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pag e2 01 6調査 報告 page2016 調 査 報 告 書 【出展内容】
<ポストプレス>
■(株)ホリゾン東テクノ/(株)ホリゾン西コンサル
ホリゾンブースでは、小ロット生産やバリアブル
ジーエーシティ調査隊 <九石楓夏・柳本賢一>
生産に対応した「デジタル印刷向け書籍製本システ
ム」や「デジタル印刷向け中綴じ製本システム」を
【初めに】 中心に、デジタル印刷機メーカーとタイアップした
今回の page2016 のテーマは「未来を創る」となっ
形で様々な後加工機を出展。
ており、今後の印刷産業を盛り上げるためのヒント
中でも近年注目されている小ロット抜き加工が可
となるものを今展示会では調査したいと考えており、
能なロータリーダイカットシステム「RD-4055 」が
印刷産業を盛りあげるには、現在よりももっと印刷
観客を集めていた。付加価値のある加工を求められ
物の価値をもっと上げる必要があると感じる。その
るようになった近年では、厚紙・大判対応といった
ために、近年デジタル印刷やプリントオンデマンド
機械の需要が高くなっている。薄紙対応の機械がメ
といった言葉が多く飛び交い、実際に運用レベルで
インであったホリゾンは今回初めて 0.5 ㎜厚までの
使用されている。後加工に関しても「デジタル」と
全抜き加工対応・B3 ワイド対応の製品を出展した。
いう言葉は JDF/JMF 連携やインクジェット技術とい
加工の対応幅として、全抜き加工はもちろんである
ったデジタル印刷で使用されている技術が浸透して
が、シール・ラベル等の半抜き加工、筋押し加工、
きていることが分かる。抜き加工分野に関しては、
ミシン加工など様々な加工が可能で、ステンレス製
カッター刃を使ったカッティング技術、CO2 レーザー
の金型を使用しているため木製抜き型では再現でき
を使った加工技術などがあるが、展示会を見てみる
ない微細な文字や模様の加工ができるようになった。
と小ロット対応ができるこれら技術を使った加工機
また新機能として順送り機能を追加し、抜き型を一
の出展が増えていることがわかる。印刷分野におい
面製作してセットするだけで複数面付けされた用紙
て、デジタル印刷が伸びていると同時にデジタル印
に抜き加工を行えるような工夫があり、生産性向上
刷物を加工する機材も伸びてきていることが分かる。
をはかることができる。
デジタル印刷を行い、従来の後加工技術で加工する
ことももちろん可能であるが、デジタルでの後加工
によりこれまでにはできないような加工ができる場
合がある。このような技術を使うことにより、これ
までとは違った商品を作ることができるため、更な
る付加価値のある商品を作ることができると感じる。
今回の page2016 ではデジタル印刷物や小ロット対
応向けの加工機が多数出展されており、先に記述し
たインクジェット技術を使用したニスコーターやレ
ーザー加工技術を使用した抜き装置といったデジタ
RD-4055
ル後加工機器に加えて、小ロット対応という意味合
今回の新製品として、シートカット&クリーサ
いでは、熱による箔押し装置や PP 貼り装置、金属型
「SmartSlitterSMSL-100」を出展。シートカッ
を使った抜き装置などの比較的小型の機材出展が多
トと同時に筋入れ・ミシン加工までワンパスで処理
数見られた。page 展では場所の制約があるものの、
することが可能である。デジタル印刷の後加工を得
こういった小型の機材などは多くのユーザーに関心
意としており、加工サイズ情報をバーコードから読
があることがわかる。
み取ることにより 1 つのジョブの中で加工内容が異
ジー エーシ ティ株 式会社 pag e2 01 6調査 報告 なるアプリケーションを自動セット替により加工す
であり、多くのノウハウが詰まっていると感じる。
ることができる。
今後オンデマンド後加工は幅広いアプリケーション
への対応が期待できる。
■エスコグラフィックス(株)
エスコグラフィックスのブースにはフラットベッ
ト型カッティングテーブル「Kongsberg XN 」を出
展。ヘッドを変更(オプション)することで平面/立体、
パッケージング/サイネージ/ディスプレイ、軟資材
(ビニールなど)/硬資材(板紙やウッドパネルなど)
等、あらゆるアプリケーションに対応することを可
