Vol.12 No.4 も、24時間体制で示された上記ア~ウを 指すのかは今後の疑義解釈になると思わ れる。しかし、受託業者からの機器の提 供はいかなる情況においても本加算の算 定基準にはならないと言うことになる。 このことについて当会は、昨年8月9日 平成18年度診療報酬改定要望書を厚生労 働省保険局医療課へ提出した際にヒアリ ングを受けている。当会としてはこれを 大きな問題として捉え、当該保健医療機 関には「専ら」と同じく理解し難い表現 であるとした。実際に受託業者が機器を 納め、その機器を用いて本加算を収載し ている医療機関が存在する可能性を否め なく、また、検体検査管理加算Ⅱの要件 とされている常勤医の配置につても、 「専 ら」の表現を誤解釈した当該保険医療機 関が保険給付の返還を求められたケース も発生したのである。そこで、 「施設基準 に分かり易く記載していただきたい」と の要望も併せて行ってきたことによると 考えられる。 ●医療安全対策加算(50 点) <概要> 安全で効果的な入院医療の提供を促進 させる観点から、急性期医療の高度化、 複雑化に対応できるよう医療安全対策の 実施体制に診療上の評価を行うとしてい る。 <施設基準> ①医療安全管理体制に関する基準 ア.医療安全対策に係る適切な研修を 終了した専従の看護師、薬剤師等が 医療安全管理者として配置されてい ること。 イ.医療に係る安全管理を行う部門 (以下「医療安全管理部門」という) を設置すること。 ウ.医療安全管理部門の業務指針及び 医療安全管理者の具体的な業務内容 が整備されていること。 エ.医療安全管理者が、安全管理のた めの委員会(以下「医療安全対策委 員会」という。)と連携し、より実効 性のある医療安全対策を実施できる 体制が整備されていること。 オ.専任の院内感染管理者が配置され ていること。 カ.当該保健医療機関の見やすい場所 に医療安全管理者による相談及び支 援が受けられる旨の掲示をするなど、 患者に対して必要な情報提供が行わ れていること。 <医療安全管理者の行う業務に関する事 項> ア.安全管理部門の業務に関する企画 立案及び評価を行うこと。 イ.定期的に院内を巡回し各部門に於 ける医療安全対策の実施状況を把握 ・分析し医療安全確保のための各部 門との調整を行うこと。 ウ.各部門における医療事故防止担当 者への支援を行うこと。 エ.医療安全対策の体制確保のための 各部門との調整を行うこと。 会報 JAMT 平成 18 年 4 月 1 日発行「医学検査」第 55 巻第 4 号付録 (13) オ.医療安全対策に係わる体制を確保 するための職員研修を企画、実施す ること。 カ.相談窓口などにおいて、医療安全 対策に係わる患者、家族の相談に適 切に応じること。 <医療安全管理部門が行う業務に関する 基準> ア.各部門における医療安全対策の実 施状況の評価に基づき、医療安全確 保のための業務改善計画書を作成し、 それに基づく医療安全対策の実施状 況及び評価結果を記録していること。 イ.医療安全管理対策委員会との連携 状況、院内研修の実績、患者などの 相談件数及び相談内容、相談後の取 り扱い、その他の医療安全管理者の 活動実績を記録していること。 ウ.医療安全対策に係わる取り組みの 評価などを行うカンファレンスが週 一回程度開催されており、医療安全 管理対策委員会の構成員及び必要に 応じて各部門の医療安全管理の担当 者などが参加していること。 <参 考> 第 85 回中央社会保険医療協議会総会 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/ 02/s0215-3.html 平成 18 年度医療制度改革関連資料 http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakai hosho/iryouseido01/index.html <考察> 入院基本料から未実施の場合減算扱い されていた医療安全対策が保険収載され たことは大きい。しかしその実施基準を 見るとかなりハードルが高い。国を挙げ ての対策にも関わらず一向に減る気配の ない医療事故。より一層の対策を望むと ころからの結果であると考える。既に充 分対策がとられている医療機関は別とし ても、対策途上の施設においても本加算 が収載できるような体制を整えることが 重要であるといえる。 また、管理者の職種として「専従の看 護師、薬剤師等」と表現され、臨床検査 技師はまたしても「等」に一括りとなっ てしまった。日々の業務の中で事故と隣 り合わせの看護師は、医療安全を最初に 提案し、綿密な研修会、講習会を独自に 開催、組織的な活動を行っている。誤薬、 副作用がもたらす患者への影響は、とり わけ大きな事故として報告されている。 このような観点から看護師、薬剤師の名 前が真っ先に挙がるのはやむを得ないと しても、医療の一翼を担う臨床検査技師 の名称が挿入されるよう、会を挙げて訴 え続けるが、会員各位も各施設でモチベ ーションを上げるべく惜しみない努力を 続けていただきたい。 ●診療報酬における旧来型技術等の評価 の廃止 <評価廃止の概要> 医療技術の陳腐化や新たな科学的知見 等により、医療現場においては既に実施 されていない又は臨床的な意義がほとん どなくなっていると考えられる項目につ いては、統合することとする。 <具体的内容> (評価を廃止又は統合する検査項目:★ 印は削除項目) ①尿中定量検査 D001 4.メラニン定性★ D001 9.細菌尿検査(TTC還元能)★ D001 12.パラニトロフェノール、カタラ ーゼ反応 ★ D001 20.成長ホルモン定量精密測定 ★ ②尿糞便検査 D003 2.ビリルビン定量、AMSⅢ★ ③血液形態・機能検査 D005 10.ヘモグロビンA1(HbA1)★ D005 13.LE現象検査★ ④出血・凝固時間 D006 6.部分トロンボプラスチン時間測 定★ D006 11.ユーグロブリン溶解時間測定 ★ユーグロブリン分屑プラスミ ン値測定(Lewis法)★プラスミ ン活性値検査の簡易法(福武、 畔柳法)★ D006 17.PIVKAⅡ精密測定(出血・凝固) ④生化学検査 D006 1.アルブミン・グロブリン比測定 ★ D007 3.総脂質★ D007 6.過酸化脂質測定 ★ D007 9.シアル酸測定 ★ D007 10.フルクトサミン ★ D007 20.尿中硫酸抱合型胆汁酸 ★ D007 31.ミオグロビン、α1-マイクログ ロブリン精密測定 D007 36.トリプシン精密測定 D007 37.頚管膣分泌液中癌胎児性フィブ ロネクチン精密測定 D007 41.ビタミンB1精密測定 ⑤内分泌学的検査 D008 2.11-ハイドロキシコルチコステ ロイド(11-OHCS)精密測定 D008 3.17-ハイドロキシコルチコステ ロイド(17-OHCS)精密測定 D008 8.プロラクチン(PRL)精密測定 D008 11.黄体形成ホルモン(LH)精密測 定 D008 12.ヒト胎盤性ラクトーゲン(HPL) 精密測定 D008 17.エストロジェン精密測定 D008 19.プレグナンジオール精密測定 ⑦感染症血清反応 D012 2.ポールバンネル反応検査 ★ D012 40.HIV envelope抗体価及びHIV core (13)
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