7 日) 58 試験実施計画書番号:TRIHN1504 10. 試験の費用負担 10.1. 資金源及び財政上の関係 本試験は,公益財団法人 先端医療振興財団 臨床研究情報センター(TRI),主任研究者 の所属機関:日本医科大学付附属病院,国立研究開発法人国立がん研究センター東病院と エーザイ株式会社の四者契約に基づいた医師主導臨床試験である。試験の実施責任は日本 医科大学付属病院及び国立研究開発法人国立がん研究センター東病院にあり,運営にかか わる支援業務を公益財団法人先端医療振興財団が行う。実施に伴う研究費はエーザイ株式 会社が負担し,公益財団法人先端医療振興財団が執行管理を担当する。この費用負担が, 主任研究者,実施医療機関,試験責任医師,試験分担医師に対し,エーザイ株式会社の製 品の購入,使用,推薦又は使用の手配その他有利な取扱いを誘引する意図がないことを相 互に確認する。 10.2. 臨床試験に関する費用 本試験で用いる薬剤は,いずれも保険適応承認が得られているものであり,日常診療で 使用されている。そのため,本試験は,通常の保険診療の範囲内で行われ,期間中の観察・ 検査,使用薬剤等は被験者の健康保険が適用される。また,被験者が本試験に参加するこ とで得られる,特別な診療上,経済上の利益はない。 10.3. 利益相反(COI)について 当該試験の実施に当たり,研究費をエーザイ株式会社より受けているが,当該試験薬で あるレンバチニブの提供は受けておらず,当該試験の目的が探索的研究であるため,当該 試験薬を推奨するものではない。 また,主任研究者の所属機関・診療科である日本医科大学付属病院・内分泌外科,及び 国立研究開発法人国立がん研究センター東病院・頭頸部内科は,エーザイ株式会社より奨 学寄附金又は講師謝金を受けているが,主任研究者は所属機関の利益相反マネジメントに 関する規定に従って,その委員会に必要事項を申告し,利益相反の審査と承認を得るもの とする。 さらに,この臨床試験においてエーザイ株式会社との利益相反関係に追加・変更が生じ た場合には,その都度,主任研究者は,所属機関の利益相反マネジメントに関する規定に 従って,その委員会に必要事項を申告し,利益相反の審査と承認を得るものとする。 加えて,試験責任医師及び試験分担医師の利益相反関係については,各所属機関の利益 相反マネジメントに関する規定に従って適切に管理する。 なお,当該試験の実施が被験者の権利・利益を損ねることはない。 59 試験実施計画書番号:TRIHN1504 11. 参考文献の一覧表 1. 国立がんセンターがん対策情報センター. 全国がん罹患モニタリング集計2007年 2. 厚生労働省 患者調査 http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/10-20.html 3. 甲状腺腫瘍診療ガイドライン2010年度版,日本内分泌外科学会/日本甲状腺外科学会 編 4. Bukowski RM, Brown L, Weick JK, Groppe CW, Purvis J. Combination chemotherapy of metastatic thyroid cancer. PhaseII study. Am J Clin Oncol. 1983 Oct; 6(5): 579-81. 5. NCCN Practice Guidelines in Oncology. v.1 2011. Thyroid Carcinoma. www.nccn.org. 6. Cooper DS, Doherty GM, Haugen BR, Kloos RT, Lee SL, Mandel SJ, Mazzaferri EL, McIver B, Pacini F, Schlumberger M, Sherman SI, Steward DL, Tuttle RM; American Thyroid Association Guidelines Taskforce. Revised American Thyroid Association Management Guidelines for Patients with Thyroid Nodules and Differentiated Thyroid Cancer. Thyroid. 2009 Nov; 19(11):1167-214. 