第1号 - 全国学校図書館協議会

郡山市学校図書館協議会だより
える・あい
Library. Information
平成25年7月発行
No.1
<巻頭言>
学びの中核としての学校図書館
福島県学校図書館協議会長
今野
隆
「学び舎である学校において、図書館はいかなる役割を持つ場所なのであろうか」・・・こんな問いを
改めて自らに問い直してみます。学校自体に図書館ができたのは先進国であったアメリカで20世紀に
入ってからと聞きますが、日本では昭和28年の学校図書館法制定によって「学校図書館」の必要性が
確立され、学校図書館の目的として、①学校の教育課程の展開に寄与すること、②児童生徒の健全な教
養を育成すること(第2条)の2点が挙げられ、「学校には、学校図書館を設けなければならない」(第3
条)と明記されました。
この目的を達成するために、学校図書館は次の3つの機能を果たしていく必要があります。
「学習セン
ター」「情報センター」「読書センター」としての機能です。逆説的に言えば、この3つの機能が十分に
果たせているか、ということがその学校の図書館の「評価」と言うことができるでしょう。
中でも「学校の教育課程の展開に資する」という観点から、特に重要であるのが「学習・情報センタ
ー」としての機能です。つまり、
「教科等の探求型学習に活用していくための図書館となっているか」と
いうことが学校図書館としては特に大切なところになってきます。
また、教育課程の展開に寄与する学校図書館にしていくためには、学校の教育計画としての教育課程に
きちんと位置づけられていることが重要です。教科書教材の研究をもとに各教科等の年間指導計画に具
体的な図書・資料名を付したり、各学年の発達段階を踏まえ、小・中学校の9ヵ年を通じて探求型学習
の方法論として「図書館を活用した学び方(調べ方)」についての指導体系表をみんなで共有することは、
とても大切なことであると思います。このことは各学年の新学習指導要領でも教科ごとに体系的に記さ
れていますが、より分かりやすいのは全国学校図書館協議会の「情報・メディアを活用する学び方の指
導体系表」というものがあります。自校化する上でご参考になるものと思います。いずれにしろ郡山市
においては先進的な学校が多く、教育課程の指導計画への位置づけおよび図書館活用計画の整備や各学
年の図書館を活用した学び方の体系化についてもすでに整備され、日々の学習活動に生かされ、効果を
上げていることと思います。
さらに、何と言っても学校図書館で大切なのは、そこに関わる「人」です。郡山市においては、図書主
任や司書補の先生が合同でテーマを共有して進めている研修会や司書補の先生方だけの研修会等が複数
回実施されています。郡山市及び福島県学校図書館協議会の役員も兼ねている市内小・中学校の校長先
生方が世話人・指導助言者となって共に研修を推進しているのも脈々と続いてきたすばらしい伝統であ
ります。郡山市では、現在、小・中学校の81.4%に司書補の先生が配置されております。
「人のいる
図書館」
「笑顔とぬくもりのある図書館」にこそ、子どもたちは導かれ、集まります。配置されていない
学校でも学校支援地域づくりの一環としてボランティアを募集するなどして工夫努力をされています。
これからも子どもたちの「豊かな心」と「学び」を推し進めていくために、図書館のプロとしての司書
補の先生方と図書主任、教科主任、学級担任が手を取り合い、連携し合って「学びの中核としての学校
図書館」にしていきましょう。
<提
言>
豊かな本との出会いと学校図書館
『本好きは本好きに・・・』
武志
郡山市学校図書館協議会副会長 笠井 修
今年度、郡山市学校図書館協議会会長を仰せ
つかりました。精一杯努めて参りたいと思いま
すので、皆様のご協力ご支援の程、よろしくお
願い申し上げます。
さて、今年度5月末に市文化センター内で開
催した司書補の皆さんの一日研修会では、各校
の参会へのご配慮、そして参会の皆さんの研修
での積極的な取り組みと市図書館始め関係者の
皆様のご協力により有意義な研修になったもの
と思います。
その中で、私も研修に参加していましたが、
そのおりに講演講師の先生の提案で、自分が出
会った本を紹介しあうコーナーがありました。
さっそく手渡された用紙に書こうと自分の本と
の記憶を振り返って見ると、小学生の時に電車
の中で読んだ本や、初めて自分の小遣いで本屋
さんで買った本(小学6年生の頃からとくに戦
国武将に関する読み物や伝記、各種名鑑に興味
をもっていたので、その種の本。今でも本棚に
置いています。)が浮かんできました。しかし、
よくよく考えて見ると、自分の実家の本棚にあ
った確かグリム童話の名作文集を読んでいるそ