SmartSlitterSMSL-100
能にした。また、ニーズに合わせデザイナー・パッ
ケージングプロダクション・サインプロダクション
■コニカミノルタビジネスソリューションズ(株)
の 3 つのモデルがある。さらに、Kongsberg シリーズ
コニカミノルタブースでは、『「デジタル・プリン
向けの新たなフロントエンドソフトウェア「i-cut
ティングの新たな進化へ」NextStage -Powerof
プロダクションコンソール」との組み合わせにより、
DigitalPrinting-』をテーマに、ユーザーの事業
フレキシブルに対応できるカッティングテーブルと
領域拡大、新しいビジネスモデルの構築の手助けに
なっている。レーザー加工とは異なり、カッター刃
なるよう、bizhubPRESS シリーズやインクジェット
を使用していることから、焦げ防止やレーザーでは
プリンタ、高付加価値後加工ソリューションなど幅
対応できないメディアにも使用することができる。
広いソリューションを出展。
高付加価値後加工ソリューションとして、
JETvarnish3D/iFOIL の A3 サイズ対応バージョンと
し て 、「 JETvarnish 3DS/iFOIL-S 」 が 前 回 の
IGAS2015 で参考出展されたが、今回の page 展にも出
展された。
JETVARNISH3DS サンプル
KongsbergXN
■デュプロ(株)
デュプロブースでは中綴じ折り製本システム
「DBM-600/600T 」や乱丁検知キット付エアサクシ
ョンコレータ-「SDC-10/60i」、カッタークリーサ
ー「DC-746,DC-646 」、サンプル貼り付け装置「」
展示されていたサンプルの中で数種類の箔を使用し
など丁合から中綴じ製本、抜き・スリット加工まで
たかのような冊子があり、これも JetVarnish でニ
様々な後加工に対応する製品が出展されていた。
ス・箔加工を行ったという。実際には箔は金色のみ
帳票の QR コードを読み取り指定された棚からチラ
ジー エーシ ティ株 式会社 pag e2 01 6調査 報告 シや冊子をセグメント別に丁合することができるセ
グメントコレーター「DM コ レ ー タ DM-230VⅢ i」
にインラインで接続可能であるリフティングコンベ
ア「DM コ レ ー タ DM-230VⅢ i/リ フ テ ィ ン グ コ ン
ベ ア 」を参考出展した。丁合の後の次工程へ移る際
は下流の機器からベルコトコンベアで搬送していた。
また、下流工程であるピロー包装作業の効率化を図
るための装置「EW-100」も併せて出展。先のコンベ
アとはニアラインでの接続を行っており、丁合から
サンプル貼り付け装置
包装まで一貫システムの出展があった。
サンプル
■(株)ビーエヌテクノロジー
フィルム包装機 EW-100
チラシや販売物にお試しサイズのシャンプーや入
浴剤、化粧品、飴といったサンプル品が貼りつけら
れた販促物を見たことがあると思う。これは日本に
ビーエヌテクノロジーブースでは POD の後加工装
置として、UV ニス塗布加工機、ホログラム加工機な
どを主として出展。
ホログラムコーターである「DigiGlassCoater」
多い販促方法であり、またその貼り付け作業が 9 割
は新開発した高精度ガラスシリンダー方式を採用し
近く手作業にて行われているというのも日本特有で
た全く新しい転写技術による高光沢/ホログラム UV
あるという。このようなサンプルを印刷物に貼り付
加工機である。従来、印刷物にホログラム加工をす
けすることができる「サ ン プ ル 貼 り 付 け 装 置 」に
る場合、ホログラム加工の施してある PP を上から張
観客を集めていた。給紙部にサンプルを張り付ける
り付ける方法が主流であったが PP 代でコストが高く
台紙をセットし、搬送装置にて用紙が送られる途中
なってしまうという欠点もあった。しかし、Digi
でホットメルトが付けられ、その後上部の搬送装置
GlassCoater ではこの問題を解決することができる。
よりサンプル品が送られサンプル貼り付けが完了す
最大の特徴は、ニスコーターであるというところに
る。折り加工など様々な加工機とつなぎ合わせるこ
ある。透明度、平滑性、耐熱性に優れた石英ガラス
とで生産性を格段に上げることができる。業界が限
官の高精度ガラスシリンダーを使用し、ガラスシリ
