1 - 長汐病院ホームページ

長汐病院 様
院内感染対策の基本
2016年10月12,14,25、27日
杏林製薬株式会社 山根 昇
All Right Reserved. Copyright (C) 2007、 Kyorin Group.– Internal Use Only
本日のご紹介内容
1.感染の基本と成立について
1)感染対策への取り組みの必要性
2)感染の成立
2.院内感染対策の基本
1)スタンダードプリコーション(標準予防策)
2)手指衛生(手洗いと手指消毒)
3)PPEの着脱の方法
4)咳エチケット
5)器具消毒(ミルトン)
6)環境消毒(ルビスタ)
医療法改正の概要
従業者に対する院内感染対策のための研修(細則)
研修実施にあたっての留意点(実施要領)
・当該病院の実情に即した内容で、職種横断的な参加の下に実施
・病院全体に共通する内容について、年2回程度定期的に開催するほか、
必要に応じて開催すること。
・研修実施内容(開催日時、出席者、研修項目)について記録すること
・無床、歯科診療所は外部の研修会を受講することもできる。
出典:厚生労働省医政局長通知 医政発第0330010号
「良質な医療を提供する体制の確立を図るための
医療法等の一部を改正する法律の一部の施行に
ついて」より改変
POIS
話術編-1
POIS0316-3
Patient Oriented Information Support
アンケート
あなたは、「院内感染」という言葉をご存じですか?
「院内感染」に
かかったことがある。
または家族・知人などで
かかった人がいる
TOTAL(n=3111)
(%)
全く知らない
聞いたことはあるが
意味は知らない
新聞や雑誌で
見聞きしたことがある
「院内感染」認知率93.4%!
出典: モレーンコーポレーション院内感染リサーチ2008年より抜粋(2008/08/18)
http://www.micks.jp/research/2008/vol1/vol0102.html
All Right Reserved. Copyright (C) 2007、 Kyorin Group.– Internal Use Only
5
患者さんアンケート
今までにご自身の受診や治療のために行った病院や医院(歯科を含む)
で、院内感染について不安を感じた経験がありますか?
病院・医院に
かかったことがない
全くなかった
よくあった
1.7
時々あった
4.3
20.5
26.7
46.9
ほとんど
なかった
TOTAL(n=3111)
受診や治療時に院内感染の不安経験ありは約3割!
※モレーンコーポレーション「MICKS」院内感染リサーチ2008.vol.05-02より抜粋(2009/06/19)
http://www.micks.jp/research/2008/vol05/vol_0502.html
感染症の成立と感染対策
感染性宿主
感染源
病原微生物(細菌・ウイルスなど)を
含んだもの。
・血液、体液、分泌物、排泄物
・病原微生物に汚染されて器具・器材
・上記に触れた手指で取り扱った器具、
環境、食品
特に
・乳幼児、高齢者
・糖尿病などの基礎疾患のあるひと
・手術後の人
・免疫力の低下している人
・空気感染
・飛沫感染
・接触感染
感染経路
感染症は3要素がそろったときに起きる。
出典:感染管理に関するガイドライン、日本看護協会、 2004より改変
院内感染対策:感染源と経路
感染源
代表的な感染源は、患者、医療・ケア従事者、医療器材である。
感染は外因性感染(交差感染など)と内因性感染(自己感染)がある。
・外因性感染 : 自分自身が持つ微生物以外の微生物によって起こる感染症で、
