平成 23 年度 九谷焼産地再生戦略会議〔第1回〕議事録 日 時 場 時:平成 23 年 11 月 10 日(木) 刻:午前 9:15 分 所:寺井地区公民館 3 階 中会議室 九 谷 焼 産 地 再 生 戦 略 会 議 委 員 石川県九谷陶磁器商工業協同組合連合会理事長 伊野 正滿 石川県九谷陶磁器商工業協同組合連合会 東 石川県九谷陶磁器商工業協同組合連合会 北野 義和 石川県陶磁器商工業協同組合理事長 吉田 正一 石川県陶磁器商工業協同組合 嶋﨑 信之 石川県陶磁器商工業協同組合 上出 雅彦(欠席) 石川県陶磁器商工業協同組合 岩田 克久 石川県陶磁器商工業協同組合 北野 啓太(欠席) 九谷焼団地協同組合理事長 森 九谷焼団地協同組合 長髙 九谷焼団地協同組合 東 九谷焼協同組合理事長 山下 九谷焼協同組合 東 九谷焼協同組合 清水 則徳 九谷焼協同組合 西田 上 九谷焼彩匠会 宮本 繁 九谷焼彩匠会 辻本 治彦 九谷焼彩匠会 西田 達也 九谷焼上絵協同組合理事長 太田 昭一 九谷焼伝統工芸士会 山田 義明 寺井サンロード振興会 会長 北村 健夫(欠席) 古九谷研究家 二羽 喜昭 能美市商工会 副会長 南 雅雄(室谷 隆盛) 能美市観光物産協会 会長 田川 剛 石川県立九谷焼技術研修所 所長 近藤 博史 北陸先端科学技術大学院大学 小坂 満隆 北陸先端科学技術大学院大学 緒方 三郎 根上農業協同組合 代表理事組合長 又村 一夫(欠席) 石川県商工労働部経営支援課長兼伝統産業振興室長 浅井 豊樹 能美市地域振興部長 中西 幸一 文太郎 幸太郎 郁夫 秀樹 広晃 浩一 (欠席) ※代理 市 長 能美市長 事 務 酒井 悌次郎 局 能美市政策調整監 能美市地域振興部商工観光課 課長 藤本 建 東方 哲男 〃 西村 泰知 〃 観光推進室 室長 主査 今出 勝 ナチュラルコンサルタント株式会社 代表取締役社長 報 道 テレビ小松 MRO NHK 中日新聞 読売新聞 北國新聞 北浦 和夫 〃 都市計画部 木内 誠 〃 都市計画部 浦 勝一 議 事 録 1.開会 〔東方課長〕 ・ 只今より九谷焼産地再生戦略会議を開催します。 ・ 本日の会議は概ね2時間を予定しています。 ・ はじめに酒井市長より挨拶です。 2.市長挨拶 〔酒井悌次郎市長〕 ・ 九谷焼産地再生戦略会議立ち上げに際し、ご多忙な皆様に快くご就任頂きまし たことお礼を申し上げます。 ・ ご周知の通り伝統産業九谷焼は厳しい状況にあり、能美市発足以来も九谷焼振 興策については業界の方々や関係団体と連携模索し、一生懸命努力してきまし た。 ・ 本日は小坂先生、緒方先生にもご参加頂いており、先端大のご協力を頂きなが ら産学連携協定においては MOT 養成講座などでもお力添えを頂いております。 ・ 過年度までには核ゾーンプロジェクト委員会を立ち上げ、様々な模索も進めて きましたが課題も大きく、効果については今一歩という状況です。 ・ 新幹線金沢開業も間近に迫り、谷本知事におかれましては新幹線開業効果を県 内全域に広げるとして大変なご努力をされています。 ・ それに追随し、我々としても能美市観光元年と位置づけて観光推進室を立ち上 げました。ハード、ソフト共に真剣に取り組んでいきたいと考えております。 ・ そのなかで最も大事なのが能美市の看板である九谷焼です。皆様と頑張ってい きたいと考えておりますので様々なご意見を頂きますようお願いします。 ・ 私事になりますが、先週私の姪が結婚するにあたって滋賀県のホテルに行って きました。引き出物として商品カタログを頂きましたが、そこに九谷焼と萩焼 がでていました。 ・ しかし、よく見ると石川県の伝統産業である九谷焼の主産地は金沢市、小松市、 加賀市と書いてあったことを大変残念に感じました。 ・ このような状況下、しっかりとした PR 体制を構築していく必要があると認識 するとともに、行政業界ともに様々な視点からの教育を充実させていく必要が あると感じました。 ・ 今朝の新聞でも九谷焼新商品のマウスが掲載されていましたが、カブト虫など アピールできる新商品が MOT を始めとする皆様の働きかけで創出されてきて いますが、今後いかに九谷焼の販売力として確立させていくか、また PR して いくか大変重要であると考えています。 ・ 観光元年として精一杯、行政としても観光方面で努力していきたいと思います。 ・ そのなかで九谷焼産地再生戦略会議のもつ役割は、大変重要なものであると思 いますので様々なご支援のほどよろしくお願いします。 3.委員紹介 〔東方課長〕 ・ 市長は別途公務のため途中退席させて頂きます。 ・ 本日ご出席頂いた委員方々のお名前を席順でご紹介させて頂きます。 ※中略(委員各位所属名称、代理出席者、欠席者のご紹介) ・ 能美市観光物産協会会長の田川様、九谷焼団地協同組合の長高様は所要のため 途中退席されますのでご了承願います。 ・ 続いて事務局の紹介をさせて頂きます。 ※中略 〔東方課長〕 ・ 議事に入る前に配付資料の確認をさせて頂きます。 ※中略 ・ 次第 4 番、戦略会議設置に至った経緯について藤本調整監よりご説明します。 4.戦略会議設置に至った経緯について 〔藤本政策調整監〕 ・ 九谷業界の方はご周知のことですが、本日は一般の方もおいでますので九谷焼 の現状について簡単にご説明します。 ・ 伝統的工芸品である九谷焼は、地域ブランドとして全国的な認知度が高い反面、 生活様式の多様化、安価な輸入製品の流入、社会経済情勢の不安定により近年 生産額は著しく減少しています。 ・ H2 の 165 億円をピークに H22 は 48 億 7000 万円、従事者も S58 の 3132 人を ピークに H22 は 871 人にまで減少しています。 ・ 法人数も H17 は 121 社でしたが、現在 80 社と大幅に減少しています。 ・ 中期的な展望としても新たな販路の拡大、時代に合致した新製品の開発、九谷 焼原材料の確保、組合組織の再編成、後継者の育成、九谷焼を利活用した地域 活性化、茶碗まつり会場等の問題が生じており、九谷焼業界を取りまく環境に は難題が山積し、いずれも喫緊の課題となっております。 ・ 過年度までにも業界内部では懸命に対策に取り組んでこられましたが、業界単 独だけでは限界があります。 ・ 能美市基幹産業である産業九谷の振興と発展を図るためには、産地全体として の総力をあげるとともに、英知を結集して将来のあるべき方向性を見出す時期 に来ていると感じています。 ・ この取組みこそが、しいては地域経済及び地域雇用の安定促進、交流人口の拡 大による地域活性化、地域ブランド力の向上にもつながると確信しています。 ・ これまでにも業界を中心に、本日ご出席の緒方先生をはじめ先端大の多くのス タッフの方々にご支援、ご協力を頂きながら、いわゆる産学官連携による九谷 再生の道を探ってきました。 ・ そして様々な取り組み活動や一定の方向性も出されつつある状況です。 ・ しかしながら、その計画を実施するにはクリアすべき課題点も山積しており、 一方で新たな課題も生じています。 ・ 具体的には、茶碗まつり会場であるふれあいプラザ周辺について、現在当施設 は市が暫定的に使用していますが、施設リニューアル計画を進めています。 ・ この計画は合併特例債を活用して建設する予定ですが、合併特例債は H26 まで が期限であるため残り 3 年のなかで結果を出すことになります。 ・ この計画が順調に推移した場合、2~3 年後には催事会場の変更も視野にいれる ことも生じてきます。 ・ これらの課題も含め産地全体として取り組む姿勢が必要というなかで、本日ご 参席頂いた九谷焼に携わる関係団体、学識経験者、商工会、専門家、石川県、 研究機関、観光物産協会、議会等との連携を図りながら、戦略会議を設置する に至りました。 ・ 過年度までの計画でよく聞かれましたのが、「業界内部での意識共有、各団体構 成員への情報伝達不足」という問題があります。 ・ 本会議を契機として各組合や団体のなかで、全員参加による拡大会議を設置さ れて内部での情報共有に努めて頂きたいと思います。 ・ 本会議はすべての情報開示を原則とし、皆様方には積極果敢な協議検討をして 頂きたいと思います。 ・ 全市的な見地から、また多くの市民の了解を得ながらハード及びソフト両面に わたる事業計画を策定し、着手できる部分から取り組んでいきたいというのが 市のスタンスです。 ・ さらに小松、加賀を始め関係市町及び、石川県との広域連携を図りながら推進 していくことが重要であると考えています。 ・ 会議はすべて原則公開、以後の会議資料や議事録も開示していく予定です。 5.戦略会議設置要綱について 〔東方課長〕 ・ 次第の 5、戦略会議の設置要綱について事務局より説明します。 ※中略(別添要綱の通り) 6.会長・副会長選出 〔東方課長〕 ・ 次第の 6、会議を円滑に運営するために設置要項第 4 条の規定に基づき、会長 を選出します。どのように選出したらよろしいでしょうか。 〔委員各位〕 ・ 事務局に一任。 (満場一致) 〔東方課長〕 ・ それでは会長に小坂様、副会長に長高様をお願いしたいと思いますが皆様いか がでしょうか。 〔委員各位〕 ・ 拍手。(満場一致) 〔東方課長〕 ・ それではお二人には席を移動して頂き、就任のご挨拶をお願い致します。 7.会長就任挨拶 〔小坂会長〕 ・ 只今、会長に選出して頂きました先端大の小坂です。 ・ 私は、北陸先端大の知識科学研究科において、能美市を中心に地元の伝統産業 活性化を図っていく研究を行っております。 ・ 最近は新しいサービスマーケティングをベースとして、能美市の観光力の向上 及び、全国的な知名度を高める活動を行っております。 ・ その一環として、九谷焼は能美市を代表する大きな観光資源であるとの認識か ら、 先日の陶芸村まつりにおいて来訪者約 300 名にアンケートを実施しました。 ・ 現在アンケートは分析中ですが、客層は 50 代以上が相当の割合を占めている こと、集客圏は近隣だけでなく大都市圏(関西圏よりも関東圏及び東北圏)か ら多く来ていることがわかりました。 ・ アンケートでの代表的な意見としては「用の美」、使う時の美も大切ですが何か もう一工夫して色々な業界の人と連携を図り、販売力のある製品を作ってはど うか、という意見が多くありました。 ・ 一方で伝統を守ることも大変重要なことではありますが、もう一歩の飛躍を望 みます、といったご意見もありました。 ・ 本会議に先だち、過年度までの検討資料を読ませて頂きまして感じたことは、 時代は流れている、新しい動きが生まれているという状況を踏まえ、今後九谷 焼をどういった手法で全国的、世界的に知名度を高めていくかということです。 ・ 本戦略会議において忌憚ないご意見を頂きながら、まとめたいと考えています。 ・ 私自身、九谷焼自体を熟知しているわけではありませんが、客観的にコーディ ネートする立場として、皆様のサポートを行うとともに我々先端大でのサービ ス、あるいは観光に関する研究を少しでも反映させて頂いて、新しい方向性を 見いだして行きたいと考えています。 〔長高副会長〕 ・ 諸先輩方の多いなかご指名を頂きましてありがとうございます。 ・ 皆様方のご協力を得まして今後の戦略会議を進めていきたいと思いますので、 よろしくお願いします。 〔小坂会長〕 ・ 以後、私が議事を進めさせて頂きます。 ・ 最初に事務局から本会議の進め方についてご説明お願いします。 8.本会議の進め方について 〔藤本政策調整監〕 ・ 本会議の進め方(案)をご説明させて頂きます。 ・ 本戦略会議での議案、課題というのは非常に多岐に渡ります。 ・ 皆様方にお渡しした委嘱状のとおり、来年度 12 月まで非常に過密なスケジュ ールとなっていて全体会議 10 回、分科会 10 回程度を予定しています。 ・ 各々の立場で九谷再生に関して課題の認識、再生の方策についてご意見がある かと思いますが、全体会議でそれを論じることは難しいと判断しております。 ・ よって 3 つ程度の分科会を設置し、個別事項に対して十分に議論してはどうか と考えています。