の当時の自分の姿が強く思い出されました。日
頃脳裏に浮かぶことはなかったのですが、その
時に見たであろう挿絵や文字も朧気ながら浮か
んできます。ここまでそんなに時間がかかった
わけでもありません。順序性はともかく、本と
の出会いは脳の記憶の奥深くに残っているもの
だと改めて強く感じ入った次第です。
ひるがえって、今はデジタルの時代。百科事
典や文学全集も、年々インターネットや電子辞
書、読書などに変わり、ますます子どもと本(ハ
ード)との豊かな出会いが学校図書館に求めら
れているといえます。現在市内各校で、
「朝読」
から「昼読」「家読」へと読書活動の活性化や
学習・情報センターとしての図書館機能向上へ
の取り組みが進められています。本協議会とし
ましては、市学校図書館全体の一層の活性化と
充実に向けての各種コンクールの開催や研修の
場の確保、各種情報の提供をして参ります。よ
ろしくお願いいたします。
学校図書館に関わるようになり今年で4年目にな
ります。本を読むのは好きですが、感想文、作文は
大嫌い。そんな私がなぜ・・・?と思われる方が多
いようです。
今年で57歳になりますが、誰しも読書に嵌まる
時期というものがあるような気がします。
私が嵌まった時期は、最初は高校時代。庄司薫や
森村桂、そして青春小説に嵌まりました。
次が、大学時代。電車通学の中、毎日の往復の時
間に、新田次郎や西村京太郎、アガサ・クリスティ
などの本を読んでいました。友だちが読んでいたの
も大きかったように思います。負けまいと読んでい
ました。
就職してからはしばらく読書から離れていました
が、ここ10年、好きな作家ができ、浅田次郎、村
山由佳、池波正太郎、佐伯泰英、横山秀夫、山本一
力、幸田真音、宮部みゆき、東野圭吾。最近は、佐々
木譲や高田郁、有川浩・・・も。
さて、先生方は本屋さんによく行かれますか。私
は、高校までは近所の書店というか本屋に毎日入り
びたりでした。読むのはほとんどマンガでしたが。
それでもときどき「ん?」というような感じで本を
手にとり購入することもありました。
最近は近所の本屋が少なくなり、
「ちょっと本屋ま
で」という機会が少なくなってきています。本屋に
行っていれば、本を手に取り、
「あ、この本、おもし
ろい」となって、1冊、2冊と増えていくはずなの
ですが・・・。
子どもたちも同様です。近所に本屋さんがないの
で、子どもだけで本屋さんに行くことはないようで
す。ただ、目を向けると、昔に比べると、読書環境
はとてもよくなっています。
学校の図書館の蔵書もバラエティに富んでいます
し、市の図書館も分館が各地にでき、その気になれ
ばいつでも読書に親しむことができるようになって
います。
あとは、いかにその気にさせるかです。その役目
は先生方にかかっています。そんな機会を教師が意
識し、本を子どもたちの手にとらせてほしいと思っ
ています。本校に限らず読書量は、担任の一声で決
まります。どんどん図書館に子どもたちを・・・で
す。
郡山市学校図書館協議会会長
矢澤
<随
想>
「心温まる時間」
東芳小学校
教諭
吉田
嘉
「♪あっちゃん、あがつく アイスクリーム♪」
歌を歌いながらページをめくると、おいしそうなアイスクリームが出てきた。
「うわあ」
子どもたちの歓声が教室に響き渡る。そして満面の笑顔でアイスクリームを食べる真似をする子どもた
ち。司書補の稲垣優子先生が行って下さる「読み聞かせ」の一場面である。
私は、今年復級した特別支援学級を担任している。1・2年生男子のみ5名のクラスである。障がい
の特性から、なかなか集中して話を聞いたり、学習に参加したりすることが難しい子どもたちが、週1
回のこの読み聞かせタイムをとても楽しみにしている。絵本はもちろん、大型絵本やパネルシアター、
一つひとつ真心のこもった手作りのお人形など、いろいろな仕掛けに驚いたり、喜んだり、一気に「お
話の世界」に引き込まれいく。子どもたちと一緒に担任である私も夢中になっていることに気がつく。
稲垣先生が持参する絵本や小道具を入れたかごは、まるでドラえもんのポケット、宝箱である。始ま
る前に子どもたちは、その宝箱が気になり、のぞいたり、触りたがったりする。初回は、自由に触りた
くて、席を立ち、自分のペースで進もうとする子どもたちに私もお話どころではなかった。回を重ねる
うちに、いすに座り、絵本を注視できるようになってきた。お話そのものを楽しむことができるように
なってきたことは大きな成長であり、読み聞かせが心身の発達を促す一因となっていることを実感する。
読み聞かせ後、何とも言えない温かい、幸せに充ち満ちた空気が教室の中に広がる。子どもたちみん