他の患者、医療・ケア従事者、医療器材、環境からの感染である
・内因性感染 : 患者の免疫能低下、侵襲的処置、抗菌薬投与などにより、患者自身が
持つ微生物によって起こる感染症
感染経路
感染経路
空気感染
飛沫感染
接触感染
感染媒体
・蒸発物の小粒子残留物。
[5μ m以下の粒子]
主な病原微生物
・結核菌、麻疹ウイルス
・水痘ー帯状疱疹ウイルス
・空気の流れにより拡散する。
・微生物を含む飛沫が短い距離(1m以下)を飛ぶ。 インフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、
[5μ m以上の粒子]
風疹ウイルス ノロウィルス
・飛沫は床に落ちる。
ジフテリア、マイコプラズマ、溶血性レンサ球菌
・直接接触して伝播
MRSA、VRE、緑膿菌、アデノウイルス、
・皮膚どうしの接触
単純ヘルペスウイルス、腸管出血性大腸菌
・間接的感染源が何かを介して伝播
ロタウイルス、クロストリジウム・ディフィシル など
出典:感染管理に関するガイドライン、日本看護協会、 2004より改変
出典:在宅ケアと感染制御、メヂカルフレンド社、 2005より改変
本日のご紹介内容
1.感染の基本と成立について
1)感染対策への取り組みの必要性
2)感染の成立
2.院内感染対策の基本
1)スタンダードプリコーション(標準予防策)
2)手指衛生(手洗いと手指消毒)
3)PPEの着脱の方法
4)咳エチケット
5)器具消毒(ミルトン)
6)環境消毒(ルビスタ)
All Right Reserved. Copyright (C) 2007、 Kyorin Group.– Internal Use Only
9
感染症の成立と感染対策
感染対策は3要素の1つまたは複数をコントロールすること
感染源 → 排除?
感染経路 → 遮断?
宿主の抵抗力 → 向上?
スタンダードプリコーション
(標準予防策)
出典:満田年宏、ナースのための院内感染対策照林社、 2004より改変
スタンダードプリコーションの内容
1.適切な手洗い・手指消毒
2.血液及び体液への接触の予防
・手袋、マスク、エプロンなどの着用
3.器具、環境、リネン等の洗浄、消毒
4.針刺し事故の防止
5.呼吸器衛生・咳エチケット
6.環境整備/消毒・除菌
出典:最新病院感染対策Q&A エビデンスに基づく効果的対策、照林社、2004より改変
手洗いと手指消毒
手洗いの種類と目的
日常的手洗い
・日常生活において,食事の前やトイレの後などに行う簡易な手洗いである。
・この手洗いによっても通過菌の一部を除去できるが,この手洗いの本質はあくまでも
物理的な汚れと汚れに含まれる微生物の除去である。
・流水のみの場合,石鹸液を用いる場合がある。
衛生的手洗い
・院内感染の予防策として行う手洗い。
・皮膚通過菌のほとんどを除去することを目的とする。
・これを行うことにより手指を介した接触感染を防止することが最終的な目的である。
・スクラブ法、ラビング法、スワブ法
手術時手洗い
・手術など侵襲的な手技の前に行われる手洗い。
・最も衛生水準の高い手洗いである。
・消毒薬を使用して通過菌はほとんど除去し,常在菌も可能な限り減少させることを目的と
している。
出典:小林寛伊他,エビデンスに基づいた感染制御第2集-実践編2004より改変
2002年に発表された米国CDCの「医療現場における
手指衛生のためのガイドライン」では‥‥
石鹸と流水による手洗い
擦式アルコール製剤
が推奨されるようになった。
《流水と石けんによる手洗いが見直された背景》
1)手洗いにもかかわらず、実際の流水と石けんによる手洗い方法の有用性の根拠とされたエビデンスの多