られたニッチ産業ではあるが、デュプロの担当者は
ンダーにホログラムフィルムを巻きつける。ニス引
ニッチ産業であるからこそできることが多いという。
きされた印刷物がシリンダーを通過しようとすると
現在 3 台の導入実績があるが、まだまだ改善の余地
シリンダー内部の UV ランプが点灯、ホログラムのフ
があり今後、当機械を切り口に様々なニッチ産業分
ィルターを転写しながらニスが硬化するという手法
野への可能性は更に広がっていくと考えられる。
である。この方法にてホログラム加工した場合、参
考価格ではあるが A4 サイズで約\7、A3 サイズでも約
ジー エーシ ティ株 式会社 pag e2 01 6調査 報告 \10 と PP 張りの加工を行うよりコストを抑えること
リケーション出展があった。
が可能になる。大ロットへの対応は速度・コスト的
ScodixUltra サンプル
にも難しいところがあるが、小ロット多品種・特に
デジタル印刷機での印刷物には幅広く対応可能であ
る。
motioncutterサンプル
DigiGlassCoater
■理想科学工業(株)
理想科学工業ブースでは、インクジェットプリン
タや小ロットダイレクトメール印刷システムの出展
があった。ダイレクトメールから帳票まで幅広く使
用されている圧着ハガキを簡単に作成することがで
きるクイックシーラー「PS-2400 」を初出展。最大
ニスコートサンプル&フィルム
40 枚/分のスピード加工が可能である。圧着部分にフ
ィルムを採用しており、ハガキを剥離した際に印刷
■(株)SCREEN グラフィックアンドプレシジョンソリューションズ
部分に影響が出にくい仕組みとなっている。
スクリーンブースでは、page2016 に「印刷のあた
クイックシーラーPS-2400
りまえを変えていく。」をテーマにワークフローソリ
ューションや校正システム、アフターサポート、後
加工分野まで幅広いソリューションを出展。
IGAS2015 でも出展されたオンデマンドニス・箔押
し・エンボス加工機「Scodix Ultra 」を出展。印
刷物に高い付加価値をつけるため、ニスだけではな
く、箔押し加工を可能とするシステムである。同じ
く付加価値ソリューションとしてレーザー後加工機
「motioncutter」を出展した。いずれもサンプル・
パネル出展ではあったが、印刷物へニス・箔加工や
レーザー加工された紙器、アクリル板等様々なアプ
ジー エーシ ティ株 式会社 pag e2 01 6調査 報告 ■(株)ポーラ・メソッド/ネオポストジャパン(株)
■(株)ウチダテクノ
ポーラ・メソッドブースでは高速バリアブル組版
ウチダテクノブースでは、新製品として B3 枚葉対
アプリケーション「GMCInspire」をメインとして、
応ロータリーダイカッター「UD-300CP」が出展され
PDF ファイルの加工アプリケーションの展示が多く
ていた。この機械では POD 印刷された厚紙パッケー
見られた。その中で PDF に後付で後加工情報を付加
ジの加工やラベルのハーフカット、ミシン加工等、
できる「PortOne」をネオポストジャパンが出展。
近年要望の高い加工技術が備わっている。
このシステムを使は PDF に後加工用の封入支持マー
クをつけ、封入封緘機である「DS-90i」を使えば一
連のシステムとして使用することができる。デモで
は PortOne で生成されたマークを DS-90i に取り付
けられたセンサで読み取り、枚数の異なるダイレク
トメールを作成する実演を行っており、このシステ
ムを使用すれば、小ロット・多品種の封入封緘が可
能となる。
UD-300CP
PortOne
■(株)トーカイコーポレーション
トーカイコーポレーションブースでは、少し変わ
った加工技術の出展があった。通常紙を綴じる際に
は金属ステープル(針金)を使用するが、紙で作成さ
れたステープルを使用した加工品・機械の出展があ
り、他社ではあまりみられないユニークな製品であ
る。紙で綴じるため、人や環境に優しく作成するこ
とができる。
■アコ・ブランズ・ジャパン(株)
アコ・ブランズ・ジャパンブースでは PP 加工機械
がブースの大半を占めており、ラミネーター・ラミ
ネートフィルム、箔押し加工機など様々なソリュー
ション提案で付加価値のある提案が目立った。中で
も、トナーPOD で印刷された印刷物に対して、箔加工
可能な機械「」を出展しており、名刺やポストカー
