蛋白質フリー天然ゴム及びその ラテックスとそれらの製造方法

長岡技術科学大学開放特許
整理番号
0265
蛋白質フリー天然ゴム及びその
ラテックスとそれらの製造方法
河原 成元
山本 祥正
発明者 チャイガンポンラーット オラピン
利用分野
・
適用製品
ファン チュン ニア
手袋等の家庭用品、手術用手袋、各種カテーテル等の医療
用具、 授乳用具、避妊具等
ライセンス情報
●特許登録番号 :第5658672号
●実施許諾 :可
●登録日
:H26年12月5日 (2014年) ●権利譲渡 :否
●権利満了日
:H42年8月31日 (2030年)
事業化情報
●実施実績 無
●許諾実績 無
・発明の目的
天然ゴムは、手袋等の家庭用品、医療用具、授乳用具、避妊具等に幅広く利用されていま
すが、特に手術用手袋やカテーテル等の医療用具は、天然ゴムに含まれる蛋白質が抗原
となって呼吸困難やアナフィラキシー様症状(血管性浮腫、じんましん、チアノーゼ等)など
の即時型(I型)アレルギーを引き起こすことが報告されています。
そのため、本発明はアレルギーを誘発するおそれのある蛋白質を殆ど含まない蛋白質フ
リー天然ゴムとそのラテックスの製造方法について確立することを目的とします。
・発明の概要
天然ゴムラテックスに蛋白質変性剤、界面活性剤および極性有機溶媒を添加し、当該ラ
テックス中のアレルゲン性蛋白質を変性処理した後に除去します。
この方法により、RRIM試験法で測定した窒素含有率は0.001%以下、改良ローリー法
で測定した天然ゴムラテックスを乾燥して得られる固形ゴム中の蛋白質量は、0.5μg/g
以下のレベルの蛋白質フリー天然ゴムラテックスが得られます。
・特徴・効果
本発明には、以下の効果があります。
(1)アレルギーを誘発するおそれが極めて低い蛋白質フリー天然ゴムラテックスを短時間
で効率良く得られます。
(2)蛋白質の除去に不向きな高アンモニア天然ゴムラテックスを原料として使用した場合
でも、本発明製品を効率良く製造できます。
(3)本発明の蛋白質フリー天然ゴムラテックスは、手袋等の家庭用品、手術用手袋、
カテーテル等の医療用具、授乳用具、避妊具等に幅広く利用でき、安全性も高いなど
多くの効果があります。
発明の概要・図面等
特
許
請
求
の
範
囲
天然ゴムラテックスを乾燥して得られる固形ゴム中の蛋白質の含有量が、R
RIM試験法により測定した窒素含有率において0.001%以下のレベルで
あり、改良ローリー法により測定した天然ゴムラテックスを乾燥して得られる
固形ゴム中の蛋白質量が、0.5μg/g以下のレベルであることを特徴とす
る蛋白質フリー天然ゴムラテックス。
天然ゴム中の蛋白質の含有量が、RRIM試験法により測定した窒素含有率
において0.001%以下のレベルであり、改良ローリー法により測定した天
然ゴムラテックスを乾燥して得られる固形ゴム中の蛋白質量が、0.5μg/g
以下のレベルであることを特徴とする蛋白質フリー天然ゴム。
[詳 細]
以下は、本発明蛋白質フリー天然ゴムラテックスの製造手順の一例です。
1)原料ラテックスとして、ゴム分濃度60.2重量%、アンモニア分0.7重量%の高アン
モニア天然ゴムラテックスを使用し、これをゴム分の濃度が30重量%となるように
水で希釈します。
2)このラテックスのゴム分100重量部に対して、アニオン界面活性剤SLS3.3重量部
およびエタノール0.083重量部を添加し、次いで、このラテックスのゴム分100重
量部に対して変性剤として尿素0.3重量部を添加し、25℃で60分間攪拌し変性
処理を行います。
3)次に、 変性処理後のラテックスを10000rpmで30分間の遠心分離処理により分離
した上層のクリーム分を、1%SLS-0.025%エタノール水溶液にゴム分濃度が
30%になるよう分散し、2回目の遠心分離処理を行います。
4)さらに、得られたクリーム分を1%SLS-0.025%エタノール水溶液に再分散し、
3回目の遠心分離処理を行って、得られたクリーム分をゴム分の濃度が30重量%
となるように1%界面活性剤水溶液に再分散させると蛋白質フリー天然ゴムラテック
スが得られます。
図は、ゴムラテックスの赤外吸収スペク
トルの測定結果で 、横軸は波数(cm-1)、
縦軸は吸収強度を示します。
図のように、未処理の高アンモニア天然
ゴムラテックスEに対し、本発明の処理を
施したA・B・C・Dの何れもペプチド結合
に由来するピークが見られず、蛋白質は
実質的に全て除去されている。
【参考資料】
関連特許情報
特許第3581866号
特許第4140715号
特許第4708046号
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脱蛋白質化天然ゴムラテックスの製造方法
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