7. F. Pacini, M.G.Castagna, L.Brilli, G.Pentheroudakis, On behalf of the ESMO Guidelines Working Group. Thyroid cancer: ESMO Clinical Practice Guidelines for diagnosis, treatment and follow-up. Annals of Oncology. V21(5); 214-219, 2010. 8. Junji Matsui, Yukinori Minoshima, Akihiko Tsuruoka and Yasuhiro Funahashi: Discovery Department, Oncology PCU, Eisai Co., Ltd., Ibaraki, Japan. Multi-targeted Kinase Inhibitor E7080 Showed Antitumor Activity against Medullary Thyroid Carcinoma and Squamous Thyroid Carcinoma Cell Lines Based on RET and VEGFR2 Tyrosine Kinase Inhibition. Abstract # 3614 101st AACR Annual Meeting 2010, Washington, DC, April 17–21, 2010 9. Nagaiah G, Fu P, Wasman JK, Cooney MM, Mooney C, Afshin D, Lavertu P, Bokar J, Savvides P, Remick SC. Phase II trial of sorafenib (bay 43-9006) inpatients with avanced anaplastic carcinoma of the thyroid (ATC). J Clin Oncol 2009; 27 suppl 15: A6. 60 試験実施計画書番号:TRIHN1504 12. 手順及び指示(実施要領) 12.1. 試験実施計画書の変更 試験開始後に試験実施計画書を改訂する場合,主任研究者,責任医師は以下の手順に従い 改訂を行う。 12.1.1. 登録の中断 試験開始後に,被験者の安全性にかかわる試験実施計画書の重大な改訂(「12.1.2. 主任 研究者」の中で規定)が必要となった場合には,登録を一時中断し,試験実施計画書の改訂 が承認された後に再開する。なお,主任研究者は,運営委員会,試験責任医師,効果安全性 評価委員,データセンター,統計解析責任者にその旨を連絡する。 12.1.2. 主任研究者 主任研究者は,運営委員会の承認を得てから試験実施計画書の改訂を行う。改訂後は速 やかに所属する研究機関の倫理審査委員会に改訂内容及びその理由を報告する。改訂の内 容が重大と判断される場合は,主任研究者の所属する研究機関の倫理審査委員会で再度審 査を受け,承認を得なければならない。 以下に重大と判断されると考えられる試験実施計画書の改訂内容を示す。 1. 試験デザイン 2. 試験対象(適格規準) 3. 治療計画 4. エンドポイント 5. 目標症例数 改訂後,主任研究者は試験実施計画書の改訂内容を,試験責任医師,効果安全性評価委 員,データセンター,統計解析責任者に送付する。 12.1.3. 試験責任医師 試験実施計画書の改訂内容が軽微であった場合,各実施医療機関の倫理審査委員会での 再審査の必要性については,各実施医療機関の規程に委ねる。試験責任医師は,試験実施 計画書の改訂内容に応じて被験者への同意説明文書を改訂する。改訂手順については, 「5.3.1. 同意説明文書・同意書の作成」,「5.3.2. 同意説明文書・同意書の改訂」を参照す る。 12.2. 試験実施計画書の遵守 試験責任医師又は試験分担医師は,本試験実施計画書を遵守して本試験を実施する。 12.3. モニタリングの手順 12.3.1. 中央モニタリング データセンターは EDC で収集された症例報告書の入力データを基に,下記の項目につい てモニタリングを行い,試験実施計画書が遵守されているかを確認する。 