なとても満足そう。心が通じ合うこと、絵本を通して思いを共有できることを感じているのだろう。心
温まる贅沢な時間を過ごしていることに感謝し、読み聞かせの時間を大切にしていきたい。
「短歌に親しむ学習から」
郡山第五中学校
教諭
栁沼
智恵
今週、中学校2年生の国語の授業で、短歌を作る学習を行いました。千三百年の歴史をもつ詩形式
である短歌の授業は、定型・季節・作者の思いを様々な時代の名歌から学ぶことから始まります。その
後、平成の時代に生きる中学生が自分の言葉で短歌を作ります。
この教材文を執筆した、歌人の馬場あき子さんの言葉を読んで、私は長年の胸のつかえが取れたよ
うな思いがしました。それは、馬場さんが教師をしていたころの失敗談として、歌を解説的に教えよう
とした短歌指導の誤りが述べられていたからです。詩歌の授業の中で、読後に思うことや考えることは
生徒によって様々であるし、その違いを生徒から生徒自身の言葉で語らせながら授業を組み立てていく
ことこそが大事で、そこに鑑賞の基本があるのでした。そして、鑑賞の時間を充実させていくことによ
って、自分も歌を作ってみたい、自分の思いをぜひ言葉にしたいと欲することができるのです。
文集「あさか」に掲載されている市内各中学校の生徒作品には、みずみずしい若い感性にあふれた
短歌がたくさんあります。それらは中学生の時期ならではのやわらかい心を感じることができるものば
かりです。今回、中学2年生の国語の時間にこれらの作品を紹介したところ、大きな反響がありました。
共感できるところはもちろんですが、
「ここはこの言葉の方が伝わる。」
「倒置したらもっといい。」とい
うような発言も見られました。
また、この学習の時期に合わせて、本校司書補の先生に短歌の本を紹介していただきました。学校図
書館は忙しい中学生にとって、最も身近に本と接することのできる空間です。授業の中で特別に使わな
くても、図書館便りで紹介されていたり、展示されていたりすると興味をもって手にとってもらえる本
がまだまだたくさんあります。そういったことが図書館経営の楽しさでもあると思っています。
『新メンバー紹介』
行健小学校
いまむら
りようこ
今村
亮子
○ 好 き な 本 :『 ハ リ ー ・ ポ ッ タ ー 』 シ リ ー ズ
(J.K.ローリング著)
○図書室に勤務して
メディアセンターに勤務して、短大で図
書館の勉強をし、その後は郡山市ふれあい
科学館に勤めていました。
当 校は 図書 室とパ ソコンル ームが一体 と
なっており、調べ学習に大変便利な環境が
整っていることにまず驚きました。そして、
子ども達の学習意欲の高さやその読書量
に、日々学ばされています。
諸 先輩 方を お手本 にして、 明るく、使 い
やすく、そして居心地の良い図書館作りに
励みたいと思います。
○趣
おおば
ともみ
大場
智美
○好きな本:西の魔女が死んだ(梨木香歩著)
○図書館に勤務して
司書補の仕事は初めてで、前任者が行っ
ていた仕事に少しでも近づけたらと思いな
がらもなかなか思うようにいかず、毎日が
勉強の日々を送っています。
まだまだ図書委員さんに教わることが多
い私ですが、生徒達がたくさんの本と出会
える居心地の良い図書館を目指してがんば
りたいと思います。
○趣味:旅行
もちづき
じゆんこ
望月
純子
○好きな本:大きな森の小さな家シリーズ
○図書室に勤務して
何もわからず不安な気持ちで図書室にい
ましたが、そんな不安を子どもたちが吹き
飛ばしてくれました。
毎日元気に話しかけてくれるかわいい子
どもたち。
未知の仕事で手探りの毎日ですが、先生
方にいろいろと助けていただきながら、で
きることから少しずつ始めています。
気軽に入れる雰囲気、特に用はないけど
何となく行ってみるかという気になるよう
な図書室を目標に、そこから楽しい本の世
界に案内できたらなと思います。
○趣
味:海外ドラマ鑑賞
大槻小学校
金透小学校
味:読書、庭いじり
いのうえ
桑野小学校
井上
ま
り
え
万里恵
○好きな本:武田美穂さんの『となりのせき
のますだくん』です。
○図書室に勤務して
4月から司書補になった私ですが、知識
はあっても実践経験がなく、不安と緊張で
右往左往していました。現在では、気持ち
にゆとりがでてきたのか、だんだんと楽し
く感じるようになってきました。
そ んな 私が 、最近 工夫…と いうより気 に
かけていることは、子どもの声に耳を傾け
ることです。慣れてきたのか、子どもたち
は私に色々なことを話してくれます。まだ
仕事に不安を覚える私が出来ることは少な
いですが、子どもたちと真摯に向き合い、
早く仕事を覚えて、子どもたちの支えとな
る図書館にしていきたいと思います。
○趣
味:音楽鑑賞、イラストを描くこと