くが30~60秒間をかけた医療現場では7~10秒程度の手洗いしか行なわれていない。
2)アルコールは普通石けんに比較して明らかに減菌効果が高く、保湿剤の配合された擦式消毒用
アルコール製剤の方が手荒れの頻度が少ない。
3)流水と石けんの手洗いでは、手洗い場までのアクセスにおいて時間と距離の問題があるが、
アルコール擦式消毒はベッドサイドでも行なえるという利点がある。
4)アルコールには、汚染物質を除去する能力はなく、湿性生体物質などにより目に見える汚染のある
場合には、まず流水と石けんによる手洗いを行わなければならない。
出典:満田年宏、ナースのための院内感染対策、照林社、 2004より改変
平成15年度厚生労働科学特別研究事業
「医療施設における院内感染(病院感染)の防止について」より改変
手洗いの手順
手洗いの手順
医療行為の前後で
な い
アルコールベースの
手指消毒薬で消毒
5~6回
繰返すと
手がべたつく
目に見える汚れが
あ る
石鹸(普通または抗菌)で
流水手洗い
流水手洗い
出典:満田年宏、「ナースのための院内感染対策」、照林社、 2004より改変
満田年宏、「隔離予防策のためのCDCガイドライン2007」ヴァンメディカル2007より改変
しかし、アルコール製剤には・・・
■洗浄効果は・・・・・
■芽胞形成菌・ウィルスに対する効果は・・・・・・
したがって・・・
■目に見える汚れのある場合・・・
■芽胞形成菌(含むウィルス)に汚染された場合・・・
流水と石けんによる手洗いで
物理的に洗い流しましょう。
出典:隔離予防策のためのCDCガイドライン 医療環境における感染性病原体の伝播予防2007、ヴァンメディカル、2007
手洗い 洗い残しやすい部位
適切な手洗いの方法(流水と石鹸)
手を水でぬらす
手掌で手の甲を左右洗う
手掌を合わせてよく洗う
石けんを適量手に取る
指の間を洗う
写真提供:東京慈恵会医科大学第三病院 感染制御室 松澤真由子先生
適切な手洗いの方法(流水と石鹸)
指先・爪の間を入念に左右洗う
30秒以上
親指を左右洗う
手首も忘れずに左右洗う
+
乾燥させる
流水ですすぐ
写真提供:東京慈恵会医科大学第三病院 感染制御室 松澤真由子先生
ペーパータオルでふき取り、よく乾燥させる
水道栓は手を拭いたペーパータオルで閉める
適切な手指衛生の方法(擦式アルコール製剤)
十分な量(3mL)の手指消毒薬を
手に取り、手洗いの手順に従って
爪の間、掌、甲、指先、指の間
親指、手首までよくすり込む。
写真提供:東京慈恵会医科大学第三病院 医療安全対策室 松澤真由子先生
適切な手指衛生の方法(擦式アルコール製剤)
十分な量を手に取る
+
乾燥するまで擦り込む
写真提供:東京慈恵会医科大学第三病院 医療安全対策室 松澤真由子先生
手洗い、手指消毒の方法・留意点(まとめ)
■爪は短く切り、マニュキアはしない。
■指輪や腕時計は外す。
■手指に付着している微生物を十分に除去するためには、
30秒以上の手洗い時間が必要。
■手洗い後は手を完全に乾燥させる。
■洗い残しをしやすい、指先・指の間・親指の付け根、手首も注意して洗う。
■ペーパータオルが望ましい。
タオルは清潔で十分乾燥したものを使用する。タオルの共用は避ける。
■液体石けんの継ぎ足しは微生物汚染の原因になるので禁止。
詰め替える場合は、空容器を洗浄・乾燥させてから詰め替える。
出典:満田年宏、ナースのための院内感染対策、照林社、 2004より改変
PPEの正しい着脱方法
■防護具の表面は汚染物で汚れています。
汚染を拡散させないために・・・
■脱ぐ順番
■脱ぐ場所
■脱ぎ方
にも気をつけて
監修 東京慈恵会医科大学 感染制御部 同医学部附属病院 感染対策室 室長 中澤 靖先生