ドなど近年注目されている小ロット生産向けであり、
紙綴じ
十分な付加価値ソリューションといえる。
■日本製図器工業(株)
NSK ブースでは大判インクジェットプリンタやマ
ルチカッティングマシンの出展があった。加工機で
は紙器・カートン向けの「KongsbergXN」の実機展
示があり、デモでは化粧箱のカッティングを行って
おり、多くの来場者が見学を行っていた。小ロット
箔押し装置
の製品カッティング加工やモックアップサンプルの
ジー エーシ ティ株 式会社 pag e2 01 6調査 報告 作成を行うにはスペース・生産性ともに十分といえ
ラミネート装置
る。
KongsbergXN
■(株)レザック
レザックブースではスイスの ZUND 社製のカッティ
■(株)トヨテック
ングマシン「ZUNDS3」を出展。サンプル(モックア
トヨテックブースではプライマー/UV ニスコータ
ップ)を作成したり、小ロット生産を行うことができ
ーや PUR 無線綴じ製本機、フルレイフラット製本機
る。対応アプリケーションとして、紙器や厚紙、ア
などの出展があった。フルレイフラット製本機
クリル等までカットすることができる。
「HPB-13」はフォトブックやアルバムなど厚紙を使
ZUNDS3
用した加工を全自動で行うことができる製本機であ
る。出来上がった製本は開いた際に 180 度開くこと
ができる。ユーザーの操作も簡単であり、印刷物を
セットし、スタートボタンを押すと、機械中でホッ
トメルト糊製本ぜ貼り合せを行い、ブックブロック
が完成する。
■オーシャンテクノロジー(株)
オーシャンテクノロジーブースでは「OT-SRP」が
展示されていた。この機械の特長として、箔押し加
工が可能であり、実記デモや様々なサンプルが並ん
でいた。箔押し加工は熱圧着によるもので、その他
HPB-13
抜き・エンボスの加工が可能。生産能力も A4 で 6,000
枚/時間、小ロットのみなら
ず中ロットに対応ができ、
■東京ラミネックス(株)
対応用紙厚は 1mm。オンデマ
東京ラミネックスブースでは B3 サイズ全自動 PP
ンド時代と呼ばれる近年で
ラミネーターや卓上タイプなど多数のラミネーター
は高付加価値を提案できる
の出展があった。同社のラミネーターの特長として、
ポストプレスとして注目を
ユーザー要望に応じて独自のカスタマイズ生産を行
浴びると思われる。
えるところであり、展示会期間中も多くの顧客がブ
ース見学を行っていた。
箔サンプル
ジー エーシ ティ株 式会社 pag e2 01 6調査 報告 【まとめ】
何万部という仕事を印刷機で刷る時代から、小ロ
ット多品種の仕事をデジタル印刷機で出力する時代
へ突入したことは言うまでもない。印刷単価が下が
るなか、デジタル印刷時代が到来したことにより、
職人技と言われていた印刷技能が無くても印刷がで
きるようになってきているのも事実である。ではど
こで他社と差別化を図り、かつ利益を確保していく
のか。その対策として印刷・後加工の内製化を選択
する企業も少なくない。
IGAS 程の規模ではないが今回の page2016 でも
様々な後加工機が出展されていたが、どのメーカー
においても、「小ロット・多品種への対応」「デジ
タル印刷機への対応」「低コスト化」を大きくアピ
ールしており、その点からもデジタル印刷の市場の
広がりを感じられた。今後は上記に加え、高付加価
値をつけた加工機の必要性がより一層高まるのでは
ないかと考えており、ポストプレス分野において今
後の方向に注目していきたいと思っている。
マスカスタマイゼーションが可能であり、販促効
果も大きいといえる事例が、パッケージで出てきて
いることから、今後ますます利用の広がりが期待さ
れる。
デジタル印刷機メーカーが枚葉タイプ/連帳タイ
プの印刷機を販売するにおいて、当然後加工機につ
いても必要である。特に連帳タイプでは印刷後に用
紙を巻取らずインラインで後加工を行うことで巻取
る場合と比べて手間と時間が明らかに異なる。一方、
巻取る場合の利点としては後加工機器(プリンタ)が
故障した場合、プリンタ(後加工機)を停止させるこ
となく出力することができる。このように一長一短
があるが、近年の展示会では、それぞれの場面に合
わせた形で後加工機器メーカーがデジタル印刷機メ
ーカーとタイアップしてソリューション提案を行っ
ていると感じる。
ジー エーシ ティ株 式会社