61 試験実施計画書番号:TRIHN1504 1) モニタリング項目 ① 集積達成状況:登録数 ② 適格性:不適格例/不適格の可能性のある被験者 ③ 治療前背景因子 ④ 治療内容 ⑤ 試験治療中止理由 ⑥ 試験実施計画書からの逸脱 ⑦ 重篤な有害事象 ⑧ 有害反応/有害事象 ⑨ 無増悪生存期間:イベント発生状況 ⑩ その他,試験の進捗や安全性に関する問題点 2) 定期モニタリングレポート 上記のモニタリング項目に基づいて定期モニタリングレポートを作成し,初回の症 例登録日より 6 ヵ月に 1 回程度を目安として,主任研究者に提出する。 ただし,頻度については,試験の進捗状況に応じて別途協議する。 12.3.2. 施設モニタリング 中央モニタリングの結果,必要に応じて主任研究者と相談の上,原資料の確認を含む, 施設モニタリングを実施する。 原資料には以下のものが含まれるが,以下に限定されるものではない。 ・ 診察室,事務室,病院内の医療記録 ・ 記載内容の正確性が保証されている医療従事者が記録した資料の写し又は転記さ れた資料 ・ 測定機器による記録(例えば,X線,超音波検査,CT,MRI,放射線画像,心電図, 脳波,睡眠ポリグラフ,肺機能検査やマイクロフィッシュや写真のネガも含まれ るが,その保存方法は問わない) ・ 被験者が記入した痛み,QOL,病歴に関する質問票 ・ 電話による連絡記録 ・ 薬局,試験責任医師又は試験分担医師が保管している試験薬の処方,数量確認の 記録 ・ 被験者の治療に関する医師間の通信記録又は試験審査委員会との連絡記録 ・ CRFに記録されたデータの一部で被験者が直接記入した記録(例えば,質問票) 12.4. データの記録 12.4.1. 様式と提出期限 本試験の症例報告書は EDC システムを用いる。試験責任医師又は試験分担医師は,各被 験者の検査・観察終了後,速やかにデータを症例報告書に入力する。 62 試験実施計画書番号:TRIHN1504 12.4.2. 入力方法 試験責任医師は,症例報告書のデータが,正確,完全で,読み易く,提出の時期が適切 であること,及び被験者の識別に被験者識別コードを用いていることを保証する。 症例報告書中のデータのうち原資料に基づくものは,原資料と矛盾しないものであるこ と。原資料との何らかの矛盾がある場合には,その理由を説明する記録を作成し保存する。 入力の際には以下の事項を遵守すること。 (1) 入力及び訂正は試験責任医師又は試験分担医師が行う。ただし,医学的判断を伴 わない箇所(カルテからの転記等)については,試験責任医師,試験分担医師の 監督のもと,協力者が入力・訂正してもよい。 (2) 入力時は「匿名化番号対照表」を参照し,カルテが当該被験者のものであること を確認する。 (3) 「Web 入力システム操作説明書」に従う。 (4) 入力方法に関して質問がある場合は,データセンターに問い合わせる。 12.4.3. 症例登録書内容の確認と問い合わせ (1) データセンターは,入力された症例報告書について,以下の項目を確認する。 ・入力の不備 ・臨床試験計画書との整合性 ・症例報告書記載内容の整合性 (2) データセンターは,照会すべき点を問い合わせリストに入力する。 (3) 試験責任医師及び試験分担医師は,Web サイト上で入力及び訂正を行なうかデータ照 会票に回答を記入し,データセンターに返信の上,主任研究者より試験終了の連絡が あるまで保管する。 12.5. 原データの特定 下記 (1)~(6) 以外の項目は,診療録を原データとする。 (1) 症例報告書に直接入力され,診療録あるいはワークシート等を含む医療記録に通 常記載されない事項:症例報告書を原データとする。ただし,これらの内容につ いて医療記録に記載がある場合はそれらを原データとする。 (2) 同意の原データ:同意書,同意撤回書 (3) 病理診断の原データ:病理検査伝票,診療情報提供書,中央判定結果報告書 (4) 腫瘍評価の原データ:フィルム類(電子データ含む)。ただし,計測結果を含む 評価は症例報告書を原データとする。 (5) 心電図の原データ:心電図チャート(電子データ含む)。ただし,所見は症例報 告書を原データとする。 (6) 外部検査機関への検体発送記録:検体発送伝票 63 試験実施計画書番号:TRIHN1504 12.6. 記録の保存 主任研究者,試験責任医師又は試験分担医師及びデータセンターは,本試験の実施に係 る記録(文書及び電子記録)を本試験終了について報告された日から 5 年を経過した日又 は本試験の結果の最終の公表について報告された日から 3 年を経過した日のいずれか遅い 日までの期間保存する。 