PPEの正しい着脱方法(脱衣の順番)
手袋
ガウン
ゴーグル
マスク
監修 東京慈恵会医科大学 感染制御部 同医学部附属病院 感染対策室 室長 中澤 靖先生
PPEの正しい着脱方法
手袋を外す方法
1.手袋の手首の部分を
つまむ
2.手袋を裏返しながら
引っ張って外す
3.外した手袋をもう
一方の手に握る
監修 東京慈恵会医科大学 感染制御部 同医学部附属病院 感染対策室 室長 中澤 靖先生
PPEの正しい着脱方法
手袋を外す方法
4.指先を手袋の内側に
差し込む。
※汚染面に触れない
よう留意する。
5.手袋を裏返しながら
6.そのまま、ゴミ箱に
引っ張って外す。
廃棄する。
その時、最初に外した
手袋を内側に包み込む
監修 東京慈恵会医科大学 感染制御部 同医学部附属病院 感染対策室 室長 中澤 靖先生
PPEの正しい着脱方法
ガウンを脱ぐ方法
1.首の後ろの紐を解く。
2.腰の後ろのひもを解く。
※できるだけ広いスペースで脱ぐ
監修 東京慈恵会医科大学 感染制御部 同医学部附属病院 感染対策室 室長 中澤 靖先生
PPEの正しい着脱方法
ガウンを脱ぐ方法
3.袖の内側に手をいれて、袖を
持ち上げながら、腕を抜く。
4.袖の途中まで、腕を抜いたら
手を変える。
監修 東京慈恵会医科大学 感染制御部 同医学部附属病院 感染対策室 室長 中澤 靖先生
PPEの正しい着脱方法
ガウンを脱ぐ方法
5.途中まで脱いだ手で、もう
片方の袖を持ち、腕を抜く。
6.ガウン(腕の部分)をずらし
ながら、脱いでいく。
7.汚染面を内側にして小さく丸めて廃棄する。
監修 東京慈恵会医科大学 感染制御部 同医学部附属病院 感染対策室 室長 中澤 靖先生
PPEの正しい着脱方法
マスクを外す方法
マスク表面(汚染面)に触れないように紐を外し、廃棄する。
好ましくない使い方
鼻マスク
あごマスク
腕マスク
ポケットにしまい再利用
監修 東京慈恵会医科大学 感染制御部 同医学部附属病院 感染対策室 室長 中澤 靖先生
咳エチケット
■呼吸器の分泌物を物理的に封じ込めるため、以下の対策を実施すること。
1)外来の入り口や病棟の見やすいところに注意喚起のポスターなど
を掲示する。
・咳やくしゃみをする時には、ティッシュを使用して口と鼻を覆う。
・使用したティッシュは破棄する。
・手指衛生を実施する
2)ティッシュとノンタッチのゴミ箱を提供する。
3)外来待合室周辺や病棟に手指衛生を実施するための情報と
指示書(ポスター等)を用意すること。
4)使いやすい場所に擦式アルコール製剤のディスペンサーを置き、シンクが
利用できる場所には手洗い製品を用意すること
5)咳をしている患者・症状のある患者には、来院時にはマスクを提供し、
他の人から1フィート(1m)以上距離を置くこと。
6)呼吸器分泌物を封じ込める感染源制御対策の重要性について、医療
従業者教育を実施すること。
※ これらは、医療環境における最初の受診時に開始すること。(待合室)
出典:満田年宏、「隔離予防策のためのCDCガイドライン2007」ヴァンメディカル2007より改変
咳エチケット
■注意喚起のポスター掲示
・咳、くしゃみの時ティッシュで覆う
・テッシュは破棄する
・手指衛生を行う
■マスクの提供(来院時)
■ティッシュとノンタッチゴミ箱
を提供
■症状のある患者さんは・・・
・マスクを提供し
・1メートル以上距離を置く
■手洗い設備の提供
・手洗い場、手指消毒薬
向野賢治:新しいCDC隔離予防策のガイドライン、第23回日本環境感染学会(2007)教育講演資料より引用
咳エチケット啓蒙用ポスター
「ただ浸けるだけ」では十分な消毒効果は得られません!
