DarWin Capital Partners テレビ事業の変遷② テレビ事業の変遷②

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テレビ事業の変遷② ~EMS??
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2011.4.28
震災前の 2 月、日本ビクター(JVC・ケンウッド・ホールディングス株式会社)は液晶テレビなどの民生用ディス
プレイの自社生産を終了し、外部委託に切り替えることを発表した。
そして、今夏、日本ビクターの「JVC」ブランドのテレビが北米で新たに発売される。
ん? 2010 年 3 月にビクターは北米向けテレビ生産から撤退したはず。。
発売元は、年間 400 万台以上のテレビを出荷する台湾 EMS(電子機器の受託製造サービス)大手、瑞軒科
技(アムトラン・テクノロジー)。「JVC」ブランドを有償で借りてテレビメーカーとして北米市場への進出を果たす。
製品戦略、販売戦略を練るのはアムトランの社員。ここには、テレビメーカーの発注通りに量産に励む EMS
本来の姿はもうない。
同じく EMS の世界最大手、台湾の鴻海精密工業(フォックスコン)は、ドイツの流通大手メトロと組み、上海に
家電量販店「万得城」の 1 号店を開業する。
ソニーのテレビの主要な生産委託先でもある鴻海は、2010 年 3 月に台湾の奇美電子(チーメイ・イノラックス)
を買収し、テレビの一貫生産ができるようになった。
アムトラン、鴻海の事例は日米欧の電機メーカーのブランドを黒子として支えてきた EMS が、潜在的な競争
相手に変質しつつあることを意味している。
既に汎用品と化したテレビ事業は、元々が電機メーカーだろうが、EMS だろうが、製品アイディアやデザイン
能力しか持たずに生産は EMS に委託する家電量販店だろうが、どんな会社でも参入可能である。
当然のことながら日本の電機メーカーはテレビ事業において苦しい戦いを強いられている
対応策として、例えばシャープは液晶テレビ用大型パネルの生産を縮小して、スマートフォンやタブレット端
末に使われる中小型パネル生産を拡大する。
3 期連続の赤字(テレビ事業)が見込まれるパナソニックは、テレビ事業への投資額を従来計画(姫路工場+
尼崎工場、4,450 億円)から 450 億円程度圧縮するそうだ。
さて、冒頭の日本ビクターに話しを戻すと、
最後までテレビを生産していたビクタータイ工場は、主にカーエレクトロニクスの工場に転換するとのことであ
る。
言うまでもなく、総合電機メーカーや、総合電機メーカーよりも大きな売上を誇る台湾 EMS 勢とテレ
ビ事業で戦うよりも、カーエレの方が勝ち目はある。
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特に拡大が見込まれる新興国乗用車市場においての健闘を期待したい。(F)
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