なお,組織型中央判定及び薬力学評価指標測定のために用いられた試料及び資料につい ては, 「9.5.1.3. 有効性評価のための調査項目及び調査方法」 「9.5.1.4.2. 薬力学」の記載に従 い保存する。 12.7. 監査の手順 監査担当者は実施医療機関が試験実施計画書,「人を対象とする医学系研究に関する倫 理指針」等を遵守して試験を遂行していたかを確認する。 なお,監査の内容やサンプリングの方法については,別途定める「監査手順書」「監査 計画書」に従う。 12.8. 試験薬の取扱い 試験薬は,2015年3月26日に製造販売承認を取得しており,本試験では市販の医薬品を使 用する。 12.9. 試験の公表と成果の帰属 12.9.1. 臨床試験登録 本試験は「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に基づき,症例登録開始前ま でに,大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)に臨床試験登録を行う。 12.9.2. 成果の帰属 本試験の成果は,研究代表者施設に帰属する(個別の参加医療機関に帰属するものでは ない) 。ただし,本試験の成果に基づき発明等の知的財産権が生じた場合,発明等を行った 当事者は,運営委員会にその旨を通知し,その権利の帰属について協議する。 また,当該発明等のうち,レンバチニブに関連した発明等については,エーザイ株式会 社に帰属する。 本試験の結果の発表及び出版は,主任研究者,運営委員,試験責任医師,試験分担医師, 統計解析責任者が協議し,国内外の癌治療,臨床腫瘍学に関する学会発表並びに英語論文 として報告する。 なお,論文も含め主たる発表の筆頭著者の権利は症例登録例数(不適格例はカウントし ない)が最も多い実施医療機関の試験責任医師に付与されるものとするが,筆頭著者の権 利を与えられた施設が学会発表・論文を作成できない場合には,症例登録例数の多い順番 を参考に,主任研究者,運営委員及び公益財団法人先端医療振興財団が協議して取り決め る。 なお,本試験の結果に基づく報告書(写)は,エーザイ株式会社に提供され,エーザイ 64 試験実施計画書番号:TRIHN1504 株式会社及びその関係会社が本成果を利用することを希望する場合には,その範囲を主任 研究者と協議のうえ,無償で利用許諾する。 12.10. 情報・結果の開示及び守秘義務 試験責任医師,試験分担医師,協力者等及び倫理審査委員会のメンバーは,試験実施計 画書及びその改訂版の記載内容並びに試験中に得られた結果の守秘義務がある。主任研究 者との文書による合意なしに全体又は一部であっても開示してはならず,本試験をレビュ ー又は実施する以外の目的で使用しない。公表を含めいかなる著作物についても,主任研 究者との文書による合意なしに,本試験の一部として収集したデータを使用しない。 12.11. 試験の終了と早期中止 12.11.1. 試験の終了 個々の被験者の追跡が終了し,データが固定となった時点で本試験の終了とする。デー タセンターからデータ固定の連絡を受けた主任研究者は,本試験が終了したことを試験責 任医師,統計解析責任者及び各委員会に報告する。報告を受けた試験責任医師は,所属す る医療機関の長及び医療機関内において必要に応じて手続き等を行う。 12.11.2. 試験の早期中止 以下に該当した場合,本試験を早期中止する。 (1) 試験進捗報告を評価した結果,症例登録の遅れ等の理由により,試験の完遂が困 難と判断された場合 (2) 重篤な有害事象が報告され,治療の安全性に問題があると判断された場合 (3) 論文や学会発表等,治療に関連する新たな情報が得られ,治療の安全性に問題が あると判断された場合,又は試験継続の意義がなくなったと判断された場合 12.12. 健康被害の保険及び補償・賠償 本試験に起因した有害事象が発生し,被験者に健康被害が生じた場合は,実施医療機関 は適切な治療その他必要な措置を講じる。また,主任研究者は,健康被害に対する賠償に 備え,臨床研究保険に加入する。 13. 別紙 別紙1:添付文書 別紙2:ECOG基準Performance Status 別紙3:匿名化番号対照表 別紙4:EQ-5D-5L アンケート 別紙5:重篤な有害事象発現時の報告・対応マニュアル 別紙6:試験参加予定医療機関・試験責任医師一覧 65
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