分科会ごとに集約した意見をまとめてもらい、中間報告とい う形でも全体会議に図りながら進めていきたいと考えています。 ・ 分科会は来月下旬から来年 9 月上旬まで行い、全体会議をその後に開催して最 終答申案としてとりまとめをお願いできればと考えています。 ・ 九谷業界の各組合団体におかれましては、組合員の方に今回の会議が設置され たことと、議論及び方向性の結審には各組合の中で全員参加という形で会議内 容の周知徹底、課題整理、意見集約をお願い致します。 ・ 業界内部でまず何をすべきか再度お話して頂きたいと思います。 ・ 全体会議では、産地全体としてどのように連携をしていけば再生の道が開ける か、また九谷焼を利活用した地域活性化、交流人口の拡大の方策について皆様 で御審議して頂きたいと考えております。 ・ 来年 12 月には基本方針、基本計画案をとりまとめる予定としています。 ・ 全体会議及び分科会の進捗状況をみながら、併行して議会でも特別委員会があ りますので、皆様方の審議過程や報告、議会のご意見も摺り合わせながら、最 終的な意見集約を図りたいと考えております。 ・ 審議に際しては、ゼロベース(何もない状態)から九谷再生を論ずるのは難し いことから 3 町合併以来、産学官で協議検討を重ねてきた九谷陶芸村の整備計 画をたたき台にしたいと考えております。 9.九谷陶芸村整備計画概要説明 〔小坂会長〕 ・ 事務局より九谷陶芸村整備概要についてご説明お願いします。 〔西村室長〕 ・ 平成 22 年度に九谷焼核ゾーンプロジェクト委員会で策定した九谷陶芸村整備 計画(正式名称 九谷焼核ゾーン基本計画)について、これまでの経過等を踏 まえ簡単にご説明させて頂きます。 ・ この基本計画の上位計画として第 1 次能美市の総合計画、能美市都市計画マス タープラン等があります。 ・ 総合計画では九谷陶芸村を伝統工芸ゾーンと位置付け、全国的に有名な九谷焼 を活かし、本市を代表する伝統産業の振興、市民や来訪者が伝統工芸に親しむ ことができる拠点エリアとしての充実を図り、九谷焼産地としての魅力を全国 へ発信する拠点的なゾーンと記しています。 ・ 施策の方針としては、伝統工芸である九谷焼を活かした体験型観光の整備充実、 九谷陶芸村の整備充実等が記されています。 ・ 都市計画マスタープランでは、伝統工芸ゾーンの伝統文化地区として位置づけ ており、地域の個性ともいえる伝統文化資源を保全、活用して広域的な交流を 促進する地域と記しています。 ・ 施策としては、九谷陶芸村の観光および産業支援施設の整備拡充、九谷焼関係 の作業場、併用住宅立地の誘導等が記されています。 ・ 関連計画には、総合計画等の実現にあたって具体的な指針や施策体系を明確に するため、平成 19 年 7 月に九谷再生ビジョン委員会を設置し、産学官から構 成される 13 名の委員に意見を求めました。 ・ 同年 12 月には九谷焼を軸足に据えた地域活性化についての基本的な考え方、 と題して答申を頂いております。 ・ 平成 20 年度には市民意識調査を実施し、答申内容も踏まえて九谷再生基本計 画を策定致しました。 ・ その後、能美市の伝統工芸品である九谷焼を次世代に引き継いでいくため、市 のみならず業界自らでも各種委員会や分科会を立ち上げ、様々な調査検討を重 ね、課題や問題点の整理に取り組んできました。 ・ その結果、九谷焼関連施設が集積する九谷陶芸村を核にして、九谷焼の産地ら しい環境づくりと、観光の 2 つを両輪とした産地活性化による再生を目指すこ ととなり、昨年度に九谷焼核ゾーンプロジェクト委員会が発足しました。 ・ 委員には先端大の先生、業界方々、作家、地域住民など計 11 名を選定し、本年 3 月までに委員会開催 7 回、視察研修 1 回を行うなど検討を行ってきました。 ・ 基本計画のゾーニングでは、陶芸村周辺区域 8.6ha を 8 エリアに分けました。 ・ 駐車場ゾーンは、現在の駐車場は資料館に大型バス 3 台普通車 24 台、美術館 に普通車 6 台、陶芸館に普通車 7 台マイクロバス 2 台分しかなく、誘客拡大に は不十分のため、北側未利用地の西側を利用した駐車場を整備するものです。 ・ 広さは大型車 10 台、小型車 100 台程度が駐車できる広さを考えており、催事 等を開催するゾーンとしても考えています。 ・ 人材育成ゾーンは、将来の九谷焼を担う優れた人材の育成と、産業界に寄与で きる技能者養成を推進している九谷焼技術研修所との連携を高めることで陶芸 村全体の魅力の向上を図ります。 ・ 販売ゾーンは、既存の卸団地があるエリアになります。 ・ 緑地ゾーンは、既存の施設充実を図って緑地の持つ安らぎや憩い、潤い、遊び を通して幅広い年齢層を誘客するゾーンとします。 ・ 展示ゾーンは、九谷焼資料館や美術館等があるエリアです。九谷焼の歴史や資 料、展示充実等により九谷焼の魅力を発信するゾーンとします。 ・ 自立支援ゾーンは、既存の店舗バックヤードを活かし、修景整備を兼ねて作り 手と観光客が交流できる観光見学型の職人長屋を新規に整備します。 ・ 現在も石川県の九谷焼技術者自立支援工房がありますが、当施設は最長 3 年間 のレンタル期間であるため、工房を出られた若い職人の受け皿としても、また 問屋との連携も含め働きやすい環境を整備することで、後継者の育成や販路開 拓に繋がるゾーンとします。 ・ 体験ゾーンは、九谷焼陶芸館があるエリアです。陶芸館では絵付けや作陶体験 ができることから九谷焼にふれあい、親しむゾーンとします。 ・ 交流拠点ゾーンは、北側未利用地の東側を利用して新規に建築物を整備します。 ・ 施設規模としては 1,500~2,000 ㎡程度の九谷焼産業の核となる拠点施設です。 ・ 機能としては九谷焼の展示販売、九谷焼の魅力と歴史を周知してもらえるよう な窯元、絵付、問屋といった分業制を見学できる展示ブースを整備します。 ・ また、レストラン等の飲食店等(テナント)、日用品販売、九谷焼以外の市特産 品販売、能美市の情報案内発信機能を整備し、能美市の観光交流拠点として交 流人口の拡大を目指し、九谷焼産地全体の振興に寄与するゾーンとします。 ・ その他、九谷陶芸村全体の回遊性を高める歩道整備、サイン及び照明灯の整備、 せせらぎなどの親水整備、そぞろ歩きの出来る空間整備など陶芸村一帯となっ て九谷焼の魅力を多くの方に長く体験できる計画としています。 ・ 全国的にも知名度の高い地域資源「九谷焼」を活用し、市民や来訪者が伝統工芸 に親しむことが出来る拠点としての充実を図り、九谷焼産地として能美市の魅 力を全国へ発信し、交流人口の拡大を図りながら地域活性化に繋げていきたい と考えています。 ・ 本計画の年次計画は 5 カ年、概算事業費は約 9 億円、うち新規建築物について は 2,000 ㎡とすれば約 4 億円と考えています。 10.意見交換 〔小坂会長〕 ・ 事務局からのご説明、ご報告、会議の進め方、九谷陶芸村の整備計画に関して ご質問やご意見をお願いします。発言前にご所属とお名前をお願いします。 〔藤本政策調整監〕 ・ 事務局からの整備計画概要説明について補足させて頂きます。 ・ 本計画は市長への答申後、議会でもご説明させて頂きましたが、幾つかの課題 が懸念されました。 ・ 1 点目は、仮に国庫補助事業採択を受けるとした場合、現段階では時期尚早で はないかということ、さらに本計画は能美市発足(合併)以降に計画したもの であるため、合併特例債(約 480 億円)が適用されていないということです。 ・ 市財政状況も大変厳しく、財源の手当が十分に確保されていないという状況も あります。 ・ 2 点目は、議会でもご意見がありましたが陶芸村の一点集中整備に対する効果 の度合いです。当然、市民のご理解を得る必要もありますが、陶芸村の整備が 九谷焼産業の活性化に寄与するのか?というご指摘がありました。 ・ 陶芸村周辺の交通利便性の改善、道路体系の見直しも含めた広域的なハード的 対策も必要であることや、ソフト面では事業内容の精査、具体性に乏しいなか での事業化は難しいというご意見がありました。 ・ 以上から本計画は来年度予算において保留となっている状況です。 ・ 今後の皆様方の審議経過を踏まえて修正、市長判断を仰ぐことになります。 〔小坂会長〕 ・ 補足説明も踏まえてご意見ご質問がありましたらお願いします。 ・ 今年の陶芸まつりでは殆どが自家用車での来訪でした。 ・ 交通利便性の不具合もあるかと思いますが、現状では自家用車での来訪が多数 を占めている状況と考えられます。 ・ 1 点、陶芸村の整備計画を具体化するに際しての財政的な課題について、詳細 なご説明を事務局から再度お願いします。 〔藤本政策調整監〕 ・ 議会に諮った際、「産地全体として取り組む課題でもあるが、九谷焼業界として どういった姿勢で取り組むのか」というご指摘がありました。 ・ いわゆる行政と業界での財源負担割合をどうするか、ということです。 ・ それを踏まえ、市長から業界関係者に対しては「応分の負担をお願いしたい」と 回答させて頂きました。 ・ 応分の負担とは、駐車場の用地取得費を除く建築整備費から国庫補助金を除い た 6 割のうち概ね半分を目安にとお願いしております。 ・ もちろん、本整備に起債がつけば状況の変化はあるかもしれませんが、現段階 ではこのような考え方で議会に報告させて頂いております。 〔太田委員〕 ・ 昨年のプロジェクト委員会でも議題となった「本当に活性化できるのか」、「アク セスの問題」、「既存三館の在り方について業界を含めてどのように仕分けして いくのか」という大きな課題がありました。 ・ 行政としてはどのように考えていますか? 〔藤本政策調整監〕 ・ ご承知のように現在の九谷焼資料館所有は能美市ふるさと振興公社で美術館、 陶芸館は市の所有となっており管理者は異なっています。 ・ 現時点ではできるならば三館も含めて指定管理者制度にのっとり、業界の方々 に管理して頂き、従前の管理方式と違った視点から活性化を図って頂きたいと 考えています。 ・ まずは、市では指定管理者選定会がありますので、どのような団体等に運営委 託するのかを具体化する必要があります。 ・ 議会でも将来的には九谷焼業界による三館を指定管理させてはとの意見もあり ます。 〔太田委員〕 ・ 先日、商工会関係で能登方面に視察に行った際、七尾美術館に立ち寄りました が学芸員が常駐し、案内や説明等が大変充実していました。 ・ 既存三館の活性化を足掛かりに将来的な展望も見えてくるかと思います。 〔伊野委員〕 ・ 私はこの計画図を初めて見ましたが、陶芸村全体の構想も大事ですが能美市に は歴史的価値の高い場所が多数あるかと思います。 ・ 例えば、昔から焼物を焼いていた場所とか、寺井の庄三生家の跡など様々なス ポットがありますので、そういった点も網羅した計画を期待します。 ・ もう 1 点、将来的な懸案事項として我々連合会のなかでは、現在あるいは今後 の陶石に関する問題で非常に苦悩しています。 ・ 陶石が今後どうなるかということも、窯元方にアンケートを取りながら進めて いきたいと考えています。 ・ 将来の九谷焼に係る人々、研修所の若い方にとって業界の将来像が見えなけれ ばいけませんし、顔料をつくる釉薬なども将来的な実現可否を含めて見定める 必要があります。そのような統計や整理を我々の方でアンケートを通じて検証 していきたいと考えております。 〔小坂会長〕 ・ 将来ビジョンというご意見を踏まえて、緒方委員はどのようにお考えですか。 〔緒方委員〕 ・ 本委員会の委員はオールキャストと呼べる構成になっています。 ・ 産地再生戦略会議として、各々の組合少なくとも商組と上絵組合については、 今後の戦略に関する意向を説明して頂く必要があります。 ・ 業界として何をしたいのかを明確にしないと議論が進まないことになります。 ・ 過年度までは、業界単独もしくは市としての委員会が併設されるなど、議案が 交錯している部分もあります。 ・ これまでの審議経過をご存じない方もおいでるので、一度ご説明して頂く場が 必要ではないでしょうか。 ・ 私自身が本案件に係わった平成 19 年に答申を行いましたが、以後の審議でも 九谷陶芸村を産地の核に再生を図る、という考え方で現在に至っていると認識 しています。 ・ 本委員には陶芸村以外や寺井地区の方が何名も選出されています。陶芸村を核 とした再生基本計画及び、陶芸村の活性化を覆す議論をして良いのか、あるい はそういった意見を許容できる委員会であるのかを事務局にお聞きします。 〔藤本政策調整監〕 ・ 基本的には九谷陶芸村が核になるべきと事務局も考えています。 ・ その他の場所を核とするという方向性であれば再考しますが、一般的に考えて 当地しかあり得ないと私自身も考えております。 〔緒方委員〕 ・ 本計画への反対意見については一度、業界内部で統一してはどうでしょうか。 ・ そうでなければ本委員会での議論が滞ると思います。 〔小坂会長〕 ・ 九谷焼の産地再生戦略会議ということですので、これまでの経緯はあるかもし れませんが本会議ではとにかく広い視点からのご意見を頂きたいと思います。 ・ 会議の進め方や整備計画に対するご意見、ご感想、産地の再生などに関して皆 様どのように考えておられるか 1 人ずつお聞かせ願います。 〔二羽委員〕 ・ 私は古九谷研究家という肩書きで招集されました。各地の窯業地とか美術館を 見て回っていますが、いわゆる成功事例と言われているところでは必ず行政と 業界の接点があります。能美市ではその点が出遅れている感があります。 ・ 理由を考えると、古来より九谷焼は行政よりも業界の地位が高かったため官民 連携が遅れたのではないかと考えられます。 ・ 私が研究している古九谷問題も解決に向かう方向にありますが、世間一般的に 関心が薄いため、やりがいがないということもあります。 ・ 核ゾーン計画は私も初めて聞きましたが、先程述べさせて頂いた諸問題等も含 めた計画として頂ければ大に進めて頂ければと思いますし、少しでも早い実現 を望みます。 ・ ここは津波もくることはありませんし、箱ものもどうしても必要なものではな いかと思います。 〔近藤委員〕 ・ 後継者の育成という課題も当然ありますが、私自身は視点を変えて市長が仰っ た観光元年という視点からも考えています。 ・ 能美市には観光地として何があるのか、と問われると大抵は温泉、動物園、次 は九谷焼でないかと個人的に思います。 ・ 温泉については、辰口温泉だけでは滞在型として不足で、動物園にしても日帰 り型で終日滞在型ではありません。 ・ 市の観光力としては単発的な日帰り観光しかできない、宿泊拠点は金沢もしく は加賀温泉になると考えられます。 ・ ある方のご意見で、「動物園に行きました、次に能美市内に行く場所として例え ば手取フィッシュランドに行きたいが案内図がまったくないので、どうして行 っていいかわからない」、という問合せに対して説明に苦慮したと聞きました。 ・ まずは、目先の出来ることから順次向き合って行く必要があると考えています。 ・ 陶芸村へのアクセス県道にある標識はわかりづらく、ご周知のとおり加賀産業 道路からは、裏手を回ってやっと陶芸村に到着できるというアクセス性の不備 が大きな障害となっています。 ・ この環境を見直さない限り、陶芸村の再生はないのだろうと思います。 ・ 是非、そのあたりの要因を考慮して議論をお願いしたいと思います。 〔東(文太郎)委員〕 ・ 現在の業界においてコンセンサスを得ることは大変難しいと感じています。 ・ 三館問題、観光活性化などはまちおこしといった観点からの話ですが、我々と しては第一に業界おこし、つまり後継者の育成が最大の課題で、どのようにこ の能美市に定着させるか、その一点に尽きると思います。 ・ 次の段階としてまちおこしの議論になるかと思いますので、まずはその方面で 議論が出来ればよいと考えています。 〔北野(義和)委員〕 ・ 自身、陶芸村で出店していますが以前、中田良三氏が「将来的には茶碗まつりを 陶芸村で開催する」ということでしたので賛同して現在に至っています。 ・ 当時の景気は良かったこともありますが、現在は厳しい状況下九谷焼業界の仕 事を続けたいという一心で陶芸村に残っています。 ・ 今後、前進していくためにもこの計画を前向きに考えていきたいと思います。 ・ 合併時、市名変更において九谷市にならなかったことが大変残念でなりません。 有田、瀬戸、萩、常滑、焼物産地はすべて地名となっています。 ・ 九谷焼が地名に入っていないことは致命的で、北海道に行って「九谷焼です」 と言っても九州からのお客様ですか、と言われる状況です。 ・ 市名の変更が難しいなら、泉台地区や陶芸村団地だけでも九谷町にするなど、 九谷という文字を入れることだけでも郵便番号などで日本全国に名称が広がる ことになります。 ・ 九谷 PR の第一歩として地名の検討をお願いしたいと思います。 〔太田委員〕 ・ 現在の上絵組合は 65 名程度で 9 割方は旧寺井地区、辰口地区及び白山市から は 7~8 名で、主に旧寺井地区の住民で構成されています。 ・ 今後、組合員に本委員会での審議結果を随時報告しながら、上絵組合としての 意見をまとめていきたいと思います。 〔山田委員〕 ・ 私は伝統工芸士会に所属しておりますが、泉台在住の陶芸家です。 ・ 九谷焼に携わる方がこの中にたくさんいますが陶芸家は私一人です。 ・ 資料館では年間約 10 回ほど企画展をしていますが、そのうち 6~7 回は私が出 品しています。それだけ企画に乏しいという状況があります ・ 陶芸村の池を見ると青い藻が生えて金魚が数匹見られるだけで、全国的にもこ のような寂しい美術館はないと思います。 ・ 出来ることから、小さなことから改革していくことが大事だと思います。 ・ 整備計画のような約 10 億の投資には当然期待はありますし、まちおこし、業 界おこしに繋がれば最善だと思います。 ・ 本委員会は大変重要な意味をもつと思いますし、三館問題も含めて業界全体あ るいは行政との連携、取組みが大変重要になっていくと思います。 