浸漬消毒法の留意点
1
消毒の前に器具類を十分洗浄する
2
規定の希釈濃度を守る
3
規定の浸漬時間を守る
4
器具類を消毒薬に完全に浸漬させる
5
遮光性の高い蓋付き容器を使用する
6
浸漬容器の保管場所・状態に注意する
All Right Reserved. Copyright (C) 2007、 Kyorin Group.– Internal Use Only
37
1、消毒前に器具類を十分に洗浄しましょう
洗浄のメリット
洗浄不十分な場合
◆十分な消毒効果が得られない
Milton
より確実な消毒効果が
1)
得られます1)
・消毒薬が微生物と接触しない
・有機物により消毒薬が不活化する
◆残存した有機物が凝固し器具に固着する1)
・消毒薬と有機物が反応し蛋白凝固が起こる
・凝固が起こると洗っても落ちない
器具に付着した微生物量を
減らすことができます
洗浄作業を行う際には、必ず個人防護具を着用しましょう2)
水の跳ね返りにより、病原微生物に汚染された
水や洗剤の曝露を予防します
1)出典:廣瀬千也子監修:感染管理QUESTION BOX1 洗浄・消毒・滅菌と病院環境の整備、中山書店,2006より改変
38
All Right Reserved. Copyright (C) 2007、 Kyorin Group.– Internal Use Only
2)出典:編集 洪愛子「感染対策の必須テクニック117」.メディカ出版.インフェクションコントロール2010年秋季増刊P271-274より改変
消毒薬⇒不活化
細菌
ウイル
ス
器具の表面
この状態では
消毒薬と微生物が接触せず
消毒薬が不活化され
確実な消毒ができない
←洗浄剤での洗浄により有機物(汚れ)を除去
消毒薬
細菌
ウイル
ス
器具の表面
消毒薬と微生物が接触し
微生物の量も減らせる
この状態で初めて確実な消
毒・殺菌ができる
確実な消毒効果が期待できる。
器具の表面
出典:神谷晃 尾家重治「改訂2版 消毒剤の選び方と使用上の留意点」.じほう.平成18年:P7より改変
2、規定の希釈濃度を守りましょう!
Milton
目分量は
厳禁です!
濃度が濃い場合1)
・材質の劣化を早める
濃度が薄い場合2)
・十分な消毒効果が得られない
(金属腐食、ゴム・プラスチックの劣化)
・塩素ガスの発生量が増し
呼吸器などの粘膜刺激性が
強くなる
1)出典:編著 尾家重治「ここが知りたい!消毒・滅菌・感染防止のQ&A」.照林社.2006年:P47より改変
40
All Right Reserved. Copyright (C) 2007、 Kyorin Group.– Internal Use Only
2)出典:編集 洪愛子「感染対策の必須テクニック117」.メディカ出版.インフェクションコントロール2010年秋季増刊P271-274より改変
正確に原液を計量し正しい濃度で消毒しましょう!
Milton
原液は正確に計量しましょう
「次亜塩素酸ナトリウム
(1%)の希釈方法」を
一覧にした資材を
ご用意しております。
専用容器の計量機能や計量カップを
使用して、適切な計量を行いましょう
41
All Right Reserved. Copyright (C) 2007、 Kyorin Group.– Internal Use Only
出典:編集 洪愛子「感染対策の必須テクニック117」.メディカ出版.インフェクションコントロール2010年秋季増刊P271-274より改変
4、器具類を消毒薬に完全に浸漬させましょう
Milton
消毒対象物が消毒液と完全接触することが 必須条件
必須条件 です
不適切な浸漬方法
器具が飛び出している!
内腔に空気が残っている!
適切な浸漬方法
落としぶたで浮き上がり防止
① 器具全体が完全に浸漬できる容器と希釈液を準備する
② 希釈液から器具が飛び出したり、内腔に空気が残らないように!