〔山下委員〕 ・ 私は九谷焼協同組合の責任者ですが九谷焼業界に対して行政、それ以外の方か ら九谷焼は大事だと聞いて感謝しています。 ・ 産業九谷が厳しい状況になって 10 年以上経ちますが、まだ少しでも体力が残 っているうちに向き合って行く必要があります。 ・ 我々組合でもビジョン委員会というものを立ち上げ、特に 30 代 40 代のメンバ ーを中心にとりあえず話合い、問題意識の共有をしようとしています。 ・ 基本計画については以前、商組役員説明で一度聞いていますし、自分なりにも 考えてきました。観光を中心とした九谷焼再生もひとつの手法だと思います。 ・ ですが、産業九谷をどうするかについては様々な問題がありますので、この再 生会議のなかで様々な角度から検証しながら進めていければと思います。 ・ 組合内部でも各組合員にきちんと説明し、組合員皆様のご意見を伺いながら本 会議にフィードバックしていきたいと思います。 〔長高副会長〕 ・ 九谷焼を親の代から続けてきて、途中からですが私も陶芸村に移りました。 ・ 周辺の道路案内環境は劣悪で、お客様はナビを使っても道が判らないという声 を聞きます。 ・ 近年はさらいが建設されましたので、さらいの宣伝をして欲しいということで 案内図を預かっていますが、陶芸村自体に飲食機能が必要だと感じています。 〔東(浩一)委員〕 ・ 九谷焼には問題が山積していますが、私が一番に考える問題は後継者問題です。 ・ 約 20 年前には絵付け人後継者の問題、約 10 年前には窯元後継者の問題、近年 では問屋後継者の問題があります。 ・ 平成 17 年頃には 121 社あった商組員が現在は 79 社、あと 3~4 年も経てば 60 社ぐらいまで減ると思います。 ・ 理由は、以前は長男がいない場合は養子をとって継がせていた業界でしたが、 近年は販売力の低下が大きな要因となっています。 ・ 安定的に安心して仕事が出来る環境ならば、養子をとってでも問屋は後継者を つくると思います。 ・ 私も現在 50 歳で子供は中学生です。代々継いだ家業なので出来れば継がせた いですが現状ではとても継がせる勇気はありません。 ・ 本会議で自身の気持ちも劇的に変化できるよう尽力、期待したいと思います。 〔清水委員〕 ・ 業界方々にこれだけ九谷焼を心配してもらい、ずっと九谷焼に携わってきた私 としては情けないやら、ありがたいやら、まずは感謝を申し上げます。 ・ 我々の歩んできた道の不甲斐なさを改めて感じるとともに、共に活路を見いだ せる会議となることを期待し、この機会をスタートにしたいと思います。 ・ 九谷焼協同組合理事長から話があったとおり、組合でもビジョン委員会を立ち 上げて活動をはじめています。 ・ 委員の一員として感じることは、九谷焼そのものをもっと見直し、好きになっ て、大切にしていかなければ九谷焼自体が消失してしまうということです。 ・ 理事長も同じ意見をもち、先般の内部委員会でもこの想いを文書として提示し ていますので、ここを原点に議論を進めていきたいと考えています。 ・ 皆様の様々なご意見、お知恵を頂いて次世代につながる産業九谷を築いて行き たいと思います。 〔森委員〕 ・ 先日の陶芸村まつりで実施して頂いたアンケート結果について、九谷焼の再生 あるいは陶芸村にとって良い知らせが出ることを願っています。 ・ 私も過年度までのプロジェクト委員の一員でしたので、このような貴重な審議 の場を設けて頂いたことを感謝します。 ・ 厳しい状況ですが、それでも何をすべきかということが一番の問題ですので、 この会議を通して皆さんと結論を出して行きたいと思います。 〔東(秀樹)委員〕 ・ 観光元年ということで能美市の魅力をつくらなければならない、その目玉のひ とつに九谷焼があるのだろうと思います。 ・ しかし、能美市には九谷焼以外にも食、自然など誇れる宝が沢山あります。 ・ 九谷焼再生ではありますが、市全体を巻き込んだ議論をしたいと考えています。 ・ それに追随して九谷焼業界も元気になっていければよいかと思います。 ・ 現在まで、陶芸村に対して行政がどれだけ真剣でなかったかと感じています。 ・ 能美市の魅力を発信していくためにも資料館は欠かせない存在ですが、現在の 振興公社に任せる運営方法には疑問です。 ・ 体育館や児童館とは違って、市外来訪者を誘客する施設ですので運営の在り方 を考える必要があります。 ・ やり方を間違えると貴重な文化、資源を崩壊させる可能性もありますので、慎 重に審議していきたいと考えています。 〔室谷〕 ・ 私は商工会という第三者的立場ですが、その他委員方々にも本日が初めてとい う方もおいでると思います。 ・ これまでにも九谷焼再生に関して数多く議論されてきたかとは思いますが、そ れが第三者的には伝わってこないのが率直な感想です。 ・ 計画には過去の検証、経緯、結果を周知しておく必要があり、問題点を把握し て次にどう進んでいくか、ということは基本的なことだと思います。 ・ 県外からの来訪者にとって能美市に来ても九谷らしさが感じられない、という ことで拠点づくり計画があると思います。 ・ もちろん拠点づくりも重要ですが、やはり能美市の豊富な観光素材と産業観光 の九谷焼を活かし相乗効果をあげていくことが大事だと考えています。 ・ 他分野の産業の方にも利益に繋がる計画が必要ですし、ブランド力の強化は重 要な課題です。ブランド力を上げることで誘客に繋がりますし、その情報発進 力や手法も重要な要素になると思います。 〔吉田委員〕 ・ 私は、当初の委員会から参画させてもらってきました。 ・ ご指摘あるように、課題が共有されていない現実を踏まえ小グループでの協議、 提言、発表もしてきましたが業界の外どころか、内部的にも伝わっていないの が現状です。 ・ そういった状況から行政にも相談させてもらい、本戦略会議を開催して頂いた 経緯があります。 ・ 九谷業界の体力低下は著しく、金銭的議論には大変敏感になっています。 ・ 能美市は元々、卸業という考えが強い産地でしたので、陶芸村も卸団地として 発足しました。 ・ しかし、時代も変わり観光のお土産屋といった考え方も出てきています。 ・ 私も以前は加賀市で店舗を経営していましたが、観光のお土産屋という観点か らの九谷焼の販売額向上は大きな要素だと思います。 ・ 加賀市でも国道沿いの店舗の多くが撤退しました。この時期だからこそ能美市 が九谷焼産地の拠点だということを示していくことが、将来の九谷焼業界を担 う人達が夢を持てることにつながると思います。 ・ そのためには核となるものが必要で、能美市が九谷焼らしくないということは 私も痛感しています。 ・ 私の思いとしては、他の産地に行くと必ず散策マップなどがありますが、能美 市には陶芸村の位置図しかありません。 ・ 市内には産業遺産と呼べる場所も多く、組合員もそれぞれ展示場を設けていま す。これらを網羅するマップがあると能美市には本当に多くの九谷焼店舗があ る、ということを感じてもらえると思っています。 ・ 茶碗祭りの場所問題もありますし、ハード面はもちろんのこと三館問題、情報 発信など様々な課題に対して、出来ることから着手したいと考えています。 ・ そのためには皆様のお知恵が必要ですし、無理な投資に頼るのではなく人力や 知恵を出し合って進めていくことが良いと思っています。 ・ 能美市が九谷焼の代表産地であるということと、将来、能美市の人たちが九谷 焼業界に就職してもらえるような、夢のある産地になってほしいし、そのため に努力していきたいと考えています。 ・ 自身の力不足を感じており、皆様のお知恵とご意見、ご協力をお願い致します。 〔嶋崎委員〕 ・ 私は需要と供給に着目しています。 ・ 需要の減少によって供給が減っているだけであって、需要を喚起するには何が 必要かと考えると観光が一つの切り口になると思います。 ・ ここ 2~3 年前から各社、商品開発など取り組んでいますが成果は来年あるい は再来年頃に出るだろうと思っています。 ・ 我々は商品開発が本業ですが、本業以外にも着手しないと九谷焼業界を再生す ることは出来ないと思っていますが、どのようにしていいか自身もわかってい ない状況です。 ・ ここ 20 年、疲弊の続く業界ですが出来ることを見つけていきたいと思います。 〔岩田委員〕 ・ 陶芸村を核とした計画も大事ですが、我々九谷焼業界が何をしたいのかを考え たときに業界おこしが一番重要だと感じています。 ・ 三館問題、後継者問題、様々な問題がありますがひとつずつクリアして、前に 進むことが必要だと思います。 〔宮本委員〕 ・ 彩匠会は任意グループで、このように招集されたことは意外に思っています。 ・ 自身、団地協同組合の一員でもあり、色々な立場で考えますが基本計画のよう に陶芸村を核とすることは、団地の一員として大変ありがたいことです。 ・ 一方でどのように整備、開発されていくのかには関心と心配があります。 ・ 委員のなかにも九谷焼問屋としての役割を果たしてきた方も多く、問屋という のは「物づくりのプロデュースをして作り上げたものを県内外、海外にまで物を 販売する」といった役割を担う存在だと思っています。 ・ 時代が急速に変化するなかで陶芸村を観光拠点とすることは、小売りを主体と した販売の分野で生き残りをかけるということで、これが先行すると益々それ に甘えてしまい、県外に打って出る問屋としての本業がおろそかになることを 懸念しています。 〔辻本委員〕 ・ 我々は旧特選会をメンバーとしたグループで、40 年続いた特選会を解散して問 屋としてプロデュースできる企画力をもつメンバーを募って 1 年が経ちます。 ・ 自身、後継者育成よりも産業九谷としてプロデュースできる商者の育成が重要 な課題と考えており、これに関しては後手無策であった感も否めません。 ・ 核ゾーンとして拠点、産地づくりも重要ですがソフト面を考える会議でもあり たいと感じています。 〔西田委員〕 ・ 陶芸村に店舗もっている業者の一人です。 ・ 整備計画自体は有難い一方、本心では身の丈を上回る計画だと思います。 ・ 様々な委員会を経て出た結果でしょうが、これだけ委員各位の考えも多岐にわ たる以上、関係者全員あるいは多くの方が容認できる計画が必要だと思います。 ・ 小さな事、できることからコツコツと進めていかなければと感じています。 〔中西委員〕 ・ 私は行政側の人間でございますので事務局からの報告通りの意見です。 ・ 予算をつけて執行する側としては、当然業界の理解、市民や議会のご理解が我々 には必要となります。 ・ これまで九谷再生計画に関しては何度か挑戦してきましたが、実施段階で踏み 出せない、そこに何か問題があるということで戦略会議の開催に至りました。 ・ 我々が業界のお手伝いをするには、まず業界一致としての方向性が見えてこな いとご協力することも大変難しい状況です。 ・ これを踏まえて本戦略委員会を有意義な場として頂きたいです。 〔浅井委員〕 ・ 県内全体の伝統産業振興という立場から、九谷焼再生に取り組む本会議には期 待をしていますし、出来る限りの支援をしたいと考えております。 ・ 石川県の伝統産業について現状を説明しますと、石川県には国指定伝統産業が 10 業種あり所有数では全国順位で 6 番目となります。 ・ 売上はピーク時には 1 千億あったものが現在 300 億と減少していますが、売上 規模としては全国的には 3~4 番目に位置します。 ・ 国指定工芸士の数も京都に次いで 2 番目と高く、人間国宝数は全国 2 番目と極 めて伝統立県としての位置が高い状況にあります。 ・ というなかで生活様式の変化、流通経済の変化、伝統産業の需要減少という状 況下、他の産地でも同じような課題はありますが皆様努力されております。 ・ 石川県のこれまでの取り組みとしては、商品開発から販路開拓に向けて個々の 企業が行っている事業に対して側面的な支援を行ってきましたが、一方でそれ 以上に中国に台頭する海外安価品などの外圧が大きいというのが現状です。 ・ 本戦略委員会を足掛かりとし、産地全体の振興を図るために個々の企業支援、 及び行政との連携を高める支援をオブザーバーの立場として尽力していきます。 〔今出主査〕 ・ 私は佐野在住ですが九谷焼に関しては詳しくありません。 ・ しかし、一昨年からの核ゾーンプロジェクトを通じて九谷業界の方々との面識 も広がり、様々なご意見も聞くなかで感じることは個々の想い、方向性に相違 (ギャップ)があるということです。 ・ 先日、東京の展示会に行きまして感じたことは、ここ数年、業界のみなさんは いまの生活スタイルにあった商品を開発され、その努力がうかがえるところで ありますが、九谷再生には業界の意思疎通、一致団結が不可欠であります。 ・ その結束力を持って、産地を盛り上げるということが一番大事な要素であると 考えており、団結のお手伝いとして我々事務局を使って頂ければ幸いです。 〔西村室長〕 ・ 現在能美市では観光将来像、方向性を定める観光ビジョンを策定中です。 ・ その中で九谷焼に関しては 5 つの分科会がありますが、いずれも九谷焼の再生 と活性化によるブランド力の向上が誘客にもつながるという見解が出されてい ます。 ・ 九谷焼は厳しい状況下にありますが業界の団結に期待し、業界の繁栄及び能美 市の観光促進に繋がることを望みます。 〔東方課長〕 ・ 過年度まで九谷陶芸村を中心とした整備、活性化の検証を進めてきたなかで、 ハード整備の課題、三館問題については大変厳しいご意見を頂いております。 ・ 皆様のご意見を踏まえ、陶芸村を核として能美市の活性化につながる計画を進 めていきたいと思います。 ・ 皆様が同じ方向性、意識を共有できる戦略会議となることを期待します。 〔藤本政策調整監〕 ・ 自身寺井出身で子供の時から九谷焼を目にしてきました。 ・ 当時は 2 つ茶碗まつりがありましたが今でもその賑わいの光景、活気を忘れる ことはありません。 ・ 従前より九谷焼従事者は佐野、大長野の方が多くいましたが、現在を見ると由 緒ある問屋業の多くは廃業し、過疎状態にあることに愕然としました。 ・ 高齢化率も 25.5%と大変高くなっております。 ・ 産地再生としては今しかなく、県及び各種団体のお力を得ながら九谷の再興を 図るため本会議の設置に至ったと感じております。 ・ 地元在住一員としても尽力を惜しまず頑張っていきたいと思います。 〔小坂会長〕 ・ 本日の議論はここまでとし、次回は今日のご意見や課題を踏まえて文科会の案 をご提示したいと考えています。 ・ 以後、分科会ごとに具体的な課題を議論をしていきたいと考えています。 ・ 全体的に見て諸問題は多くありますが。九谷焼をなんとか盛り立てていきたい という意見が殆どを占めています。 ・ それから作る側、問屋側(販路を拡販していく側)、様々な支援組織があるなか でベクトルを一つにしていくことが大変重要であると感じました。 ・ 再生に向けてはそのレベルの設定も必要で、お金をかけなくてもまずは小さな 問題点からでも少しずつ解決していくというレベルの方策もあります。 ・ あるいは多額の投資によって再生を図る選択肢もあります。 ・ そのためにはある程度、行政及び業界全体が合意したうえで、整備効果を検証 しながら進めていく必要があると感じました。 ・ これらを踏まえて次回は分科会の設置、個別の議論を進めていきたいと考えて おりますのでよろしくお願い致します。 〔東方課長〕 ・ 次回、第 2 回目の開催日は 11/30(水)午後 1 時半より開催致します。 ・ 3 回目は 12/20(火)1 時半より同じく寺井地区公民館中会議室で行います。 11.閉会 〔小坂会長〕 ・ 本日は以上で会議を終わりとしますが、最後に2つほど伝統産業の活性化に関 連する話題について話をさせて頂きます。 ・ 1 つは京都の和服産業です。結婚式用の和服を作っている西陣織などがありま すが、最近、ゼクシィ(ブライダル情報誌)などを見ると西陣織の洋風といっ たものも目にするようになりました。 ・ 京都西陣の結婚式プロデュースをしているある企業の話で、 「京都といえば和服 で結婚式」というコンセプトを大事にし、京都結婚日和ドットコムというイン ターネットサイトを立ち上げ、京都の和服を着て京都の上鴨神社や下鴨神社と いった所で結婚式を行い、京都の料亭で披露宴をするといった事業を展開して います。 ・ 客層は、 京都市内の顧客は 40%以下で 60%以上が日本各地からとなっており、 その京都ならではの結婚式をするために来ているという状況があります。 ・ インターネットを利用した伝統産業の新規ビジネス成功事例のひとつで、最近 は海外から依頼があるなど流行のひとつになりつつあります。こういった観点 も参考に成り得るかと思われます。 ・ もう 1 つはスティーブジョブズ氏(アップル社創設者の一人)についてです。 ・ 彼の死去後、彼の才能を紹介する様々な書籍が出版されていて、自身も読ませ てもらっていますが強く感じることは、 「ビジネスにおける一番重要なこととは、 売ろうとしている事物を自分が本当に好きである」ということです。 ・ 能美市の九谷焼再生においても、この戦略会議委員各位が「本当に九谷焼は良 いものである、自身の生活の中に入り込んでいる」という意識を共有していく 必要があると感じていますし、これを徹底的に行ったのがスティーブジョブズ 氏で、九谷焼においてもこれを取り入れてみたいと思っています。 ・ 私自身も絵付けをしたり、今度の学会では宮本氏にご協力を頂いて学会のコン ファレンスグッズを九谷焼で製作したりもしています。 ・ 対象となっている物の良さ、価値を自分達で再認識をしながら本当の顧客は誰 であるのか、という視点でこれからの議論を進めさせて頂きたいと思います。 〔東方課長〕 ・ 本日は早朝から長時間にわたり協議頂きまして本当にありがとうございました。 ・ これらを持ちまして閉会致します。 ・ 次回日程は改めてご通知を差し上げますのでご出席の方よろしくお願いします。 /以上 閉会 11時20分
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