③ 浮き上がらないよう、落としぶたを使用する
42
出典:編集 洪愛子「感染対策の必須テクニック117」.メディカ出版.インフェクションコントロール2010年秋季増刊P271-274より改変
All Right Reserved. Copyright (C) 2007、 Kyorin Group.– Internal Use Only
5、遮光性の高い蓋付き容器を使用しましょう
Milton
蓋が透明
蓋がない
All Right Reserved. Copyright (C) 2007、 Kyorin Group.– Internal Use Only
43
6、浸漬容器の保管場所・状態に注意する
Milton
①蓋をする
・ 異物や水の跳ね返りなどの混入を避ける1)2)
・ 塩素ガスが眼や呼吸器の粘膜を刺激するため3)
・ 光による濃度低下を避ける2)
1)出典:編集 満田年宏「感染対策いちからはじめる実践プログラム」.メディカ出版.インフェクションコントロール2013年春季増刊P93-95より改変
2)出典:編集 櫻井滋「らくらくわかる感染対策の教科書」.メディカ出版.インフェクションコントロール2013年秋季増刊P195-200より改変
3)出典:神谷晃
尾家重治「改訂2版
消毒剤の選び方と使用上の留意点」.じほう.平成18年より改変
44
All Right Reserved.
Copyright (C) 2007、
Kyorin Group.– Internal Use Only
浸漬容器の保管場所・状態に注意する
Milton
②シンク付近は避ける
・水周りには緑膿菌、セパシア、アシネトバクター、
セラチアなど湿潤環境を好む細菌が多く存在します1)
・シンクからの水跳ねや器具洗浄時に血液・体液などの
有機物が混入し、消毒効果が低下する可能性があります2)
1)出典:編集 櫻井滋「らくらくわかる感染対策の教科書」.メディカ出版.インフェクションコントロール2013年秋季増刊P195-200より改変
2)出典:編集 満田年宏「感染対策いちからはじめる実践プログラム」.メディカ出版.インフェクションコントロール2013年春季増刊P93-95より改変
45
All Right Reserved. Copyright (C) 2007、 Kyorin Group.– Internal Use Only
浸漬容器の保管場所・状態に注意する
Milton
③直射日光は避ける
日光で不活性化が促進されるため、日の当たらない場所で保管する。
出典:編集 満田年宏「感染対策いちからはじめる実践プログラム」.メディカ出版.インフェクションコントロール2013年春季増刊P93-95より改変
46
All Right Reserved. Copyright (C) 2007、 Kyorin Group.– Internal Use Only
医療環境からの微生物伝播 (POIS院内感染対策Ⅳ)
医療環境は感染の伝播経路となるのか?
1966~2002年までに報告された院内感染事例(1022事例)
から、感染源および感染経路をリサーチ
感染源
感染経路
患者
25.7%
接触感染
45.3%
医療機器・装置
11.9%
侵襲性
16.1%
環境
11.6%
空気感染
15.0%
医療スタッフ
10.9%
不明
28.3%
環境は院内伝播のリスクとなりうる
Infect Control Hosp Epidemiol. 2005;26(4):357-61.
院内感染の伝播経路
ヒト
通常の
感染経路
ヒト
免疫力が低い患者さん
患者さん
微生物
の移行
環境を介した
感染経路
環境
多忙な医療スタッフ
トイレ周り
ベッドサイド
など
器具や装置
などの医療設備
環境は感染の伝播経路のひとつ
監修:賀来 満夫 先生(東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座
感染制御・検査診断学分野 教授 東北大学病院検査部 部長)
感染性微生物の年間流行
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
グラム陽性菌(MRSA:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、VRE:バンコマイシン耐性腸球菌など)
グラム陰性菌(緑膿菌、アシネトバクター、肺炎桿菌など)
ノロウイルス、ロタウイルス(感染性胃腸炎)
ノロウイルス
食中毒関連微生物
(カンピロバクター、サルモネラ、腸管出血性大腸菌など)
アデノウイルス(流行性角結膜炎)
A群溶血性連鎖球菌(咽頭炎など)
A群溶血性連鎖球菌
インフルエンザウイルス
マイコプラズマ(肺炎など)
インフルエンザ
マイコプラズマ
感染性微生物はどの季節でも流行するため
感染防止に向けた環境衛生管理が大切です
監修:尾家 重治 (山口大学医学部附属病院薬剤部)
環境(病室清掃のポイント)
環境表面への手指の接触回数
(病室)
140
回
160
120
100
80
60
40
20
0
壁 床 窓 テ ゴ ロ ブ 部 椅 ベ 冷 ナ
枠 レ ミ ッ ラ 屋 子 ッ 蔵 ー
ビ 箱 カ イ の
ド 庫 ス
ー ン ス
コ
枠
ー
ド イ
ル
ッ
チ
テ 洗 枕 床 床 点 床 ベ 洗 ド オ
レ 面 元 頭 頭 滴 頭 ッ 面 ア ー
ビ 台 の 台 台 棒 引 ド 台 ノ バ
き 柵 蛇 ブ ー
リ
電 扉 テ
テ
ー
口
出
モ
気
ー
ブ
し
コ
ス
ブ
ル
ン
イ
ル
ッ
チ
病院内での推奨日常清掃部署
<廊下・出入り口>
<病室>
・ベッド柵
・オーバー
テーブル
・床頭台
・ナースコール
・ベッドサイド
椅子
・照明 など
<スイッチ類>
手すり・ドアノブ・扉
<回診車・器具カート>
スイッチ・手すり・スイッチ類
<機器表面など>
<車いす・松葉杖・歩行器>
※機器内部に水分が
入る恐れのある機器
類には使用を避けて
ください。
輸液ポンプなど
<トイレ>
※拭き跡が気になる場合は、
拭き取ってください。
コット・クベースなど
<洗面台>
<ポータブルトイレ>
洗面台・蛇口類
※ 汚れを落としてから使用下さい
・手すり
・便座
・ふた
・個室扉・カギ
・水洗レバー
・ペーパーホルダー
環境の衛生管理は
洗浄 +
除菌
汚れを落とさなければ
除菌は出来ません
両方可能な製品を選びましょう
正しい嘔吐物処理で感染拡大を防止
嘔吐物の処理の留意点
■作業上の留意点
1)処理作業は、少人数で行う。
・汚染を拡大させないため、少人数で対応する。
2)嘔吐物を乾燥させずにすばやく処理する。
・ウイルスの浮遊を防ぐ。
3)嘔吐物を中心に半径1.5~2mの範囲を消毒・ 清掃する。
・嘔吐物は、嘔吐時の落下により1.5~2m飛散します。
・周囲1.5~2mの範囲で外側から新聞紙を敷いて処理を開始する。
・嘔吐物には、安易に近づかない(他のスタッフ・患者)
4)大まかな処理が終わったら、手袋を交換する。
・汚染を拡大させないために。
嘔吐物の処理の留意点
■作業上の留意点
5)作業中~作業終了後しばらくは換気を行う。
・浮遊嘔吐物粒子(ウイルス)/塩素ガスを屋外へ排出。
6)防護具は処理が終了したら、すぐに外して廃棄する。
・防護具は、その場ですぐに外しビニール袋に密封して廃棄する。
※防護具をつけたままの移動は、汚染拡大の原因になります。
・防護具を脱ぐ順番・方法にも注意する。
手袋 ⇒ ガウン ⇒ マスク
・流水と石けんで丁寧に手洗いを行う。
7)カーペットの消毒は、・・・
・セパレート式のカーペットで、汚染部分を廃棄することが望ましい。
・消毒する場合は、
スチームアイロン(95℃・1分以上)で対応する。
大量の水(水ぶき)で物理的にウイルス量を減らす。
ご清聴ありがとう
ございました
All Right Reserved. Copyright (C) 2007、 Kyorin Group.– Internal Use Only